みのる選:2013年10月度
2013年10月25日 | |
澄む水に恋を占ふみくじかな | ひかり |
爽やかや海一望のサンルーム | 菜々 |
コンテナの山に埠頭の秋時雨 | よし子 |
玉の日を弾きて軒の柿すだれ | ともえ |
残る虫休耕田の其処彼処 | さつき |
身に入むや霊場に古る千羽鶴 | なつき |
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2013年10月24日 | |
神の楠大騒ぎして台風来 | ひかり |
野良猫の声のか細く秋風裡 | 有香 |
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2013年10月23日 | |
剪定の鋏のリズム秋天下 | 三刀 |
秋うらら異人館街ジプシーす | 満天 |
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2013年10月22日 | |
身に入むや橋詰めに立つ水難碑 | 有香 |
魁としてぶなの森黄葉す | はく子 |
屍の骸のごとく蓮枯るる | ぽんこ |
ゴンドラの行き交ふなぞへ野菊咲く | さつき |
露天湯を独り占めして秋惜しむ | はく子 |
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2013年10月21日 | |
道行きの人に誉められ鉢の菊 | こすもす |
トラックの牛と目のあふ秋思かな | さつき |
松手入れ終え一服の茶の美味し | あさこ |
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2013年10月20日 | |
力石銀杏紅葉をしとねとす | さつき |
猪害を託つ話題や村まつり | よう子 |
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2013年10月19日 | |
岬鼻に佇み海の秋惜しむ | 三刀 |
をみな等を一瞥したる穴惑 | うつぎ |
ゴンドラの影落としゆく秋の山 | さつき |
御神体てふこの杜の秋を聞く | 満天 |
亡き母の部屋の窓辺へ小鳥来る | 菜々 |
2013年10月18日 | |
伊勢参りここが起点と小鳥来る | ぽんこ |
岬鼻へ続く秋思の靴の跡 | 三刀 |
赤い羽根胸豊かなる一少女 | 宏虎 |
道しるべ古りて傾く草紅葉 | 満天 |
遠山の翠黛しるき秋の空 | 三刀 |
自販機の前に屯す夜業人 | さつき |
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2013年10月17日 | |
口開けし通草をさげて句座の友 | 有香 |
吾妹子もひと口つけし温め酒 | 雅流 |
湯の街の路地しつぽりと梅雨に濡れ | 三刀 |
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2013年10月16日 | |
大釜にたぎる湯煙秋祭り | よし子 |
丁目石ここよここよと残る虫 | ひかり |
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2013年10月15日 | |
賞の菊育てて独り侘び住まい | はく子 |
四阿を借りて昼餉や秋時雨 | つくし |
露に濡れ深き祈りやマリア像 | 菜々 |
祭獅子猛る四囲より囃されて | よう子 |
登高す女人高野のよろい坂 | 満天 |
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2013年10月14日 | |
秋天へ湯立ての笹を振りにけり | 雅流 |
赤い羽根見よと胸はるやくざ風 | なつき |
な踏みそここだ木の実や裏参道 | きづな |
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2013年10月13日 | |
産土の祭り支度す長寿眉 | 三刀 |
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2013年10月12日 | |
楽奏づことは至難や瓢の笛 | よし子 |
このあたり古墳銀座や野路の秋 | 菜々 |
高僧の塔頭訪へば鵙高音 | 菜々 |
ヒーローへ子らの声とぶ菊花展 | せいじ |
2013年10月11日 | |
絵手紙の筆遊ばせて灯親し | 満天 |
落人の里に拾ひし虚栗 | よし子 |
小魚の影矢のごとく水澄める | さつき |
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2013年10月10日 | |
ひねくれしままに太りし秋茄子 | さつき |
採血の結果好転秋高し | 三刀 |
石塊と見たるは仏草紅葉 | 宏虎 |
朝もやに浮かぶ中島秋の湖 | なつき |
上皇の遠流の島や木の実落つ | 宏虎 |
色変へぬ寺宝の松を愛でにけり | はく子 |
山頂へ釣瓶落しの日を背負ひ | なつき |
秋嶺を超えて十津川村を訪ふ | ともえ |
塔頭の飛簷に刎ねて木の実落つ | 菜々 |
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2013年10月09日 | |
そよぐとき秋日煌めく大欅 | よし子 |
鰯雲解れつつ空昏れなんと | こすもす |
腰おろす草のなぞへは虫浄土 | ひかり |
鉄塔を要としたる鰯雲 | せいじ |
多島海隈なく覆ふ鰯雲 | あさこ |
ベビーカー寄せし四阿小鳥来る | 雅流 |
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2013年10月08日 | |
名作の舞台はここと小鳥来る | きづな |
谷戸の郷畦という畦彼岸花 | 三刀 |
ピラミッド型に積まれてリンゴ売る | 菜々 |
草原の古墳に佇てば秋の声 | 宏虎 |
コスモスの風写さんとカメラマン | ひかり |
秋扇打ちて語り部いま佳境 | よし子 |
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2013年10月07日 | |
あるなしの風にコスモス揺れやまず | 満天 |
木漏れ日にひらめき落つる色葉かな | ひかり |
小流れを隠して萩の盛りかな | かかし |
七曲り抜けて展けし蕎麦の花 | うつぎ |
夕影となりし紫苑の高さかな | 菜々 |
碧潭の水面に秋思憑きにけり | 雅流 |
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2013年10月06日 | |
直立すメタセコイアに秋高し | 満天 |
東雲の空傾けて鳥渡る | 菜々 |
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2013年10月05日 | |
鐘一打して無住寺の秋惜しむ | はく子 |
百歳を目指す意気ごみ新酒酌む | 三刀 |
蹲踞に水を満たせば小鳥来る | 菜々 |
2013年10月04日 | |
自転車を踏む筋力や老いの春 | 治男 |
朝露を抱きてきらめく彼岸花 | 三刀 |
朝散歩秋草分けて水際へと | 菜々 |
かくれんぼ秋夕焼けに散らばりて | 有香 |
酒蔵の軋む階段秋の冷え | なつき |
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2013年10月03日 | |
山頂に仰ぐ天守に秋高し | つくし |
狛犬のしっぽに触るる風の萩 | 菜々 |
露座仏に一茎手向く野菊かな | 宏虎 |
曼珠沙華真上にカメラ構へけり | ぽんこ |
赤蜻蛉キヤツチボールにぶつからず | 治男 |
リハビリの吾を導く道おしえ | 三刀 |
虚子塚に佇みをれば秋の声 | はく子 |
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2013年10月02日 | |
里の子ら毬栗蹴って登校す | よし子 |
始発まつホームを包む虫の声 | さつき |
秋日入るガラス細工の小宇宙 | なつき |
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2013年10月01日 | |
月光に屏風立ちせる四囲の嶺々 | 宏虎 |
雲板のしるき窪みや秋日影 | 雅流 |
秋の川奇岩巨岩に激ちけり | さつき |
手の届きそうな里山秋の晴 | よし子 |
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2013年09月30日 | |
草紅葉路傍の石は道標 | 宏虎 |
吐息めくトランペットや秋風裡 | ぽんこ |
藷の茎一品となす老いの卓 | 三刀 |
同齢の訃を聞きてより愁思憑く | あさこ |
蕎麦の花虻の頭突きに揺れやまず | うつぎ |
秋晴に白壁映ゆる蔵の町 | さつき |
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2013年09月29日 | |
蓑虫の夕日まぶしと凹みけり | つくし |
うそ寒し万の身代はり地蔵尊 | はく子 |
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2013年09月28日 | |
豊の秋明智の里を一望す | よし子 |
襖絵の龍と目の会ふ愁思かな | うつぎ |
飛火野の起伏にあそぶ秋茜 | 満天 |
濠に沿ふ御陵の松の色変へず | 雅流 |