みのる選:2012年12月度
2012年12月29日 | |
枯蓮田三角定規並ぶごと | ともえ |
婆ちゃんと笑顔で話す帰省の子 | 三刀 |
玉の日を纏ふ冬芽のうぶ毛かな | せいじ |
みどりごの産毛を宿す冬芽かな | せいじ |
大綿の路地はこの先行きどまり | きづな |
小夜覚めて病室に聞く冬の雨 | よし女 |
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2012年12月28日 | |
思い出の一つ一つや古日記 | わかば |
生かされて明日への糧の日記買ふ | わかば |
手作りの干支を飾りて年用意 | 満天 |
枯菊を焚きて一句を成さむとす | 雅流 |
空調の音冴え手術室孤独 | よし女 |
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2012年12月27日 | |
白蛇の大絵馬かかげ年用意 | ぽんこ |
懐に古墳を抱き山眠る | 有香 |
供花買ひて通夜の道行き月冴ゆる | こすもす |
賽銭箱磨き産土神年用意 | よし子 |
数へ日の黒門町の活気かな | 百合 |
夜回りの不揃ひなるは夫の声 | 満天 |
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2012年12月26日 | |
節くれの仁王の足へ冬日射す | 宏虎 |
煙り噴く炭焼き窯の野獣めく | よし子 |
野良猫の行き来自由や門ぬくし | つくし |
黙々と交はす筆談風花す | よう子 |
頼みとす薬絶やさず去年今年 | ともえ |
雑談の声も混じりて夜廻り来 | きづな |
冬ざれの淀は銀色砥のごとく | 菜々 |
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2012年12月25日 | |
湯豆腐の味を問はるる京言葉 | 宏虎 |
霜に立ち素足に草鞋大師像 | 菜々 |
県境のダム湖を駈けて寒波くる | よう子 |
老夫婦切り分け食ぶる聖菓かな | よし女 |
年用意とて百均をうろうろす | はく子 |
読み聞かせゐたる子眠る聖夜かな | 有香 |
ぼろ市の人垣越しにのぞき行く | なつき |
裸木の瘤隆々とたくましき | 満天 |
タンカーの進むともなき冬の凪 | わかば |
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2012年12月24日 | |
茶柱の立ちて佳き日や一茶の忌 | 宏虎 |
忌を修し一族郎党ふぐの宿 | きづな |
とれとれの菜の根をすすぐ寒の水 | とろうち |
身罷りし愛犬悼む寒昴 | ぽんこ |
小走りす小雪ちらつく赤信号 | つくし |
前山の杉の美林へ風花す | 雅流 |
庭柚子を贅に浮かべて至福の湯 | あさこ |
朝一の釣銭悴む手から手へ | よし子 |
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2012年12月23日 | |
歳晩の寺苑狼藉めく轍 | 菜々 |
柚子の香やあごまでお湯に漬かりけり | とろうち |
日帰りで辞すふるさとの雪景色 | きづな |
ほかほかの太鼓焼買ひ懐へ | 三刀 |
小走りに吾を追ひぬける師走人 | よし子 |
炭を焼く煙なるべし峠道 | 雅流 |
雲切れて日矢射しをれど片時雨 | せいじ |
2012年12月22日 | |
着膨れてエレベーターにこぼれけり | つくし |
よくとほる声の披講や青畝の忌 | 菜々 |
柚子の香の一番風呂に浸りけり | せいじ |
裸木の天へ振り上ぐ力瘤 | 有香 |
ご自由にどうぞと小玉柚子を盛る | こすもす |
街師走宝くじ屋に長き列 | さつき |
夫癒へて吾が手術待つ冬至の湯 | よし女 |
しばらくを柚子と遊びて冬至風呂 | はく子 |
病とも仲良しになり冬至粥 | 三刀 |
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2012年12月21日 | |
鳶舞へる谷戸の冬至の空暗し | 雅流 |
無駄力抜けて余生のちゃんちゃんこ | 宏虎 |
いか墨に指染めて売る年の市 | なつき |
痛むひざ撫でつつ浸るゆず湯かな | 満天 |
天窓の一枚青き冬の晴 | とろうち |
手袋を外して手話の弾みをり | さつき |
極月の畑に一筋煙立つ | 有香 |
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2012年12月20日 | |
冬日いま翁の塚を抱擁す | 菜々 |
年惜しむ水かけ不動に水掛けて | はく子 |
彩窓のマリアの像に冬日燦 | つくし |
亀の池亀みなもぐり冬ざるる | 菜々 |
杉の秀に一声高し冬の鵙 | 雅流 |
饒舌と仏頂面の日向ぼこ | 宏虎 |
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2012年12月19日 | |
師走妻庚申堂は素通りに | 菜々 |
毀たれしビルの虚空に月冴ゆる | せいじ |
義太夫の墓へも詣で年惜しむ | 菜々 |
身に入むや港に魚の供養塔 | わかば |
冬うららおもかる文殊軽きかな | 満天 |
暮れ残る富士のてっぺん冬の鵙 | とろうち |
凍土をひづめが削る馬の径 | なつき |
朝市の売手買手と息白し | 宏虎 |
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2012年12月18日 | |
ひび割れて水生花苑池涸れる | わかば |
笹子鳴く裏山包む夕帷 | 雅流 |
推敲す黙のひと時冬座敷 | ぽんこ |
行く人の足をとどめる冬桜 | 満天 |
己が影纏ひて眠る甲斐の嶺々 | とろうち |
夫盾にマスクの妻の付き行けり | なつき |
初雪やふるさとの幸届きし日 | よし子 |
句碑歌碑に添ひてたわわや実南天 | きづな |
膝ついて藁苞覗く寒ぼたん | ともえ |
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2012年12月17日 | |
碁敵の沈思黙考懐手 | 宏虎 |
身に入むや家打ち壊すブルトーザ | ぽんこ |
ショッピング手間取りし間に時雨れけり | せいじ |
参道に万華鏡なす彩紅葉 | 百合 |
煤払ふにも順序ある大伽藍 | きづな |
神木に宿り木あまた冬ざるる | とろうち |
神鶏の真白が突く落葉嵩 | なつき |
庖丁を磨き上げもす年用意 | あさこ |
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2012年12月16日 | |
一尋に余る魚版や冬館 | 菜々 |
花時計総入れ替へし年迎ふ | つくし |
冬鴉遺跡調査の田を突く | せいじ |
トンネルを抜けて山河の冬景色 | わかば |
冬うらら犬を待たせて投票す | せいじ |
蒸し立てのおこわの湯気や果大師 | なつき |
2012年12月15日 | |
カレンダー並べ選ぶも年用意 | あさこ |
ゆりかも引き連れ戻る大漁旗 | 宏虎 |
存問の思ひをこめて賀状書く | ぽんこ |
山茶花の紅白侍る門構へ | 三刀 |
浮寝鳥揺るるともなき水面かな | とろうち |
松の秀が冬天支ふ禅の森 | 菜々 |
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2012年12月14日 | |
底冷のうぐいす張りの廊巡る | 宏虎 |
デパ地下の半額タイム日短 | よし女 |
極月の寺に写経の筆をとる | 有香 |
大いなる尻を振りふり鴨潜る | 三刀 |
街師走四面楚歌なる選挙カー | 満天 |
凍てエンジン覚めよとお湯をかけてやる | こすもす |
コート着て喫煙場所の混みにけり | さつき |
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2012年12月13日 | |
紙漉きの水より暮るる名塩かな | 宏虎 |
冬座敷障子に濃ゆき松の影 | 菜々 |
転ぶやに傾ぐ体や蓮根堀 | よし女 |
師走月一週間は瞬く間 | あさこ |
被災地の友より届ききし林檎 | せいじ |
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2012年12月12日 | |
鯉跳ねて揺るる水面の冬紅葉 | 百合 |
着ぶくれてブレーキかかる滑り台 | ぽんこ |
留守宮の神鈴振るを躊躇ひぬ | つくし |
落ち葉降り積む方丈の屋根の反り | とろうち |
寒オリオンよぎるは飛機の瞬く灯 | はく子 |
臥す吾に影の移らふ白障子 | うつぎ |
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2012年12月11日 | |
校庭に声の残りて日の短 | つくし |
束の間の心温む寒夕焼 | ともえ |
木枯らしに竿の干し物踊りだす | はく子 |
鴟尾高く匕首の月冴えわたる | 菜々 |
水涸れて石は蒼さを失へり | とろうち |
木枯しがプラットホーム席巻す | せいじ |
退院すポインセチアに迎えられ | 三刀 |
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2012年12月10日 | |
降りる鴨翔つ鴨朝の湖広し | うつぎ |
手に気合入れて塩鮭切り分ける | なつき |
ひと筆がくねれば蛇や賀状書く | 満天 |
病者あい励ましあひて日向ぼこ | よし女 |
ふさふさの鬚をしとねに竜の玉 | 菜々 |
昨夜の雪残るポストの庇かな | せいじ |
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2012年12月09日 | |
水仙を生けし玄関客を待つ | きづな |
大しぶき立てて鴨どち着水す | つくし |
藪を突く日矢のみどりや竹の春 | とろうち |
男手の守る大釜や大根焚 | 雅流 |
養生という退屈や風花す | 三刀 |
庭蜜柑手入れのあひに摘み食ひ | あさこ |
峡の日を集めて白しお茶の花 | 菜々 |
寄せ鍋の湯気を挟んで乾杯す | よし子 |
教会の窓をノックす冬芽かな | せいじ |
鳰の水尾末広がりに進みけり | さつき |
おでん屋の湯気機嫌良く上がりをり | ともえ |
朝日出てダイヤ光りす霜柱 | 美咲 |
2012年12月08日 | |
吹かれきてお百度石の冬の蝶 | 百合 |
裸木に明るき空の展けけり | さつき |
お不動へ裏道詣で笹鳴ける | きづな |
老犬を老老介護冬ごもり | ぽんこ |
自転車をこぐ木枯らしに抗ひて | 満天 |
冬空へ叫ぶ選挙のスピーカー | 治男 |
鰤起こしテトラポットを呑む怒涛 | 宏虎 |
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2012年12月07日 | |
廃屋をかんじがらめに蔦枯るる | わかば |
黄落の窓辺にランチタイムかな | ひかり |
雲一朶なき蒼天へ師走富士 | せいじ |
日の出富士コロナのごとく雪煙 | とろうち |
法話聴く広き本堂隙間風 | 宏虎 |
掲示板全職員へマスクせよ | こすもす |
デパ地下はケーキが主役クリスマス | 満天 |
貝殻をつけし蛸壺冬日向 | なつき |
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2012年12月06日 | |
鉛色に水錆びて蓮枯れにけり | 宏虎 |
病窓の外の風花の乱舞見よ | よし女 |
紅葉山貫く高速高架かな | よし子 |
縄縛りされて蘇鉄の冬支度 | なつき |
凩に一大事告ぐ救急車 | ぽんこ |
年用意婦唱夫随にガラス拭く | 菜々 |
マフラーを若者風に巻いてみる | 満天 |
路地裏に入りて焼き芋ほほばりぬ | なつき |
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2012年12月05日 | |
冬天にすっからかんの大銀杏 | とろうち |
風意地悪落葉煙を避けられず | つくし |
久闊を述ぶ相互ひマスクして | あさこ |
山門を潜るや否や冬木立 | わかば |
蒼天へ紅葉を鎧ふ甲山 | うつぎ |
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2012年12月04日 | |
裸木となり網目なす梢かな | 満天 |
泥つけしままに届きし冬菜かな | はく子 |
修験者の列なす背なに時雨けり | 有香 |
海峡を煙ぶらせて来る時雨かな | わかば |
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2012年12月03日 | |
叶ふなら龍の玉ほど弾みたし | あさこ |
九体寺の門へ且つ散る紅葉かな | 雅流 |
そぞろ寒暗殺の間の柱傷 | とろうち |
落柿舎の吾も過客や添水打つ | 菜々 |
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2012年12月02日 | |
編み上がる正ちゃん帽に夫笑顔 | よし女 |
切り岸に張りついてをる冬紅葉 | わかば |
推敲す四阿の吾に笹子鳴く | きづな |
冬凪の小樽の海を睥睨す | ともえ |
本丸へ続く嶮磴銀杏散る | さつき |
講壇にポインセチアを侍らしぬ | せいじ |
見舞はるる人饒舌や縁小春 | きづな |
草枯れて定かになりし野面石 | 三刀 |
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2012年12月01日 | |
御座舟を浮かべ嵐峡小六月 | 菜々 |
耳遠く身ぶり手ぶりや日向ぼこ | 宏虎 |
甘酒を双手包みにいただきぬ | さつき |
落柿舎に虚子の一碑や紅葉影 | 有香 |
師走寺瓦寄進に名を記す | きづな |
散歩する主も犬も息白し | 宏虎 |
全身に陽光纏ひ銀杏散る | とろうち |
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2012年11月30日 | |
庭園の石の温みや紅葉晴 | なつき |
堰落つる水の小春や大堰川 | 菜々 |
石仏の裳裾嵩なす散紅葉 | よし子 |
竹林の続く道の辺石蕗明かり | せいじ |
吟行の冷えにこぞって葱うどん | ひかり |
落柿舎の投句箱へと紅葉散る | 満天 |
禅林を要としたる枯野かな | せいじ |
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2012年11月29日 | |
水脈あるやなしやに進む紅葉舟 | とろうち |
橋半ば錦秋の渓パノラマに | あさこ |
落柿舎に蓑笠古りて冬ざるる | はく子 |
錦秋を綴り山並昏れなんと | よし子 |
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2012年11月28日 | |
冬ざるる道はこれより化野へ | 菜々 |
ご開扉の吉祥天に小春の日 | うつぎ |
俳句本とりどり販ぐ紅葉寺 | きづな |
つやつやと尻を並べて柿届く | とろうち |
現し世の話題沸々鍋に酌む | 三刀 |
苔庭を覆ひ尽くして散紅葉 | わかば |
渓風に高舞ふもあり紅葉散る | よし子 |
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2012年11月27日 | |
駈けてゆく音のかそけき風落葉 | ともえ |
月冴えて一朶の雲も寄せ付けず | 菜々 |
開運の鐘に行列紅葉寺 | なつき |
腹巻きの子安地蔵や堂ぬくし | 有香 |
大銀杏散りて天辺展けけり | つくし |
鳰連鎖反応して潜る | さつき |
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2012年11月26日 | |
山襞の深きに迷ふ狭霧かな | せいじ |
冬霧を纏ぎて暮るる峡の里 | 有香 |
夕づきし築地にのこる石蕗あかり | ひかり |
突風に修羅場と化しぬ散紅葉 | 三刀 |
苔庭の紅葉に心洗ひけり | さつき |
御座船に紅葉かつ散る高瀬川 | せいじ |
飛火野を巡る道の辺冬紅葉 | 百合 |
常盤木の根方にも敷く散紅葉 | きづな |
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2012年11月25日 | |
険磴に杖を恃みて紅葉狩 | なつき |
冬晴に津軽三味線音高かし | 満天 |
な滑りそ分け入る杣の落葉みち | 雅流 |
観音の後ろは奈落谿紅葉 | よし女 |