みのる選:2012年9月度
2012年09月22日 | |
下校児の運動場となる刈田 | うつぎ |
野地蔵にこの露草を手向けけん | 満天 |
砂利道のよく鳴る御苑秋暑し | はく子 |
安産のお礼参りや秋日和 | 雅流 |
色変へぬ松高々と築地越し | 菜々 |
稲穂波騒がせて飛機着陸す | さつき |
鹿跳ねて角切りの勢子息荒し | 宏虎 |
海の風通ひやまずよ萩の寺 | こすもす |
思惟仏辞してよりつく秋思かな | 満天 |
拝観の堂に長居す秋の雨 | きづな |
りんどうの濃ゆしと思ふ山気かな | 英子 |
敬老会杖にかわいい飾り物 | つくし |
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2012年09月21日 | |
山襞を雲駆け上がる野分かな | さつき |
陣屋跡なる校門の蔦紅葉 | うつぎ |
見得をきるごとく蟷螂吾を睨む | 雅流 |
蔓しごきたる手に零余子三つ四つ | 有香 |
豊秋のこのあたりまで寺領らし | せいじ |
な踏みそ路地にはみだす大糸瓜 | はく子 |
鼓笛隊打ち鳴らす天高きかな | きづな |
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2012年09月20日 | |
散策の小道蝗が先導す | 三刀 |
竹筒に花芒挿さす無人駅 | よし女 |
藪中にひと屯なる曼珠沙華 | わかば |
岩襖響かせて落つ行者滝 | うつぎ |
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2012年09月19日 | |
草じらみつけて斑鳩道めぐる | よし子 |
城内の道幾曲り虫すだく | きづな |
秋澄むや一水に沿ふ築地塀 | 菜々 |
ペタル踏む湖岸の道の風は秋 | 百合 |
塔見えて斑鳩の道秋時雨 | よし子 |
稲架の骨残して谷戸の昏れなんと | 三刀 |
観世音頬さす指に秋思あり | ぽんこ |
秋草を分けて確かむ丁目石 | 雅流 |
ほ句の秋大和茶粥に舌鼓 | つくし |
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2012年09月18日 | |
ただ無為に佇みをりし虫の闇 | 有香 |
と見る間に霧隠れなる主峰かな | 英子 |
出格子に少し傾き秋簾 | うつぎ |
寺の簷落つ雨音に秋惜しむ | はく子 |
稲刈機鳴り止み亭午かと思ふ | よし女 |
夕闇に火の粉を散らし薪能 | わかば |
焼きたての秋刀魚半寿の祝い膳 | 三刀 |
老い認め難きと思ふ敬老日 | あさこ |
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2012年09月17日 | |
薪能白亜の櫓燃ゆるごと | わかば |
手びねりの茶器もて野点敬老日 | 満天 |
あひ互ひ草じらみ取り雨宿り | なつき |
秋の夜や山頭火てふ酒に酔ひ | よし女 |
秋うららローカル線は手動ドア | 菜々 |
敬老の籤大当たり白寿翁 | 治男 |
右手左手参道狭め萩盛る | ぽんこ |
宮篝焚きて豊作祝ひけり | 雅流 |
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2012年09月16日 | |
堆く籾殻を積む杣の小屋 | 三刀 |
くくと泣く素浄瑠璃や虫時雨 | うつぎ |
六地蔵伏し目に里の秋を聴く | ぽんこ |
流れ星七十路吾にも願いごと | 雅流 |
2012年09月15日 | |
真っ直ぐな道どこまでも鰯雲 | うつぎ |
天守まで届く太鼓や秋澄める | せいじ |
SLを撮らんとすれば葛匂ふ | よし女 |
神鹿の吾を映せる瞳かな | さつき |
弥陀の庭いづくに佇つも萩の風 | 菜々 |
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2012年09月14日 | |
柴折戸を全開したる萩の庭 | きづな |
敬老日小さき手もて肩叩き | 有香 |
秋茜群るる芝生の中空に | わかば |
爽やかやワイン試飲おかはりす | なつき |
紅白の萩に妹背の句碑びらき | 菜々 |
湯気匂ひくる炊きたての栗御飯 | あさこ |
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2012年09月13日 | |
左右の田の苅られ拓けし里の道 | こすもす |
萩がくれなるこの寺の句碑数多 | はく子 |
萩日和ほとけに開くる花頭窓 | 菜々 |
水底にやもり踏ん張り池澄める | なつき |
萩こぼる風化にやせし石仏 | うつぎ |
と見る間に下界隠るる山の霧 | 宏虎 |
参道の萩こぼさじと袂抱き | きづな |
三河湾落つる夕日に雁渡る | つくし |
エンジンの音高らかに稲を刈る | 三刀 |
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2012年09月12日 | |
遠近に籾焼く煙峡の里 | よし子 |
秋潮につつかれ揺るる舫舟 | あさこ |
蹲踞にさざなみ立てて初あらし | 菜々 |
秋気澄む刈込み鋏機嫌よし | せいじ |
命令す運動会のスピーカー | 三刀 |
つくつくし汝も婚礼を寿ぐか | よし女 |
新涼の木洩れ日遊ぶ朝の卓 | せいじ |
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2012年09月11日 | |
名調子なれども虫の名は知らず | 雅流 |
秋天へ婚儀開始の神鼓鳴る | よし女 |
衝突もせず乱れ飛ぶ赤蜻蛉 | 治男 |
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2012年09月10日 | |
古都の秋竹ひと節を投句箱 | 雅流 |
爽やかや寝返り出來し児の笑顔 | 有香 |
抱き起こし出水汚れの稲を刈る | ともえ |
衣被九谷の皿に堆く | よし子 |
風籟に葛の香匂ふ山路かな | 百合 |
どの家も青柿太る過疎の村 | はく子 |
背高の萩に埋もる庵かな | ひかり |
秋簾巻き上げ続く長話 | 満天 |
愚痴ならず声にして読む秋灯下 | うつぎ |
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2012年09月09日 | |
マジシャンに拍手喝采敬老日 | なつき |
しだれ萩裏参道を通せんぼ | ぽんこ |
話し居る二人と見しは案山子かな | うつぎ |
ちちろ鳴く襖へだてに看取りの夜 | 菜々 |
2012年09月08日 | |
波の綺羅揺らぐ川底秋澄める | 宏虎 |
老い二人何するでなし秋灯下 | 菜々 |
ちちろ鳴く安否問はるる電話口 | あさこ |
喉仏鳴らし水飲む汗の人 | 百合 |
虫の夜母の寝息の恙なく | わかば |
落柿舎へ色なき風や嵯峨野みち | 雅流 |
しまい湯に肩の沈めば虫浄土 | さつき |
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2012年09月07日 | |
辻裏に恋を占ふ秋扇 | なつき |
水引が吾を招きをる庵の門 | 雅流 |
人気なき去来の墓や昼の虫 | 雅流 |
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2012年09月06日 | |
回転ドアー回り涼風吐きだしぬ | つくし |
生駒嶺に湧きて流るる秋の雲 | 菜々 |
点滴のリズム音なき秋の声 | 治男 |
ちょっとそこまでのつもりが月の道 | よし子 |
秋の谿矢のごと飛ぶは鳥の翳 | 三刀 |
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2012年09月05日 | |
月天心へさざなみとなる秋の雲 | 菜々 |
門締めて夕焼閉じ込む遊園地 | よし子 |
道曲がるたび楽変はる虫の闇 | 有香 |
爽やかや受洗記念日祝ぐカード | せいじ |
樋溢れ簾をなせる大夕立 | あさこ |
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2012年09月04日 | |
秋めくや庭に日ぐせの通り雨 | 菜々 |
焼岳の噴煙かはた秋雲か | はく子 |
まず吾子に供ふ炊きたて今年米 | あさこ |
フラダンス涼し慰問のをみなどち | こすもす |
栴檀の翳す千手に実のたわわ | ぽんこ |
落合へ刃重ねに秋出水 | 菜々 |
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2012年09月03日 | |
股覗きせる松浜の天高し | こすもす |
村人と一会の露天湯星月夜 | 菜々 |
餅撒くは浄瑠璃人形八朔会 | うつぎ |
羊群の寝そべる牧の風は秋 | 有香 |
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2012年09月02日 | |
月の出を誘なふごとく雲迅し | ともえ |
目鼻なき石の仏に秋時雨 | 菜々 |
雨晴れてより頬撫づる風は秋 | 満天 |
無人駅飛蝗跳び乗る電車かな | つくし |
ひょうきんな鯊の眼や鉤はずす | なつき |
領けられし鈴虫どちら鳴き初む | うつぎ |
飽きてよりよくなって来し鯊の潮 | なつき |
蓑虫の糸一本の宇宙かな | 宏虎 |
2012年09月01日 | |
蜘蛛の囲に透けて遥けし甲山 | うつぎ |
秋あかね飛行機雲の空高く | 雅流 |
岩桔梗一輪なれど藍濃ゆし | はく子 |
メダリスト迎へ祝福郷の秋 | こすもす |
峠より見ゆ里やまの稲筵 | よし子 |
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2012年08月31日 | |
鈴虫の音を枕とす夢路かな | 菜々 |
秋夕焼背なにしてつく家路かな | つくし |
一人居の心おきなき虫の闇 | うつぎ |
秋麗の穂高一朶の雲もなし | はく子 |
海に立つ風力発電風白し | 有香 |
過去帳に子の名を記す秋の夜 | あさこ |
天空へ続く木道大花野 | はく子 |
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2012年08月30日 | |
日焼け顔なれど双子と分かりけり | なつき |
夜もすがら鈴虫輪唱くりかへし | 菜々 |
マッサージ至福の時や夜の秋 | あさこ |
吟行す疎水の道の風は秋 | 満天 |
旧道といふはあぜ道秋遍路 | よし子 |
風の萩池塘の道へなだれけり | こすもす |
つくつくし下山の僧の一団に | 雅流 |
露ふふむ朝とれ野菜無人店 | 宏虎 |
秋暑し数珠なすタクシー黒ばかり | うつぎ |
穂高嶺を映して池の澄めりけり | はく子 |
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2012年08月29日 | |
バス停の標を虜葛かづら | こすもす |
老い吾もラジオ体操朝涼し | ともえ |
秋草を数えつつゆく里の道 | さつき |
網の上に全長のらぬ秋刀魚かな | わかば |
法師蝉途切れがちなる亭午かな | うつぎ |
秋天を突く槍が嶺の勇姿かな | はく子 |
小祠に揺るる一燭露けしや | 菜々 |
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2012年08月28日 | |
白壁のタトゥーとなりし守宮かな | うつぎ |
爽やかやサリーを風になびかせて | さつき |
日の温み宿すいちじくもぎにけり | あさこ |
ロールパンめきて捻れし秋の雲 | こすもす |
夕河原吹きぬけて来る風は秋 | わかば |
作業着の背に貼り着く残暑かな | 三刀 |
止め石の奥に展けし萩の庭 | なつき |
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2012年08月27日 | |
うち仰ぐ一万尺の花畑 | はく子 |
明けゆくに雲脱ぐ穂高秋澄める | はく子 |
黎明や間遠となりし虫の声 | せいじ |
ベランダの空粛々といわし雲 | ぽんこ |
明日刈らむ早稲の一穂を手計りに | 雅流 |
西瓜切る正座の子らが侍りけり | 宏虎 |
白服のはち切れさうな胸ボタン | なつき |
厨房に立ちて汗だく妻の留守 | せいじ |
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2012年08月26日 | |
山襞の陰濃く秋の澄めりけり | さつき |
底紅の咲き継ぐ庭や恙なし | 満天 |
苦瓜の一つ高きに残りをり | あさこ |
秋茄子を焼きて一献酌交はすべし | 百合 |
雨晴れて瀬音高鳴る下り簗 | よし子 |
マンションに隣るお堂や地蔵盆 | 菜々 |
能勢路いま棚田をわたる早稲の風 | 雅流 |