みのる選:2012年8月度
2012年08月25日 | |
瀬の音に残暑忘るる山路かな | さつき |
渡船場の西日に透ける蛸簾 | うつぎ |
夕端居しきりに鯉の跳ねる音 | せいじ |
抜きたての堀川牛蒡家苞に | 満天 |
ビルを呑むぞと雷雲の迫り来る | なつき |
|
2012年08月24日 | |
香煙に咽せる子供ら地蔵盆 | きづな |
星月夜里山息をひそめをり | うつぎ |
これよりは徳川道や法師蝉 | わかば |
虫の音に誘はれつつ土手歩む | 雅流 |
ペダル踏む道どこまでもいわし雲 | ぽんこ |
恐竜のごと湾に立つ雲の峰 | うつぎ |
参磴の手摺り灼けゐて役立たず | ひかり |
秋日傘合図に挙ぐる逢瀬かな | はく子 |
カメラマン腹ばひて撮る小鬼百合 | ともえ |
|
2012年08月23日 | |
一雨の過ぎて坪庭虫浄土 | 菜々 |
草刈りてより生まれたる風の道 | 三刀 |
片蔭に鯉のひしめく用水路 | せいじ |
朝顔の今日は何色朝戸繰る | うつぎ |
|
2012年08月22日 | |
湖風に半ば巻き上ぐ秋簾 | 菜々 |
新涼の翠黛著き遠嶺かな | ひかり |
飛行雲貫く天の高きかな | せいじ |
|
2012年08月21日 | |
お不動へ浄めの水や涼新た | ひかり |
地蔵盆曽根崎裏の陋巷に | きづな |
ひしめきて繋船揺るる葉月潮 | 宏虎 |
鉄塔の幾何学模様大夕焼 | よし子 |
|
2012年08月20日 | |
水打って動き出したる先斗町 | 満天 |
灯下親し繰り返しよむ旅案内 | 菜々 |
急磴の吾につきくる鬼やんま | ぽんこ |
夕暮の空より鳶の笛涼し | ひかり |
飛び石のすぐに乾きし夕立かな | あさこ |
万緑に同化すカーブミラーかな | よし子 |
夫留守の日の大昼寝な咎めそ | きづな |
|
2012年08月19日 | |
甲子園果てたる空に秋茜 | あさこ |
稲妻の一閃したるあとの闇 | よし子 |
稲妻が虚空貫く刹那かな | 百合 |
礼拝のあと子どもらへかき氷 | せいじ |
せせらぎの河原の昏れて虫すだく | わかば |
百選の夕日に湖の風涼し | ひかり |
トラックの荷台が舞台夏祭り | さつき |
水面突く蜻蛉トランポリンのごと | こすもす |
直立す欅並木に秋高し | 菜々 |
意地悪な雲垂れ隠す揚花火 | なつき |
2012年08月18日 | |
万灯の燭台並ぶ堂涼し | こすもす |
穂を垂るる門田へ秋の風通ふ | 雅流 |
秋耕や余熱の大地裏返す | 三刀 |
新涼や森の中なるカフェテラス | 百合 |
|
2012年08月17日 | |
かなかなの声に急かるる家路かな | さつき |
暗闇の雲を切り裂く稲光 | はく子 |
寝静まる谷地の四五戸や星月夜 | 菜々 |
|
2012年08月16日 | |
女の子三人抜きや盆相撲 | さつき |
よく成りてゴーヤカーテン窓涼し | 有香 |
秋日落つ巨大クレーンの影法師 | はく子 |
秋めきて行く雲に山しざるごと | せいじ |
寝ね惜しむ庭に降り立つ星月夜 | 菜々 |
蹲踞にあふるる水や星月夜 | 菜々 |
鬼やんま闖入したる仏間かな | 雅流 |
香煙をかけ合ふ若き浴衣人 | なつき |
|
2012年08月15日 | |
風鈴の輪唱せるは小間物屋 | なつき |
秋風の清盛塚や運河訪ふ | わかば |
生身魂勝手つんぼと笑ひけり | 菜々 |
球児等も共に黙祷終戦日 | はく子 |
飛火野をすっぽり覆ふ秋の雨 | 満天 |
|
2012年08月14日 | |
寧かれと逆縁の子の初盆忌 | あさこ |
大樹下に数多の鹿の雨宿り | 満天 |
あきつ舞ふ大仏殿の鴟尾の空 | ぽんこ |
超高層ビルの谷間に墓洗ふ | はく子 |
|
2012年08月13日 | |
霊帰る波だちならめ盆の川 | 治男 |
朝顔の蔓蒼天をつかまんと | 満天 |
谺して蜩の峡昏れなんと | 雅流 |
滴りの一滴結ぶ苔の先 | よし子 |
晩鐘の嶺々に谺す古都の秋 | 宏虎 |
ビー玉のごとくに大き芋の露 | さつき |
|
2012年08月12日 | |
ノクターン洩れくる窓辺秋の夜 | よし子 |
町川のせせらぎもまた秋の声 | わかば |
半世紀なる逆縁の墓洗ふ | はく子 |
墓洗ふ風樹の嘆を詫びもして | 宏虎 |
四方の門全開ビル街の盆の寺 | 菜々 |
2012年08月11日 | |
録音に紛れ込みたる蝉時雨 | せいじ |
茅葺きの村三十戸蕎麦咲きぬ | 雅流 |
かなかなの奈落の路に句碑あまた | ぽんこ |
水たっぷり話しかけもし墓洗ふ | 宏虎 |
|
2012年08月10日 | |
介護靴履きて浴衣の白寿翁 | こすもす |
童謡の歌声涼しケアハウス | 満天 |
新涼の空を貫く飛行雲 | さつき |
万象の影絵となりし大夕焼 | 花茗荷 |
白砂踏む渚の風は秋隣 | わかば |
水を乞ふムンクの叫び原爆忌 | 宏虎 |
|
2012年08月09日 | |
妙見の翠黛しるき今朝の秋 | よし子 |
溢れゐる不法駐輪秋暑し | 菜々 |
鶏頭の赤が点在墓地の道 | 満天 |
ショルダーにバンダナ結び野路の秋 | つくし |
|
2012年08月08日 | |
秋暑し鉄屑匂ふ町工場 | 菜々 |
無住寺のつくつく法師ひた鳴ける | 雅流 |
朝顔の明日咲く蕾かと思ふ | 宏虎 |
原生林大合唱や法師蝉 | 菜々 |
炎天下下水工事の逡巡と | 三刀 |
|
2012年08月07日 | |
蝉時雨背に降りかかる札所道 | 菜々 |
秋晴れて豪華客船入港す | はく子 |
門田はや穂を孕みけり今朝の秋 | 雅流 |
手の温み残る流灯海へ押す | ともえ |
蝉時雨間遠となりて山昏るる | 花茗荷 |
少年兵たりしを語る生身魂 | さつき |
|
2012年08月06日 | |
モノクロの怪奇映画に夏惜しむ | 雅流 |
遠花火音だけなれど庭に立ち | あさこ |
岩清水双手包みに啜りけり | 英子 |
風鈴や土間の見えゐる格子窓 | つくし |
鎮魂のごと日照雨過ぐ原爆忌 | 菜々 |
水打てば風の生まれる犬走り | こすもす |
|
2012年08月05日 | |
窓カーテン揺らせる風は夜の秋 | 満天 |
月の出に合掌したる生身魂 | 宏虎 |
紅緒蹴り出しては踊る炭坑節 | 菜々 |
夕帳包み高鳴る盆太鼓 | 三刀 |
蝉時雨講師の声を消しにけり | わかば |
連打響きてフィナーレの大花火 | わかば |
2012年08月04日 | |
滴るや銀山間歩の鏨あと | 雅流 |
一刷毛の雲の流れや秋近し | つくし |
更けゆくに手足そろふや踊りの輪 | 満天 |
高階の左右に競演遠花火 | はく子 |
クレーンの首夏雲へ伸びにけり | よし子 |
|
2012年08月03日 | |
飛び跳ねて別人となる盆踊り | 満天 |
余力あり路上の蝉の飛び行けり | ともえ |
集会所四囲の青田へ全開す | 雅流 |
車椅子笑顔と手振りで盆踊り | こすもす |
漕ぐたびに軋むペダルの音暑し | せいじ |
島浮かぶマリンブルーの夏の海 | 三刀 |
グランドの静まり返る日の盛り | せいじ |
|
2012年08月02日 | |
ゴーヤ棚エコカーテンとす診療所 | 花茗荷 |
炎天に自転車並ぶ補習塾 | なつき |
猫眠る涼しきところ知ってをり | さつき |
朝顔や飯場に回る洗濯機 | なつき |
早天の平和祈祷や蝉しぐれ | せいじ |
夏の月真白き雲を従へて | 菜々 |
|
2012年08月01日 | |
洋館の白壁を背にカンナ燃ゆ | 宏虎 |
路上なる落蝉そっと草に置く | 百合 |
緑陰に肩を寄せあふ風化仏 | 花茗荷 |
一杓の水に水琴窟涼し | なつき |
下草に日の斑が遊ぶ夏木立 | せいじ |
竹刀振る少年たちに蝉しぐれ | 三刀 |
山上の涼しき風が頬を撫づ | 英子 |
禰宜の沓砂利を闊歩し夏祓 | よし子 |
緑陰に羊群眠る山の牧 | つくし |
|
2012年07月31日 | |
鮑海女腰に錘と命綱 | 花茗荷 |
国生みの島より立ちし雲の峰 | うつぎ |
夕凪をまたぎて点る本四橋 | うつぎ |
樹の蔭の黒々とある盛夏かな | 三刀 |
汗臭ふ朝練の子の大鞄 | つくし |
渓流に透けて走るは鮎の影 | 宏虎 |
日盛りや遅れ癖なる鳩時計 | 有香 |
窓越しに匂ふ棚田の青田風 | よし子 |
|
2012年07月30日 | |
遠雷の一つきりにて終わりけり | あさこ |
夏の夕ほつほつ点る街路灯 | 雅流 |
湯上りのうなじに打てる天花粉 | 三刀 |
明け初めし樹間を渡る蝉時雨 | せいじ |
宮涼し連理の榊縁結び | ぽんこ |
返信を書くに墨する夜の秋 | 満天 |
吾を招きゐる店先の氷旗 | よし子 |
|
2012年07月29日 | |
朝顔の明日咲く蕾数へもす | 宏虎 |
見かけほど涼しくあらず法衣着る | こすもす |
絶叫す蝉に負けじと応援歌 | せいじ |
国分かつ八重山模糊と夏霞 | 菜々 |
暑気払ひカルボナーラにカルパッチョ | はく子 |
夾竹桃強き日差しに燃えにけり | 満天 |