みのる選:2012年5月度
2012年05月26日 | |
遠蛙水田は雨に烟りけり | よし子 |
燕来る維新息づく古町に | 有香 |
寺守の箒に掛かる落し文 | うつぎ |
地図広げ古町辿る薄暑かな | ひかり |
黎明のしじまを破る時鳥 | 三刀 |
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2012年05月25日 | |
瀧落ちて夜半の句碑にしぶきけり | うつぎ |
滝道を塞ぎし岩に謂はれかな | 満天 |
老木の今に生家の柿若葉 | はく子 |
老鶯の名調子聞く深山道 | こすもす |
大滝の威に佇つ人らみな寡黙 | ひかり |
恙なく歩ける至福若葉風 | 宏虎 |
推敲の句帳に止まる川とんぼ | ひかり |
綾なすは水のせせらぎ谿若葉 | よし子 |
大岩の天蓋なせる若楓 | ぽんこ |
ウィンドに威儀正しけり街薄暑 | きづな |
山椒魚岩とみまがふ面構へ | 菜々 |
行くほどに洩れ日うごめく滝の道 | 菜々 |
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2012年05月24日 | |
木漏れ日を縫ひて紛るる糸とんぼ | よし子 |
懸崖に広ごる風の羊歯涼し | せいじ |
山椒魚岩を盾とし身じろがず | はく子 |
渓流に少女の素足まぶしかり | せいじ |
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2012年05月23日 | |
瀬の楽に和して遠音の河鹿笛 | 有香 |
志士の碑によき陰なせる花楓 | よし女 |
十重二十重山路を覆ふ若葉影 | はく子 |
渓の道トンネルなして若楓 | 菜々 |
青葦の舟路を狭めそよぎけり | 雅流 |
見えそめて樹間に白き一瀑布 | わかば |
少女等の黄色い声や水遊び | こすもす |
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2012年05月22日 | |
夕日落つ代田見守る影法師 | よし子 |
緑陰に園児のうたふ童歌 | 三刀 |
手びねりの湯飲みに新茶汲みにけり | 満天 |
ゆくりなく古寺に虚子句碑新樹光 | ひかり |
菜園は夫の生きがひ花胡瓜 | 菜々 |
縦横に軽トラ走る麦の秋 | さつき |
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2012年05月21日 | |
葉洩れ日のいまし日食映しけり | こすもす |
弓なりに波打ち返す青葉潮 | 三刀 |
夏雲を脱ぎて金環日食現る | 宏虎 |
束の間を金環となる若葉影 | せいじ |
青嵐特急電車通過駅 | ひかり |
蝕進む日に夏雲の往来す | はく子 |
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2012年05月20日 | |
天地人なして噴水あがりけり | ともえ |
桐の咲くダム湖に古りし望郷碑 | うつぎ |
2012年05月19日 | |
欅坂コンサートへと新樹光 | はく子 |
コンサートへと緑陰の道辿る | 満天 |
遠足の揃いの帽子と乗り合はす | よし子 |
畦川の奔る水音夏に入る | うつぎ |
参道の樹下はさながら著莪浄土 | 有香 |
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2012年05月18日 | |
像囲みアンネの薔薇は金色に | 雅流 |
谿若葉森林浴のほしいまま | はく子 |
茅花流し池の漣絶ゆるなし | こすもす |
白壁の櫓にゆらぐ若葉影 | わかば |
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2012年05月17日 | |
舌頭に千転しつつ青き踏む | うつぎ |
新緑の風に放ちしフリスビー | あおい |
数珠なせる駐車はなべて昼寝中 | こすもす |
新緑の山二タ分けす高速道 | 宏虎 |
背なの紋割れて飛び立つ天道虫 | 三刀 |
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2012年05月16日 | |
古灯籠立ち並びたる木下闇 | ぽんこ |
傅けるごと膝ついて薔薇手入れ | 菜々 |
ダム湖いま水満々と桐の花 | 雅流 |
万緑の山眼下とす観覧車 | なつき |
草を引く五指を熊手のごと使ひ | うつぎ |
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2012年05月15日 | |
囀りの天洩るごとくにぶな林 | 有香 |
教会の窓にアンネの薔薇薫る | こすもす |
坂の上なるお屋敷や桐の花 | 菜々 |
燕の巣頭上注意の札立てて | ともえ |
たもとほるアンネのバラの芳香に | せいじ |
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2012年05月14日 | |
水平線真一文字に夏兆す | よし子 |
夏めくや伎芸天女のうす衣 | 雅流 |
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2012年05月13日 | |
老鶯や七堂伽藍響かせて | わかば |
野球少年カーネーションを買ふ列に | 満天 |
ウインドのマネキンもまた更衣 | 宏虎 |
腕太きことが悩みや夏きたる | よし子 |
春惜しむ大吊橋の真ん中に | せいじ |
2012年05月12日 | |
蒼天を指差すごとく松の芯 | せいじ |
池細りいま十薬の花盛り | よし女 |
短夜や始発電車の過ぐる音 | よし子 |
新緑の東屋へ押す車椅子 | 雅流 |
田植機の夫へ補植の妻つづく | 雅流 |
腰かけて吾も貴婦人ばらの椅子 | 菜々 |
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2012年05月11日 | |
開きたる句帳へこぼれ花楓 | 菜々 |
鯉跳ねて水の波紋を綴りけり | よし女 |
藤懸る峡の奈落に水車小屋 | 菜々 |
斯く白き仏舎利塔や山若葉 | はく子 |
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2012年05月10日 | |
池の水鎮めて菖蒲咲きにけり | よし女 |
新緑の森へリュックの列消ゆる | さつき |
歌垣の在りし里山余花にあふ | 雅流 |
海に向く鱗模様の屋根涼し | せいじ |
風光る舵輪かたどるモニュメント | せいじ |
裸婦像の肩に触れんと蔦若葉 | ぽんこ |
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2012年05月09日 | |
はたた神夫婦喧嘩を一喝す | 菜々 |
泉水に彩を散らせる錦鯉 | ひかり |
背比べして直立す葱坊主 | こすもす |
つんつんと植田に尖る苗の先 | ともえ |
アトリエのフロアに踊る若葉影 | せいじ |
アトリエの高窓を洩る新樹光 | せいじ |
白シーツパリンと乾く五月かな | よし女 |
蘆の角縫ひて水郷巡りかな | よし子 |
吊り橋に老鶯の声決まりけり | とろうち |
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2012年05月08日 | |
夕風に揺るる植田の苗の先 | 雅流 |
神事なき社殿はひそと椎落葉 | つくし |
香り立つ新茶は夫の手揉みかな | よし女 |
夏霧の晴れて天守に瀬戸四国 | ひかり |
風薫る紙飛行機を犬が追ひ | とろうち |
山躑躅高速高架の右左 | あさこ |
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2012年05月07日 | |
心字池埋めつくしたる杜若 | わかば |
天つ藤谷吹く風に揺れにけり | よし子 |
新樹光裸婦像少し太めなる | 菜々 |
歩を運ぶ代田の鷺の忍び足 | 雅流 |
棚なせる峡の植田の曲線美 | さつき |
つつじ燃ゆ里へ傾く電車かな | よし女 |
尼さまの手塩にかけし白牡丹 | つくし |
若葉道抜けて港の見える丘 | 有香 |
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2012年05月06日 | |
写真撮ることより大事蕨採り | さつき |
余花白し女人拒みし修験径 | 菜々 |
恩師の碑著莪群落に立てりけり | よし子 |
干し大根ガードレールを埋め尽くし | よし女 |
鎮西の山を遠目に松の芯 | 三刀 |
2012年05月05日 | |
こどもの日初孫宿す娘と二人 | こすもす |
和太鼓を打つ万緑のふるへとぞ | はく子 |
聖五月ひとつばたごの花真白 | 菜々 |
トンネルの出口を覆ふ若葉影 | 宏虎 |
ホスピスの庭に大樹の桐の花 | よし女 |
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2012年05月04日 | |
教会の花壇華やぐ聖五月 | つくし |
蔦若葉城塁のぼりはじめけり | はく子 |
春落葉払えば小さきマリア像 | よし子 |
長汀の鳴き砂踏みて春惜しむ | よし女 |
手水鉢水満々と苔の花 | ぽんこ |
薫風や大草原を波打たせ | さつき |
飛び跳ねて打つ和太鼓や夏来る | 満天 |
図書館の窓明るうす蔦若葉 | せいじ |
つばめ来る泥田を掠め軒掠め | とろうち |
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2012年05月03日 | |
引綱の伸びて宮出の山車動く | なつき |
十字切る空の青さや初燕 | よし子 |
老鶯の声一喝す禅の庭 | 菜々 |
鴬の正調雨に途切れがち | ともえ |
田水張る湖水を望む大平野 | せいじ |
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2012年05月02日 | |
愛想なき古書肆のあるじ春の昼 | 雅流 |
工事場のクレーン塔にも鯉のぼり | はく子 |
一輪車少女がつかむ春の風 | 有香 |
末広の水脈を重ねて春の鴨 | とろうち |
煌めける湖水はるかに麦の道 | せいじ |
マリア像祈り佇む新樹影 | 宏虎 |
藤の花東司の窓を隠しけり | よし子 |
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2012年05月01日 | |
葱坊主はじけて虻を集めけり | あさこ |
藤棚の下に手話する二人かな | 満天 |
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2012年04月30日 | |
百の傘牡丹にかざす法の庭 | ひかり |
潮騒を乗せ来る浜の風五月 | 三刀 |
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2012年04月29日 | |
子遍路の背よりも高き杖を持ち | さつき |
吊り革を支えとしたり花疲れ | よし子 |
とめどなき落花浴びつつ畝を切る | とろうち |
飛行雲十字を切りし春の空 | こすもす |
坂がかるやぐら門へと残る花 | 雅流 |