みのる選:2012年1月度

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2012年01月30日(月)

2012年1月22日~28日

2012年01月28日
炭焼のけむりが靡く谷戸の里雅流
護摩火いま蒼天焦がす初不動菜々
地震ありて厳寒の富士揺るがせりとろうち
炬燵から出るのはいやよ電話鳴るよし子
蝋梅の日表日裏濃淡にきづな
弾初は六段社中打ち揃ひきづな
探梅行夫の靴跡恃みとすよし女
水仙郷隠岐の海風通ひけり百合
瀧音に消ゆる経声寒行者宏虎
2012年01月27日
二の鳥居三の鳥居と道凍つるうつぎ
神楽太鼓打つ青年の耳輪揺れよし女
こうのとり雪の田んぼに降り立ちぬこすもす
凍土に刺さりしままに鍬立てるなつき
深雪積み過疎の一村眠るごと宏虎
初鳩の翔ちて目出度し石畳菜々
しなやかに首をうずめし冬の鶴ぽんこ
講演の緊張解ける大嚏三刀
白面の白山深く眠りけり花茗荷
2012年01月26日
水晶の欠片散らして樹氷落つうつぎ
スーパーはバレンタインの菓子の山よし女
凍空に投げ入れしごと匕首の月せいじ
炭焼き場へと辿りゆく雪間かな雅流
献立はヘルシーメニュー女正月満天
鉛筆のスケッチ画めく冬木立よし子
寒行の激しくたたく辻の鉦ぽんこ
浮寝鳥男波女波に見え隠れ花茗荷
煙噴く炭窯の辺に清め塩雅流
2012年01月25日
起き抜けの六腑に走る寒の水菜々
うぐいす餅尾頭見分けつきがたしともえ
まつさらの雪に瑞々しき朝日とろうち
鷽替の太鼓一打に人動く百合
2012年01月24日
小豆粥下ろし立てなる夫婦箸よし女
粉雪や緋袴の巫女小走りにとろうち
露天湯へ松ヶ枝雪を落としけり雅流
磴百段登り訪なふ梅の宮はく子
2012年01月23日
館寒しくじらの骨の門くぐるはく子
風呂吹や母手作りの田舎味噌うつぎ
下校の子待つ母御達寒風裡治男
こし方の佳きも悪しきも札納む有香
一燭に笑まふ御仏堂寒しよし子
寒月や路地横切るは猫の影宏虎
2012年01月22日
献奏の尺八揃ふ初観音よし女
断崖の怒涛に消ゆる落椿花茗荷
ゆりかもめ水かげろふの橋くぐり菜々
四温晴れ散歩がてらの寺詣ではく子
六甲の嶺々たたなづく四温晴ひかり

2012年01月23日(月)

2012年1月15日~21日

2012年01月21日
踏み戻る我が足跡や雪の道とろうち
水仙郷窓側が混むレストラン治男
震災の海に育ちし牡蛎届くともえ
大寒の雨の棺に彼悼む雅流
一燭の凍つるばかりや瀧不動よし女
どの石もみな仏とや寒参りよし子
寒の水白き手首を伝ひけりなつき
2012年01月20日
大寒の白灯台に海暗しはく子
乙女像指さす空は四温晴満天
置炬燵特等席はいつも猫よし子
凍る池砕きて鯉の安否問ふよし女
緑青の吹くままブロンズ像凍つるせいじ
断崖の怒涛がしぶく水仙郷宏虎
2012年01月19日
縫初の針軽やかに布走る有香
ひなたぼこ老ひと幼なのなぞ遊びとろうち
なには橋守る石獣に日脚伸ぶ菜々
砲台に遍く日差し春隣ひかり
砦めくマンション群や冬の浜ひかり
2012年01月18日
香煙の寺領に満ちて初観音よし女
地蔵尊杖持つ御手の悴みて百合
吾が句集推敲重ね去年今年宏虎
アーチ橋影さゆらぐは恋の鴨菜々
2012年01月17日
ライトアップに燃ゆるは雪の明智城こすもす
みどりごのほっぺ紅さす四温かなよし女
息を吐くごと湧き水は凍て知らずとろうち
息災にとどんど煙に身を預けぽんこ
割り落す黄身逞しき寒卵うつぎ
2012年01月16日
孫の手を借りて背掻く小正月三刀
寄せ鍋をつつく里山俳句会うつぎ
実南天たわわや子安観世音よし女
残り火の瞬きをりしどんど跡こすもす
酔ひ醒めの喉ごし甘し寒の水菜々
2012年01月15日
残照の富士を斜めに鵯の影とろうち
スーパーの弁当で祝ぐ女正月うつぎ
工事場の寒灯に見ゆ人の影きづな
滝壺に沈む深紅の寒椿三刀
寒の水戸毎に引きて和紙を漉く菜々
神殿をくゆらすどんど煙かなぽんこ
裸木に団地百棟灯ともりぬ菜々
古戦場跡なる谿の鵙鋭声ひかり
どんど焼き村の消防車も待機こすもす
とんど燃ゆ四囲の山々未だ醒めずともえ

2012年01月22日(日)

2012年1月8日~14日

2012年01月14日
掌に転ばせててをる竜の玉よし女
窯火守り昔語りや炭焼女うつぎ
初旅のバッグに新の俳句帳はく子
炭をつぐ僧侶なかなか俳句通有香
端正に榾切り揃へ炭を焼く雅流
クレソンのまみどり畠の寒の水とろうち
冬帽子もて香煙を集めけりなつき
切りのなき昔語りや炭焼女よし子
太鼓高鳴りて佳境やとんどの火ともえ
左右たがひ擦り励ます悴む手三刀
2012年01月13日
日向ぼこ兼ねて漁網を繕へるせいじ
奴凧子らの声援得て元気うつぎ
木枯らしの音の間遠に救急車よし子
日短目当ての饅頭売切れにきづな
初句会花びら餅に和みけり雅流
大鳥居垂らす氷柱数知れず花茗荷
喝采のごとく飛び翔つ冬かもめよし女
2012年01月12日
炭焼きの窯の炎が憑きにけりよし子
図書館の席といふ席受験生つくし
天井の日を吸ふてをる冬の蝿とろうち
月光を弾きて尖る軒氷柱花茗荷
炭窯の罅に滲める炎かな雅流
葦の間を迷路のごとく鳰泳ぐ菜々
初釜やしびれに裾の崩れけりなつき
旅の吾に初凪ぐ海や須磨明石百合
2012年01月11日
高楼に冬晴れの海展けけりひかり
球足の綾なす霜のグリーンかな宏虎
括られて畑の白菜地蔵めくよし子
渋滞の路肩に凛と水仙花つくし
冬田道四囲の稜線途切れなくとろうち
わが吐息触れむ咫尺に寒牡丹うつぎ
ケンケンの丸の大小路地の春有香
わが庵の鏡開きはパック入り満天
買初のセール我が物真っ先に満天
山茶花の紅に野趣あり深山道せいじ
奥宮へ詣で賜はる残り福つくし
2012年01月10日
迷路めく屋台をぬけて初戎雅流
北国の闇を一擲冬の雷花茗荷
雑草に煌めくはなに片時雨ぽんこ
一筋の紅引くごとく寒夕焼有香
戎笹を両手に抱きて大男百合
寒風が頬撫づ岬の露天の湯ひかり
風邪に臥しカーテンの日を恋ひにけりきづな
著き黄の見ゆはなぞへの野水仙せいじ
寒鯉の動くともなく向き変ふるはく子
寒林や機影追ふごと音過ぎるとろうち
どんどの火背なにぺちゃくちゃ女どちつくし
福笹を持ち笑み交はす老父婦治男
枯蓮の枯れをつくして立ちつくすはく子
2012年01月09日
黒潮の風に色づくみかん山菜々
ひと摘みで足る偕老の薺粥雅流
ポケットの小銭を賽に初詣なつき
日溜りに玉の莟や寒椿ひかり
この齢なれどときめく初神籤つくし
放水の跡匂ひ立つ出初め式とろうち
己が身の邪を払はんと弓始め三刀
2012年01月08日
断崖を打つ波音や冬の月菜々
山も田も満目雪の故郷かなこすもす
和太鼓の打ち響きたる寒美空満天

2012年01月11日(水)

2012年1月1日~7日

2012年01月07日
新入りの巫女愛想よき松の内つくし
冠雪の比叡の山を遙拝す百合
接待に追はれて三が日果つるぽんこ
父と子の手を往き来せり凧の糸有香
恙無き余生を謝して初詣ともえ
初吟行波の子もなく海展け三刀
ほ句添えてとどく恩師の年賀状ひかり
残照のいまはのきはや浮寝鳥とろうち
蓋とればみどりの湯気や若菜粥菜々
2012年01月06日
冬耕の土黒々と日を返すはく子
寒に入る夜や皓皓と月明り三刀
眉墨を濃くして母似初鏡よし子
初霜や玻璃戸に残る子の手形せいじ
北国へ続く山並み雪もよひせいじ
2012年01月05日
浜焚火細りて海の昏れなんとよし女
積読の嵩なす机辺去年今年宏虎
期することありて如何にと初御籤花茗荷
笑ひ皺一つ増へたり初鏡うつぎ
百僧の声御堂から初詣百合
あれこれと書きて名無しの年賀状満天
2012年01月04日
禅林をつらぬく疎水去年今年菜々
青首を風にさらして大根畑せいじ
融けだして泣き顔となる雪だるまこすもす
と見る間に山白変す吹雪かな有香
2012年01月03日
初明り丘の上より弥撒の鐘菜々
異国より子の声弾む初電話よし女
三日はや里離りゆく一家かな雅流
2012年01月02日
恙なき余生の屠蘇を汲み交はす菜々
潮騒を枕故郷の寝正月うつぎ
駅伝の実況を聞く初湯殿せいじ
2012年01月01日
キッチンの窓にほのぼの初明り菜々
もろ鳥の初声こぼす雑木山よし女
束の間の御降り肩に詣でみち菜々
気に入りのペンに拘り初日記うつぎ

 

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