みのる選:2011年9月度

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2011年09月26日(月)

9月18日~24日

2011年09月24日
塩加減利く一口の栗ご飯こすもす
小鳥来てほぐるる野良疲れかな花茗荷
雨後の珠抱きて燃ゆる曼珠沙華よし女
白壁の土蔵に沿ひて秋桜有香
さながらにカノンの調べ法師蝉せいじ
力石否冬瓜の売れ残るうつぎ
鰯雲余白の空の青きかな三刀
2011年09月23日
茅葺の里にひろごる蕎麦の花花茗荷
蟷螂の前脚パントマイムめく宏虎
松手入れ国旗掲げし迎賓館満天
稔田の海へなだるる平家村うつぎ
驟雨きてより山里の秋は急はく子
山影の伸びる棚田の彼岸花雅流
赤とんぼ古墳へ夕日撒き散らす菜々
休耕田いまこすもすの花盛りこすもす
我が影のつきて離れぬ月の道宏虎
寝ね難き秋の夜刻む古時計あさこ
2011年09月22日
落暉いま刹那と思ふ秋の海わかば
句碑に降る木の実ならばと拾ひもす有香
風紋の砂丘果てなし鰯雲花茗荷
漁火の等間隔や沖の秋こすもす
道づれの媼は多弁秋彼岸きづな
広き野を突っ切る秋の燕かなはく子
七輪に備長炭や秋刀魚焼くあさこ
鈴なりの実に枝撓む大銀杏ぽんこ
2011年09月21日
萩の径と見かう見して踏み惑ふわかば
満天の星に濡れもす台風過なつき
鰯雲沖の巨艦の動かざる宏虎
2011年09月20日
秋霖が玻璃にとびつく美術館満天
迷ひたる道も一会や秋日和花茗荷
濁り池仄と映りし初もみぢぽんこ
寺までの小道を埋む曼珠沙華よし女
ちょとお茶のつもりが秋の暮早し有香
サイクリングなまくら坂に秋暑しなつき
2011年09月19日
ささやかな風にも吹かれ秋の蝶なつき
鼻欠けし地蔵の顔に里時雨有香
2011年09月18日
翻るとき白帆めく風の蓮百合
ほつほつと釣り人並ぶダムの秋有香
鎮守社にひびく太棹村芝居よし子

2011年09月19日(月)

9月11日~17日

2011年09月17日
野路行けば先へ先へとばった飛ぶよし女
秋茄子の不揃ひなるを収穫すあさこ
秋晴れや開け放たれし婚の家花茗荷
水底に日の綺羅揺るる瀬々の秋宏虎
2011年09月16日
山霧に見えては隠る下界かな宏虎
曼珠沙華庭の一隅炎へゐたりあさこ
秋暑し陰なきバスの停留所わかば
乱帙に紛れ出でたる秋団扇うつぎ
一筋の月の光路に波をどるともえ
改札口自在に往き来赤とんぼ菜々
2011年09月15日
流木に坐して沖見ゆ秋思かなよし女
一本の杭秋水を二タ分けすうつぎ
また一つ薬増えたる秋思かな満天
月天心異郷の吾子の健祈る菜々
カメラマン無聊や萩の揺れやまずきづな
子規句碑に見えむ萩をかき分けてきづな
2011年09月14日
化野の千の羅漢に虫すだくなつき
街の灯の遠くまたたく虫の闇よし子
十六夜の田に置きざりのコンバイン雅流
2011年09月13日
同窓会久闊述ぶる良夜かなこすもす
晩学の拡大鏡や秋灯下あさこ
望の夜の沖へ出て行く漁り舟三刀
秋没日沖の漁火点々とうつぎ
2011年09月12日
山の影屏風立ちして月揚ぐるはく子
真っ直ぐに尖る九輪の天高しぽんこ
薄雲をくぐりくぐりて今日の月菜々
森の奥よりかなかなの夕谺よし子
間引菜の一汁至福なる朝餉わかば
羽衣のごと雲纏ふ今日の月うつぎ
2011年09月11日
裸婦像の全身濡るる月今宵宏虎
赤とんぼ佇む吾の背に肩に花茗荷
露座仏の遠眼差しや鰯雲よし子
はらからの皆健やかに月の宴きづな

2011年09月12日(月)

9月4日~10日

2011年09月10日
廃屋を虜としたる葛かずらこすもす
バイク族夜毎徘徊秋暑しはく子
この良夜万葉びとを想ひけり宏虎
露けし野古墳を越えてまた古墳きづな
つたなき字なれど孫より暑の見舞ぽんこ
泣き止まぬ隣りの坊や秋暑しはく子
秋遍路ドライブマップ頼みかなよう子
2011年09月09日
秋天を切り裂くさまに飛行雲はく子
ハンググライダーいま中天や鰯雲こすもす
間歩の巌鏨あとしるき秋思かな雅流
蕎麦の花北の大地の地平まで宏虎
棉吹くやまるまると日をふふみては菜々
2011年09月08日
満天に散る綺羅星や台風過よし子
残照の湖に帰燕の影法師うつぎ
霧の山尾灯頼みの九十九折宏虎
2011年09月07日
枯蔓にある力こぶ逞しきなつき
浜散歩赤とんぼうを引き連れてよし女
老木の洞ねぐらとす蝸牛せいじ
雨後の径露草の瑠璃濃かりけり百合
どの露地も木犀匂ふ箔の町花茗荷
さりげなく欠伸を隠す秋扇宏虎
秋燕ダム湖に夕日撒き散らしうつぎ
2011年09月06日
墨染めの衣が駆ける野分中菜々
漣の走るダム湖に秋を聴く雅流
2011年09月05日
木の実ふる親鸞遠忌の大寺にはく子
生絹引くごと航跡や秋の海よし女
2011年09月04日
台風過鉢物大事なかりけり満天
野分中茶店に濡れた尻下ろすなつき
色変えぬ松や馬関の天へ伸びよし女
出水川ペットボトルの溺れをりなつき

2011年09月06日(火)

8月28日~9月3日

2011年09月03日
秋耕の天地を返す土軽し花茗荷
空壕の奈落は葛の嵐かな百合
分け入りて句碑に見ゆる萩葎宏虎
2011年09月02日
光芒に浮き立つ島や沖の秋三刀
2011年09月01日
羅や茶筅ふる腕かくしゃくとわかば
生駒嶺を蔽ふ暗雲野分来るはく子
学び舎に声の弾けて九月来る満天
秋暑し赤銅顔の車夫駆くる花茗荷
2011年08月31日
猪いまだ気付かぬ南瓜育ちけり雅流
野路行けばみほとりに増ゆとんぼかなともえ
手花火の屯川辺のあちこちになつき
展望台四方八方法師蝉三刀
2011年08月30日
半眼の半跏思惟仏愁思とも満天
老犬の休みがてらや野路の秋せいじ
係船の舳先しきりに鯔跳ねる三刀
見上げれば望郷つのる鰯雲百合
2011年08月29日
秋雨の水輪綾なす平等院ぽんこ
秋高く修復なりし赤社殿つくし
滅亡の平家を思ふ浦の秋よし女
山上へ乗り継ぐリフト赤蜻蛉雅流
間引き菜を夫がさし出す勝手口有香
幼帝の入水の悲話や瀬戸の秋三刀
浜茶屋の跡形もなく秋の風こすもす
2011年08月28日
激辛のカレーを食べて暑に耐ふる百合
寝惜しむそぞろに庭の星月夜菜々
故郷の単線鉄路葛の花百合

 

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