みのる選:2011年9月度
2011年09月24日 | |
塩加減利く一口の栗ご飯 | こすもす |
小鳥来てほぐるる野良疲れかな | 花茗荷 |
雨後の珠抱きて燃ゆる曼珠沙華 | よし女 |
白壁の土蔵に沿ひて秋桜 | 有香 |
さながらにカノンの調べ法師蝉 | せいじ |
力石否冬瓜の売れ残る | うつぎ |
鰯雲余白の空の青きかな | 三刀 |
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2011年09月23日 | |
茅葺の里にひろごる蕎麦の花 | 花茗荷 |
蟷螂の前脚パントマイムめく | 宏虎 |
松手入れ国旗掲げし迎賓館 | 満天 |
稔田の海へなだるる平家村 | うつぎ |
驟雨きてより山里の秋は急 | はく子 |
山影の伸びる棚田の彼岸花 | 雅流 |
赤とんぼ古墳へ夕日撒き散らす | 菜々 |
休耕田いまこすもすの花盛り | こすもす |
我が影のつきて離れぬ月の道 | 宏虎 |
寝ね難き秋の夜刻む古時計 | あさこ |
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2011年09月22日 | |
落暉いま刹那と思ふ秋の海 | わかば |
句碑に降る木の実ならばと拾ひもす | 有香 |
風紋の砂丘果てなし鰯雲 | 花茗荷 |
漁火の等間隔や沖の秋 | こすもす |
道づれの媼は多弁秋彼岸 | きづな |
広き野を突っ切る秋の燕かな | はく子 |
七輪に備長炭や秋刀魚焼く | あさこ |
鈴なりの実に枝撓む大銀杏 | ぽんこ |
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2011年09月21日 | |
萩の径と見かう見して踏み惑ふ | わかば |
満天の星に濡れもす台風過 | なつき |
鰯雲沖の巨艦の動かざる | 宏虎 |
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2011年09月20日 | |
秋霖が玻璃にとびつく美術館 | 満天 |
迷ひたる道も一会や秋日和 | 花茗荷 |
濁り池仄と映りし初もみぢ | ぽんこ |
寺までの小道を埋む曼珠沙華 | よし女 |
ちょとお茶のつもりが秋の暮早し | 有香 |
サイクリングなまくら坂に秋暑し | なつき |
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2011年09月19日 | |
ささやかな風にも吹かれ秋の蝶 | なつき |
鼻欠けし地蔵の顔に里時雨 | 有香 |
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2011年09月18日 | |
翻るとき白帆めく風の蓮 | 百合 |
ほつほつと釣り人並ぶダムの秋 | 有香 |
鎮守社にひびく太棹村芝居 | よし子 |
2011年09月17日 | |
野路行けば先へ先へとばった飛ぶ | よし女 |
秋茄子の不揃ひなるを収穫す | あさこ |
秋晴れや開け放たれし婚の家 | 花茗荷 |
水底に日の綺羅揺るる瀬々の秋 | 宏虎 |
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2011年09月16日 | |
山霧に見えては隠る下界かな | 宏虎 |
曼珠沙華庭の一隅炎へゐたり | あさこ |
秋暑し陰なきバスの停留所 | わかば |
乱帙に紛れ出でたる秋団扇 | うつぎ |
一筋の月の光路に波をどる | ともえ |
改札口自在に往き来赤とんぼ | 菜々 |
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2011年09月15日 | |
流木に坐して沖見ゆ秋思かな | よし女 |
一本の杭秋水を二タ分けす | うつぎ |
また一つ薬増えたる秋思かな | 満天 |
月天心異郷の吾子の健祈る | 菜々 |
カメラマン無聊や萩の揺れやまず | きづな |
子規句碑に見えむ萩をかき分けて | きづな |
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2011年09月14日 | |
化野の千の羅漢に虫すだく | なつき |
街の灯の遠くまたたく虫の闇 | よし子 |
十六夜の田に置きざりのコンバイン | 雅流 |
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2011年09月13日 | |
同窓会久闊述ぶる良夜かな | こすもす |
晩学の拡大鏡や秋灯下 | あさこ |
望の夜の沖へ出て行く漁り舟 | 三刀 |
秋没日沖の漁火点々と | うつぎ |
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2011年09月12日 | |
山の影屏風立ちして月揚ぐる | はく子 |
真っ直ぐに尖る九輪の天高し | ぽんこ |
薄雲をくぐりくぐりて今日の月 | 菜々 |
森の奥よりかなかなの夕谺 | よし子 |
間引菜の一汁至福なる朝餉 | わかば |
羽衣のごと雲纏ふ今日の月 | うつぎ |
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2011年09月11日 | |
裸婦像の全身濡るる月今宵 | 宏虎 |
赤とんぼ佇む吾の背に肩に | 花茗荷 |
露座仏の遠眼差しや鰯雲 | よし子 |
はらからの皆健やかに月の宴 | きづな |
2011年09月10日 | |
廃屋を虜としたる葛かずら | こすもす |
バイク族夜毎徘徊秋暑し | はく子 |
この良夜万葉びとを想ひけり | 宏虎 |
露けし野古墳を越えてまた古墳 | きづな |
つたなき字なれど孫より暑の見舞 | ぽんこ |
泣き止まぬ隣りの坊や秋暑し | はく子 |
秋遍路ドライブマップ頼みかな | よう子 |
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2011年09月09日 | |
秋天を切り裂くさまに飛行雲 | はく子 |
ハンググライダーいま中天や鰯雲 | こすもす |
間歩の巌鏨あとしるき秋思かな | 雅流 |
蕎麦の花北の大地の地平まで | 宏虎 |
棉吹くやまるまると日をふふみては | 菜々 |
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2011年09月08日 | |
満天に散る綺羅星や台風過 | よし子 |
残照の湖に帰燕の影法師 | うつぎ |
霧の山尾灯頼みの九十九折 | 宏虎 |
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2011年09月07日 | |
枯蔓にある力こぶ逞しき | なつき |
浜散歩赤とんぼうを引き連れて | よし女 |
老木の洞ねぐらとす蝸牛 | せいじ |
雨後の径露草の瑠璃濃かりけり | 百合 |
どの露地も木犀匂ふ箔の町 | 花茗荷 |
さりげなく欠伸を隠す秋扇 | 宏虎 |
秋燕ダム湖に夕日撒き散らし | うつぎ |
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2011年09月06日 | |
墨染めの衣が駆ける野分中 | 菜々 |
漣の走るダム湖に秋を聴く | 雅流 |
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2011年09月05日 | |
木の実ふる親鸞遠忌の大寺に | はく子 |
生絹引くごと航跡や秋の海 | よし女 |
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2011年09月04日 | |
台風過鉢物大事なかりけり | 満天 |
野分中茶店に濡れた尻下ろす | なつき |
色変えぬ松や馬関の天へ伸び | よし女 |
出水川ペットボトルの溺れをり | なつき |
2011年09月03日 | |
秋耕の天地を返す土軽し | 花茗荷 |
空壕の奈落は葛の嵐かな | 百合 |
分け入りて句碑に見ゆる萩葎 | 宏虎 |
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2011年09月02日 | |
光芒に浮き立つ島や沖の秋 | 三刀 |
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2011年09月01日 | |
羅や茶筅ふる腕かくしゃくと | わかば |
生駒嶺を蔽ふ暗雲野分来る | はく子 |
学び舎に声の弾けて九月来る | 満天 |
秋暑し赤銅顔の車夫駆くる | 花茗荷 |
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2011年08月31日 | |
猪いまだ気付かぬ南瓜育ちけり | 雅流 |
野路行けばみほとりに増ゆとんぼかな | ともえ |
手花火の屯川辺のあちこちに | なつき |
展望台四方八方法師蝉 | 三刀 |
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2011年08月30日 | |
半眼の半跏思惟仏愁思とも | 満天 |
老犬の休みがてらや野路の秋 | せいじ |
係船の舳先しきりに鯔跳ねる | 三刀 |
見上げれば望郷つのる鰯雲 | 百合 |
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2011年08月29日 | |
秋雨の水輪綾なす平等院 | ぽんこ |
秋高く修復なりし赤社殿 | つくし |
滅亡の平家を思ふ浦の秋 | よし女 |
山上へ乗り継ぐリフト赤蜻蛉 | 雅流 |
間引き菜を夫がさし出す勝手口 | 有香 |
幼帝の入水の悲話や瀬戸の秋 | 三刀 |
浜茶屋の跡形もなく秋の風 | こすもす |
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2011年08月28日 | |
激辛のカレーを食べて暑に耐ふる | 百合 |
寝惜しむそぞろに庭の星月夜 | 菜々 |
故郷の単線鉄路葛の花 | 百合 |