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水温む鳥の水かき疾く動き せいじ
祭日の宮司の祝詞白椿 豊実
光満つ牽牛子塚の白き春 明日香
雛の座に四川を描く屏風かな みのる
貴婦人の香れる如し沈丁花 山椒
一斉に飛び立つ鴉春怒涛 みきお
満水の濠に鴨どちランデブー せいじ

2024年03月10日

手を振って見送る春の雪時雨 うつぎ
鐘の音の間遠に響く朧かな 澄子
切先が水面持ち上ぐ菖蒲の芽 みのる
掛け違ふパジャマのボタン春の風邪 なつき
からつぽのふらここ風の揺するまま かえる
桜隠し愛でる朝日にひと雫 智恵子
春眠し椅子より転ぶ奈落かな ぽんこ
折り雛の並ぶ改札無人駅 愛正
豊作を約束したり田水沸く みきお
着地して水輪広がる春の川 もとこ
卒園の小さき手包む握手かな あひる
烏二羽春のベンチを占拠かな えいいち
雪解けや鳥声零す黒き樹々 そうけい
ぽこぽこと蕾ふくらむ利休梅 明日香
うつむいて貝母の花は何思ふ 明日香
あんをんと亀の浮きたる春の川 えいじ
速攻で鴨上陸すパンめがけ せいじ
かくれしは袴の山のつくしんぼ えいじ
パーカーに胸輝かせ新入生 山椒
皿そばを重ね重ねて但馬春 たか子
吟行や集合場所は梅見茶屋 みきお
セーターを洗ふ遺品の金盥 みきえ
ものの芽の膨らむ雨となりにけり 澄子
商店街帽子を飛ばす春疾風 山椒
海風の通えばむせぶ菜花畑 智恵子
満ち潮の川に群れゐる春の鴨 わかば
春禽の小枝咥へて巣に急ぐ せいじ
ゆつくりと子らあるきたる春の星 むべ
職人の名を書き連ね由緒雛 なつき
春見つけペンを取り出すホ句楽し かえる
蒼天の海に白帆の風光る わかば
春場所観戦の娘等さがすテレビ画面 こすもす
枝垂梅今年も来たよ語る人 きよえ
沈丁花ほんのり香る雨上がり 満天
卒園証書掲げママへと突進す あひる
木蓮の蕾綻び紅光る きよえ
春霞四方の島浮く瀬戸の海 康子
大根葉らしき一株庭隅に みきえ
桃の花活けて句会や皆笑顔 こすもす
紅薄く香り微かな桜餅 愛正
城の狭間覗けば頬に春の風 康子
春時雨傘かさんとて追ひかけり うつぎ
うすぎぬの天蓋富士に春の雲 むべ
春先に来るは富山の薬売り 千鶴
目柳や温泉街は人まばら やよい
ドッグランリード放てば春疾風 えいいち
梅花散る若き旅立ち見送りぬ 満天
さざ波の静まれば見ゆ菖蒲の芽 みのる

2024年03月09日

春雨に濡れる車窓やのぞみ号 豊実
地の塩になれと餞卒業す みのる
乱帙の机辺に春の愁ひあり みのる
城下町貸し振袖や風光る 明日香
点々と小さき芽吹き狭庭にも こすもす
鳥の巣を仰げば顔に小枝落つ せいじ
雨粒の光る枝先木の芽吹く 満天
桜咲くカメラ仲間の笑い声 えいじ
枝垂柳押し分け見たる遊舟場 愛正
破れ目に花の切り張り春障子 千鶴
読みさしの独りの時間春炬燵 わかば
蝶のごと走る少女や花ミモザ あひる
春風や手荷物多き下校の子 愛正
もう晴れて無かったことに春の雪 もとこ
瑠璃窓の額に数多の花椿 澄子
花名札なき犬ふぐり煌めけり 康子
春爛漫中年女子のバレエ団 山椒
雄藩の誇りに聳ゆ春の城 たか子
切り株の大きに腰掛け日向ぼこ かえる
ひたひたと水寄す池塘芽吹く木々 せいじ
家敷門覗くミモザの花明かり 智恵子
淡雪や靴のかたちに解け初むる かえる
賓頭盧と並ぶ古雛地蔵堂 なつき
健康は自信有りやと新社員 みきえ
ふらここの高みに子らの靴の裏 康子
春寒し枝はらわれし学び舎に 満天
軒先に吊るす紙雛風の道 みきお
戸を繰れば川の向かふに山笑ふ こすもす
さよならを言ふ三叉路に風花す あひる
夜半に積む昼には消えし春の雪 そうけい
術後の身外湯に癒す春ごころ やよい
陶器雛九谷大皿屏風とす なつき
突風に髪の逆立つ余寒かな ぽんこ
ものの芽の日裏日表なる遅速 澄子
風光る赤屋根に映ゆクルスかな 智恵子
自撮りする芽柳の揺れ膨らみて 明日香
春色のお揃いの服双子の娘 山椒
草の間を抜けて水路に春の月 えいじ
二輪とて明し狭庭のミニ水仙 そうけい
小さき手に溢れるあられ雛祭 みきお
帽子飛び畑の端まで春疾風 千鶴
池の辺に競ひて並び菖蒲の芽 わかば
縫ひ付ける刺繍半衿春の午後 むべ

2024年03月08日

囀りや窓開け朝の厨ごと 康子
ほ句愉しすぎて春愁など無縁 みのる
背を割って不意に飛び立つ天道虫 みきお
大人へと巣立つ子の祝今朝の雪 そうけい
春雨やそぼ降る夜の暖かし えいいち
春霞沖のタンカー異国めく 智恵子
朝ぼらけ狭庭に雪の綿帽子 山椒
水草の流る側溝数多生ふ きよえ
バイオリン修理の木屑春ともし むべ
風強し波立つ水面水草生ふ きよえ
妻採りしつくしんぼうのほげてゐる えいじ
菜の花を揺らす雀の尾っぽかな かえる
足湯して春のみぞれも何のその 明日香
喬木の暗きを明かすミモザの黄 わかば
本落とす音に目覚める春の夜 愛正
春の苑光纏わす和服美人 かえる
喜寿迎へぬまま逝きし友春寒し こすもす
咲き満ちて春の草花香の高く わかば
うっすらと皇居の芝に朝の雪 智恵子
幌かかるスワンボートにゆりかもめ せいじ
筒入りの卒業証書不明かな うつぎ
足裏で探ぐり掘り当つ小竹の子 千鶴
春眠の顔は天使やおしやまさん みのる
プードルの乗るベビーカー花の道 あひる
マフラ-に包まれ目だけ出す守衛 山椒
実ばかりか幹もすべすべ藪椿 せいじ
箒持て姉さん被り仕事雛 なつき
苗木市城のふもとの小賑わい たか子
群生の花三椏のまだ白し やよい
冴返る星空よぎる飛機ひとつ みきえ
思い出せぬ小話ひとつ朧月 こすもす
座る位置おのずと決まる日向ぼこ みきお
次つぎと訃報の連絡春寒し 満天
番鶏つかず離れず春の昼 なつき
舞殿に笑む花嫁や風光る 康子
指先で揉めば香散る山椒の芽 愛正
イエローのコート取り出し春を待つ もとこ
城崎の柳の芽吹きあと少し 明日香
助詞一字思いあぐねし遅日かな 千鶴
斑雪野となりし朝にひよ鋭声 むべ
突端で釣り人に会ふ花堤 あひる
おもはざる桜隠しの朝かな 澄子
春雨や裾野だけでも富士は富士 豊実
つくしんぼう袴脱ぎ捨て横になる えいじ
混み合いの残る一輪藪椿 ぽんこ
病む鼻に香り届けし春の風 たかを
春疾風農に就く子の背ナにかな たか子
白木蓮や枝先すべてつぼみなり えいいち
春暁や小さき富士を浮かべたり 澄子

2024年03月07日

古の彩あはれなり土雛 澄子
地蔵尊へ満開の桃供華として 満天
さらさらと流る川辺の水温む きよえ
春の夢枕を濡らし目覚めけり みきお
のどけしや糺の森の流れ清む わかば
水温む鯉の動きも早まりて 満天
堰落ちる泡の白さや川の春 明日香
六千歩目ざして抱く桜餅 ぽんこ
と見る間に水に戻りぬ春の雪 かえる
芽柳の風に膨らむ蔵の町 澄子
賓頭盧の見つむる御目のあたたかし 康子
春風に止まぬビオラのダンスかな あひる
柳芽や淀む名残の船着き場 愛正
淡雪の溶けて儚き染みとなる かえる
昔日を思ひ遅日の須磨にあり みのる
散り惜しむ若き一枝の梅の花 えいいち
神前のぶつかり稽古落椿 豊実
一人居に年ごと増ゆる吊し雛 なつき
庭深く吉祥草の紅実る むべ
太鼓橋上つて下りて春たのし 明日香
野水仙風に抗いイナバウワー 智恵子
杉美林縫ひて囀り届きけり こすもす
百鉢の芽吹き急ぐを見守れる うつぎ
山門を照らす一輪紅椿 康子
サクサクと雨後の草引く春の畑 千鶴
露草を掻き分け進む犬の鼻 みきお
子らの描く絵雛口開け大笑ひ なつき
うららかや廃校カフェにひと休み やよい
ばら寿司を埋む豪華なる桜鯛 智恵子
雨上がる万物芽吹く里の山 きよえ
震災を記録すと碑に風光る せいじ
春祭り鼻におしろい稚児の列 山椒
いざ咲かん力漲るこぶしの芽 山椒
春休み空き室有りの学生街 愛正
立金花なだれる春の光かな あひる
家路ゆく足傷つきし狸かな むべ
初花や風に震えて一二輪 もとこ
殿様の駕籠に春塵城櫓 せいじ
啓蟄の土を撒き出す重機かな えいじ
明石の門波の子もなく風光る みのる
玉子とじ一番美味し土筆採る えいじ
白木蓮の芽の裂け出し白きもの えいいち
春巡る朽ちし犬小屋母屋さえ たかを
のどけしや草花展の一日旅 わかば
ブルーシートの覆ふ土俵や春祭り こすもす

2024年03月06日

俊と立つ雨一輪の桜草 えいいち
老人学園入口にある雛飾り こすもす
雨上がり庭びっしりと落椿 満天
胸の花挿すままに去ぬ卒業式 かえる
桜咲く絵文字並ぶや合格と 千鶴
日時計が待合せ場所春麗ら せいじ
夜明くれば白銀の街忘れ雪 山椒
妻たのし土堤を悠悠土筆採る えいじ
生まれ変わる駅前ビルの街春思 そうけい
春寒し入線を待つのぞみ号 豊実
土用波叩いて進むポンポン船 みきお
落語聞くアトラクションや春の午後 こすもす
駐在に置かれし袋春野菜 愛正
スーパーのカートの下に雀の子 きよえ
美容院へ母を促す卒業の娘 そうけい
堰落ちて逸る瀬波に風光る 康子
店じまひの早し足助路春時雨 なつき
沈丁花門扉の固く閉ざされて 澄子
啓蟄や手を振る園児お散歩に 満天
黄水仙風強くとも直ぐに立つ きよえ
ふらここを待つ子等の笑い声 智恵子
春雨の止むや否やの薮の騒 明日香
春光を撒く激つ瀬の飛沫かな 康子
強東風にヒマラヤスギの雄花散る かえる
風の葉の雨光れども春寒し えいいち
枯色に明かりを灯す山茱萸の黃 ぽんこ
廃校の芽吹き逞し運動場 愛正
春の夢枕を濡らし目覚めけり みきお
春疾風去りて出番の古箒 みきえ
ぽんぽん船ふくらむ気持ち牡蠣筏 智恵子
春霧の山迫りくる陣屋跡 なつき
春眠や肘落ち目覚む刹那かな みきえ
クレソンに水ゆき渡る日なたかな 澄子
里しづか笑ひ初めたる四方の山 やよい
花びらの白雪に溶け零れけり 山椒
柔らかな槙の新芽の浅黄色 明日香
春雨の屋根打つ音に眠りけり あひる
水温み旅の誘ひの次々と わかば
長閑けしや岬廻りのバスの旅 わかば
うち仰ぐ白亜の天守風光る せいじ
春泥の小径に続く藁筵 むべ
褒められて手抜き恥じたり豆乳鍋 あひる
ぽつぽつと土手明るくし黄水仙 もとこ
蓑虫の空蓑吊るし芽吹きけり みのる
春愁や鏡におのが心見え うつぎ
寒菊も盆にのりくる茶房かな むべ
春水を一擲したる瑠璃はなに みのる
飴ふたつからころなめて月朧 えいじ

2024年03月05日

凍解や裏木戸までの古絨毯 愛正
行く時も帰任も涙人事異動 山椒
草萌やロゼツトすくと立ち上がり むべ
菜を洗ふ手に柔らかき水温む わかば
桜咲く親はカメラに子は走る そうけい
春光や堰落つ水の音高く やよい
今日の雨曲水憂う杯の雨 えいいち
ふんわりと巻く薄紙や雛仕舞ふ あひる
虫塚を白く照らせる竹の秋 康子
春灯の雨にけぶりつ夜の更けり きよえ
飴なめて犬とながむる朧月 えいじ
十七音春に春に初めて春に終わり えいいち
山笑ふ俯瞰する寺箱庭に 康子
嫁の手を借りつ春野の下り坂 たか子
軒低き油問屋の燕の巣 なつき
菜の花や苦味を好む歳となり もとこ
啓蟄や害虫つけた菰はずす 満天
山々は新たな色や木の芽時 満天
媼らも少女の顔に雛の前 みのる
本降りの雨に末黒野匂ひ消ゆ 千鶴
焼失の傷癒やすべく山笑ふ みのる
春しぐれさらりと上がり空まさを 明日香
里山の春竜胆に気付く今 智恵子
春竜胆這い蹲ひて左見右見 智恵子
芽柳や溢れんほどの濠の水 せいじ
風揺らす小筆のごとし姫寒菅 むべ
数多の目はや散る羽目か彼岸桜 そうけい
樹下に佇ち桜謳うがごとく咲く えいじ
赤札の手袋並び春近し 山椒
雲生る河津桜の水鏡 ぽんこ
勤王の志士の碑囲む落椿 こすもす
パチパチと土手焼く音や川向ひ 千鶴
低空を鳶の群飛す春の空 せいじ
いくつかの椿咲かせて庭しづか 澄子
池の鯉優雅に動き水温む わかば
ひと送る灯ともし頃の朧かな 澄子
喇叭水仙塀沿い気ままに日に向う 愛正
啓蟄の大雨小雨目覚むかな きよえ
秒速を競ふ少年風ひかる かえる
紐解ひて眠り遠のく夜半の春 かえる
立ち読みす肩に触れたる吊し雛 なつき
初筏山の恵みを存分に 明日香

2024年03月04日

うららけし高層マンション城正面 千鶴
小綬鶏の我すりぬけて土手下る そうけい
武者窓に俯瞰す城下風光る みのる
何探す残雪の田のこうのとり こすもす
恐竜の指めく根株下萌ゆる 千鶴
木洩れ日の照らす林道名草の芽 愛正
占いの波波迦の木肌社日かな 明日香
花溢れ人の溢れて淀水路 わかば
春疾風右へ左へ病み上り もとこ
男坂夕日の照らす青き苔 康子
丁寧に雛仕舞たる妻の背な えいいち
放たれて酢水の独活のしろさかな 澄子
啓蟄や列島の土蠢蠢めきぬ みきお
枯色に小さな緑あじさいの芽 ぽんこ
祈りいま絵馬に届くや梅香る 智恵子
雨晴れて落葉縁なす潦 せいじ
雛の声混じりて揺るる白鷺の巣 せつ子
水に映ゆ河津桜の並木道 わかば
春光や果てなく伸びる飛行雲 みきえ
香匂ふ本屋の梁の吊し雛 なつき
春夜市灯りて月のあがり来る 澄子
大股の靴跡残る春の泥 みきお
ちやかちやんと花見の嫗の鼻歌す えいじ
日陰にて彩を潜むるいぬふぐり かえる
希少なるバスに乗れたり春の町 みきえ
つついては鳴きまた続く木の芽の鳥 そうけい
こうのとりウロウロする田水温む こすもす
締め付ける血圧計よ春寒し 隆松
耕人の郷関出でず老いにしと みのる
神話なる天香久山春淡し 明日香
白酒や連と散歩の百花茶屋 えいいち
ロケ写真の若き主や春火鉢 なつき
根上がりの縁を彩る青き苔 康子
野火忽と我に向へり風変はり うつぎ
竹林のくいぜ器に春の露 むべ
野遊びの児の手を握りママ体操 きよえ
凍ゆるむ畦に字形の鳥の跡 愛正
強東風や折れ枝の撒かれし朝の苑 かえる
伐採の対象となり蘖ゆる うつぎ
空よ山よ光溢るる春スキー 山椒
春耕の土黒ぐろと貸農園 満天
銀輪の吾に抗うや春嵐 あひる
春夕日犬が促す帰り道 きよえ
ビル街の春雨はまだひんやりと 豊実
子午線の町に日時計風光る せいじ
春の芝つぐみ啄む光かな むべ
お花見のホーム仲間のピースかな えいじ
神楽聴く参道の笑み梅日和 智恵子
水仙の花冠小雨に傾ぎ初む あひる
蛤の椀に潮騒聞こえけり 山椒

2024年03月03日

春日浴ぶ草木も径も里光る きよえ
教会で会ふ義姉の苞蕗の薹 わかば
堅牢なる櫓の内部冴返る 千鶴
採れとれの丹精いろいろ春野菜 満天
青空へ手足を伸ばし野に遊ぶ みきお
雛に沓捧ぐ仕丁の裸足かな かえる
竹筒の花器に顔出す蕗の薹 康子
白菜の花咲いてをり五株ほど 明日香
春光や元気漲る畝二本 明日香
賽銭を握り背中の温きかな 康子
四歳になりし双子や雛祭り こすもす
塩の道トロ箱並べ菊根分 なつき
何処からも五重の塔や植木市 もとこ
堀返す家庭菜園春の土 みきお
寒鯉の動かぬと云ふ力かな たか子
春うらら狭間を覗きて遠景色 みきえ
審判の研修日とや芝青む せいじ
遣水に花穂隠したる菖蒲かな むべ
戦機なす一の貫く春の月 えいじ
仁王の筋骨隆に冴え返る ぽんこ
腹心の彼も鬼籍や春愁ふ みのる
雪柳ほつほつ呟き漏らすかに うつぎ
里の土香の懐かしき蕗の薹 わかば
古びるもいよよ華やぐ雛の家 かえる
病床に読書三昧春の昼 やよい
玄関の雛に目細め配達夫 あひる
シルク帽樹冠を覆うたびら雪 愛正
ぶらんこの下の大きな水溜り 豊実
背伸びして取入れ待つや春大根 きよえ
のけ反りてくぐる山門梅真白 なつき
寄す波の優しさを知る春意かな 智恵子
川なかば威嚇飛翔の春の鴨 えいじ
上出来の絵てがみ夫婦雛なる うつぎ
城櫓武者窓あけてお風入れ みのる
落椿真紅の色も褪め朽ちて 千鶴
早春の香りに駆ける牧の馬 智恵子
踊る雛つま弾く雛も奥座敷 あひる
車座で夜宴をしをる雛どち せいじ
木蓮の紫つぼむ朝かな むべ
梅が香や鼻より吸て鼻へ吐く えいいち
ジーパンに膝のぞかせて春寒し 満天
卒業子投げよ学帽高空へ 山椒
無人駅軌道脇の名残雪 愛正

2024年03月02日

賑やかに枝から枝へ鳥交る みきお
蕗の薹摘て纏ひし香と帰宅 智恵子
どこからか横笛の音や青き踏む せいじ
春禽の止まりし洞の仄昏し むべ
立ち止まる信号を越え梅かほる えいいち
梅が香をまとひて朝事僧の列 愛正
瀬戸の夕沖行く船の灯霞む きよえ
湧水のほんの浅瀬に蝌蚪の紐 澄子
素朴なる風体が好き紙雛 せいじ
にぎやかや梅散らしたる小鳥どち むべ
駈けつこの遂に寝転ぶ犬ふぐり うつぎ
ほろ酔ひに春満月の家路かな うつぎ
頭上なる桜満開謳い咲く えいじ
多羅は芽を摘まさじと棘ただならず みのる
主なくも芽吹く梢や垣根越し 愛正
夕東風や雨の運河の石畳 豊実
列車みな春の眠りの中にをり 康子
高階に俯瞰す春の大夕焼 やよい
朝九時に始まるカフェや春の雪 こすもす
冬の富士山並遥か輝けり 山椒
春日燦マーガレットの白はじく はく子
花冷や左右に軋む電車かな みきお
媼等の宴たけなわの雛の間 あひる
球児らの声高らかや芝青む みきえ
木漏れ日にまた蘇る落椿 みきえ
星一つ月に寄り添ひ冴返る 満天
ビル間より光る遠嶺残り雪 康子
種の殻冠り地に出ず双葉かな かえる
破れたる寺の塀より桃満開 ぽんこ
沈丁のひとひらちさき口開く 明日香
春来る花柄になる缶ビール えいいち
山茱萸の咲くを気になり訪ひ行ける わかば
公園の無音となりて春寒し 満天
喬木に鳥の巣数多春愁 わかば
燦然と冬の東京タワーの灯 山椒
たばこ屋のゆがむ玻璃戸や雛飾る なつき
留守居して迎ふる庭に梅香る もとこ
水底に砂紋きらめく春の川 なつき
日時計の影の刻みや春浅し 千鶴
人去れば踊りだすてふ雛飾り あひる
春眠やテラスの犬と至福時 智恵子
ポスターに泪の跡や春の雨 えいじ
直売のバケツに値札ヒヤシンス かえる
冴え返る苑に幽かに鹿威し 澄子
手作りの蛤ひひな玄関に きよえ
日矢洩れて射抜くなぞへの落椿 みのる
お堀端剪定されし松清し 千鶴
ひな飾りデコパージュ風生きてきて 明日香

2024年03月01日

地蔵堂本尊前に雛飾り なつき
おのが葉にひつかかりたる紅椿 えいじ
踏青や盲導犬と歩を合わせ みきお
揺れに揺れ花粉を放つ杉大樹 やよい
塩の道炭火で焦がす草の餅 なつき
春疾風なかば運ばれ老女来る 澄子
頑なな土峰打ちに田打鍬 みのる
椿喰ふ鳥の狼藉詮も無し 澄子
手水舎に山より春の水溢る 千鶴
雨催ひ空に染みゐる月朧 かえる
夜桜や艶めくうなじ闇に消え みきお
廻廊や僧衣の揺らす梅の香 愛正
朝霞東の山谷棚引けり きよえ
春めいて鉢の表面土動く 明日香
自転車を将棋倒しに東風強し 満天
花ことば添へたる花壇芽吹きけり 康子
人形師に投げ銭する子春の昼 むべ
寄り添いてグランドゴルフ春北風 たかを
雑踏の駅構内に桃の花 みきえ
ふらここや漕ぎて並びて順番こ 康子
窓辺より見ゆ二上山春の雲 ぽんこ
屋根を打つ音色雨水に転じをり かえる
準備よき傘自慢して春時雨 あひる
瀬戸海に並ぶ数多の牡蠣筏 わかば
享保雛商家の縁にお披露目す 智恵子
はこべらの五弁の白は十に裂け むべ
のどけしや硯の海のすぐかわく 明日香
掛け布団一枚足して足延ばす たかを
翔平の噂に国の春来たる たか子
真夜にうち仰ぐ下弦の月朧 せいじ
黒々と土柔にして春の雨 えいいち
ぴょんぴょんと梅花を弾く梅次郎 えいいち
眺望の播磨の灘は春霞 わかば
お供えのぼた餅作り餡炊いて こすもす
波戸の夕波を浮輪に春の鴨 きよえ
重たげに莟溢れる寒椿 そうけい
霜降りのようになぞえの犬ふぐり えいじ
名も知らぬ木々芽立ちたり遊歩道 愛正
下萌を潤す今朝の雨静か 満天
春愁やふと挙げし腕皺たたみ もとこ
春暁や妻の寝言と鳥の声 豊実
春疾風カラカラ唄う風見鶏 智恵子
ビオトープにも立金花春は来ぬ せいじ
土咬んで離さぬ田打鍬叱る みのる

2024年02月29日

幾重にも葉に包まれてカリフラワー 明日香
冬萌の土手滑る子やダンボール みきお
春眠や俄に軋む居間の音 豊実
ゆるり行く濠の和舟に春炬燵 みきえ
アルバムを飽かずに見るや春炬燵 満天
寝てる間に終はる散髪春うらら 康子
啓蟄や始歩の病棟幾まはり やよい
缶コーヒー若芝避けて石の上 智恵子
二月尽女子サーカーのパリ切符 きよえ
年重ぬも心華やぐ雛祭 きよえ
高度下げ雀超えるや冬の川 たかを
お前もか眠れぬ夜に浮かれ猫 もとこ
敷石を進まば藩廟梅に佇つ 愛正
砂嘴浜の渚にあそぶ残り鴨 みのる
繙くは文語の聖書春の塵 むべ
竹幹の雨に艶やか二月尽 素秀
春炬燵将棋の棋士の名を覚え あひる
対局の棋士の面に花明り せいじ
空の色なして群生犬ふぐり えいじ
うたた寝の人ばかりなり春列車 山椒
閏日や狭庭に募る春の雨 せいじ
まなぶたの一重艶めく古雛 澄子



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