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短夜や説教テープ枕もと きよえ
樟大樹頭に響く蝉時雨 ぽんこ
揚羽蝶ひらりと吾を躱しゆく あひる
畑一つ優雅に舞へり鳥威し 風民
孫の手にみどり放てし子蟷螂 えいじ
朝蝉の大合唱に元気出す 明日香
残業の合間に土用鰻来る むべ
汗拭いて食む名物のうどんかな かえる
真昼間暫し鳴き止む蝉時雨 みきえ
雷鳴の地を響もせる重低音 むべ
夏の朝み空暗しや水を飲む きよえ
叩かずに糖度確かめ買ふ西瓜 なつき
殻をいま脱ぎてみどりの子蟷螂 えいじ
うわばみや麦酒一気に旅の宿 澄子
振り向けば出航の街大夕焼け たか子
エンジンの唸りと共に草の息 えいいち
夏草に庭を任せて独り住む うつぎ
呼び込まれ隣で長居暑気払ひ 愛正
喜びと言うてくださるトマトかな せいじ
買物の往復だけに汗滂沱 満天
鉾の上打ち振る扇辻回し 山椒
舫い船河口に寂し風絶ゆる 智恵子
久々にうましと思ふ冷奴 よし女
知らぬ間に愚図となりし身短夜ぞ もとこ
昨夜の雨に息吹返し布袋草 こすもす

2024年07月24日

しなる葉に止まり揺れてる糸蜻蛉 みきお
会釈して誰そと自問す街炎暑 せいじ
蓮池にボール落ちれば虫一服 ぽんこ
夏の日の海光揺らぐ大鳥居 澄子
朝一の雷起床には早し こすもす
開戦の前夜の如し稲光 山椒
夏山の剃り込みめきてリフト伸ぶ かえる
冷奴曾孫の動画に目を細め はく子
日一日妻の西瓜の太る幸 えいいち
大夕焼け船のディナーの揺れ心地 たか子
いつの間に打ち合わせ場の暑気払ひ 愛正
戸を閉めよ早く閉めよと大雷雨 よし女
身を焼ける音か真昼の油蟬 風民
緑さす大き窓ある新オフィス むべ
外出はクーラー効きし百貨店 もとこ
日盛りや日時計の影狂ひなし 千鶴
雨上がる黒揚羽蝶乱舞せり よし女
西日さし金色に舞ふ床の塵 康子
朝まだき耳をすませる遠き雷 こすもす
空蝉のしかとつめ立て揺れる枝 満天
組みし手を解けば跳ぬる青蛙 かえる
梅雨明けの草もさざめく広野かな えいじ
教会の鈍き鐘の音梅雨に入る みきお
診察の間にはや灼くる車椅子 せいじ
病葉や旧家の蔵の窓塞ぐ きよえ
空を突く長刀鉾やビルの谷 山椒
海鳴りを数へつ窓辺の洗い髪 澄子
半分の大玉すいか持て余し 明日香
香に釣られ土用鰻を食すかな みきえ
見まもるは老母の完食土用餅 あひる
散水の間合いを駆ける畑道 風民
梅干して恒例一つ終わるなり ふさこ
カフェテラス匙の忙しきかき氷 康子
バーベキュー火守リ役目の暑気払ひ 愛正
雲湧きて天にいかづち鳴り渡る むべ
梅雨明けてすべての物は光り出す 満天
夕涼や鳥語飛び交ふ犬散歩 きよえ
亀の子は大海めきし溝のなか えいじ
鮎の身をむしりて舐めて小さき指 あひる

2024年07月23日

遠花火兄弟喧嘩中断す たかを
花火師の小舟か闇に蠢きし たか子
武者来たる田んぼイベント梅雨明くる えいじ
我が町の男日傘が増へにけり 満天
ドームまで続く川沿ひ夾竹桃 みきお
一陣の風に盗られし蝉の殻 せいじ
鱧切りの音小気味よく三代目 もとこ
海峡を背にスクラムの子ら涼し うつぎ
蝉穴やこの世に七日生きしかな 満天
オリーブの花は波止場の風に揺る かえる
蝉生れて朝風に翅拡げゆく よし女
絢爛の王朝絵巻鉾の列 山椒
この日差し熱中症は庭木にも 明日香
猛暑日や我の食欲夫恐る きよえ
ほんのりと灯る山鉾京大路 山椒
湯の溢る露天に垂るる夏灯 かえる
不動明王背な越し見ゆる蓮の花 ぽんこ
どこまでも車窓に大き雲の峰 康子
紫陽花の葉裏にひとつ蝉の殻 こすもす
赤い花に吸ひ付ひてゆく黒揚羽 よし女
電車のドアあけば故郷の蝉しぐれ 康子
潮風に鳴りて岬の小判草 うつぎ
大気いま揺らぎて赤き夏の月 むべ
近畿一の暑さや今日の故郷は こすもす
照り返し散歩の犬は抱っこされ 智恵子
驟雨去るもとなりトマトに跳ねし泥 愛正
末社今ひときわ激し蝉時雨 あひる
木に壁に空蝉の宿何処でも ふさこ
軒覆ふカーテンと為すゴーヤかな みきえ
墨痕の涼し夫書く説教題 あひる
蝉の声軒の簾に一休み きよえ
野仏の灼ける頭に三度笠 みきお
いっさいの音呑み込みし白雨かな 澄子
盛大に裏庭に鳴く蝉屋敷 えいいち
向日葵の迷路途切れず大笑い 智恵子
朝涼し筆の運びも滑らかに せいじ
近道と熟るるトマトの畑行けり むべ
白木槿真っすぐ伸びる墓地参道 風民
研ぎ終へし包丁手にすトマトかな 愛正
立食ひの味噌󠄀カツ熱し梅雨明くる えいじ
重き腰上げて草引く五輪前 千鶴

2024年07月22日

神苑はさながら蝉の晴舞台 せいじ
独り言多き職人大暑かな みきえ
赤子の手握る兄ちゃん日焼けの手 康子
病後問ひ互い労る大暑かな もとこ
長梯子掛け大屋根へ大暑の日 みきえ
男衆の掛け声一気辻回し 山椒
帰宅の子麦茶終わりと大騒ぎ 智恵子
マスク顔少なくなるや大暑今日 はく子
濁り池緋鯉の跳ねる水しぶき ぽんこ
新オフィス青大将を跨ぎ入る むべ
夏薊雨にも日にも凛と立つ 満天
夕暮れの祇園囃子や風に乗り 山椒
一興に空蝉つけし草を活け なつき
窓開かば朝風軽しつゆの明け 愛正
水鉄砲子の合戦に溢る風呂場 そうけい
梅雨明けの新たな鼓動湿原地 愛正
瑠璃越しに響く風鈴風の路 澄子
万緑にしづかに埋もる廃旅館 かえる
まどろみし老母の一日や夏の月 あひる
赤錆びの溶け出す線路酷暑かな みきお
銀の道後戻りせぬなめくじら 明日香
片陰り一列になり何処までも ふさこ
枕言ひ噺家脱ぐや夏羽織 千鶴
雨晴れて杜を震わす蟬しぐれ かえる
打ち水の瞬くうちに蒸発す 千鶴
遠くから土の匂ひせり大夕立 みきお
五目飯顔出す人参赤涼し よし女
妻の呼ぶ鉢の西瓜の実の結び えいいち
幸せてふバナナを剥きて朝餉とす えいじ
落日を孕みしごとき雲の峰 せいじ
落日のひょろりと長き影涼し 風民
夜濯ぎや明日も草引きこのジーパン よし女
石仏涼しき風の通ひ来る 風民
素振りするバットの音へ蝉時雨 康子
蜘蛛の囲をいまに落ちさう銀の雨 えいじ
無防備な蟻の行列俯瞰する 明日香
天井にねぶた金魚の泳ぎけり 澄子
梅雨明の今朝雲や山冠るかに きよえ
玉の汗熱きベランダへ子の布団 そうけい
風通ふ青蘆の洲に鷺一羽 むべ
一口は下戸でも美味し生ビール こすもす
大花火見上ぐる姉の首細き たか子
寝返りに汗冷んやりと夢続く 智恵子
真桑瓜さくさく食んで今日を終ふ あひる

2024年07月21日

軒深き蕎麦屋の縁台風涼し かえる
焼物の風鈴の音や登城門 こすもす
庭草の葉を食べ尽くし群ばった 董雨
聞き分けて左右の耳の蝉しぐれ うつぎ
松手入れ師弟ともども無口なり みきお
朝涼や昨日はごめんの孫のメモ そうけい
ぷかぷかとビーチサンダルどこへ行く 智恵子
裏路地のチゲの喉焼く盛夏かな もとこ
糠味噌の僅かに残り茄子漬ける みきえ
おかっぱにはらはら溢つ百日紅 澄子
怠れぬアイロン掛けや玉の汗 うつぎ
わけもなく涙出てくる大夕焼 明日香
重なりし家電のうなり夏厨 あひる
朝蝉や日を呼ぶやうに鳴きはじむ えいいち
暑に耐ふる夫のワイシャツ糊付けす 康子
沢筋を抜くる山風つゆの明 愛正
片陰の貼り付いている石畳 風民
冷房や終の一輪炎消ゆ えいじ
冥界に続く階段風涼し 山椒
育てたる茄子糠味噌の床に入れ よし女
梅雨明けの夜半に追加の雷雨かな そうけい
瀬戸内の海を焦がして大花火 たか子
地中海料理の鱸故郷産 こすもす
人形座京へと上る鱧道中 千鶴
頂きし遺品の書より雲母虫 明日香
熱中症なりし顛末友語る 千鶴
反射炉の昔語りへ蝉時雨 かえる
梅雨曇り歪んで見ゆる道路橋 よし女
シャワー室爪先立ちて海の家 智恵子
大汗の流れて目覚む今朝のこと きよえ
蝉時雨頭中の蝉は消えにけり えいいち
デュランタの秋待ち顔に柵越えて せいじ
路地裏に西日さしたる刹那かな ぽんこ
四肢拡げ微睡む闇の風涼し えいじ
蓮田葉の間合におほき初蕾 きよえ
トラックの下枝触れ行く夏木立 むべ
梅雨明けの空は白雲むくむくと 満天
片蔭の広きに待ちてすれ違ふ 風民
ベランダに満艦飾やつゆの明 むべ
猛暑中町疾走の救急車 満天
赤茄子やピンクに染まるスムージー あひる
南空に眩いばかり夏の月 みきえ
朝顔の蔓は競うて宙泳ぐ せいじ
願い事書きし短冊風鈴に 康子
目いっぱい羽広ぐ鵜や秋日差し みきお
ようやっと長刀鉾の鉾の先 山椒
梅雨明けや綿雲かぶる赤城山 愛正
空蝉の又増え吾子の宝箱 ふさこ

2024年07月20日

高窓に百日紅の花穂さやぐ あひる
梅雨の朝潤みし犬の瞳かな えいじ
日盛りの坂降りて押す二輪かな みきえ
高々とセンターフライ雲の峰 みきお
道狭し日を返し合ふ暑さかな 澄子
参道の両側鬼百合咲き乱れ よし女
玻璃窓の豹変したり西日照る 風民
あんみつや土産ともらふ旅話 なつき
短夜やどうか朝までぐっすりと もとこ
片蔭は細き電柱へ身を縮め ぽんこ
名古屋場所力士相次ぎ砂被り みきえ
甚平の目抜通りに溢れけり むべ
蹲に紅を散ずる百日紅 かえる
足音にパッと逃げ散る蝌蚪の群 千鶴
綿菅や湿原に湧く白き雲 愛正
夜店寄るお好み焼きは広島風 むべ
今朝の庭大き数多の蝉の穴 満天
夕焼けや影の数珠なすガスタンク 康子
月涼し集会終了帰り道 こすもす
夜濯ぎす快適シャツの一張羅 康子
玉の汗舐めばほど良き塩加減 千鶴
背なを押す杖の進むや蝉時雨 きよえ
目覚ましは蝉の合唱時計より 満天
夏休みスーパーに子の多かりし きよえ
熱帯夜夢のつづきの途切れたり なつき
闇に頬打たれた気する螢の火 明日香
大木を揺らす声あり万の蝉 みきお
草取りて一人楽しむティータイム よし女
木道を歩めば綿菅風に揺れ 愛正
ルターの紋彷彿せしむ花むくげ せいじ
空突いて玉蜀黍の花の剣 風民
花火の日銀輪走る昼下がり えいいち
広前の風の通ひ路夏の萩 澄子
吹き抜ける風の階段夏館 山椒
口縄を追ふ子叫ぶ子泥まみれ ふさこ
お囃子の響く四つ辻宵祭 山椒
我が町を隈なく照らす望涼し はく子
夜濯ぎの空を見上げる星の数 うつぎ
白南風や磯の匂いの強くあり 智恵子
句会待つスマホ片手にバナナ食ぶ えいじ
と見る間に雫まみれやビヤジョッキ かえる
西陽避け半分下ろすブラインド 智恵子
底紅に似て狂ほしきイェスの愛 せいじ
こうのとり飛交う空や大青田 こすもす
野萱草どうにもならぬ老自覚 明日香
教会へつづく小径も蝉時雨 あひる

2024年07月19日

ミニとまと朝日の色を貰ひけり よし女
蝉の穴樹下に殷賑極めけり せいじ
雨晴れてアフターファイブの風涼し かえる
夕涼庭木の間より赤き月 智恵子
死んだ振り私もしたき天道虫 明日香
フォークソングと風鈴の音や部屋籠り こすもす
一時間早い目覚めや明易し こすもす
梅雨の明機体きらりと飛行雲 風民
大蓮田つぼみは真つ直ぐ天を指し 康子
冷房の部屋でいきいき体操楽しめり はく子
白シャツの溢る名古屋の大相撲 みきえ
瓜漬と握り飯食む引越日 むべ
睡蓮や水面の雲を呑み込みぬ 康子
百本の蝋燭小部屋冷気満つ 山椒
売地訪ふ若き家族やひめじょをん 風民
風死せり猫さへ姿見せぬ路地 かえる
打水のお湯のしばらく蛇口より 満天
朝蝉に和してくるくる卵とく あひる
枝豆の殻行儀よく並べ食む あひる
工場を囲ふ懐かし夾竹桃 きよえ
力石笠となしたる今年竹 ぽんこ
本堂に流れるお教蝉時雨 みきお
生垣にティアラのごとく灸花 むべ
甘酒をまずはと供すおもてなし たか子
取説の理解不能や油照り もとこ
蝉しぐれまた新しく民家建つ よし女
狭庭とて一度で済まぬ草を引く 董雨
沢登り疾き動きの沢の蟹 愛正
角曲り芙蓉大輪にばったりと 満天
梅雨晴間車両多しと電光板 えいじ
月見池絶ゆることなき苔清水 愛正
声も無く寝床の脇にあぶら蝉 えいいち
山裾の池面に揺るる夏木立 きよえ
横綱を扇ぎ一礼大団扇 みきえ
薔薇アーチ見上げる子らの笑顔みゆ 智恵子
ウィンドウをま白に叩く暴れ梅雨 えいじ
捩花のだんだんきつく左巻き 明日香
雷の空鳴り続く昼下がり 千鶴
水底に砂煙立つ鮎の影 みきお
畔刈りぬ土用の入りの暑さかな 千鶴
こぶしの実くるまれしまま秋を待つ せいじ
人形と見紛う稚児や鉾祭 山椒
空はあを海もあをなり夏の果て ふさこ

2024年07月18日

散歩して水鉄砲を喰らひけり かえる
万緑やパステルカラーの幼稚園 康子
汗滲む段ボール箱山積に むべ
辻回し若者の夏京に恋 ふさこ
梅雨明けや児ら打ち鳴らすタンバリン 澄子
梅雨明けか天付き体操空深き たか子
ぎこちなく斧振り上ぐる子蟷螂 千鶴
寿司桶を母もあおぎし古団扇 もとこ
紫陽花の毬一つずつ切り落とす よし女
部屋に入る日布団を広ぐ梅雨の明 そうけい
乳牛やまわる大型扇風機 みきお
応援の団扇の波や相撲会場 満天
横臥する牛舎差し込む旱星 愛正
空調服浮くやうにして草を刈る えいじ
小夜更けて雲間に赤き梅雨の月 はく子
喧噪の街の夕暮れ電車行く たかを
散る蓮を受けて蓮葉の震へをり なつき
風通る座敷に食みし真桑瓜 あひる
戴きし野菜にころり真桑瓜 あひる
遅々として進まぬ試合捩じり花 こすもす
尺取の突っ張り見事空青し 明日香
猛暑なり動くものなし無音界 満天
空つぽの社屋に響くみんみん蝉 むべ
滝垢離の「白衣あります」行者寺 うつぎ
冷房の茶室に膝を崩しけり なつき
梅雨明けや掃除道具を宣伝す よし女
思案中の姿様々夏座敷 こすもす
片蔭は満員御礼信号待ち 康子
縁側の外寝の媼星明かり 愛正
嵐にも沈むことなしあめんぼう せいじ
日傘手に交通誘導通学路 みきお
御手洗は水槽代わり金魚泳ぐ ぽんこ
湯気の立つラーメンガード下で食ぶ 董雨
綺羅ティアラ王女の如く蓮の花 えいいち
鯉の口ひげを掠めて鬼やんま せいじ
メッカへと道を埋めり白日傘 山椒
遅れ待つホームに涼し夜風かな みきえ
鉄塔の総みの眩し梅雨の明 そうけい
断捨離の残した服で更衣 うつぎ
百日紅見上ぐ空まで紅伸ぶか きよえ
電車いまビルの途切れて西日さす えいじ
悟りの窓に座してながむる青紅葉 董雨
提灯に浮かぶ山鉾宵祭り 山椒
摩天楼呑み込みそうや雲の峰 智恵子
梅雨明けて煌めく星と今宵月 智恵子
夏茶会恩師遺品の盆点前 きよえ
部活の子飲み干してなほ玉の汗 かえる

2024年07月17日

蔓伸ばし独り居まもる藪からし むべ
瑠璃色の蝶舞う森の美術館 山椒
ジャングルや小人となりし蓮見舟 康子
袖とほし風をいちまい能登上布 澄子
雨上がり今朝鳴き出しぬ家の蝉 みきえ
親子連れ園にぎはふや夏祭 満天
梅雨晴に明るしショベルカーの音 風民
娘の誕生日ほぼ毎年よ梅雨上る こすもす
夏草を薙ぎ倒しゆく鬼ごつこ かえる
神官の祓ふ鎮魂山開き 愛正
金平糖ばら撒くごとき睡蓮花 康子
甘酒を重き身体に流しやる たか子
白南風の潮の香乗せて朝の卓 きよえ
雲居出でまた隠るるや夏の月 むべ
古池に泡ぷくぷく源五郎 智恵子
飴色の蝉の抜殻幹を噛み みきお
包丁の切れ味悪し梅雨曇 よし女
駄々こねる幼なに目覚む午睡かな みきえ
田に隣る水路に犇と青みどろ せいじ
無言なる葬送の列麦の秋 みきお
空蝉のあちこち壁に留まりけり 満天
丘の上草の刈られて五分刈りに えいじ
炎昼に電気バイクの音しづか かえる
背に夫と妻と書く白ペアのシャツ なつき
注文の多し夫居てただ暑し もとこ
フレイルの予防講座や梅雨の明 千鶴
奉納の神馬にかかる蔦かずら ぽんこ
心地よき祭帰りのシャトルバス なつき
雨上がり黒雲割て梅雨の月 智恵子
小玉なる小人の国の大西瓜 あひる
立ち話合い間合い間に蟻払う たかを
海の日や山の草刈り止められず よし女
尺取の尺取り終えて宙を搔く 明日香
滝行の白衣干されて誰もゐず うつぎ
夏の山何処に熊を匿へる 澄子
百段の階段風鈴響きけり 山椒
山頂の雲の居座る山開き 愛正
捨て鉢に殿様蛙目をきょろり 明日香
熱中症夜半にたぢろぐ足の攣り えいじ
起こされし今朝の目覚まし蝉しぐれ ふさこ
送り火の煙雨の中へ往にけり えいいち
軍手人形はお目々パッチリ梅雨籠 こすもす
三爺の池塘にたむろ夕涼み せいじ
梅雨晴間合戦のごと雲沸くや きよえ
草茂る農地四角に耕され あひる
たまの帰省尽きぬ双子の会話かな 千鶴

2024年07月16日

炎天下鉄塔山に串刺しに はく子
トントンと不揃ひも良し胡瓜揉 うつぎ
梅雨明けか山に湧くよな絹の雲 隆松
子の帰宅合わせ天ぷらさつま芋 そうけい
戴きしトマト噛れば陽の温み あひる
さやさやと音聞こえさう青田波 明日香
設置さる足場を借りて簾吊る みきえ
ブルーベリー摘みゆく兄の夏帽子 あひる
地蔵尊へぴったり添へて白桔梗 満天
曇天を低く翔び交ふ夏燕 かえる
隣家より風鈴の音もらひけり 康子
翅合はせ水辺に止まる糸蜻蛉 愛正
初蝉や爺の狭庭におこしやす せいじ
銀の粉こんなところに雲母虫 明日香
蓮揺るる門をくぐりて朝茶会 なつき
蓮の葉や掴めそうなる雨の珠 康子
大橋を跨ぎ島へと梅雨の虹 智恵子
空蝉の果実のやうにつかまれり えいじ
藍玉の土間いつぱいに匂ひたり むべ
竹筒に水羊羹の光りたり むべ
送り火を燃やし尽くせり夕の風 風民
ソプラノの晴朗な声扇子に乗せ ぽんこ
瀬戸内の色を刺身に瀬付き鯵 よし女
梅雨寒やネットで探す歯磨き粉 よし女
既読未だつかぬメールや熱帯夜 こすもす
梅雨寒や軋むレールの鈍き音 みきお
青柿の風吹くごとに落ちにけり 千鶴
返り梅雨駐車場より目深帽 風民
川風や着地不定の糸蜻蛉 愛正
麦茶煮る匂ひの満つる厨の夜 かえる
荒梅雨や騒ぐ川面に赤色灯 隆松
端居して孫の手で掻く妻の留守 せいじ
組まれたる足場に止まる蜻蛉かな みきえ
朝日浴ぶ緑風木の葉輝きぬ きよえ
空模様ゆだんの出来ぬ梅雨晴間 満天
蝉時雨狹庭に穴が今日も増え ふさこ
側溝の流れスムーズ五月雨る こすもす
梅雨霞高層ビルは隠れんぼ 智恵子
昼寝覚め犯人すでに逮捕さる もとこ
色褪すも紫陽花の毬天仰ぐ きよえ
扇風機堂に茶席の椅子ならぶ なつき
風呂出れば無沙汰を詫びる油虫 えいじ
クーラーに任せ棒立つ扇風機 うつぎ
てんこ盛り中子の朝餉夏休み そうけい
聴き慣れて線状降水帯とや驟雨なる たか子

2024年07月15日

犬を待つ救急センター夜の秋 むべ
止まらない振りして止まる揚羽蝶 明日香
大池の風にさ揺らぐ蓮の花 澄子
厨窓同じところにやもり来る 明日香
標的は顔面群れとなり糠蚊 うつぎ
峰雲の袂へ伸びるハイウェイ 康子
そっぽ向き黙して啜る冷索麺 かえる
ペダル踏むすらりと長き日焼け足 みきえ
黒南風に油挿してと風見鶏 智恵子
てんこ盛りの湯気立つ飯や梅雨の朝 えいじ
浜朴はバニラ色して園涼し せいじ
人工芝の庭青柿の三つ四つ こすもす
鯉跳ねてまた静まりぬ木下闇 風民
四阿にかけられて俯く捕虫網 えいじ
河童忌や神経質に今日の雨 たか子
明易や喧嘩別れの友の夢 もとこ
噴水の穂先崩れてニンフ立つ よし女
白南風や膨れて波のしぶき飛ぶ 千鶴
傘一つ祇園祭祭りや恋はじめ ふさこ
橋の擬宝珠今日も元気と赤とんぼ ぽんこ
まだ慣れぬショートカットや髪洗ふ かえる
黙祷の背に吹く風や原爆忌 みきお
旧道の隧道の口葛暖簾 うつぎ
老犬と老四阿で三尺寝 なつき
汗ばみて涼やかに振る茶筅かな 風民
大き葉を掻き分くる風蓮見舟 康子
グラウンドのボールの影や夏の月 愛正
とんぼうの目つき真似する妻をかし せいじ
糸蜻蛉草葉にじつと雨やどり えいいち
園児載せ手押車に春の風 山椒
松枯れて茶杓に残す夏点前 なつき
まず生える広き更地に猫じゃらし みきお
空蝉をおちこち付けて栃大樹 あひる
雨に濡れ筆鋒のごと合歓の花 むべ
学生寮保護者ちらほら夏休み 愛正
風死すや犬は尾をふり散歩待つ 智恵子
目玉焼き焼けるごときの海月かな そうけい
曇天に皆立ち止まるハイビスカス 満天
水晶の露まろばせし蓮かな 澄子
短冊を吊るしてみたき今年竹 こすもす
睡蓮の開花うながす鯉の口 よし女
蓮田の葉雨粒天に捧ぐかに きよえ
雨上がる鎮守の杜や蝉時雨 きよえ
漣のもぐり込みゆく未草 あひる

2024年07月14日

梅雨深しアガパンサスは花火めく えいいち
泣きじゃくり汗と鼻たれぐちゃぐちゃに もとこ
砂浜に見分けのつかぬ日焼けの子 みきお
仏様措き孫らの夕餉盆の入り そうけい
夏負けの母の笑顔や食事会 康子
座敷まで風抜けゆける夏舘 澄子
教会の出窓守るかにちび守宮 あひる
細き葉に翅とぢとまる糸蜻蛉 むべ
美しきひとより溢る扇子風 かえる
昃れば空にまぎれて桐の花 よし女
配達のバイクに目覚む梅雨の朝 えいじ
よべの雨振り払ひつつ藍刈りぬ むべ
触れし途端仰向けの蝉翔び立てり こすもす
磯遊び裸足の子らの身軽さよ きよえ
朝涼しラジオはショパンのピアノ曲 はく子
水補給我にも布袋アオイにも こすもす
猩々の舞とふ風蘭紅仄と うつぎ
水黽の水増す側溝流れ行く きよえ
ひまわりの勝手勝手に向いてをり 明日香
網戸越し獣の通る気配あり 澄子
片陰を選び我も忍者めく 智恵子



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