自転車の吾をのぞき込む赤蜻蛉 | せいじ |
老人会長の昔話や原爆忌 | こすもす |
マイセンの並べ売られて秋立ちぬ | 幸子 |
2024年08月05日 | |
夏野菜ざくざく切りてラタトゥイユ | あひる |
大波も小波もありて青田風 | 澄子 |
家々の蝉の掛け合ひ路地親し | 康子 |
リフト行く足下にコスモスそよぎをり | はく子 |
足音に逃げる舟虫散りじりに | みきお |
宴会の火照りを覚ます風涼し | かえる |
曽孫来て初めましてと墓参り | もとこ |
藪茗荷花に落ちくる雨の粒 | 風民 |
谷川の瀬音に肥ゆる青胡桃 | 風民 |
パリ五輪平和な闘志汗の美し | たか子 |
観音の微笑み給ふ百日紅 | ぽんこ |
開店を待ちて米買ふ夏の朝 | みきえ |
肺腑突く音と光の花火かな | 千鶴 |
甘酒のお味如何と母墓前 | きよえ |
一陣の涼風雷雨過ぎてより | こすもす |
水占い浮かぶ文字列涼気かな | 明日香 |
西日照り出店に並ぶ長き影 | えいじ |
蝉しぐれツリーハウスに園児どち | 康子 |
涼風に括りし千草揺れやまず | 澄子 |
硝煙の微かに届く遠花火 | 智恵子 |
揚げ花火湖鏡揺らす万華鏡 | 智恵子 |
早朝に本成り西瓜供物台 | 愛正 |
白砂の熱砂となりし原爆忌 | なつき |
墓石に白く色変ふ雨蛙 | なつき |
潮風や島のなだりに除虫菊 | みきお |
診察を待つ間にドリル夏休み | みきえ |
立秋やくるりくるりと鉋屑 | よし女 |
さよならと振る手のうえに夏の月 | かえる |
川床へ降りる手すりは竹製や | 明日香 |
森からの風をとらへて青田波 | むべ |
下山して総身に受くる滝しぶき | せいじ |
夏祭り朝の片付け待つてゐる | えいじ |
サイレンの響く夜空に大花火 | えいいち |
日ぐれ時沸くよに群れる赤蜻蛉 | きよえ |
遠雷に帰路を案じる外出かな | 幸子 |
炎昼の駅托鉢のビルマ僧 | よし女 |
泥はねる元成西瓜の黒模様 | 愛正 |
井戸端に西瓜ごろごろうたた寝す | ふさこ |
猛暑日の夕立に欣喜雀躍す | せいじ |
そそくさと守宮消えゆく夜の庭 | あひる |
闇一閃咲くや大輪花火の夜 | 千鶴 |
だんじりを囃す老母の輝く眼 | あられ |
主婦ばかりひと時集ふ涼夜かな | むべ |
煙突の高さ淋しや夏の果 | 幸子 |
2024年08月04日 | |
みなで食む冷し西瓜や礼拝後 | あひる |
朝まだき空をちらちら蚊食鳥 | えいじ |
帰宅路へ抜ける公園夜鳴き蝉 | 智恵子 |
亡き父母に亡き夫の事墓洗ふ | たか子 |
生で観る頭上炸裂花火ショー | 千鶴 |
網逃げて池面掠める蜻蛉かな | きよえ |
稜線のくっきり浮かび梅雨あける | みきお |
クルスより伸ぶる筋雲秋の空 | 康子 |
指熱くして茹でたての月見豆 | かえる |
泰山木匂い満喫歩道橋 | 智恵子 |
蟬の声ねじ巻き切れて飛び立てり | なつき |
遠雷や吾子乗る飛機の無事であれ | あひる |
日の盛り米売り切れの直売所 | みきえ |
貴船社の長き鳥居や床涼し | 明日香 |
ベランダの手摺は暑しふきん干す | ぽんこ |
部活子の日焼けを照らすスマホ画面 | 康子 |
走り去るバイクのあおる暑き風 | 愛正 |
四つ角にくるり回すや夏日傘 | 幸子 |
足早に回る順路や炎天下 | なつき |
右折する吾を見てをりぬ日輪草 | こすもす |
青芝を転がるボール湧く歓呼 | みきえ |
スマホより囃す声あり夏祭 | みきお |
遠雷に入り込み迫るバイク音 | 愛正 |
草垣の晩夏の路地を狭うして | せいじ |
語り部の少なくなりて原爆忌 | 澄子 |
カトラリーみな美しき晩夏かな | 幸子 |
爆音の久しぶりなる雷雨かな | 満天 |
語り部の終戦の日や一機空 | ふさこ |
日の影を抜け行く風や秋近し | えいいち |
水羊羹半分残す僧のゐて | こすもす |
溝さらひ終えてしばしの近況を | 満天 |
夏休み子の姿見ぬ里の道 | きよえ |
蝿止まる宝石店のショーケース | よし女 |
夏真昼アスファルトなを沸騰す | かえる |
ごみ捨てに大蜘蛛の足我に着く | 董雨 |
長岡の夜陰焦がして大花火 | 千鶴 |
秋を待つ互いの体気づかひて | もとこ |
徒長枝はほしいままなり夏の果 | せいじ |
かざしをる三輪の山裾茅の輪かな | 明日香 |
塀途切れ絶叫めきし西日来る | えいじ |
夕焼けや同じ色なるワイン酌む | よし女 |
ほろ酔いで友らと歩く夜の秋 | むべ |
チェコビール指ニ本分泡香る | むべ |
2024年08月03日 | |
デパートの風鈴売り場ひと巡り | 幸子 |
フライング悔し短距離夏五輪 | みきえ |
手を打てば慌てふためく蝉をかし | せいじ |
子ら去って袋に菓子と蝉の殻 | よし女 |
まほろばの青田風揺れ青海波 | 明日香 |
雑草の勢力盛ん夾竹桃 | ぽんこ |
無口なる店主の捏ねる走り蕎麦 | みきお |
緑影にテーブル並ぶカフェ通り | 智恵子 |
浴衣着て今が楽しや乙女どち | もとこ |
雑踏に身を委ねゆく残暑かな | 澄子 |
一服の窓過ぎりゆく揚羽蝶 | あひる |
欄干の鉄錆臭ふ日の盛り | 愛正 |
桃一個のりたるパフェぺろり食ぶ | なつき |
庭木々も夕立待つや疲れぎみ | 満天 |
桟橋を大きく揺らす土用波 | みきお |
身も灼くる花見小路の石畳 | せいじ |
貴船社の水占いや杜涼し | 明日香 |
五輪観て静もる真夜や虫の声 | みきえ |
二三言せみの寝言か夜の庭 | あひる |
お互いに汗を拭きつつ立ち話 | 満天 |
もう些と寝坊させてよ蝉しぐれ | みのる |
大花火小さき手浮かぶ肩車 | 康子 |
花火また花火のなかに花火かな | えいじ |
花氷時知らせつつ細るなり | ふさこ |
落日はヨットの帆先赤く染め | 智恵子 |
日盛りに宿場家並み音もなし | 愛正 |
老夫婦花火の特等席を知る | 康子 |
闇市の名残りの路地の暑さかな | 澄子 |
打敷とお花も替へて盆用意 | こすもす |
夜も暑し泣いて寝落ちる赤ん坊 | 幸子 |
銀の匙彩る野菜ゼリー寄せ | むべ |
サンドレス纏ひ楚々たる歩みかな | かえる |
乾杯の右手の重き暑気払 | むべ |
生き過ぎて看取る子も老い盆支度 | 董雨 |
夕闇に笑まふ彼女の紗のリボン | かえる |
頭上より浴びる健康水シャワー | えいじ |
海へ出てすぐ引き返す赤とんぼ | よし女 |
初盆の日取りは僧のご都合で | たか子 |
ウォーキングの夫冷房に戻りくる | なつき |
プール遊びおでこに国旗のシールつけ | こすもす |
2024年08月02日 | |
行き帰り同じ自販機冷えた水 | たかを |
庵室を飾る虎児の絵涼しかり | せいじ |
採血にあらぬ方見て蝉しぐれ | もとこ |
汗引きぬ夜風を孕むワンピース | 康子 |
あぶら虫悲鳴おさまる退治あと | ふさこ |
子らの声あふるる森のプールかな | 康子 |
夕焼を斬る刃めく飛行雲 | かえる |
土用波乗り越へ進む漁船かな | みきお |
蝉しぐれ我を励ます応援歌 | きよえ |
服装に合わせ白色夏帽子 | こすもす |
坪庭を迫り出さんとす青芭蕉 | あひる |
欄干の鉄錆臭ふ日の盛り | 愛正 |
空蝉のすがりし小枝瓶に挿し | 明日香 |
蛇注意看板脇の瑠璃蜥蜴 | えいじ |
夏の月窓の端すこし掛かりけり | えいじ |
アナベルが葉つぱと同じ色になり | 明日香 |
日盛りの宿場家並み音もなし | 愛正 |
白塀をまだら模様に夏木陰 | むべ |
剣道の一斉素振り蝉時雨 | みきお |
夏の陽と砂を巻きつつ波寄する | かえる |
花火師の中洲に躍る影法師 | 智恵子 |
狛犬の頭上で遊ぶ雀の子 | ぽんこ |
青蔦をひきて青空引き寄せぬ | 澄子 |
炎の天細き体で畑仕事 | たかを |
夏の果てコーチの胸で泣く少女 | 山椒 |
炎天にゆらぐ町なみ影もなし | えいいち |
飛び石の歩幅に合わぬ日の盛り | 幸子 |
日盛や現場の音も途絶えたり | えいいち |
風鈴の揃ひ出迎ふ駅舎かな | みきえ |
涼しさや眼より描き初む似顔絵師 | よし女 |
浮き草や突つと運河を席巻す | たか子 |
百日紅紅の花先紅の花 | きよえ |
蜘蛛の囲の風にふくるる維新の地 | よし女 |
庵涼し絵の虎児抱きたくなりぬ | せいじ |
山稜を随へ聳ゆ雲の峰 | むべ |
待ち受けは浴衣姿の娘と孫を | こすもす |
降り立ちし駅の広場や風立ちぬ | 澄子 |
岩を撫でゆく涼風や潮音庭 | あひる |
チェーンソーの音に負けじと蝉しぐれ | 満天 |
しなやかにプールの壁を蹴る少女 | 幸子 |
手に止まり互ひに吃驚吾と飛蝗 | うつぎ |
防音幕覆ふ学舎や夏休み | みきえ |
2024年08月01日 | |
かなかなの森は今年も優しくて | 智恵子 |
法堂にくぐもる読経蝉時雨 | 山椒 |
浜日傘ラジオの内の砂の音 | 澄子 |
雷の近きラジオのノイズかな | 愛正 |
濡れし服脱ぎ風呂でまた水鉄砲 | 風民 |
悠々と歩む大路や朝涼し | えいいち |
老集い祭りの準備玉の汗 | たかを |
四歳の細きおさげや夏帽子 | あひる |
死闘なるラリー選手の光る汗 | みきえ |
海風を深呼吸せる白芙蓉 | かえる |
夏瘦せのバーゲンセール疎ましき | ふさこ |
傾ぎたる志士の墓碑より蟻出ずる | よし女 |
八月や今朝の気配のどことなく | きよえ |
露草や暁の野に藍点す | むべ |
遠花火聞き耳立てて吠える犬 | みきお |
大画家の小品並ぶ庵涼し | せいじ |
炎天下園走る子のパワー欲し | たか子 |
出勤のイヤホン族に蝉しぐれ | 康子 |
文豪も黴纏ひたる古書の店 | もとこ |
煮炊きする事を避けたる残暑かな | たか子 |
大雷雨天の水甕割るごとし | むべ |
南国の夏に思ひを馳せてゐる | 明日香 |
盆踊移住の人ら増えし峡 | うつぎ |
吊り橋に響くひぐらし奈落かな | 智恵子 |
禅庵の露地桔梗の並び咲く | せいじ |
猛暑日の暮れて朝まで熱帯夜 | 満天 |
前髪の長さ気になる夏休み | こすもす |
猛暑日のメモを片手に目も潤む | 満天 |
水撒けばどこにいたのか川蜻蛉 | 明日香 |
子ら帰り夫と分け合ふ缶ビール | なつき |
風涼し干し物ほほに今朝の軒 | きよえ |
お盆玉は渋沢さんの新札で | こすもす |
水鉄砲構へ子の目の光りたり | なつき |
秋祭り近し社掃く通ひ禰宜 | よし女 |
食欲のなき夏バテにゴマ豆腐 | 董雨 |
夜半少し風の匂へる戻り梅雨 | えいじ |
飛び石の濡れては乾く夏の川 | かえる |
思ひ出づ祖母の作りし梅酒かな | 愛正 |
ひと鳴きで飛び立つ蝉や尿飛ばし | みきお |
夏帽のトンボブローチ兄妹 | あひる |
釣り上げて虹鱒の虹手の中に | 風民 |
大音声ぴたりと止めし油蝉 | 山椒 |
蝌蚪や今小蛙となり大ジャンプ | 千鶴 |
漏れ聞こゆよしこの節や夏の果て | 澄子 |
広芝の散水乱れ風涼し | 康子 |
夜半独り放屁の音や梅雨の闇 | えいじ |
粛々とグランドゴルフ猛暑の日 | たかを |
2024年07月31日 | |
思ひ出づ祖母の作りし梅酒かな | 愛正 |
真二つに棒の折れたりすいか割り | あひる |
新調の眼鏡や遥かまで涼し | よし女 |
アロハ着た牧師の膝にをさな子ら | あひる |
浜木綿の花咲ききれづ喰われけり | みきえ |
山頂のテラスより海風薫る | 山椒 |
蝉時雨ジージーシャンシャンシャン多し | 明日香 |
胡瓜もみガラスの小鉢食すすむ | 満天 |
内庭の縁に涼しき日陰あり | せいじ |
借景をホワイトアウト大雷雨 | むべ |
白鷺の突と嘴撃つ水田かな | えいじ |
一雨か降りそで降らぬ夏終る | きよえ |
終戦の夫の背にある苦悩あと | ふさこ |
碧眼のタトゥーの目立つ街暑し | ぽんこ |
酷暑下にコロナ禍またもぶり返し | 千鶴 |
暮れてなほ残るほてりや鳳仙花 | 澄子 |
雷の近きラジオのノイズかな | 愛正 |
胎の子の写真見せらる端居かな | 康子 |
正座からすくとは立てず夏の果 | 明日香 |
蓮池を左右に配して勅使門 | せいじ |
弟より今年も届き水羊羹 | こすもす |
狛犬の小鼻膨らむ大暑かな | よし女 |
葛切のみやげリュックに孫来る | 風民 |
孫の奏ずピアノるんるん夏休み | こすもす |
路地親し風船葛の青簾 | 澄子 |
舟べりを叩く夏潮魚釣り | みきお |
岩礁に噴き上がる潮土用波 | みきお |
夏休み幼なと並び句帳開く | みきえ |
早苗伸ぶ水田を撫ぜて風渡る | かえる |
草の匂ひ迫る路地裏夕立あと | 康子 |
茫茫と夏草覆う排水路 | えいじ |
帆を連ねヨットは揺るる潮鏡 | かえる |
稲光一本背負ひ放たれり | 山椒 |
橋脚を隠して疾る出水かな | むべ |
ペディキュアの色の薄さよ夏の果て | もとこ |
2024年07月30日 | |
パリの空広ぐ青空雲の峰 | きよえ |
でで虫のレタス食む音夜の更けて | みきお |
空蝉の眼窩に闇をみたるかな | 澄子 |
セーヌ川豊かに流る風涼し | きよえ |
過ぎ去りて知る歳月や芥子の花 | よし女 |
風入りて簾揺らぎし影踊る | かえる |
夕立に駅舎膨れて父を待つ | 智恵子 |
自動ドア開きて蜻蛉の入店す | むべ |
際立てるビルの白さや夕立雲 | 康子 |
風立ちて引き返し来る恋ボート | よし女 |
ビル街の鳥居潜れば風鈴鳴る | もとこ |
万緑を突き抜くビルや展望台 | 康子 |
故郷の昔のままに蝉しぐれ | うつぎ |
塩味のソフトクリーム前は海 | こすもす |
亡父より着信表示盂蘭盆会 | 山椒 |
葉焼けした庭木の風情夏の果 | 明日香 |
警告と朱書の看板草茂る | えいじ |
縮緬の波を吐きつつヨット帰す | かえる |
橋半ば万の縮緬波涼し | えいじ |
凄まじき気温更新大暑なり | たか子 |
一本の木を膨らます蝉しぐれ | うつぎ |
勝ち敗けの溢るる涙夏五輪 | えいいち |
仏国旗色に活けらる夏の花 | みきえ |
日傘にもどうにも出来ぬ照り返し | ふさこ |
大逆転続く熱戦パリの夏 | 千鶴 |
桑の実の大樹となりし土堤かな | あひる |
猫避けて転ぶ仏間や盆用意 | こすもす |
一瞬に闇を切り取る大花火 | みきお |
刈りあげてパーマかけたる髪涼し | 千鶴 |
空蝉のどれも眼光のこしをり | 満天 |
古民家の蜘蛛の巣埃まみれかな | せいじ |
空駆けるスケートボード夏の風 | 山椒 |
辞書めくり生まるる小さき風涼し | むべ |
山風を運んで来たり赤蜻蛉 | 澄子 |
襖絵の蓮池涼し大書院 | せいじ |
夏蝶に孵らぬサナギそこここに | 明日香 |
風鈴の音に反応癒やし風 | 愛正 |
暑き日や水辺も木々も不動なり | 愛正 |
夕涼や黒雲頭上に動かざる | 智恵子 |
遺されし母の編みたる白レース | あひる |
積み上げしアイロン掛けや玉の汗 | ぽんこ |
2024年07月29日 | |
つまずいて支へし手すりに蝉の殻 | よし女 |
筆運び牛歩のごとき夏書かな | 愛正 |
手花火の親から子へと火を伝へ | 千鶴 |
暑き日や拭き上ぐ墓碑の放射熱 | 愛正 |
この雨も慈雨とはならず天仰ぐ | 明日香 |
誰しもが五輪に描く夏雄姿 | ふさこ |
植鉢をはこぶ吾へ跳ぶバッタの子 | あひる |
家蜘蛛を避難せしめて洗面す | せいじ |
公園の子等の声なき夏休み | 満天 |
秋近し大売出しの散らしかな | きよえ |
割り勘の余る一円氷菓食ぶ | なつき |
海猫啼ひて異国の船を見送れり | かえる |
立ち呑みの背なを染めゆく大西日 | 澄子 |
買い物は気合いを入れる酷暑なか | ぽんこ |
仏間にも声を掛けつつ扇風機 | たか子 |
片陰を選びて鳩の散歩かな | あひる |
五十一と五十の兄妹夏休み | こすもす |
限界と極暑を睨む監視員 | えいじ |
はたた神大地を叩き割る如し | 山椒 |
行く夏のテレビ観戦パリ五輪 | きよえ |
朝散歩もろこし二本持ち帰る | 智恵子 |
傷有りは自宅用とす桃実る | みきえ |
老ひ母と二本の匙でかき氷 | 康子 |
雨散歩足高々と跣の子 | 風民 |
密なりし枝葉払ひて庭涼し | みきえ |
あれこれと予定過密や帰省の娘 | こすもす |
くり抜きし西瓜に注ぐナポレオン | むべ |
木漏れ日や閑かに降るる蝉しぐれ | えいいち |
氷菓とて最中半分丁度良し | 満天 |
一列に並ぶ鉢植え片かげり | 康子 |
揚花火闇に犇く息遣ひ | かえる |
スケボーの妙技にしばし暑を忘る | 明日香 |
雲の峰迷彩色のヘリ消ゆる | むべ |
方丈に子らの声聞く夏休み | せいじ |
暗渠へと音谺して遠花火 | 澄子 |
音のみが地響いて来る遠花火 | よし女 |
迷子猫の手書きポスター炎天下 | なつき |
枝豆はあっとゆう間に笊空に | 智恵子 |
ウクレレショー楽も満ちたるプールかな | えいじ |
告げる事多く長居の墓参かな | もとこ |
梅雨明けや造りて崩す砂の城 | 山椒 |
2024年07月28日 | |
味噌汁に意外と旨しトマト入る | もとこ |
頑張ろうと元気な声の夏見舞 | 満天 |
天井の双龍涼し大法堂 | せいじ |
風鈴や風を呼び込む藍暖簾 | 澄子 |
中干しの稲青々と拡がりぬ | えいじ |
礼拝をおへし子らにも水遊び | むべ |
水遊び父川下に仁王立ち | 康子 |
川べりの綱にとどまる蝉の殻 | 康子 |
童心に戻り線香花火かな | こすもす |
さやけしや朝一番の蓮の花 | みきお |
垂れ下がる枝に十個の蝉の殻 | よし女 |
島涼し寄り来る鹿のまなこ澄む | 澄子 |
虫どもで路面賑わう夏の朝 | えいいち |
無いものか地球を行水させる術 | たか子 |
暑中見舞緑の景色スマホより | 満天 |
熱風中チャリで消へる六年生 | ぽんこ |
蜘蛛の子の跳ねて始むる大冒険 | むべ |
虫送り煙流るる水田かな | えいじ |
腫物にさわる日のあり火取り虫 | 明日香 |
摩訶よりは先に進まぬ夏書かな | 愛正 |
ヨット帰す男の背ナに舫い綱 | かえる |
買い物に勇気の一歩炎暑中 | 智恵子 |
なほ囃す蝉に一喝くれてやる | うつぎ |
冷や奴夫婦の会話なる五輪 | なつき |
暮れてなほ地は冷めやらぬ草いきれ | きよえ |
アラートの句の種も無し酷暑なり | ふさこ |
塔頭の灼けし玉砂利踏みやらず | せいじ |
開け放つ座敷横切る夏の蝶 | みきお |
襖絵を説く碧眼の夏羽織 | あひる |
バスのごと一両電車行く青田 | みきえ |
皓歯見せ会釈の婦人青田道 | 千鶴 |
特伝に誘ふ友待つ赤蜻蛉 | きよえ |
五輪観て夫の夜更かし熱帯夜 | なつき |
中干しの頃合ひ計る大青田 | 千鶴 |
夏の宵セーヌを駆ける銀の騎士 | 山椒 |
のしかかる空気の重さ心太 | 明日香 |
七年の棲家離るる蝉の穴 | えいいち |
朝の風夏書の墨香運びさる | 愛正 |
物干しの隙間に仰ぐ遠花火 | かえる |
物干場長袖に見ゆ日焼け跡 | 智恵子 |
一閃の少女のシュート夏を切る | 山椒 |
最後なる祭提灯ともしけり | 風民 |
沈めても浮きくる茄子の艶々と | あひる |
夏落葉ことりと土に還りけり | よし女 |
棚下の奥ほの暗き青葡萄 | 風民 |
2024年07月27日 | |
遠花火音に引かれる後ろ髪 | 風民 |
風鈴や風が風呼び鳴り止まず | みきお |
風鎮は亡父の形見夏座敷 | 澄子 |
夏季五輪選手船上セーヌ川 | みきえ |
クーラーに籠り至福やパリ五輪 | 智恵子 |
夏の風瀬戸の潮香を運びけり | みきお |
大花火海より揚がり海に果つ | よし女 |
法堂の天蓋揺らす風は秋 | せいじ |
パリ五輪白雨の川の大舞台 | 千鶴 |
残像と残響余韻大花火 | たか子 |
わが町の音頭に膨る盆踊 | うつぎ |
五輪二度記憶の果てし大暑かな | えいいち |
猛暑日へ検診一歩に気合入れ | 満天 |
先を行く妻の振り真似盆踊 | うつぎ |
帰省子の好む自転車求め待つ | 董雨 |
若き女子大型教習日の盛り | みきえ |
落日や杖を頼りに試歩の汗 | 智恵子 |
山葵漬け箸で啄み焼酎呑む | えいじ |
ナイターのテレビ観戦我ひとり | 明日香 |
笹の秀のまろぶしろがね露涼し | えいじ |
新涼の佛に会ひたき心かな | よし女 |
涼風や演技の競う集大成 | ぽんこ |
夏館ロビーにかかる古時計 | 愛正 |
北軽の見隠る林夏館 | 愛正 |
冷房の部屋にどつぷりいいのかな | 明日香 |
通り雨炎熱の街鎮めたり | 山椒 |
出番待つスワンボートや明け易し | 澄子 |
向日葵の溢るる種に鳩の群れ | 康子 |
夜の町走りやすしと帰省の子 | 董雨 |
揺らめける蓮の葉裏に水陽炎 | 康子 |
ベランダは特等席や揚花火 | こすもす |
夫淹れるアイスコーヒー褒めそやし | もとこ |
田舎家の甍まばゆき夕立後 | かえる |
遠山をかき消さむとす大雷雨 | むべ |
準備良し酷暑対策ウェブ句会 | えいいち |
リクエストに応へて準備手巻き寿司 | こすもす |
赤光に脳天あらはサンバイザー | せいじ |
梅雨明けや波に向かって駆け出す子 | 山椒 |
波打ち際水着の子らの砂の城 | 千鶴 |
遠雷に気の早き風わたりけり | 風民 |
雷鳴に肉片落ちる箸の先 | たかを |
葉の陰に俯ひてゐる花なすび | かえる |
夏空の飛行機雲をたどる道 | むべ |
2024年07月26日 | |
吹きいでし汗ブラウスに塩となる | あひる |
猛暑日の白雲動くことのなし | 満天 |
食べごろを教ふる桃の柔き尻 | 康子 |
向日葵や伸びきりついに蕾出づ | えいいち |
横断歩道かた影まるで無きを行く | たか子 |
トマト支柱触らばぽたぽた黄金虫 | 愛正 |
夏の朝天上雲の早や生まる | きよえ |
盛夏にて無沙汰を詫びる葉書来る | 明日香 |
野薊のわた一斉に青空へ | あひる |
広池にいまし展ごる蓮浄土 | 澄子 |
手入れせぬ庭に顔出し茗荷の子 | うつぎ |
朝焼けや東雲色に稲染まる | 千鶴 |
タワークレーン入道雲に挑むかに | うつぎ |
畦道にハツチバツクや青田風 | むべ |
広報を配る当番ホテイ草 | こすもす |
殻をいま脱ぎしみどりの子蟷螂 | えいじ |
函谷鉾ギリシャ神話のタペストリ | 山椒 |
青みどろ蔓延る水路流れ遅々 | みきえ |
朝暁の鴉一声天を突く | きよえ |
鮎の骨一気に抜きし父の技 | せいじ |
若衆は浪速の祭り好きやねん | ふさこ |
髪洗ふ今日の芥は捨てるべし | もとこ |
涼風をグラスに刻む江戸切子 | 山椒 |
孫の掌みどりの響く子蟷螂 | えいじ |
鰻重の蓋から覗く身の厚み | 智恵子 |
ゲリラ雨右往左往のはたた神 | みきお |
赤松が陰なす石の庭涼し | せいじ |
夕立後行き交ふ声も潤ひて | 風民 |
梅の実のただ一つ浮くゼリーかな | よし女 |
蟷螂や鎌そのままに蛻たる | かえる |
船降りれば穴子焼く香桟橋に | 千鶴 |
眼の覚めて首筋拭う汗の跡 | たかを |
分けつの進む植田や水澄めり | みきお |
天神さんビルを背の遠花火 | はく子 |
赤蜻蛉バス降りし吾を先導す | むべ |
水撒きの水追ひかける子どもかな | 風民 |
散りてすぐ群れし魚影や渓涼し | 澄子 |
ビル群を射抜くごとくに稲光 | 康子 |
はたた神一撃喰らひ街は闇 | かえる |
朝凪の浜に戯る犬と彼 | 智恵子 |
テニス後冷やし珈琲に和みけり | ぽんこ |
元気かな元気を出せと雨蛙 | よし女 |
項垂れし紫陽花に水すくと立つ | みきえ |
モニターに当たり仰向け黄金虫 | 愛正 |
2024年07月25日 | |
民宿の庭は良い香や梅干され | 智恵子 |
この町の道知り尽くす夏燕 | 満天 |
無人部屋で働いてをり扇風機 | よし女 |
耳鳴りの如く早から蝉時雨 | みきえ |
空蝉のこわごわ触れるガキ大将 | ふさこ |
何事もなき日やㇹ句の遠き夏 | 明日香 |
四万十の広き流れを漕ぐボート | 山椒 |
浜風と海鳴りの町白子干す | 千鶴 |
ビル群の輻射熱浴ぶ酷暑かな | みきお |
暑気払ひ十年ものの梅酒かな | 愛正 |
四肢長き走者涼風まとひをり | 風民 |
地上に出で命七日の蝉の空 | 千鶴 |
逆光の釣人とかす大西日 | 澄子 |
朝蝉の急き立ててをる庭仕事 | うつぎ |
忘れ物して大汗の医者通ひ | せいじ |
でで虫の食む音かすかレタス畑 | みきお |
地下茎の伸びたる先の花薄荷 | あひる |
孫守りやまずは麦茶を一気飲み | 康子 |
陽の温み残してたたむ日傘かな | 康子 |
海の底きらりと光るラムネ瓶 | かえる |