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大粒の雨ばら撒ひて春雷す かえる
大楠を揺さぶりやまず春北風 澄子
倒木をすれすれ潜る遍路道 なつき
ドームへと向かふ車列や名残雪 こすもす
残り鴨鳴いて呼び合ふ寂しがり もとこ
崖下の光る深紅や落椿 康子
春愁や地震も事故も解雇まで 明日香
如月の野鳥飛び立つ川原風 愛正
夕風に椨の木の芽をほどきけり むべ
鳥の影窓を横切る春嵐 豊実
春山路森林浴を満喫す せいじ
大歓声駆くるピッチや芝青む みきえ
見て見てと妻が指差す揚雲雀 せいじ
托鉢の声のちぎれる春颯 みきお
芽吹きたる桜並木のほの紅し やよい
春の雪パン屋も今日は早仕舞い もとこ
花ミモザ目の先までも咲き誇る きよえ
春昼や鶏の遊べる神の庭 千鶴
ちぐはぐのソファーあたたか牧師室 あひる
薪ストーブぬくし古民家マルシェかな やよい
並木道落葉樹伐られ桜待つ 満天
小湊の湾を赤潮埋めつくす 智恵子
叡山の烟りて京は春時雨 あひる
山笑ふ膝も笑ひて男坂 智恵子
一菜に季節先取る木の芽和 愛正
大空に風の道あり鳥帰る みきお
あの桜実がなるのよと妻いへり えいじ
幾畝のシート外すや風光る そうけい
花ミモザ香や道しるべ花の寺 きよえ
松の花防風林となる中に わかば
春疾風を蹴り上げるサッカー少年たち 満天
雪柳微かな風も捉えけり ぽんこ
人麻呂の山辺の歌碑や風光る 千鶴

2024年03月20日

かあかあとまねる子もゆく春野かな えいじ
黒々と老樹遅日のシルエット 澄子
彼岸桜今満開の里の園 きよえ
春雷の一閃はしるコンコース むべ
陽に光る池の辺の雪柳 豊実
春雨に煙る車窓の救急車 こすもす
初桜朝より紅み増しにけり 愛正
枝の間を飛び交い連む鳥の恋 えいいち
店先の花桶倒す春北風 むべ
春分の日猫の目のごと日照雨 ぽんこ
春雷や干し物とるにあたふたと 明日香
痛快なるゴジラ映画や春嵐 千鶴
荒れる手に若き美容師慣れるとや みきえ
お帰りと言う如庭の白木蓮 こすもす
木瓜一輪揺れて瀬音に耳澄ます かえる
春時雨犬は翁に歩を合はせ あひる
バスの揺れ揺籠めきて目借時 智恵子
亡き人の形見分けもし初彼岸 たか子
牛小屋の小さな灯り菜種梅雨 みきお
雨風に打たれや咲かぬ春花芽 えいいち
小さきは放してやりぬ春鮒釣 えいじ
根も岩も超えて真直ぐに遍路鈴 なつき
春寒や仕舞ひかけたるコート着る 満天
定まらぬ写経の字粒彼岸寒 うつぎ
春嵐ビンゴカードに穴数多 なつき
大荒のひと日となれり春愁ひ 明日香
雪柳白き花みな天仰ぐ きよえ
土手の道どこまで続く花菜畑 康子
春深し庵のしづけさ花頭の窓 そうけい
コーヒーに寛ぎをれば春の雪 あひる
仰ぎ見る視線の先の初桜 愛正
春眠の猫や古刹のそこここに 康子
鉄塔の浮かぶ山々春霞 みきお
猫柳の真珠のごとき雨しずく 満天
野路ゆくや夕餉にと摘む蕗の薹 やよい
神の庭彼岸桜の照り陰り 千鶴
と見る間に野に見失ふ落雲雀 せいじ
墓地の草すみれの小花抜かでをく はく子
日を弾く水面に揺らぐさくらかな 澄子
ままごと程の蕗味噌できて分かち合ふ やよい
満天の星のごとくに花辛夷 せいじ
鵯の矢の出で入るたびに椿落つ みのる
風に怯えスクラム組んで犬ふぐり 智恵子
古傷の足をひきひきずり春寒し みのる
啓蟄やふすまの軋み柔ぎて もとこ
卒業式袴にブーツはいからさん みきえ
雪柳うねり仰け反り風強し かえる

2024年03月19日

装ひに惑ふ三寒四温かな 澄子
昼餉とす春黄金花置く老舗 そうけい
野辺歩き芹摘むこともそのひとつ 千鶴
球春や快音響く甲子園 みきお
風除けの網にもたるる豆の花 豊実
夜桜の枝に眉月かかりたる むべ
急坂の頼りは膝と遍路杖 なつき
遅れてもスタスタ歩きうららけし たかを
サイホンに残るコーヒー春愁ひ ぽんこ
銀鱗の光掬いし春鮒釣 えいじ
ハングライダーふはり着地す春の野路 やよい
塀越しのひと枝重し初桜 愛正
お中日コロナ以来の里帰り 明日香
神池に光り高舞ふゆりかもめ 康子
柏手の響く参道初音聴く 智恵子
山うらら留学生のカップルも せいじ
羊舎はベビーラッシュや牧の春 みのる
ぽこぽこと膨れ広がり山笑う もとこ
点と見れば羽撃いてをり揚雲雀 あひる
細流に身を任せゐる残り鴨 かえる
花芽みな空を指し居て辛夷かな わかば
触太鼓浪花の街の風光る こすもす
父母の戒名読みて彼岸かな えいいち
川波にゆたり浮くかに残る鴨 きよえ
てふてふの一服したる石畳 澄子
春銀河水面に歪むスカイツリー 智恵子
一筋のささくれめくる遍路杖 なつき
センバツに相撲観戦春炬燵 満天
児の後を父母は肩寄せ花堤 たかを
摘ませじと袖引く棘や山椒の芽 むべ
雨晴れて瀬音高まる春の川 かえる
羊群の上団々と春の雲 みのる
まほろばの川音高き里の春 千鶴
銀輪を二台止めたる花辛夷 あひる
籠り出る導と開く桜かな えいいち
床体操余寒に五体軋みけり たか子
初蝶の目の前を過ぎ物干し場 わかば
行厨はいきなり団子山笑ふ せいじ
ヌートリアファミリー憩ふ春の池 きよえ
缶コーヒー片手に親子麦を踏む みきお
公園の隅明るうす黄水仙 満天
力士幟の元でポーズや春ショール こすもす
むず痒し髪を捌きし春の風 えいじ
ぼたもちを大小作るお中日 そうけい
春暁の海や眠れる造船所 康子
常盤木に隠るる古刹百千鳥 愛正

2024年03月18日

鬣の獅子舞える如雪柳 山椒
球春や打つも走るも全速で 山椒
金剛杖つく目の端に蕗の薹 なつき
春北風車道に留まる開く傘 みきえ
うぐいすとまだ言い難き初音かな 豊実
風に乗る打出し太鼓春夕焼け こすもす
天日干す楮匂ふや春の昼 やよい
無住寺の灯り久しき彼岸かな 愛正
春疾手竹百幹を鳴らし打つ 澄子
枯蓮水漬きて亀の甲羅めく うつぎ
山の辺の道のほとりや黄水仙 千鶴
春風に交じる鬢付け油の香 こすもす
幌ひらく俥夫の手際や春の雨 康子
麗らかやお砂場デビューの孫夢中 康子
大風の吹き荒れたるや彼岸入り えいいち
合う度に浮き立つ心花ミモザ わかば
彼岸桜ご神域なる園に咲く 千鶴
菜の花に釣り糸絡む堀まはり むべ
波被る逸る鴨かな進み行く きよえ
堀川の水の煌めき春の光 ぽんこ
そぼ濡れる四手の白さや春社 明日香
石庭の白き玉石風光る 智恵子
春寒の旅の予定の空白欄 もとこ
人ごみに紛れ至福や花筵 智恵子
雨降りは鳥の啄む春の芝 えいじ
受験子とおぼしき人も如意ヶ嶽 せいじ
卒業の孫のおでこのにきびかな あひる
クレーン船活動の波戸夕霞 きよえ
円卓に赤薔薇散らすオードブル むべ
棚藤のがんじがらみの芽吹きかな みのる
春雨のあがりゆく嶺に射す日かな みのる
春疾風二日遅れの回覧板 そうけい
蒼天に白きシャトルや春日和 えいじ
落椿関所のごとき峠道 なつき
のどけしや夕べの鐘の間遠より わかば
蕗の芽の香り増幅口中香 愛正
畑の砂巻き上げ失す社春疾風 そうけい
花韮の満開となる忘れ鉢 あひる
会釈から話の弾む彼岸かな みきえ
地蔵尊の周り明るき菜の花に 満天
倒木に芽吹く気概のありにけり 澄子
同伴の歩にやや遅れ春登山 せいじ
春夕を眺む樹頂の片烏 えいいち
国見する天香久山佐保姫来 明日香
花韮や切り株囲む星のごと かえる
対岸の翁のバリトン春うらら かえる
学び舎より風に乗りくる卒業歌 満天

2024年03月17日

網中の売れぬ球根芽吹きたり えいいち
スーパー跡まだ決まらずや春寒し 満天
春の鯉寺の主なる面構 うつぎ
庭芝の青みさしたる彼岸かな 愛正
老骨をよく休めよと春の雨 みのる
妙義山奇岩縁どる春夕焼 愛正
賑わひていちご大福生れにけり あひる
音楽と拍手に乗って卒園児 豊実
庭石を文鎮として春の墨 智恵子
姉妹して墓ひた濡らす彼岸入 なつき
雪柳雨粒弾くごと揺るる きよえ
花影や人ゆくところ灯ともりぬ 澄子
農人の耕す土塊トラクター ぽんこ
輪の動くボール遊びや春の芝 えいじ
休耕田菜の花で満つ畝一本 こすもす
わらび摘む見落としがちな池の縁 千鶴
春水を湛へ影置く浮見堂 たか子
鴨足のオレンジ色や水の春 もとこ
白木蓮や空へ咲く乳色の花 えいいち
葉牡丹の塔のごとしや茎立ちて 満天
朱の鳥居小波に揺る春の湖 智恵子
犬に連れられて見つけし初桜 かえる
真暗なる洞窟春の泥まみれ 康子
抜かで置く庭に瞬く犬ふぐり やよい
神木を跨ぐ参道木の芽風 康子
日程は桜開花に左右され 明日香
百千鳥裸木の枝の葉の如し きよえ
すいすいと下る二輪に春の風 みきえ
杖に良き枝並べられ登山口 あひる
踏まれても目地に花咲き菫かな わかば
藁庇よりしづくして春の雨 みのる
猫もまた春眠貪る出窓かな 澄子
島巡る海上タクシー養花天 みきお
香を薫く独りの時の楽しみと わかば
あと五段のぼればゴール山笑ふ せいじ
春場所やざんばら力士活躍す みきお
飛び跳ねるおしゃまなスーツ卒園児 山椒
室の中春の蜜柑や甘くなる 明日香
父母の思ひ出尽きぬ彼岸入 なつき
杜の樹々打つ音は剣道春疾風 そうけい
さにづらふ色の地平の朝霞 えいじ
塀超へて蕾綻ぶ花かりん かえる
厳めしき胸像の顔春愁ひ 山椒
鳩独占養生中の春の芝 せいじ

2024年03月16日

弁当の箸の音たて春朝明 えいじ
春雷や埴輪の妊婦口開けて みきお
老耄の歩みを誘ふえくぼ花 えいいち
かむなびし遅日の寺門潜りけり 澄子
空真青綾子生家に梅かほる やよい
街角のホ句に湯冷めす道後の湯 康子
足弱と共々散歩青き踏む ぽんこ
春寒やネクタイ直す写真館 豊実
艶の葉に真紅の椿映え盛り えいいち
トラクター前に後ろに春耕す かえる
花言葉も添へて山茱萸大瓶に こすもす
しらす丼春の江ノ島鳶の笛 智恵子
見晴るかす京を沈めて春霞 あひる
車椅子降りてベンチへ春の風 満天
トラ柵もひつくりかへる春疾風 えいじ
雛の宿地酒と古銭飾りたり なつき
父倒る辛夷の花の咲きし頃 山椒
逆光の人影おぼろ春茜 みきお
無住寺に僧侶入りたり彼岸入り 愛正
彼岸参絶えぬ古刹の池めぐり 愛正
寒暖の上げ下げ激し入彼岸 千鶴
貼りたてのマルチへ迫る春の霜 かえる
紅白に咲き分け枝垂る梅一本 千鶴
土筆飯野の香ただよふ夕厨 わかば
何をするでも無く長閑花壇愛ず たか子
福寿草可憐五葉の松の下 せいじ
社のタブ群れる莟に春の風 そうけい
繰れば祠これ御神木落椿 そうけい
写真撮る人あり店頭の山茱萸 こすもす
低き軒連ぬ街道つばめ来る なつき
賜わりし春日全身浴ぶひと日 明日香
突然に鯉の跳ね上ぐ春の池 康子
七色の架橋望みて春の宵 わかば
山桜蕾綻び天仰ぐ きよえ
スカーフに替えて外出春うらら みきえ
通学路背中に朝日春日燦 満天
学び舎の窓にひとひら春光る 智恵子
細波の黄金に光る鴨の池 きよえ
卒業子友にコサージュ直さるる むべ
落椿沙弥の箒に履かれけり みのる
旋回の鳶を見下ろす春の山 あひる
天鵞絨の苔に安らふ落椿 みのる
芭蕉枯る魑魅魍魎はかくもあらん せいじ
ビル影にひかり残れる遅日かな 澄子
春の草やさしく抱く御土居かな もとこ
ストックを土産にもらふ謝恩会 むべ
紋黄蝶初心者運転ゆらゆらと 山椒
あちこちに耕人の影土をどる 明日香

2024年03月15日

花菜畑諸鳥連れてあさりゐる そうけい
春夕日群を離れて番鴨 きよえ
身をよぢり咲ける辛夷の白さかな 澄子
地を跳ねて出虫喰らふ春鶫 えいいち
ブレザーの釦に聖句卒業子 むべ
春光や灯籠続く松並木 豊実
熊鈴の夫があと来る春の山 あひる
春先は新物の文字あふれてる 明日香
影の枝に花咲く如く梅の散る かえる
白辛夷空貫きて咲きにけり 山椒
咲き満ちて香りの河津桜かな わかば
段丘を風吹き上ぐる桃の花 澄子
播磨灘沈む夕日の朧なる きよえ
杖の妻気遣ふ夫や花の坂 なつき
先人の町起こしなる花堤 せいじ
鶯とおぼしき声や夕散歩 こすもす
菜の花の春を頂く酢みそ和え 明日香
花杏枝天を突き満開す 満天
春愁やなにも出来ない日の続く わかば
駒返る草に白髪のジョガーゆく えいじ
春雨や傘持ち替へて由緒読む なつき
春の川鯉気持ちよく日にあたり 満天
隈笹の覆う小道や残り雪 愛正
小流の短き滝へ春の虹 かえる
初蝶や車往き交ふ道を越え えいいち
機上より紙吹雪めく残り雪 康子
ため池を漁る白鷺水温む 千鶴
広池を一閃二閃ゆりかもめ みのる
側溝へ雨ともろとも花の塵 えいじ
春雨に濡れる湯上がり温泉街 康子
観潮や大渦現し奈落かな 智恵子
啓蟄や去年の傷のむず痒く もとこ
柱状節理仰ぎ春愁わすれをり やよい
空畑の一面ピンク仏の座 そうけい
壁叩くががんぼの脚折れ易く みきお
まず咲くと満作の花名乗り上ぐ たか子
保護者席よりメゾ和せる卒業歌 むべ
春の堀木屑のごとく亀の首 ぽんこ
足跡を渚に残し磯遊び 智恵子
翩翻と桜まつりの幟旗 せいじ
日矢の空沢筋光る残り雪 愛正
公園の天使の像も日向ぼこ 山椒
お目かしの犬もモデルに花の中 はく子
吾を鹿と思ひ頑張る春登山 あひる
春場所や舞妓の観に来浪花かな みきえ
なずな咲く家庭菜園何作ろう こすもす
二合寿司祀りて配る社日かな 千鶴
流し雛手を振り別る女の子 みきお
春水をへだてて手話を交はしけり みのる

2024年03月14日

青芝のつんと突き出る潦 康子
犬の背をこすりつけたるはこべ野や むべ
制服のはちきれさうな卒業生 満天
いぬふぐりここにあそこにむかうにも 明日香
壺焼の傾きジュッと灰鳴らす 智恵子
蹲の水面静かな遅日かな 澄子
まちまちの高さの土筆まだ青し こすもす
桜餅食む川風を頬に受け あひる
囀れる森を眼下に展望台 康子
ひと群れのきもの乙女や花の下 あひる
卒業生背中の小さきランドセル 満天
異国語の人垣溢る桜道 わかば
洗濯物妻はベランダ涅槃西風 たかを
花堤行けば戊辰の戦死者碑 せいじ
高さ違う土筆二本や空青し こすもす
春光ややっと役所の外に出れば たか子
野点傘立てし床几や桜餅 みのる
倒木に腰降ろし聴く百千鳥 澄子
溝五位と撮り人の間の静けさや えいいち
木星に下がる釣り舟春の月 みきえ
湯のたぎる浜小屋に来し若布刈舟 千鶴
七色の淡き色合いしゃぼん玉 ぽんこ
ぼんぼりを吊し待ちたる初桜 なつき
小屋裏の除雪の山に鳥騒ぐ 愛正
楠大樹風に溢れし春落葉 えいじ
日も風も羽ばたきさえも暖かや きよえ
隈笹の斜面に随所残り雪 愛正
菜に交じりはこべ湯掻かる浅緑 むべ
昔日の戦場はいま花堤 せいじ
信号を待つ人見上ぐ花ミモザ かえる
たんぽぽの笑顔に会える散歩かな 明日香
初桜写真撮り合ふ夫婦かな なつき
木蓮の花芽は天を向いてをり 豊実
啓蟄やもぐらの穴もあちこちに えいいち
翳す手に朝日受けつつ青き踏む かえる
玉砂利もはねて掃除の春落葉 えいじ
大の字に緑額縁山笑う もとこ
シンコ漁解禁日のみ打ち切りに きよえ
紅の河津桜のいと美し わかば
お迎えの春雨傘を高く掲げ みのる
百合鴎戻り賑わいはふ隅田川 智恵子
紅白の混ざりたる梅枝垂れをり 千鶴
キラキラと岸辺に溢る春の水 みきお
竹林のそよと鶯谷渡る やよい

2024年03月13日

春の夜独りの時間書に耽る わかば
麗かな野に日曜は育児パパ えいいち
太ももに隙間ありける春寒し もとこ
群がって波に揺揺のこる鴨 きよえ
眼鏡屋のレンズにならぶ春光 あひる
逆回りの婆とまた会ふ春の苑 かえる
蜜蜂の膨るるやうな羽音かな えいじ
春雨に思ひの残るけぶる街 そうけい
進級に荷を持ち帰る下校の子 愛正
裏山に赤白見らるや藪椿 愛正
駅舎出で身震い一つ寒戻る 智恵子
もう逢へぬひとと語らふ春の夢 かえる
いばりしてまた啼きにゆく春の猫 えいじ
玄武洞神在わすかに涅槃西風 たか子
終点の濠に釣人花堤 せいじ
父母に似し眼鏡かけたる雛の絵 なつき
スズメ蜂の巣はそのままや余寒あり こすもす
いま落ちしばかりの椿家苞に みのる
静かなる御堂に聞ける百千鳥 康子
永日を友と楽しむ美術館 智恵子
震わせる小鷺の脚に温む水 えいいち
煤煙のモンスターかな霞に消ゆ きよえ
連れ歩く犬とて春のベスト着せ 満天
裏木戸の透かし彫より黄水仙 むべ
春障子揺るる枝先写しをり 千鶴
タクト振る指揮者の如し柳の枝 山椒
疾風に色薄れゆく風車 やよい
道沿ひの小さき花壇菜の花を 満天
城壁に飛び交う影や春の鳥 康子
思い馳す木々の実りや剪定日 わかば
パーフェクトな一日はなし彼岸前 こすもす
老ひ母の長き告白春愁 むべ
ギャラリーは土蔵造りよ雛飾る なつき
大百足虫脚を揃へて止まりけり みきお
目標はこの三叉路の紫木蓮 澄子
香久山に雲居たなびき春の靄 明日香
老母話し出すをさなき日春の夢 あひる
仰向けに落ちやすらへる椿かな みのる
春雨やバス停前の香に酔いて そうけい
犬連れて思ひ思ひの花の午後 せいじ
長き脚競うが如く蜂の舞い たかを
彼方より飛行士帰還春の海 みきえ
花椿一枝影置く火灯窓 澄子
ブロンズの踊る少女に春の光 ぽんこ
くぐもるる鳩の声する木の芽晴 千鶴
何処より香りの便り沈丁花 山椒
病む母のベッド動かす薔薇満開 みきお
黒マルチピンと張る畝春の虹 豊実
春場所は難波を歩く丁髷に 明日香

2024年03月12日

絡み合ふ枝幹に透くる山椿 愛正
山茱萸の黄をちりばめし青天井 せいじ
雲梯を握る指先春の雲 みきお
蜜鳥や花に埋もれて蜜を吸ふ えいいち
子の笑顔のごと大輪の紅椿 満天
春潮や河口犇めく都鳥 澄子
水鳥のフンに注意と標多々 せいじ
観音山下りは早し芽吹き風 なつき
調度みな昭和レトロや雛の宿 みのる
シンボルの鼓楼に春陽出石城 たか子
縁石に日の斑あふる春落葉 ぽんこ
回廊を火の粉の雨やお水取り 千鶴
美智子妃に似たる昭和の女雛かな みのる
窓際に洩れて日矢さす春の朝 えいじ
春の雨何するもなく煎茶淹れ もとこ
春夕日身を寄す鴨や河川敷 きよえ
厨のあさり闇に寝言の多きかな 智恵子
鈴の緒の美しき岩戸や春社 明日香
杉枝に隠れ鳴けるや春の瑠璃鳥 えいいち
麗らかや白猫発光するごとし 澄子
残る実の川面に映る金鈴子 あひる
しゃぼん玉ぱちんと潰す飛沫かな かえる
思わざることの次第や春愁 わかば
春祭だんじり唄の練習日 千鶴
春陰や閉じて久しき古水門 むべ
摘草を溢しては摘み子ら笑ふ かえる
近道の畔ぬけゆくや草萌ゆる みきえ
頬杖をつきてベンチの暖かさ えいじ
雨情歌碑のバス停野口春あられ なつき
囀りやリフトゆるりと山頂へ 康子
引き潮にアタックしつつ残る鴨 きよえ
雛あられなぜか残るは白ばかり 智恵子
大空の高枝野鳩の日向ぼこ あひる
ものの芽は日差しより雨待ちにけり 満天
下校児の合唱たのし春の畦 やよい
歩く事思うに任せず春愁 わかば
雨上がり日矢に色付く春の山 康子
集落に時を知らせる鐘朧 みきお
天降り付く天香具山春しぐれ 明日香
な忘れそ今年こそ蒔く花の種 こすもす
僧侶の手一枝に一輪玉椿 愛正
山小屋のテラスにそよぐ花ミモザ 豊実
春雨に鴉の濡羽明るかり むべ

2024年03月11日

貰ひ風呂帰る夜道や冴返る みきお
ふらここを漕がず内緒の話かな かえる
霞立つ船影淡く凪の海 わかば
老梅の枝に鳥鳴く火灯窓 智恵子
東北の旅反芻す震災忌 千鶴
春あられ古雛ならぶ中馬道 なつき
城崎の湯殿に春の入り日かな たか子
野となりし祖父の家跡つくし摘む あひる
不意にきしボール春野へ蹴り返す えいじ
のどけしや風を捉へて鳶の舞ふ わかば
郊外の車窓に現れし桃の垣 智恵子
突風に風花舞ふや風と去る きよえ
剪定の音響きたる神の杜 康子
白木蓮や焼き餅如く膨らまん えいいち
桟橋を打つ波ばかり鴨帰る えいいち
玉串を供へ一礼花椿 豊実
春田打ち響く快音柔き土 みきえ
ポップコーン弾けゆくごと初ざくら あひる
かはいいは買わぬ台詞よ苗木市 なつき
門灯に寒緋桜のつやめけり むべ
水底に揺らぐ斑日水草生ふ 澄子
陽と水とほんの手加へ春栽培 千鶴
水温む身じろぎもせず白鷺に 満天
ものの芽や戦火逃れし民家あり 澄子
震災忌役所は半旗掲げをり やよい
春炬燵の席で観賞映画館 こすもす
春の野に雀追ひたるをさな子や むべ
引き揚げし転覆船に月冴ゆる 山椒
船渡御の雛を池に浮かべけり みのる
筆の花ゆびのさきまでまつくろに えいじ
高松塚帽子の形風光る 明日香
田園の広ごる里の山笑ふ きよえ
外堀をたたら走りす春の鴨 ぽんこ
飛機雲の消ゆる海原朝霞 康子
胡蝶蘭そっと当てたる春日影 みきえ
蘖を咥えお澄まし楠大樹 かえる
庭の奥蕾膨らむ沈丁花 こすもす
春場所の地元力士の技見事 満天
さくら餅上座に置かる子供椅子 愛正
春めくや筋力もどすゆつくりと もとこ



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