大粒の雨ばら撒ひて春雷す | かえる |
大楠を揺さぶりやまず春北風 | 澄子 |
倒木をすれすれ潜る遍路道 | なつき |
ドームへと向かふ車列や名残雪 | こすもす |
残り鴨鳴いて呼び合ふ寂しがり | もとこ |
崖下の光る深紅や落椿 | 康子 |
春愁や地震も事故も解雇まで | 明日香 |
如月の野鳥飛び立つ川原風 | 愛正 |
夕風に椨の木の芽をほどきけり | むべ |
鳥の影窓を横切る春嵐 | 豊実 |
春山路森林浴を満喫す | せいじ |
大歓声駆くるピッチや芝青む | みきえ |
見て見てと妻が指差す揚雲雀 | せいじ |
托鉢の声のちぎれる春颯 | みきお |
芽吹きたる桜並木のほの紅し | やよい |
春の雪パン屋も今日は早仕舞い | もとこ |
花ミモザ目の先までも咲き誇る | きよえ |
春昼や鶏の遊べる神の庭 | 千鶴 |
ちぐはぐのソファーあたたか牧師室 | あひる |
薪ストーブぬくし古民家マルシェかな | やよい |
並木道落葉樹伐られ桜待つ | 満天 |
小湊の湾を赤潮埋めつくす | 智恵子 |
叡山の烟りて京は春時雨 | あひる |
山笑ふ膝も笑ひて男坂 | 智恵子 |
一菜に季節先取る木の芽和 | 愛正 |
大空に風の道あり鳥帰る | みきお |
あの桜実がなるのよと妻いへり | えいじ |
幾畝のシート外すや風光る | そうけい |
花ミモザ香や道しるべ花の寺 | きよえ |
松の花防風林となる中に | わかば |
春疾風を蹴り上げるサッカー少年たち | 満天 |
雪柳微かな風も捉えけり | ぽんこ |
人麻呂の山辺の歌碑や風光る | 千鶴 |
2024年03月20日 | |
かあかあとまねる子もゆく春野かな | えいじ |
黒々と老樹遅日のシルエット | 澄子 |
彼岸桜今満開の里の園 | きよえ |
春雷の一閃はしるコンコース | むべ |
陽に光る池の辺の雪柳 | 豊実 |
春雨に煙る車窓の救急車 | こすもす |
初桜朝より紅み増しにけり | 愛正 |
枝の間を飛び交い連む鳥の恋 | えいいち |
店先の花桶倒す春北風 | むべ |
春分の日猫の目のごと日照雨 | ぽんこ |
春雷や干し物とるにあたふたと | 明日香 |
痛快なるゴジラ映画や春嵐 | 千鶴 |
荒れる手に若き美容師慣れるとや | みきえ |
お帰りと言う如庭の白木蓮 | こすもす |
木瓜一輪揺れて瀬音に耳澄ます | かえる |
春時雨犬は翁に歩を合はせ | あひる |
バスの揺れ揺籠めきて目借時 | 智恵子 |
亡き人の形見分けもし初彼岸 | たか子 |
牛小屋の小さな灯り菜種梅雨 | みきお |
雨風に打たれや咲かぬ春花芽 | えいいち |
小さきは放してやりぬ春鮒釣 | えいじ |
根も岩も超えて真直ぐに遍路鈴 | なつき |
春寒や仕舞ひかけたるコート着る | 満天 |
定まらぬ写経の字粒彼岸寒 | うつぎ |
春嵐ビンゴカードに穴数多 | なつき |
大荒のひと日となれり春愁ひ | 明日香 |
雪柳白き花みな天仰ぐ | きよえ |
土手の道どこまで続く花菜畑 | 康子 |
春深し庵のしづけさ花頭の窓 | そうけい |
コーヒーに寛ぎをれば春の雪 | あひる |
仰ぎ見る視線の先の初桜 | 愛正 |
春眠の猫や古刹のそこここに | 康子 |
鉄塔の浮かぶ山々春霞 | みきお |
猫柳の真珠のごとき雨しずく | 満天 |
野路ゆくや夕餉にと摘む蕗の薹 | やよい |
神の庭彼岸桜の照り陰り | 千鶴 |
と見る間に野に見失ふ落雲雀 | せいじ |
墓地の草すみれの小花抜かでをく | はく子 |
日を弾く水面に揺らぐさくらかな | 澄子 |
ままごと程の蕗味噌できて分かち合ふ | やよい |
満天の星のごとくに花辛夷 | せいじ |
鵯の矢の出で入るたびに椿落つ | みのる |
風に怯えスクラム組んで犬ふぐり | 智恵子 |
古傷の足をひきひきずり春寒し | みのる |
啓蟄やふすまの軋み柔ぎて | もとこ |
卒業式袴にブーツはいからさん | みきえ |
雪柳うねり仰け反り風強し | かえる |
2024年03月19日 | |
装ひに惑ふ三寒四温かな | 澄子 |
昼餉とす春黄金花置く老舗 | そうけい |
野辺歩き芹摘むこともそのひとつ | 千鶴 |
球春や快音響く甲子園 | みきお |
風除けの網にもたるる豆の花 | 豊実 |
夜桜の枝に眉月かかりたる | むべ |
急坂の頼りは膝と遍路杖 | なつき |
遅れてもスタスタ歩きうららけし | たかを |
サイホンに残るコーヒー春愁ひ | ぽんこ |
銀鱗の光掬いし春鮒釣 | えいじ |
ハングライダーふはり着地す春の野路 | やよい |
塀越しのひと枝重し初桜 | 愛正 |
お中日コロナ以来の里帰り | 明日香 |
神池に光り高舞ふゆりかもめ | 康子 |
柏手の響く参道初音聴く | 智恵子 |
山うらら留学生のカップルも | せいじ |
羊舎はベビーラッシュや牧の春 | みのる |
ぽこぽこと膨れ広がり山笑う | もとこ |
点と見れば羽撃いてをり揚雲雀 | あひる |
細流に身を任せゐる残り鴨 | かえる |
花芽みな空を指し居て辛夷かな | わかば |
触太鼓浪花の街の風光る | こすもす |
父母の戒名読みて彼岸かな | えいいち |
川波にゆたり浮くかに残る鴨 | きよえ |
てふてふの一服したる石畳 | 澄子 |
春銀河水面に歪むスカイツリー | 智恵子 |
一筋のささくれめくる遍路杖 | なつき |
センバツに相撲観戦春炬燵 | 満天 |
児の後を父母は肩寄せ花堤 | たかを |
摘ませじと袖引く棘や山椒の芽 | むべ |
雨晴れて瀬音高まる春の川 | かえる |
羊群の上団々と春の雲 | みのる |
まほろばの川音高き里の春 | 千鶴 |
銀輪を二台止めたる花辛夷 | あひる |
籠り出る導と開く桜かな | えいいち |
床体操余寒に五体軋みけり | たか子 |
初蝶の目の前を過ぎ物干し場 | わかば |
行厨はいきなり団子山笑ふ | せいじ |
ヌートリアファミリー憩ふ春の池 | きよえ |
缶コーヒー片手に親子麦を踏む | みきお |
公園の隅明るうす黄水仙 | 満天 |
力士幟の元でポーズや春ショール | こすもす |
むず痒し髪を捌きし春の風 | えいじ |
ぼたもちを大小作るお中日 | そうけい |
春暁の海や眠れる造船所 | 康子 |
常盤木に隠るる古刹百千鳥 | 愛正 |
2024年03月18日 | |
鬣の獅子舞える如雪柳 | 山椒 |
球春や打つも走るも全速で | 山椒 |
金剛杖つく目の端に蕗の薹 | なつき |
春北風車道に留まる開く傘 | みきえ |
うぐいすとまだ言い難き初音かな | 豊実 |
風に乗る打出し太鼓春夕焼け | こすもす |
天日干す楮匂ふや春の昼 | やよい |
無住寺の灯り久しき彼岸かな | 愛正 |
春疾手竹百幹を鳴らし打つ | 澄子 |
枯蓮水漬きて亀の甲羅めく | うつぎ |
山の辺の道のほとりや黄水仙 | 千鶴 |
春風に交じる鬢付け油の香 | こすもす |
幌ひらく俥夫の手際や春の雨 | 康子 |
麗らかやお砂場デビューの孫夢中 | 康子 |
大風の吹き荒れたるや彼岸入り | えいいち |
合う度に浮き立つ心花ミモザ | わかば |
彼岸桜ご神域なる園に咲く | 千鶴 |
菜の花に釣り糸絡む堀まはり | むべ |
波被る逸る鴨かな進み行く | きよえ |
堀川の水の煌めき春の光 | ぽんこ |
そぼ濡れる四手の白さや春社 | 明日香 |
石庭の白き玉石風光る | 智恵子 |
春寒の旅の予定の空白欄 | もとこ |
人ごみに紛れ至福や花筵 | 智恵子 |
雨降りは鳥の啄む春の芝 | えいじ |
受験子とおぼしき人も如意ヶ嶽 | せいじ |
卒業の孫のおでこのにきびかな | あひる |
クレーン船活動の波戸夕霞 | きよえ |
円卓に赤薔薇散らすオードブル | むべ |
棚藤のがんじがらみの芽吹きかな | みのる |
春雨のあがりゆく嶺に射す日かな | みのる |
春疾風二日遅れの回覧板 | そうけい |
蒼天に白きシャトルや春日和 | えいじ |
落椿関所のごとき峠道 | なつき |
のどけしや夕べの鐘の間遠より | わかば |
蕗の芽の香り増幅口中香 | 愛正 |
畑の砂巻き上げ失す社春疾風 | そうけい |
花韮の満開となる忘れ鉢 | あひる |
会釈から話の弾む彼岸かな | みきえ |
地蔵尊の周り明るき菜の花に | 満天 |
倒木に芽吹く気概のありにけり | 澄子 |
同伴の歩にやや遅れ春登山 | せいじ |
春夕を眺む樹頂の片烏 | えいいち |
国見する天香久山佐保姫来 | 明日香 |
花韮や切り株囲む星のごと | かえる |
対岸の翁のバリトン春うらら | かえる |
学び舎より風に乗りくる卒業歌 | 満天 |
2024年03月17日 | |
網中の売れぬ球根芽吹きたり | えいいち |
スーパー跡まだ決まらずや春寒し | 満天 |
春の鯉寺の主なる面構 | うつぎ |
庭芝の青みさしたる彼岸かな | 愛正 |
老骨をよく休めよと春の雨 | みのる |
妙義山奇岩縁どる春夕焼 | 愛正 |
賑わひていちご大福生れにけり | あひる |
音楽と拍手に乗って卒園児 | 豊実 |
庭石を文鎮として春の墨 | 智恵子 |
姉妹して墓ひた濡らす彼岸入 | なつき |
雪柳雨粒弾くごと揺るる | きよえ |
花影や人ゆくところ灯ともりぬ | 澄子 |
農人の耕す土塊トラクター | ぽんこ |
輪の動くボール遊びや春の芝 | えいじ |
休耕田菜の花で満つ畝一本 | こすもす |
わらび摘む見落としがちな池の縁 | 千鶴 |
春水を湛へ影置く浮見堂 | たか子 |
鴨足のオレンジ色や水の春 | もとこ |
白木蓮や空へ咲く乳色の花 | えいいち |
葉牡丹の塔のごとしや茎立ちて | 満天 |
朱の鳥居小波に揺る春の湖 | 智恵子 |
犬に連れられて見つけし初桜 | かえる |
真暗なる洞窟春の泥まみれ | 康子 |
抜かで置く庭に瞬く犬ふぐり | やよい |
神木を跨ぐ参道木の芽風 | 康子 |
日程は桜開花に左右され | 明日香 |
百千鳥裸木の枝の葉の如し | きよえ |
すいすいと下る二輪に春の風 | みきえ |
杖に良き枝並べられ登山口 | あひる |
踏まれても目地に花咲き菫かな | わかば |
藁庇よりしづくして春の雨 | みのる |
猫もまた春眠貪る出窓かな | 澄子 |
島巡る海上タクシー養花天 | みきお |
香を薫く独りの時の楽しみと | わかば |
あと五段のぼればゴール山笑ふ | せいじ |
春場所やざんばら力士活躍す | みきお |
飛び跳ねるおしゃまなスーツ卒園児 | 山椒 |
室の中春の蜜柑や甘くなる | 明日香 |
父母の思ひ出尽きぬ彼岸入 | なつき |
杜の樹々打つ音は剣道春疾風 | そうけい |
さにづらふ色の地平の朝霞 | えいじ |
塀超へて蕾綻ぶ花かりん | かえる |
厳めしき胸像の顔春愁ひ | 山椒 |
鳩独占養生中の春の芝 | せいじ |
2024年03月16日 | |
弁当の箸の音たて春朝明 | えいじ |
春雷や埴輪の妊婦口開けて | みきお |
老耄の歩みを誘ふえくぼ花 | えいいち |
かむなびし遅日の寺門潜りけり | 澄子 |
空真青綾子生家に梅かほる | やよい |
街角のホ句に湯冷めす道後の湯 | 康子 |
足弱と共々散歩青き踏む | ぽんこ |
春寒やネクタイ直す写真館 | 豊実 |
艶の葉に真紅の椿映え盛り | えいいち |
トラクター前に後ろに春耕す | かえる |
花言葉も添へて山茱萸大瓶に | こすもす |
しらす丼春の江ノ島鳶の笛 | 智恵子 |
見晴るかす京を沈めて春霞 | あひる |
車椅子降りてベンチへ春の風 | 満天 |
トラ柵もひつくりかへる春疾風 | えいじ |
雛の宿地酒と古銭飾りたり | なつき |
父倒る辛夷の花の咲きし頃 | 山椒 |
逆光の人影おぼろ春茜 | みきお |
無住寺に僧侶入りたり彼岸入り | 愛正 |
彼岸参絶えぬ古刹の池めぐり | 愛正 |
寒暖の上げ下げ激し入彼岸 | 千鶴 |
貼りたてのマルチへ迫る春の霜 | かえる |
紅白に咲き分け枝垂る梅一本 | 千鶴 |
土筆飯野の香ただよふ夕厨 | わかば |
何をするでも無く長閑花壇愛ず | たか子 |
福寿草可憐五葉の松の下 | せいじ |
社のタブ群れる莟に春の風 | そうけい |
繰れば祠これ御神木落椿 | そうけい |
写真撮る人あり店頭の山茱萸 | こすもす |
低き軒連ぬ街道つばめ来る | なつき |
賜わりし春日全身浴ぶひと日 | 明日香 |
突然に鯉の跳ね上ぐ春の池 | 康子 |
七色の架橋望みて春の宵 | わかば |
山桜蕾綻び天仰ぐ | きよえ |
スカーフに替えて外出春うらら | みきえ |
通学路背中に朝日春日燦 | 満天 |
学び舎の窓にひとひら春光る | 智恵子 |
細波の黄金に光る鴨の池 | きよえ |
卒業子友にコサージュ直さるる | むべ |
落椿沙弥の箒に履かれけり | みのる |
旋回の鳶を見下ろす春の山 | あひる |
天鵞絨の苔に安らふ落椿 | みのる |
芭蕉枯る魑魅魍魎はかくもあらん | せいじ |
ビル影にひかり残れる遅日かな | 澄子 |
春の草やさしく抱く御土居かな | もとこ |
ストックを土産にもらふ謝恩会 | むべ |
紋黄蝶初心者運転ゆらゆらと | 山椒 |
あちこちに耕人の影土をどる | 明日香 |
2024年03月15日 | |
花菜畑諸鳥連れてあさりゐる | そうけい |
春夕日群を離れて番鴨 | きよえ |
身をよぢり咲ける辛夷の白さかな | 澄子 |
地を跳ねて出虫喰らふ春鶫 | えいいち |
ブレザーの釦に聖句卒業子 | むべ |
春光や灯籠続く松並木 | 豊実 |
熊鈴の夫があと来る春の山 | あひる |
春先は新物の文字あふれてる | 明日香 |
影の枝に花咲く如く梅の散る | かえる |
白辛夷空貫きて咲きにけり | 山椒 |
咲き満ちて香りの河津桜かな | わかば |
段丘を風吹き上ぐる桃の花 | 澄子 |
播磨灘沈む夕日の朧なる | きよえ |
杖の妻気遣ふ夫や花の坂 | なつき |
先人の町起こしなる花堤 | せいじ |
鶯とおぼしき声や夕散歩 | こすもす |
菜の花の春を頂く酢みそ和え | 明日香 |
花杏枝天を突き満開す | 満天 |
春愁やなにも出来ない日の続く | わかば |
駒返る草に白髪のジョガーゆく | えいじ |
春雨や傘持ち替へて由緒読む | なつき |
春の川鯉気持ちよく日にあたり | 満天 |
隈笹の覆う小道や残り雪 | 愛正 |
小流の短き滝へ春の虹 | かえる |
初蝶や車往き交ふ道を越え | えいいち |
機上より紙吹雪めく残り雪 | 康子 |
ため池を漁る白鷺水温む | 千鶴 |
広池を一閃二閃ゆりかもめ | みのる |
側溝へ雨ともろとも花の塵 | えいじ |
春雨に濡れる湯上がり温泉街 | 康子 |
観潮や大渦現し奈落かな | 智恵子 |
啓蟄や去年の傷のむず痒く | もとこ |
柱状節理仰ぎ春愁わすれをり | やよい |
空畑の一面ピンク仏の座 | そうけい |
壁叩くががんぼの脚折れ易く | みきお |
まず咲くと満作の花名乗り上ぐ | たか子 |
保護者席よりメゾ和せる卒業歌 | むべ |
春の堀木屑のごとく亀の首 | ぽんこ |
足跡を渚に残し磯遊び | 智恵子 |
翩翻と桜まつりの幟旗 | せいじ |
日矢の空沢筋光る残り雪 | 愛正 |
公園の天使の像も日向ぼこ | 山椒 |
お目かしの犬もモデルに花の中 | はく子 |
吾を鹿と思ひ頑張る春登山 | あひる |
春場所や舞妓の観に来浪花かな | みきえ |
なずな咲く家庭菜園何作ろう | こすもす |
二合寿司祀りて配る社日かな | 千鶴 |
流し雛手を振り別る女の子 | みきお |
春水をへだてて手話を交はしけり | みのる |
2024年03月14日 | |
青芝のつんと突き出る潦 | 康子 |
犬の背をこすりつけたるはこべ野や | むべ |
制服のはちきれさうな卒業生 | 満天 |
いぬふぐりここにあそこにむかうにも | 明日香 |
壺焼の傾きジュッと灰鳴らす | 智恵子 |
蹲の水面静かな遅日かな | 澄子 |
まちまちの高さの土筆まだ青し | こすもす |
桜餅食む川風を頬に受け | あひる |
囀れる森を眼下に展望台 | 康子 |
ひと群れのきもの乙女や花の下 | あひる |
卒業生背中の小さきランドセル | 満天 |
異国語の人垣溢る桜道 | わかば |
洗濯物妻はベランダ涅槃西風 | たかを |
花堤行けば戊辰の戦死者碑 | せいじ |
高さ違う土筆二本や空青し | こすもす |
春光ややっと役所の外に出れば | たか子 |
野点傘立てし床几や桜餅 | みのる |
倒木に腰降ろし聴く百千鳥 | 澄子 |
溝五位と撮り人の間の静けさや | えいいち |
木星に下がる釣り舟春の月 | みきえ |
湯のたぎる浜小屋に来し若布刈舟 | 千鶴 |
七色の淡き色合いしゃぼん玉 | ぽんこ |
ぼんぼりを吊し待ちたる初桜 | なつき |
小屋裏の除雪の山に鳥騒ぐ | 愛正 |
楠大樹風に溢れし春落葉 | えいじ |
日も風も羽ばたきさえも暖かや | きよえ |
隈笹の斜面に随所残り雪 | 愛正 |
菜に交じりはこべ湯掻かる浅緑 | むべ |
昔日の戦場はいま花堤 | せいじ |
信号を待つ人見上ぐ花ミモザ | かえる |
たんぽぽの笑顔に会える散歩かな | 明日香 |
初桜写真撮り合ふ夫婦かな | なつき |
木蓮の花芽は天を向いてをり | 豊実 |
啓蟄やもぐらの穴もあちこちに | えいいち |
翳す手に朝日受けつつ青き踏む | かえる |
玉砂利もはねて掃除の春落葉 | えいじ |
大の字に緑額縁山笑う | もとこ |
シンコ漁解禁日のみ打ち切りに | きよえ |
紅の河津桜のいと美し | わかば |
お迎えの春雨傘を高く掲げ | みのる |
百合鴎戻り賑わいはふ隅田川 | 智恵子 |
紅白の混ざりたる梅枝垂れをり | 千鶴 |
キラキラと岸辺に溢る春の水 | みきお |
竹林のそよと鶯谷渡る | やよい |
2024年03月13日 | |
春の夜独りの時間書に耽る | わかば |
麗かな野に日曜は育児パパ | えいいち |
太ももに隙間ありける春寒し | もとこ |
群がって波に揺揺のこる鴨 | きよえ |
眼鏡屋のレンズにならぶ春光 | あひる |
逆回りの婆とまた会ふ春の苑 | かえる |
蜜蜂の膨るるやうな羽音かな | えいじ |
春雨に思ひの残るけぶる街 | そうけい |
進級に荷を持ち帰る下校の子 | 愛正 |
裏山に赤白見らるや藪椿 | 愛正 |
駅舎出で身震い一つ寒戻る | 智恵子 |
もう逢へぬひとと語らふ春の夢 | かえる |
いばりしてまた啼きにゆく春の猫 | えいじ |
玄武洞神在わすかに涅槃西風 | たか子 |
終点の濠に釣人花堤 | せいじ |
父母に似し眼鏡かけたる雛の絵 | なつき |
スズメ蜂の巣はそのままや余寒あり | こすもす |
いま落ちしばかりの椿家苞に | みのる |
静かなる御堂に聞ける百千鳥 | 康子 |
永日を友と楽しむ美術館 | 智恵子 |
震わせる小鷺の脚に温む水 | えいいち |
煤煙のモンスターかな霞に消ゆ | きよえ |
連れ歩く犬とて春のベスト着せ | 満天 |
裏木戸の透かし彫より黄水仙 | むべ |
春障子揺るる枝先写しをり | 千鶴 |
タクト振る指揮者の如し柳の枝 | 山椒 |
疾風に色薄れゆく風車 | やよい |
道沿ひの小さき花壇菜の花を | 満天 |
城壁に飛び交う影や春の鳥 | 康子 |
思い馳す木々の実りや剪定日 | わかば |
パーフェクトな一日はなし彼岸前 | こすもす |
老ひ母の長き告白春愁 | むべ |
ギャラリーは土蔵造りよ雛飾る | なつき |
大百足虫脚を揃へて止まりけり | みきお |
目標はこの三叉路の紫木蓮 | 澄子 |
香久山に雲居たなびき春の靄 | 明日香 |
老母話し出すをさなき日春の夢 | あひる |
仰向けに落ちやすらへる椿かな | みのる |
春雨やバス停前の香に酔いて | そうけい |
犬連れて思ひ思ひの花の午後 | せいじ |
長き脚競うが如く蜂の舞い | たかを |
彼方より飛行士帰還春の海 | みきえ |
花椿一枝影置く火灯窓 | 澄子 |
ブロンズの踊る少女に春の光 | ぽんこ |
くぐもるる鳩の声する木の芽晴 | 千鶴 |
何処より香りの便り沈丁花 | 山椒 |
病む母のベッド動かす薔薇満開 | みきお |
黒マルチピンと張る畝春の虹 | 豊実 |
春場所は難波を歩く丁髷に | 明日香 |
2024年03月12日 | |
絡み合ふ枝幹に透くる山椿 | 愛正 |
山茱萸の黄をちりばめし青天井 | せいじ |
雲梯を握る指先春の雲 | みきお |
蜜鳥や花に埋もれて蜜を吸ふ | えいいち |
子の笑顔のごと大輪の紅椿 | 満天 |
春潮や河口犇めく都鳥 | 澄子 |
水鳥のフンに注意と標多々 | せいじ |
観音山下りは早し芽吹き風 | なつき |
調度みな昭和レトロや雛の宿 | みのる |
シンボルの鼓楼に春陽出石城 | たか子 |
縁石に日の斑あふる春落葉 | ぽんこ |
回廊を火の粉の雨やお水取り | 千鶴 |
美智子妃に似たる昭和の女雛かな | みのる |
窓際に洩れて日矢さす春の朝 | えいじ |
春の雨何するもなく煎茶淹れ | もとこ |
春夕日身を寄す鴨や河川敷 | きよえ |
厨のあさり闇に寝言の多きかな | 智恵子 |
鈴の緒の美しき岩戸や春社 | 明日香 |
杉枝に隠れ鳴けるや春の瑠璃鳥 | えいいち |
麗らかや白猫発光するごとし | 澄子 |
残る実の川面に映る金鈴子 | あひる |
しゃぼん玉ぱちんと潰す飛沫かな | かえる |
思わざることの次第や春愁 | わかば |
春祭だんじり唄の練習日 | 千鶴 |
春陰や閉じて久しき古水門 | むべ |
摘草を溢しては摘み子ら笑ふ | かえる |
近道の畔ぬけゆくや草萌ゆる | みきえ |
頬杖をつきてベンチの暖かさ | えいじ |
雨情歌碑のバス停野口春あられ | なつき |
囀りやリフトゆるりと山頂へ | 康子 |
引き潮にアタックしつつ残る鴨 | きよえ |
雛あられなぜか残るは白ばかり | 智恵子 |
大空の高枝野鳩の日向ぼこ | あひる |
ものの芽は日差しより雨待ちにけり | 満天 |
下校児の合唱たのし春の畦 | やよい |
歩く事思うに任せず春愁 | わかば |
雨上がり日矢に色付く春の山 | 康子 |
集落に時を知らせる鐘朧 | みきお |
天降り付く天香具山春しぐれ | 明日香 |
な忘れそ今年こそ蒔く花の種 | こすもす |
僧侶の手一枝に一輪玉椿 | 愛正 |
山小屋のテラスにそよぐ花ミモザ | 豊実 |
春雨に鴉の濡羽明るかり | むべ |
2024年03月11日 | |
貰ひ風呂帰る夜道や冴返る | みきお |
ふらここを漕がず内緒の話かな | かえる |
霞立つ船影淡く凪の海 | わかば |
老梅の枝に鳥鳴く火灯窓 | 智恵子 |
東北の旅反芻す震災忌 | 千鶴 |
春あられ古雛ならぶ中馬道 | なつき |
城崎の湯殿に春の入り日かな | たか子 |
野となりし祖父の家跡つくし摘む | あひる |
不意にきしボール春野へ蹴り返す | えいじ |
のどけしや風を捉へて鳶の舞ふ | わかば |
郊外の車窓に現れし桃の垣 | 智恵子 |
突風に風花舞ふや風と去る | きよえ |
剪定の音響きたる神の杜 | 康子 |
白木蓮や焼き餅如く膨らまん | えいいち |
桟橋を打つ波ばかり鴨帰る | えいいち |
玉串を供へ一礼花椿 | 豊実 |
春田打ち響く快音柔き土 | みきえ |
ポップコーン弾けゆくごと初ざくら | あひる |
かはいいは買わぬ台詞よ苗木市 | なつき |
門灯に寒緋桜のつやめけり | むべ |
水底に揺らぐ斑日水草生ふ | 澄子 |
陽と水とほんの手加へ春栽培 | 千鶴 |
水温む身じろぎもせず白鷺に | 満天 |
ものの芽や戦火逃れし民家あり | 澄子 |
震災忌役所は半旗掲げをり | やよい |
春炬燵の席で観賞映画館 | こすもす |
春の野に雀追ひたるをさな子や | むべ |
引き揚げし転覆船に月冴ゆる | 山椒 |
船渡御の雛を池に浮かべけり | みのる |
筆の花ゆびのさきまでまつくろに | えいじ |
高松塚帽子の形風光る | 明日香 |
田園の広ごる里の山笑ふ | きよえ |
外堀をたたら走りす春の鴨 | ぽんこ |
飛機雲の消ゆる海原朝霞 | 康子 |
胡蝶蘭そっと当てたる春日影 | みきえ |
蘖を咥えお澄まし楠大樹 | かえる |
庭の奥蕾膨らむ沈丁花 | こすもす |
春場所の地元力士の技見事 | 満天 |
さくら餅上座に置かる子供椅子 | 愛正 |
春めくや筋力もどすゆつくりと | もとこ |