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自転車の吾をのぞき込む赤蜻蛉 せいじ
老人会長の昔話や原爆忌 こすもす
マイセンの並べ売られて秋立ちぬ 幸子

2024年08月05日

夏野菜ざくざく切りてラタトゥイユ あひる
大波も小波もありて青田風 澄子
家々の蝉の掛け合ひ路地親し 康子
リフト行く足下にコスモスそよぎをり はく子
足音に逃げる舟虫散りじりに みきお
宴会の火照りを覚ます風涼し かえる
曽孫来て初めましてと墓参り もとこ
藪茗荷花に落ちくる雨の粒 風民
谷川の瀬音に肥ゆる青胡桃 風民
パリ五輪平和な闘志汗の美し たか子
観音の微笑み給ふ百日紅 ぽんこ
開店を待ちて米買ふ夏の朝 みきえ
肺腑突く音と光の花火かな 千鶴
甘酒のお味如何と母墓前 きよえ
一陣の涼風雷雨過ぎてより こすもす
水占い浮かぶ文字列涼気かな 明日香
西日照り出店に並ぶ長き影 えいじ
蝉しぐれツリーハウスに園児どち 康子
涼風に括りし千草揺れやまず 澄子
硝煙の微かに届く遠花火 智恵子
揚げ花火湖鏡揺らす万華鏡 智恵子
早朝に本成り西瓜供物台 愛正
白砂の熱砂となりし原爆忌 なつき
墓石に白く色変ふ雨蛙 なつき
潮風や島のなだりに除虫菊 みきお
診察を待つ間にドリル夏休み みきえ
立秋やくるりくるりと鉋屑 よし女
さよならと振る手のうえに夏の月 かえる
川床へ降りる手すりは竹製や 明日香
森からの風をとらへて青田波 むべ
下山して総身に受くる滝しぶき せいじ
夏祭り朝の片付け待つてゐる えいじ
サイレンの響く夜空に大花火 えいいち
日ぐれ時沸くよに群れる赤蜻蛉 きよえ
遠雷に帰路を案じる外出かな 幸子
炎昼の駅托鉢のビルマ僧 よし女
泥はねる元成西瓜の黒模様 愛正
井戸端に西瓜ごろごろうたた寝す ふさこ
猛暑日の夕立に欣喜雀躍す せいじ
そそくさと守宮消えゆく夜の庭 あひる
闇一閃咲くや大輪花火の夜 千鶴
だんじりを囃す老母の輝く眼 あられ
主婦ばかりひと時集ふ涼夜かな むべ
煙突の高さ淋しや夏の果 幸子

2024年08月04日

みなで食む冷し西瓜や礼拝後 あひる
朝まだき空をちらちら蚊食鳥 えいじ
帰宅路へ抜ける公園夜鳴き蝉 智恵子
亡き父母に亡き夫の事墓洗ふ たか子
生で観る頭上炸裂花火ショー 千鶴
網逃げて池面掠める蜻蛉かな きよえ
稜線のくっきり浮かび梅雨あける みきお
クルスより伸ぶる筋雲秋の空 康子
指熱くして茹でたての月見豆 かえる
泰山木匂い満喫歩道橋 智恵子
蟬の声ねじ巻き切れて飛び立てり なつき
遠雷や吾子乗る飛機の無事であれ あひる
日の盛り米売り切れの直売所 みきえ
貴船社の長き鳥居や床涼し 明日香
ベランダの手摺は暑しふきん干す ぽんこ
部活子の日焼けを照らすスマホ画面 康子
走り去るバイクのあおる暑き風 愛正
四つ角にくるり回すや夏日傘 幸子
足早に回る順路や炎天下 なつき
右折する吾を見てをりぬ日輪草 こすもす
青芝を転がるボール湧く歓呼 みきえ
スマホより囃す声あり夏祭 みきお
遠雷に入り込み迫るバイク音 愛正
草垣の晩夏の路地を狭うして せいじ
語り部の少なくなりて原爆忌 澄子
カトラリーみな美しき晩夏かな 幸子
爆音の久しぶりなる雷雨かな 満天
語り部の終戦の日や一機空 ふさこ
日の影を抜け行く風や秋近し えいいち
水羊羹半分残す僧のゐて こすもす
溝さらひ終えてしばしの近況を 満天
夏休み子の姿見ぬ里の道 きよえ
蝿止まる宝石店のショーケース よし女
夏真昼アスファルトなを沸騰す かえる
ごみ捨てに大蜘蛛の足我に着く 董雨
長岡の夜陰焦がして大花火 千鶴
秋を待つ互いの体気づかひて もとこ
徒長枝はほしいままなり夏の果 せいじ
かざしをる三輪の山裾茅の輪かな 明日香
塀途切れ絶叫めきし西日来る えいじ
夕焼けや同じ色なるワイン酌む よし女
ほろ酔いで友らと歩く夜の秋 むべ
チェコビール指ニ本分泡香る むべ

2024年08月03日

デパートの風鈴売り場ひと巡り 幸子
フライング悔し短距離夏五輪 みきえ
手を打てば慌てふためく蝉をかし せいじ
子ら去って袋に菓子と蝉の殻 よし女
まほろばの青田風揺れ青海波 明日香
雑草の勢力盛ん夾竹桃 ぽんこ
無口なる店主の捏ねる走り蕎麦 みきお
緑影にテーブル並ぶカフェ通り 智恵子
浴衣着て今が楽しや乙女どち もとこ
雑踏に身を委ねゆく残暑かな 澄子
一服の窓過ぎりゆく揚羽蝶 あひる
欄干の鉄錆臭ふ日の盛り 愛正
桃一個のりたるパフェぺろり食ぶ なつき
庭木々も夕立待つや疲れぎみ 満天
桟橋を大きく揺らす土用波 みきお
身も灼くる花見小路の石畳 せいじ
貴船社の水占いや杜涼し 明日香
五輪観て静もる真夜や虫の声 みきえ
二三言せみの寝言か夜の庭 あひる
お互いに汗を拭きつつ立ち話 満天
もう些と寝坊させてよ蝉しぐれ みのる
大花火小さき手浮かぶ肩車 康子
花火また花火のなかに花火かな えいじ
花氷時知らせつつ細るなり ふさこ
落日はヨットの帆先赤く染め 智恵子
日盛りに宿場家並み音もなし 愛正
老夫婦花火の特等席を知る 康子
闇市の名残りの路地の暑さかな 澄子
打敷とお花も替へて盆用意 こすもす
夜も暑し泣いて寝落ちる赤ん坊 幸子
銀の匙彩る野菜ゼリー寄せ むべ
サンドレス纏ひ楚々たる歩みかな かえる
乾杯の右手の重き暑気払 むべ
生き過ぎて看取る子も老い盆支度 董雨
夕闇に笑まふ彼女の紗のリボン かえる
頭上より浴びる健康水シャワー えいじ
海へ出てすぐ引き返す赤とんぼ よし女
初盆の日取りは僧のご都合で たか子
ウォーキングの夫冷房に戻りくる なつき
プール遊びおでこに国旗のシールつけ こすもす

2024年08月02日

行き帰り同じ自販機冷えた水 たかを
庵室を飾る虎児の絵涼しかり せいじ
採血にあらぬ方見て蝉しぐれ もとこ
汗引きぬ夜風を孕むワンピース 康子
あぶら虫悲鳴おさまる退治あと ふさこ
子らの声あふるる森のプールかな 康子
夕焼を斬る刃めく飛行雲 かえる
土用波乗り越へ進む漁船かな みきお
蝉しぐれ我を励ます応援歌 きよえ
服装に合わせ白色夏帽子 こすもす
坪庭を迫り出さんとす青芭蕉 あひる
欄干の鉄錆臭ふ日の盛り 愛正
空蝉のすがりし小枝瓶に挿し 明日香
蛇注意看板脇の瑠璃蜥蜴 えいじ
夏の月窓の端すこし掛かりけり えいじ
アナベルが葉つぱと同じ色になり 明日香
日盛りの宿場家並み音もなし 愛正
白塀をまだら模様に夏木陰 むべ
剣道の一斉素振り蝉時雨 みきお
夏の陽と砂を巻きつつ波寄する かえる
花火師の中洲に躍る影法師 智恵子
狛犬の頭上で遊ぶ雀の子 ぽんこ
青蔦をひきて青空引き寄せぬ 澄子
炎の天細き体で畑仕事 たかを
夏の果てコーチの胸で泣く少女 山椒
炎天にゆらぐ町なみ影もなし えいいち
飛び石の歩幅に合わぬ日の盛り 幸子
日盛や現場の音も途絶えたり えいいち
風鈴の揃ひ出迎ふ駅舎かな みきえ
涼しさや眼より描き初む似顔絵師 よし女
浮き草や突つと運河を席巻す たか子
百日紅紅の花先紅の花 きよえ
蜘蛛の囲の風にふくるる維新の地 よし女
庵涼し絵の虎児抱きたくなりぬ せいじ
山稜を随へ聳ゆ雲の峰 むべ
待ち受けは浴衣姿の娘と孫を こすもす
降り立ちし駅の広場や風立ちぬ 澄子
岩を撫でゆく涼風や潮音庭 あひる
チェーンソーの音に負けじと蝉しぐれ 満天
しなやかにプールの壁を蹴る少女 幸子
手に止まり互ひに吃驚吾と飛蝗 うつぎ
防音幕覆ふ学舎や夏休み みきえ

2024年08月01日

かなかなの森は今年も優しくて 智恵子
法堂にくぐもる読経蝉時雨 山椒
浜日傘ラジオの内の砂の音 澄子
雷の近きラジオのノイズかな 愛正
濡れし服脱ぎ風呂でまた水鉄砲 風民
悠々と歩む大路や朝涼し えいいち
老集い祭りの準備玉の汗 たかを
四歳の細きおさげや夏帽子 あひる
死闘なるラリー選手の光る汗 みきえ
海風を深呼吸せる白芙蓉 かえる
夏瘦せのバーゲンセール疎ましき ふさこ
傾ぎたる志士の墓碑より蟻出ずる よし女
八月や今朝の気配のどことなく きよえ
露草や暁の野に藍点す むべ
遠花火聞き耳立てて吠える犬 みきお
大画家の小品並ぶ庵涼し せいじ
炎天下園走る子のパワー欲し たか子
出勤のイヤホン族に蝉しぐれ 康子
文豪も黴纏ひたる古書の店 もとこ
煮炊きする事を避けたる残暑かな たか子
大雷雨天の水甕割るごとし むべ
南国の夏に思ひを馳せてゐる 明日香
盆踊移住の人ら増えし峡 うつぎ
吊り橋に響くひぐらし奈落かな 智恵子
禅庵の露地桔梗の並び咲く せいじ
猛暑日の暮れて朝まで熱帯夜 満天
前髪の長さ気になる夏休み こすもす
猛暑日のメモを片手に目も潤む 満天
水撒けばどこにいたのか川蜻蛉 明日香
子ら帰り夫と分け合ふ缶ビール なつき
風涼し干し物ほほに今朝の軒 きよえ
お盆玉は渋沢さんの新札で こすもす
水鉄砲構へ子の目の光りたり なつき
秋祭り近し社掃く通ひ禰宜 よし女
食欲のなき夏バテにゴマ豆腐 董雨
夜半少し風の匂へる戻り梅雨 えいじ
飛び石の濡れては乾く夏の川 かえる
思ひ出づ祖母の作りし梅酒かな 愛正
ひと鳴きで飛び立つ蝉や尿飛ばし みきお
夏帽のトンボブローチ兄妹 あひる
釣り上げて虹鱒の虹手の中に 風民
大音声ぴたりと止めし油蝉 山椒
蝌蚪や今小蛙となり大ジャンプ 千鶴
漏れ聞こゆよしこの節や夏の果て 澄子
広芝の散水乱れ風涼し 康子
夜半独り放屁の音や梅雨の闇 えいじ
粛々とグランドゴルフ猛暑の日 たかを

2024年07月31日

思ひ出づ祖母の作りし梅酒かな 愛正
真二つに棒の折れたりすいか割り あひる
新調の眼鏡や遥かまで涼し よし女
アロハ着た牧師の膝にをさな子ら あひる
浜木綿の花咲ききれづ喰われけり みきえ
山頂のテラスより海風薫る 山椒
蝉時雨ジージーシャンシャンシャン多し 明日香
胡瓜もみガラスの小鉢食すすむ 満天
内庭の縁に涼しき日陰あり せいじ
借景をホワイトアウト大雷雨 むべ
白鷺の突と嘴撃つ水田かな えいじ
一雨か降りそで降らぬ夏終る きよえ
終戦の夫の背にある苦悩あと ふさこ
碧眼のタトゥーの目立つ街暑し ぽんこ
酷暑下にコロナ禍またもぶり返し 千鶴
暮れてなほ残るほてりや鳳仙花 澄子
雷の近きラジオのノイズかな 愛正
胎の子の写真見せらる端居かな 康子
正座からすくとは立てず夏の果 明日香
蓮池を左右に配して勅使門 せいじ
弟より今年も届き水羊羹 こすもす
狛犬の小鼻膨らむ大暑かな よし女
葛切のみやげリュックに孫来る 風民
孫の奏ずピアノるんるん夏休み こすもす
路地親し風船葛の青簾 澄子
舟べりを叩く夏潮魚釣り みきお
岩礁に噴き上がる潮土用波 みきお
夏休み幼なと並び句帳開く みきえ
早苗伸ぶ水田を撫ぜて風渡る かえる
草の匂ひ迫る路地裏夕立あと 康子
茫茫と夏草覆う排水路 えいじ
帆を連ねヨットは揺るる潮鏡 かえる
稲光一本背負ひ放たれり 山椒
橋脚を隠して疾る出水かな むべ
ペディキュアの色の薄さよ夏の果て もとこ

2024年07月30日

パリの空広ぐ青空雲の峰 きよえ
でで虫のレタス食む音夜の更けて みきお
空蝉の眼窩に闇をみたるかな 澄子
セーヌ川豊かに流る風涼し きよえ
過ぎ去りて知る歳月や芥子の花 よし女
風入りて簾揺らぎし影踊る かえる
夕立に駅舎膨れて父を待つ 智恵子
自動ドア開きて蜻蛉の入店す むべ
際立てるビルの白さや夕立雲 康子
風立ちて引き返し来る恋ボート よし女
ビル街の鳥居潜れば風鈴鳴る もとこ
万緑を突き抜くビルや展望台 康子
故郷の昔のままに蝉しぐれ うつぎ
塩味のソフトクリーム前は海 こすもす
亡父より着信表示盂蘭盆会 山椒
葉焼けした庭木の風情夏の果 明日香
警告と朱書の看板草茂る えいじ
縮緬の波を吐きつつヨット帰す かえる
橋半ば万の縮緬波涼し えいじ
凄まじき気温更新大暑なり たか子
一本の木を膨らます蝉しぐれ うつぎ
勝ち敗けの溢るる涙夏五輪 えいいち
仏国旗色に活けらる夏の花 みきえ
日傘にもどうにも出来ぬ照り返し ふさこ
大逆転続く熱戦パリの夏 千鶴
桑の実の大樹となりし土堤かな あひる
猫避けて転ぶ仏間や盆用意 こすもす
一瞬に闇を切り取る大花火 みきお
刈りあげてパーマかけたる髪涼し 千鶴
空蝉のどれも眼光のこしをり 満天
古民家の蜘蛛の巣埃まみれかな せいじ
空駆けるスケートボード夏の風 山椒
辞書めくり生まるる小さき風涼し むべ
山風を運んで来たり赤蜻蛉 澄子
襖絵の蓮池涼し大書院 せいじ
夏蝶に孵らぬサナギそこここに 明日香
風鈴の音に反応癒やし風 愛正
暑き日や水辺も木々も不動なり 愛正
夕涼や黒雲頭上に動かざる 智恵子
遺されし母の編みたる白レース あひる
積み上げしアイロン掛けや玉の汗 ぽんこ

2024年07月29日

つまずいて支へし手すりに蝉の殻 よし女
筆運び牛歩のごとき夏書かな 愛正
手花火の親から子へと火を伝へ 千鶴
暑き日や拭き上ぐ墓碑の放射熱 愛正
この雨も慈雨とはならず天仰ぐ 明日香
誰しもが五輪に描く夏雄姿 ふさこ
植鉢をはこぶ吾へ跳ぶバッタの子 あひる
家蜘蛛を避難せしめて洗面す せいじ
公園の子等の声なき夏休み 満天
秋近し大売出しの散らしかな きよえ
割り勘の余る一円氷菓食ぶ なつき
海猫啼ひて異国の船を見送れり かえる
立ち呑みの背なを染めゆく大西日 澄子
買い物は気合いを入れる酷暑なか ぽんこ
仏間にも声を掛けつつ扇風機 たか子
片陰を選びて鳩の散歩かな あひる
五十一と五十の兄妹夏休み こすもす
限界と極暑を睨む監視員 えいじ
はたた神大地を叩き割る如し 山椒
行く夏のテレビ観戦パリ五輪 きよえ
朝散歩もろこし二本持ち帰る 智恵子
傷有りは自宅用とす桃実る みきえ
老ひ母と二本の匙でかき氷 康子
雨散歩足高々と跣の子 風民
密なりし枝葉払ひて庭涼し みきえ
あれこれと予定過密や帰省の娘 こすもす
くり抜きし西瓜に注ぐナポレオン むべ
木漏れ日や閑かに降るる蝉しぐれ えいいち
氷菓とて最中半分丁度良し 満天
一列に並ぶ鉢植え片かげり 康子
揚花火闇に犇く息遣ひ かえる
スケボーの妙技にしばし暑を忘る 明日香
雲の峰迷彩色のヘリ消ゆる むべ
方丈に子らの声聞く夏休み せいじ
暗渠へと音谺して遠花火 澄子
音のみが地響いて来る遠花火 よし女
迷子猫の手書きポスター炎天下 なつき
枝豆はあっとゆう間に笊空に 智恵子
ウクレレショー楽も満ちたるプールかな えいじ
告げる事多く長居の墓参かな もとこ
梅雨明けや造りて崩す砂の城 山椒

2024年07月28日

味噌汁に意外と旨しトマト入る もとこ
頑張ろうと元気な声の夏見舞 満天
天井の双龍涼し大法堂 せいじ
風鈴や風を呼び込む藍暖簾 澄子
中干しの稲青々と拡がりぬ えいじ
礼拝をおへし子らにも水遊び むべ
水遊び父川下に仁王立ち 康子
川べりの綱にとどまる蝉の殻 康子
童心に戻り線香花火かな こすもす
さやけしや朝一番の蓮の花 みきお
垂れ下がる枝に十個の蝉の殻 よし女
島涼し寄り来る鹿のまなこ澄む 澄子
虫どもで路面賑わう夏の朝 えいいち
無いものか地球を行水させる術 たか子
暑中見舞緑の景色スマホより 満天
熱風中チャリで消へる六年生 ぽんこ
蜘蛛の子の跳ねて始むる大冒険 むべ
虫送り煙流るる水田かな えいじ
腫物にさわる日のあり火取り虫 明日香
摩訶よりは先に進まぬ夏書かな 愛正
ヨット帰す男の背ナに舫い綱 かえる
買い物に勇気の一歩炎暑中 智恵子
なほ囃す蝉に一喝くれてやる うつぎ
冷や奴夫婦の会話なる五輪 なつき
暮れてなほ地は冷めやらぬ草いきれ きよえ
アラートの句の種も無し酷暑なり ふさこ
塔頭の灼けし玉砂利踏みやらず せいじ
開け放つ座敷横切る夏の蝶 みきお
襖絵を説く碧眼の夏羽織 あひる
バスのごと一両電車行く青田 みきえ
皓歯見せ会釈の婦人青田道 千鶴
特伝に誘ふ友待つ赤蜻蛉 きよえ
五輪観て夫の夜更かし熱帯夜 なつき
中干しの頃合ひ計る大青田 千鶴
夏の宵セーヌを駆ける銀の騎士 山椒
のしかかる空気の重さ心太 明日香
七年の棲家離るる蝉の穴 えいいち
朝の風夏書の墨香運びさる 愛正
物干しの隙間に仰ぐ遠花火 かえる
物干場長袖に見ゆ日焼け跡 智恵子
一閃の少女のシュート夏を切る 山椒
最後なる祭提灯ともしけり 風民
沈めても浮きくる茄子の艶々と あひる
夏落葉ことりと土に還りけり よし女
棚下の奥ほの暗き青葡萄 風民

2024年07月27日

遠花火音に引かれる後ろ髪 風民
風鈴や風が風呼び鳴り止まず みきお
風鎮は亡父の形見夏座敷 澄子
夏季五輪選手船上セーヌ川 みきえ
クーラーに籠り至福やパリ五輪 智恵子
夏の風瀬戸の潮香を運びけり みきお
大花火海より揚がり海に果つ よし女
法堂の天蓋揺らす風は秋 せいじ
パリ五輪白雨の川の大舞台 千鶴
残像と残響余韻大花火 たか子
わが町の音頭に膨る盆踊 うつぎ
五輪二度記憶の果てし大暑かな えいいち
猛暑日へ検診一歩に気合入れ 満天
先を行く妻の振り真似盆踊 うつぎ
帰省子の好む自転車求め待つ 董雨
若き女子大型教習日の盛り みきえ
落日や杖を頼りに試歩の汗 智恵子
山葵漬け箸で啄み焼酎呑む えいじ
ナイターのテレビ観戦我ひとり 明日香
笹の秀のまろぶしろがね露涼し えいじ
新涼の佛に会ひたき心かな よし女
涼風や演技の競う集大成 ぽんこ
夏館ロビーにかかる古時計 愛正
北軽の見隠る林夏館 愛正
冷房の部屋にどつぷりいいのかな 明日香
通り雨炎熱の街鎮めたり 山椒
出番待つスワンボートや明け易し 澄子
向日葵の溢るる種に鳩の群れ 康子
夜の町走りやすしと帰省の子 董雨
揺らめける蓮の葉裏に水陽炎 康子
ベランダは特等席や揚花火 こすもす
夫淹れるアイスコーヒー褒めそやし もとこ
田舎家の甍まばゆき夕立後 かえる
遠山をかき消さむとす大雷雨 むべ
準備良し酷暑対策ウェブ句会 えいいち
リクエストに応へて準備手巻き寿司 こすもす
赤光に脳天あらはサンバイザー せいじ
梅雨明けや波に向かって駆け出す子 山椒
波打ち際水着の子らの砂の城 千鶴
遠雷に気の早き風わたりけり 風民
雷鳴に肉片落ちる箸の先 たかを
葉の陰に俯ひてゐる花なすび かえる
夏空の飛行機雲をたどる道 むべ

2024年07月26日

吹きいでし汗ブラウスに塩となる あひる
猛暑日の白雲動くことのなし 満天
食べごろを教ふる桃の柔き尻 康子
向日葵や伸びきりついに蕾出づ えいいち
横断歩道かた影まるで無きを行く たか子
トマト支柱触らばぽたぽた黄金虫 愛正
夏の朝天上雲の早や生まる きよえ
盛夏にて無沙汰を詫びる葉書来る 明日香
野薊のわた一斉に青空へ あひる
広池にいまし展ごる蓮浄土 澄子
手入れせぬ庭に顔出し茗荷の子 うつぎ
朝焼けや東雲色に稲染まる 千鶴
タワークレーン入道雲に挑むかに うつぎ
畦道にハツチバツクや青田風 むべ
広報を配る当番ホテイ草 こすもす
殻をいま脱ぎしみどりの子蟷螂 えいじ
函谷鉾ギリシャ神話のタペストリ 山椒
青みどろ蔓延る水路流れ遅々 みきえ
朝暁の鴉一声天を突く きよえ
鮎の骨一気に抜きし父の技 せいじ
若衆は浪速の祭り好きやねん ふさこ
髪洗ふ今日の芥は捨てるべし もとこ
涼風をグラスに刻む江戸切子 山椒
孫の掌みどりの響く子蟷螂 えいじ
鰻重の蓋から覗く身の厚み 智恵子
ゲリラ雨右往左往のはたた神 みきお
赤松が陰なす石の庭涼し せいじ
夕立後行き交ふ声も潤ひて 風民
梅の実のただ一つ浮くゼリーかな よし女
蟷螂や鎌そのままに蛻たる かえる
船降りれば穴子焼く香桟橋に 千鶴
眼の覚めて首筋拭う汗の跡 たかを
分けつの進む植田や水澄めり みきお
天神さんビルを背の遠花火 はく子
赤蜻蛉バス降りし吾を先導す むべ
水撒きの水追ひかける子どもかな 風民
散りてすぐ群れし魚影や渓涼し 澄子
ビル群を射抜くごとくに稲光 康子
はたた神一撃喰らひ街は闇 かえる
朝凪の浜に戯る犬と彼 智恵子
テニス後冷やし珈琲に和みけり ぽんこ
元気かな元気を出せと雨蛙 よし女
項垂れし紫陽花に水すくと立つ みきえ
モニターに当たり仰向け黄金虫 愛正

2024年07月25日

民宿の庭は良い香や梅干され 智恵子
この町の道知り尽くす夏燕 満天
無人部屋で働いてをり扇風機 よし女
耳鳴りの如く早から蝉時雨 みきえ
空蝉のこわごわ触れるガキ大将 ふさこ
何事もなき日やㇹ句の遠き夏 明日香
四万十の広き流れを漕ぐボート 山椒
浜風と海鳴りの町白子干す 千鶴
ビル群の輻射熱浴ぶ酷暑かな みきお
暑気払ひ十年ものの梅酒かな 愛正
四肢長き走者涼風まとひをり 風民
地上に出で命七日の蝉の空 千鶴
逆光の釣人とかす大西日 澄子
朝蝉の急き立ててをる庭仕事 うつぎ
忘れ物して大汗の医者通ひ せいじ
でで虫の食む音かすかレタス畑 みきお
地下茎の伸びたる先の花薄荷 あひる
孫守りやまずは麦茶を一気飲み 康子
陽の温み残してたたむ日傘かな 康子
海の底きらりと光るラムネ瓶 かえる



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