さるぼぼの跳ぬる丸まる吊し雛 | なつき |
譲り合ふ千本鳥居風光る | 康子 |
残雪に非ず遠山春の雪 | こすもす |
百歳の齢かさねる母の雛 | ぽんこ |
明日香路や佐保姫の舞村中に | 明日香 |
無縁塚へ人幅の道青き踏む | なつき |
蜜蜂や群れて八の字描いてゐる | えいじ |
父母の忌や郷に梅花の咲き満ちて | あひる |
川沿の朝日を纏ふ猫柳 | 満天 |
閏日や夜間ドライブ雨の中 | 千鶴 |
定規筋朱の山門に白き梅 | 愛正 |
啓蟄やビル屋上の花壇にも | みきお |
囀に発言の止む会議かな | むべ |
卒業期チョンと背中にランドセル | そうけい |
夜のミモザ雨に深まる色となる | わかば |
潤びれば緑明るき若布かな | かえる |
子どもらの品定めせる吊し雛 | かえる |
一本の芯貫けり冬木立 | 山椒 |
花ミモザ空の蒼きへ烟るごと | わかば |
あたたかや水を持ち上ぐ鯉の口 | 澄子 |
卒業期登校子等の声高き | そうけい |
太梁につるし飾りや雛の宿 | みのる |
黒猫の枝飛び移る梅二月 | 素秀 |
桃源郷トンネル灯り桃色に | 智恵子 |
2024年02月28日 | |
テーブルは書類だらけや納税期 | せいじ |
朝一にガソリン満タン山笑ふ | こすもす |
打ち寄する波に若布や瀬戸の海 | きよえ |
雛の家に子の背を越へる桐二本 | 素秀 |
フレームにテンポ刻むや花麒麟 | えいじ |
書肆あるじ払ひに払ふ春の塵 | みのる |
春月や夜気潤へる森の木々 | むべ |
春雨の軒打つ音と二度寝かな | 素秀 |
庭園の飛石伝ひ水温む | わかば |
冬木立幹隆々と風に立ち | 山椒 |
高架橋照らす浅間の雪景色 | 愛正 |
思ひ出や二見の若布子と掬ふ | きよえ |
夕されば寒緋桜の灯りたり | むべ |
不意つきてぼたと音する落椿 | えいじ |
春寒し更地に箪笥捨てにけり | 満天 |
路地裏に逃れ一服花疲れ | みきお |
春曉の満月西に白じろと | やよい |
雨上がり歩道光るや犬ふぐり | 満天 |
菜の花の鉢結界に土雛展 | なつき |
春寒や商店街また店を閉ず | 山椒 |
いとおかし昭和の話おでん酒 | えいいち |
背伸びして羽ばたきにけり春の鴨 | はく子 |
老ゆ犬の歩みに合わせ春帽子 | 澄子 |
満開の河津桜の揺れやまず | 澄子 |
書を閉じて微睡む母や春の午後 | 智恵子 |
五色幕ゆるりと揺らせ春の風 | かえる |
春の海コーヒー香るカフェテラス | 智恵子 |
下校子の囲む畦道蕗の薹 | みきお |
春北風ペダル重たし耳痛し | みきえ |
蔵出しの古雛美しき商家かな | なつき |
春泥を気にせず走る三輪車 | 康子 |
鳥帰るわが家の上を通過中 | あひる |
熊よけの鈴鳴り渡る春登山 | 愛正 |
厨よりながむ綿雲風光る | 明日香 |
池の面打つ風優し春の水 | わかば |
春寒や六尺に臥し子規を読む | もとこ |
抽斗に香を潜めて豆雛 | あひる |
桜鯛海にほり投げ島びらき | 千鶴 |
消えかけし目鼻へ春光なでぼとけ | かえる |
草萌ゆる明るき庭や雨後の朝 | 康子 |
追越のオープンカーや春嵐 | こすもす |
測量の杭打ち込まる犬ふぐり | みのる |
入力の指の強張る納税期 | せいじ |
花堤ほとりに小さき釈迦御堂 | はく子 |
電車待つホームに奏づ春の人 | みきえ |
朝戸繰る眩し春光容赦なく | 明日香 |
春天の相輪まぶし五重の塔 | ぽんこ |
肌白し一刀彫の雛人形 | 豊実 |
2024年02月27日 | |
山菜採り山路あちこち「熊注意」 | 愛正 |
医師の指示なりし朝寝をな咎めそ | みのる |
匂ひくる路地片隅に沈丁花 | 康子 |
腹撫ぜて座せる妊婦へ春の風 | かえる |
日脚伸ぶ農夫畑打つ影長し | 千鶴 |
真鯉来て鱗きらめく水の春 | むべ |
蒲公英のそっと一輪園の径 | きよえ |
啓蟄や防虫剤を改むる | 智恵子 |
朝寝して赦されている誕生日 | あひる |
結び切る合格絵馬の赤き紐 | なつき |
あちこちの山々消すや春しぐれ | 満天 |
合格の校名光る受験絵馬 | なつき |
春の泥明日はリフトの最終日 | 豊実 |
強東風にしぶきを飛ばす水車かな | 康子 |
雨雫背きあいする雪柳 | ぽんこ |
金柑の艶煌めきてたわわなり | 山椒 |
気まぐれな空模様なる余寒かな | 明日香 |
春寒に籠る一日や積める書を | わかば |
春寒や日の有るうちの模様替へ | 素秀 |
春の鴨川面に顔を映しゆく | むべ |
鳴き交はす声頼もしく鳥帰る | あひる |
掛け違ふ釦のままに吊るコート | 澄子 |
春はやて危うく消えてしまふとこ | もとこ |
白き肩出して一列大根畑 | みきえ |
季移りて投げ売りさるるシクラメン | かえる |
孫の目に飛機とヘリと春の空 | あられ |
朝刊を取るや西空月おぼろ | 明日香 |
飛び石の茶屋の植込み竹の秋 | きよえ |
納税期強壮剤を飲みていざ | せいじ |
泥つきのままの筍朝の市 | みきお |
満開の河津桜に雨やどり | えいじ |
常濡れの不動明王に冴返る | ぽんこ |
けふは汝の生まれし日なり梅匂ふ | せいじ |
覗き呉る顔のおぼろや麻酔覚め | やよい |
里山に見つけ佇む木付子かな | 智恵子 |
来てはすぐ飛び去る小鳥庭余寒 | 満天 |
春炬燵書にふけて微睡に入る | わかば |
春の旅誘ふカタログ次次と | みきえ |
穴を出て早くも蟻の道づくり | みのる |
春北風転がりやまぬ塵袋 | 澄子 |
密やかに鴨場に添いし残る鴨 | えいいち |
スーパーの伊予柑目引く大鏡 | 愛正 |
飛行機とヘリとセスナと吾子の春 | あられ |
ふんわりと光りに紛れ初蝶来 | みきお |
雨降つて遊具に遊ぶ寒雀 | えいじ |
冴返る手術前夜の臍掃除 | やよい |
総会の声突く媼春嵐 | そうけい |
検温にうつつに戻る春の夢 | 素秀 |
2024年02月26日 | |
スカートの裾を捕へる春疾風 | 康子 |
干し物を取り込む今日は四温晴 | せいじ |
唸り上げ竹しならせり春疾風 | 山椒 |
幟あれど人まばらなる梅祭 | 千鶴 |
桃色の吐息溢れる雛座敷 | 智恵子 |
下校子の笑顔で会話春しぐれ | 満天 |
芽吹き待つ土には余るほど甘露 | 明日香 |
青ぬたの酢を利かせたる好みかな | たか子 |
春夕日樹木の奥へと差しにけり | えいいち |
底冷えるレグウオーマーつけ夕厨 | そうけい |
春寒し広場ななめに抜けゆける | 澄子 |
助手席の君は春陽に微睡ぬ | 智恵子 |
撫で牛の鼻面ぬくし梅日和 | なつき |
猫柳天へと伸びし芽の千手 | 山椒 |
春風や遠回りしてポストまで | こすもす |
おしやべりをやめたるインコ春眠す | みのる |
春寒や猫はいつでも指定席 | こすもす |
リハビリの杖と一緒に青き踏む | みきお |
白壁に影なす揺らぎ紅椿 | ぽんこ |
なぞへには若返る草あちらこち | 明日香 |
曇天の稜線著るき春の山 | わかば |
花ミモザそろそろ訪ふを忘れまじ | わかば |
残雪や山襞の筋あらわなり | 愛正 |
繰り返す卒業ソング校舎裏 | せいじ |
たんぽぽの空に僅かに近くなり | えいじ |
ブンブンと屋台を鳴らし風車売り | 素秀 |
縮緬の赤子ほほえむ吊るし雛 | 康子 |
寒戻り左右に揺れる庭の木々 | たかを |
春浅し裁ち鋏の手に迷ひなく | 澄子 |
今日一日振り回されし春の空 | 満天 |
熊鈴の揺らぎ止まらぬ登山道 | 愛正 |
犬抱く身を切るごとし春北風 | むべ |
龍天に後追うやうにドクターヘリ | 素秀 |
春雨の映る大門にわたずみ | ぽんこ |
グーで勝ちグリコ三段遅日かな | 豊実 |
いつの間にこんな齢に春寒し | はく子 |
春の鴨絶へず水掻く流れかな | むべ |
賛美歌の音痴な二人春灯下 | あひる |
戸車の軋む玄関冴え返る | みきお |
散る梅やいぼ取り石に貼りつきぬ | なつき |
バス停の木々に強風寒戻り | そうけい |
限定のうぐいす餅の最後尾 | かえる |