網戸より漏れる泣き声子だくさん | みきお |
梅雨出水音たて坂を滑り来る | 智恵子 |
急がしや子燕四尾梅雨の夕 | たかを |
風蘭の気根互ひの鉢侵す | うつぎ |
うたた寝や山も取り込む夏座敷 | 愛正 |
篝火の川面を焦がす鵜飼舟 | 山椒 |
提灯の灯に浸る子等盆仏間 | そうけい |
吾を見むとぐるりと回る蜻蛉の目 | あひる |
宿浴衣心遊ばせやや派手に | たか子 |
木の幹を複々線化蟻の道 | せいじ |
白南風やいざ潜らんと子房柄 | せいじ |
連峰の流雲見ゆる夏座敷 | 愛正 |
櫓へと顔に浴びたる蝉しぐれ | なつき |
ドアベルを響かせカフェへ音涼し | 康子 |
中干しの稲の青さや梅の雨 | えいじ |
ソプラノで鳴き合ふ鳥や明易し | 満天 |
牙継ぎし陶の狛犬蝉しぐれ | なつき |
伸びし葉に水玉光る梅雨の庭 | 董雨 |
蓮の蕾赤の口許開くごと | ぽんこ |
庭陰の小さき葡萄袋掛け | 山椒 |
万緑の山に湯煙噴きやまず | かえる |
老鶯の雨の一声それつきり | よし女 |
送り梅雨大和三山烟らせて | 明日香 |
合はせ来る父の命日娘の帰省 | 千鶴 |
2024年07月13日 | |
赤とんぼくるりと舞いて燕呼ぶ | たかを |
石庭の荒れて白砂に蟻あまた | せいじ |
百歳の手塩の西瓜赤く熟る | きよえ |
岬鼻の別荘晩夏の夕景色 | よし女 |
ソーダ水透かして眺む沖の船 | 智恵子 |
雨しずく森は生き生き蝉時雨 | ぽんこ |
同窓会逢ひたき人と喜雨の中 | 千鶴 |
大樹より初蝉の声こぼれけり | みきお |
男らの景気語りて冷素麺 | なつき |
公民館涼し健康体操終へ | こすもす |
梅雨工事泥乗せしままショベルカー | かえる |
気がつけば読書三昧梅雨籠り | 澄子 |
木が邪魔と嘆きつ足場立つ梅雨日 | みきえ |
祇園会や何処に返すこぞの粽 | 千鶴 |
大西日大谷石の露天掘り | 愛正 |
蛍待つ吾子は背なにて寝息なす | 智恵子 |
果物と思ひて切れば錦糸瓜 | あひる |
鴨川の畔に独り夏の星 | 山椒 |
アガパンパス覚へられぬ名恋の花 | ふさこ |
瓜揉めば翠を増して縮みけり | かえる |
梅雨晴間最も低く二機のヘリ | よし女 |
園丁の水を足しをる蓮の鉢 | せいじ |
蓮鉢に溢れさせたる山の水 | あひる |
梅天の庭にくぐもる猫の声 | えいじ |
よろめきぬ僅かな傾斜晩夏光 | みきお |
飽き足らず宿のプールへ駆け出せり | 風民 |
盆の入線香を立て存問す | えいいち |
独り居の今日の三時は心太 | こすもす |
花も葉も密かに畳み合歓の花 | たか子 |
夜濯ぎや小さきパンツもまぎれ込む | もとこ |
無人店曲がり胡瓜の暴れをり | 康子 |
黒焦げのそら豆剥けば翡翠とも | はく子 |
夕風に微かに煙る盆の入 | えいいち |
抹茶点て黒文字つきの水羊羹 | 満天 |
威勢良き声足場組む梅雨の庭 | みきえ |
目印となりし葵や道案内 | 康子 |
暁の芝行く犬や露涼し | むべ |
炎の天ひたすら歩く散歩道 | たかを |
甘き香の青き氷菓のラムネ味 | なつき |
黄色帽きのこの如し園児達 | 山椒 |
爪立ちて夕餉にせんと独活の花 | 風民 |
抜け道の暗渠カンナの緋の点てる | 澄子 |
軒浅き郊外住宅大西日 | 愛正 |
声響く仲好し家族バーベキュー | きよえ |
入院を促す話し極暑かな | 董雨 |
弓なりのアガパンサスや梅雨晴るる | えいじ |
2024年07月12日 | |
花も葉もひそかに畳み合歓の花 | たか子 |
梅雨晴間鳴るは複数電子音 | よし女 |
作業中合羽取り出す梅雨の日 | みきえ |
喉鳴らし飲み干す麦茶もう一杯 | 千鶴 |
園丁の黙々と水遣りめぐる | あひる |
最終は細くて長し祭笛 | よし女 |
小さき傘握る両手や梅雨散歩 | 風民 |
おしゃべりの喉を潤す氷水 | かえる |
雨つくり水馬つくる水輪かな | むべ |
によきによきと高草生やし芝青む | えいじ |
猛々し片を反らせて零余子抱く | かえる |
二寸ほどの触ってみたき蜥蜴の子 | 明日香 |
軽トラの荷台に乗る子青田風 | 康子 |
マネキンの足大胆に夏衣 | 満天 |
夏の夜遠く暗渠の水の音 | 風民 |
亀涼し少し泳いで鼻を出す | あひる |
初蝉の古木の葉合ひ声したり | きよえ |
どこまでもアナログ通す時計草 | はく子 |
突然の梅雨の齎す冷気かな | きよえ |
景色より西日を避くる座席かな | 愛正 |
青芝は養生中の立看板 | えいじ |
梅雨最中今宵雨音の子守唄 | 智恵子 |
リヤカーに広げし野良着西日射す | 愛正 |
引越しのやうやく終わる梅雨晴間 | もとこ |
雨女雨男居て梅雨戻る | 澄子 |
朝風に畔道楽し草生きれ | 智恵子 |
つや光るきゅうり千切りトトトトン | 山椒 |
倒木の恐れありけり爆心地 | みきお |
この酷暑外套着たる作之助像 | ぽんこ |
向日葵の押しくらしたる保育園 | 康子 |
行く春や沖に消え行く船の影 | 山椒 |
白紫陽花やさしき雨になお白く | 満天 |
花苗は銀の日除けに守られて | せいじ |
エプロンを広げ受け取る新キャベツ | 千鶴 |
ゆくりなく半日過ごす梅雨のカフェ | 澄子 |
燕の子残され一羽尖る口 | ふさこ |
夏空に誓ふ宣誓甲子園 | みきお |
一粒の雨に始まる驟雨かな | せいじ |
鯖鮓にのりたる昆布のまろやかさ | むべ |
見学者迎へし句会笹飾り | こすもす |
2024年07月11日 | |
目に見えて分けつ進む稲青く | 千鶴 |
牧草のにほひ漂ふ朝曇 | 愛正 |
信号を過ぎて夕立の街となる | 風民 |
小骨取る箸のさばきや鮎一尾 | 千鶴 |
一水の魚道にしぶく音涼し | むべ |
蚊遣火の煙流るる夕の庭 | かえる |
アガパンサス三浦の岬埋め尽くす | 智恵子 |
庭の木の周り無数の蝉の穴 | よし女 |
昏きより瑠璃の尾きらり川とんぼ | 明日香 |
日の暮れてゴミ出す門に守宮這う | 董雨 |
夕立や犬と佇む手洗所 | えいじ |
山火事の傷跡覆ひ山滴る | きよえ |
庭プール水足しはしゃぐ吾子と犬 | 智恵子 |
雨あがり桔梗の白の際立ちぬ | 澄子 |
夕されば閉ず合歓の花静かなる | たか子 |
叡山に連ぬ山山夏霞 | もとこ |
青梅雨やダイヤのしずく葉に残し | 康子 |
露天の湯そぼ降る雨や梅雨の空 | たかを |
初蝉や梅雨まだ明けぬ庭園に | せいじ |
蜘蛛の囲を避けつつ庭の手入れかな | 明日香 |
トチノキの葉裏二つの蝉の殻 | せいじ |
子規出会ふ息吹く道後雲の峰 | ふさこ |
叱られしその日の夕餉豆ご飯 | みきお |
鉄砲百合五花を向き向き香を放つ | はく子 |
夕闇に仄かに浮かぶ白桔梗 | 澄子 |
植木鉢の二匹のでで虫夫婦かも | こすもす |
アカバンサス今年は何故か一本咲く | 董雨 |
菩提樹の花木を覆ひ空覆ひ | 風民 |
カンナ燃ゆ選挙ポスター撤去中 | 康子 |
蟻の顎強し獲物を手放さず | かえる |
一陣の風に蓮の葉ひれ伏しぬ | あひる |
予定なし買物もなし梅雨ごもり | 満天 |
参磴に藍の散りばむ蛍草 | ぽんこ |
百歳の愚痴聞く生家石蕗の花 | みきお |
朝顔の雨や風にも負けじ咲く | きよえ |
「ブローチ」と空蝉を付け胸を張る | あひる |
鬼瓦鈍き光の朝曇 | 愛正 |
南中の光と遊ぶ百日紅 | むべ |
梅雨茸の雨にも負けじ傘開く | えいじ |
梅雨激し傘の根っこを押さえねば | よし女 |
2024年07月10日 | |
炎天下いつもの園に人はいず | 智恵子 |
牛小屋や出入り自由の燕の巣 | みきお |
たまに飲み話弾むや缶ビール | 満天 |
横生えのトクサを曲げて整えり | 董雨 |
歳月を語る茶の間や古梅酒 | 愛正 |
日盛りの格子の窓の昏さかな | 澄子 |
歯ざわりの良き胡瓜入りサラダかな | こすもす |
曇天やひび割れの田に稲青む | えいじ |
神太鼓響く本殿花桔梗 | ぽんこ |
庭涼しアガパンサスは愛の花 | せいじ |
軒下に朝顔咲ひて暖簾とす | みきえ |
異国語に日本語学ぶ夏の旅 | 明日香 |
子は後ろ朝顔鉢は前かごに | みきえ |
浜風の通る庭先釣り忍 | 千鶴 |
汗かかぬ一日今日は家籠り | もとこ |
一水の飛石覆ふ歯朶涼し | 康子 |
垂れこみし雲へすつくと蓮ひらく | あひる |
星涼しローマの水に慣れし友 | せいじ |
風鈴を声明と聴く山の寺 | たか子 |
角出して車止めるや蝸牛 | ふさこ |
風煽つ羽音にも似て青芭蕉 | むべ |
また同じところに生ふる草むしり | かえる |
夏野菜焼いて別盛りカレー食む | 智恵子 |
熱中症対策と呼ぶ氷売 | なつき |
マッサージ機にしばしまどろみ暑気に処す | はく子 |
滞る空は鈍色稲青む | えいじ |
雨ぽつり急ぎ飛び去る揚羽蝶 | よし女 |
三伏や庭の水栓お湯になり | 明日香 |
潤み帯ぶ膨れるやうな夏の月 | かえる |
懐かしや祖母の墨字の古梅酒 | 愛正 |
あめんぼの水面に空と鳥の影 | あひる |
七夕飾り元武家屋敷開け放ち | なつき |
眼鏡屋の冷房鳥肌立つほどに | よし女 |
貸し出せる苑の唐傘色涼し | 康子 |
玻璃杯にアスター活くる卓涼し | むべ |
若きらは瓦職人梅雨晴間 | こすもす |
濡れしまま畑打つ夫婦青時雨 | みきお |
木香薔薇枝伸び早し空をつく | 董雨 |
風興り風鈴の舌乱舞せり | 澄子 |
2024年07月09日 | |
直売所得たり最後のとうもろこし | 山椒 |
不覚にも午睡ドラマは最終章 | あひる |
雷雨去る一時の涼心休む | きよえ |
女郎蜘蛛最適の場所囲を張りて | 明日香 |
練乳の分水嶺よりかき氷 | むべ |
糠つきしままをひと口胡瓜漬 | むべ |
ローカル線山また山の栗の花 | 愛正 |
地下鉄を出て街濡れ夏の雨 | もとこ |
散歩道半陰探し迷うなり | ふさこ |
遠雷と見る間に雷雨地をたたく | きよえ |
七夕笹の一枝振りて下校の子 | なつき |
直売所水冷服の若夫婦 | 山椒 |
犬連れのそぞろ歩きや白夜めく | かえる |
ゆったりと風に頷く花擬宝珠 | 風民 |
雨上り涼しきゴルフ帰りかな | こすもす |
鉢持ちてぼそぼそ食ぶる冷し麦 | えいじ |
七夕の願ひあふるる子らの笹 | なつき |
長袖にして良かりけり冷房車 | せいじ |
吹抜けの真上に鎮座夏日かな | 康子 |
横這いと言う特技にて蟹走る | よし女 |
出不精も往く夏の海見たくゆく | よし女 |
熱中症なりかけし友と長電話 | 千鶴 |
生日のケーキに傾ぐさくらんぼ | えいじ |
訪う人も薔薇の苗持て修道院 | 風民 |
祇園祭見ず帰郷せし若き日や | 董雨 |
大雷雨土の匂ひの湧き立てり | みきえ |
天金の文語の聖書晒しけり | みのる |
里帰りせる朋友と星今宵 | せいじ |
立葵川沿ひまっすぐ青空へ | 満天 |
天を突くひと塊のカンナ濃し | 澄子 |
うねり来る蝉の初声朝の薮 | 千鶴 |
夏菊を添へて給仕す茶房かな | かえる |
カタバミを引けば種子飛び顔を打つ | 董雨 |
行々子精一杯を言ふ子ゐて | 明日香 |
宅急便北の大地のメロン来る | みきえ |
暑気払い夕餉に並ぶ酢物かな | 智恵子 |
青すだれ古都の路地裏三味響く | 智恵子 |
おのろけを聞いてる受話器梅雨ごもり | あひる |
深山の見る人あらじ栗の花 | 愛正 |
湧き上がる白雲高く梅雨晴間 | 満天 |
爪弾けば奏でそうなり干しそうめん | はく子 |
雨上りの高原涼し道の駅 | こすもす |
玉の汗拭わず作る夕餉かな | 康子 |
お茶屋へと招くごとく木槿咲く | ぽんこ |
説教を盛り上げるかに風鈴千 | たか子 |
身ほとりにリモコン幾つ梅雨籠 | うつぎ |
2024年07月08日 | |
献立は好きで手早い冷や奴 | 満天 |
父の忌にまた現われり庭の蟇 | 山椒 |
草を牽くアスバラカスの葉を残し | 董雨 |
噴水の秀を掠める鳩の群 | 康子 |
花栗の香吹き抜くる切り通し | 愛正 |
暑気払ふ湾を見下ろすレストラン | せいじ |
イベントの陣笠暑し武将隊 | えいじ |
玉と出る汗は健康命とも | 満天 |
クーラーにどっぷり浸かりケーキ焼く | 智恵子 |
山麓や垂る花穂の栗林 | 愛正 |
向かひ合ひ食後の薬氷水 | うつぎ |
熊笹のなぞへを抜けて夏の空 | 澄子 |
鳶の輪を映す植田やピーヒョロロ | 千鶴 |
炎帝に蝶のしづかに舞ひ上がる | 澄子 |
青天へ祝砲はなつ鉄砲百合 | むべ |
マジックで肌着に住所猛暑来る | よし女 |
瀬付き鯵笊に大きな値札付け | よし女 |
ひと口で背ナに風来るかき氷 | 康子 |
燕の子上がり框に居候す | ふさこ |
里ひとつ白南風のなか旅心 | たか子 |
熱中症寸前ふらり立ち上がる | 董雨 |
夕の風蛍袋の白揺るる | 風民 |
猛暑日や人影の無き商店街 | みきお |
夕茜西日に高層玻璃燃ゆる | 智恵子 |
厨より湯気立ち上がる豆ごはん | みきお |
峠地蔵丸く夏草囲みたり | なつき |
白シャツで拳振り上ぐ選挙カー | かえる |
悩み聞くアイスコーヒーぬるくなり | なつき |
ちりちりと首痛むほど街炎暑 | むべ |
イベントに合はせる娘らの帰省かな | こすもす |
お願ひの重みに撓む今年竹 | かえる |
冷素麺希釈忘れのつゆ辛し | みきえ |
炎昼やブブカの如き仮面女子 | 山椒 |
子蛙を持てた子の手の硬直す | あひる |
雷鳴や雨垂れを譜に唄ふやう | えいいち |
神庭に七夕の笹火をかけり | ぽんこ |
大小の蕾数多や白桔梗 | こすもす |
教会の石壁夏の日を鎮め | 風民 |
ブローチに欲しき紅さや夏茜 | もとこ |
うつけ役暑いでござるとドア開けし | えいじ |
洗ひたてのシャツに纏はる夏の蝶 | せいじ |
ささげ持ち来る雨靴に蝌蚪泳ぐ | あひる |
2024年07月07日 | |
短日や明けやらぬ街鴉鳴く | みきお |
猪目窓福を招くや南吹く | たか子 |
緑濃し石仏埋もれ印結ぶ | もとこ |
カップルの登山者につい微笑みぬ | せいじ |
傘のやに憩ふ人有り落羽松 | みきえ |
雷に惑ひふためく街の景 | かえる |
青柿の転がり落つや小さし音 | きよえ |
旗を立て準備万端夏祭 | ぽんこ |
学童は朝顔の鉢持ち帰り | ふさこ |
藁帽子被る西瓜の畑かな | 山椒 |
翡翠来る檜皮の塔は修理中 | よし女 |
涅槃絵図まず猫描いたてふ絵解き | なつき |
梅雨の雷追はれて急ぐ家路かな | むべ |
鬼やんま通り抜けたる座敷かな | あひる |
牛舎脇花たちばなの漂ふ香 | 愛正 |
杼のあれば織りてもみたきそうめん干し | はく子 |
カップルの会話に和む登山道 | せいじ |
夏草や通ひ懐かし小道かな | えいいち |
山頂に入り日とどまる炎暑かな | たかを |
おしぼりは帰宅の妻へと冷凍庫 | 智恵子 |
鉄砲百合雄蕊摘めるピンセット | かえる |
潺潺と堰落つ水の音涼し | えいじ |
東京の御空にひかり星今宵 | 千鶴 |
お喋りに崩壊寸前かき氷 | 康子 |