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春風や屋根から屋根へ蝶の舞い たかを
苔の碑に火を点じたる落椿 みのる
二階より見守る巣箱鳥来たる みきお
若楓見上ぐ水音水路閣 智恵子
鉢の苔持ち上げて新芽出ず 明日香
花滂沱嬉しき予想外れなる たか子
復活祭ズームの賛美合はねども せいじ
うららかや踏切待ちの間も俳句 澄子
物干の動じぬ衣春の雷 えいいち
新葉への命を繋ぐ春落葉 みきお
靴擦れの踵を撫でる新社員 山椒
春風に我が身包まれ散歩かな きよえ
褐変の白木蓮皆散りをりぬ こすもす
純白のまま散るもあり白木蓮 こすもす
シルバカー押す背ぬくし遠くまで みきえ
屈みては犬と語らふ春帽子 あひる
切通し多き鎌倉踏青す むべ
ころびたる猪口のごとくに椿落つ みのる
家苞にたんぽぽ摘みてゆく子かな えいじ
子ら登るジャングルジムへ落花舞ふ 康子

2024年03月31日

一斉に百花の並び春の花舗 山椒
小さき手を閻魔に合はす花の下 なつき
対岸の土堤を埋めて花菜畑 康子
霖雨晴れ芽吹く垣根となりにけり 澄子
やっと咲く手の平サイズの赤椿 ぽんこ
焦らされて花見の日取り決めかねし たか子
機長いま翼下に雪の富士見ゆと みのる
ダム湖畔三、四分咲の山桜 千鶴
雪やなぎ夜目に白無垢揺るごと えいいち
花三椏先この先鞍掛峠なり 隆松
桜鯛釣ってめでたしえびす舞 千鶴
泥つきのたかんな並ぶ無人市 みきお
けりけりと番い騒げる春田かな えいじ
あたたかや見舞いの友の次々と もとこ
満開の落花しそうな紫木蓮 満天
野良仕事始まる集落畦青む みきお
雨粒の珠と輝く木の芽かな 康子
風光る初優勝の校歌流る 満天
里山は墨絵めきをり春の霧 やよい
ホウレン草主役脇役幅広し きよえ
ぺちやくちやとひと駅愉し踏青子 澄子
蝶舞ひてラジオ体操楽流る えいじ
とうたつと溢れんばかり春野菜 明日香
春惜むひねもす庭に出てをりぬ 明日香
思わざる友との出会ひイースター わかば
二分咲きの宮に二人の花見かな あひる
君もまた成長痛か土筆の子 あられ
豌豆の花ヒラヒラと畑を舞ふ きよえ
雪柳粉雪の如舞ひ散れり 山椒
春の夜に映るスマホの子らの顔 えいいち
十字架に薄絹掛かる復活祭 むべ
春の野に筏めきたる茣蓙の基地 せいじ
海風に色移り行く供花うらら そうけい
椿落つ僧侶の歩む墓地参道 愛正
挨拶を終えてまた掃く落椿 あひる
青空へ千手差し伸べる如白木蓮 こすもす
落椿苔の上座し生気増す 愛正
花見酒数えて笑ふ青き空 智恵子
旅疲れ癒やす車窓の春夕焼 むべ
クルーズ船デッキに至福春の風 智恵子
旅うらら俳句談義の尽きるなし かえる
黄砂降る水平線の模糊として わかば
一夜で咲く挿花の莟斑の椿 そうけい
行き一分帰り三分の桜かな あられ
寺守の箒軽やか朝桜 なつき
焼杉の塀越しに見ゆ利休梅 かえる
礼拝の今日は司会やイースター せいじ

2024年03月30日

薄桃と白の花びら木瓜散華 山椒
朝霞近隣の屋根のみ残し そうけい
決算の締めと重なるイースター せいじ
赤椿ひとつ隣家に落ちてゐる たかを
ひこばえの蕾膨らむ古木かな ぽんこ
春が来た老女手を振る遠くから たかを
鼻水を止める術なし花粉症 智恵子
こんなにも白木蓮があったとは こすもす
初花や両手でつつむふるまひ茶 なつき
春の波磯に異国の空容器 愛正
ホームラン雀隠しの球探す みきお
句敵とライン開通山笑ふ せいじ
蚕豆の花の紫見詰むごと きよえ
買ひ物のコース変へて初桜 満天
来阪の曾孫としばし春うらら はく子
春休みごつた返すはガチャ売場 明日香
雨晴れて川沿ひ眩しい菜の花に 満天
銀輪の夫の背を追ふ春陽かな あひる
鎌倉のブランド大路踏青す 澄子
吾が狭庭椿八珍咲き揃ふ 澄子
菜の花の湯がけば口にほろ苦し むべ
焼杉塀つづく古町木の芽晴 むべ
逆光に揺らぐ人影春夕焼 みきお
花を待つ手持ち無沙汰や賀茂の土手 もとこ
エリカ映ゆ異人館めく白壁に かえる
畑菜花競ふごとしに背を伸ぶや きよえ
白皙に深く被りし春帽子 かえる
前撮りの新郎新婦花下に笑む 康子
一二滴落ちてスマホに春時雨 えいじ
日あたりて萌黄に透ける若楓 みのる
宮守のリヤカー追ふか落椿 愛正
球春や歓声に憂さ飛んでゆく 明日香
襞襟の女王の如畑キャベツ 山椒
われを見て声かけるやに白椿 えいじ
三月尽かつては年度納めしや 千鶴
青空の浸る間もなし春の虹 そうけい
うららかやホ句三昧に古都の旅 みのる
中庭に花見椅子置く資料館 康子
花の下つぼみ開くを待つベンチ なつき
吾に来ては去りて又来る黃蝶かな やよい
黄砂降る占領されし物干し場 智恵子
妣植ゑし桜の蕾ふくらみぬ わかば
初花のまことに淡き彩なして たか子
ただ目鼻描いて愛らし染卵 あひる
ショートヘアにせり春風に誘われ こすもす
春憂ひ籠る家居に針を持つ わかば

2024年03月29日

三月尽友より婚の知らせ受く なつき
菜の花の迷路畑や子ら駆ける 千鶴
みつまたの匂ふ全山黃に染めて やよい
笊を持つ姥取り巻く山椒の香 愛正
ぬかるみや青きを踏みて散歩かな きよえ
語らえば墓前に揺れり百合の花 山椒
どの店もランチの親子春休み あひる
前撮りの白無垢に射す若葉影 みのる
一門の諸子うち揃ひ花下に笑む 康子
絶え間なく囀り天より届きけり こすもす
とうろうの卵ひそかに春堤 えいじ
なにげなく見上ぐ青空初つばめ みきお
初めての散歩コースや初音きく こすもす
紙垂のごとやぐらに垂るる蔦青葉 むべ
四月来る高きビル立つ淀屋橋 明日香
掘り返す土柔らかし穀雨かな みきお
春の水何色にせん筆とめて たか子
次々と芽柳くぐりペダルこぐ あひる
頬づえをつきてテラス目借時 智恵子
修行場址に呆けし蕗の薹 なつき
のどらかや異国語で問ふ歯科医院 明日香
前撮りの花嫁さんが芽木越しに かえる
啓蟄の雨にやぐらの土匂ふ かえる
若草の飛び出してをる四つ目垣 康子
外つ国の黄砂も人も渡り来る もとこ
浜風や幹より出でし初桜 きよえ
公園の子等の賑はふ春休み 満天
紫木蓮白き胴裏あらはにす むべ
武蔵野にさくら前線至りけり 澄子
雨上がり喇叭水仙香増しぬ 千鶴
桜の木声散りばめて遊ぶ鳥 わかば
ビニールの傘がドラムに春驟雨 せいじ
春嵐去りて膨らむ蕾たち 智恵子
参道でたたら踏みたり落椿 愛正
うぐひすや喬木砦なす古刹 みのる
春の鳥声鳴き交わす朝の木々 わかば
水温む大きい鯉の口開けて 満天
嵐去り初花開花宣言す 澄子
切つ先を鋭く立し物の芽かな ぽんこ
雨晴れて囀りやまぬカフェテラス せいじ
早春や船も小島もふんわりと 山椒
囀りて群鳥空へちりぢりに えいじ

2024年03月28日

山茶花の散りてたいくつ老母の窓 あひる
ほ句せんと合羽濡らして春野ゆく えいじ
春の日の眩し広葉樹林かな 澄子
近寄れば柵に顔出す牛のどか やよい
春暁に隣りの夫婦ランニング 智恵子
川沿いの桜一輪朝の吉 智恵子
くるくると回る火の粉やお水取り みきお
とうろうの卵にしみる春の雨 えいじ
母植うる葉は逸早く山桜 わかば
春愁の上海に待つ乗継ぎ便 あひる
春泥に敷きし歩板の薄さかな 千鶴
つくしみな長けて背たかのつぽなり はく子
波止朧作業最中のクレーン船 きよえ
縁側に煎茶の香り苔青む 千鶴
うち仰ぐ磴はむなつき新樹光 康子
開花待つ隣り葉桜あそぶ鳥 えいいち
たんぽぽの強く根付きて花開く わかば
タイに今着きしと子らの春休み せいじ
役終えて関節ゆるぶうららけし 明日香
蒼天の梢のたかきより初音 澄子
木の芽雨ひとふりごとに園豊か 満天
春光にぎよろ目見開く仁王かな かえる
春なれや庭の増したる色香なり 愛正
寿福寺の彼岸のやぐら巡拝す みのる
胴からも芽吹く大樹の桜かな かえる
新しき切株光る遍路道 なつき
忽然と畑は町なか蝶来る えいいち
春泥の靴脱ぎ捨ててこんにちは もとこ
曇天に眼ぱっちり鳩の春 たかを
水溜まる春田啄む鳥忙し みきえ
春一日人形展みて海もみて こすもす
やぐらからやぐらへ遊ぶしじみ蝶 むべ
次々と足あと浚う春渚 みきお
雨上がり貸農園を耕せり 満天
プリムラに小さき小さき虫憩ふ せいじ
卒業式胸はる子らの頼もしさ 愛正
四月来る収支報告やつと終え 明日香
水鏡ますます淡き初桜 たか子
暖かし歌碑たつ浜のベンチかな こすもす
卒園の花束飾る子のカップ なつき
春の雨垂る連山霞めりて きよえ
虚子の碑に佇みをれば鳥雲に みのる
やぐらへと通ひ来四囲の若葉風 康子
丹の欄に記念写真や古都うらら むべ
石畳すき間一輪たんぽぽ黄 ぽんこ

2024年03月27日

花韮よ主役となれと門に置く あひる
初音なりならの小川のせせらぎに もとこ
宿場町古民家カフェの糸桜 智恵子
たどたどし裏山に聞く初音かな 千鶴
石畳木陰の上の春落葉 ぽんこ
小物店ジプシーしつつ路地うらら 澄子
春愁や収集されぬゴミひとつ せいじ
笑ひヨガ五体で笑ふ日永かな やよい
傘寿てふ記念の植樹苗木市 かかし
白無垢の渡る堂縁風光る 康子
春陰に横列したる墓石群 澄子
春寒の香も夷らげて団子汁 あひる
詳細を詰める雨後の歩斑の椿 そうけい
風光る若草山の登山口 明日香
つくづくし幼き友の便り絶へ かかし
竹鳴らす風に押さるる遍路道 なつき
若竹に傾ぐ廃寺の無縁仏 なつき
園児らの黄色い声や春日燦 満天
春天へ縦一文字飛行雲 かえる
母逝けり山いっぱいの蝉時雨 山椒
こんもりとしたるは古墳柳の芽 千鶴
初桜見上げる空に飛行雲 たか子
お供えの林檎を下げる彼岸過ぎ こすもす
電柱に無住の戸建て鴉の巣 えいじ
春雨に川面点描星のよう えいじ
春日和無沙汰の友と出会ふ駅 みきえ
椿落つ朝日差したる格子垣 きよえ
老木を励ますごとく軒忍 むべ
昨夜雨の上がりセンバツ風光る 満天
玄関の前に犇めく落椿 せいじ
遠ざかる汽笛も島も春霞 智恵子
朱の欄の影ゆらゆらと水温む みのる
花の道和服姿に彼彼女 康子
花剪られ水仙の葉は三つ編みに かえる
島々の浮かぶ瀬戸内春の潮 みきお
吹き上ぐる落花スーツの裾模様 むべ
身も心もぽかぽか温し笑ひヨガ やよい
春日傘着物の人の背筋伸ぶ きよえ
杉むらの煙となりて花粉飛ぶ わかば
白蓮の解けて闇を明るうす わかば
高窓の見ゆる梢や初桜 愛正
開くのは陽当り良き順白木蓮 こすもす
仏間の湯気卒業祝うお赤飯 愛正
葉桜や少し慣れたる新職場 みきお

2024年03月26日

心地よき春の目覚めやアロマ炊き やよい
降り頻る雨は木の芽を叩きけり えいいち
更くる夜の定まらぬ気や春の雷 わかば
墓の道背比べしてつくづくし むべ
離陸待つ空港はいま春嵐 あひる
春愁や母と並びて子のやぐら 澄子
一穢なき空にあえかや初桜 康子
残雪や養老院の父を訪ひ 山椒
電柱に綿毛たなびく鴉の巣 えいじ
春怒涛波が波押す日本海 みきお
虚子眠るやぐらへ彼岸詣かな みのる
春休みジブリの森にオスカー像 智恵子
丹精の庭に春愁癒やしけり かえる
一つ鳴り二つ目近く春の雷 千鶴
早朝より同じニュースや春驟雨 ぽんこ
野辺散歩吾ぬふ蝶の影うかれ そうけい
咲き満つる雨に重しと桃の花 満天
受難週明るき雨に傘ささず むべ
波止の夕散歩の犬の春着かな きよえ
軒のものずぶ濡れにして春疾風 明日香
宮裏の苗木満開彼岸桜 そうけい
自転車を父に習ひて風光る 山椒
浮御堂行厨広げ残る鴨 智恵子
昼食に炊飯二回春休み みきえ
絡み合ふ隙間に白き豆の花 豊実
田園に命吹き込む春の川 みきお
つまんないああつまんない寒戻り たかを
芽起こしの遠音かけふの生駒山 たか子
薹立ちて背比べせるつくづくし みのる
鷺一羽何時もの川辺風光る 満天
ご朱印に猫の絵もあり遍路寺 なつき
雨の日の橋下陣取る春鮒釣 えいじ
紙垂を名に負ひし辛夷の花真白 せいじ
春暁の雷を聞く目覚めかな わかば
山門を額縁として寺若葉 康子
急磴のなぞへを綴る落椿 澄子
まだ跳べる息整へて春の泥 もとこ
歌集の上梓祝ふ歌会や桜もち こすもす
人待ちてぼんぼり揺るる菜種梅雨 なつき
春昼の風神雷神騒ぎけり 千鶴
雨上がり真青な空や春日照る きよえ
顔上げぬそばかす美人貝母かな 明日香
われらより先ゆく影や青き踏む かえる
餅つくよ触れ回りけり春休み えいいち
雨音の真夜の目覚めにあたたかし あひる
前栽に今を時めく水仙花 せいじ

2024年03月25日

飛花落花車椅子の父そっと押し 山椒
春風の一刷けなりぬ富士の笠 えいじ
下校子の両手に荷物春休み みきお
濡れそぼつ彼岸桜の弁紅き 千鶴
整然と黒々と畝耕さる はく子
俳句女子道草しつつ路地うらら みのる
荒れ果てし農園つづる水仙花 せいじ
六地蔵頭上飛び交ふ雀の子 愛正
小夜更けて大き雨音菜種梅雨 みきえ
やぐらへの細道ゆけば竹の秋 康子
カタコトと菜花畑行く一両車 智恵子
三股の泥を落として春大根 たかを
突然にキンクロ飛来春の川 明日香
雪柳まるで雪降る散歩道 えいいち
白蓮の弁こぼる雨珠光る きよえ
やぐらなる主へとどけと初音かな かえる
いかなごの釘煮店頭人気あり 満天
検査値の結果横目に蜆汁 もとこ
春の海曖昧模糊と水平線 こすもす
春昼や杖忘れある孔雀小屋 なつき
何の樹ぞ怒髪のごとく芽吹きをり 澄子
のどけしや影絵に遊ぶ子猫かな 智恵子
山門へいざなふごとく若葉影 かえる
老母の朝寝や母の夢を見て あひる
海坂へ道真直ぐや風光る 澄子
雨続く風多き春咲くはいつ わかば
地蔵尊へ菜の花あかり供華として 満天
海風や五分咲き続く沈丁花 こすもす
春雨の続きて茅花立つを得づ わかば
街照らすビルの谷間の白木蓮 みきお
くろぼくを出でし大根並ぶ畑 山椒
堀端のちりめん波や春寒し ぽんこ
すれ違ふ山路の老婆芽山椒 愛正
雨粒を払うて風の雪柳 せいじ
ひこばえに蕾ふふめり発掘址 なつき
一邸の庭高々と花ミモザ みのる
植込みに出会う親猫みゃあと鳴く えいいち
青空の浸る間もなし春の虹 そうけい
土佐水木淡き黄色や雨催ひ むべ
青き踏むせせらぎの音と鳥の声 やよい
くるりんとひげを掲げて貝母百合 あひる
シャッターのチャンスを逃す春時雨 そうけい
涅槃西風仏間に少し音のして たか子
たらすひとほおるひとあり春鮒釣 えいじ
白蓮の雨に打たるもしなやかに きよえ
やぐらへの小径誘ふ初音かな むべ
春荒れに免許更新無事に済み 明日香
墓守の媼らの笑みあたたかし 康子
セルフレジ試してみるや春休み みきえ

2024年03月24日

追ひ越せぬトラクターに着く日永かな やよい
強風に煽られ去りぬ初蝶来 愛正
ちりちりと傷の引き攣る余寒かな もとこ
沈丁花小暗き道に微かな香 わかば
たっぷりと雨の洗礼桃の花 ぽんこ
野の花も手向けられをる彼岸かな かえる
鮒釣りも帽子を脱ぎし春の昼 えいじ
畑小屋をゴミの山とす春疾風 そうけい
牧師より手渡されたる染卵 せいじ
仏教伝来之地碑かげろひて 千鶴
椿香に集う鳥らの隱路地 えいいち
風に揺れ春光放つ大樹かな 豊実
大銀杏結えぬ力士の春決戦 こすもす
落椿道の真中に紅く咲く えいじ
すくと立つ見越しの松の初緑 むべ
ぜんまいの赤子のごとき拳かな かえる
春場所を征し若武者深き辞儀 山椒
雪洞の下草萌に尻濡らす なつき
長雨の憂さを慰む木の芽かな 明日香
小さな芽若草となり其処彼処 わかば
花の路踏んまへ立ちし大鳥居 みのる
蔦青むやぐらの口を縁どりて 康子
花菜畑居座る猫に存問す そうけい
再会を誓ひし握手あたたかし みのる
花なくも人の宴は花盛 えいいち
水路脇雨に歩けば菫草 みきえ
ただ顔を見せに娘の来る春の昼 あひる
春場所の力士つぎつぎ休場す 満天
春空を伸び行く飛行機雲の跡 山椒
小雨中休み休みに春の鳥 きよえ
啓蟄の数多の穴や墓の道 康子
春風やインバウンドは名刹へ 明日香
鎌倉の春を巡りて吟行す 澄子
仏の座群れて寄り添う野原かな 智恵子
大銀杏結へぬ力士や初桜 千鶴
あまたなるやぐらを抱き山笑ふ 澄子
受難週悲しみ変わる喜びに きよえ
照れている試着鏡の春帽子 あひる
遠くより雉の鳴き声水車小屋 みきお
野水仙摘みて墓石へおすそ分け 智恵子
急磴に一息つけば白木蓮 むべ
啓蟄や踏まずに通る樹の根っこ たか子
葉桜や遊び友達出来る頃 みきお
鳥帰る坂東太郎の空の道 愛正
枝先のあまたの蕾開花待つ 満天
菜種梅雨助手席の友は八十路 こすもす
春風や同窓会の案内来 みきえ
曇のち雨で始まる受難週 せいじ

2024年03月23日

岩山の地層を隠す花青木 むべ
パッケージ変わりし牛乳風光る こすもす
三輪車やっと乗れたと春の風 満天
周濠に盈つる陵墓の春の水 千鶴
谷間ゆくトラックの風や寒桜 隆松
連なりて大和三山草萌ゆる 千鶴
みどり児の小さき欠伸桃の花 ぽんこ
山寺の門の一歩に初音かな みのる
餌投ぐ子や鴨鯉集ふ春の昼 きよえ
父と娘の訛りやはらか春やさし かえる
袖口に春告鳥の色の爪 かえる
卵ひとつ転げて悲鳴復活祭 あひる
サイレンの駆け抜ける街春嵐 豊実
木の芽漬茂みの中の獣道 愛正
参道の楠天蓋や百千鳥 そうけい
山門を潜るや否や落椿 康子
二分咲きの桜に円居宴なす 智恵子
春霞船影遥か茅渟の海 わかば
うららかや保育園よりオルゴール 康子
初蝶や砂塵の庭に立ち向かふ 愛正
明智風呂霞む空には煙出し 明日香
百千鳥吾のみの野花散歩みち そうけい
山襞を見せては隠し朝霞 たか子
料峭や杖つき進む一歩ずつ みきお
多種多様里の湖残る鴨 きよえ
三人逝くミニクラス会春の雨 せいじ
春川に鯨いるかと孫の顔 えいじ
雛壇に内裏に代わり座る猫 山椒
若葉洩るグリンシャワーや石畳 みのる
前見つめ背筋真直ぐに卒業す なつき
卒業子背負ふ最後のランドセル せいじ
フロントガラス直ぐ溶けゆきし春霰 こすもす
電柱に注意書きあり鴉の巣 えいじ
どの花もひらき窄める花の冷え えいいち
豆電球一個の廁春の闇 みきお
春灯を連ね島影浮かぶなり わかば
春疾風耐える古刹の貫柱 明日香
風誘ふままに揺れるや雪柳 満天
折り紙の病気見舞いや春の昼 もとこ
薄月のふはりと春の夕空に はく子
紫のなぞえとなりぬ仏の座 やよい
白子干混ぜてお日さま匂ふ飯 むべ
岩盤のなぞへを埋む著莪の花 澄子
自転車で若き遍路の黒づくめ なつき
木の幹に小さく二輪初桜 山椒
大鍋に茹だる卵や復活祭 あひる
透けし日の目潰しとなる若楓 澄子
湯治場の湯気に紛れて春の雪 智恵子

2024年03月22日

受難節めぐる聖書の絵画展 せいじ
春の日やあれもこれもと宅急便 もとこ
啓蟄の日の斑のあそぶ虚子墓前 澄子
春霞渡る大橋ファンタジー 智恵子
高層ビルの裾を彩る黄水仙 満天
空明るたわわに咲けり花ミモザ きよえ
猫の舌伸びる蹲水温む みきお
斜張橋影を落として春薄暮 わかば
かくれんぼして春禽の相鳴けり かえる
月冴ゆる遠山の嶺青白し 智恵子
翻るウェディングドレス白木蓮花 えいいち
ボランティアやりませんかと春の庭 えいじ
霞立つ夕日に映えし斜張橋 わかば
生垣の黄楊の明るき新芽かな かえる
贖ひの路てふ聖画春燈 せいじ
桃園に見知らぬ人と立ち話 ぽんこ
蒼穹を黄で刷くごとく花ミモザ むべ
冴返る両隣共墓仕舞い こすもす
竹藪の風音止みて春の月 愛正
お砂踏み通り抜けたり偽遍路 なつき
鮮やかや日浴ぶ水鉢落椿 きよえ
初蝶の虚子のやぐらを存問す 康子
白鳥帰る里沼の静寂さ 愛正
春嵐の雲漏れる日に銀伊吹 隆松
白無垢に唐傘透ける春日かな 康子
小さき葉と連なりひらく八重の桃 えいいち
寒戻る緊急夜の回覧板 そうけい
切符自販機は三十人待ち冴返る こすもす
風去りて群島めきし春の雲 えいじ
鶯に急ぎ足止む峠口 千鶴
春寒の堂に聖画と若き画家 あひる
老犬と歩調を合わせ青き踏む みきお
目覚めれば窓辺明るし春の雪 やよい
道沿ひに並ぶ古民家こぶし咲く 千鶴
招いたりそっぽ向いたり雪柳 たか子
お手製のリボン大きな卒園児 なつき
一穢なき蒼天さして緑立つ むべ
と見る間に山から街へ春時雨 あひる
春うらら手水の水面揺れやまず 澄子
住職が雪駄引き摺る彼岸かな 豊実
登校拒否続けた子にも卒業式 満天

2024年03月21日

振りながら迷いに迷ふ種袋 明日香
師を迎ふモノレールへと春日燦 康子
夕桜真横に散らす強風裡 むべ
百千鳥の畑は大海春の草 そうけい
春分やはたと膝打つ閏年 えいいち
説教にうなづいてゐるけふ彼岸 えいじ
街の音を掻き消す風や寒返る えいいち
坂がかる街を吹け抜く春北風 澄子
球春や球より大きにぎり飯 みきえ
かがみ込むそこに土筆のニ三本 かえる
試合果て花束五つ彼岸用 こすもす
縁切り寺白木蓮の咲かず落つ なつき
啓蟄や鉄筋ばかりのこの街に たか子



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