足止めて初鳴きの虫耳すます | みきお |
母逝くや線香の香の髪洗ふ | 康子 |
うしろ手の校長秋の風に立つ | 幸子 |
一穢なき青空展ぐ台風過 | 澄子 |
ドドド―ンと夜空の華や大花火 | きよえ |
怒りとも願いとも燃ゆ五山の火 | たか子 |
讃美歌をBGMに夕端居 | せいじ |
濁り水浸かる中州や野分あと | むべ |
赤とんぼ群れ飛ぶ左右まちまちに | よし女 |
大花火真近き月の知らんぷり | うつぎ |
界隈に子の声久し盆休み | みきえ |
火柱の立ちてまたたく大文字 | せいじ |
ひまわりの全員そっぽ空を向く | もとこ |
早朝の仏間にごろ寝帰省の子 | 智恵子 |
盆波に耐える磯辺の鳥居かな | 愛正 |
欠伸して二度寝の朝に秋気配 | ふさこ |
終戦日敬老の品前倒し | 明日香 |
懸命な球児と共に残暑耐ふ | 明日香 |
百日紅隙間に見ゆる海の青 | むべ |
古への歪みガラスに秋の庭 | かえる |
朝まだき花色滲む空に秋 | えいじ |
万灯会水笛飽きず吹く子かな | なつき |
コラボして彩鮮やかや花火かな | きよえ |
少年の追ひたりし声法師蝉 | えいいち |
一門の墓碑より広ぐうろこ雲 | 康子 |
2024年08月16日 | |
受け取れば予期せぬ重み黒葡萄 | あひる |
上へ下へ右から左へ揚羽蝶 | こすもす |
送り火の撮影望遠鏡越しに | こすもす |
群れて飛ぶダム堰堤の赤とんぼ | 千鶴 |
パリ五輪汗と涙の金メダル | みきお |
夕日刺す秋蝉騒ぐかごの中 | えいじ |
玄関の追ひ出さずをく守宮の子 | うつぎ |
見落とされさうに可憐な稲の花 | 千鶴 |
平和への祈り新たに終戦日 | みきえ |
帰省の子葡萄抱へて幼児と | きよえ |
何処より幼なの歓声盆の風呂 | あられ |
祭壇を埋め尽くす菊戦没忌 | 山椒 |
教会へしづかなる坂白芙蓉 | 幸子 |
秋夕焼四方を染めてすぐ落ちて | 明日香 |
台風来谷戸に生まれし潦 | むべ |
送り火の匂い立ち込め浄土へと | ぽんこ |
遅々とせる洋上颱風あなどれず | 澄子 |
日盛やゆるやかなれど上り坂 | むべ |
秋日濃し遥拝石に手をかざす | なつき |
妻と来し墓に一灯千日草 | えいじ |
青柿の色づき始むはや鳥に | きよえ |
ふくよかな腹重さうに茄子の牛 | 康子 |
小蜜柑のつるりと剥けて甘きかな | よし女 |
安産を願ひ新藁牛小屋に | みきお |
朝の露硯と見ゆる河原石 | 愛正 |
強風に人も威せり鳥威し | 風民 |
颱風来一樹に集く鳥の影 | 澄子 |
正午いま半旗だらりと終戦忌 | かえる |
よく座せる火床に送り火のほむら | せいじ |
太き尾の群れて青々ゑのこ草 | 風民 |
音楽に和して乱舞や揚花火 | みのる |
体調に合わせぼつぼつ庭手入れ | 明日香 |
水一本買つて飲み干す終戦日 | なつき |
蜩や五右衛門風呂に入る勇気 | 智恵子 |
タンカーのすすむともなく秋の海 | 幸子 |
海の家推しはレモンのかき氷 | 山椒 |
河原石窪みに光る朝の露 | 愛正 |
恋話を聞きつ丸める盆団子 | 康子 |
僧都また水をこぼして苔濡るる | かえる |
讃美もて誤嚥を防ぐ生身魂 | せいじ |
闇に浮く五山送り火京の夜 | みきえ |
二階家の軒端に揺るる百日紅 | よし女 |
紗の衣翻してや僧忙し | たか子 |
飛行雲紛れ溶けゆく鰯雲 | 智恵子 |
逝きし父母辛苦語らず終戦日 | もとこ |
2024年08月15日 | |
高塀を越え零れ初む百日紅 | あひる |
万灯会雨で中止と立て看板 | ぽんこ |
入道雲せなに彩雲狼煙めく | 智恵子 |
秋めきし雲に安堵の深き息 | たか子 |
時報の音高し八月十五日 | せいじ |
葡萄食ぶひ孫生まれる日を耳に | よし女 |
甘き風葡萄畑を吹き渡る | 風民 |
下ろされて這ひ這ひはやし夏座敷 | なつき |
長々とソファに横寝扇風機 | うつぎ |
無花果をその葉に包み到来す | よし女 |
ラジオ前に正座五歳の終戦の日 | きよえ |
摘みとりはお好きなだけと向日葵田 | こすもす |
上弦を過ぎし満ちゆく虫の声 | えいいち |
蜩はもうお帰りと子を急かす | かえる |
万葉に秋の気配も雲流る | ふさこ |
新涼や我が家四階風走る | きよえ |
スニーカー濡つる朝草の露 | むべ |
父母の揃ひて夢に秋の朝 | むべ |
開け放ち風通り行く夏座敷 | 山椒 |
塩を吹く祖母の梅干し飯一膳 | 愛正 |
法師蟬声重なりてふと途切れ | なつき |
病得て想ふ昔や星祭 | 幸子 |
鎌と鍬最後の手入れ秋収め | みきお |
膨らみのほころび出でる稲穂かな | 千鶴 |
かまきりの物干し竿を渡りきる | えいじ |
目瞑りて聞く時報の音終戦忌 | せいじ |
公園のトイレにゑのこ草生けし | えいじ |
軍帽の写真の伯父や終戦日 | 千鶴 |
入道雲背なに虹めく彩雲よ | 智恵子 |
赤蜻蛉墓の後に回りけり | うつぎ |
語り部の言葉胸突く敗戦日 | 明日香 |
墓参りよちよち歩きしんがりに | 康子 |
苧殻焚く缶は昭和の絵柄かな | 康子 |
父母は吾に語らざりし終戦の日 | えいいち |
松の木に背なあずけ見ゆ秋の海 | 澄子 |
力瘤込めて光れり夏の雲 | 山椒 |
マネキンに脱いでもらひし夏セール | あひる |
シーグラス光に透かし夏果てぬ | 澄子 |
木斛に綺羅を纏わせ秋陽射 | かえる |
来し方をあれこれ思ふ終戦日 | 明日香 |
枝豆や過激な夫の塩加減 | もとこ |
顎紐をしっかり結ぶ花野風 | みきお |
色も形も交配進むヒマワリ田 | こすもす |
日を浴びて塩吹く梅や土用干し | 愛正 |
狂言師盃干すに秋扇 | 幸子 |
2024年08月14日 | |
吾娘居れば今日も乾杯ビール酌む | あひる |
稲妻の瞬く空を覆ひけり | 澄子 |
三叉路の信号待ちや早稲匂ふ | うつぎ |
歌舞音曲残暑忘れの舞台かな | 千鶴 |
つくつくし聞きつ夕餉の支度かな | 康子 |
空仰ぐ犬の眼にいわし雲 | かえる |
サプリメント飲みてまぎらす盆疲れ | よし女 |
ぺんてるの消しゴム小さき終戦日 | 幸子 |
秋めくや足取り軽し夕散歩 | みきえ |
生身魂より乾杯の声を待つ | 康子 |
遺髪とて無き祖父のこと終戦忌 | あひる |
夕さりに蝉のひと鳴き夏去りぬ | えいいち |
藪茗荷白しここより森に入る | むべ |
墓掃除愛犬伏せて動かざる | 智恵子 |
初秋を告げて汽笛のまたひとつ | 幸子 |
あでやかな舞ふ玉三郎秋シネマ | 千鶴 |
仏飯の米粒たちて涼新た | なつき |
お下がりの人気はシャインマスカット | なつき |
玄関に佇む影や苧殻焚く | ぽんこ |
堤防のフェンス隠して葛繁茂 | こすもす |
蹴り上げるボードくるりと夏の雲 | えいいち |
かなかなや墓石に沁みて悲しけり | 智恵子 |
盆の内参加少なき勉強会 | たか子 |
お出かけをいざよふ午後の残暑かな | 澄子 |
学ランのほとばしる汗応援団 | 山椒 |
宅配便又素麺の届きけり | こすもす |
おもちゃとて擬せずと諭す終戦日 | えいじ |
新しき傘は瑠璃色夕立晴 | 風民 |
放たれし槍貫けり夏の空 | 山椒 |
廃船に被り砕くる土用波 | 愛正 |
大なゐが話題ことしの盆の卓 | せいじ |
夏草の中滔々と水の音 | 風民 |
この歳になればわかると生身魂 | 明日香 |
手拍子の揃ひて盆の踊りかな | きよえ |
川に綺羅波たつ風の秋近し | えいじ |
女郎花風に誘はれ左見右見 | かえる |
急く人もなく手抜きして盆用意 | もとこ |
花火師の海を見ている昼の顔 | よし女 |
引く波に足元すくわる土用波 | 愛正 |
秋思憑く震るやも知れぬ大なゐに | せいじ |
夜の雷一瞬の雨連れて来ぬ | みきえ |
保冷剤間に挟み盆用意 | 明日香 |
初秋の空逆転サヨナラカーブ勝つ | 董雨 |
2024年08月13日 | |
端居して太き記念樹眺めけり | 康子 |
虫の音を心待ちして床につく | 明日香 |
秋灯のまるき揺らぎやティーカップ | 幸子 |
窓開くる山の朝風秋近し | 愛正 |
秋初め大石に日の温みかな | 風民 |
をとこ節まわる媼の踊かな | えいじ |
落ちてゆく尾の長々と流れ星 | かえる |
とんぼうや瑠璃戸叩いて訪ひぬ | もとこ |
麦酒注ぐショットグラスや下戸二人 | あひる |
腹痛の子に擦り下ろす林檎かな | みきえ |
大空の下ペダル漕ぐ青田道 | せいじ |
台風の直撃予報週末と | 智恵子 |
日は妻の背に影中の草を刈る | えいいち |
一頻り鳴き声揃う付くつくし | よし女 |
花の高さ少し直して墓参 | こすもす |
秋灯や棺の母の朱唇照り | 康子 |
草取りの背なる朝風秋迫る | 愛正 |
踏ん張りて楊枝の脚の茄子の馬 | なつき |
郷里より盆供にせよと早場米 | うつぎ |
三度雨上がり大空秋の虹 | きよえ |
隣家より漂ふ苧殻焚くにほひ | むべ |
キリコの絵思い出させる残暑かな | 明日香 |
爽やかな笑顔の帰国パリ五輪 | きよえ |
校庭の籬ともなる百日紅 | せいじ |
夏五輪鐘打ち鳴らすメダリスト | みきえ |
盆団子供へ曾孫誕生予定告ぐ | よし女 |
ファンファーレ花火の焦がすパリの空 | 山椒 |
金色のメダルを嚙り処暑来たる | たか子 |
夕闇に浮かぶ三日月風涼し | 智恵子 |
飛び石に翅を休める青蜻蛉 | かえる |
鰯雲徐々にほどけて雨模様 | みきお |
喧騒の無き朝今日は盆の入 | えいいち |
ノンアルのビールに酔いて孫朗らか | ぽんこ |
笑み浮かべ逝きたる父や夏の果て | たかを |
ジンジャーの花や優しき飛蚊症 | 幸子 |
夏風邪の妹リモートで参りけり | なつき |
老人の重き足取り百日紅 | みきお |
甲斐甲斐し妻の働き墓参り | たかを |
闇の中仏間を照らす盆提灯 | 山椒 |
飛び石を大中小のサンドレス | 風民 |
あの雲の動きが違ふ近し秋 | ふさこ |
突き上げし拳の揃ふ祭の輪 | えいじ |
研ぎあげし苅込鋏秋手入 | むべ |
投函すポストの辺り草いきれ | こすもす |
蝿叩きパシリと打てど間に合はず | 千鶴 |
2024年08月12日 | |
帰省子のキャンセルに意気消沈す | せいじ |
軍機征く空をいういう赤蜻蛉 | えいじ |
火口原山風耐える岩桔梗 | 愛正 |
渋滞を避け回り道墓参り | みきえ |
盆の月疎遠の子等と晩餐かな | ぽんこ |
水澄むや池の底這ふ烏鯉 | かえる |
車山リフトに展ぐ大花野 | 智恵子 |
帰省子のキャンセルそれもまた嬉し | あひる |
夏休み児の秘密基地ベッド下 | ふさこ |
メダル食み満面の笑み夏の空 | 山椒 |
遠縁の墓石違へる墓参かな | みきえ |
蝉の声変はるは地球地動説 | えいいち |
ひと気無きちびっ子広場夏の昼 | みきお |
喧騒を逃れ千草の草千里 | 智恵子 |
剪定の庭木を透かし秋の空 | 山椒 |
粉まみれ団子作る子盆支度 | 康子 |
薬局のみどりの十字涼新た | 幸子 |
秋立つやガラスの金魚の向き替ふる | よし女 |
たちまちに暮色となりぬ夕立晴 | 風民 |
公園に風よく通ふ猫じゃらし | よし女 |
登山道瓦礫に伸る岩桔梗 | 愛正 |
雑踏に我が名呼ばれて祭の夜 | 澄子 |
川幅にきらめく秋の陽射しかな | 幸子 |
夏スケボ雄斗の技は俳句なり | えいいち |
小鳥くる庭に撒きたる枕飯 | 康子 |
稲の波に微かな音や耳すます | こすもす |
一村を洗い上げたる夕立かな | 風民 |
帰省子のキャンセルの訳聞きやらず | せいじ |
双子たち喃語交わして秋の昼 | もとこ |
隣家より釘打つ音の端居かな | えいじ |
銀輪の背ナ膨らます風は秋 | あひる |
野路行けば法師蝉どち遥より | こすもす |
初秋の楽曲のごと蝉時雨 | きよえ |
御供えは就農の子の夏野菜 | たか子 |
整地跡あつといふ間に猫じゃらし | 明日香 |
カメムシの防除にせめて草刈りぬ | 千鶴 |
風見鶏向き変へ秋の来ていたり | 澄子 |
ゆふまぐれ仄かに香る夕化粧 | 明日香 |
盆荒れや水族館へ怒涛寄す | むべ |
賑やかに五輪終わりぬ盆の月 | 千鶴 |
高みより啼ける孤高の秋鴉 | かえる |
十八の孫来てビール盆の膳 | たか子 |
夏風を押す槍投げや金メダル | みきお |
水草の花をかすかに鯉揺らす | むべ |
2024年08月11日 | |
大花火果てて闇夜のまた寂し | 千鶴 |
瀬戸の鰡海面にしぶき落しをり | きよえ |
選びしは孫おすすめのアイス棒 | あひる |
白髪の見え隠れする麦藁帽 | せいじ |
マハラジャに舞ふ羽扇ごと合歓の花 | えいいち |
縞瓜の縞くつきりと瓜揉みぬ | むべ |
夏シャツの偕老はペアルックかな | せいじ |
盆迎え子ら集まると云ふ安堵 | たか子 |
来客の鳴らすお鈴の音涼し | 康子 |
冷房の部屋に籠りてショッピング | なつき |
母残すメモが頼りや盆用意 | 康子 |
秋の夕コンクリの道まだ暑し | きよえ |
開店を待つ長き列盆用意 | みきえ |
強風に傾ぐ大樹や蝉の声 | たかを |
秋風来オリーブ色の服買ひに | もとこ |
星流る闇を切り裂きまた流る | かえる |
飛び入りの幼も踊る河内節 | えいじ |
朝顔の纏はる縄や片庇 | むべ |
高原も二十九度とや秋暑し | こすもす |
庭畑の小ぶりとなりし茄子の馬 | なつき |
なだらかな坂ここよりの花野かな | 幸子 |
雨上がりかなかなの声木霊せり | かえる |
下校児や合歓の葉触れて見合う顔 | 愛正 |
杖の人へと傾くる白日傘 | あひる |
徒長枝の伸びに伸びたり秋の風 | 澄子 |
足元に涼風至る今朝の庭 | ふさこ |
新涼に飾る俳画を替えにけり | よし女 |
流れ星言葉にできぬ気持あり | 明日香 |
しっかりと漁船を繋ぎ盆休み | よし女 |
朝露の降りて煌めく穂先かな | 千鶴 |
列柱の狼煙のごとく雲の剣 | えいじ |
うしろ手に残暑の扉閉ぢにけり | 幸子 |
散歩道落つる青柿花は見ず | 愛正 |
久方に兄弟の会ふ墓参かな | ぽんこ |
2024年08月10日 | |
父母と子と向日葵畑の写真館 | えいいち |
体操の号令を消す蝉時雨 | うつぎ |
散歩道落つる青柿花は見ず | 愛正 |
炎天を来て炎天に出で行きぬ | うつぎ |
久々に聞くふるさとの蝉の声 | せいじ |
切り株にひそと寄り添ふ草の花 | かえる |
盆用意岐阜提灯のモダンかな | たか子 |
秋浅き橋に西詰東詰 | 幸子 |
政争の式典となり原爆忌 | 澄子 |
新涼のパリのマラソン終盤へ | 千鶴 |
バス停を小道に入りて墓参かな | 幸子 |
ペンダントライト真白く秋迫る | えいじ |
音の高き秋の風鈴鉄錆びて | むべ |
茗荷の子食べて明日も生きてゆく | もとこ |
パリ名所巡るマラソン秋気澄む | 千鶴 |
なゐふりて長き家路や夜の蝉 | むべ |
錆びつきし缶転げ出づ原爆忌 | 澄子 |
クライミングよじ登りゆく夏空へ | あひる |
滑り台触れるも難し炎暑かな | 風民 |
有料席スターマインが頭上から | 明日香 |
盆僧に渡すボトルや残りし茶 | みきえ |
御手洗場秋の木漏れ日お伊勢さん | 智恵子 |
手話交え話す語り部原爆忌 | みきお |
夏空を軍機あまたのけがき跡 | えいじ |
仏壇を念入りに拭く盆用意 | ぽんこ |
西陽いるステンドグラスの彩躍る | 智恵子 |
静かなる庭や母逝く今朝の秋 | 康子 |
秋に入り植木に疲れありありと | 明日香 |
鍬の手を休め見つめる帰省の子 | みきお |
下校児や合歓の葉触れて不思議顔 | 愛正 |
風死すや独りぽつりと無人駅 | ふさこ |
牛の尾の時折揺れる夏野かな | 風民 |
渓谷の日の斑に紛れ水遊び | あひる |
星流る闇を切り裂きまた流る | かえる |
夕立前雨の匂ひと言ふ子かな | みきえ |
出征旗掲げ句会や長崎忌 | こすもす |
蝉すだく人影のなき古社 | せいじ |
寄書きの日の丸広げ長崎忌 | こすもす |
夜の厨白き家守の消えゆけり | 康子 |
秋はじめ地震対策大はらは | きよえ |
2024年08月09日 | |
亡友語る頭つるりと長崎忌 | きよえ |
墓洗ふ仕切りたがりぬ曾孫どち | うつぎ |
幼子をさらりと躱す夜の金魚 | えいじ |
増えもせず何か気になる蝉の穴 | ふさこ |
妹が欲しと願う子星祭り | こすもす |
曾孫らの仕切りに任せ墓洗ふ | うつぎ |
と見る間に夏草萌ゆる造成地 | かえる |
プロポーズ花火に託しゴールイン | 明日香 |
老犬の深く息吸ふ今朝の秋 | むべ |
手伝ってと言いつ独りの盆用意 | たか子 |
本抜けば本の傾ぐや秋浅き | 幸子 |
頬撫でる柔らかき風今朝の秋 | みきお |
揚げ花火今年最後と火花炙 | 智恵子 |
米粒ほどのお経の文字やつくつくし | よし女 |
秋たつやテラスに遊ぶ風優し | 智恵子 |
水墨の天に瞬く稲光 | えいいち |
見上げれば跳ねる白熊夏の雲 | たかを |
萩焼のうすももいろや秋はじめ | 幸子 |
水打ちて終了したる勉強会 | こすもす |
菊の日や久方ぶりの雨嬉し | きよえ |
夕闇を小走りに往く稲光 | えいいち |
蝉時雨網を持つ子も草のなか | えいじ |
コスモスの丘今も万博公園に | はく子 |
早朝の散歩清爽風は秋 | ぽんこ |
陽の色を風に乗せるは凌霄花 | かえる |
冷房の病院過ごす一日かな | もとこ |
小鯵揚げ帰国の友を労ひぬ | むべ |
月仰ぐ所作うつくしき踊りの手 | 澄子 |
原爆忌長崎の鐘合唱す | 千鶴 |
雨晴れて届くは蝉の遠音かな | せいじ |
熱風の渡る釣場に人気なし | なつき |
ケアホーム手すりに風鈴並びをり | 康子 |
道端の紅虎杖や遊歩道 | 愛正 |
山懐紅虎杖の古戦場 | 愛正 |
熱帯夜地震に慣れたる子のメール | なつき |
庭師来て庭木摘みこむ今朝の秋 | よし女 |
羅の僧の読経の透き通り | みきえ |
マネキンの秋の装い笑み溢れ | たかを |
仕舞屋の秋の風鈴鳴りやまず | 澄子 |
大西瓜ネット解きてリユースす | みきえ |
戒名を授かる卓へ冷麦茶 | 康子 |
幹蹴って落とす父親兜虫 | みきお |
大花火スターマインへ祈り乗せ | 明日香 |
木立てふ木立に蝉の集結す | せいじ |
2024年08月08日 | |
誰彼の言うて行きたる残暑かな | よし女 |
日と遊ぶ切子の翳や卓涼し | むべ |
人多き熱砂さめたる海辺かな | 愛正 |
閲覧室座る場所なき猛暑かな | 愛正 |
秋めくや軽き会釈は垣根越し | 幸子 |
残暑なほキリンの首のひと振りも | 幸子 |
新涼や今朝の目覚めの大背伸び | きよえ |
麦酒樽尽きて店主の困り眉 | かえる |
大広間に首すくめをり扇風機 | なつき |
八分の一の西瓜を半分こ | うつぎ |
秋めきて夜半の轟何処から | えいいち |
大手門閉され蜩鳴くばかり | 澄子 |
苦瓜の子蔓手のごと綱登 | えいいち |
まほろばの波立つ青田手をかざす | 明日香 |
白菊てふ慰霊の花火闇に浮く | たか子 |
冷房の茶席やすらぎ御馳走に | なつき |
蜩や畦道歩む影法師 | 澄子 |
酩酊し顔に生傷生身魂 | たかを |
汗かくを日課と決めて自彊術 | あひる |
ポニーテール振りてゴールの汗光る | あひる |
風死すや山も静なり昼の二時 | ふさこ |
秋立ちて和らぐ朝の日差しかな | せいじ |
新涼の山並蒼く晴れ渡る | きよえ |
敷石の歩道を占領松葉菊 | ぽんこ |
ゆく夏の空に一句をなぞりたり | えいじ |
頬よぎる風の気配や秋立ちぬ | 千鶴 |
オムレツに朝採りトマト添へにけり | こすもす |
蜘蛛の囲の風にふくるる維新の地 | よし女 |
内曾孫抱き無言や生身魂 | 康子 |
白靴の玄関を出る軽さかな | うつぎ |
松が枝に鳩寛げる今日の秋 | 風民 |
烏瓜花の絡まる夕の辻 | むべ |
絵日記に流しそうめん二ページや | 智恵子 |
八月や懺悔の祈りあちこちに | みきお |
炎天にサインポールや天目指す | たかを |
八方に拳突き出す百日紅 | みきえ |
石楠花や咲いて顎乗す庭灯篭 | 智恵子 |
ボサノバの音も軽やかや秋立つ日 | せいじ |
向日葵やふと思ふウクライナの地 | みきお |
青空にひまわり畑の地平線 | 康子 |
夏の果て忍野八海コイン多々 | 明日香 |
孫来たる巨大サンダルをちこちに | もとこ |
水撒けば土の香のぼる夕涼し | かえる |
手拍子のそろふて踊る炭坑節 | えいじ |
遅咲きの鉄砲ゆりや秋暑し | 千鶴 |
2024年08月07日 | |
弁当作りの体験学習秋立つ日 | こすもす |
呪文めく競り人の声鯔撥ねる | よし女 |
美しく日焼けしてをる球児どち | せいじ |
サングラスもろとも浴ぶるミストかな | むべ |
大広間一人浴びたる扇風機 | なつき |
酷暑にも睨みをきかす鬼瓦 | 愛正 |
初秋やはらりと落ちる紙しをり | 幸子 |
飛びし鵜の鈍ぶの波間に紛れけり | えいじ |
疑わず今を生き切る蝉時雨 | 明日香 |
ラムネ玉鳴らし赤子の笑ひけり | 康子 |
夕日影散らすや風の猫じやらし | せいじ |
ペンタスの紅や炎暑を跳ね返す | あひる |
照明弾雷光数多音もなし | 智恵子 |
いもうとへ用なき電話つくつくし | 幸子 |
ひからびる蝉の骸や地に還る | みきお |
波打ち際熱砂で戻れぬ子ら騒ぐ | 愛正 |
百日紅溢るにまかせ掃かでをく | 澄子 |
忍び足擬宝珠に止まる赤とんぼ | ぽんこ |
鱧天の真白にぱらり唐辛子 | かえる |
立ち泳ぐ鉢を覗けば金魚かな | きよえ |
断末の蝉持てせめて樹の根っこ | たか子 |
ぼた餅の分厚きあんこ暑に耐ふる | あひる |
墓洗ふ少し欠けありいつの間に | 明日香 |
花火客やんやの拍手鳴り止まず | 千鶴 |
山積みの草を持ち上げ毛虫出る | 董雨 |
闇夜いま真白に染めて稲の殿 | むべ |
釣り竿の強き手応へ青嵐 | 風民 |
茄子漬の味よし香よし食すすむ | きよえ |
秋立てりほら貝合図に競り始まる | よし女 |
面涼し表彰台に飛び乗りて | うつぎ |
炎天や人影の無き漁師町 | みきお |
夜の更けて風鈴チリンと鳴りにけり | みきえ |
実感はまだまだわかず今朝の秋 | こすもす |
馬つなぎ残る城址や蝉時雨 | なつき |
生身魂やをら話の輪の外に | うつぎ |
大雨に水道水も凉となり | ふさこ |
提灯の電池確かむ盆用意 | みきえ |
新しく並ぶ塔婆の墨涼し | 康子 |
朝まだき踏む音涼し草の道 | えいじ |
喉とほる薄茶の甘き今朝の秋 | 風民 |
枝豆を無心に食らふおちょぼ口 | かえる |
万発を仕込む花火の中洲かな | 千鶴 |
近づけし手を弾かれて鳳仙花 | 澄子 |
絡み合ひまだ伸ぶる朝顔の蔓 | えいいち |
残る日々遊びをせむと相撲草 | もとこ |
2024年08月06日 | |
残暑光かくも短き詩に挑み | 幸子 |
危ふしや木の葉隠れに蝉つぶて | せいじ |
食パンを焦がしたる今朝原爆忌 | たか子 |
駐車場猛暑散りまく排気ガス | 愛正 |
タクト無き合唱団の蟬時雨 | かかし |
揚げてなほ青紫蘇は色鮮やかに | かえる |
せせらぎに付かず離れず糸蜻蛉 | 風民 |
長老のお話聴く会夏休み | こすもす |
新墓に造花の仏花墓参り | 明日香 |
限りある米買ふ朝や蝉時雨 | みきえ |
竹林の揺らぎ熱風吐き出せり | なつき |
床料理瀬の楽聞きつ舌つづみ | 明日香 |
片蔭を櫓へ向ふ肩車 | えいじ |
塩梅を新枝豆に確かむる | むべ |
橋古りて石欄のぼる葛の蔓 | むべ |
花火爆ぜ尾を引き落つる火雨かな | 千鶴 |
遠泳の波間に遠き烏帽子岩 | 智恵子 |
吾子から明日も来ようよ盆祭り | たかを |
木の床の生気伝わる素足かな | もとこ |
藻の覆ふメダカの見えぬ用水路 | 愛正 |
はたた神闇に大地を震わせり | 智恵子 |
大鹿の彼方をみやる眼の涼し | 風民 |
飲み干せば本題に入るビールかな | 康子 |
樹木層のチラシ見てゐし端居かな | なつき |
百寿僧説法熱く声涼し | かかし |
赤ちやんのちんちんのやうゴーヤ生る | えいいち |
山門は早や地蔵盆提灯揺れ | ぽんこ |
夏野菜閉じ込めて揺るアスピック | かえる |
列車来る夕焼雲を引き連れて | よし女 |
凉に写経異邦人をり比叡山 | ふさこ |
炎昼の水を飲んでは庭師かな | よし女 |
枝豆を探りつ友の話聞く | 康子 |
幾重にもうち重なりて花火爆ず | 千鶴 |
影法師ついて来る朝広島忌 | えいじ |