春風や屋根から屋根へ蝶の舞い | たかを |
苔の碑に火を点じたる落椿 | みのる |
二階より見守る巣箱鳥来たる | みきお |
若楓見上ぐ水音水路閣 | 智恵子 |
鉢の苔持ち上げて新芽出ず | 明日香 |
花滂沱嬉しき予想外れなる | たか子 |
復活祭ズームの賛美合はねども | せいじ |
うららかや踏切待ちの間も俳句 | 澄子 |
物干の動じぬ衣春の雷 | えいいち |
新葉への命を繋ぐ春落葉 | みきお |
靴擦れの踵を撫でる新社員 | 山椒 |
春風に我が身包まれ散歩かな | きよえ |
褐変の白木蓮皆散りをりぬ | こすもす |
純白のまま散るもあり白木蓮 | こすもす |
シルバカー押す背ぬくし遠くまで | みきえ |
屈みては犬と語らふ春帽子 | あひる |
切通し多き鎌倉踏青す | むべ |
ころびたる猪口のごとくに椿落つ | みのる |
家苞にたんぽぽ摘みてゆく子かな | えいじ |
子ら登るジャングルジムへ落花舞ふ | 康子 |
2024年03月31日 | |
一斉に百花の並び春の花舗 | 山椒 |
小さき手を閻魔に合はす花の下 | なつき |
対岸の土堤を埋めて花菜畑 | 康子 |
霖雨晴れ芽吹く垣根となりにけり | 澄子 |
やっと咲く手の平サイズの赤椿 | ぽんこ |
焦らされて花見の日取り決めかねし | たか子 |
機長いま翼下に雪の富士見ゆと | みのる |
ダム湖畔三、四分咲の山桜 | 千鶴 |
雪やなぎ夜目に白無垢揺るごと | えいいち |
花三椏先この先鞍掛峠なり | 隆松 |
桜鯛釣ってめでたしえびす舞 | 千鶴 |
泥つきのたかんな並ぶ無人市 | みきお |
けりけりと番い騒げる春田かな | えいじ |
あたたかや見舞いの友の次々と | もとこ |
満開の落花しそうな紫木蓮 | 満天 |
野良仕事始まる集落畦青む | みきお |
雨粒の珠と輝く木の芽かな | 康子 |
風光る初優勝の校歌流る | 満天 |
里山は墨絵めきをり春の霧 | やよい |
ホウレン草主役脇役幅広し | きよえ |
ぺちやくちやとひと駅愉し踏青子 | 澄子 |
蝶舞ひてラジオ体操楽流る | えいじ |
とうたつと溢れんばかり春野菜 | 明日香 |
春惜むひねもす庭に出てをりぬ | 明日香 |
思わざる友との出会ひイースター | わかば |
二分咲きの宮に二人の花見かな | あひる |
君もまた成長痛か土筆の子 | あられ |
豌豆の花ヒラヒラと畑を舞ふ | きよえ |
雪柳粉雪の如舞ひ散れり | 山椒 |
春の夜に映るスマホの子らの顔 | えいいち |
十字架に薄絹掛かる復活祭 | むべ |
春の野に筏めきたる茣蓙の基地 | せいじ |
海風に色移り行く供花うらら | そうけい |
椿落つ僧侶の歩む墓地参道 | 愛正 |
挨拶を終えてまた掃く落椿 | あひる |
青空へ千手差し伸べる如白木蓮 | こすもす |
落椿苔の上座し生気増す | 愛正 |
花見酒数えて笑ふ青き空 | 智恵子 |
旅疲れ癒やす車窓の春夕焼 | むべ |
クルーズ船デッキに至福春の風 | 智恵子 |
旅うらら俳句談義の尽きるなし | かえる |
黄砂降る水平線の模糊として | わかば |
一夜で咲く挿花の莟斑の椿 | そうけい |
行き一分帰り三分の桜かな | あられ |
寺守の箒軽やか朝桜 | なつき |
焼杉の塀越しに見ゆ利休梅 | かえる |
礼拝の今日は司会やイースター | せいじ |
2024年03月30日 | |
薄桃と白の花びら木瓜散華 | 山椒 |
朝霞近隣の屋根のみ残し | そうけい |
決算の締めと重なるイースター | せいじ |
赤椿ひとつ隣家に落ちてゐる | たかを |
ひこばえの蕾膨らむ古木かな | ぽんこ |
春が来た老女手を振る遠くから | たかを |
鼻水を止める術なし花粉症 | 智恵子 |
こんなにも白木蓮があったとは | こすもす |
初花や両手でつつむふるまひ茶 | なつき |
春の波磯に異国の空容器 | 愛正 |
ホームラン雀隠しの球探す | みきお |
句敵とライン開通山笑ふ | せいじ |
蚕豆の花の紫見詰むごと | きよえ |
買ひ物のコース変へて初桜 | 満天 |
来阪の曾孫としばし春うらら | はく子 |
春休みごつた返すはガチャ売場 | 明日香 |
雨晴れて川沿ひ眩しい菜の花に | 満天 |
銀輪の夫の背を追ふ春陽かな | あひる |
鎌倉のブランド大路踏青す | 澄子 |
吾が狭庭椿八珍咲き揃ふ | 澄子 |
菜の花の湯がけば口にほろ苦し | むべ |
焼杉塀つづく古町木の芽晴 | むべ |
逆光に揺らぐ人影春夕焼 | みきお |
花を待つ手持ち無沙汰や賀茂の土手 | もとこ |
エリカ映ゆ異人館めく白壁に | かえる |
畑菜花競ふごとしに背を伸ぶや | きよえ |
白皙に深く被りし春帽子 | かえる |
前撮りの新郎新婦花下に笑む | 康子 |
一二滴落ちてスマホに春時雨 | えいじ |
日あたりて萌黄に透ける若楓 | みのる |
宮守のリヤカー追ふか落椿 | 愛正 |
球春や歓声に憂さ飛んでゆく | 明日香 |
襞襟の女王の如畑キャベツ | 山椒 |
われを見て声かけるやに白椿 | えいじ |
三月尽かつては年度納めしや | 千鶴 |
青空の浸る間もなし春の虹 | そうけい |
うららかやホ句三昧に古都の旅 | みのる |
中庭に花見椅子置く資料館 | 康子 |
花の下つぼみ開くを待つベンチ | なつき |
吾に来ては去りて又来る黃蝶かな | やよい |
黄砂降る占領されし物干し場 | 智恵子 |
妣植ゑし桜の蕾ふくらみぬ | わかば |
初花のまことに淡き彩なして | たか子 |
ただ目鼻描いて愛らし染卵 | あひる |
ショートヘアにせり春風に誘われ | こすもす |
春憂ひ籠る家居に針を持つ | わかば |
2024年03月29日 | |
三月尽友より婚の知らせ受く | なつき |
菜の花の迷路畑や子ら駆ける | 千鶴 |
みつまたの匂ふ全山黃に染めて | やよい |
笊を持つ姥取り巻く山椒の香 | 愛正 |
ぬかるみや青きを踏みて散歩かな | きよえ |
語らえば墓前に揺れり百合の花 | 山椒 |
どの店もランチの親子春休み | あひる |
前撮りの白無垢に射す若葉影 | みのる |
一門の諸子うち揃ひ花下に笑む | 康子 |
絶え間なく囀り天より届きけり | こすもす |
とうろうの卵ひそかに春堤 | えいじ |
なにげなく見上ぐ青空初つばめ | みきお |
初めての散歩コースや初音きく | こすもす |
紙垂のごとやぐらに垂るる蔦青葉 | むべ |
四月来る高きビル立つ淀屋橋 | 明日香 |
掘り返す土柔らかし穀雨かな | みきお |
春の水何色にせん筆とめて | たか子 |
次々と芽柳くぐりペダルこぐ | あひる |
頬づえをつきてテラス目借時 | 智恵子 |
修行場址に呆けし蕗の薹 | なつき |
のどらかや異国語で問ふ歯科医院 | 明日香 |
前撮りの花嫁さんが芽木越しに | かえる |
啓蟄の雨にやぐらの土匂ふ | かえる |
若草の飛び出してをる四つ目垣 | 康子 |
外つ国の黄砂も人も渡り来る | もとこ |
浜風や幹より出でし初桜 | きよえ |
公園の子等の賑はふ春休み | 満天 |
紫木蓮白き胴裏あらはにす | むべ |
武蔵野にさくら前線至りけり | 澄子 |
雨上がり喇叭水仙香増しぬ | 千鶴 |
桜の木声散りばめて遊ぶ鳥 | わかば |
ビニールの傘がドラムに春驟雨 | せいじ |
春嵐去りて膨らむ蕾たち | 智恵子 |
参道でたたら踏みたり落椿 | 愛正 |
うぐひすや喬木砦なす古刹 | みのる |
春の鳥声鳴き交わす朝の木々 | わかば |
水温む大きい鯉の口開けて | 満天 |
嵐去り初花開花宣言す | 澄子 |
切つ先を鋭く立し物の芽かな | ぽんこ |
雨晴れて囀りやまぬカフェテラス | せいじ |
早春や船も小島もふんわりと | 山椒 |
囀りて群鳥空へちりぢりに | えいじ |
2024年03月28日 | |
山茶花の散りてたいくつ老母の窓 | あひる |
ほ句せんと合羽濡らして春野ゆく | えいじ |
春の日の眩し広葉樹林かな | 澄子 |
近寄れば柵に顔出す牛のどか | やよい |
春暁に隣りの夫婦ランニング | 智恵子 |
川沿いの桜一輪朝の吉 | 智恵子 |
くるくると回る火の粉やお水取り | みきお |
とうろうの卵にしみる春の雨 | えいじ |
母植うる葉は逸早く山桜 | わかば |
春愁の上海に待つ乗継ぎ便 | あひる |
春泥に敷きし歩板の薄さかな | 千鶴 |
つくしみな長けて背たかのつぽなり | はく子 |
波止朧作業最中のクレーン船 | きよえ |
縁側に煎茶の香り苔青む | 千鶴 |
うち仰ぐ磴はむなつき新樹光 | 康子 |
開花待つ隣り葉桜あそぶ鳥 | えいいち |
たんぽぽの強く根付きて花開く | わかば |
タイに今着きしと子らの春休み | せいじ |
役終えて関節ゆるぶうららけし | 明日香 |
蒼天の梢のたかきより初音 | 澄子 |
木の芽雨ひとふりごとに園豊か | 満天 |
春光にぎよろ目見開く仁王かな | かえる |
春なれや庭の増したる色香なり | 愛正 |
寿福寺の彼岸のやぐら巡拝す | みのる |
胴からも芽吹く大樹の桜かな | かえる |
新しき切株光る遍路道 | なつき |
忽然と畑は町なか蝶来る | えいいち |
春泥の靴脱ぎ捨ててこんにちは | もとこ |
曇天に眼ぱっちり鳩の春 | たかを |
水溜まる春田啄む鳥忙し | みきえ |
春一日人形展みて海もみて | こすもす |
やぐらからやぐらへ遊ぶしじみ蝶 | むべ |
次々と足あと浚う春渚 | みきお |
雨上がり貸農園を耕せり | 満天 |
プリムラに小さき小さき虫憩ふ | せいじ |
卒業式胸はる子らの頼もしさ | 愛正 |
四月来る収支報告やつと終え | 明日香 |
水鏡ますます淡き初桜 | たか子 |
暖かし歌碑たつ浜のベンチかな | こすもす |
卒園の花束飾る子のカップ | なつき |
春の雨垂る連山霞めりて | きよえ |
虚子の碑に佇みをれば鳥雲に | みのる |
やぐらへと通ひ来四囲の若葉風 | 康子 |
丹の欄に記念写真や古都うらら | むべ |
石畳すき間一輪たんぽぽ黄 | ぽんこ |
2024年03月27日 | |
花韮よ主役となれと門に置く | あひる |
初音なりならの小川のせせらぎに | もとこ |
宿場町古民家カフェの糸桜 | 智恵子 |
たどたどし裏山に聞く初音かな | 千鶴 |
石畳木陰の上の春落葉 | ぽんこ |
小物店ジプシーしつつ路地うらら | 澄子 |
春愁や収集されぬゴミひとつ | せいじ |
笑ひヨガ五体で笑ふ日永かな | やよい |
傘寿てふ記念の植樹苗木市 | かかし |
白無垢の渡る堂縁風光る | 康子 |
春陰に横列したる墓石群 | 澄子 |
春寒の香も夷らげて団子汁 | あひる |
詳細を詰める雨後の歩斑の椿 | そうけい |
風光る若草山の登山口 | 明日香 |
つくづくし幼き友の便り絶へ | かかし |
竹鳴らす風に押さるる遍路道 | なつき |
若竹に傾ぐ廃寺の無縁仏 | なつき |
園児らの黄色い声や春日燦 | 満天 |
春天へ縦一文字飛行雲 | かえる |
母逝けり山いっぱいの蝉時雨 | 山椒 |
こんもりとしたるは古墳柳の芽 | 千鶴 |
初桜見上げる空に飛行雲 | たか子 |
お供えの林檎を下げる彼岸過ぎ | こすもす |
電柱に無住の戸建て鴉の巣 | えいじ |
春雨に川面点描星のよう | えいじ |
春日和無沙汰の友と出会ふ駅 | みきえ |
椿落つ朝日差したる格子垣 | きよえ |
老木を励ますごとく軒忍 | むべ |
昨夜雨の上がりセンバツ風光る | 満天 |
玄関の前に犇めく落椿 | せいじ |
遠ざかる汽笛も島も春霞 | 智恵子 |
朱の欄の影ゆらゆらと水温む | みのる |
花の道和服姿に彼彼女 | 康子 |
花剪られ水仙の葉は三つ編みに | かえる |
島々の浮かぶ瀬戸内春の潮 | みきお |
吹き上ぐる落花スーツの裾模様 | むべ |
身も心もぽかぽか温し笑ひヨガ | やよい |
春日傘着物の人の背筋伸ぶ | きよえ |
杉むらの煙となりて花粉飛ぶ | わかば |
白蓮の解けて闇を明るうす | わかば |
高窓の見ゆる梢や初桜 | 愛正 |
開くのは陽当り良き順白木蓮 | こすもす |
仏間の湯気卒業祝うお赤飯 | 愛正 |
葉桜や少し慣れたる新職場 | みきお |
2024年03月26日 | |
心地よき春の目覚めやアロマ炊き | やよい |
降り頻る雨は木の芽を叩きけり | えいいち |
更くる夜の定まらぬ気や春の雷 | わかば |
墓の道背比べしてつくづくし | むべ |
離陸待つ空港はいま春嵐 | あひる |
春愁や母と並びて子のやぐら | 澄子 |
一穢なき空にあえかや初桜 | 康子 |
残雪や養老院の父を訪ひ | 山椒 |
電柱に綿毛たなびく鴉の巣 | えいじ |
春怒涛波が波押す日本海 | みきお |
虚子眠るやぐらへ彼岸詣かな | みのる |
春休みジブリの森にオスカー像 | 智恵子 |
丹精の庭に春愁癒やしけり | かえる |
一つ鳴り二つ目近く春の雷 | 千鶴 |
早朝より同じニュースや春驟雨 | ぽんこ |
野辺散歩吾ぬふ蝶の影うかれ | そうけい |
咲き満つる雨に重しと桃の花 | 満天 |
受難週明るき雨に傘ささず | むべ |
波止の夕散歩の犬の春着かな | きよえ |
軒のものずぶ濡れにして春疾風 | 明日香 |
宮裏の苗木満開彼岸桜 | そうけい |
自転車を父に習ひて風光る | 山椒 |
浮御堂行厨広げ残る鴨 | 智恵子 |
昼食に炊飯二回春休み | みきえ |
絡み合ふ隙間に白き豆の花 | 豊実 |
田園に命吹き込む春の川 | みきお |
つまんないああつまんない寒戻り | たかを |
芽起こしの遠音かけふの生駒山 | たか子 |
薹立ちて背比べせるつくづくし | みのる |
鷺一羽何時もの川辺風光る | 満天 |
ご朱印に猫の絵もあり遍路寺 | なつき |
雨の日の橋下陣取る春鮒釣 | えいじ |
紙垂を名に負ひし辛夷の花真白 | せいじ |
春暁の雷を聞く目覚めかな | わかば |
山門を額縁として寺若葉 | 康子 |
急磴のなぞへを綴る落椿 | 澄子 |
まだ跳べる息整へて春の泥 | もとこ |
歌集の上梓祝ふ歌会や桜もち | こすもす |
人待ちてぼんぼり揺るる菜種梅雨 | なつき |
春昼の風神雷神騒ぎけり | 千鶴 |
雨上がり真青な空や春日照る | きよえ |
顔上げぬそばかす美人貝母かな | 明日香 |
われらより先ゆく影や青き踏む | かえる |
餅つくよ触れ回りけり春休み | えいいち |
雨音の真夜の目覚めにあたたかし | あひる |
前栽に今を時めく水仙花 | せいじ |
2024年03月25日 | |
飛花落花車椅子の父そっと押し | 山椒 |
春風の一刷けなりぬ富士の笠 | えいじ |
下校子の両手に荷物春休み | みきお |
濡れそぼつ彼岸桜の弁紅き | 千鶴 |
整然と黒々と畝耕さる | はく子 |
俳句女子道草しつつ路地うらら | みのる |
荒れ果てし農園つづる水仙花 | せいじ |
六地蔵頭上飛び交ふ雀の子 | 愛正 |
小夜更けて大き雨音菜種梅雨 | みきえ |
やぐらへの細道ゆけば竹の秋 | 康子 |
カタコトと菜花畑行く一両車 | 智恵子 |
三股の泥を落として春大根 | たかを |
突然にキンクロ飛来春の川 | 明日香 |
雪柳まるで雪降る散歩道 | えいいち |
白蓮の弁こぼる雨珠光る | きよえ |
やぐらなる主へとどけと初音かな | かえる |
いかなごの釘煮店頭人気あり | 満天 |
検査値の結果横目に蜆汁 | もとこ |
春の海曖昧模糊と水平線 | こすもす |
春昼や杖忘れある孔雀小屋 | なつき |
何の樹ぞ怒髪のごとく芽吹きをり | 澄子 |
のどけしや影絵に遊ぶ子猫かな | 智恵子 |
山門へいざなふごとく若葉影 | かえる |
老母の朝寝や母の夢を見て | あひる |
海坂へ道真直ぐや風光る | 澄子 |
雨続く風多き春咲くはいつ | わかば |
地蔵尊へ菜の花あかり供華として | 満天 |
海風や五分咲き続く沈丁花 | こすもす |
春雨の続きて茅花立つを得づ | わかば |
街照らすビルの谷間の白木蓮 | みきお |
くろぼくを出でし大根並ぶ畑 | 山椒 |
堀端のちりめん波や春寒し | ぽんこ |
すれ違ふ山路の老婆芽山椒 | 愛正 |
雨粒を払うて風の雪柳 | せいじ |
ひこばえに蕾ふふめり発掘址 | なつき |
一邸の庭高々と花ミモザ | みのる |
植込みに出会う親猫みゃあと鳴く | えいいち |
青空の浸る間もなし春の虹 | そうけい |
土佐水木淡き黄色や雨催ひ | むべ |
青き踏むせせらぎの音と鳥の声 | やよい |
くるりんとひげを掲げて貝母百合 | あひる |
シャッターのチャンスを逃す春時雨 | そうけい |
涅槃西風仏間に少し音のして | たか子 |
たらすひとほおるひとあり春鮒釣 | えいじ |
白蓮の雨に打たるもしなやかに | きよえ |
やぐらへの小径誘ふ初音かな | むべ |
春荒れに免許更新無事に済み | 明日香 |
墓守の媼らの笑みあたたかし | 康子 |
セルフレジ試してみるや春休み | みきえ |
2024年03月24日 | |
追ひ越せぬトラクターに着く日永かな | やよい |
強風に煽られ去りぬ初蝶来 | 愛正 |
ちりちりと傷の引き攣る余寒かな | もとこ |
沈丁花小暗き道に微かな香 | わかば |
たっぷりと雨の洗礼桃の花 | ぽんこ |
野の花も手向けられをる彼岸かな | かえる |
鮒釣りも帽子を脱ぎし春の昼 | えいじ |
畑小屋をゴミの山とす春疾風 | そうけい |
牧師より手渡されたる染卵 | せいじ |
仏教伝来之地碑かげろひて | 千鶴 |
椿香に集う鳥らの隱路地 | えいいち |
風に揺れ春光放つ大樹かな | 豊実 |
大銀杏結えぬ力士の春決戦 | こすもす |
落椿道の真中に紅く咲く | えいじ |
すくと立つ見越しの松の初緑 | むべ |
ぜんまいの赤子のごとき拳かな | かえる |
春場所を征し若武者深き辞儀 | 山椒 |
雪洞の下草萌に尻濡らす | なつき |
長雨の憂さを慰む木の芽かな | 明日香 |
小さな芽若草となり其処彼処 | わかば |
花の路踏んまへ立ちし大鳥居 | みのる |
蔦青むやぐらの口を縁どりて | 康子 |
花菜畑居座る猫に存問す | そうけい |
再会を誓ひし握手あたたかし | みのる |
花なくも人の宴は花盛 | えいいち |
水路脇雨に歩けば菫草 | みきえ |
ただ顔を見せに娘の来る春の昼 | あひる |
春場所の力士つぎつぎ休場す | 満天 |
春空を伸び行く飛行機雲の跡 | 山椒 |
小雨中休み休みに春の鳥 | きよえ |
啓蟄の数多の穴や墓の道 | 康子 |
春風やインバウンドは名刹へ | 明日香 |
鎌倉の春を巡りて吟行す | 澄子 |
仏の座群れて寄り添う野原かな | 智恵子 |
大銀杏結へぬ力士や初桜 | 千鶴 |
あまたなるやぐらを抱き山笑ふ | 澄子 |
受難週悲しみ変わる喜びに | きよえ |
照れている試着鏡の春帽子 | あひる |
遠くより雉の鳴き声水車小屋 | みきお |
野水仙摘みて墓石へおすそ分け | 智恵子 |
急磴に一息つけば白木蓮 | むべ |
啓蟄や踏まずに通る樹の根っこ | たか子 |
葉桜や遊び友達出来る頃 | みきお |
鳥帰る坂東太郎の空の道 | 愛正 |
枝先のあまたの蕾開花待つ | 満天 |
菜種梅雨助手席の友は八十路 | こすもす |
春風や同窓会の案内来 | みきえ |
曇のち雨で始まる受難週 | せいじ |
2024年03月23日 | |
岩山の地層を隠す花青木 | むべ |
パッケージ変わりし牛乳風光る | こすもす |
三輪車やっと乗れたと春の風 | 満天 |
周濠に盈つる陵墓の春の水 | 千鶴 |
谷間ゆくトラックの風や寒桜 | 隆松 |
連なりて大和三山草萌ゆる | 千鶴 |
みどり児の小さき欠伸桃の花 | ぽんこ |
山寺の門の一歩に初音かな | みのる |
餌投ぐ子や鴨鯉集ふ春の昼 | きよえ |
父と娘の訛りやはらか春やさし | かえる |
袖口に春告鳥の色の爪 | かえる |
卵ひとつ転げて悲鳴復活祭 | あひる |
サイレンの駆け抜ける街春嵐 | 豊実 |
木の芽漬茂みの中の獣道 | 愛正 |
参道の楠天蓋や百千鳥 | そうけい |
山門を潜るや否や落椿 | 康子 |
二分咲きの桜に円居宴なす | 智恵子 |
春霞船影遥か茅渟の海 | わかば |
うららかや保育園よりオルゴール | 康子 |
初蝶や砂塵の庭に立ち向かふ | 愛正 |
明智風呂霞む空には煙出し | 明日香 |
百千鳥吾のみの野花散歩みち | そうけい |
山襞を見せては隠し朝霞 | たか子 |
料峭や杖つき進む一歩ずつ | みきお |
多種多様里の湖残る鴨 | きよえ |
三人逝くミニクラス会春の雨 | せいじ |
春川に鯨いるかと孫の顔 | えいじ |
雛壇に内裏に代わり座る猫 | 山椒 |
若葉洩るグリンシャワーや石畳 | みのる |
前見つめ背筋真直ぐに卒業す | なつき |
卒業子背負ふ最後のランドセル | せいじ |
フロントガラス直ぐ溶けゆきし春霰 | こすもす |
電柱に注意書きあり鴉の巣 | えいじ |
どの花もひらき窄める花の冷え | えいいち |
豆電球一個の廁春の闇 | みきお |
春灯を連ね島影浮かぶなり | わかば |
春疾風耐える古刹の貫柱 | 明日香 |
風誘ふままに揺れるや雪柳 | 満天 |
折り紙の病気見舞いや春の昼 | もとこ |
薄月のふはりと春の夕空に | はく子 |
紫のなぞえとなりぬ仏の座 | やよい |
白子干混ぜてお日さま匂ふ飯 | むべ |
岩盤のなぞへを埋む著莪の花 | 澄子 |
自転車で若き遍路の黒づくめ | なつき |
木の幹に小さく二輪初桜 | 山椒 |
大鍋に茹だる卵や復活祭 | あひる |
透けし日の目潰しとなる若楓 | 澄子 |
湯治場の湯気に紛れて春の雪 | 智恵子 |
2024年03月22日 | |
受難節めぐる聖書の絵画展 | せいじ |
春の日やあれもこれもと宅急便 | もとこ |
啓蟄の日の斑のあそぶ虚子墓前 | 澄子 |
春霞渡る大橋ファンタジー | 智恵子 |
高層ビルの裾を彩る黄水仙 | 満天 |
空明るたわわに咲けり花ミモザ | きよえ |
猫の舌伸びる蹲水温む | みきお |
斜張橋影を落として春薄暮 | わかば |
かくれんぼして春禽の相鳴けり | かえる |
月冴ゆる遠山の嶺青白し | 智恵子 |
翻るウェディングドレス白木蓮花 | えいいち |
ボランティアやりませんかと春の庭 | えいじ |
霞立つ夕日に映えし斜張橋 | わかば |
生垣の黄楊の明るき新芽かな | かえる |
贖ひの路てふ聖画春燈 | せいじ |
桃園に見知らぬ人と立ち話 | ぽんこ |
蒼穹を黄で刷くごとく花ミモザ | むべ |
冴返る両隣共墓仕舞い | こすもす |
竹藪の風音止みて春の月 | 愛正 |
お砂踏み通り抜けたり偽遍路 | なつき |
鮮やかや日浴ぶ水鉢落椿 | きよえ |
初蝶の虚子のやぐらを存問す | 康子 |
白鳥帰る里沼の静寂さ | 愛正 |
春嵐の雲漏れる日に銀伊吹 | 隆松 |
白無垢に唐傘透ける春日かな | 康子 |
小さき葉と連なりひらく八重の桃 | えいいち |
寒戻る緊急夜の回覧板 | そうけい |
切符自販機は三十人待ち冴返る | こすもす |
風去りて群島めきし春の雲 | えいじ |
鶯に急ぎ足止む峠口 | 千鶴 |
春寒の堂に聖画と若き画家 | あひる |
老犬と歩調を合わせ青き踏む | みきお |
目覚めれば窓辺明るし春の雪 | やよい |
道沿ひに並ぶ古民家こぶし咲く | 千鶴 |
招いたりそっぽ向いたり雪柳 | たか子 |
お手製のリボン大きな卒園児 | なつき |
一穢なき蒼天さして緑立つ | むべ |
と見る間に山から街へ春時雨 | あひる |
春うらら手水の水面揺れやまず | 澄子 |
住職が雪駄引き摺る彼岸かな | 豊実 |
登校拒否続けた子にも卒業式 | 満天 |
2024年03月21日 | |
振りながら迷いに迷ふ種袋 | 明日香 |
師を迎ふモノレールへと春日燦 | 康子 |
夕桜真横に散らす強風裡 | むべ |
百千鳥の畑は大海春の草 | そうけい |
春分やはたと膝打つ閏年 | えいいち |
説教にうなづいてゐるけふ彼岸 | えいじ |
街の音を掻き消す風や寒返る | えいいち |
坂がかる街を吹け抜く春北風 | 澄子 |
球春や球より大きにぎり飯 | みきえ |
かがみ込むそこに土筆のニ三本 | かえる |
試合果て花束五つ彼岸用 | こすもす |
縁切り寺白木蓮の咲かず落つ | なつき |
啓蟄や鉄筋ばかりのこの街に | たか子 |