ゲリラ雨飛び込む軒下虹ふたつ | 智恵子 |
輪となりて仕舞ひし秋の胡瓜かな | うつぎ |
然ばかり薄くなりけり処暑の雲 | かえる |
おはぐろの千切れさうなる飛翔かな | あひる |
どんとひろごる音に遅れて遠花火 | よし女 |
月草の青を残して薄明す | むべ |
サヨナラで勝つナイターや大歓声 | みきお |
夏果つるサッシにうらがへりし火蛾 | せいじ |
元気でと言はれて寂し星月夜 | 幸子 |
ガラス皿涼しゼリーが身ぶるひす | みのる |
休憩の人皆スマホ片蔭に | みきえ |
縁石に吸い寄せられる夏落葉 | ぽんこ |
花薄広く風立つ廃寺跡 | 愛正 |
空想の旅へと秋の美術展 | 山椒 |
露けしや昔話の相手消え | もとこ |
外出ろと言わんばかりや鉦叩 | えいいち |
洗い晒し大の字に寝る星月夜 | 智恵子 |
台風の進路速度とかしましき | たか子 |
蟻一匹頬杖の腕上り来し | なつき |
秋の雲乗って行きたし遠き国 | 山椒 |
秋風やテンポよく干す濯ぎもの | せいじ |
佳境なるスタンプラリーや夏休み | 康子 |
駆け込むやいなやの夕立ちトタン屋根 | あひる |
鷺草や小さく白く舞い降りし | えいじ |
煙出ぬ手花火なれば静かなり | なつき |
嵐来るを知るや知らずや萩揺れる | こすもす |
乱れ萩束ね嵐にそなへけり | 澄子 |
秋茄子や浅漬けの青母偲ぶ | ふさこ |
マスク紐外れ接ぐなりホッチキス | みきえ |
時雨果てすとんと落つる秋の朝 | えいじ |
吾子駆け来帽子飛び行く村尾花 | 愛正 |
初嵐山は黒雲したがへて | むべ |
京の川床延期せずとも行けたかも | 千鶴 |
穂を緩めうねりを生せるむら薄 | かえる |
はばからず夫と腕組み避暑散歩 | みのる |
人間は忙しさうと案山子佇つ | 幸子 |
二三回雨に合う草引きやすし | よし女 |
2024年08月27日 | |
奥さんはマタニティー服避暑ホテル | みのる |
コンビニは異国語盛ん旅の秋 | ぽんこ |
生意気なツラして林檎喰むゴリラ | 幸子 |
芒挿し大壺聳ゆ茶屋の土間 | もとこ |
清らかに天見えそうな秋の空 | えいいち |
単線の駅舎にひとり驟雨過ぐ | むべ |
秋の陽の綺羅を零せる作り瀧 | かえる |
川幅を狭めおののく葛嵐 | むべ |
舞ふ菊に線香立ての彩れり | 康子 |
テイーシャツの代わり映えせず秋暑し | ふさこ |
道の駅売り出しの梨よく売れて | よし女 |
学食の卓に頬つく昼寝の子 | 康子 |
朝刊の重きちらしや秋麗 | 愛正 |
明易し交はす挨拶貸し農園 | みきえ |
虫の音やとつぷり暮れし物干し場 | せいじ |
台風に旅の予定を見送りぬ | 澄子 |
秋灯や転寝の朝ほんのりと | えいいち |
立ち飲屋舌で転がす新酒かな | みきお |
稲妻に向かひハンドル握り締む | みきえ |
百日紅二階を覆う廃墟かな | たかを |
水菓子に一筆添へて涼あらた | 澄子 |
傾ぎたる桔梗の蒼き玻璃の瓶 | かえる |
端居して打開の道を探りけり | みのる |
雨の中傘となる葉や葡萄垂る | 風民 |
刈り取りし牧草ロール虫の声 | 千鶴 |
白壁に残照翳る秋の声 | えいじ |
これ読めと渡されし書や木歩の忌 | 幸子 |
一陣の風に秋立つ気配して | 明日香 |
菅公の詠詩の像やあきつ飛ぶ | なつき |
落蝉の乾ききつたる軽さかな | うつぎ |
日陰れば声の優しくつくつくし | よし女 |
浮かびたる案に見上げりゃ月涼し | たか子 |
乱れ萩庄屋の庭の飾り井戸 | なつき |
二学期や両手ふさがる小学生 | みきお |
秋夜長九十分の長電話 | こすもす |
深更に置き配とれば星月夜 | せいじ |
徒長枝の真っすぐ伸びて処暑来たる | 明日香 |
鷺草の小草の奥に二三輪 | えいじ |
朽ちし舟渡し場跡の葦の原 | 愛正 |
2024年08月26日 | |
生け垣をくぐる秋刀魚の焼く匂ひ | 愛正 |
秋の駅点字運賃表を替ふ | よし女 |
ユニホーム繕ふ夜長ミシン掛け | みきえ |
雨やみて滝風起こる野点かな | 風民 |
石垣のお堀に浮かぶ蔦かずら | ぽんこ |
街灯と虫の初音や路地今宵 | あひる |
さやけしや背筋伸ばして夕散歩 | みきえ |
黄昏の空き地に集う赤とんぼ | 智恵子 |
水澄みてけふかけふかと待つ便り | 幸子 |
颱風もひらりと躱し悪女発つ | 澄子 |
丸ごとの口に爆ぜたる巨峰かな | えいじ |
噴水に翼を濡らすフェニックス | みのる |
腰立たぬ身をかこちけり秋簾 | せいじ |
ルーペ手に歩く畦道草の花 | みきお |
湧水に四つ這ひなりて水遊び | なつき |
白日傘甘味処へ消えにけり | みのる |
秋灯下今宵の老母は矍鑠と | あひる |
耳鳴りの終日止まず稲光 | よし女 |
澄む池や水面静かに群るる鯉 | 康子 |
更けてなほ冷めぬ大地よ星月夜 | かえる |
初秋の空逆転サヨナラカーブ勝つ | 董雨 |
風匂ふ夜道となりて野分立つ | 澄子 |
打ち水に赤き襷の古都の女 | 智恵子 |
朝刊を配る単車や秋の風 | 愛正 |
初秋の畳あうらに心地よき | 幸子 |
湯上がりに西瓜の種を飛ばし合ひ | かえる |
みのる選とりて爽やか雨後の道 | えいじ |
明け方の半月真上空透けて | 明日香 |
朝の庭胸一杯に秋の風 | 山椒 |
雑木山ざわめくごとく初あらし | むべ |
野外能両となりより団扇風 | なつき |
秋茜踏切下りて目の前に | 董雨 |
寝つかれぬ一間窓を月渡る | むべ |
台風の備へ早めど遅々として | 千鶴 |
独り居の庭に寂しき残る虫 | みきお |
かなかなや森に漏れくるピアノの音 | 康子 |
西窓の戸は閉めつきり残暑なほ | せいじ |
竹トンボ遥かに飛んで天高し | こすもす |
口あけて鴉動かず秋暑し | えいいち |
音聞いて比叡の向こふ遠花火 | もとこ |
滝道を辿り辿りて奥の院 | 風民 |
厨窓流れる雲は鰯雲 | 明日香 |
2024年08月25日 | |
秋涼しコンビニ迄のウォーキング | こすもす |
ごきぶりの艶もて去りぬ洗面所 | えいじ |
モルタルの壁に貼り付く蝉一匹 | みきえ |
地蔵盆野仏さまに御供えを | 明日香 |
どんぐりを供え初物野地蔵へ | 智恵子 |
ジャングルジム秋らしき風捕らへけり | たか子 |
滝しぶき高舞へるとき虹生る | みのる |
秋簾むしの蛻をつけしまま | かえる |
露地野菜眠る浅間の秋の風 | 愛正 |
かなかなや風の音にぞ消されそう | 明日香 |
夕されば色の薄まるサングラス | むべ |
遺影へと赤みさしたる西日かな | 康子 |
夜ふかしが常となりたる夏休み | せいじ |
寝起きすぐ腹に轟く日雷 | せいじ |
講談師早口稽古秋扇 | 幸子 |
かなかなに肩なだらかな遠嶺かな | よし女 |
乱帙をわが城とせる昼寝かな | みのる |
同じ月遥か彼方の友も享く | かえる |
走り根の蛇めくうねる秋の森 | えいじ |
濡れ縁に背伸びする猫秋の昼 | みきお |
仏間にてまだ戦中と生身魂 | ふさこ |
リズミカルなるマリンバの夏公演 | 千鶴 |
花氷融けつたけなは同窓会 | むべ |
石仏のろうそく揺るる晩夏かな | みきえ |
夜店市提灯下ろす女達 | 董雨 |
お供への素麺冷し食進む | 董雨 |
眠られぬ臥所に激し稲光 | うつぎ |
一湾の闇を深めて野分前 | 澄子 |
秋夕焼けほとほと飽きしこの暑さ | よし女 |
夏帽をかぶせ見送る車椅子 | あひる |
えきそばの薄き天ぷら秋暑し | 幸子 |
八月尽女ふたりのお湯三昧 | もとこ |
夏草や土手の対岸膨れをり | 康子 |
夏休み終えて卒業秘密基地 | 智恵子 |
木の陰のからすと見合ふ残暑かな | えいいち |
庭隅に水遣りを待つ陶狸 | あひる |
ランナーの走る並木に秋の蝉 | ぽんこ |
山城へ九十九折れゆく葛の花 | 澄子 |
水飛沫上げて着水初の鴨 | みきお |
風ながれ葉の擦れる音涼新た | えいいち |
秋夕焼鋭く光る妙義山 | 愛正 |
2024年08月24日 | |
円楽の盆の薮入り懐かしき | みきお |
反芻の牛の瞳や牧は秋 | みのる |
入り交じるテトラポットや秋暑し | えいじ |
豊漁のニュース早よ来い秋刀魚かな | えいいち |
子等の手に駄菓子つぎつぎ地蔵盆 | ぽんこ |
彼思ふ獄中書簡曝しつつ | みのる |
神官の高き沓音秋祭り | よし女 |
無花果をもぐに農家の朝早し | 幸子 |
空気やや軽くなりけり秋はじめ | かえる |
秋茜群れるドームの広場かな | こすもす |
庭木刈る目合ふ隣の鬼瓦 | 愛正 |
白糸を吐くやうに咲く烏瓜 | むべ |
枝豆や含み置くべきことひとつ | 幸子 |
新講座受けて見ようか十六夜 | たか子 |
喧騒を避けて路地ゆく秋日傘 | 澄子 |
朝刊と有明の月元気出る | 明日香 |
くっきりと大三角や星月夜 | 千鶴 |
海峡を渡る構へや鬼やんま | うつぎ |
蛇踏んで動けぬ幼な子ベソかきぬ | みきお |
爽やかに文字の整ふ日記書く | えいじ |
庭木刈る枝捕まらぬ高鋏 | 愛正 |
水占の水のきらめき涼新た | なつき |
孫楽し迷路のごとき墓参かな | 康子 |
窓少し開けし臥床に虫の声 | むべ |
散り急ぎ肩へと藤の返り花 | なつき |
終業のチャイムの響く秋の暮れ | 山椒 |
つくつくし風強き日は声落す | よし女 |
蟬時雨胎内くぐり出でし世は | 風民 |
クーラーを効かせお手玉ジャグリング | みきえ |
一面に垂るる一樹の葡萄かな | 風民 |
片陰を押してカットへ車椅子 | せいじ |
入道雲夕闇になお仁王立ち | あひる |
遠ざかるサリー淑女ら晩夏光 | 澄子 |
轟て空落つるごと日雷 | えいいち |
とび跳ねる小さき浴衣靴はいて | あひる |
通り雨地熱をお越し秋暑し | 智恵子 |
芋畑コロポックルの基地めひて | かえる |
総裁選いたずらに吹く秋の風 | ふさこ |
青田道ガードレールの白さかな | 康子 |
向日葵やバス待つ子らと背比べ | 智恵子 |
花がらを摘みベゴニアの鉢戻す | せいじ |
鉦叩幽かな音色しんみりす | 明日香 |
2024年08月23日 | |
秋めきて瞬く星の美しく | 智恵子 |
初耳の亡夫の話長き夜 | むべ |
客迎ふ八千草籠に溢れしめ | 澄子 |
飛行機のさらりと抜ける秋の雲 | 康子 |
赤信号右も左も色づく田 | こすもす |
榎の実落つ滑りそうなる石畳 | えいじ |
雨不足少し痩せたる茄子の馬 | みきお |
こうのとり米てふ新米は但馬産 | こすもす |
明け易し霧の公園太極拳 | 山椒 |
秋めくや蔦張り付きて赤や黄に | ふさこ |
秋麗や夜風にひとつ身震いす | 智恵子 |
門前に食ぶ虹色のかき氷 | なつき |
秋暑し目を凝らしみる秘仏かな | なつき |
藤前の綺羅の小波や鯔飛びぬ | えいじ |
庭隅の水撒く茂み飛ぶばった | 愛正 |
流灯の途切れぬ川や人の波 | みきお |
先をゆくなにわナンバー街残暑 | 幸子 |
養蜂家めく網帽の草刈女 | せいじ |
地蔵盆揺るる提灯集ふ子等 | みきえ |
台風の厳しき進路予報円 | 千鶴 |
水を打つ泣き止まぬ子をあやすごと | よし女 |
陸橋の先に広ごる雲の峰 | みきえ |
ピアニカの音辿々し夏果つる | もとこ |
穂の出でて芳香しるき青田かな | せいじ |
サングラスとりてうべなふ海の青 | みのる |
曲芸かロープにちょんと塩トンボ | あひる |
モロゾフに淹れる珈琲秋しづか | 幸子 |
避雷針鬼の角めく稲光 | かえる |
汗取りの首のバンダナ板につき | あひる |
読みかへす終活ノートいわし雲 | みのる |
見つからぬ駐車スペース秋暑し | うつぎ |
往く夏の荷台に覗く子牛の眼 | よし女 |
鯖鮓に香の移りたる竹の皮 | むべ |
有明の月ぼんやりと西の空 | 千鶴 |
午睡てふ日々の気温に耐える術 | たか子 |
当て所なくふらり彷徨ふ秋の蝶 | かえる |
くるくると回る子犬や群とんぼ | 康子 |
始業時のチャイムはビバルディの春 | 山椒 |
こほろぎの鳴けども見えぬ水回り | 愛正 |
2024年08月22日 | |
葉の裏に風を捉へて萩揺るる | かえる |
存問の蜻蛉はワープして去りぬ | せいじ |
鈴虫の音に双脚の止まりけり | たか子 |
子が覚えチャーハンつづく夏休み | なつき |
立ち並ぶ無音の風車夏の果て | 山椒 |
茄子三本焼いて三人の夕餉かな | あひる |
雷雲と夜の帷のせめぎ合ふ | むべ |
ひまわりの畑ドクターイエロ過ぐ | 山椒 |
石磴に野良猫集い秋暑し | ぽんこ |
蜻蛉の存問うれしペダル漕ぐ | せいじ |
青秋刀魚ほら貝吹いて糶始まる | よし女 |
上段に構へ蟷螂たじろがず | 澄子 |
廃校の廊下を走る荻の風 | 愛正 |
親指に下駄ぶらぶらす端居かな | みのる |
天気図に列島おほふ大野分 | 幸子 |
河川敷歩まば聞こゆ荻の声 | 愛正 |
孫去りて大の字になる午睡かな | みきえ |
はたた神すずかけ並木大揺れす | むべ |
温泉たまご作りにはしゃぐ宿浴衣 | こすもす |
通されて暫くひとり夏座敷 | うつぎ |
陽射しとの戦ひ尽きて秋簾 | かえる |
カーテンの膨れの端に空の秋 | えいじ |
座りよき冬瓜塞ぐ野菜籠 | 澄子 |
ゴルフ球ほどの大きさ黒葡萄 | 千鶴 |
蔓紫ぬめりし茎のパワー食む | あひる |
黒雲に居座る雷や鳴り止まず | 智恵子 |
雨晴れて雫のシャワー森涼し | 康子 |
胸高に白き帯締め藍涼し | みのる |
秋風の入りて髪解く安堵かな | 智恵子 |
秋桜風車の丘を彩りぬ | はく子 |
風鈴やガラスと鉄の二重奏 | 康子 |
村芝居セリフ教える囃子方 | みきお |
ゆるやかな坂に息つく秋暑し | もとこ |
飛び入りの手足滑らか盆踊 | みきお |
法師蟬精一杯を褒めて欲し | 明日香 |
向日葵の迷路で遊ぶ雀かな | 明日香 |
秋の蚊の手甲の真中止まりけり | えいじ |
秋の潮漁船は遠く点々と | うつぎ |
木犀や土蔵造りの玩具館 | 幸子 |
二学期へあと幾日か親の声 | ふさこ |
狛犬の口中深く蜂の巣 | よし女 |
蕊包み一夜に落つる白槿 | えいいち |
タブレットの画面で集ふ夏休み | なつき |
2024年08月21日 | |
ガレージの鎖に蜻蛉きてとまる | せいじ |
ゆつたりと番う蜆蝶夏の朝 | たかを |
盆行事果てて五山の寛げる | あひる |
秋茜にのぞかれてをり赤信号 | なつき |
涼新た石碑の梵字空へ反り | よし女 |
旗雲の風に散らばる鰯雲 | えいじ |
素焼鉢蝶群れるごと蘭の花 | むべ |
吊り橋を見上げ渓谷かじか鳴く | 智恵子 |
水中花向日性はなかりけり | みのる |
満天の星がご馳走避暑の卓 | みのる |
行列の末に売り切れ夏氷 | 山椒 |
語らひにしばし割り入る夏の蝶 | 風民 |
農耕馬色無き風の中歩む | みきお |
信じられぬ友の訃報よ処暑の夜 | なつき |
秋暑し開店までの十五分 | こすもす |
草花や涼しげに揺れ七種咲く | ふさこ |
熱中症脳まで来たと友の笑み | あられ |
水澄みぬ錦沈めて鯉の群 | 澄子 |
野分あと川満ち満ちて滔々と | かえる |
直売の途切れなき列葡萄園 | 千鶴 |
白鍵の象牙色なる秋灯下 | むべ |
神職の一人は女性白芙蓉 | よし女 |
爽やかに白カーテンの膨る窓 | えいじ |
駿河より友の来たりて新茶美し | 風民 |
甲子園泣きじゃくる児の獺祭忌 | 明日香 |
夕暮の水辺の散歩荻の風 | 愛正 |
恋すてふ息遣ひあり秋の蝶 | 明日香 |
ふと見やる千草のあはひ猫の貌 | 澄子 |
月越して盛る医院の百日紅 | せいじ |
金水引き元気に育つプランター | 智恵子 |
灯火親し東野圭吾いま佳境 | 幸子 |
出稼ぎの父待つ端居子供かな | みきお |
流星や願ふ間もなき島泊り | もとこ |
処暑の日や鏡あかるき化粧室 | 幸子 |
川音に目覚む高原夏の朝 | 山椒 |
屋根までも伸びて見渡す鉄砲百合 | かえる |
枯紫陽花アートめきたる晩夏かな | あひる |
友も吾も猛暑に耐えたやつれ顔 | あられ |
秋はじめ観音の頬のふくよかさ | ぽんこ |
シャッターに時折触る荻の風 | 愛正 |
今日一日何したで無く過ぎて秋 | たか子 |
手のひらの庭の西瓜や皆で食む | えいいち |
公園の遊具冷やして夕立去る | 康子 |
2024年08月20日 | |
黒雲や予報通りの大夕立 | せいじ |
巻きひげの枯れて食べ頃大西瓜 | 千鶴 |
霊水に浮かぶ経木万灯会 | なつき |
水菓子に添へて一茎吾亦紅 | 澄子 |
わたくしも疲れているよ秋の蝉 | もとこ |
盆休み明け街の音動き出す | 風民 |
利根上流歩まば聞こゆ荻の声 | 愛正 |
唐黍や食み方談義盛りあがる | あひる |
鶏がぐるりと巡る百日紅 | たかを |
秋天を袈裟切りに行く飛行雲 | ぽんこ |
雨濡れしままに鷺草羽ひらぐ | えいじ |
涼新た盤上しるき駒の影 | せいじ |
向日葵を挿す受付に笑顔かな | 康子 |
荻の葉のなずる水面や縞模様 | 愛正 |
窓越しに湯加減いかが避暑の宿 | みのる |
万葉にほんの少しの秋気配 | ふさこ |
港内の灯りかすかや朝の凪 | 千鶴 |
秋灯や最後の患者見送りぬ | むべ |
芋の葉の穂波の脇に反り返る | えいじ |
夕潮の浅瀬に水煙鯔跳ねる | よし女 |
火照るごと赤き満月宵の森 | むべ |
満月を背負ふて進むモノレール | かえる |
八月の月五燭電球の色 | えいいち |
夏空やキレキレダンス応援団 | みきえ |
藪からし上からネット掛けしごと | 明日香 |
秋暑し煙突の赫燃ゆるごと | かえる |
真夜中の薄き珈琲処暑の宿 | 幸子 |
紫陽花や海まで続く坂の道 | 山椒 |
うつうつと夜雨を聞きぬ林火の忌 | 幸子 |
ふしくれの指で繕ふ菊人形 | みきお |
大文字箱根山にも灯りけり | みきえ |
風たちぬキックボードの一蹴りに | 澄子 |
館涼し広重ブルーに酔ひにけり | たか子 |
深刻や熱中症あり鶏も | 董雨 |
初風やそっと背を押す散歩道 | みきお |
夏氷潮風香る浜の店 | 山椒 |
純白に畑縁どりて韮の花 | 風民 |
秋雨の止みてより落つ雫かな | 明日香 |
朝露に気づくワイパーの動き | こすもす |
草笛吹く夫の横顔若きあり | 智恵子 |
讃美歌を老母覚えゆく秋灯下 | あひる |
団栗の帽子がふさぐ蟻の穴 | なつき |
天気不安遺影は微笑むばかりなり | よし女 |
向日葵の陰にバス待つ下校子ら | 智恵子 |
さし水に元気もどりし金魚かな | みのる |
帰省子の去りて音なき仏間かな | 康子 |
2024年08月19日 | |
ただひとつ我が身大事や流れ星 | もとこ |
足首に手編みミサンガ浴衣の子 | なつき |
夕の雨静まる庭に鉦叩き | 智恵子 |
お土産に新米選ぶ道の駅 | みきえ |
玻璃窓を越して寝床に月明かり | みきえ |
爽やかやトースターの音今朝の卓 | きよえ |
水桶に色艶競う秋の茄子 | 愛正 |
ひと月を越す日照り後の雨やさし | 千鶴 |
ぽつねんと秋風に乗り雲旅へ | ふさこ |
香匂ふ門前抜けて万灯会 | なつき |
小魚の影くつきりと秋の澄む | えいいち |
まぶし気な賓頭盧さんに大西日 | ぽんこ |
水澄みて鯉艶やかに横ぎれり | 澄子 |
子ら去りて伽藍堂めく冷蔵庫 | あひる |
秋暁や山稜を染め雲を染め | 明日香 |
帰省子の去りて励まん俳句会 | 董雨 |
ようやくにパラリと降りて涼しかり | よし女 |
ベゴニアの二鉢チャペルと我が庭に | せいじ |
満月や我が家へ伴走してくれし | 康子 |
トロ箱に顔出す秋刀魚豊魚なる | 智恵子 |
好物のカルピス供へ送り盆 | 康子 |
あぶく抱き何か言ひたげ水中花 | みのる |
朝焼けや尾根際立ちて黒光り | 董雨 |
待つと云ふ楽しき時間ラ・フランス | 幸子 |
はたはたの穂波うれしとダイビング | えいじ |
ゆるゆると日輪老ひて桃熟るる | 幸子 |
糠漬けに色増し味増す秋の茄子 | 愛正 |
夜半の雨知らず目覚むや秋の朝 | きよえ |
大き弧を青田に描き単線路 | うつぎ |
夜なべして覚える絵柄免許証 | 千鶴 |
かなかなや我も我もと哭きにけり | かえる |
七年ぶりや夜長満喫同窓会 | こすもす |
盆仕舞ひ今後の事を口々に | たか子 |
身構へる蠅捕蜘蛛や洗面器 | せいじ |
昔話に花咲く夜長同窓会 | こすもす |
山々の色増しにけり秋時雨 | みきお |
炸裂の花火横目に月見遣る | うつぎ |
囲われて穂波の中を野稗垂るる | えいじ |
咲き出だす力に揺るる蓮の花 | よし女 |
家蜘蛛のジャンプ飛距離はメダル級 | あひる |
縦横に闇夜を疾る稲光 | むべ |
雑踏をおろおろ歩む残暑かな | 澄子 |
ひとひらの飛び立つ花弁夏の蝶 | 山椒 |
一片の雲なき夜半の月は望 | はく子 |
相互ひ枝を差し交わせ秋涼し | かえる |
鈴虫や響く錫杖修験僧 | 山椒 |
待望のお湿りのあり夜半の秋 | 明日香 |
流灯の帯となりゆく遅速かな | みのる |
香水をほのかに残し会議果つ | むべ |
2024年08月18日 | |
足元に夕焼け一面潦 | 風民 |
家族みな同じティーシャツ夏セール | あひる |
山の端をふはりと離れ望の月 | はく子 |
孫ら去に午睡に落つる夫と吾 | あひる |
紅色に染まる西空東の月 | きよえ |
鳩鳴ける森を縫ふ風秋の声 | えいじ |
炭俵編む母の背や月明かり | みきお |
倒れては咲きつぐ風の秋桜 | よし女 |
人工島暮れれば秋の灯となりぬ | 幸子 |
片蔭を選りて駅まで右左 | みきえ |
蒼き舌見せあふ児らやかき氷 | むべ |
水やりが精一杯や残暑には | 明日香 |
月明かり籠にガサゴソかぶと虫 | 智恵子 |
ひたすらと言うほどでもなし鉦叩き | よし女 |
遊歩道来雨に開く秋日傘 | 愛正 |
盆の月雲に生まれし翳まだら | むべ |
飛び入りて揃ふ手拍子盆踊り | 風民 |
熊笹を掴み不動の赤蜻蛉 | かえる |
秋の蚊の絡むにまかせ小径ゆく | 澄子 |
ブーゲンビリア南国の地を包み込む | もとこ |
谷町の夜の歩道に虫の声 | ぽんこ |
それぞれに空に道あり渡り鳥 | みきお |
かぶと虫とびら半分開けて寝る | 智恵子 |
丸薬の底にはりつく厄日かな | なつき |
朝蝉の調べ秋めくデボーション | みのる |
流星に刻まれてゐる夜空かな | かえる |
お迎えも送りもしかと盆行事 | 明日香 |
夕端居並びて墓の話など | 康子 |
連発の煙を残し花火果つ | うつぎ |
西窓のゴーヤ小さきまま爆ぜる | なつき |
雲の峰未だ出しゃばる朝の空 | きよえ |
鎮魂の海へ散華す揚花火 | みのる |
月淡しまだ灯さずにゐる書斎 | 幸子 |
街炎暑蛍光色に照る花壇 | せいじ |
墓掃除墓碑に差し掛く秋日傘 | 愛正 |
吹く風に色あるや無し秋麗 | ふさこ |
店終いベビー用蚊帳店頭に | みきえ |
空っぽの都会の電車盆休み | 山椒 |
夕風や頬を撫でゆく秋の声 | えいじ |
送り火の消えて常なる夜の静寂 | 澄子 |
ジャズ流るレトロ喫茶のかき氷 | 山椒 |
ペアルック母娘で崩すかき氷 | たかを |
ベゴニアやチャペルの掲示明るうす | せいじ |
川挟む二市合同の大花火 | うつぎ |
ツンツンと稲伸び盛り今朝の景 | 千鶴 |
2024年08月17日 | |
端切れめく水着の値札疑ひぬ | みのる |
夕映えの風にうなづく野稗かな | えいじ |
格子戸を抜け風招く麻のれん | 智恵子 |
送り火を包める闇の広々と | あひる |
風に乗り蜜の花へと秋の蝶 | えいいち |
すくと立つ崖の灯台夏の海 | 山椒 |
農耕車残す足跡秋の月 | たかを |
送り火に席巻されて京盆地 | あひる |
明かり消し提灯下ろす送り盆 | みきえ |
盆波の岩場に残す異国文字 | 愛正 |
湧き出ずる音の軽やか水澄める | かえる |
大樟の影雲のごと終戦日 | なつき |
檻の虎万事休すと昼寝せる | みのる |
久々の三十度割れ秋初め | こすもす |
稲妻や左右の違ふ耳飾り | 幸子 |
ひまはり田朝礼のごと整列す | うつぎ |
大方は省略一人のぼん用意 | よし女 |
独り占め借景の庭かき氷 | 山椒 |
あきらかに野分駆け抜く今朝の庭 | 澄子 |
大小の靴並ぶ土間帰省の子 | みきお |
蜩や鳥居くぐれる宵の松 | ぽんこ |
逃亡の猫待つ玄関秋暑し | こすもす |
緑陰の柔き草の上ごろ寝せり | 千鶴 |