投句控 :500句/1頁

前のページ次のページ
ゲリラ雨飛び込む軒下虹ふたつ 智恵子
輪となりて仕舞ひし秋の胡瓜かな うつぎ
然ばかり薄くなりけり処暑の雲 かえる
おはぐろの千切れさうなる飛翔かな あひる
どんとひろごる音に遅れて遠花火 よし女
月草の青を残して薄明す むべ
サヨナラで勝つナイターや大歓声 みきお
夏果つるサッシにうらがへりし火蛾 せいじ
元気でと言はれて寂し星月夜 幸子
ガラス皿涼しゼリーが身ぶるひす みのる
休憩の人皆スマホ片蔭に みきえ
縁石に吸い寄せられる夏落葉 ぽんこ
花薄広く風立つ廃寺跡 愛正
空想の旅へと秋の美術展 山椒
露けしや昔話の相手消え もとこ
外出ろと言わんばかりや鉦叩 えいいち
洗い晒し大の字に寝る星月夜 智恵子
台風の進路速度とかしましき たか子
蟻一匹頬杖の腕上り来し なつき
秋の雲乗って行きたし遠き国 山椒
秋風やテンポよく干す濯ぎもの せいじ
佳境なるスタンプラリーや夏休み 康子
駆け込むやいなやの夕立ちトタン屋根 あひる
鷺草や小さく白く舞い降りし えいじ
煙出ぬ手花火なれば静かなり なつき
嵐来るを知るや知らずや萩揺れる こすもす
乱れ萩束ね嵐にそなへけり 澄子
秋茄子や浅漬けの青母偲ぶ ふさこ
マスク紐外れ接ぐなりホッチキス みきえ
時雨果てすとんと落つる秋の朝 えいじ
吾子駆け来帽子飛び行く村尾花 愛正
初嵐山は黒雲したがへて むべ
京の川床延期せずとも行けたかも 千鶴
穂を緩めうねりを生せるむら薄 かえる
はばからず夫と腕組み避暑散歩 みのる
人間は忙しさうと案山子佇つ 幸子
二三回雨に合う草引きやすし よし女

2024年08月27日

奥さんはマタニティー服避暑ホテル みのる
コンビニは異国語盛ん旅の秋 ぽんこ
生意気なツラして林檎喰むゴリラ 幸子
芒挿し大壺聳ゆ茶屋の土間 もとこ
清らかに天見えそうな秋の空 えいいち
単線の駅舎にひとり驟雨過ぐ むべ
秋の陽の綺羅を零せる作り瀧 かえる
川幅を狭めおののく葛嵐 むべ
舞ふ菊に線香立ての彩れり 康子
テイーシャツの代わり映えせず秋暑し ふさこ
道の駅売り出しの梨よく売れて よし女
学食の卓に頬つく昼寝の子 康子
朝刊の重きちらしや秋麗 愛正
明易し交はす挨拶貸し農園 みきえ
虫の音やとつぷり暮れし物干し場 せいじ
台風に旅の予定を見送りぬ 澄子
秋灯や転寝の朝ほんのりと えいいち
立ち飲屋舌で転がす新酒かな みきお
稲妻に向かひハンドル握り締む みきえ
百日紅二階を覆う廃墟かな たかを
水菓子に一筆添へて涼あらた 澄子
傾ぎたる桔梗の蒼き玻璃の瓶 かえる
端居して打開の道を探りけり みのる
雨の中傘となる葉や葡萄垂る 風民
刈り取りし牧草ロール虫の声 千鶴
白壁に残照翳る秋の声 えいじ
これ読めと渡されし書や木歩の忌 幸子
一陣の風に秋立つ気配して 明日香
菅公の詠詩の像やあきつ飛ぶ なつき
落蝉の乾ききつたる軽さかな うつぎ
日陰れば声の優しくつくつくし よし女
浮かびたる案に見上げりゃ月涼し たか子
乱れ萩庄屋の庭の飾り井戸 なつき
二学期や両手ふさがる小学生 みきお
秋夜長九十分の長電話 こすもす
深更に置き配とれば星月夜 せいじ
徒長枝の真っすぐ伸びて処暑来たる 明日香
鷺草の小草の奥に二三輪 えいじ
朽ちし舟渡し場跡の葦の原 愛正

2024年08月26日

生け垣をくぐる秋刀魚の焼く匂ひ 愛正
秋の駅点字運賃表を替ふ よし女
ユニホーム繕ふ夜長ミシン掛け みきえ
雨やみて滝風起こる野点かな 風民
石垣のお堀に浮かぶ蔦かずら ぽんこ
街灯と虫の初音や路地今宵 あひる
さやけしや背筋伸ばして夕散歩 みきえ
黄昏の空き地に集う赤とんぼ 智恵子
水澄みてけふかけふかと待つ便り 幸子
颱風もひらりと躱し悪女発つ 澄子
丸ごとの口に爆ぜたる巨峰かな えいじ
噴水に翼を濡らすフェニックス みのる
腰立たぬ身をかこちけり秋簾 せいじ
ルーペ手に歩く畦道草の花 みきお
湧水に四つ這ひなりて水遊び なつき
白日傘甘味処へ消えにけり みのる
秋灯下今宵の老母は矍鑠と あひる
耳鳴りの終日止まず稲光 よし女
澄む池や水面静かに群るる鯉 康子
更けてなほ冷めぬ大地よ星月夜 かえる
初秋の空逆転サヨナラカーブ勝つ 董雨
風匂ふ夜道となりて野分立つ 澄子
打ち水に赤き襷の古都の女 智恵子
朝刊を配る単車や秋の風 愛正
初秋の畳あうらに心地よき 幸子
湯上がりに西瓜の種を飛ばし合ひ かえる
みのる選とりて爽やか雨後の道 えいじ
明け方の半月真上空透けて 明日香
朝の庭胸一杯に秋の風 山椒
雑木山ざわめくごとく初あらし むべ
野外能両となりより団扇風 なつき
秋茜踏切下りて目の前に 董雨
寝つかれぬ一間窓を月渡る むべ
台風の備へ早めど遅々として 千鶴
独り居の庭に寂しき残る虫 みきお
かなかなや森に漏れくるピアノの音 康子
西窓の戸は閉めつきり残暑なほ せいじ
竹トンボ遥かに飛んで天高し こすもす
口あけて鴉動かず秋暑し えいいち
音聞いて比叡の向こふ遠花火 もとこ
滝道を辿り辿りて奥の院 風民
厨窓流れる雲は鰯雲 明日香

2024年08月25日

秋涼しコンビニ迄のウォーキング こすもす
ごきぶりの艶もて去りぬ洗面所 えいじ
モルタルの壁に貼り付く蝉一匹 みきえ
地蔵盆野仏さまに御供えを 明日香
どんぐりを供え初物野地蔵へ 智恵子
ジャングルジム秋らしき風捕らへけり たか子
滝しぶき高舞へるとき虹生る みのる
秋簾むしの蛻をつけしまま かえる
露地野菜眠る浅間の秋の風 愛正
かなかなや風の音にぞ消されそう 明日香
夕されば色の薄まるサングラス むべ
遺影へと赤みさしたる西日かな 康子
夜ふかしが常となりたる夏休み せいじ
寝起きすぐ腹に轟く日雷 せいじ
講談師早口稽古秋扇 幸子
かなかなに肩なだらかな遠嶺かな よし女
乱帙をわが城とせる昼寝かな みのる
同じ月遥か彼方の友も享く かえる
走り根の蛇めくうねる秋の森 えいじ
濡れ縁に背伸びする猫秋の昼 みきお
仏間にてまだ戦中と生身魂 ふさこ
リズミカルなるマリンバの夏公演 千鶴
花氷融けつたけなは同窓会 むべ
石仏のろうそく揺るる晩夏かな みきえ
夜店市提灯下ろす女達 董雨
お供への素麺冷し食進む 董雨
眠られぬ臥所に激し稲光 うつぎ
一湾の闇を深めて野分前 澄子
秋夕焼けほとほと飽きしこの暑さ よし女
夏帽をかぶせ見送る車椅子 あひる
えきそばの薄き天ぷら秋暑し 幸子
八月尽女ふたりのお湯三昧 もとこ
夏草や土手の対岸膨れをり 康子
夏休み終えて卒業秘密基地 智恵子
木の陰のからすと見合ふ残暑かな えいいち
庭隅に水遣りを待つ陶狸 あひる
ランナーの走る並木に秋の蝉 ぽんこ
山城へ九十九折れゆく葛の花 澄子
水飛沫上げて着水初の鴨 みきお
風ながれ葉の擦れる音涼新た えいいち
秋夕焼鋭く光る妙義山 愛正

2024年08月24日

円楽の盆の薮入り懐かしき みきお
反芻の牛の瞳や牧は秋 みのる
入り交じるテトラポットや秋暑し えいじ
豊漁のニュース早よ来い秋刀魚かな えいいち
子等の手に駄菓子つぎつぎ地蔵盆 ぽんこ
彼思ふ獄中書簡曝しつつ みのる
神官の高き沓音秋祭り よし女
無花果をもぐに農家の朝早し 幸子
空気やや軽くなりけり秋はじめ かえる
秋茜群れるドームの広場かな こすもす
庭木刈る目合ふ隣の鬼瓦 愛正
白糸を吐くやうに咲く烏瓜 むべ
枝豆や含み置くべきことひとつ 幸子
新講座受けて見ようか十六夜 たか子
喧騒を避けて路地ゆく秋日傘 澄子
朝刊と有明の月元気出る 明日香
くっきりと大三角や星月夜 千鶴
海峡を渡る構へや鬼やんま うつぎ
蛇踏んで動けぬ幼な子ベソかきぬ みきお
爽やかに文字の整ふ日記書く えいじ
庭木刈る枝捕まらぬ高鋏 愛正
水占の水のきらめき涼新た なつき
孫楽し迷路のごとき墓参かな 康子
窓少し開けし臥床に虫の声 むべ
散り急ぎ肩へと藤の返り花 なつき
終業のチャイムの響く秋の暮れ 山椒
つくつくし風強き日は声落す よし女
蟬時雨胎内くぐり出でし世は 風民
クーラーを効かせお手玉ジャグリング みきえ
一面に垂るる一樹の葡萄かな 風民
片陰を押してカットへ車椅子 せいじ
入道雲夕闇になお仁王立ち あひる
遠ざかるサリー淑女ら晩夏光 澄子
轟て空落つるごと日雷 えいいち
とび跳ねる小さき浴衣靴はいて あひる
通り雨地熱をお越し秋暑し 智恵子
芋畑コロポックルの基地めひて かえる
総裁選いたずらに吹く秋の風 ふさこ
青田道ガードレールの白さかな 康子
向日葵やバス待つ子らと背比べ 智恵子
花がらを摘みベゴニアの鉢戻す せいじ
鉦叩幽かな音色しんみりす 明日香

2024年08月23日

秋めきて瞬く星の美しく 智恵子
初耳の亡夫の話長き夜 むべ
客迎ふ八千草籠に溢れしめ 澄子
飛行機のさらりと抜ける秋の雲 康子
赤信号右も左も色づく田 こすもす
榎の実落つ滑りそうなる石畳 えいじ
雨不足少し痩せたる茄子の馬 みきお
こうのとり米てふ新米は但馬産 こすもす
明け易し霧の公園太極拳 山椒
秋めくや蔦張り付きて赤や黄に ふさこ
秋麗や夜風にひとつ身震いす 智恵子
門前に食ぶ虹色のかき氷 なつき
秋暑し目を凝らしみる秘仏かな なつき
藤前の綺羅の小波や鯔飛びぬ えいじ
庭隅の水撒く茂み飛ぶばった 愛正
流灯の途切れぬ川や人の波 みきお
先をゆくなにわナンバー街残暑 幸子
養蜂家めく網帽の草刈女 せいじ
地蔵盆揺るる提灯集ふ子等 みきえ
台風の厳しき進路予報円 千鶴
水を打つ泣き止まぬ子をあやすごと よし女
陸橋の先に広ごる雲の峰 みきえ
ピアニカの音辿々し夏果つる もとこ
穂の出でて芳香しるき青田かな せいじ
サングラスとりてうべなふ海の青 みのる
曲芸かロープにちょんと塩トンボ あひる
モロゾフに淹れる珈琲秋しづか 幸子
避雷針鬼の角めく稲光 かえる
汗取りの首のバンダナ板につき あひる
読みかへす終活ノートいわし雲 みのる
見つからぬ駐車スペース秋暑し うつぎ
往く夏の荷台に覗く子牛の眼 よし女
鯖鮓に香の移りたる竹の皮 むべ
有明の月ぼんやりと西の空 千鶴
午睡てふ日々の気温に耐える術 たか子
当て所なくふらり彷徨ふ秋の蝶 かえる
くるくると回る子犬や群とんぼ 康子
始業時のチャイムはビバルディの春 山椒
こほろぎの鳴けども見えぬ水回り 愛正

2024年08月22日

葉の裏に風を捉へて萩揺るる かえる
存問の蜻蛉はワープして去りぬ せいじ
鈴虫の音に双脚の止まりけり たか子
子が覚えチャーハンつづく夏休み なつき
立ち並ぶ無音の風車夏の果て 山椒
茄子三本焼いて三人の夕餉かな あひる
雷雲と夜の帷のせめぎ合ふ むべ
ひまわりの畑ドクターイエロ過ぐ 山椒
石磴に野良猫集い秋暑し ぽんこ
蜻蛉の存問うれしペダル漕ぐ せいじ
青秋刀魚ほら貝吹いて糶始まる よし女
上段に構へ蟷螂たじろがず 澄子
廃校の廊下を走る荻の風 愛正
親指に下駄ぶらぶらす端居かな みのる
天気図に列島おほふ大野分 幸子
河川敷歩まば聞こゆ荻の声 愛正
孫去りて大の字になる午睡かな みきえ
はたた神すずかけ並木大揺れす むべ
温泉たまご作りにはしゃぐ宿浴衣 こすもす
通されて暫くひとり夏座敷 うつぎ
陽射しとの戦ひ尽きて秋簾 かえる
カーテンの膨れの端に空の秋 えいじ
座りよき冬瓜塞ぐ野菜籠 澄子
ゴルフ球ほどの大きさ黒葡萄 千鶴
蔓紫ぬめりし茎のパワー食む あひる
黒雲に居座る雷や鳴り止まず 智恵子
雨晴れて雫のシャワー森涼し 康子
胸高に白き帯締め藍涼し みのる
秋風の入りて髪解く安堵かな 智恵子
秋桜風車の丘を彩りぬ はく子
風鈴やガラスと鉄の二重奏 康子
村芝居セリフ教える囃子方 みきお
ゆるやかな坂に息つく秋暑し もとこ
飛び入りの手足滑らか盆踊 みきお
法師蟬精一杯を褒めて欲し 明日香
向日葵の迷路で遊ぶ雀かな 明日香
秋の蚊の手甲の真中止まりけり えいじ
秋の潮漁船は遠く点々と うつぎ
木犀や土蔵造りの玩具館 幸子
二学期へあと幾日か親の声 ふさこ
狛犬の口中深く蜂の巣 よし女
蕊包み一夜に落つる白槿 えいいち
タブレットの画面で集ふ夏休み なつき

2024年08月21日

ガレージの鎖に蜻蛉きてとまる せいじ
ゆつたりと番う蜆蝶夏の朝 たかを
盆行事果てて五山の寛げる あひる
秋茜にのぞかれてをり赤信号 なつき
涼新た石碑の梵字空へ反り よし女
旗雲の風に散らばる鰯雲 えいじ
素焼鉢蝶群れるごと蘭の花 むべ
吊り橋を見上げ渓谷かじか鳴く 智恵子
水中花向日性はなかりけり みのる
満天の星がご馳走避暑の卓 みのる
行列の末に売り切れ夏氷 山椒
語らひにしばし割り入る夏の蝶 風民
農耕馬色無き風の中歩む みきお
信じられぬ友の訃報よ処暑の夜 なつき
秋暑し開店までの十五分 こすもす
草花や涼しげに揺れ七種咲く ふさこ
熱中症脳まで来たと友の笑み あられ
水澄みぬ錦沈めて鯉の群 澄子
野分あと川満ち満ちて滔々と かえる
直売の途切れなき列葡萄園 千鶴
白鍵の象牙色なる秋灯下 むべ
神職の一人は女性白芙蓉 よし女
爽やかに白カーテンの膨る窓 えいじ
駿河より友の来たりて新茶美し 風民
甲子園泣きじゃくる児の獺祭忌 明日香
夕暮の水辺の散歩荻の風 愛正
恋すてふ息遣ひあり秋の蝶 明日香
ふと見やる千草のあはひ猫の貌 澄子
月越して盛る医院の百日紅 せいじ
金水引き元気に育つプランター 智恵子
灯火親し東野圭吾いま佳境 幸子
出稼ぎの父待つ端居子供かな みきお
流星や願ふ間もなき島泊り もとこ
処暑の日や鏡あかるき化粧室 幸子
川音に目覚む高原夏の朝 山椒
屋根までも伸びて見渡す鉄砲百合 かえる
枯紫陽花アートめきたる晩夏かな あひる
友も吾も猛暑に耐えたやつれ顔 あられ
秋はじめ観音の頬のふくよかさ ぽんこ
シャッターに時折触る荻の風 愛正
今日一日何したで無く過ぎて秋 たか子
手のひらの庭の西瓜や皆で食む えいいち
公園の遊具冷やして夕立去る 康子

2024年08月20日

黒雲や予報通りの大夕立 せいじ
巻きひげの枯れて食べ頃大西瓜 千鶴
霊水に浮かぶ経木万灯会 なつき
水菓子に添へて一茎吾亦紅 澄子
わたくしも疲れているよ秋の蝉 もとこ
盆休み明け街の音動き出す 風民
利根上流歩まば聞こゆ荻の声 愛正
唐黍や食み方談義盛りあがる あひる
鶏がぐるりと巡る百日紅 たかを
秋天を袈裟切りに行く飛行雲 ぽんこ
雨濡れしままに鷺草羽ひらぐ えいじ
涼新た盤上しるき駒の影 せいじ
向日葵を挿す受付に笑顔かな 康子
荻の葉のなずる水面や縞模様 愛正
窓越しに湯加減いかが避暑の宿 みのる
万葉にほんの少しの秋気配 ふさこ
港内の灯りかすかや朝の凪 千鶴
秋灯や最後の患者見送りぬ むべ
芋の葉の穂波の脇に反り返る えいじ
夕潮の浅瀬に水煙鯔跳ねる よし女
火照るごと赤き満月宵の森 むべ
満月を背負ふて進むモノレール かえる
八月の月五燭電球の色 えいいち
夏空やキレキレダンス応援団 みきえ
藪からし上からネット掛けしごと 明日香
秋暑し煙突の赫燃ゆるごと かえる
真夜中の薄き珈琲処暑の宿 幸子
紫陽花や海まで続く坂の道 山椒
うつうつと夜雨を聞きぬ林火の忌 幸子
ふしくれの指で繕ふ菊人形 みきお
大文字箱根山にも灯りけり みきえ
風たちぬキックボードの一蹴りに 澄子
館涼し広重ブルーに酔ひにけり たか子
深刻や熱中症あり鶏も 董雨
初風やそっと背を押す散歩道 みきお
夏氷潮風香る浜の店 山椒
純白に畑縁どりて韮の花 風民
秋雨の止みてより落つ雫かな 明日香
朝露に気づくワイパーの動き こすもす
草笛吹く夫の横顔若きあり 智恵子
讃美歌を老母覚えゆく秋灯下 あひる
団栗の帽子がふさぐ蟻の穴 なつき
天気不安遺影は微笑むばかりなり よし女
向日葵の陰にバス待つ下校子ら 智恵子
さし水に元気もどりし金魚かな みのる
帰省子の去りて音なき仏間かな 康子

2024年08月19日

ただひとつ我が身大事や流れ星 もとこ
足首に手編みミサンガ浴衣の子 なつき
夕の雨静まる庭に鉦叩き 智恵子
お土産に新米選ぶ道の駅 みきえ
玻璃窓を越して寝床に月明かり みきえ
爽やかやトースターの音今朝の卓 きよえ
水桶に色艶競う秋の茄子 愛正
ひと月を越す日照り後の雨やさし 千鶴
ぽつねんと秋風に乗り雲旅へ ふさこ
香匂ふ門前抜けて万灯会 なつき
小魚の影くつきりと秋の澄む えいいち
まぶし気な賓頭盧さんに大西日 ぽんこ
水澄みて鯉艶やかに横ぎれり 澄子
子ら去りて伽藍堂めく冷蔵庫 あひる
秋暁や山稜を染め雲を染め 明日香
帰省子の去りて励まん俳句会 董雨
ようやくにパラリと降りて涼しかり よし女
ベゴニアの二鉢チャペルと我が庭に せいじ
満月や我が家へ伴走してくれし 康子
トロ箱に顔出す秋刀魚豊魚なる 智恵子
好物のカルピス供へ送り盆 康子
あぶく抱き何か言ひたげ水中花 みのる
朝焼けや尾根際立ちて黒光り 董雨
待つと云ふ楽しき時間ラ・フランス 幸子
はたはたの穂波うれしとダイビング えいじ
ゆるゆると日輪老ひて桃熟るる 幸子
糠漬けに色増し味増す秋の茄子 愛正
夜半の雨知らず目覚むや秋の朝 きよえ
大き弧を青田に描き単線路 うつぎ
夜なべして覚える絵柄免許証 千鶴
かなかなや我も我もと哭きにけり かえる
七年ぶりや夜長満喫同窓会 こすもす
盆仕舞ひ今後の事を口々に たか子
身構へる蠅捕蜘蛛や洗面器 せいじ
昔話に花咲く夜長同窓会 こすもす
山々の色増しにけり秋時雨 みきお
炸裂の花火横目に月見遣る うつぎ
囲われて穂波の中を野稗垂るる えいじ
咲き出だす力に揺るる蓮の花 よし女
家蜘蛛のジャンプ飛距離はメダル級 あひる
縦横に闇夜を疾る稲光 むべ
雑踏をおろおろ歩む残暑かな 澄子
ひとひらの飛び立つ花弁夏の蝶 山椒
一片の雲なき夜半の月は望 はく子
相互ひ枝を差し交わせ秋涼し かえる
鈴虫や響く錫杖修験僧 山椒
待望のお湿りのあり夜半の秋 明日香
流灯の帯となりゆく遅速かな みのる
香水をほのかに残し会議果つ むべ

2024年08月18日

足元に夕焼け一面潦 風民
家族みな同じティーシャツ夏セール あひる
山の端をふはりと離れ望の月 はく子
孫ら去に午睡に落つる夫と吾 あひる
紅色に染まる西空東の月 きよえ
鳩鳴ける森を縫ふ風秋の声 えいじ
炭俵編む母の背や月明かり みきお
倒れては咲きつぐ風の秋桜 よし女
人工島暮れれば秋の灯となりぬ 幸子
片蔭を選りて駅まで右左 みきえ
蒼き舌見せあふ児らやかき氷 むべ
水やりが精一杯や残暑には 明日香
月明かり籠にガサゴソかぶと虫 智恵子
ひたすらと言うほどでもなし鉦叩き よし女
遊歩道来雨に開く秋日傘 愛正
盆の月雲に生まれし翳まだら むべ
飛び入りて揃ふ手拍子盆踊り 風民
熊笹を掴み不動の赤蜻蛉 かえる
秋の蚊の絡むにまかせ小径ゆく 澄子
ブーゲンビリア南国の地を包み込む もとこ
谷町の夜の歩道に虫の声 ぽんこ
それぞれに空に道あり渡り鳥 みきお
かぶと虫とびら半分開けて寝る 智恵子
丸薬の底にはりつく厄日かな なつき
朝蝉の調べ秋めくデボーション みのる
流星に刻まれてゐる夜空かな かえる
お迎えも送りもしかと盆行事 明日香
夕端居並びて墓の話など 康子
連発の煙を残し花火果つ うつぎ
西窓のゴーヤ小さきまま爆ぜる なつき
雲の峰未だ出しゃばる朝の空 きよえ
鎮魂の海へ散華す揚花火 みのる
月淡しまだ灯さずにゐる書斎 幸子
街炎暑蛍光色に照る花壇 せいじ
墓掃除墓碑に差し掛く秋日傘 愛正
吹く風に色あるや無し秋麗 ふさこ
店終いベビー用蚊帳店頭に みきえ
空っぽの都会の電車盆休み 山椒
夕風や頬を撫でゆく秋の声 えいじ
送り火の消えて常なる夜の静寂 澄子
ジャズ流るレトロ喫茶のかき氷 山椒
ペアルック母娘で崩すかき氷 たかを
ベゴニアやチャペルの掲示明るうす せいじ
川挟む二市合同の大花火 うつぎ
ツンツンと稲伸び盛り今朝の景 千鶴

2024年08月17日

端切れめく水着の値札疑ひぬ みのる
夕映えの風にうなづく野稗かな えいじ
格子戸を抜け風招く麻のれん 智恵子
送り火を包める闇の広々と あひる
風に乗り蜜の花へと秋の蝶 えいいち
すくと立つ崖の灯台夏の海 山椒
農耕車残す足跡秋の月 たかを
送り火に席巻されて京盆地 あひる
明かり消し提灯下ろす送り盆 みきえ
盆波の岩場に残す異国文字 愛正
湧き出ずる音の軽やか水澄める かえる
大樟の影雲のごと終戦日 なつき
檻の虎万事休すと昼寝せる みのる
久々の三十度割れ秋初め こすもす
稲妻や左右の違ふ耳飾り 幸子
ひまはり田朝礼のごと整列す うつぎ
大方は省略一人のぼん用意 よし女
独り占め借景の庭かき氷 山椒
あきらかに野分駆け抜く今朝の庭 澄子
大小の靴並ぶ土間帰省の子 みきお
蜩や鳥居くぐれる宵の松 ぽんこ
逃亡の猫待つ玄関秋暑し こすもす
緑陰の柔き草の上ごろ寝せり 千鶴



前のページ次のページ