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残暑厳し予定の仕事はかどらず 董雨
秋簾聞き知る下駄の音過ぐる 愛正
霧襖昇る朝日に開けたり むべ
汗の手を握り合ひたる五年ぶり うつぎ
雑草の中にまみえし蛍草 ぽんこ
白芙蓉楚々と咲かせて長屋門 澄子
弾き語るギターの音色秋澄めり えいじ
神木に階段かけて猿茸 やよい
なんのその沈みし時の唐辛子 ふさこ
北窓の巻かれて古し秋簾 愛正
藪茗荷清らかに咲く奈落かな あひる
秋夕焼赤子の笑ひ声聞いて えいじ
干すもののおほき波止場や秋日和 幸子
綱引きの相手は大地草を引く 風民
茶会果て闇に夕顔また一つ 風民
水槽に魚介ひしめく夏料理 みのる
婚ドレス目移りしきり白芙蓉 澄子
予約診へと電車移動や豊の秋 こすもす
新米のすし飯息子に呼ばれけり よし女
岩礁に噴き上ぐ飛沫秋の潮 みきお
匂い好き鼻ひくひくと青田風 智恵子
菊の日や程々の生有ればこそ たか子
秋冷の堂に曼荼羅仰ぎけり なつき
影だけを落として去りぬ秋の蝶 せいじ
衝立は葦づくりなる夏料理 みのる
差し入れに頭深々きのこ飯 よし女
雷雲の間より三日月見え隠れ 智恵子

2024年09月08日

トロ箱の金のなる木や厄日過ぐ なつき
涼新た妻は料理に余念なし せいじ
選手名簿付き運動会のプログラム こすもす
神は愛なりと大書や堂涼し みのる
爽やかや笑顔に揺れてイヤリング たか子
裏山を掠めて人里小鳥来る 愛正
朝一番茶柱のたつ敬老日 みきお
放置田は晴れの舞台や虫すだく やよい
台風過甘茶の枝に青葉出す 董雨
庭木刈る低く低くとバッサリと 明日香
秋小鳥白壁背にし羽色映ゆ 愛正
三叉路に出てより迷ひ鵙高音 うつぎ
露けしや友逝きて早や十七年 せいじ
秋の日や埠頭近くの定食屋 幸子
脂乗り秋刀魚の握りもう一皿 千鶴
クレーンで運ぶ大鍋芋煮会 みきお
海鳴りや波はそぞろに秋干潟 えいじ
西日射す緩きカーブや汐の音 澄子
厨よりけふは玄関守宮の子 みきえ
夕まぐれ薄紅葉映ゆ厨窓 明日香
目白鳴き枝を弾きて青の翔ぶ 董雨
グランドゴルフてふ種目あり運動会 こすもす
秋うらら函にリボンの十字掛け 幸子
ウィンドウに落蝉眠る不夜の店 えいいち
むらさきの艶よな消えそ茄子を煮る あひる
秋風や京三川を一望す むべ
独り居の二人の夕餉初秋刀魚 うつぎ
池突き水輪連ねる群れ蜻蛉 康子
日焼け子が当てくじの箱かき回す なつき
稲刈り近し畔草を刈る男の背 よし女
大提灯吊るす浅草晩夏光 山椒
大根蒔く支度に忙し耕運機 よし女
天窓に流れ星観ゆ太郎小屋 智恵子
畔ゆけば連鎖反応飛蝗飛ぶ えいじ
不覚にも南京切りし指までも ぽんこ
秋空へ聖火を掲ぐ女神像 山椒
サラダうどん搾る酢橘の香る卓 康子
人混みに踏鞴を踏みし秋神輿 澄子
亡き従兄は夫の親友秋愁ふ あひる
王のようパンパスグラス華麗なり ふさこ
玄関のドアの格子に秋の蝉 ぽんこ
墨痕のかすれ涼しき大書かな みのる
秋雲や翼下に透けし八ケ岳 むべ
久に逢ひ話の尽きぬ夜長かな もとこ
秋暑し黙々漆喰塗る人ぞ みきえ
星月夜潮騒求め車出す 智恵子

2024年09月07日

足許を不意に飛び立つ秋の虫 よし女
棟上げや見上げる空にペルセウス 山椒
長き夜や老いてなほよき学びあり せいじ
希望メニュー断トツ一位は茸飯 こすもす
振りおろす帽子にぴよんとバッタ跳ぶ あひる
ひぐらしや杉の奈落に一末社 みのる
目覚めれば枕頭ちちろ虫の声 せいじ
民宿の手すりに並ぶ水着たち 智恵子
縄跳びのジャンプに光る草の露 たか子
小鳥来る教室ごとに世界地図 澄子
夜の長しパラリンピック見て飽かず はく子
秋夕焼け障子に映る樹々の影 よし女
柘榴の実おちょぼ口して青空に 康子
霧晴れて三輪山きりり姿現れ 明日香
秋の夜や各各過ごす時間かな もとこ
みどり子に鳩吹く風の流れかな えいじ
かなかなの夕谺して谿深し みのる
野分あと賽銭かごに松落葉 なつき
次々と太る獅子唐ひさの雨 あひる
広芝野秋気誘いしギターの音 えいじ
生ぬるき扇風機風夏終わる えいいち
天秤の下に落蟬閻魔堂 なつき
棟上げを終へし骨組み色鳥来 愛正
竹林や子ら揺り降らす朝の露 愛正
秋蒔きの作業始むや土柔し 千鶴
秋空へ響く歓声スタジアム 山椒
夕月や残照受けて仄光る えいいち
朝風に寄する金色稲穂波 むべ
葉を皿にどんぐり飾る亭の窓 康子
北夜空稲妻走る音もなく ふさこ
朝顔の行灯仕立て飛び出して 明日香
初紅葉歩めば広き城址かな 幸子
田草取る鴨成長の遅速かな やよい
零余子飯まず仏前に供えけり みきお
吊し柿障子に揺れる夕日影 みきお
湘南の爆走族ら惜しむ夏 智恵子
秋灯や客待ち顔の占ひ師 幸子
鴨川に突き出すカフェや秋の宵 むべ

2024年09月06日

秋暑し高級ランチ主婦ばかり ふさこ
赤とんぼ追いかけっこす藁ぼっち 智恵子
天こ盛り具沢山の茸飯 みきえ
亡き父母にただいまと言ひ蚯蚓鳴く もとこ
秋祭果てて浜の子聞かん坊 幸子
澄む水に鯉丸まると擦り合へり なつき
朝露のグリーンに残るボール跡 愛正
竹細工なる恐竜や小鳥来る せいじ
里山の課外授業や捕虫網 うつぎ
ついついと蜻蛉飛び交ふ夕まぐれ 明日香
茅葺の屋根より洩るる虫時雨 康子
そちこちに誰を呼ぶのか鉦叩 えいいち
モビールの鷹の羽音や青田風 やよい
夏大根の辛みにはまるおろしそば あひる
小鳥来る法要始まる墓じまい 愛正
投薬の増えて益々秋暑し たか子
野地蔵や藪のなかより秋の声 ぽんこ
隅田川浮かぶ木の葉か納涼船 智恵子
虫の闇天秤跳ぬる閻魔堂 なつき
処女林の白き小花は藪茗荷 せいじ
風騒ぎ豆青柿の礫かな 澄子
翡翠めく目ん玉ギョロリ鬼ヤンマ こすもす
稲妻の閉じる瞼に白光す えいじ
百条委の中継視聴秋暑し 千鶴
筆硯にそよ風通ふ泉殿 むべ
蔦葛ここぞとばかり電線へ 明日香
爽やかや姉妹のやうな母子いて あひる
待合室皆の半袖日焼け腕 董雨
部屋の名は松杉檜秋の宿 むべ
たもとほる萩の小径に蚊遣豚 みのる
端居して膝に木洩れ日揺れてをり 康子
秋の日や音大前の停留所 幸子
と言う間に前過ぎりけり瑠璃蜥蜴 こすもす
夜店の灯尽きて神苑闇深し 澄子
萩の道渚のごとく屑こぼす みのる
瑞々し葉陰に潜む椿の実 えいじ
噴水五個それぞれ女現るる よし女

2024年09月05日

澄み昇る金の音響く鉦叩 えいいち
夫誘ひ虫の音を聞く夕散歩 康子
白芙蓉咲くや根つからインドア派 幸子
レコード盤詰めし箱出で曝しけり なつき
霧の香や安らぎ顔の六地蔵 愛正
夕べとは違ふ虫の音朝湯入る むべ
山の端を染むる朝日や露葎 やよい
小鳥来る群れて跳びゆく木から木へ よし女
秋暑し児ら駆け回る休憩時 みきえ
息を吐くやうに幕引く秋夕焼 えいじ
憎くてもバッタを潰すこと出来ず 明日香
外灯の薄暗き帰路ちちろ虫 こすもす
夜店の灯水風船の透ける青 智恵子
夏終わる火薬の匂い残る土手 智恵子
九月生まれの多き家族や星月夜 こすもす
赤白と数へる声に天高し もとこ
真新し箸で掬ひし走り蕎麦 あひる
ぱらぱらとひかりの礫小鳥来る 澄子
厄日過ぎパタリと止んだ油蟬 明日香
コスモス田微風にワルツ踊りけり みのる
身の内の何かが失せぬこの秋は たか子
六地蔵御座す訳知る墓参り みきえ
杉玉の揺れる軒先今年酒 みきお
待ちくれしタクシーほんに涼しかり せいじ
秋の蚊に邪魔されてをり立話 うつぎ
食前の祈りあはせる秋灯下 むべ
縁端に集まる吾子ら蒸し芋 愛正
今日の空ま青なる色濁りなし よし女
秋桜減反の田を浄土とす みのる
車窓より風に揺れるは稲穂波 ふさこ
氷菓溶け身振り手振りの武勇伝 なつき
ぶつぶつと甕より育つ濁り酒 みきお
信金の五十日の混み秋じめり 幸子
竹林の風爽やかやエジソン碑 せいじ
乾杯の音のひとしきりソーダ水 あひる
小さき手の掴めぬ噴水魔法かな 康子
野分あと小首傾げし陶狸 えいじ
ペップトークの講演聴きぬ休暇明け 千鶴
楽屋めく屋根裏部屋や秋灯火 澄子

2024年09月04日

蚊の攻勢に合ふ朝の草取り よし女
法師蝉鎮守の森を独り占め 智恵子
火灯窓張り付く蝉の影法師 智恵子
ぬか漬けやきゅうりの色も褪めにけり ぽんこ
バス停の別れの握手星月夜 あひる
釣殿に長靴の足投げだせり むべ
納屋仕事藁積む隙間のきりぎりす 愛正
虫の音や並ぶベンチに彼彼女 康子
森深く響くフーガや法師蝉 せいじ
メモ片手路線乗り継ぎ秋探し ふさこ
亡き夫の五拾回忌来秋の風 董雨
撫で仏の膝にあめ玉秋うらら なつき
秋暑し将棋の熱戦見て過ごす こすもす
友去りてなにするでなし秋灯火 澄子
異常気象続く列島秋暑し 千鶴
過疎の里一人ニ役の村芝居 みきお
今年また入れ替わり来る秋小鳥 みきお
芋虫や枝のみ残す肥満体 もとこ
忘れ物思い出したか法師蟬 明日香
吹く風のお気に召すまま秋簾 せいじ
断層をたたら走りに滴れる みのる
合鴨の大合唱や大青田 やよい
素通りの陰陽石や秋暑し うつぎ
溝脇に若者ひとり草むしり みきえ
団栗やころころ変はるマイブーム 幸子
かな文字の運筆軽し虫の声 愛正
手を振りて別るるバスの秋灯 あひる
秋空を映す総玻璃ビル青し 康子
秋海棠離れへの道辿りつつ 明日香
稲妻や夜半の時雨の音も聞く えいじ
女三人かき氷分け遍路茶屋 なつき
午後からは動けぬほどの疲れかな よし女
友夫婦認知症にて秋ホーム 董雨
歳時記を読みてごろ寝や台風来 えいじ
棟上げの声のたからか秋気澄む 幸子
野良犬や墓地をねぐらに萩の花 澄子
切岸の岩肌を研ぐ清水かな みのる
やはらかき女将の訛り秋団扇 むべ
台風に封書迷うて未着とや たか子
ススキなど活けたくなりし今宵かな こすもす
振り向けば影絵のごとき秋の夕 みきえ

2024年09月03日

匂ひ立つ池畔のベンチ野分あと 康子
岩陰に長く動かぬ糸とんぼ よし女
鈍間なる手足を抜ける秋の風 えいいち
頬張りて塩梅よろし茸飯 澄子
老骨を風に委ねし秋簾 せいじ
石庭の裏の杜よりつくつくし うつぎ
台風禍なれど一息庭草木 みきお
駆け込みし隣りの肩へ秋扇 たか子
枝下し軍手干さるる石のうへ むべ
角部屋に旅装を解きて虫の夜 むべ
桃の香の溢れる仏間正座の子 智恵子
父母逝きて半世紀なる墓洗ふ みのる
せせらぎと虫時雨のみ加茂堤 もとこ
台風の残滓広ごる湾の空 えいじ
墓じまひ侘びつつ父母の墓洗ふ みのる
具片寄る二百十日のカレーパン なつき
落とし水までの日数ふ指折りて 千鶴
嵐去リ見え隠れする月の夜 智恵子
秋の風人里近き峠道 愛正
瀬をはやみ岩を飛び跳ね秋の川 明日香
草を取る暑さ厳しくお昼まで よし女
手捻りの音はころころと土風鈴 あひる
松林色なき風の音を聞く 愛正
開け放つ方丈抜けゆく蜻蛉かな 澄子
休耕田の草煌めかし朝の露 こすもす
石橋に関守石や水澄めり うつぎ
航跡の光る夕日の赤とんぼ やよい
朝ぼらけ川霧隠す三輪の山 明日香
鰯雲並走するは高野線 ふさこ
箱買ひの桃くつつきて匂ひけり なつき
スニーカーの濡れるあぜ道朝の露 こすもす
日矢の差す海の音聞く秋干潟 えいじ
秋晴れやカーディーラーの万国旗 幸子
草の露触れて飛沫や狭き道 康子
故郷の新米のあり道の駅 みきお
獅子唐のにぎやかに焼けフライパン あひる
鉄柵からはみ出る雨の猫じゃらし ぽんこ
秋麗やヒジャブの赤を纏ふひと 幸子
揺れ幅は風に任せて秋簾 せいじ

2024年09月02日

廃寺跡猫の顔出す花すすき 愛正
下校子の賑はひ戻る休暇明け みきえ
赤とんぼ息子を連れて門潜る 智恵子
葛の花山路狭めて右手左手 澄子
滲む汗風に膨らむシャツ嬉し 智恵子
表札の古りて読めざる萩の家 澄子
落雷や少し間をあけ太郎冠者 なつき
パジャマ着て韓ドラを見る夜長かな みのる
神官の鹿の角切り神の国 みきお
秋嵐ぬひ来し牧師少しシャイ あひる
緑陰の椅子の彫像読書せり 山椒
どんぐりの傘へと落つる音楽し 康子
雷響や館内でみる野外能 なつき
重たげな雨含みたる百日紅 こすもす
嵐耐へ元気なりやミニひまわり えいいち
防災の日を直撃す暴風雨 せいじ
南洋上台風の芽の次々と 千鶴
嵐去り隅より出され草の花 ふさこ
散り敷きる白粉花や夢路の絵 山椒
栄養剤ここで買い足す残暑かな たかを
西日強く遠慮なく吾が部屋に入る よし女
溢れをる池に木洩れ日野分晴 康子
広告を募る広告秋暑き 幸子
稲穂まだ葉と同じ色して揺るる 明日香
風鈴に拾つて貰へぬほどの風 うつぎ
山霧の発掘現場降りにけり むべ
台風過白寿の力ぬけにけり 董雨
したる汗それと立ち漕ぎ青信号 たかを
万の露朝の花壇を煌めかせ たか子
匂ひたつ今日は主役や生姜飯 もとこ
一渓に化石掘る音山澄みて むべ
けふもまた默す独居や長き夜 やよい
夜半時雨秋気を朝にもたらしぬ えいじ
曼珠沙華山田錦の里埋む みのる
モビールを色なき風の擦り抜けし せいじ
秋涼や体操教室再開す あひる
鉄柵より覗き込むかに灸花 ぽんこ
芒野や風に流さる子の帽子 愛正
雨台風氾濫起こすメカニズム 千鶴
休耕田に育つ数珠玉まだ青し こすもす
足元をつつつと飛ぶは秋しじみ 明日香
鷺草の木道脇に息堪へ えいじ
裏畑の伸び放題の草を取る よし女
銀輪に弾むリュックや休暇明 幸子

2024年09月01日

息遣ひ伝わる菊師展示場 みきお
爽やかに朝日燦々雨後の道 えいじ
威勢よく舗装路に伸ぶゑのこ草 えいいち
すすき梅雨肌の白き磨崖仏 愛正
戦争の話聞きおく盆休み 康子
真葛原不条理の愛貫いて 明日香
小旋風の忍者駈けせる葛の原 みのる
ゲリラ雷雨街灯かすみ街白し 智恵子
すげ笠に秘めし哀愁風の盆 千鶴
寄せ書きに言の葉あふれ敬老日 あひる
よだれ掛け赤き野地蔵彼岸花 みきえ
釘付けの進路夜通し台風裡 やよい
台風一過ひぐらしの声柔らかく よし女
台風も覆いきれぬ我が列島 えいいち
盆踊り手振りだけなら輪に入れる 明日香
台風のニュース途中の地震かな 智恵子
豪雨禍の軽きを祈る厄日かな せいじ
絆創膏使いきつたる厄日かな なつき
天高し愚痴言う口の空気抜け もとこ
萩月や色を違へて夫婦箸 幸子
炎天に十分間のひと試合 ぽんこ
手繰る戸に庭なまぬるき厄日かな 澄子
根こそぎに引くは無理無理灸花 うつぎ
通り過ぐ色なき風の松林 愛正
やはらかし葉擦れの音も稲の穂も あひる
また迷ふ大阪駅や西鶴忌 幸子
秋の蝶無沙汰を詫びる墓石へと 康子
天空を転がり来るや秋の雷 むべ
葛畳ほころびゐしはけもの道 みのる
胡弓の音辻流してや風の盆 千鶴
嵐去り瑠璃戸に映る秋夕焼け ふさこ
稲妻や天窓闇に浮かびくる むべ
遠来の若き牧師の声さやか せいじ
早起きの公算畑草良く引ける よし女
谷あひの村に広がる刈田かな みきお
訳有りと皮に傷持つ梨甘し みきえ
新涼の玄米五キロ送りけり こすもす
引き抜きて其れと分かりし灸花 うつぎ
廃線を覆ひ緑の森深し 山椒
掃除機の洩るる吐息や秋暑し えいじ
虫の秋独り住まいも八年に はく子
今年また吾亦紅伸ぶひとところ 澄子
子が二人息合はせ漕ぐゴムボート なつき
海棠の花散る寺に別れたり 山椒
親友とビリケツ競う運動会 たかを

2024年08月31日

台風に線状降水帯と言ふおまけ はく子
無住寺となりて幾とせ蟻地獄 みのる
朝採りの野菜譲られ涼あらた 澄子
痛ましやトップニュースは台風禍 せいじ
音涼しスプーンも皿も備前焼 みのる
石ひとつ動かし田水落としけり みきお
きちきちや偶にはじつとしておくれ もとこ
日没や開花始まる牽牛花 愛正
漆喰の壁浮き上がり盆踊 うつぎ
台風禍視察の顔でひと巡り たか子
久に見る秋晴れの空鳥の声 千鶴
野分くる故郷すぎて吾地へと あひる
先人の言葉身にしむ夜半の秋 明日香
堤防のなぞへに点々縷紅草 こすもす
初句帳手にする義父の長き夜 康子
風去りて仕舞し簾また吊るし みきえ
八月尽雑貨屋に聴くバレリーニ 幸子
粉吹きて白く輝く稲の花 むべ
台風のニュース日がなに流れをり はく子
台風来こんな被害は初めてと せいじ
台風の余波に群れ飛ぶ赤とんぼ よし女
台風の進路気になる夕焼空 なつき
蝉の声空に広がる雨上がり 山椒
梨売りのおばさんに請ふ品定め えいじ
秋の浜飛砂に烟るや潮見坂 えいじ
野分来て荒ぶる河の濁り水 かえる
配られし団扇が忙し野外能 なつき
台風の急がして鳴く鉦叩 董雨
沖はるか稲妻奔り艇庫閉づ 澄子
理髪師は五人の子持ち日焼けせる あひる
秋雲に映ゆは東京タワーなる かえる
雨上がり美声奏でる虫しぐれ ぽんこ
台風一過暑さ再び戻りけり よし女
細糸の嵐に切れず女郎蜘蛛 むべ
野分去り槌音高く響きけり 山椒
目覚むれば朝顔すでに花開く 愛正
雷光のカーテン透かす子守唄 智恵子
星月夜テラスに流るパイプの香 智恵子
夕日背に仁王立ちせる野分雲 康子
秋めくやビネガージャーに銀の栓 幸子
赤き実の横を曲がりて唐辛子 ふさこ
闇といふ一寸先や鉦叩 明日香
山の端に沈む夕日や秋の風 みきお

2024年08月30日

今年米収穫早む米不足 みきえ
嵐来る前夜の空の不気味なる たか子
台風情報こまめにチェックすスマホかな こすもす
街路樹をみな唸らせて台風来 康子
酔芙蓉おちょぼ口して夕の庭 智恵子
夏草や薄らぐ畏敬忠魂碑 ぽんこ
台風来会所蓋開け念入りに みきえ
秋陰や山の斜面の住宅地 幸子
台風来鳥たちの群れ波打ちて 明日香
運動会紙で作りし金メダル よし女
乱気流にからまれ揺らぐ稲田かな 千鶴
荒れ畑に白粉の花の見え隠れ かえる
天高し席譲られて老いも良し えいいち
大団扇店頭忙し魚焼く 智恵子
台風を寝入りて躱す陶狸 えいじ
報告のお喋り止まず休暇明け もとこ
台風来遠慮会釈もあらばこそ せいじ
霧また霧牛の声も霧の中 愛正
大風に早鐘めきて秋風鈴 むべ
農道に踏まれ轢かれて車前草 みのる
独り居となりし父訪ふ台風裡 康子
シャッター街チョークで路に揚花火 なつき
松虫のトイレの裏へ転居かな えいじ
上毛の三山いずこ霧しぐれ 愛正
火山岩の鉢満つ女清水かな なつき
秋の昼シャツ浸し置く水しづか 幸子
夜雨にも小さき声あり虫すだく むべ
ごみ出しは中止とならず台風裡 せいじ
野分の夜ニュースに返す独り言 やよい
群れなして鴨川を行く秋茜 山椒
垂れかけの稲穂の波やさわさわと 千鶴
予報図とヘクトパスカル台風来 明日香
冬瓜を透明に煮て母偲ぶ うつぎ
大花野風の翼のごとうねる みのる
星月夜一人カラオケ悦に入る ふさこ
工房におもき土練る夜長かな 澄子
にわたずみ大地にいわし雲広ぐ かえる
作り手の魂こもる菊人形 みきお
嵐きて存問絶へぬ夜長なる 澄子
栗を焼く丹波の匂い転がして よし女

2024年08月29日

どんぶらこ大きな桃が冷蔵庫 よし女
秋めくや大福提げて友逢ひに もとこ
台風の雨でも庭木には恵み 明日香
稲妻の大音響やいきなりに 千鶴
しょんぼりと朝顔柵を掴みをり かえる
台風の白きとっぶう力あり 董雨
ふる里のはらから如何に台風来 せいじ
下校の子台風裡にびしょ濡れて よし女
キャンキャンと遊び遊ばれ秋の蝶 智恵子
目覚めたる漂ふ朝の秋気かな えいいち
放棄田をめがけ白鷺群れなして 明日香
戸を繰れば留守居の虫も鳴きにけり 康子
風知草撫でて整ふ夕ごころ みのる
鷺草のかくも小さく白く舞う えいじ
水やればしばらく回り釣忍 みのる
窓開くる頬撫ず風の草の香 愛正
黒み帯び連なり走る野分雲 千鶴
湯の名残ひなびし宿の霧時雨 愛正
弱ること願い台風待ちにけり 董雨
居座りの台風に延ばす予定かな こすもす
品薄の米に並びし主婦の秋 たか子
初秋刀魚豊漁というに高売値 ぽんこ
文月の奏者ら床を踏み鳴らし むべ
落蝉の透き通る翅飛び立てり みきお
台風やゆるり進みて雨被害 みきえ
海鳴りや暫く避暑の客となる 澄子
小流れは濁流と化す野分朝 智恵子
嵐来と摘み取る仕舞ひトマトかな うつぎ
青い羽夕べに閉じて蛍草 風民
スクラッチ籤ささやかなれど秋愉し こすもす
草の実をつけて帰る子日暮かな みきお
端居してふととらはれし旅心 澄子
金平糖地にこぼすごと百日紅 むべ
宮杜にひとふし流るつくつくし あひる
硝子戸のレールに火蛾の横たはる せいじ
手品めく二が四匹に川蜻蛉 なつき
敬老日白寿の母を寝かせつけ あひる
あの店の秋刀魚と言ふて供えたる たか子
鳥渡るこんなところに天守閣 幸子
月昇る町名違ふ川むかふ 幸子
秋蝉の葉陰に見えぬ一ニ匹 えいじ
秋茄子や嫁に食わすな伝え聞く ふさこ
袖少し長き服選り涼新た かえる
花舗の軒籠の鈴虫響きけり 山椒
秋湿り母の遺せし句帳かな 康子
落とし物さがし片影戻りけり なつき

2024年08月28日

八千草の風の意のまま揺るるまま 澄子
色鳥の群れる大木賑やかに みきお
野分雲しばし空けたる家案ず 康子



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