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誕生日プレゼントには秋の色 こすもす
満月や丘の端にいまに転ぶやう えいじ
秋刀魚焼く煙のしみる奥座敷 智恵子
四阿の閑散として秋半ば 明日香
日焼けの腕吊輪にならぶ下校バス なつき
秋時雨通夜の喪服の黒深む むべ
道曲がるたび楽かはる虫浄土 澄子
頬杖をつくブロンズ像秋を聞く 康子
須磨の月満ちて子規忌となりにけり みのる
奥座敷今宵の客はスイッチョン ほたる
バラックの農家食堂走り蕎麦 うつぎ
山ぎはに雲を侍らせ居待月 風民
泥つきの軍手かけられ案山子の手 康子
秋光を浴びる竹藪風の音 みきお
月今宵幾度も月を確かめて 明日香
大銀杏結ヘぬ力士がチャンピオン せいじ

2024年09月20日

稲わらの処理も済ませし刈田かな 千鶴
朝経を唱える髪に伝う汗 智恵子
語り部は民俗学者いわし雲 幸子
西寄りの風吹く稲の匂ひかな えいじ
名月や彼方に聞こゆ友の声 山椒
満月の見たまま写メに送信し 明日香
掘端のマラソン人や薄紅葉 ぽんこ
曼珠沙華火花のやうに池鏡 康子
満月の巨きすぎてや停滞中 もとこ
いざよひの狭き路地裏明るうす むべ
標札に墨入れをれば秋蝶来 せいじ
爽やかや二度寝の目覚め風流る えいじ
訪ふたびに痩せる里山秋彼岸 みきお
木洩れ日の遊ぶ藪蘭こんもりと せいじ
これ何と口々に問ひ棗の実 うつぎ
合体し大玉となる芋の露 みのる
雲ひとつ無き青空や髪洗う 智恵子
豊秋の源なりし大河かな 澄子
猫の尾の触れてかさかさ小判草 やよい
郷愁の口いつぱいに棗の実 うつぎ
川原石水の石切る秋思かな 愛正
秋惜しむ引退力士怪我に泣き みきえ
秋あわれ池に映りし写経堂 愛正
矢印を曲がれば匂ふ菊花展 みきお
目離せぬ取組み多し大相撲 こすもす
振り絞るか弱し声や秋の蝉 きよえ
猫じやらし空き家となりて間なき家 なつき
葛の花散らし離るる小灰蝶 むべ
枕辺の小さき秋灯車中泊 幸子
白靴の脱ぎ履きやすき介護用 よし女
櫨の木にマニキュアめきし初紅葉 あひる
里の道彼方此方と芒かな きよえ
秋暑し大屋根直す人ひとり みきえ
急ぎ足青き稲妻浴びてより 澄子
案山子らに安息日はなかりけり みのる
稲穂揺れ刈り取りを待つ御田あり ふさこ
丸太橋足裏にひびく滝の音 康子
敬老日もらふふわふわ縫いぐるみ あひる

2024年09月19日

血管の浮く手の甲や秋暑し みきお
ポケットにまさぐる小銭月見餅 幸子
蓮池の静まり返る午後三時 せいじ
秋日和本持ち寄りてまずお菓子 もとこ
ぶるぶると朝露飛ばす子犬かな 康子
秋澄むや屋上カフェの皿白し 康子
薄白く闇夜に浮かぶ百日紅 ほたる
爽やかや百花のなかに義父眠る えいじ
勾玉の出でし円墳草いきれ やよい
十六夜や呼ばれて潜る縄のれん むべ
籾殻に立つる竹筒煙の香 愛正
雑草の稲穂の丈と揃ひをり 明日香
涼新た桧の匂ふ能楽堂 なつき
栗剥けば郷の栗虫出て来たり あひる
御仏は伏し目がちなる暮れ易し 澄子
秋澄むや貴船神社の水みくじ 千鶴
御仏の指先にある秋思かな 澄子
閉づと聞く老舗の洩らす秋灯 みのる
脳ドック術後良好秋の晴 きよえ
ベビーカーはみ出る手足秋涼し みきお
爽涼や貴船の床に瀬のたぎり 千鶴
思わずに歓声あがる秋夕焼 こすもす
山嶺の黒々として秋夕焼 むべ
陰影の深き茶釜や望の月 風民
沐浴に眼を閉づ赤子秋の昼 幸子
みどり児の声のもれ来る月の路地 あひる
茶室へとくぐる格子戸薄紅葉 なつき
湯気立てて南瓜大皿卓に座す 智恵子
二輪車の汗の特訓泣き虫児 ぽんこ
渋滞にはまる階段響く雷 智恵子
籾殻の山を蹴散らす雀かな 愛正
子規忌なるけふの月下をしばしかな たか子
棟上げの柏手二ついわし雲 風民
こんなとこいつ刺されしか蚊の名残 せいじ
秋簾ほつれも褪せも畳まれる 明日香
峠越え見渡す限り紅のそば 董雨
白骨のごとき立枯水澄みぬ みのる
選手名簿に親子三代運動会 こすもす
夕日照るゆったり流る鰯雲 きよえ
後戻り出来ぬ反り橋秋暑し ふさこ
ブロンズのでんぐり返る少年の秋 よし女
爽やかに白皙の義父湯灌受く えいじ
新そばは十一月の始め頃 董雨

2024年09月18日

残照に輝く海や夏の果て 山椒
まいご猫引き取り探すメールあり 董雨
友和の手形に合はす城紅葉 なつき
名月や窓少し開け仰ぎけり えいいち
名月や母とメールのホ句三昧 康子
秋霖や杉を社の神の山 明日香
松手入れと見かう見して空鋏 澄子
ブロンズの踊る少女や秋の風 ぽんこ
買い出しは未だ夕刻残暑かな みきえ
掃除機の充電ぷつり秋暑し やよい
暗き街足場の隙間月仰ぐ もとこ
老ゆ犬の寝息に月光惜しみなく 澄子
かの国の人佇める月今宵 風民
川上の小さきダム湖の秋気かな 幸子
十六夜の雲間縫ふ如見え隠れ こすもす
黄金と呼べし満月にわか画家 ふさこ
叢雲を一気に離れ月上る せいじ
妻がゐてこその至福よ敬老日 みのる
脱穀の後追う雀コンバイン 愛正
青き空飛機雲幾多秋の朝 きよえ
十六夜の月は雲間に見え隠れ 千鶴
涼風や地下宮殿の喫茶店 山椒
中秋の名月囲む暈の虹 智恵子
今宵また白き腹見せ守宮の子 みきえ
朝まだき猫のゆまりや秋の風 えいじ
名月やお薄点てあふ老姉妹 あひる
思案してまた思案して秋の蝶 明日香
星とべば天に在す師の励ましと みのる
猫鳴きのはたと途切れし秋の暮 えいじ
月今宵寝間のカーテン開けしまま むべ
吾子とゐる亡夫の書斎けふの月 むべ
叢雲をうてなに月の出でにけり せいじ
秋澄めり遊具へ走る兄妹 幸子
銀輪の風切る十六夜の月下 あひる
二棹の三味の音揃ふ良夜かな 風民
名月や雲に光芒とどめをり 康子
大ざっばな蓮花の横稲穂咲く 董雨
城残暑疲れきつたる花時計 なつき
秋の瀬戸ビー玉のごと汐光る きよえ
指で書く窪みに露の川原石 愛正
渋滞にはまり窓開け聴く虫や 智恵子

2024年09月17日

リハビリの手を秋天へVサイン みのる
ストリートピアノを弾くは日焼けの子 あひる
秋の潮満ちて河口へ登り行く きよえ
夜空照る杖つき見上ぐ良夜かな きよえ
森深し農婦消へ去る木下闇 むべ
窓の月異常気象にゆがみ見ゆ よし女
朝顔の鉢出す女将格子戸へ 智恵子
雲間より落つこちさうな小望月 せいじ
曼珠沙華熟るる稲田に朱の飾り 千鶴
月今宵形よき松黒々と 風民
鴉鳴く雑木の中の萩の花 ぽんこ
青空に呑み込まれゆく秋の雲 康子
良き花は何処にあらむ揚羽蝶 山椒
青空は天守の高さ松手入 幸子
コンバイン音高らかに稲を刈る みきお
とんぼ舞う雀陣取る物干し場 愛正
繕ひし籬次々小鳥来る 澄子
窓開ける月が綺麗とメール来て やよい
ハワイアンカフェに逃げ込む残暑かな あひる
椋鳥を覆いこぼさぬ大樹かな 愛正
片付けはあつという間や秋祭 えいいち
立ち騒ぐ波の穂に似て芋嵐 みのる
木枯しに吹かれ終わりの無き旅へ 山椒
離れても写メにこめたる月今宵 千鶴
秋晴れや紫御殿色深む えいじ
中庭を琴の音渡る良夜かな 風民
敬老日友と目標言い合へり なつき
古の人も待ちたる望の月 ほたる
とんぼうも逆さに止まる気象かな よし女
ランタナの小花突く子や秋の路地 えいじ
名月に添いて土星の髪飾り 智恵子
宅配の釜飯の分けてけふの月 なつき
花抱いてミュシャの女の秋思かな 幸子
森深く農婦消へ去る木下闇 むべ
満月を撮りつつ急ぐ家路かな こすもす
竹取の語りさながらけふの月 澄子
秋晴や米粒ほどの飛機の影 康子
亡き祖父の野良着きせてる案山子かな みきお
秋の蚊の餌食となりし吟行子 せいじ
ゑのころや何が有りしかこの空き地 もとこ
詠み人や雲から出ずる月仰ぐ ふさこ

2024年09月16日

秋うらら児らの言葉の大人びて せいじ
秋ともし越前和紙の一筆箋 むべ
秋高し金槌響き伸ぶ足場 みきえ
退院の庭の明るき小鳥くる 康子
天守の鯱踊る秋空に ぽんこ
早寝して夜の大蜘蛛と喜劇かな 董雨
稲光激しく変わる雲の色 明日香
畔行けば籾殻燃やす薄煙 こすもす
足音を待って鳴き出す鉦叩 明日香
秋灯のひとつと数ふ沖の舟 澄子
敬老日子の仕事ぶり見せくれし 康子
手拭いを首に流して金魚売り 智恵子
立話切り上げがたく暮れ易し 澄子
土手沿ひに巨大アートの稲田かな みきえ
梁高き入母屋に聞く昼の虫 むべ
引潮の砂浜くるり赤蜻蛉 きよえ
満月の赤き輪映ゆやなほ明る きよえ
竹の春仲間の集う油抜き 愛正
ぶつぶつと育つどぶろく厨かな みきお
十本ほど鶏頭立つや子規の庭 なつき
彩窓やつるべ落しの日をとどめ みのる
偕老のふたりは知らぬ敬老日 えいいち
わたくしの事を言ふのか敬老日 もとこ
バザー用の小物作りや残る虫 こすもす
播州の平らを秋の川流る 幸子
敬老の日の卓に笑む母白寿 せいじ
沐浴に安らふ赤子秋の昼 幸子
蝋燭の揺らげど消えず秋の風 風民
妻と吾ふたりつきりの敬老日 えいいち
一人住む我を労ふ敬老日 やよい
穂の震へ西から北へ風の秋 えいじ
後戻り出来ぬ太鼓橋社の秋 ふさこ
飛機の灯が散歩してをる星月夜 みのる
校庭の予鈴に仰ぐ秋の暮 えいじ
のびのびと子供の遊ぶ刈田かな みきお
糸瓜棚の葉の黄ばみ初む子規忌かな なつき
舟浮かべ月見の雅楽大覚寺 千鶴
竹伐れば数条の陽や裏参道 愛正
花薄朱き瓶子をもて活くる 風民
大沢の水面に望の月揺るる 千鶴

2024年09月15日

八十路翁敬ふTシャツ着て街へ えいじ
古民家に紅白並ぶ百日紅 みきえ
榧焚きて蚊遣火とせむ墓地夕べ むべ
夕映えのグラデーションや稲の秋 えいじ
野良猫のねぐらに万の小判草 やよい
雨上がり青き染み付くうつし花 みきえ
願ひ石軽ろきと願ふ秋社 ふさこ
聴き比ぶ名指揮者の楽秋の夜 うつぎ
待宵に一日足りぬ月の暈 むべ
落鮎や生け簀ひしめきひたすらに もとこ
秋の日や煌めく泡は鯉の息 せいじ
峠より下る小道や花野風 みきお
手作りの小さき砂場いわし雲 風民
七曜に七つの色や桔梗咲く 幸子
走り根を踏まないやうに秋時雨 明日香
長き夜や三本立てなる名画かな 澄子
秋の蚊の我を追ひ掛け家内へ うつぎ
勢いのたたら走りや鳥渡る ぽんこ
朝粥や高きより山粧へる 幸子
掃除機かけ汗目に滲みて息絶えそう 董雨
美濃和紙の灯籠ならぶ茶会かな なつき
秋灯下ジャズ生バンド寺賑ふ きよえ
保有米実家見隠る稲架襖 愛正
早朝の録画番組みる夜長 こすもす
すつぽんがぬつと顔出す秋の池 せいじ
提灯を点し子ら呼ぶ秋祭 えいいち
金色の風流れ行く稲田かな 山椒
満潮に水尾引き連れ水鳥等 きよえ
早逝の夫には来ずや敬老日 こすもす
露葎掻き分け進む犬の鼻 みきお
八合目木の間に見ゆる空澄めり 愛正
松林抜け秋祭りの八幡宮 よし女
赤とんぼ標高千の碑に群るる みのる
天気雨一降り秋の虹立てり なつき
刈取りを今か今かと待つ稲田 明日香
断捨離の逡巡として暮れ易し 澄子
知らぬ間に無月なりしや通り雨 智恵子
ただいまの子の手に揺れるゑのこ草 風民
病室の窓いつぱいに揚花火 康子
あら吾も労られをり敬老日 あひる
光る君へドラマに観入る夜長かな 千鶴
虫のよく鳴いて最高峰至福 みのる
青リンゴ籠に山盛り仏間卓 智恵子

2024年09月14日

滑らかに白鷺消ゆる川面かな 風民
天高し選手名タオル濯ぎもの みきえ
渓流の岩間に揺るる草紅葉 智恵子
影探し忍者のごとし残る夏 智恵子
案山子守る農業体験子らの列 康子
皿に吹く名残り西瓜の種二三 えいじ
稔り田に浮島のごと首の塚 澄子
秋灯下繰る福祉用具便利帳 よし女
湖涼し四囲も水面も緑世界 みのる
苔清水うまし帰りも漱ぐ うつぎ
癒し曲シ―ディ―尽きる床の月 そうけい
夕映えて黄金の舞ひ群蜻蛉 康子
木下闇木下明かりと小径ゆく 澄子
厨窓イナバウアーをするヤモリ 明日香
だんじりの男気あふるやり廻し ふさこ
苦瓜や介護の窓を愉しませ あひる
山の日の釣瓶落しや方位盤 みのる
白露過ぎ裏山に黙もどりけり よし女
竹の春睦まじが良き道祖神 幸子
北八ヶ岳をゆっくり離る夏の雲 風民
窓開くる赤城は近く空澄めり 愛正
秋桜や嵐のあとの碧天へ あひる
秋の雷どしゃ降りを待つ庭木かな 明日香
山奥で飼ふチョウザメや水の秋 みきお
ゆっくりと棚田を巡る落とし水 みきお
秋海を見遣る異国のアモイ像 えいじ
板長に早松茸の産地問ふ むべ
大野原香を散らせゐる草刈機 やよい
鉄橋の電車包まる秋夕焼け もとこ
月の出や潮の香近き家並寂び 幸子
子規庵の花も実もなき糸瓜棚 なつき
宴終へ綿菓子食す秋夜道 みきえ
子規の庭句碑へと蚊遣煙かな なつき
花桔梗格子の明かし辻地蔵 ぽんこ
敷きつめし丸石涼し洲浜かな むべ
敬老会園児揃ふてうたおどり 千鶴
園巡る白とピンクの彼岸花 せいじ
旧酒蔵借用のバザー風は秋 こすもす
残照に艶光りして石榴の実 せいじ
稲穂手向くる庭隅の祠かな 愛正
豊の秋濃き山吹へ色一変 千鶴

2024年09月13日

口下手の兄と吾つなぐ郷の梨 あひる
人間を休みたいとき蚯蚓鳴く 幸子
読み耽る短編小説長き夜 澄子
湖を渡る涼しき風や海賊船 智恵子
吊るされて阿鼻叫喚や唐辛子 えいじ
日に二度の飛行機音や秋の雲 こすもす
耳立てて瀬に頷けり蛍草 風民
カラオケの練習声や秋の風 こすもす
自づから兄は兄なり秋学期 せいじ
落鮎の炭火の香る苦味かな もとこ
葛畳また葛畳七曲り みのる
零余子蔓籬這ふまま古りし家 澄子
稲刈りやパッチワークの棚田かな みきえ
無花果の白き割れ目や菓子焼ける むべ
一病持つ敬老祝にハムセット 董雨
充電のスマホに微熱子規忌なり 幸子
突き抜ける秋空の下落つる吾 えいいち
遠山に沈みゆく月まくれなひ はく子
茅葺の軒をくすぐる芒かな 康子
葉擦れの香川の淀みに揺るる月 智恵子
田の神へ一礼をして秋収め みきお
パソコンのコンセント抜く雷鳴に 明日香
茹でて食ぶスクリュー型の花おくら よし女
舞茸や山奥深きぶな樹林 愛正
秋暑しお顔に日射し寿老神 ぽんこ
ズームして稲穂の露の一雫 やよい
出品の仕上げに籠もる秋となり そうけい
秋よ来い選りし秋歌合唱す 千鶴
母の背の裸電球夜なべかな みきお
陰探す秋の種撒き水多く ふさこ
白露来て元気戻らぬ鉢幾つ 明日香
神木に添ふる万朶の百日紅 康子
叢に二つ三つ消え秋の蝶 風民
園散歩見まもり隊は案山子どち あひる
垂直になだれをなせる葛の谿 みのる
川添ひの通行止めや崩れ簗 愛正
海風にふうせんかずら揺るるかな よし女
弧を引ける舟は岸へと秋の湾 えいじ
石庭の雲母の反射秋気澄む うつぎ
黒葡萄剥きつ聖書の話かな むべ
扇状の棚田に広ぐ豊の秋 みきえ
キャラメルもポッケにグニャリ秋暑し せいじ
ほうほうの体なり猛暑続くとや たか子
秋気澄む石庭に聴く波の音 うつぎ

2024年09月12日

四阿に靴脱ぎ捨てて三尺寝 せいじ
つくつくし欅の梁の黒光り むべ
秋の波潜水夫らの息見ゆる えいじ
地に影を低く落として秋の蝶 風民
鈴虫が寝たやうだから本を閉ず たか子
相槌の消えて昼寝の夫と居る あひる
一番人気てふ札栗飯入り駅弁 こすもす
外出す休ませてやる冷房機 董雨
こはまさに入道雲と言ひつべし せいじ
こんなにも素直になれて敬老日 うつぎ
鍬休め耳傾けし昼の虫 千鶴
鯉背びれ立てて秋水切りにけり みのる
青栗の大きくたわわ海近く よし女
波高き島の埠頭や海猫渡る 澄子
割烹の手桶に秋の水澄めり 幸子
川明かり宿に古たる秋簾 もとこ
ニュース記事目で追うだけの秋暑し 明日香
新記録いつまで続くこの残暑 やよい
残照に白く浮かぶや上り月 えいいち
川沿ひをめぐる露店に秋果選る 康子
渓谷の川瀬に揺るる月の影 愛正
黒雲を縁取り眩し秋夕焼け 智恵子
山路来て幾つも走る稲光 明日香
端正に散り落つ庵の木槿かな 風民
合鴨の役目終えたる稲田かな やよい
風の道絵馬の触れあふ音さやか ぽんこ
澄む川のからくり水車機嫌よし 康子
追悼が追想となる冬銀河 みきお
葛に呑みこまれさうなる一山家 みのる
祝酒妻と二人の敬老日 愛正
歩行者に首を垂れる稲穂かな たかを
呆気なく蝉捕まへし猫の窓 澄子
はらからの集まる前夜秋祭り みきお
もの足りぬ君との夜長虫鳴かず ふさこ
夏雲のままに重なる黒い雲 よし女
玉砂利の音のすがしき花槐 むべ
草茂る浮島を押す微風かな あひる
まつむし草紫揺るる草野かな 智恵子
緑児に未来いつぱい柿日和 幸子
吾を囲む試歩の一歩に赤とんぼ そうけい
秋の湾家路まつすぐ小舟ゆく えいじ

2024年09月11日

給食の一品月見団子かな こすもす
句談義をうしろで聞くは案山子翁 あひる
アメリカの討論聴きし秋暑かな 千鶴
カレンダー繰れば赤富士九月来る せいじ
甘薯畑児らの声無し休耕田 みきえ
引つ越しの子の部屋集ふ敬老日 なつき
包丁を砥ぐ独り身の秋の色 たか子
大稲田朝日に綺羅と露浄土 やよい
水打てば穂先に虹の立ちにけり よし女
霧襖抜けて高野の奥之院 明日香
秋場所や画面注目たまり席 みきえ
白鷺の飛翔を映す池面かな 康子
心地良き朝の目覚めや夢花野 えいいち
海風に噴水揺らぐ真昼なり えいじ
秋風や手櫛でなほす乱れ髪 みのる
夏帽子渡る吊り橋笑ひ声 みきお
裏山や木の間がくれに見ゆる月 愛正
小流れに水引草の揺れやまず むべ
せせらぎへ迫り出すテラス虫浄土 澄子
林道のほそき青空鳥渡る 幸子
思ひ出となれば愛しく花芙蓉 幸子
秋の日や小さき槽に海豚飛ぶ えいじ
又肥えて委細気にせず天高し たかを
母方の祖母想いだす無花果は こすもす
三尺寝いて四阿を遠慮かな あひる
水撒けば双蝶いずこより現るる よし女
秋暑し喬木纏ふ蔦鱗 澄子
縁揃ふ百畳の堂秋気澄む もとこ
鎌を砥ぎ明日は獲り入れ豊の秋 みきお
鹿威し跳ねてつくばい揺るる月 智恵子
沢音に向かふ石段風は秋 康子
子守宮の掃除機に入る子の部屋 董雨
敬老日孫の手書きの案内状 愛正
道なりは黄金色なる稲田かな 千鶴
幸村像抜け穴よりの秋の声 ぽんこ
秋うらら水占に恋問ふ子かな なつき
秋風や更地となりし火事場跡 みのる
反橋をくぐる小鷺や御所涼し むべ
尾根超えて開け群れなす吾亦紅 智恵子
半月の弦のあたりがやや朧 明日香
丘に立つ汝が顔染めし夕焼雲 せいじ
小守宮を掃除機の吸う子とも部屋 董雨

2024年09月10日

山峡に湧き出づる霧嶺覆ふ 明日香
夕風のはやばや立てる白露かな 風民
幟立つ落花生売る千葉街道 智恵子
秋風を掴まんと葛蔓伸ばす みのる
銀輪や秋雲の下走り来る えいいち
倒せしは野分か猪か道しるべ みのる
洋梨や母は若き日語り初む えいじ
句談義は茶房の一輪草の花 康子
秋の雷邪鬼を払うか高野山 明日香
亡き猫とそつと聴いてる虫の声 たかを
ふたりしてカフェの気分や青林檎 せいじ
柏手の響く拝殿秋澄めり やよい
秋日影水かげろふの櫓門 むべ
家蜘蛛のもはや家族となりし居間 あひる
薄甘のなごり西瓜を惜しみつつ えいじ
一山の高くわく雲秋暑し えいいち
青空に輝く白き雲の峰 みきえ
大和路線薄流るるうしろ窓 もとこ
畦道のバテ気味案山子笠も無し ふさこ
無花果の農家の庭に直売す むべ
投薬の待合室に蘭の花 幸子
鰯網干す浜まぶし夕映えて 千鶴
強風になぎ倒されし竹の春 ぽんこ
売り物件右肩下がりの秋簾 愛正
寄せ書きのカード嬉しや敬老日 せいじ
不揃ひに蓮鉢囲む秋簾 康子
西窓や色くすみたる秋簾 愛正
秋の山野点の水の甘露かな 風民
急変の秋空干し物入れなくちゃあ こすもす
弁当の地産地消や豊の秋 なつき
花薄黄昏時に黄金なす 智恵子
柴栗たわわ里山公園誰も居ず よし女
秋の昼工場行き交ふユニフォーム 幸子
星ひとつ従え雨後の月冴ゆる たか子
ベランダへと急ぐは秋空の急変 こすもす
後戻り出来ぬでで虫我と似る みきお
秋の旅温泉みやげ顔パック みきえ
磯馴松入道雲と並びをり よし女
家蜘蛛の今宵出窓を警ら中 あひる
リフォームの前の断捨離身に入めり なつき
白波の寄せる砂浜秋の海 みきお

2024年09月09日

万葉園ひしめく草は虫浄土 康子
夕焼けや海向かひ吹くハーモニカ 山椒
締切真近やポストへの道風は秋 こすもす
秋澄むやひだりは愛宕みぎ比叡 せいじ
水底に届く日差しや鮎の影 みきお
稲株のあちこち向く穂垂れてをり 明日香
寺門開き秋風抜ける大伽藍 もとこ
守宮の子けふも玄関訪ひくれし みきえ
ぎこちなき杖の散歩に秋の暮 えいいち
ユニフォームの肩の褪せたる日焼けの子 康子
摺り足で拝す秘仏や秋の冷え なつき
唐門は極彩色や小鳥来る むべ
卵焼長蛇の並ぶ炎天下 山椒
とくさ持ち一か所外す遊びとか 明日香
とれとれの鰯やからと隣家より 千鶴
羽洗ふまだ手放せぬ扇風機 みきえ
百年の洋館の黙秋日沁む 幸子



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