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古書店の奥の奥まで秋日射 みきお
行く秋や自己中心の終活す 董雨
追慕てふ小径に散れり百日紅 なつき
大漁旗掲げ小湊秋刀魚くる 智恵子
秋霖や一人静かにお茶を汲む みきお
倒れ癖つきし紫苑をひと括り みのる
涼新た一期一会の掛字かな むべ
盗人萩すき間ななめに通り抜け なつき
小流れの楽を間遠に添水の音 康子
土竜道砦となりし曼珠沙華 愛正
秋の雨静かな夜明け能登祈る きよえ
ベンチへとなだるる萩の屑掬ふ 康子
シャガールの蒼き夢世に月一つ もとこ
さやけしや鳥語聴き分く神の杜 やよい
新涼や腹の虫さえ鳴き初めし えいじ
川に落つどんぐり土に触れぬまま 風民
葛の花杖置きいたる登山口 千鶴
消えし窓灯りし窓や虫の声 うつぎ
秋の蝶現れるかな水を打つ 明日香
碧眼の佇む大門天高し ぽんこ
印相を結ぶ細蕊曼珠沙華 山椒
Vの字に一羽遅れの渡り鳥 幸子
雨脚を縫ひ来る風や秋涼し せいじ
カールして白と競ふや彼岸花 ふさこ
ひややかに葉隠の滝見え初むる えいいち
秋の音伊香保石段下駄の音 愛正
参道の左右に綴る曼珠沙華 澄子
石鎚の峰より発し川澄めり 千鶴
丘陵に見送る風雲赤とんぼ 智恵子

2024年10月02日

書机の写経小窓の夕月夜 愛正
夕映えて仰ぐ棚田の稲架襖 せいじ
タオル地を羽毛の夜具に秋迎へ たか子
秋蒔きや風吹くままに種遊び ふさこ
真夏日の続く十月レース編む 千鶴
簡単なレシピ調べて茸飯 こすもす
妻の声補聴器耳へ老の秋 たかを
奈落へと墜つる大滝紅葉山 山椒
秋晴れや鳶の縋りし木の相輪 えいじ
薄もみぢ左見右見していろは坂 智恵子
風とおる軒端に榾の積み上がり あひる
水草に遊んで親子鴨の池 きよえ
秋簾巻き上ぐ日ざし柔らかし ほたる
水墨の山々滲む秋の色 えいいち
朝礼の校長先生赤い羽根 みのる
風通ふたびに掃かるる萩の屑 むべ
瀬に落ちて水に翻弄散り紅葉 明日香
曼珠沙華足元照らす切り通し 智恵子
牛の目に映る山々牧開き みきお
氏神へ日の斑の揺らぐ山紅葉 なつき
咲き終えし月下美人や頭垂れ あひる
呼び寄せて抱き上げる子にゐのこづち 幸子
街路樹の釣瓶落としの影法師 澄子
秘湯宿囲む大岩山粧ふ 山椒
満目のキバナコスモス秋気澄む せいじ
横抱きに運ぶ案山子の軽さかな なつき
久方の雨に開ける曼珠沙華 董雨
草の花一期一会の茶会かな 康子
水澄むや水輪の主は何ならむ やよい
黄金に続くまほらや稲の波 明日香
秋まつり仕舞ふ相輪横に伏す えいじ
野地蔵の肩にそぼ降る秋の雨 みきお
曼珠沙華翳す能面鬼気迫る 澄子
合唱のごと呼びかくる赤い羽根 みのる
廃墓地の供養の明かり曼珠沙華 愛正
萩咲くや古し社の埋めるかに もとこ
里池の水草紅葉薄化粧 きよえ
笑む顔も泣き顔もある案山子かな むべ
新涼や竹の葉擦れを聴く茶会 康子
納骨堂二対の灯り曼珠沙華 ぽんこ
秋風を捕らへて揺るる鎖樋 たか子

2024年10月01日

刺繍針キラリと光る秋灯下 むべ
どんぐりの遊び置かれし石の上 風民
濃き色の百日紅好きと言うて逝き たか子
ゐのこづち幼はきのふ省みず 幸子
村中にたった一枚稲架組む田 千鶴
焼き鮎をほぐす見事な箸捌き みきお
雨垂れの裂け目を落つる破芭蕉 むべ
娘の捨てし服リフォームす秋灯下 あひる
十月一日大秋晴れと記しけり うつぎ
持ちくれしあまごをすぐに塩焼きに せいじ
神苑の籬にからまる乱れ萩 ぽんこ
東雲にかんばせ染める案山子かな みのる
多国語の客に梨剥く朝市女 なつき
スクランブル吹き抜け行くや秋の風 ほたる
風の秋下之一色市場跡 えいじ
スーパーに並ぶ柿ほぼ奈良県産 こすもす
宙返りせる一つ目は鳥威 みのる
乱れ萩長きアーチに風渡る 康子
秋日和老婆連弾たどたどし もとこ
秋天に槌音たかく宮普請 澄子
お帰りと陽だまりの庭小鳥来る 智恵子
地を叩く音やどんぐり落ちにけり 風民
白寿迎え仕出し弁当秋刀魚美味 董雨
秋の池逃げる養ます塩焼きに ふさこ
懸橋や渓を飛び交う赤蜻蛉 愛正
コンテスト案山子の顔の皆笑顔 明日香
羊歯の丘天蓋なせる曼珠沙華 康子
バー超える背面飛びや雲の嶺 みきお
松手入れ皇居のそらを透かせをり 澄子
爽涼や茶軸に長生安楽と せいじ
五十回忌終え都会に帰る秋の服 董雨
バンダナを外せし首に秋の風 あひる
秋の夜の星降る闇のファンタジー 智恵子
弄りてぎんなん拾ふ草のなか えいじ
笹舟を競う溜池秋の風 愛正
鳥渡る我が人生に山いくつ 幸子
秋果盛る香の満つ卓の三時時 きよえ
朝露のひいて出番のコンバイン 千鶴
秋の蝉聞こゆる晴れの日差しかな きよえ
たもとほる回廊抜ける風は秋 明日香

2024年09月30日

曼珠沙華同じく伸びるノコノコと 董雨
ゆるやかに大輪の鳶秋夕焼け ほたる
雁行を見しと興奮気味の妻 せいじ
里山に案山子三体ビニール製 たか子
欄干に落書き恋歌川の秋 えいじ
ずつと居るてふ境内の秋の蝶 康子
母の味食べ比べするおはぎかな こすもす
ミサンガを創りし記憶式部の実 たか子
紅芙蓉日暮色濃く萎みけり 董雨
唐揚げのお皿に泳ぐあまごどち せいじ
遅れ翔ぶ一羽の雁の首伸ばし あひる
葉の垂れて黄の鈴なりや銀杏の実 えいじ
朝露や硯の海の川原石 愛正
手続きのすらすら済みて涼新た もとこ
教会のクルス高きや鳥渡る 幸子
一村を覆ふがごとく雁渡る あひる
物の音の澄みて四阿侘しかり 明日香
際立ちてそつと隠れど彼岸花 ふさこ
石灯籠笠を撫ぜたる萩の花 ぽんこ
花手水炎のごとき彼岸花 なつき
起伏野を花桟敷とす島の秋 みのる
戯れてペアで揺蕩ふ秋の蝶 康子
秋聞くや犬は垂れ耳翻し むべ
身に沁むる妻の一言まかせとけ えいいち
雁の棹茜の空に乱れ無し 智恵子
物干しの敷布の絵柄赤とんぼ 愛正
回廊をなせる丈余の萩小径 みのる
風船葛上がらぬものは地に遊ぶ うつぎ
蟷螂の団十郎の見得をきり 明日香
運動会眉間に皺寄せ走る父 智恵子
天高し点火を待てる鳥居形 風民
真夜ふけて突如障子に稲光 千鶴
街路樹の風に運ばれ秋の色 きよえ
飛行機雲に串刺しされて秋の雲 やよい
近道に待ち伏せてをりゐのこづち 幸子
稔田に捨て田隣りて風通ふ むべ
水みくじ浸くるたらいの水澄めり なつき
燈火親し母の句あまきかたりくち ほたる
里かすむ山霧のなか峠越 えいいち

2024年09月29日

長汀の松の影縫ふ良夜かな みのる
自転車のまっすぐ並ぶ秋野かな ほたる
桜紅葉黄色となりて散る異変 ぽんこ
ひつぢ田の伸びくる細き茎の青 千鶴
外出をためらふ今朝の秋ぐもり きよえ
散髪の艶めく風の爽かなり ほたる
牛の尻叩いて集め牧を閉ず みきお
虫の音に長湯となりぬ一句欲し うつぎ
秋深し机上漂ふ墨の香 愛正
雁来る大群の棹かさねつつ あひる
秋天へ尖りしビルの曲線美 康子
提灯の軒端をつらね秋まつり えいじ
秋冷に濯物干す手風にしむ きよえ
ウェスタン流す丸太の滝見茶屋 なつき
足早に秋の足音過ぐるなり ふさこ
稲架掛けは一段おきや千枚田 せいじ
露草のハート顔出す雨上がり 康子
曇天を無尽に飛びて帰燕かな 明日香
収穫を終えし畑舞ふ鳥威し 風民
秋澄めり巡回巡査の通る声 みきえ
虎翼憲法思ひ九月尽 もとこ
秋桜の揺れる花壇や幼稚園 山椒
虫一つ名乗り上げたる夕べかな 風民
オクラ咲く山の畑の一畝に せいじ
近道のおもはぬ昏さ曼珠沙華 澄子
立ち上がる波の秀に似て丈余萩 みのる
象の鼻滑る遊具や木の実降る なつき
食堂に老若来る秋ともし むべ
幾何模様めく鷺の足跡稲稔る やよい
一陣の風に乱るる蟻の列 みきお
解けるまでクイズ果て無し夜長かな みきえ
空模様に一喜一憂運動会 こすもす
崩れてはまた棹となり雁来る あひる
大空へ相輪高し昼の月 えいじ
半眼の仏も眠る虫浄土 幸子
朱の色を神にもらひて彼岸花 明日香
幟立て枝豆並ぶ直売所 山椒
爽やかやネット句会にをる縁 幸子
宅急便泥の匂いに新生姜 智恵子
シャンソンの余韻に見あぐ空高し たか子
足元に犬丸くなり燈火親し むべ
大休止杖奪いたる鬼ヤンマ 愛正
秋の夜の心地良きかなヨーヨーマ 智恵子
百幹のさざめきやまぬ竹の春 澄子

2024年09月28日

里山のひとむら真すぐ竹の春 たか子
色っぽく秋のをどりの裾さばき ふさこ
徒長枝を飾るが如し赤とんぼ 愛正
人生は釣瓶落としのごときもの 明日香
一本の杭しざるやに水の秋 みのる
凸凹の背に揺る子供神輿かな 康子
軍手はめ稲刈り体験子の笑顔 みきお
皮剥ぎが残る二匹の潮溜り 智恵子
ワンオペの若き店主の新蕎麦打つ もとこ
種こぼれ朝顔咲かす通勤路 むべ
無心にてほおづきの種出している 明日香
初デイや旧知の友と紅葉折る きよえ
蒲抱へ産直に出す若夫婦 みきえ
夕暮れにハロウィンカボチャ明々と あひる
朝まだき囁いてゐる秋の風 えいじ
蒲に透け隠れ沼より赤蜻蛉 むべ
下り鮎簗に躍る銀あまた 智恵子
竹の春石垣高き旧家かな 澄子
色葉散る鐘堂階段のぼりけり 愛正
稲稔る樹下の三角田んぼにも せいじ
セールのやう落穂に群るる鴉かな 千鶴
秋鯖の照り味わえる夕餉かな 風民
舞えるとも吹かれをるとも秋の蝶 風民
茶を点てて萩の床几に寛ぎぬ みのる
秋の蚊に刺される儘に庭仕事 うつぎ
さにつらふ色は引き潮秋夕焼 えいじ
杖ついて三本足の遍路かな みきお
街路樹の跡形もなしゑのこ草 せいじ
路地親し団欒に和す虫の声 康子
浜を飛ぶ一際濃ゆき赤とんぼ よし女
新涼のたまご解く音やとなり組 あひる
水遣りやバッタそおつと摘まみ上げ ぽんこ
烏瓜朱色散らせる杣の道 澄子
秋一ㇳ日デイサービスにはまりけり きよえ
うそ寒やドクターヘリの低飛行 幸子
吾の膝に来る家の猫秋彼岸 こすもす
広重忌巻きて雨傘ほそるなり 幸子

2024年09月27日

色鳥や二羽づつ群れるバス待つ間 きよえ
遊歩道紅白ふわり酔芙蓉 みきえ
青空に高く吊るされ木通の実 澄子
万博のてっぺん上り秋高し ふさこ
二三枚旅にと後の衣更 なつき
藪あけびふれぬ聖女の気品かな ほたる
コロナ明けのやうに闊歩す秋気かな たか子
誇らしく抱え来る子や種茄子 ほたる
彼岸花造形の神宿りけり 明日香
秋澄むやエンタシスめく海の果て せいじ
秋闌ける苦節の勝利総裁選 千鶴
縁の下よりふはふはと蚊遣香 あひる
待宵や鯉の動きか水の音 愛正
借景の天守の高さ松手入れ 幸子
葉脈に張り付く菜虫蝶ならじ 愛正
箒目のままに掃かれて萩の屑 澄子
裏庭の母呼ぶような秋の風 もとこ
刈り田今朝食中の鳥群れて やよい
ポキと鳴る第一関節草を引く うつぎ
今朝の空海原のごと鰯雲 きよえ
古町のヘアピンカーブ秋の暮 せいじ
虫喰ひの秋草活けし野草園 康子
投句終えやつと一息夜長かな 明日香
涼風の水面を渡る浜離宮 山椒
秋蒔きの種に青芽のポツポツと 千鶴
四囲の山色分けするは竹の春 あひる
せめぎ合ふ紅白の萩ひと括り うつぎ
早々と仲見世しまふ秋の暮 なつき
夕づきて蒲の穂昏き隠れ沼 むべ
水切りに伏せ置く茶碗涼新た 幸子
天心に月を揚げたる大架橋 みのる
十五夜の話題賑やか今日の句会 こすもす
いくそたび来し須磨なれや月今宵 みのる
彼岸花数珠なす雨の雫かな 康子
飛び入りの見よう見真似の盆踊り みきお
複数の飛び交ふ宙の赤蜻蛉 ぽんこ
秋まつり櫓に高く日章旗 えいじ
池埋む布袋葵の薄むらさき むべ
大小の竿を並べて鯊を釣る みきお
妻と吾の歩く遅速や秋夕焼 えいじ

2024年09月26日

秋晴れや川面舞いたる鳥二三 えいじ
畝深く青首大根すじ蒔きす 千鶴
畳屋といふ秋風に近きもの 幸子
苦瓜の大きくなつて取れ出して 明日香
鉢植えの彼岸花ですゆつくりと 明日香
秋めくや装い変はる風もまた きよえ
グランドゴルフのコースに侵入いぼむしり こすもす
越南語話す弟子をり松手入れ もとこ
一に多作二にも多作や獺祭忌 みのる
秋晴れのグランドゴルフこうのとり こすもす
練習は一番だよと運動会 なつき
ジャズ好きの夫滔滔と夜半の秋 きよえ
父の名を墓石に加へ秋彼岸 むべ
糸瓜水探しひと駅隣りまで みきえ
鰯雲畳新調御用命 幸子
先づお裾分けして栗の飯を炊く せいじ
九十の手づから作る大葡萄 風民
音高く花野を囃し列車過ぐ あひる
左見右見すれば調べの変はる虫 康子
ちちははの遺影に揃ふ萩日和 むべ
吾亦紅ここよと紅をさす夕日 康子
身ほとりの闇やわらかし虫浄土 澄子
里雀登りて沈む籾の殻 愛正
おどろくや手に銀杏の重きこと えいじ
明け六つの肌に吸い込む秋の風 ぽんこ
白桃に掌触れ産毛さす ふさこ
栗配る向かふ三軒には足らず せいじ
赤蜻蛉吊り橋渡り平家村 愛正
遠嶺の空暮れ残る素秋かな 澄子
心経の和尚に侍り秋彼岸 うつぎ
尼寺に猫の餌皿秋の雨 なつき
秋うらら丘の上まで白き街 あひる
行き合いひの空爽やかや朝散歩 やよい
蒼き空ドラッグのごと鳥渡る ほたる
境内に闇盛り上がる虫時雨 みきお
畳み跡くっきり残る昼寝の子 みきお
五重塔空へと伸びる彼岸花 山椒
天高し江の島くるり鳶の舞ひ 智恵子
校庭に提灯明かり盆踊り 智恵子
蜘蛛囲いま露の玉楼とぞ言はむ みのる

2024年09月25日

秋霖を母どち来る夕の園 むべ
うしろより秋風立ちぬ朝の丘 えいじ
秋深む日毎弱まる虫の声 愛正
水蠆蜻蛉生涯語る古老かな たかを
かき氷どの子の口も真っ赤なり みきお
朗読に吾を忘れゆく秋灯下 あひる
秋服に手を通す気になつた朝 明日香
短髪に撫で行く風の爽やかや きよえ
頬ぺたに種ひつつけて西瓜食ぶ みのる
ひと息に呑む水旨し秋の朝 えいじ
秋雨を集めしバスの前照灯 むべ
海凪ぎてもぐらたたきに鯔の飛ぶ みのる
爽やかや朝の始めのアメリカン 幸子
参磴は一直線や苔青し せいじ
下校の子弾ける声や天高し きよえ
畑へと土手緩やかに草の花 風民
残像に上書きをする大花火 みきお
庭木刈る漢二人の茶の時間 あひる
受け手無きティッシュ配りて秋暑し もとこ
広芝へなだるる萩の花アーチ 康子
夕月夜ホームに人影上下線 愛正
観音に呼び掛けている虫の声 ぽんこ
爽涼のありがたさしみじみ感ず 明日香
日の暮れて白萩に風つのりけり 澄子
秋すだれ古刹の縁に将棋盤 智恵子
虫の声皆が無音に露天の湯 たかを
新涼の墓に供へし煙草かな ほたる
透け透けのゴーヤカーテン秋日濃し なつき
秋澄むや鳥語飛び交ふツピツピと やよい
やや寒の女てふ字に地平線 幸子
清閑の一と日を得たり萩を観る うつぎ
細身でも脂乗りたる初秋刀魚 千鶴
大合唱われらの星と虫すだく 智恵子
秋静かちょんまげ結ひて唯一無二 ふさこ
月の舟幾度も観えぬ窓のぞく ほたる
秋夕やけ紅蓮の雲の凄まじき たか子
人影に落ちゆく蟹のはやさかな 澄子
秋夕焼小島のやうに雲浮かべ 康子
涼新た運筆飛ぶが如きなり せいじ
おもちゃ持て修理依頼の敬老日 なつき

2024年09月24日

里山に祖父と孫らの栗拾い あひる
涼あらた犬の目玉の澄みにけり えいじ
月の須磨武者のごとくに松の影 みのる
野の花を胸のぽっけに秋の空 ふさこ
目覚めれば七十八才今朝の秋 こすもす
涼あらた大の字に寝る仏間かな えいじ
唐黍に残る吾子の歯型かな 愛正
秋風に譜面押さへし楽士かな むべ
かじか鳴く鄙びた宿の湯治の湯 智恵子
身じろがぬ白鷺をみる我もまた やよい
菊枕棺の隅にそっと入れ みきお
耳忙し草むらごとの虫の声 康子
芭蕉の句節つけ吟ず秋気澄む 千鶴
秋彼岸花屋に花のなかりけり ほたる
階段を転ぶ空き缶秋の風 ほたる
デイサービス見送る玄関秋の風 みきお
切株の増えて秋日のベンチかな なつき
小径の足音ひそまる虫の声 愛正
運筆も上機嫌なり涼新た せいじ
複線に電車行き交う秋の川 もとこ
蹲に水満ち満ちて雨後の月 みのる
祝福と激励メール秋桜 こすもす
秋空へ竜のごと伸ぶ城の松 なつき
鼓門ゆったり潜る鬼やんま 智恵子
やや寒の肩に効きたる貼り薬 うつぎ
墓参り親戚来れば宴会に 明日香
実むらさき日弾きながら溢れけり 澄子
宅配の人も笑顔や涼新た せいじ
文机に映る梢や涼新た むべ
秋澄めり水音にちちははの声 風民
稲穂垂れ膝に付くほど頭垂れ 明日香
結界に秋花扇面名残の茶 澄子
開け放つ御堂の障子葡萄の香 山椒
蔓ほどの小枝頼りて零余子垂る 風民
一水の岩にとどまる初紅葉 康子
栗剥きを終え一服を褒美とす あひる
ラケットのゲージの固しいわし雲 ぽんこ

2024年09月23日

秋灯のまたひとつ消へ町中華 澄子
葬送を終えし空より十六夜 えいじ
参道の踏まれ潰れし銀杏の実 こすもす
漆黒の川面波打つ秋灯火 澄子
墓開眼白幕外す所作涼し 康子
薄雲に半欠けしまま有明月 ぽんこ
唐黍の焼く香につられ駐車場 愛正
爽やかや寝起きの肌も寝間の気も せいじ
薄月をしまひ忘れて秋の空 たか子
秋涼し出し忘れたるスムージー せいじ
濡れそぼつ刈田に残る株あまた 千鶴
やや寒し玻璃窓閉ぢる夜更けかな みきえ
稲の香や穂波かすかに揺れてをり えいじ
須磨の月敦盛塚を抱擁す みのる
手作りの花をたずさえ墓参り 明日香
一つずつ試すさつまいものレシピ こすもす
眼裏にいよよ紅増す曼珠沙華 あひる
露の玉東雲あかり閉じ込めて みのる
割烹の灯籠透かす秋すだれ 康子
秋茄子や煮ても焼いても漬物も ふさこ
不揃ひや農夫が打ちし走り蕎麦 うつぎ
天の指千切りて散らす秋の雲 むべ
虫の声錆ぶ錨おく忠義の碑 なつき
仕舞い湯に独り占めたる虫の声 智恵子
子と交わす新酒なみなみコップ酒 もとこ
槌の音連れて訪ふ秋の風 風民
もろみ酒家系を語る宿の主 愛正
旅の空サイドミラーの赤蜻蛉 智恵子
地震禍に加へ洪水能登惨事 千鶴
嘴のつひに開かず石榴の実 風民
秋夕焼しきりに思ふ父母のこと 明日香
薄暗き杜に広がる曼珠沙華 あひる
ほほづきの実ご自由にと納経所 なつき
掘りたての土の匂ひや芋洗ふ むべ
振りむけば雨にうすらぐ秋の虹 ほたる
よく揺れる見玉風船鳥威し やよい

2024年09月22日

稲株にしとど雨沁む田一枚 千鶴
秋分や午後より雨の上がりけり せいじ
朝経と共にお供へ今年米 千鶴
コスモスや休耕田も華やぎて ふさこ
炎熱や頬杖付きしの像の背な 山椒
この路地を奔り抜けたる秋驟雨 澄子
須磨は美し良夜の海のまつ平 みのる
田の神へ御神酒を供え秋祭り みきお
待つ人のなき故郷や彼岸花 智恵子
秋日差す子ら蹴り遊ぶ松ぼくり 愛正
縁台に映える柿渋秋日和 山椒
鈴鳴らす猫や紅萩揺るる寺 なつき
獣道闇に怪しき鳥兜 智恵子
老妻の杖ともなりて月仰ぐ みのる
あつまりてはなれあやうし芋の露 ほたる
秋夕焼大河を映し暮れゆけり 康子
ざんざ降り止んでその後に秋来たる たか子
遊ぶ子の消えし路地にも秋の空 もとこ
落水の給水バルブ艶消しぬ えいじ
秋の蚊を払へば夫へ付きまとひ なつき
芋虫を垣根の外へ逃しやり 明日香
山峡に白波立ちて蕎麦の花 うつぎ
葛落花踏んで左折す雨の路地 あひる
遠望の海真っ青や萩揺れる こすもす
秋薔薇が咲いて昼餉のナポリタン 幸子
はや茂る刈りしばかりの川堤 やよい
夕飯の肴盛りけり夕月夜 愛正
蕎麦の花村に一箇寺十四五戸 うつぎ
秋驟雨ちよいと油断の濡れ鼠 せいじ
廃屋を色なき風の染み渡る えいじ
煙突に炎の上がる茅渟の秋 ぽんこ
小鳥来るきれいに畳む包装紙 幸子
暗闇に四角の灯り窓の月 康子
秋涼し外まわりみる箒持ち 明日香
青空へ明日香棚田の彼岸花 あひる
次々に若きヒーロー秋桜 こすもす
五十回忌秋灯を消し安堵かな 董雨
風通ふ蔵の掛子や虫の秋 むべ
薔薇色に染むる雲あり秋の暮 むべ
庭隅に一夜伸び立つ曼珠沙華 澄子
寝返りをするたび匂ふ菊枕 みきお
墓参り両の手に水夫気張る みきえ
泉水の底澄める雲の影 ぽんこ
居待月雲より出でて又雲に はく子

2024年09月21日

終電の窓から塾の秋灯し もとこ
近寄れば微かな揺れや蕎麦畑 うつぎ
パラボラは高嶺の秋を聞くならむ みのる
大雨警報継続中や秋彼岸 こすもす
ドライブのいよよ激しき虫時雨 風民
石畳ぬらす雨粒萩の寺 なつき
我が身さえなんとも出来ぬ残暑なり ふさこ
忙しいは老母の口ぐせ昼寝せる あひる
名にしおふ名園の池秋気澄む 澄子
台風のUターンとや大雨来 せいじ
スマホ手にホーム佇む猛暑かな ほたる
向こふ岸風に攫わる秋の声 みきお
今朝の秋ゆるる水面に太鼓橋 ふさこ
朝まだき欠伸に潤むけふの月 えいじ
徒長枝に飛び交ふ雀秋の暮 愛正
論争す夏負けの吾の活気づき あひる
爽籟に庭木の長枝揺らぎそむ 愛正
花立てに溢れる供花や秋彼岸 みきえ
今年米送りやっとの安堵かな 千鶴
店先の果実艶やか豊の秋 智恵子
ねじれたる岬の松や雁渡し むべ



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