音もなく牡丹崩れし夕べかな | 澄子 |
竹の葉の落ちてかくれし若芽かな | えいじ |
ぽきぽきとはちく手折りて一菜に | 明日香 |
夏草に手負いの小鳥見え隠れ | たかを |
クリスタルビル一面に若葉映ゆ | 康子 |
今年だけ我の背丈に育ちをり | ふさこ |
子の打撃励ますパパの夏野かな | せいじ |
大虹のかかる車窓や芦屋川 | 千鶴 |
青嵐ゆさゆさ里の木立かな | きよえ |
二重窓の間に小さき守宮かな | こすもす |
2024年05月15日 | |
雨しげし大輪の薔薇うつむかせ | あひる |
誰もゐぬ森の遊具や若葉風 | 風民 |
土俵際肩に勲章土と汗 | せつ子 |
濡れ縁に煙一筋蚊遣香 | せいじ |
薫風に乗りグランドの声届く | 康子 |
噴水の廻りに人の集まれり | 澄子 |
松ヶ枝の狭間煌めく春の海 | 山椒 |
蟷螂生れ一列となり動き初む | うつぎ |
帰り来し夫に藪蚊のまとはれり | なつき |
花茨金糸のごときおしべ揺れ | むべ |
待合室暑しスマホの将棋かな | こすもす |
薔薇アーチ風もくぐりて匂ひたる | むべ |
迷ひつつビルの谷間を白日傘 | あひる |
夏場所のころびころがる行司かな | せつ子 |
歯科医院の待合室や皆マスク | こすもす |
神官の裾ひるがえる山開き | みきお |
五月晴れ森の遊具の一人占め | ふさこ |
葛城のロープウェイ見ゆ滴りに | 明日香 |
絹莢の触れるつるさき赤子の如 | そうけい |
松の芯つまむ庭師の指太し | かえる |
湿原に夏鶯の響きあふ | えいじ |
甥っ子のパソコン享受五月晴 | そうけい |
緑陰や日の斑を纏ふ戦没碑 | 康子 |
若葉みなぬれているやう陽を弾き | 明日香 |
雨の夜森閑とせる燕の巣 | 山椒 |
葉桜の囲む四阿一休み | 満天 |
何の花観に行く相談五月なる | たか子 |
朝風や薄陽求むるちりあやめ | 愛正 |
泉湧く水の揺らぎの留まらず | かえる |
夕日照る色付き始む額の花 | きよえ |
芍薬のこぼる隣にさつき咲く | 千鶴 |
大屋根の鴟尾跳ねにけり夏の空 | もとこ |
曇天や垣根の薔薇の今盛 | きよえ |
夏霞透けて蛇行の利根渓流 | 愛正 |
蒼天へまっすぐ伸びる今年竹 | 満天 |
辞儀深き議員と並び甘茶かけ | なつき |
草刈られ香ただよわす小公園 | ぽんこ |
手植えしか出来ぬ棚田や友来たる | みきお |
ブラウスをつまみ涼風入れにけり | 澄子 |
湿原に四方八方囀れり | えいじ |
相似形なるパパと子の夏衣 | せいじ |
2024年05月14日 | |
竿に干す産着の白や五月晴 | 康子 |
幅広の葉の上すべる緑雨かな | むべ |
天空のスカイラインや夏来る | えいじ |
椎若葉四囲の山々盛り上ぐる | はく子 |
空染める烏賊火に友の見入りをり | こすもす |
赤橋や万緑の中弧を描き | もとこ |
街道を車の風か谷卯木 | 隆松 |
蔦若葉白き建物包みけり | 満天 |
白日傘つづいて開く地下出口 | あひる |
夏の天磨きたてをるブラシの木 | かえる |
田水張る高き信濃の空映し | 風民 |
飛鳥川瀬音の楽や蟻の列 | 明日香 |
朝日浴ぶ葉の瑞々し柿若葉 | きよえ |
婦人方あちこち日永立ち話 | きよえ |
蔓が蔓からめ取りたり草葎 | あひる |
雨しずく八重やや開く四葩かな | むべ |
鉢植へのアロエに寄り来青き蝶 | みきえ |
尾根歩き足元渡るあいの風 | 愛正 |
オーロラも斯くやと烏賊火友と見る | こすもす |
木洩れ日が散る花のやう夏木立 | せいじ |
マネキンの明るき色や聖五月 | 満天 |
取り寄せし美しき和菓子や新茶汲む | 澄子 |
夏雲の湧くタワーマン仰ぎ見る | ぽんこ |
五月闇誰とも会わぬ一日なる | たか子 |
剪定鋏年々重し躑躅刈る | うつぎ |
水晶の雨粒とどむ蓮浮葉 | 康子 |
夕端居背伸びする猫大欠伸 | みきお |
蚊いぶしに吾もいぶられて庭いぢり | せいじ |
日や雨を平らに受けて山法師 | 澄子 |
里山の動き出しさう青嵐 | せつ子 |
古駅舎軒に今年も燕の巣 | 山椒 |
無住寺に大き切株夏蝶来 | なつき |
寝室にエアコン設置若葉風 | 千鶴 |
里山をつつむ五彩の緑かな | せつ子 |
犬養の万葉節や館涼し | 明日香 |
日曜の学童の庭枇杷青む | えいじ |
花まつりお下がりの菓子母と分く | なつき |
ランランと眼だけ鋭き羽抜鳥 | みきお |
筆走る八十路の夢五月展 | ふさこ |
片蔭を選りて日課の八千歩 | 千鶴 |
春風に乗って風船空万華 | 山椒 |
くつきりと屋根のかたちに蔦繁る | かえる |
夜来の雨塀に張り付く柚子の花 | 愛正 |
2024年05月13日 | |
松落葉旧道子らの遊び道 | 愛正 |
満開の薔薇にひねもす雨しとど | 澄子 |
母の日や花鉢届く佳日かな | みきえ |
椎若葉四囲の山々盛り上ぐる | はく子 |
リハビリの試歩の一歩や柿若葉 | みきお |
五月雨やモノ云ふ人形抱きあげて | ぽんこ |
さみだれや烟る二上の皇子の墓 | 明日香 |
そば店の招き猫めく蜘蛛の網 | えいじ |
母の日の五百円玉握る子や | 山椒 |
走り過ぐ笑顔うつくし夏帽子 | えいじ |
老鶯や水車の激つ音と和し | 康子 |
老幹の根方びっしり苔の花 | 澄子 |
琵琶の音は迫りくる騎馬にじむ汗 | あひる |
母の日や漢字も使ふ手紙来て | もとこ |
黃菖蒲の島宇宙なす園生かな | せいじ |
鯉のぼり武蔵野の空欲しいまま | 山椒 |
胡瓜づけ噛む音やまぬ朝の卓 | 康子 |
野茨の川辺に白く咲き満ちて | むべ |
漢字聞けば納得の名やシラン咲く | こすもす |
手びねりの好みの湯呑新茶酌む | 満天 |
藤棚の下に集合清掃日 | たか子 |
五月闇倭坐りの彌陀三尊 | うつぎ |
店頭のカーネーション選る男学生 | かえる |
白象の背の乗り心地甘茶仏 | なつき |
幼な子に寄り来て離れざる蝶よ | せいじ |
山道の背押すひと吹き風薫る | 愛正 |
米ぬかを添へし筍掘り立てぞ | 千鶴 |
蓮浮葉ネットの上の鳥の群 | きよえ |
犇めきて口こそ命燕の子 | みきお |
ドクダミは他の葉にまぎれ楚々と咲く | 明日香 |
石垣のみどり色濃き三葉芹 | 風民 |
白象の背で空指す甘茶仏 | なつき |
高窓の幅いつぱいに夏朝日 | かえる |
雨上がる待ってましたと夏の虫 | きよえ |
琵琶の音に和して大揺れ窓若葉 | あひる |
白絲を軒より垂らし夏の雨 | むべ |
2024年05月12日 | |
見て見ぬふりデデムシ歩く竿一本 | こすもす |
若葉雨数多の蕾ほぐしけり | 満天 |
花殻を集めし袋薔薇香る | むべ |
庭仕事夕に花閉ずちりあやめ | 愛正 |
清流の岩場に咲ける落椿 | ぽんこ |
白象曳き滑車鳴らして路地薄暑 | なつき |
美しく薔薇咲くチャペル母偲ぶ | きよえ |
蝦蟇笑ふ探すボールは池の中 | 智恵子 |
飛行機を一本釣りかハチクの子 | あられ |
草笛の音をなすときなさぬとき | 千鶴 |
雨当てる鉢の紫陽花すくと立ち | みきえ |
ドローンめく二羽の鴉や代田掻 | せいじ |
葉桜やベンチに残る杖一本 | みきお |
洗濯のシーツ膨らむ皐月晴れ | かえる |
春陰や御目光れる不動尊 | うつぎ |
若竹や伸びて飛機釣る雨上がり | あられ |
屋根上の鳥も見てゐる草むしり | えいじ |
幼子は反抗期てふ夏兆す | 澄子 |
おほひなる皇居の杜や青葉騒 | 澄子 |
せせらぎと薫風演ず沢登り | 愛正 |
目に溢る重なる花弁薔薇の花 | えいいち |
母の日やをさなに遺る母のふみ | あひる |
開け放つ古民家通ふ若葉風 | 康子 |
ねっとりと絡みつく風五月闇 | みきお |
雨上がり紫陽花の色ほんのりと | 満天 |
原つぱのフェンスに掛かる捕虫網 | せいじ |
薄紅と深紅の出会ふ薔薇アーチ | むべ |
登り来るでんでん虫や物干台 | こすもす |
孫誕生一報に汲む新茶かな | 康子 |
晩春や港に汽笛響きけり | 山椒 |
琵琶撥の連打にゆるる夏衣 | あひる |
親つばめ交互に運ぶ口移し | 千鶴 |
付き添はれ母の日スマホ買ひ替へる | なつき |
豌豆を茹でて萌黄に湯気のなか | えいじ |
誘われり薔薇庭よりの微風かな | えいいち |
母の日のラインは照れて短けれ | たか子 |
春の海蹴立てて走る水上バス | 山椒 |
夏の朝散歩帰りの水甘し | かえる |
若葉風朝の散歩や杖の音 | 智恵子 |
白鷺に鴉群なす子を守る | きよえ |
芍薬の丈短くし仏花かな | 明日香 |
大原の小径に舐むる紫蘇アイス | うつぎ |
朝粥に添へて伽羅蕗艶やかに | もとこ |
朝と夜に空豆ご飯豆ご飯 | 明日香 |
2024年05月11日 | |
瀞にきて一息つける早瀬かな | みのる |
鬼ごつこ重石はコーラ夏帽子 | かえる |
階段の踏わざ味わふ松落葉 | そうけい |
花樗空か花かと目のまどふ | たか子 |
土割って新玉ねぎの薄みどり | 風民 |
一声を畑の中から鴉の子 | きよえ |
耳澄ます次のひと音や蝦蟇 | あひる |
篁の葉擦れ荒まし南吹く | むべ |
棘立ちて深紅ゴスペル薔薇ひらく | えいいち |
ネモフィラの丘風に浮くカーペット | 山椒 |
白象のお練り静かな花まつり | なつき |
茶畑に茅葺きの屋根鯉のぼり | 山椒 |
子燕のおしくらまんじゅう口あまた | 満天 |
青松葉門前茶屋の独り占め | 愛正 |
糸とんぼ風に乗りつつ吹かれつつ | 風民 |
如来さま指の形や風薫る | 明日香 |
初夏の風抜けて爽快奥座敷 | 智恵子 |
バイク音轟く湘南夏となり | 智恵子 |
響きあふ幾千万の白詰草 | えいじ |
起立礼着席の声若葉風 | みきお |
塀超えて路地散り積もる松落葉 | 愛正 |
寺町に川面の光る立夏かな | むべ |
多羅葉に感謝と記し春惜しむ | うつぎ |
偕老の母の日嬬へ贈る花 | えいいち |
青嵐干し物ダンス頬打たる | きよえ |
空海展漢語の手紙館涼し | 明日香 |
琵琶の撥たかく涼しく打たれけり | あひる |
風薫る飛んで弧を描く雀かな | たかを |
薫風やドイツ国旗の揺れるカフェ | もとこ |
風あそび右往左往のしゃぼん玉 | 康子 |
チョコと名の付きしあじさい異国産 | みきえ |
初鰹オニオンスライスたつぷりと | うつぎ |
冷やし中華トマトの赤をのせにけり | えいじ |
青鷺や視線浴びつつ立つ中洲 | ふさこ |
山々の重なる果てや雲の峰 | みきお |
鴨涼し川の速きに流るまま | かえる |
ゴム毬を虜としたる夏木かな | せいじ |
椅子を手に四方をめぐらす菖蒲畑 | そうけい |
祭髪結ひて白象曳く子かな | なつき |
並び立つ札は屋根付き菖蒲池 | せいじ |
朝一番嫁より届く夏帽子 | みきえ |
こんもりと岩肌に添ふ竜の髭 | ぽんこ |
そっと供ふ妣好物のよもぎ餅 | 千鶴 |
青空の青もらひたるしゃぼん玉 | 康子 |
2024年05月10日 | |
故郷の盆地もこもこ芽吹山 | こすもす |
「貴方しかいない」と薔薇の花言葉 | たか子 |
蟻の列途切れぬままに曲がり角 | かえる |
脚癒えて薄暑の中を大股で | 明日香 |
車検終へ新車気分や風薫る | こすもす |
雨あがりこんな処に名草の芽 | 澄子 |
苗運び子供の役目田舟かな | みきお |
青鷺の推して梢を飛び立ちぬ | えいじ |
カフェ涼しおかわり自由のミント水 | 康子 |
初夏の海辺見下ろし出で湯四半と時 | 千鶴 |
朝市や立ち泳ぎする鯉のぼり | なつき |
晴れ渡る武蔵野の空鯉のぼり | 山椒 |
アカシアの花は眼下に橋渡る | 風民 |
渓谷の人寄せ付けぬ落椿 | うつぎ |
母の日は花より団子弾む声 | 智恵子 |
下町の湯屋に漏れくる菖蒲の香 | 智恵子 |
東雲や田んぼ見巡り堰浚え | 愛正 |
新樹光介護タクシー出発す | むべ |
そら豆のお歯黒無しをいただきぬ | 明日香 |
柵の外こんなところに今年竹 | 康子 |
おくるみのごと葉に守られるクマガイソウ | ぽんこ |
風立ちて緑響くやぶな林 | えいじ |
鯉のぼり重なりあふや風吹かず | ふさこ |
熊谷草獣よけ柵を確と閉ず | あひる |
鍔広の帽子取り出す薄暑かな | 澄子 |
くず零す幹隆々と山の藤 | あひる |
下校子の白服まぶし賑やかに | 満天 |
芍薬の大輪三つ四つと増へ | 千鶴 |
静まれる森の遊具や若葉風 | 風民 |
四ツ目垣楚々と小庭の利休梅 | 愛正 |
懸り藤屑をこぼせる山路かな | みのる |
日盛りや柱時計の鈍き音 | みきお |
青鷺や街を流るる川の黙 | むべ |
五月晴白線引きて飛機の飛ぶ | きよえ |
富士塚や社の潜む木下闇 | かえる |
風とほる新樹仰いでバスを待つ | きよえ |
御手洗と箒を繫ぐ蜘蛛の糸 | せいじ |
星屑の風と語らふネモフィラの丘 | 山椒 |
青葉雨正宮前に傘たたむ | なつき |
倒立のごと瀬石噛む糸とんぼ | みのる |
藤の蔓宇宙遊泳さながらに | せいじ |
手術経てどの子も優し若葉風 | もとこ |
庭の木々放つ無人家風光る | そうけい |
2024年05月09日 | |
稲美野へ上る坂道麦の秋 | みきえ |
田水張る揺らぐ水面の高圧線 | 愛正 |
玻璃越しの若葉に元気貰ひけり | こすもす |
葉柳の登下校子等見守るや | きよえ |
浜向かうちびっこギャングサングラス | 山椒 |
葱坊主つむりを撫でてさよならす | うつぎ |
見上げれば青天井の若葉谷 | たか子 |
躑躅燃へロックガーデン華やげり | むべ |
白シャツに万華鏡めく木々の影 | 康子 |
雨後の宵玻璃の門灯朧めく | かえる |
よき風の通ふテラスや新樹光 | 澄子 |
軒下に大輪あまたクレマチス | せいじ |
病葉の風に煽られ舞ひ散るや | きよえ |
五月来る似顔絵届くバースデー | みきえ |
この森に出会ひあらたな鹿の子かな | 澄子 |
溢れそうひとつばたごの花ふるへ | えいじ |
完歩して夏鶯に迎えらる | 風民 |
緑陰に高校生待つバス四台 | こすもす |
夏の蝶絶へて翅裏の紋露わ | かえる |
番いして鳧の騒げる丘の上 | えいじ |
駅前に老鶯鳴ける一両車 | ぽんこ |
川幅にさざ波上へむぎ嵐 | 明日香 |
樹下涼し日の斑の影の揺れやまず | みのる |
銀竜草侍らせ鉱石の御神体 | うつぎ |
リフォームは衿をレースに変えただけ | 明日香 |
陽を浴びて若葉煌めく一樹かな | たかを |
海鼠壁続く街並夏の月 | みきお |
さざ波に光溶け入る春の海 | 山椒 |
親つばめ頭上忙しきアーケード | 康子 |
老鶯に喝入れられし昼の畑 | 千鶴 |
渓底に岩魚焼く香と笑ひ声 | あひる |
大西日瀬戸の島々呑み込みぬ | みきお |
五月晴庭木の蔭のゆるやかに | 満天 |
熊谷草息づく森の薄あかり | あひる |
松の芯高き梢のその先に | 風民 |
五月雨にゆるりと動くクレーン塔 | 満天 |
無人となり十年余りの松の芯 | そうけい |
そろそろと体動かし旅五月 | もとこ |
ほつほつと二人静の咲く山路 | 智恵子 |
スケッチの昼餉池の端若緑 | そうけい |
枯草の残る山路や春竜胆 | 智恵子 |
突風に蟻のよたつく石畳 | せいじ |
夕風に玉解く芭蕉羽ばたきぬ | むべ |
日矢さして夏菊白き尼の墓 | なつき |
鎮守抜け駅へと急ぐ新社員 | なつき |
南海道乾杯あとの初鰹 | 愛正 |
2024年05月08日 | |
急流の深みうずまく夏の瀞 | ぽんこ |
苔清水受けて祠の閼伽の水 | うつぎ |
目を見張る姪のママぶり若葉風 | こすもす |
まくなぎを払ひつつ詣る父母の墓 | みきお |
耕運機隣の畑も耕して | 明日香 |
花大根投げ捨てられていと悲し | 智恵子 |
五月雨の屋根打つ音に目覚めけり | 澄子 |
新緑の風こちょこちょと嬰笑ふ | もとこ |
老鶯に筆止め見合ふ老グループ | そうけい |
白薔薇のかたまり咲くや裏鬼門 | せいじ |
穴ぼこの縁ほろほろと蟻の塚 | かえる |
姿見に左見右見しつ衣更え | たか子 |
春筍にけつまづきたる山路かな | えいじ |
気持ちこめ旬の玉ねぎ贈りけり | 千鶴 |
青葉風故人語りつバスを待つ | むべ |
花蜜柑いつもの道の香りかな | きよえ |
一山を統べるごとくや椎若葉 | 明日香 |
農道に山積みなるや花大根 | 智恵子 |
黎明に甘菜の叢の灯るごと | かえる |
潜る蛇尻尾の先まで見届けぬ | うつぎ |
天空のダムの溢れて喜雨来たる | みきお |
撤去せるホテル跡地や松の芯 | 澄子 |
窓越しに光る水面の代田かな | 愛正 |
ハネムーンの飛機の先端風光る | せつ子 |
風薫る芝横断し出勤す | 康子 |
田水引く額縁黒き水鏡 | 愛正 |
病葉や無人屋敷の庭の客 | きよえ |
一万歩めざす嫗や風薫る | せつ子 |
ゆっくりと水輪広がる清和かな | 風民 |
子と摘めり庭の茶の葉の柔らかし | なつき |
さざなみに楔打つごと蛇の水脈 | せいじ |
鯉見へづ矢車ばかり回るけふ | みきえ |
突堤の太公望や春長閑 | 山椒 |
砲弾めく筍背負つてゆくなぞえ | えいじ |
柏餅思ひ出話つぎつぎと | 満天 |
スケッチの紙に這う蟻池の風 | そうけい |
白滝を透かし見せたる雑木林 | あひる |
噴水や都会の喧騒呑み込みぬ | 康子 |
五月雨のじっくり指せる将棋かな | こすもす |
若葉雨公園の木々目に優し | 満天 |
青羊歯や台場くぬぎの洞に生ふ | あひる |
ネモフィラや丘に散りばむ銀の星 | 山椒 |
告別のオルガン響く聖五月 | むべ |
2024年05月07日 | |
若楓木洩れ日を浴び深呼吸 | ふさこ |
雨あがる老鶯の声谷を割く | 千鶴 |
大の字を隠して山の滴りぬ | もとこ |
早朝の駅舎を統ぶるつばくらめ | あひる |
つんつんと槙の古木に若葉萌ゆ | せいじ |
囀りが囀りを呼ぶ大樹かな | 康子 |
森統ぶるやに老鶯の叫びけり | むべ |
農日記ひもとくページ田植時期 | みきお |
波板の修理翁や薫風裡 | みきえ |
砂煙り上げて立ち去る大夕立 | みきお |
若葉風鳥の次々水琴窟 | きよえ |
一人居に都忘れの一花咲き | うつぎ |
清流を跨ぐ倒木苔の花 | ぽんこ |
仰ぎ見る空き家にたわわ夏みかん | かえる |
冷凍保存の方法数多やタケノコ | こすもす |
春の海遠く浮き立つ富士の嶺 | 山椒 |
ブラウスの中通り抜く若葉風 | かえる |
日の匂ふ代田に風の生まれけり | 澄子 |
天候と相談しつつ豆を蒔く | 明日香 |
鯉幟空駆け昇り龍となれ | 山椒 |
館林天空群るる鯉のぼり | 愛正 |
捨てきれず着るあてもなし更衣 | 満天 |
黄菖蒲のぐるり縁どる池畔かな | むべ |
朝寝の戸繰れば目が合ふ登校子 | せいじ |
天草や採る人煮る人食す我 | こすもす |
新緑の香に誘はれし里の森 | きよえ |
川風を呑みて連なる鯉のぼり | 愛正 |
花楓畳としたるよべの雨 | 澄子 |
子供の日果てミニカーの忘れ物 | 康子 |
刈られゆく白詰草の熱れかな | えいじ |
砲弾めく筍さばき釜茹でに | えいじ |
国見より大和国中麦の秋 | 明日香 |
円墳を縁取るように苜蓿 | 風民 |
終点は若葉の谷や一両車 | あひる |
2024年05月06日 | |
子が隠す宝探しや子どもの日 | なつき |
郷愁を誘ふ麦笛白い雲 | みきお |
山躑躅一枝盗人許されよ | 澄子 |
昏き山明るき山や緑さし | 明日香 |
杉木立樹間貫く春日かな | かえる |
鉄塔の足元浮かせ大夕焼 | 康子 |
石ひとつ動かし水を盗みけり | みきお |
夏来たる顔のいよいよ少年に | 満天 |
ラッピングされて売れゆく菖蒲の葉 | あひる |
よちよちと石橋渡る夏帽子 | せつ子 |
顔寄せて牡丹の白を翳らしぬ | うつぎ |
あやめ咲く貸し農園に濃紫 | みきえ |
たかんなや逆転の明日期待して | 明日香 |
子供らはいっきに半袖夏来たる | こすもす |
老二人躑躅咲き満つ道楽し | きよえ |
日矢射して仰ぐ若葉のかく眩し | 澄子 |
競べ馬待ちくたびれて土を蹴り | もとこ |
霜降りの白詰草や大広場 | えいじ |
褐色の道の並木や花は葉に | えいじ |
吹き流し人影見えぬ過疎の村 | 愛正 |
夏雲の影に隠れて犬散歩 | 智恵子 |
たわわなり小さき実梅目で数へ | ふさこ |
岩山の滴る緑深深と | きよえ |
訪ふ前に襟を正さん君子蘭 | せいじ |
ぽたぽたと時刻むごと苔清水 | あひる |
朝凪に散歩の母と島の名当て | 智恵子 |
芽楓の紅を点せる大樹かな | むべ |
樟若葉みどりの雲の湧くごとし | むべ |
皮剥きつ慌て目を閉づ夏みかん | みきえ |
円周を描く二頭の揚羽蝶 | ぽんこ |
鯉幟風駆け抜けて跳ねる空 | 山椒 |
連理なす楠の若葉に歴史あり | せつ子 |
沖合に漲る光夏近し | 山椒 |
芝桜遠山並へひろごりて | かえる |
水の音明るく響く谷若葉 | 風民 |
踏青や母の幼時の話聞き | 康子 |
雲近き村と人言ふ山若葉 | 風民 |
末つ子のうそ泣き許す子どもの日 | なつき |
甘夏の樹上に残る数かぞふ | 千鶴 |
三世代庫裏の屋根の鯉のぼり | 愛正 |
霊妙や箱根空木の色変化 | せいじ |
2024年05月05日 | |
イベントを席巻するや鯉のぼり | 明日香 |
帳票を目に優しうす窓若葉 | せいじ |
笹藪のなぞへを南吹き上げり | むべ |
ゴールデンウイーク健康体操四人だけ | こすもす |
春愁や品川宿の船泊まり | 山椒 |
菖蒲湯や元気を願ふ老二人 | きよえ |
初つばめ駅舎は改装始まるよ | たか子 |
老二人湯船に浮かぶ菖蒲かな | みきえ |
学び舎の四階からの鯉のぼり | 満天 |
砂煙り上げて争ふ蜥蜴かな | みきお |
ペチュニアの未来予想し苗を選る | あひる |
余念無きボランティアどち薔薇の苑 | せつ子 |
トランプはやめだと泣くやこどもの日 | えいじ |
雲雀野の広さ高さを鳴きやまず | むべ |
日本晴れ富士を映せる代田かな | 澄子 |
この村の命育む山清水 | かえる |
狛犬の息合ふ背ナに夏落葉 | ぽんこ |
春愁の倉敷事跡大原邸 | 愛正 |
ピアニスト逝けり山藤咲き満ちて | あひる |
ぱたぱたと風に逞し紙のぼり | 康子 |
開店を待ちて手に入る粽かな | みきえ |
空を掃く枝垂桂や風光る | 康子 |
蔓の先はるか大樹に藤の花 | 風民 |
慎ましくミニ鯉のぼりベランダに | みきお |
芸予諸島つなぐ大橋春霞 | 愛正 |
初夏の晴漂ふ雲の白き羽根 | きよえ |
石段を登る神輿や熱煙 | 山椒 |
小糠雨ひとつばたごの花の傘 | えいじ |
子どもの日今年もやつぱり日本晴 | せいじ |
子どもの日博多ラーメン長蛇列 | もとこ |
玉ねぎの匂ひ消えぬ手収穫日 | 千鶴 |
花疲れして寝る犬に吾も添ひ寝 | かえる |
山道に空より藤の落花かな | 風民 |
一坪の滝なす低き藤の棚 | 澄子 |
琵琶湖へのせせらき聞くや水芭蕉 | 隆松 |
レシピ通りのきな粉ケーキや夏来たる | こすもす |
尾根ごとに五彩の緑滴らす | 明日香 |
諸手あげ幼の潜るバラアーチ | せつ子 |
2024年05月04日 | |
緑陰に水音響く御殿山 | 山椒 |
涙の句詠むなとの枷四月尽 | たか子 |
頬白の聞きなし浮かび起きる朝 | 康子 |
一直線スタートラインに半ズボン | みきえ |
居眠りの手には動かぬ団扇かな | みきお |
鈴の音の聞ゆるがごと花馬酔木 | 千鶴 |
吾子炊きし筍めしを初賞味 | あひる |
ゴールデンウィークなれどいつもの日課かな | こすもす |
階段を共に上へと揚羽蝶 | 風民 |
木道の組木にのぞく山すみれ | むべ |
山滴る子と登山靴揃えたり | ふさこ |
橋裏の水陽炎の長閑なり | かえる |
春風の吐息や終日畑に出て | 千鶴 |
池うらら餌を諦めて去る鯉も | せいじ |
懐かしき刻を知らせて羽抜け鷄 | 智恵子 |
囀りに心地良きかな初夏の風 | 智恵子 |
鶯や父の書斎の小窓開け | むべ |
浜大根に湖を渡りし風は白 | 隆松 |
公園のゲートボールや音涼し | えいじ |
子が駆けて長き藤房揺れやまず | なつき |
春惜しむ灯点りし山の小屋 | 澄子 |
新緑や部活掛け声城址跡 | もとこ |
鳥遊ぶ葉擦れの音や若葉風 | きよえ |
ゴールデンウイーク見知らぬ人に会釈され | こすもす |
風光る三連吊り橋一渡り | 愛正 |