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躓いて貝の散らばる潮干潟 えいじ
青嵐大雨配下列島過 きよえ
ほたる来い蛍袋はがらんどう あひる
額あぢさゐ同じ色した花器に挿し かえる
大水車ごとごと回る植田かな 千鶴
夏霧に霞む四万十沈下橋 千鶴
夏嵐窓打つ雨に怯えたり 智恵子
一輪の蛍袋や風の崖 あひる
新緑描く色決めかねし五秒間 たか子
白紫陽花活けて友待つ雨の午後 なつき
苔の花ミニチュアの塔林立す むべ
青嵐帰省の妹の帽奪ふ きよえ
橘の花のあはひに青き海 澄子
ベールごと花嫁ハグす春日蔭 よし女
バラ園の隅に手入れ具隠れをり 康子
帆船のぷかり埠頭に春の風 山椒
蘇る蕾に雨や花蜜柑 董雨
クラシックより軽音や五月闇 せいじ
金継ぎの夫婦の湯呑み新茶の香 かかし
雨蛙手の甲に乗せペタリ感 明日香
用足してくるりと回す白日傘 えいじ
夏山の雨煙りして走り梅雨 董雨
青蘆の千切れむばかり小夜嵐 むべ
紫陽花のほんのり頬を染めてをり 山椒
両隣手を貸す治療やカーネーション そうけい
生のためばさりと切る鉢カーネーション そうけい
ピザなりと食べて籠らん五月闇 せいじ
夏の夜や雨音はげし裏の川 満天
夏茱萸や海を見下ろし一人住む よし女

2024年05月27日

うとうととつり革と揺る日焼けの子 なつき
久闊を叙す境内の緑陰に よし女
洋館の連なる丘の薔薇万華 山椒
緑さすベンチに翁ぽつねんと せいじ
雹過ぎて大き雨音樋に穴 みきえ
ろうそくに揺らぐ陰影青芭蕉 風民
水揚がり確かめ四葩仏壇へ 明日香
金色に熟れて夕日の小判草 あひる
人まばらなる公園の芝青し せいじ
クローバー花冠を子と編みぬ むべ
石垣の動くかと見ゆかたつむり 智恵子
蚊遣火の烟掻き消す靄の庭 かえる
鴨帰る白砂の浜に潮目跡 よし女
白頭巾端に紅さす山法師 むべ
アトリエに画家の愛した手鞠花 かえる
枯山水砂紋に迷ふ蟻の列 康子
橘の散りても香る白さかな 澄子
出でてすぐ隠れ早しや油虫 満天
新聞をたたみて読めり冷房車 なつき
十薬の花は星型夕まぐれ ぽんこ
用足しの妻を待つ間の絵日傘かな えいじ
炊飯器利用で作る夏料理 こすもす
城趾の石垣攻むる夏の草 愛正
ついりかよ出口で叫ぶ大男 そうけい
梅雨きのこ突いたり蹴ったり無惨なる たか子
乾杯の主役の掲ぐソーダー水 あひる
夏の雨元気いっぱい里の家 きよえ
草茂る行く道細くなりたがる えいじ
ビル街の日陰者らし梅雨茸 もとこ
山の精集め滴る崖伝ひ みきお
町内会ゴミの日子等も汗ぬぐひ そうけい
葉の裏に十ミリ満たぬ蝸牛 明日香
冷奴出番の増へし夕餉かな みきえ
遺失ししスマホ見つくや迎へ梅雨 千鶴
花嫁のティアラの如し額の花 山椒
三姉妹今年も集ふ神戸夏 きよえ
五月雨に疼く体や一万歩 たかを
縁結び寺にかしまし浴衣の娘 康子
子でんでん石垣登る雨の夕 智恵子
峠茶屋清水に浮かぶところてん 愛正
舟底を晒す釣り舟夏河原 みきお

2024年05月26日

濯ぎ物畳むや夏の匂ひ立ち みきえ
薔薇園のバードバスいまバラ風呂に 康子
咲き分けて墓碑に添ひたるさつきかな むべ
ほとばしる水音響く夏の山 風民
しゃぼん玉顔より大きい三歳児 満天
捲る葉の裏に息づく天道虫 かえる
ヒマラヤスギ若葉は銀の針めきぬ むべ
出石焼に生けられホタル袋かな こすもす
我勝ちに背をのばして麦青む かえる
木下闇より下校子の二人連れ せいじ
自転車の少女へ茅花流しかな 風民
抜歯して麦茶ゆつくり飲み干せり なつき
カルピスを並べて夏の厨かな あひる
用足しの妻の預けし絵の日傘 えいじ
新築の家の庭には山法師 明日香
山法師吉野の宿を語り草 よし女
異国人手水を真似る夏の宮 たか子
緑陰に腰掛ゆるる木洩れ日に 満天
挿木する今年こそはと見守れり ぽんこ
右巻きも左巻きもあり捩れ花 みきお
丘の上洋館の庭あふる薔薇 山椒
スツポンポン泳ぎし川よ半世紀 たかを
歪なるアルミコップや清水かな みきお
風吹いて夜半の簾の喘ぎかな えいじ
五月晴白き歯こぼる運動会 千鶴
朝戸開く肺に入り込む薫る風 愛正
夏場所を制し滂沱の若力士 山椒
夏兆す疏水辿れば朱の鳥居 もとこ
食べなせと皿鉢料理の初鰹 千鶴
友訪ねる一本道や麦の秋 こすもす
夏の月陰影深き野面積み 愛正
池囲む葦に混じりて花菖蒲 せいじ
干し物へ風運びたる薔薇の香 康子
山笑ふ自販機に買ふ赤玉子 よし女
如露の水貰ひし鉢に念入りに みきえ
蚊をはらい土産話のつづきかな あひる
夏めくや提灯明かり軒先に 董雨

2024年05月25日

狭庭の色次々と梅雨近し 董雨
急に丈伸ばし暑さをうける草 明日香
中庭に数増えやさし花甘茶 董雨
若葉風森のポストにリス遊ぶ 智恵子
ゆつたりと夏の白雲留まれり たかを
初の挿し木早起き癖を取得せり そうけい
緑陰や手作りベンチに憩ふ人 みきお
松蝉や見えつも遠き山の峰 愛正
枯山水一筋なびく蜘蛛の糸 康子
撫牛の光るばかりの夏の宮 たか子
よちよちと川辺のデート残る鴨 あひる
潺にそひし参道青葉風 澄子
お代はりの麦茶セルフのあんまき屋 なつき
存問の蝶つぎつぎと来る園生 せいじ
親と子か追ひつ追はれつ夏つばめ せいじ
チャリの子やすうっと抜かる若葉風 きよえ
紫陽花や青きぼんぼり灯す如 山椒
天も地も賑やかなりし百千鳥 みきお
三尺寝先に取られしソファーかな あひる
陣展ぐ二葉葵や木下闇 澄子
川風にカラカラ鳴りて小判草 むべ
若竹の小径の風も浅みどり むべ
木漏れ日のキャンバスとなる蓮の池 康子
大鳥居抜けて明るきカフェ薄暑 もとこ
更衣見慣れし服の溢れけり みきえ
無人駅待つ間に浴びる新樹光 智恵子
茎折れの苗にあてがふ添木かな かえる
松明の如く真紅の薔薇燃ゆる 山椒
歩むのみ新たな紐の登山靴 愛正
曇天に白光ませり山法師 えいじ
大小の石仏並ぶ木下闇 かえる
真青空映す緑の鏡池 えいじ
泥付きの赤玉葱を吊る軒端 みきえ
身巾の路地垣の十薬白白と そうけい
汽笛あげSLのゆく麦秋野 隆松
干し物のからりと乾く南風 明日香
新緑の光る小径や考古館 きよえ
わんさかと玉ねぎ積むや農民車 千鶴
丹精の手作りガーデン薔薇アーチ こすもす
夕暮れの白際立ちて山法師 満天

2024年05月24日

田植終ふ棚田に小さきコンバイン 風民
反りかへる社の屋根に竹落葉 かえる
しゃぼん玉風と押しくらして膨れ 康子
回廊を巡る中庭つつじ燃ゆ なつき
ティーシャツの自転車娘風を切り 山椒
松葉菊ピンクバージョン黃バージョン せいじ
ゴルフ日和たっぷりつける日焼け止め こすもす
じゃんけんでアイスの好み親子かな きよえ
忘れ物日に二つとや梅雨きざす たか子
茶室閉づ三番花の杜若 なつき
子燕のごと幼な犇く乳母車 みきえ
生垣の間に間に昼顔お顔出し かえる
農繁の畑かまびすしモーター音 千鶴
ラジオノイズ雷雲迫る尾根歩き 愛正
この暑さ対応出来ぬ歳になり 明日香
白シャツの凛々し十五の誕生日 あひる
薔薇園や遠き異国に来た如し 山椒
仔犬抱き上る坂道木下闇 みきお
新茶入れ二人の時間たっぷりと 満天
暮れのこる十薬白き足元灯 むべ
何を着る暑し暑しとうろうろす 明日香
遠足や上級生が手を引きて 康子
用済ませコーヒー一人初夏の午後 きよえ
めん棒に預ける体走り蕎麦 みきお
外つ国の巨人の谷間駅薄暑 もとこ
千枚田夏日一つに向かひをり 風民
自転車のドミノ倒しや青嵐 えいじ
蜜蜂の花に各駅停車して せいじ
風薫る少女は髪をなびかせて 満天
マンションの庭の小社金枝梅 ぽんこ
老鶯のクレシェンドする山路かな えいじ
咲きのぼる葵まゝごと見守りぬ むべ
朝戸あく頬を撫ぜゆく風青し 愛正
一羽とは思へぬさわぎ揚雲雀 あひる
方丈に座して青葉を眩しめり 澄子

2024年05月23日

毛虫とる蝶に化けるの見きわめて 明日香
牛若像はねる大路や風光る あひる
汗飛ばし二回回せりフラフープ なつき
をさな抱くスーツの母や立葵 むべ
菜園を飛び交ふ白き蝶の群れ みきえ
煌々たる今宵五月のフラワームーン 千鶴
小流れを覆ふどくだみ帯なして 康子
風入れて虫達入れて薔薇盛り たか子
残照を映す白さや山法師 むべ
梅雨入り前収穫急ぐ百姓どち 千鶴
鋸の音に目覚むる午睡かな みきえ
片言で俳句語らふ登山小屋 風民
新緑やダム湖を渡る橋幾つ うつぎ
受け持ちし家事終へたれば三尺寝 せいじ
母の間の朝戸あくれば風薫る せいじ
三兄弟ともに健やか柏餅 みきお
ほのと色見せたるつぼみ四葩かな 康子
松蝉や古道の残る松林 愛正
卯の花を標に歩む伊勢路かな 風民
青葉陰踏む参道の石畳 かえる
目をつむる鳩の重さや夏の草 えいじ
ふらここの靴裏高く雲近し ぽんこ
蒼天に凱旋叫ぶ番鳧 えいじ
縦横に網戸の風の通りけり こすもす
残る鴨木陰へとよる池畔かな あひる
風光る波止場に泊まる異国船 山椒
夜濯ぎや一つ一つを手アイロン なつき
夏夕日白波立てて作業船 きよえ
喉仏上下に動き心太 みきお
すれ違ふひとみな優し山滴る かえる
あかんぼの首皺湿る薄暑かな もとこ
夕日差す花咲く畑に蝶あまた きよえ
諸花の絶えぬ公園五月晴 満天
遠雷や畦往来の農耕機 愛正
右顧左眄右往左往し蟻進む 山椒

2024年05月22日

ゴミあさる鴉の親子夏の朝 みきお
防災の公園はいま薔薇の園 康子
城山に夏鶯の声間近 せいじ
夏陽射し飛び立ち鳩のすまし尻 たかを
早起きの日課となりし草むしり なつき
河骨の傾ぐにはまだ水浅し たか子
クローバーの球野を白く埋むかな きよえ
老鶯の艶やかな声薮の中 みきお
舞い舞いて白き扇や夏の蝶 たかを
歌舞伎座の灯り滲みて街おぼろ むべ
スポーツ公園潮の香微か青葉風 こすもす
天仰ぐ床の草の香苜蓿 そうけい
すれ違ふ二の腕眩し街薄暑 満天
夕涼し足元すり抜く土間の風 愛正
十薬や荒れしままなる庭手入れ 澄子
悪代官出てきそうなり小判草 あひる
山滴る遠く洩れくるチェーンソー 風民
庭隅の束ねたあやめ狭き庭 愛正
祝福の薔薇の花びら高く撒く あひる
散髪をしつつうたた寝目借時 山椒
夕薄暑老の夕餉のはやばやと もとこ
白鷺の優美に着地鋤きし田に 千鶴
すれ違ふ優しきひとへ緑さす かえる
ほんのりと実の色持ちて柿の花 むべ
様になるベビーカーの児のサングラス なつき
南吹く目閉じ潮騒聴く少女 風民
更衣ブランド服をフリマ出す 明日香
ざり蟹の電光石火濁り立つ えいじ
大手毬そよぎ犇く白清か かえる
目の合ふて猫や十薬逃げ込みぬ 澄子
雀どちげんげ浄土にかくれんぼ 康子
燦々と日に照り映えて枇杷青む えいじ
満開の薔薇園宝石箱の如 山椒
戦禍の地梅雨満月も涙ぐむ 明日香
テニス試合樗の花に励まされ ぽんこ
貸農園畝まっすぐに夏野菜 満天
大噴水舞踏会かな宛らに きよえ
老鶯の竹林深く長鳴きす せいじ
マンションのオーナー四方に咲かす薔薇 そうけい

2024年05月21日

大葉寄す西瓜の黄花小さきかな きよえ
田植終へ茅葺き屋根に水アーチ みきえ
日を返す銀の日傘を先頭に なつき
梅雨の蝶片翅庇ひ低く舞ふ むべ
手毬花四つ目垣より顔出せり 康子
新緑の揺らす山山踊り出し もとこ
十薬の背伸びしている花立てて 明日香
序破急に騒ぐ葉擦れや竹の秋 かえる
広芝に白き星雲うまごやし えいじ
老いたるも背に滲む職人の汗 えいいち
薫風の京に叶ひし句座囲む たか子
じやらじやらと音聞こえさう小判草 あひる
更衣七分袖まで仕舞ひたる 千鶴
あまかぜにふれて楝の花香る えいじ
祖母作る味は変わらぬ柏餅 みきお
高らかに鋏鳴らして薔薇手入れ 澄子
四阿の前に日傘の立ち話 なつき
手のひらの積まれし苺固まる子 愛正
老鶯や京洛望む城の跡 せいじ
女王の如き帆船春の波止 山椒
揺れる尾や飼い主さんと緑陰へ たかを
六芒星輝くあした額の花 むべ
窓越しの淡路の山野茂りけり きよえ
若葉巻くところに結ぶ水の玉 かえる
虫除けの液滴らす柿若葉 千鶴
風薫る子は学校に慣れし頃 満天
満を持しいよよ紫陽花色付けり 明日香
熊野路や日の斑につける登山杖 風民
庭手入れ鼻より落つる玉の汗 康子
天辺の巨石を囲む山若葉 せいじ
緑陰のノミ跡しるき丸太椅子 あひる
らっきょうの籠る匂いの厨かな ぽんこ
卓上のソーラープレイン夏日燦 みきえ
雲の峰変わらぬ浅間の勇姿かな 愛正
濃き影を残し飛び去る揚羽蝶 みきお
海岸の木陰縦笛吹く少女 山椒
利休梅雨粒宿し傾ぎをり 澄子

2024年05月20日

蚊遣り火を味方に付けて庭仕事 明日香
蜜蜂の羽音優しき夕まぐれ 千鶴
左見右見四葩はなやぐ参道かな ぽんこ
姿見の吾は妣に似て更衣 あひる
どくだみの中に片足松葉杖 みきお
曇天を押し返さんと麦の秋 たかを
青嵐や軒に逃げ込む番鳩 智恵子
ガス欠の危機脱出や梅雨間近 こすもす
青天井桜若葉の透き通る かえる
麦笛や爺取り囲む下校の子 愛正
大いなる緑陰産むや樟大樹 むべ
草取りの弾む隣家のピアノの音 康子
夕日浴ぶキラキラ光る柿若葉 きよえ
大毛虫ペタリひっつく柿若葉 千鶴
花菖蒲ひょうたん池を縁取りて 康子
無住寺に大き切株夏蝶来 なつき
葉隠れに犇めきながら枇杷青む えいじ
ペチュニアを増やす小鉢の愛しかな そうけい
小湊に桜貝採る都会の子 智恵子
娘の捨てし衣着てみる更衣 あひる
花いばらダム湖に消えし村ありし うつぎ
神の池青鷺坐して睥睨す もとこ
ひつそりと薔薇の苗木の蕾咲く えいいち
草刈られ宴たけなはや群れ雀 えいじ
夏の夕ローカルニュースに知己の顔 みきえ
サングラス取って黙祷ドーム前 みきお
徐行する燕飛び交ふ狭き道 むべ
五月雨や京の千年鎮もるる たか子
夏草やあちこち飛ばし家を建て たかを
薔薇の園散歩の犬もお洒落せり 山椒
雨しとど四葩彩増すあしたかな 澄子
花あやめろ舟近づく靄の中 愛正
ビル街を綴る杜鵑花や日燦燦 せいじ
シーソーす背中に弾む夏帽子 かえる
紫陽花の咲きながら色変わる垣 きよえ
一病と付き合ふ日々や若葉寒 満天
夏の海カヌー漕ぐ腕隆々と 山椒
枇杷の実の秘して色づき初むる頃 澄子
押し寿司のごと均されし杜鵑花かな せいじ
子ども連白象曳きて花まつり なつき
喜んで虫食ひあとのキャベツ食ぶ 明日香
地蔵尊へ枇杷ひと枝を供へけり 満天
夕焼くる雨上りのバス故郷へ こすもす

2024年05月19日

夕暮れにひと雨欲しき四葩かな 澄子
宿裏のせせらぐ渓流宵涼し 愛正
逝きし友挿し木の四葩供花となり そうけい
春筍や訛り飛び交ふ道の駅 みきお
木陰いま先生と児ら集合す むべ
看板の隠るる茶房バラアーチ 康子
声だかに少年野球緑雨中 せいじ
山容をかき消すやうに五月雨るる 千鶴
毎年よ律儀に咲かす白十字 ぽんこ
愛犬と行厨分つ草刈女 智恵子
ため池に三角波や青嵐 せいじ
五月雨や京の千年鎮もるる たか子
枇杷熟るる葉の座にしかと守られて 満天
三宮界隈久し薔薇満開 こすもす
朝の市狭しと並ぶ春野菜 みきお
水平線消え行く船や春の果て 山椒
願ひ事韻踏む絵馬や青葉影 なつき
摺り足の戒壇めぐり闇涼し えいじ
若葉雨フロントガラス駆けのぼり みきえ
さつき展水やり終えてテント閉づ なつき
青嵐池面を覆ふ花あくた あひる
鯉の口みるみる寄り来橋涼し あひる
日曜日歌いつづける四十雀 えいいち
溝さらえ正しいことはあとから来 明日香
居留地の丘の洋館薔薇巡り 山椒
里山はこんもり雨の新樹かな きよえ
打掛に色を添へたる若葉影 康子
蹲踞の水に皐月の空揺らぐ 澄子
夏兆す浜辺に子らは駆け回る 智恵子
野良猫はのたりと背伸び木下闇 かえる
泡立ちて卯波折れるや鳴門沖 千鶴
気をつけの姿勢のびやか燕舞ふ かえる
岩肌を巡る滴り風に飛ぶ きよえ
五月雨の音無き庭の静寂かな 明日香
境内に太鼓響けり青葉風 風民
四十雀歌う窓辺で書読む吾 えいいち
竹落葉しなる稈には大鴉 むべ
松の芯立ちて守らむ応天門 もとこ
岩清水掬ふ手乱す水鏡 愛正
竹秋のすき間だらけに白き街 えいじ

2024年05月18日

夏帽子電車の隅の内緒話 もとこ
八つ橋に傾ぎて立てり白日傘 なつき
岸を打つ波音ひそか春の海 山椒
紫陽花を活けて華やぐ床柱 澄子
御手洗の零れる巌苔の花 ぽんこ
五月晴飛機雲あまた空アート きよえ
ツルハシを振り上げる影油照 みきお
卯波立つ磯よりまばゆき大落暉 千鶴
紫陽花や置き忘れたる傘ひとつ 澄子
汗ばみて畝に土盛る猫車 智恵子
神杉の秀に巣作りの青鷺 明日香
鳴き声の止む揚雲雀急降下 みきお
月見草夕暮の野に白浮かべ むべ
静かなり親の居ぬ間の燕の子 えいいち
墨書せし孫の命名文字涼し 康子
老鶯のたつた一羽の哭きにけり かえる
街中の一気に日傘増へにけり 満天
はじめてのサングラス目がすつと楽 明日香
しまへびの縞美しく前進す あひる
寄り添ひて川面飛びかふ夏の蝶 満天
草苅の香に包まるる朝の寺 康子
睡蓮の葉は荒波に没せざる せいじ
夏浅し憩ふ城址の月見池 愛正
あかつきの四葩の萼の薄みどり むべ
植込みのかたばみの花抜きやらず せいじ
半世紀振りの電話や柿の花 こすもす
弔問帰り夕焼けに顔染まりけり こすもす
夏風邪の児がもたれくるソファかな なつき
一穢なく鴇草二三湿原に えいじ
田畑消えビル林立の郷薄暑 そうけい
水遣りの欠かせぬ鉢や濃紫陽花 みきえ
出水引くあの笛の音は耳澄ます ふさこ
草千里若草駆ける栗毛馬 智恵子
アメンボの水面弾ひて右往左往 きよえ
えごの花とんねる成せる遊歩道 かえる
火口原風も匂ひも皆涼し 愛正
萎えさうな心立てよと夏の風 たか子
ボタンのごと留まる夏蝶姫日陰 えいじ
ピザ窯のシェフの身ごなし風薫る 千鶴
睡蓮の目覚めのごとき花二つ あひる
鯛鮑捌く神官春祭 山椒
応援も走るも勇姿帰路夕焼 そうけい

2024年05月17日

燕飛ぶ手裏剣の如宙を切り 山椒
瀬戸の海しばし眺むる大夕焼 千鶴
夕焼の海落ちできし目玉焼き 千鶴
岸壁の蘭船の旗春の風 山椒
ぼんやりと農夫見えたり夏霞 愛正
岩窪に大夕立の忘れもの かえる
早苗田やゆっくり走る前のバス こすもす
青蔦の電線伝ひ力尽く 明日香
紫陽花の譲りあふ路絹の雨 澄子
青鷺や被写体になり中洲立つ ふさこ
春荒の樟の葉擦れやごうごうと そうけい
神の山めざす男の鈴涼し もとこ
白多き今年の菖蒲愛で合へり なつき
五月晴れ嫁とドライブランチなり みきえ
青嵐藪に飛び込む雀かな あひる
石亀がぬつと顔出す睡蓮池 せいじ
鳩よけのネットのたうつ青あらし せいじ
新緑の底ひの道は有馬へと みのる
ベビーカー乗る児の垂らす日覆かな みきえ
山つつじ遠景も良き七曲り 愛正
春疾風引く糸切るか舞ふ小鳥 そうけい
下戸なれど徳利片手に花莚 みきお
野面積崩れかけたる華鬘草 風民
蔵壁の破れを覆ふ若葉影 かえる
雄滝雌滝また寄り添ひて大瀞へ うつぎ
夏めきて公園の木々もりあがる 満天
つぎつぎと蝶来たる庭カフェテラス 康子
子の着たる父の白シャツ召天日 むべ
緑陰のゲートボールや玉響く えいじ
ふるさとの土の香りや大根来 みきお
耐えに耐えここでジュースや炎天下 たかを
園児どち覗き込みたる蝌蚪の国 康子
傘閉じてミストのごとき若葉雨 むべ
アナベルの胴のあたりをひとくくり 明日香
白波の白さ際立つ夏の海 こすもす
木漏れ日の矢場に静けき蜘蛛の網 えいじ
里公園降り散る松の落葉かな きよえ
藪出て葉陰へと蛇急ぎけり あひる
五月晴風心地好し歩の進む きよえ
草臥れしさつき顔出す石垣に ぽんこ
母の日や母なりし子とひとときを なつき

2024年05月16日

青嵐予定変へざる日和かな きよえ
夏場所の仕切り何度も吠えにけり もとこ
駆け回る園児の大き麦藁帽 康子
籐椅子を磨けば父の夷顔 智恵子
躱されし二刀流なる捕虫網 せいじ
日中雨晴れてペチュニア色まぶし そうけい
絹莢の引く糸山の香り立つ そうけい
一面の黄菖蒲園や生家跡 こすもす
夏場所の勝ち力士のこと遺影にも たか子
樹下涼し瀬音に耳を遊ばせて かえる
映り込む揺らぐ水面の若緑 ぽんこ
蝶あそぶ犬の行手を阻みつつ かえる
沢沿いの垂るる濡れ葉や若楓 愛正
山躑躅古沼はあおき赤城やま 愛正
やや曲がる手植の棚田ボランティア みきお
風薫る自転車通学一列に 満天
潮騒を聴きて夏のカフェテラス 智恵子
ボール追ふママのダッシュや苜蓿 あひる
星のごとひとつばたごの花散れり えいじ
忍冬の香に振り返る行者道 うつぎ
手際良き一人キャンプのクッキング うつぎ
駆除前に見慣れぬ毛虫検索す 明日香
生鱧を海へほり投げ豊漁祭 千鶴
クローバーの野に少年の打球伸ぶ あひる
薫風や公園の中立ち止まる 満天
壁庭を成したる野薔薇一面に むべ
老妻のエプロン姿風涼し たかを
堰越へて一気に流る花筏 みきお
そよ風に鈴振る赤き満天星花 風民



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