躓いて貝の散らばる潮干潟 | えいじ |
青嵐大雨配下列島過 | きよえ |
ほたる来い蛍袋はがらんどう | あひる |
額あぢさゐ同じ色した花器に挿し | かえる |
大水車ごとごと回る植田かな | 千鶴 |
夏霧に霞む四万十沈下橋 | 千鶴 |
夏嵐窓打つ雨に怯えたり | 智恵子 |
一輪の蛍袋や風の崖 | あひる |
新緑描く色決めかねし五秒間 | たか子 |
白紫陽花活けて友待つ雨の午後 | なつき |
苔の花ミニチュアの塔林立す | むべ |
青嵐帰省の妹の帽奪ふ | きよえ |
橘の花のあはひに青き海 | 澄子 |
ベールごと花嫁ハグす春日蔭 | よし女 |
バラ園の隅に手入れ具隠れをり | 康子 |
帆船のぷかり埠頭に春の風 | 山椒 |
蘇る蕾に雨や花蜜柑 | 董雨 |
クラシックより軽音や五月闇 | せいじ |
金継ぎの夫婦の湯呑み新茶の香 | かかし |
雨蛙手の甲に乗せペタリ感 | 明日香 |
用足してくるりと回す白日傘 | えいじ |
夏山の雨煙りして走り梅雨 | 董雨 |
青蘆の千切れむばかり小夜嵐 | むべ |
紫陽花のほんのり頬を染めてをり | 山椒 |
両隣手を貸す治療やカーネーション | そうけい |
生のためばさりと切る鉢カーネーション | そうけい |
ピザなりと食べて籠らん五月闇 | せいじ |
夏の夜や雨音はげし裏の川 | 満天 |
夏茱萸や海を見下ろし一人住む | よし女 |
2024年05月27日 | |
うとうととつり革と揺る日焼けの子 | なつき |
久闊を叙す境内の緑陰に | よし女 |
洋館の連なる丘の薔薇万華 | 山椒 |
緑さすベンチに翁ぽつねんと | せいじ |
雹過ぎて大き雨音樋に穴 | みきえ |
ろうそくに揺らぐ陰影青芭蕉 | 風民 |
水揚がり確かめ四葩仏壇へ | 明日香 |
金色に熟れて夕日の小判草 | あひる |
人まばらなる公園の芝青し | せいじ |
クローバー花冠を子と編みぬ | むべ |
石垣の動くかと見ゆかたつむり | 智恵子 |
蚊遣火の烟掻き消す靄の庭 | かえる |
鴨帰る白砂の浜に潮目跡 | よし女 |
白頭巾端に紅さす山法師 | むべ |
アトリエに画家の愛した手鞠花 | かえる |
枯山水砂紋に迷ふ蟻の列 | 康子 |
橘の散りても香る白さかな | 澄子 |
出でてすぐ隠れ早しや油虫 | 満天 |
新聞をたたみて読めり冷房車 | なつき |
十薬の花は星型夕まぐれ | ぽんこ |
用足しの妻を待つ間の絵日傘かな | えいじ |
炊飯器利用で作る夏料理 | こすもす |
城趾の石垣攻むる夏の草 | 愛正 |
ついりかよ出口で叫ぶ大男 | そうけい |
梅雨きのこ突いたり蹴ったり無惨なる | たか子 |
乾杯の主役の掲ぐソーダー水 | あひる |
夏の雨元気いっぱい里の家 | きよえ |
草茂る行く道細くなりたがる | えいじ |
ビル街の日陰者らし梅雨茸 | もとこ |
山の精集め滴る崖伝ひ | みきお |
町内会ゴミの日子等も汗ぬぐひ | そうけい |
葉の裏に十ミリ満たぬ蝸牛 | 明日香 |
冷奴出番の増へし夕餉かな | みきえ |
遺失ししスマホ見つくや迎へ梅雨 | 千鶴 |
花嫁のティアラの如し額の花 | 山椒 |
三姉妹今年も集ふ神戸夏 | きよえ |
五月雨に疼く体や一万歩 | たかを |
縁結び寺にかしまし浴衣の娘 | 康子 |
子でんでん石垣登る雨の夕 | 智恵子 |
峠茶屋清水に浮かぶところてん | 愛正 |
舟底を晒す釣り舟夏河原 | みきお |
2024年05月26日 | |
濯ぎ物畳むや夏の匂ひ立ち | みきえ |
薔薇園のバードバスいまバラ風呂に | 康子 |
咲き分けて墓碑に添ひたるさつきかな | むべ |
ほとばしる水音響く夏の山 | 風民 |
しゃぼん玉顔より大きい三歳児 | 満天 |
捲る葉の裏に息づく天道虫 | かえる |
ヒマラヤスギ若葉は銀の針めきぬ | むべ |
出石焼に生けられホタル袋かな | こすもす |
我勝ちに背をのばして麦青む | かえる |
木下闇より下校子の二人連れ | せいじ |
自転車の少女へ茅花流しかな | 風民 |
抜歯して麦茶ゆつくり飲み干せり | なつき |
カルピスを並べて夏の厨かな | あひる |
用足しの妻の預けし絵の日傘 | えいじ |
新築の家の庭には山法師 | 明日香 |
山法師吉野の宿を語り草 | よし女 |
異国人手水を真似る夏の宮 | たか子 |
緑陰に腰掛ゆるる木洩れ日に | 満天 |
挿木する今年こそはと見守れり | ぽんこ |
右巻きも左巻きもあり捩れ花 | みきお |
丘の上洋館の庭あふる薔薇 | 山椒 |
スツポンポン泳ぎし川よ半世紀 | たかを |
歪なるアルミコップや清水かな | みきお |
風吹いて夜半の簾の喘ぎかな | えいじ |
五月晴白き歯こぼる運動会 | 千鶴 |
朝戸開く肺に入り込む薫る風 | 愛正 |
夏場所を制し滂沱の若力士 | 山椒 |
夏兆す疏水辿れば朱の鳥居 | もとこ |
食べなせと皿鉢料理の初鰹 | 千鶴 |
友訪ねる一本道や麦の秋 | こすもす |
夏の月陰影深き野面積み | 愛正 |
池囲む葦に混じりて花菖蒲 | せいじ |
干し物へ風運びたる薔薇の香 | 康子 |
山笑ふ自販機に買ふ赤玉子 | よし女 |
如露の水貰ひし鉢に念入りに | みきえ |
蚊をはらい土産話のつづきかな | あひる |
夏めくや提灯明かり軒先に | 董雨 |
2024年05月25日 | |
狭庭の色次々と梅雨近し | 董雨 |
急に丈伸ばし暑さをうける草 | 明日香 |
中庭に数増えやさし花甘茶 | 董雨 |
若葉風森のポストにリス遊ぶ | 智恵子 |
ゆつたりと夏の白雲留まれり | たかを |
初の挿し木早起き癖を取得せり | そうけい |
緑陰や手作りベンチに憩ふ人 | みきお |
松蝉や見えつも遠き山の峰 | 愛正 |
枯山水一筋なびく蜘蛛の糸 | 康子 |
撫牛の光るばかりの夏の宮 | たか子 |
よちよちと川辺のデート残る鴨 | あひる |
潺にそひし参道青葉風 | 澄子 |
お代はりの麦茶セルフのあんまき屋 | なつき |
存問の蝶つぎつぎと来る園生 | せいじ |
親と子か追ひつ追はれつ夏つばめ | せいじ |
チャリの子やすうっと抜かる若葉風 | きよえ |
紫陽花や青きぼんぼり灯す如 | 山椒 |
天も地も賑やかなりし百千鳥 | みきお |
三尺寝先に取られしソファーかな | あひる |
陣展ぐ二葉葵や木下闇 | 澄子 |
川風にカラカラ鳴りて小判草 | むべ |
若竹の小径の風も浅みどり | むべ |
木漏れ日のキャンバスとなる蓮の池 | 康子 |
大鳥居抜けて明るきカフェ薄暑 | もとこ |
更衣見慣れし服の溢れけり | みきえ |
無人駅待つ間に浴びる新樹光 | 智恵子 |
茎折れの苗にあてがふ添木かな | かえる |
松明の如く真紅の薔薇燃ゆる | 山椒 |
歩むのみ新たな紐の登山靴 | 愛正 |
曇天に白光ませり山法師 | えいじ |
大小の石仏並ぶ木下闇 | かえる |
真青空映す緑の鏡池 | えいじ |
泥付きの赤玉葱を吊る軒端 | みきえ |
身巾の路地垣の十薬白白と | そうけい |
汽笛あげSLのゆく麦秋野 | 隆松 |
干し物のからりと乾く南風 | 明日香 |
新緑の光る小径や考古館 | きよえ |
わんさかと玉ねぎ積むや農民車 | 千鶴 |
丹精の手作りガーデン薔薇アーチ | こすもす |
夕暮れの白際立ちて山法師 | 満天 |
2024年05月24日 | |
田植終ふ棚田に小さきコンバイン | 風民 |
反りかへる社の屋根に竹落葉 | かえる |
しゃぼん玉風と押しくらして膨れ | 康子 |
回廊を巡る中庭つつじ燃ゆ | なつき |
ティーシャツの自転車娘風を切り | 山椒 |
松葉菊ピンクバージョン黃バージョン | せいじ |
ゴルフ日和たっぷりつける日焼け止め | こすもす |
じゃんけんでアイスの好み親子かな | きよえ |
忘れ物日に二つとや梅雨きざす | たか子 |
茶室閉づ三番花の杜若 | なつき |
子燕のごと幼な犇く乳母車 | みきえ |
生垣の間に間に昼顔お顔出し | かえる |
農繁の畑かまびすしモーター音 | 千鶴 |
ラジオノイズ雷雲迫る尾根歩き | 愛正 |
この暑さ対応出来ぬ歳になり | 明日香 |
白シャツの凛々し十五の誕生日 | あひる |
薔薇園や遠き異国に来た如し | 山椒 |
仔犬抱き上る坂道木下闇 | みきお |
新茶入れ二人の時間たっぷりと | 満天 |
暮れのこる十薬白き足元灯 | むべ |
何を着る暑し暑しとうろうろす | 明日香 |
遠足や上級生が手を引きて | 康子 |
用済ませコーヒー一人初夏の午後 | きよえ |
めん棒に預ける体走り蕎麦 | みきお |
外つ国の巨人の谷間駅薄暑 | もとこ |
千枚田夏日一つに向かひをり | 風民 |
自転車のドミノ倒しや青嵐 | えいじ |
蜜蜂の花に各駅停車して | せいじ |
風薫る少女は髪をなびかせて | 満天 |
マンションの庭の小社金枝梅 | ぽんこ |
老鶯のクレシェンドする山路かな | えいじ |
咲きのぼる葵まゝごと見守りぬ | むべ |
朝戸あく頬を撫ぜゆく風青し | 愛正 |
一羽とは思へぬさわぎ揚雲雀 | あひる |
方丈に座して青葉を眩しめり | 澄子 |
2024年05月23日 | |
毛虫とる蝶に化けるの見きわめて | 明日香 |
牛若像はねる大路や風光る | あひる |
汗飛ばし二回回せりフラフープ | なつき |
をさな抱くスーツの母や立葵 | むべ |
菜園を飛び交ふ白き蝶の群れ | みきえ |
煌々たる今宵五月のフラワームーン | 千鶴 |
小流れを覆ふどくだみ帯なして | 康子 |
風入れて虫達入れて薔薇盛り | たか子 |
残照を映す白さや山法師 | むべ |
梅雨入り前収穫急ぐ百姓どち | 千鶴 |
鋸の音に目覚むる午睡かな | みきえ |
片言で俳句語らふ登山小屋 | 風民 |
新緑やダム湖を渡る橋幾つ | うつぎ |
受け持ちし家事終へたれば三尺寝 | せいじ |
母の間の朝戸あくれば風薫る | せいじ |
三兄弟ともに健やか柏餅 | みきお |
ほのと色見せたるつぼみ四葩かな | 康子 |
松蝉や古道の残る松林 | 愛正 |
卯の花を標に歩む伊勢路かな | 風民 |
青葉陰踏む参道の石畳 | かえる |
目をつむる鳩の重さや夏の草 | えいじ |
ふらここの靴裏高く雲近し | ぽんこ |
蒼天に凱旋叫ぶ番鳧 | えいじ |
縦横に網戸の風の通りけり | こすもす |
残る鴨木陰へとよる池畔かな | あひる |
風光る波止場に泊まる異国船 | 山椒 |
夜濯ぎや一つ一つを手アイロン | なつき |
夏夕日白波立てて作業船 | きよえ |
喉仏上下に動き心太 | みきお |
すれ違ふひとみな優し山滴る | かえる |
あかんぼの首皺湿る薄暑かな | もとこ |
夕日差す花咲く畑に蝶あまた | きよえ |
諸花の絶えぬ公園五月晴 | 満天 |
遠雷や畦往来の農耕機 | 愛正 |
右顧左眄右往左往し蟻進む | 山椒 |
2024年05月22日 | |
ゴミあさる鴉の親子夏の朝 | みきお |
防災の公園はいま薔薇の園 | 康子 |
城山に夏鶯の声間近 | せいじ |
夏陽射し飛び立ち鳩のすまし尻 | たかを |
早起きの日課となりし草むしり | なつき |
河骨の傾ぐにはまだ水浅し | たか子 |
クローバーの球野を白く埋むかな | きよえ |
老鶯の艶やかな声薮の中 | みきお |
舞い舞いて白き扇や夏の蝶 | たかを |
歌舞伎座の灯り滲みて街おぼろ | むべ |
スポーツ公園潮の香微か青葉風 | こすもす |
天仰ぐ床の草の香苜蓿 | そうけい |
すれ違ふ二の腕眩し街薄暑 | 満天 |
夕涼し足元すり抜く土間の風 | 愛正 |
十薬や荒れしままなる庭手入れ | 澄子 |
悪代官出てきそうなり小判草 | あひる |
山滴る遠く洩れくるチェーンソー | 風民 |
庭隅の束ねたあやめ狭き庭 | 愛正 |
祝福の薔薇の花びら高く撒く | あひる |
散髪をしつつうたた寝目借時 | 山椒 |
夕薄暑老の夕餉のはやばやと | もとこ |
白鷺の優美に着地鋤きし田に | 千鶴 |
すれ違ふ優しきひとへ緑さす | かえる |
ほんのりと実の色持ちて柿の花 | むべ |
様になるベビーカーの児のサングラス | なつき |
南吹く目閉じ潮騒聴く少女 | 風民 |
更衣ブランド服をフリマ出す | 明日香 |
ざり蟹の電光石火濁り立つ | えいじ |
大手毬そよぎ犇く白清か | かえる |
目の合ふて猫や十薬逃げ込みぬ | 澄子 |
雀どちげんげ浄土にかくれんぼ | 康子 |
燦々と日に照り映えて枇杷青む | えいじ |
満開の薔薇園宝石箱の如 | 山椒 |
戦禍の地梅雨満月も涙ぐむ | 明日香 |
テニス試合樗の花に励まされ | ぽんこ |
貸農園畝まっすぐに夏野菜 | 満天 |
大噴水舞踏会かな宛らに | きよえ |
老鶯の竹林深く長鳴きす | せいじ |
マンションのオーナー四方に咲かす薔薇 | そうけい |
2024年05月21日 | |
大葉寄す西瓜の黄花小さきかな | きよえ |
田植終へ茅葺き屋根に水アーチ | みきえ |
日を返す銀の日傘を先頭に | なつき |
梅雨の蝶片翅庇ひ低く舞ふ | むべ |
手毬花四つ目垣より顔出せり | 康子 |
新緑の揺らす山山踊り出し | もとこ |
十薬の背伸びしている花立てて | 明日香 |
序破急に騒ぐ葉擦れや竹の秋 | かえる |
広芝に白き星雲うまごやし | えいじ |
老いたるも背に滲む職人の汗 | えいいち |
薫風の京に叶ひし句座囲む | たか子 |
じやらじやらと音聞こえさう小判草 | あひる |
更衣七分袖まで仕舞ひたる | 千鶴 |
あまかぜにふれて楝の花香る | えいじ |
祖母作る味は変わらぬ柏餅 | みきお |
高らかに鋏鳴らして薔薇手入れ | 澄子 |
四阿の前に日傘の立ち話 | なつき |
手のひらの積まれし苺固まる子 | 愛正 |
老鶯や京洛望む城の跡 | せいじ |
女王の如き帆船春の波止 | 山椒 |
揺れる尾や飼い主さんと緑陰へ | たかを |
六芒星輝くあした額の花 | むべ |
窓越しの淡路の山野茂りけり | きよえ |
若葉巻くところに結ぶ水の玉 | かえる |
虫除けの液滴らす柿若葉 | 千鶴 |
風薫る子は学校に慣れし頃 | 満天 |
満を持しいよよ紫陽花色付けり | 明日香 |
熊野路や日の斑につける登山杖 | 風民 |
庭手入れ鼻より落つる玉の汗 | 康子 |
天辺の巨石を囲む山若葉 | せいじ |
緑陰のノミ跡しるき丸太椅子 | あひる |
らっきょうの籠る匂いの厨かな | ぽんこ |
卓上のソーラープレイン夏日燦 | みきえ |
雲の峰変わらぬ浅間の勇姿かな | 愛正 |
濃き影を残し飛び去る揚羽蝶 | みきお |
海岸の木陰縦笛吹く少女 | 山椒 |
利休梅雨粒宿し傾ぎをり | 澄子 |
2024年05月20日 | |
蚊遣り火を味方に付けて庭仕事 | 明日香 |
蜜蜂の羽音優しき夕まぐれ | 千鶴 |
左見右見四葩はなやぐ参道かな | ぽんこ |
姿見の吾は妣に似て更衣 | あひる |
どくだみの中に片足松葉杖 | みきお |
曇天を押し返さんと麦の秋 | たかを |
青嵐や軒に逃げ込む番鳩 | 智恵子 |
ガス欠の危機脱出や梅雨間近 | こすもす |
青天井桜若葉の透き通る | かえる |
麦笛や爺取り囲む下校の子 | 愛正 |
大いなる緑陰産むや樟大樹 | むべ |
草取りの弾む隣家のピアノの音 | 康子 |
夕日浴ぶキラキラ光る柿若葉 | きよえ |
大毛虫ペタリひっつく柿若葉 | 千鶴 |
花菖蒲ひょうたん池を縁取りて | 康子 |
無住寺に大き切株夏蝶来 | なつき |
葉隠れに犇めきながら枇杷青む | えいじ |
ペチュニアを増やす小鉢の愛しかな | そうけい |
小湊に桜貝採る都会の子 | 智恵子 |
娘の捨てし衣着てみる更衣 | あひる |
花いばらダム湖に消えし村ありし | うつぎ |
神の池青鷺坐して睥睨す | もとこ |
ひつそりと薔薇の苗木の蕾咲く | えいいち |
草刈られ宴たけなはや群れ雀 | えいじ |
夏の夕ローカルニュースに知己の顔 | みきえ |
サングラス取って黙祷ドーム前 | みきお |
徐行する燕飛び交ふ狭き道 | むべ |
五月雨や京の千年鎮もるる | たか子 |
夏草やあちこち飛ばし家を建て | たかを |
薔薇の園散歩の犬もお洒落せり | 山椒 |
雨しとど四葩彩増すあしたかな | 澄子 |
花あやめろ舟近づく靄の中 | 愛正 |
ビル街を綴る杜鵑花や日燦燦 | せいじ |
シーソーす背中に弾む夏帽子 | かえる |
紫陽花の咲きながら色変わる垣 | きよえ |
一病と付き合ふ日々や若葉寒 | 満天 |
夏の海カヌー漕ぐ腕隆々と | 山椒 |
枇杷の実の秘して色づき初むる頃 | 澄子 |
押し寿司のごと均されし杜鵑花かな | せいじ |
子ども連白象曳きて花まつり | なつき |
喜んで虫食ひあとのキャベツ食ぶ | 明日香 |
地蔵尊へ枇杷ひと枝を供へけり | 満天 |
夕焼くる雨上りのバス故郷へ | こすもす |
2024年05月19日 | |
夕暮れにひと雨欲しき四葩かな | 澄子 |
宿裏のせせらぐ渓流宵涼し | 愛正 |
逝きし友挿し木の四葩供花となり | そうけい |
春筍や訛り飛び交ふ道の駅 | みきお |
木陰いま先生と児ら集合す | むべ |
看板の隠るる茶房バラアーチ | 康子 |
声だかに少年野球緑雨中 | せいじ |
山容をかき消すやうに五月雨るる | 千鶴 |
毎年よ律儀に咲かす白十字 | ぽんこ |
愛犬と行厨分つ草刈女 | 智恵子 |
ため池に三角波や青嵐 | せいじ |
五月雨や京の千年鎮もるる | たか子 |
枇杷熟るる葉の座にしかと守られて | 満天 |
三宮界隈久し薔薇満開 | こすもす |
朝の市狭しと並ぶ春野菜 | みきお |
水平線消え行く船や春の果て | 山椒 |
願ひ事韻踏む絵馬や青葉影 | なつき |
摺り足の戒壇めぐり闇涼し | えいじ |
若葉雨フロントガラス駆けのぼり | みきえ |
さつき展水やり終えてテント閉づ | なつき |
青嵐池面を覆ふ花あくた | あひる |
鯉の口みるみる寄り来橋涼し | あひる |
日曜日歌いつづける四十雀 | えいいち |
溝さらえ正しいことはあとから来 | 明日香 |
居留地の丘の洋館薔薇巡り | 山椒 |
里山はこんもり雨の新樹かな | きよえ |
打掛に色を添へたる若葉影 | 康子 |
蹲踞の水に皐月の空揺らぐ | 澄子 |
夏兆す浜辺に子らは駆け回る | 智恵子 |
野良猫はのたりと背伸び木下闇 | かえる |
泡立ちて卯波折れるや鳴門沖 | 千鶴 |
気をつけの姿勢のびやか燕舞ふ | かえる |
岩肌を巡る滴り風に飛ぶ | きよえ |
五月雨の音無き庭の静寂かな | 明日香 |
境内に太鼓響けり青葉風 | 風民 |
四十雀歌う窓辺で書読む吾 | えいいち |
竹落葉しなる稈には大鴉 | むべ |
松の芯立ちて守らむ応天門 | もとこ |
岩清水掬ふ手乱す水鏡 | 愛正 |
竹秋のすき間だらけに白き街 | えいじ |
2024年05月18日 | |
夏帽子電車の隅の内緒話 | もとこ |
八つ橋に傾ぎて立てり白日傘 | なつき |
岸を打つ波音ひそか春の海 | 山椒 |
紫陽花を活けて華やぐ床柱 | 澄子 |
御手洗の零れる巌苔の花 | ぽんこ |
五月晴飛機雲あまた空アート | きよえ |
ツルハシを振り上げる影油照 | みきお |
卯波立つ磯よりまばゆき大落暉 | 千鶴 |
紫陽花や置き忘れたる傘ひとつ | 澄子 |
汗ばみて畝に土盛る猫車 | 智恵子 |
神杉の秀に巣作りの青鷺 | 明日香 |
鳴き声の止む揚雲雀急降下 | みきお |
月見草夕暮の野に白浮かべ | むべ |
静かなり親の居ぬ間の燕の子 | えいいち |
墨書せし孫の命名文字涼し | 康子 |
老鶯のたつた一羽の哭きにけり | かえる |
街中の一気に日傘増へにけり | 満天 |
はじめてのサングラス目がすつと楽 | 明日香 |
しまへびの縞美しく前進す | あひる |
寄り添ひて川面飛びかふ夏の蝶 | 満天 |
草苅の香に包まるる朝の寺 | 康子 |
睡蓮の葉は荒波に没せざる | せいじ |
夏浅し憩ふ城址の月見池 | 愛正 |
あかつきの四葩の萼の薄みどり | むべ |
植込みのかたばみの花抜きやらず | せいじ |
半世紀振りの電話や柿の花 | こすもす |
弔問帰り夕焼けに顔染まりけり | こすもす |
夏風邪の児がもたれくるソファかな | なつき |
一穢なく鴇草二三湿原に | えいじ |
田畑消えビル林立の郷薄暑 | そうけい |
水遣りの欠かせぬ鉢や濃紫陽花 | みきえ |
出水引くあの笛の音は耳澄ます | ふさこ |
草千里若草駆ける栗毛馬 | 智恵子 |
アメンボの水面弾ひて右往左往 | きよえ |
えごの花とんねる成せる遊歩道 | かえる |
火口原風も匂ひも皆涼し | 愛正 |
萎えさうな心立てよと夏の風 | たか子 |
ボタンのごと留まる夏蝶姫日陰 | えいじ |
ピザ窯のシェフの身ごなし風薫る | 千鶴 |
睡蓮の目覚めのごとき花二つ | あひる |
鯛鮑捌く神官春祭 | 山椒 |
応援も走るも勇姿帰路夕焼 | そうけい |
2024年05月17日 | |
燕飛ぶ手裏剣の如宙を切り | 山椒 |
瀬戸の海しばし眺むる大夕焼 | 千鶴 |
夕焼の海落ちできし目玉焼き | 千鶴 |
岸壁の蘭船の旗春の風 | 山椒 |
ぼんやりと農夫見えたり夏霞 | 愛正 |
岩窪に大夕立の忘れもの | かえる |
早苗田やゆっくり走る前のバス | こすもす |
青蔦の電線伝ひ力尽く | 明日香 |
紫陽花の譲りあふ路絹の雨 | 澄子 |
青鷺や被写体になり中洲立つ | ふさこ |
春荒の樟の葉擦れやごうごうと | そうけい |
神の山めざす男の鈴涼し | もとこ |
白多き今年の菖蒲愛で合へり | なつき |
五月晴れ嫁とドライブランチなり | みきえ |
青嵐藪に飛び込む雀かな | あひる |
石亀がぬつと顔出す睡蓮池 | せいじ |
鳩よけのネットのたうつ青あらし | せいじ |
新緑の底ひの道は有馬へと | みのる |
ベビーカー乗る児の垂らす日覆かな | みきえ |
山つつじ遠景も良き七曲り | 愛正 |
春疾風引く糸切るか舞ふ小鳥 | そうけい |
下戸なれど徳利片手に花莚 | みきお |
野面積崩れかけたる華鬘草 | 風民 |
蔵壁の破れを覆ふ若葉影 | かえる |
雄滝雌滝また寄り添ひて大瀞へ | うつぎ |
夏めきて公園の木々もりあがる | 満天 |
つぎつぎと蝶来たる庭カフェテラス | 康子 |
子の着たる父の白シャツ召天日 | むべ |
緑陰のゲートボールや玉響く | えいじ |
ふるさとの土の香りや大根来 | みきお |
耐えに耐えここでジュースや炎天下 | たかを |
園児どち覗き込みたる蝌蚪の国 | 康子 |
傘閉じてミストのごとき若葉雨 | むべ |
アナベルの胴のあたりをひとくくり | 明日香 |
白波の白さ際立つ夏の海 | こすもす |
木漏れ日の矢場に静けき蜘蛛の網 | えいじ |
里公園降り散る松の落葉かな | きよえ |
藪出て葉陰へと蛇急ぎけり | あひる |
五月晴風心地好し歩の進む | きよえ |
草臥れしさつき顔出す石垣に | ぽんこ |
母の日や母なりし子とひとときを | なつき |
2024年05月16日 | |
青嵐予定変へざる日和かな | きよえ |
夏場所の仕切り何度も吠えにけり | もとこ |
駆け回る園児の大き麦藁帽 | 康子 |
籐椅子を磨けば父の夷顔 | 智恵子 |
躱されし二刀流なる捕虫網 | せいじ |
日中雨晴れてペチュニア色まぶし | そうけい |
絹莢の引く糸山の香り立つ | そうけい |
一面の黄菖蒲園や生家跡 | こすもす |
夏場所の勝ち力士のこと遺影にも | たか子 |
樹下涼し瀬音に耳を遊ばせて | かえる |
映り込む揺らぐ水面の若緑 | ぽんこ |
蝶あそぶ犬の行手を阻みつつ | かえる |
沢沿いの垂るる濡れ葉や若楓 | 愛正 |
山躑躅古沼はあおき赤城やま | 愛正 |
やや曲がる手植の棚田ボランティア | みきお |
風薫る自転車通学一列に | 満天 |
潮騒を聴きて夏のカフェテラス | 智恵子 |
ボール追ふママのダッシュや苜蓿 | あひる |
星のごとひとつばたごの花散れり | えいじ |
忍冬の香に振り返る行者道 | うつぎ |
手際良き一人キャンプのクッキング | うつぎ |
駆除前に見慣れぬ毛虫検索す | 明日香 |
生鱧を海へほり投げ豊漁祭 | 千鶴 |
クローバーの野に少年の打球伸ぶ | あひる |
薫風や公園の中立ち止まる | 満天 |
壁庭を成したる野薔薇一面に | むべ |
老妻のエプロン姿風涼し | たかを |
堰越へて一気に流る花筏 | みきお |
そよ風に鈴振る赤き満天星花 | 風民 |