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幾千回唱ふ念仏蝉時雨 山椒
赤とんぼ群れて止まるや岩畳 愛正
軍帽に包帯の足社会鍋 みきお
梨割りのまなこそむけし紅葉鯛 ほたる
上弦の月やピアノとフルートと こすもす
草紅葉湯飲み傾ぎて無縁墓 なつき
万葉歌碑巡る講座や秋澄めり やよい
鉢底のコオロギ二匹鳴き尽くし ふさこ
川底の現れて小さき花野成す あひる
芋虫のゆく道変へむペンの先 えいじ
蝦夷の森抜けゆく列車秋深む むべ
身をほぐし腹綿とりて秋刀魚食む 智恵子
時計台紅葉樹に隠されて ぽんこ

2024年10月14日

生け垣に見え隠れして秋神輿 えいじ
持ちくれし栗入り御強まだぬくし こすもす
社へと続くしで棒秋祭り みきえ
彩雲の割れて顔出す夜半の月 智恵子
電柱に逆さにならぶ赤蜻蛉 ほたる
秋麗序曲始まり直ぐうつら ふさこ
久々の子どもだんじり秋祭り こすもす
薄雲に滲む月かな秋深し えいいち
道せばを大旗振りゆく秋神輿 えいじ
子らの数少なくなりぬ運動会 せいじ
差し出す手そのままつなぐ虫の夜 なつき
フェンスより遠見の客も運動会 せいじ
堀に浮かぶ長い旅路の渡り鳥 ぽんこ
南瓜彫る魔法使いの姿して 山椒
風出でて盆地たちまち秋の暮 風民
秋空へ先の先まで土手の道 康子
夕化粧水星見んと西の空 明日香
日だまりに群れさざめけり秋の蝶 風民
号砲は村の鎮守の秋祭り よし女
水澄むやガードレールに鷺見張る やよい
山深き禅宗の寺秋の暮 山椒
芒原あかがね色に落暉かな むべ
萩の枝に祈願成就の短冊も はく子
秋日和夫満悦のツーリング きよえ
早朝に透き通る声秋の鳥 えいいち
下駄履きで行くポストまで秋小寒 みきお
大原女の過ぐれば強き菊の香よ 智恵子
大花火復興の街賑やかす もとこ
童話の森出口に白き曼殊沙華 なつき
嘴の跡や赤らむ柿ひとつ 康子
回覧板露けき隣家の路地の草 愛正
石山の巨石に月の影光る 千鶴
光りつつ消える朝露土手斜面 愛正
農道に緑の法被秋祭り みきえ
蔦紅葉大樹の幹に赤襷 むべ
福耳のはみ出す帽子小春風 みきお
空高し吸ひ込まれ行く飛機の雲 きよえ
爽涼や植替え挿し木はかどりて 明日香

2024年10月13日

松手入女庭師の赤鋏 たか子
稲刈を手伝う夫に感謝のみ 明日香
子らの去る遊具は風の秋の暮 きよえ
パーティーの果てて転がるブルーベリー あひる
魁の自治会長や秋神輿 えいじ
走り根に溜まりし落ち葉風に舞ふ ふさこ
紐にひかれ鳳凰邌るる秋まつり えいじ
そつと待つ秋蝶止まる水飲み詮 たかを
ピカピカに磨く革靴秋日和 みきお
雨上り鮮やかさ増す萩の花 こすもす
水遣りの狭庭にばつた飛び出る えいいち
広池を渡り過ぐ風秋澄めり 山椒
刈り終えた足で精米新米来 明日香
釜炊きの新米試食朝の市 みきえ
釣り竿の犇めく突堤秋うらら やよい
落葉掃く音の響きや朝の街 康子
秋の空兄弟姉妹駆けまわる たかを
山霧に重みのありて登りくる 澄子
境内に玉砂利の音七五三 みきお
秋天の高さ広さを鳶一羽 むべ
吾子の玉入らぬ籠や秋たかし もとこ
運動会空華やぎて万国旗 風民
御朱印帳求む人びと初紅葉 山椒
犬のごと子に紐つけて身に入めり なつき
運動会長き鉢巻翻る せいじ
防波堤の釣人数多秋の暮 こすもす
海峡に水尾の長きや秋澄みぬ 千鶴
体育祭土蹴れば土跳ね返す 風民
夕映えし渓の中洲や草紅葉 康子
老い夫に介護認定承知の秋 ぽんこ
カフェ通り香るコーヒー薄紅葉 智恵子
秋澄むや檜葉の木陰にベンチあり むべ
紐入りの渋柿並ぶ朝の市 みきえ
秋愁や山ひとつ越へ海の果て 澄子
露けしや赤子衣装の道祖神 愛正
古時計おもむくままになる秋憂 ほたる
白き鶏冠粉塵を吐く精米機 愛正
秋夕焼け土手に佇む杖の人 智恵子
イェス語る神学生の声さやか せいじ
里の道子ども神輿の声高し きよえ
南吉生家高みに一つ柿熟るる なつき

2024年10月12日

ななかまど鈴生りの朱を潜りけり むべ
究極の玉保ちをり芋の露 千鶴
夜長愉しデュオと落語のコラボかな こすもす
洗はれて銘柄の札甘藷かな きよえ
望遠鏡スカイツリーの秋夕焼け 智恵子
牛描く田んぼアートは古代米 なつき
キャンパスに獣道あり落葉踏む むべ
ふたかみの天辺かくす秋時雨 明日香
山門を入れば散らばる銀杏の実 あひる
花火筒軒に吊るせり旧街道 なつき
メニュー表に新米ですと書かれをり こすもす
土手なぞへ上へ下へと秋の蝶 康子
方丈に鉢で育てし藤袴 せいじ
秋高し稽古のカヌー二三艇 千鶴
青空にかりん三つほど残されて もとこ
式台に鉢を並べて藤袴 せいじ
紅葉して音して散るや桜かな きよえ
草紅葉踏むまじとゆく杣の道 澄子
平和賞めでて名月煌々と たか子
空青し稲田見に行く野分あと 愛正
スパゲッティ待合室に秋日差し たかを
列並ぶ回転木馬や秋うらら 智恵子
ぎゃあぎゃあと畑に聞こゆ秋の昼 えいじ
子のひとり獅子もて歩く秋まつり えいじ
秋空に髪をひとなでドライバー たかを
イヌサフラン木戸あかるくす留守の宿 ほたる
墓仕舞ひ赤土抜ける秋の風 康子
名も知らぬ祠に供ふ木の実かな 澄子
真青なる南中白き上り月 みきえ
こぼれ萩掃くのが日課石畳 みきお
運動会スマホ競ひて吾子を追ふ ふさこ
誘ふは古の京藤袴 あひる
大稲田パズルのやうな螺の道 やよい
デッサンの鉛筆2B鳥渡る 幸子
取り入れた洗濯物も秋湿り 明日香
新涼や一足伸ばす宮参り みきお
風吹て下草受ける露の玉 愛正
桜いまもみづる頃や寂しゆゑ 幸子

2024年10月11日

しもた屋の細き露地より弓張月 ぽんこ
農家経営の店や今日より今年米 こすもす
よちよちの吾子の夢見る夜長かな えいいち
月明かり双輪の影長くあり 智恵子
バーゲンや秋の着替への戦利品 ふさこ
秋空にクレーン見えて歩を向ける たかを
牛舎まで白樺黄葉続く道 むべ
虫しぐれ靴紐しかと締め直す やよい
朝寒や手洗ふ水のほのぬくし やよい
フジバカマに一服もよし旅する蝶 千鶴
ふれ太鼓途切れぺちゃくちゃ秋神輿 えいじ
地元野菜の定食ランチ今年米 こすもす
暗闇にふと立ち止まる金木犀 みきお
天高し牽牛子塚の白映えて 明日香
草紅葉丸く囲めり英霊碑 なつき
秋の夜の飛行ライトの星座なる きよえ
一品のかぼちゃスープや古民家カフェ きよえ
大学芋味見に消えし厨かな あひる
グランドの歓声果てて虫の声 康子
摩天楼映す広池秋澄めり 山椒
秋さやか牧に散らばる放牧馬 澄子
名刹の謐けさ破る添水かな 澄子
からからと転げ跳ねたる煎り銀杏 えいじ
吾に跳ねる一匹の鯉天高し ほたる
猫パンチ鎌振り上げるいぼむしり みきお
筆染むる写経堂の月明かり 愛正
燈火親し遺句読み更ける闇の夜 ほたる
京なればほんに品よき萩葎 せいじ
ひと揺れに進むゴンドラ秋気澄む 幸子
墓山をほどよく囲む曼珠沙華 愛正
大屋根に紅葉の積もる廃墟かな たかを
横を向く乙女の月や秋の宵 えいいち
霧雨にけむるタワーの摩天楼 智恵子
英霊碑前に忘れしサングラス なつき
冬よ来い今日取り替えし給湯器 あひる
中洲なる商都にぎはふ秋の昼 もとこ
亀石の眠たげな顔秋うらら 明日香
昼の月チラ見させたる千切れ雲 康子
色かへぬ松大威張りせる一寺 せいじ

2024年10月10日

秋夕日波頭染め行く駆けるごと きよえ
水ナ底に魚の影引く秋澄めり やよい
昃れば秋気漂う草の原 えいじ
トンネルを越せば京都府秋の虹 こすもす
我が影の電柱めける秋の夕 風民
三角点山頂の風爽やかなり 愛正
左見右見手入れ良きなる萩の宮 ぽんこ
しろがねの漣走り帰燕どき 澄子
薪を割る音の響きけり冬隣 みきお
雲海の彼方富士山抽んでし むべ
身にあてる服は秋色ショッピング えいいち
旧街道塀一列に彼岸花 なつき
七五三の幟はためく花の寺 こすもす
露地ゆけば裏戸を攀じる蔦紅葉 康子
短冊のホ句も鑑賞萩の苑 あひる
吟行は牛歩さながら萩の宮 せいじ
潮風も友とせん松色変へぬ きよえ
爽涼や海風通す天守閣 千鶴
豊の秋炊き込みご飯の香り良き 智恵子
稲雀畔の祠をひと巡り 澄子
蕭条と休む神輿に秋の雨 えいじ
散る柳茅葺き屋根に数葉あり 愛正
体操はいつも立ち位置猫じゃらし たか子
天高し築山囲む心字池 康子
木犀香届く五階へ窓の人 智恵子
秋の昼ステンドグラスやはらかき もとこ
萩宮の茶に一福の異邦人 あひる
大蘇鉄見上ぐ秋空異国めく なつき
庭水を引き寄せるかに地摺萩 せいじ
木犀の散るや寺町鍛冶屋町 幸子
航跡の翼下に眩し秋の海 むべ
道祖神右は初瀬と彫られをり 明日香
鳥渡るいつもの山へまつしぐら ふさこ
木陰より見送る棺法師蝉 みきお
酔芙蓉大庄屋塀よりのぞく 明日香
歓声の外シーソーに秋日濃し 風民

2024年10月09日

しょぼしょぼの雨を呑み込むゑのこ草 えいじ
半東の袴真つ白亭涼し 康子
吊橋のロープ奪うや赤蜻蛉 愛正
アンチエジングてふかるた取り秋ひと日 やよい
公園のカラフル落葉今日は雨 こすもす
シーソーの下に桜の落葉かな こすもす
玻璃窓のビルに拡ぐる鰯雲 もとこ
水面を走る笹舟秋の風 愛正
明日香路や棚田の畦は彼岸花 明日香
茶事を待つ深き庇や風さやか 康子
民宿の庭木にアヒル浮き輪揺る 智恵子
足元を照らす鳥居の曼珠沙華 ぽんこ
棹立てて小舟一艘葦の原 山椒
日をうけてちらりと光る薄紅葉 えいいち
駒繋ぎ八釣の里の秋深む 明日香
土瓶蒸し並ぶ座敷に正座なす 智恵子
神宮の玉砂利踏みて森さやか 山椒
木の実降る水輪相打つ潦 澄子
穂紫蘇摘む実しごき散らす夕仕上げ ふさこ
まとまらぬ思考長き夜もんもんと たか子
曼珠沙華黄の大輪や庭変える 董雨
枝豆の茹でたてを食ぶ厨かな むべ
旻天やハングライダー風たわむ ほたる
屋根直し古家の守り秋深む 千鶴
参道のいつしか濡れて萩の雨 あひる
朝まだき放屁の音や草の虫 えいじ
秋霖のしづけさ破るひよ鋭声 むべ
露つきて朝日の潤む宿の窓 えいいち
大路ゆく秋の日傘に照り返し 澄子
ひそかなる紅八方へ水引草 あひる
御籤めく短冊はホ句萩の宮 せいじ
有漏路なる身にてもとほる萩の宮 せいじ

2024年10月08日

秋風や招き猫ゐる風呂屋跡 えいじ
借景の構図替へたる松手入 たか子
二人分のレシピの多しきのこ飯 こすもす
達筆の短冊ながめ萩の宮 ぽんこ
出かけたしされど秋霖羨みし ふさこ
秋風を受けて笹舟加速せり 愛正
入選の知らせありけり秋の昼 みきお
新涼やいただきますに犬も来し えいじ
掃くさきに散る柿落葉とどめなく 千鶴
秋の雨平家落人眠る里 山椒
残る虫昔たばこ屋ありし辻󠄀 幸子
穂芒の供へられたる式部像 せいじ
時雨来て渡る道路にスマホ落つ 董雨
渓谷のホテルの窓に霧迫る 幸子
飛び石で向こうの土手へ曼殊沙華 なつき
射的屋の的を落とせり秋の風 風民
棚雲の朝日こぼるる小鳥くる きよえ
千年を湧き継ぐ水に秋の影 あひる
ゲリラ雨去て眩き虹ふたつ 智恵子
秋気澄むひと日普請の鎚の音 風民
雨上がる鳥語飛ぶ朝秋の声 きよえ
せせらぎの川面をかくす秋の草 明日香
庭涼し作務衣の僧の京言葉 せいじ
二の鳥居くぐれば萩の路となる あひる
秋霖に寄り添う鳩の含み声 智恵子
隣家には紅白揃う水引き草 こすもす
水澄むや甌穴映る歪み顔 愛正
二代目のせつかち過ぎる松手入れ もとこ
青信号携帯拾い秋時雨 董雨
草踏んで踏み出す一歩虫時雨 なつき
一歩づつ息絶えだえの登山かな みきお
碑に防人歌や荻の声 むべ
桐下駄の軽き音して秋湯治 千鶴
末枯の蔓に小さき雀瓜 むべ
曼珠沙華焼杉塀を綴りけり 康子
薄紅葉森の展けし青空に 康子

2024年10月07日

萩こぼる宮名水に口漱ぐ はく子
土鍋炊き新米今朝の主役かな 千鶴
爽やかなり奥利根渓を渡る風 愛正
藤袴アサギマダラの神秘かな 明日香
置き忘れ告ぐる人有り秋日傘 みきえ
縮緬の小物作りや秋深し こすもす
冷やかな早瀬の風に一葉落つ えいいち
ゆか仕舞ふクレーン車堵列京の秋 せいじ
黄柳の揺るる堀端地蔵尊 愛正
山霧の走り山容おぼろげに 千鶴
欄干や飛石づたい秋の人 ぽんこ
湯上がりのコーヒー牛乳秋の夕 みきお
避難する非常階段ひつじ雲 みきお
指つなぐ男女にほのと香水香 なつき
露しとど泪ばしりの営業車 えいじ
足止むる木犀の香に捉へられ 風民
バス停に暫し見送る秋日傘 澄子
明け暮れをパナマハットの案山子かな 幸子
青天や丘の果てまで曼珠沙華 むべ
渓谷へ紙の舞ふごと秋の蝶 康子
さはやかや御諏訪太鼓の撥さばき 風民
大橋を潜るタンカー秋の波 みきえ
閑かなる山の湖畔に月二つ えいいち
秋霖や猛猛し季を納めけり たか子
名水に淹れし珈琲秋澄めり 澄子
萩の風短冊揺らし句の踊る もとこ
小湊をオレンジに染め秋夕焼け 智恵子
変化富むことわざ通り秋の空 明日香
秋晴れや櫓貫く木の相輪 えいじ
残菊やワインの赤を透かし見る 幸子
ハロウィンの期間限定てふメニュー せいじ
秋扇握りお手上げ若き棋士 あひる
松手入れ終へて梢に射す夕日 康子
露地さやか亀甲竹の節模様 むべ
鯛焼きの小豆も地産朝の市 なつき
稔田に農婦の頭見え隠れ やよい
説教の佳境に止まる扇かな あひる
閉店の吊られしままの秋風鈴 きよえ
肩車の帽子目じるし秋祭り ふさこ
傘杖にそっと降り出す秋の雨 きよえ

2024年10月06日

秋霖に籠りて夕餉大ご馳走 智恵子
登坂の風爽やかやペダル漕ぐ せいじ
街角の恋の水てふ清水かな なつき
丹精の七色咲ひて曼珠沙華 きよえ
次の一手思案している秋扇 あひる
もぎ立ての唐黍光る朝の市 山椒
里の森花咲き初む藤袴 きよえ
久方の嫁取りばなし瀬戸の秋 ふさこ
巫女の持つ鈴の緒揺れて風さやか 明日香
歌碑句碑の居並ぶ御室花ふよう ぽんこ
針付きを知らぬ人増ゆ赤い羽根 こすもす
いつよりが晩年桜もみづれり 幸子
群鳥の零れ落ちくる刈田原 やよい
里山の路傍に灯る夕化粧 せいじ
「かしこみ」はじまる祝詞宮さやか 明日香
少年の四股踏む土俵宮相撲 千鶴
席を立つ佳人の卓の秋薔薇 澄子
綱の目の残る秋刀魚や煙立つ みきお
車より体の手入れ秋深む たかを
祭の灯じっと見つめる能登の祢宜 山椒
湯けむりやゆらゆら上る秋の空 えいいち
稲刈りや左回りにコンバイン みきえ
芒の穂かき分け進む苑順路 康子
銃眼を通ひきたるは葛の風 澄子
犬駆くる曼珠沙華咲く土手長し 千鶴
夕風や秋明菊の立ち姿 むべ
放される丹頂鶴のゆうゆうと 董雨
ひいふうみいたちまち増ゆる蜻蛉かな 幸子
氏神の願掛け草鞋秋日濃し なつき
木造のホーム下より虫の声 えいいち
塩水のま白き湯気や煎り銀杏 えいじ
新涼や竹林のぼる水陽炎 康子
条幅を押さふる文鎮秋の風 愛正
朝まだき珈琲啜る音も秋 えいじ
ポリ袋被るシデ棒秋祭 みきえ
紫の桔梗偲はゆ五十四帖 もとこ
蟋蟀やシーツよぎりし音もなく ほたる
秋霖やリード咥えて座る犬 智恵子
山粧う心にとどめ句帳閉ず 愛正
秋霖や見え隠れする山の峰 みきお
オリーブの実る家みな新しき あひる
下向の灯峰巒ゆるく秋の空 董雨

2024年10月05日

爽涼や五体愛しむやうに撫づ たか子
長き夜や開く聖書の註解書 せいじ
芋焼けば老母の口もと明るかり あひる
刈り終へて笑顔のままや案山子展 康子
蛇穴に入る修復の表門 幸子
肩こりを忘れて一途栗を剥く うつぎ
玄関の引き締まるなり秋手入れ みきえ
ひと鉢を濃紫染め野紺菊 智恵子
秋薔薇の蕾小昼をまどろめり 幸子
試し買ふ耳かき細し暮の秋 なつき
銀杏の実揉めば野趣なる香り立つ えいじ
稲田風岬を超えて海原へ 智恵子
萩の花句会場となる寺があり ふさこ
手の塩も舐めてひと口煎り銀杏 えいじ
明日香来て女渕のあたり秋丁字 明日香
芸術の秋に呼ばれて出かけをり 澄子
髷結へぬ出世頭の力士かな 千鶴
山盛りの林檎におまけに傷りんご なつき
将軍てふ受賞のドラマ観る夜長 千鶴
秋雨や相傘で来る老夫婦 むべ
コンビニの周りは田圃虫時雨 みきお
対局は秋たけなはの能舞台 せいじ
風往なす薄の穂の招きかな ぽんこ
でこぼこの榠樝しつらふ京町家 もとこ
秋刀魚焼く明日は彼の誕生日 こすもす
草の花名前添へある茶室かな 康子
稲の穂の弧の幾万や畔を行く あひる
草の原見え隠れする秋の蝶 こすもす
逆上がり出来たと云ふ子秋の雲 みきお
瀬戸の秋夕日沈めて人去りぬ きよえ
庭木刈る髪整へるごと気配りて みきえ
雨垂れやショパンに纏ふ秋思あり 澄子
薄掛を握りて目覚む秋の朝 えいいち
青空や干物カラット天高し きよえ
蟷螂のダリアに縋り眼の虚ろ うつぎ
川底に沈みし紅葉なほ紅く 明日香
栗飯に不揃ひの栗喜寿の卓 むべ
十月の雨にしとりと鳥歌ふ えいいち

2024年10月04日

カーナビを頼りにどん着き庭の柿 智恵子
指で足る程度の実り庭の柿 こすもす
湯上がりに一枚羽織る秋の夜 みきえ
紫苑咲く矍鑠として対しけり みのる
山々の呼吸するごと霧走る 明日香
ハチ公前迷路疲れの穴惑 ほたる
筧よりきらめき落つる秋の水 むべ
秋津翔ぶ大空かなた入り日さす 千鶴
昃れば紫苑の蝶もゐずなんぬ みのる
双蝶のひそひそ話藤袴 うつぎ
萩揺らし舞殿に風踊りゆく もとこ
こんこんと欄干叩く川の秋 えいじ
曼珠沙華覗けば草の万華鏡 康子
水澄むや水面に揺らぐ千切れ雲 愛正
幼な子のポケット膨らむ木の実かな みきお
塀外に出でては戻り秋の蝶 うつぎ
風吹けど列の乱れぬ鰯雲 みきお
墓に添ひ迎へるやうに彼岸花 えいいち
天高しぐいと伸び切るクレーン車 風民
ましら芸秋天に沸く拍手かな 澄子
子芋煮る食品ロスを止めにけり みきえ
一水の映す赤白曼珠沙華 康子
闇の野に白波のやうな芒の穂 えいいち
秋の雨傘は遊具に濡れし子等 ふさこ
鯛一尾丸ごと炊けり今年米 千鶴
稲架の間に隠れんぼかな雀どち 智恵子
ひつそりと紅葉を映す隠れ沼 明日香
紅葉して桜も昏き役所裏 幸子
包丁で指をな切りそ栗を剥く せいじ
団体の砂利踏む音や神の留守 なつき
疎らなる実のつき具合庭の柿 こすもす
秋霖のやがて上層雲となりゆけり たか子
釣瓶落し曇日ならばなほ早し きよえ
掃くもよし掃かざるもよし溢れ萩 澄子
三時間歩きて十句鰯雲 えいじ
一村に大字小字菊残る 幸子
身に享くるマイナスイオン滝しぶき むべ
羽化もせず狭庭の隅の菜虫かな 愛正
秋風が大門抜ける転法輪 ぽんこ
栗届くたんとお食べと第二弾 せいじ
鶺鴒の走るかに餌を漁りをり きよえ
異国語の一団過ぎて小鳥来る なつき

2024年10月03日

草紅葉下に眠るは若き皇子 明日香
吾亦紅夕日纏へば影法師 みのる
小鳥来る聖書輪読せる屋根に あひる
天空の青を仰ぎて曼珠沙華 風民
零戦の小さき座席曼珠沙華 澄子
手洗ひに花梨の香る美術館 あひる
雨の止むはや庭の木に小鳥くる きよえ
大空へ黄のいやまさる楝の実 えいじ
久に見る二十度表示秋の雨 こすもす
首伸ばし銀嶺仰ぐ黄秋桜 山椒
お迎へを外に待ちをれば秋の声 せいじ
古書店の奥の奥まで秋日射 みきお
行く秋や自己中心の終活す 董雨
追慕てふ小径に散れり百日紅 なつき
大漁旗掲げ小湊秋刀魚くる 智恵子
秋霖や一人静かにお茶を汲む みきお
倒れ癖つきし紫苑をひと括り みのる
涼新た一期一会の掛字かな むべ
盗人萩すき間ななめに通り抜け なつき
小流れの楽を間遠に添水の音 康子
土竜道砦となりし曼珠沙華 愛正
秋の雨静かな夜明け能登祈る きよえ
ベンチへとなだるる萩の屑掬ふ 康子
シャガールの蒼き夢世に月一つ もとこ
さやけしや鳥語聴き分く神の杜 やよい
新涼や腹の虫さえ鳴き初めし えいじ
川に落つどんぐり土に触れぬまま 風民
葛の花杖置きいたる登山口 千鶴
消えし窓灯りし窓や虫の声 うつぎ
秋の蝶現れるかな水を打つ 明日香
碧眼の佇む大門天高し ぽんこ
印相を結ぶ細蕊曼珠沙華 山椒
Vの字に一羽遅れの渡り鳥 幸子
雨脚を縫ひ来る風や秋涼し せいじ
カールして白と競ふや彼岸花 ふさこ
ひややかに葉隠の滝見え初むる えいいち
秋の音伊香保石段下駄の音 愛正
参道の左右に綴る曼珠沙華 澄子
石鎚の峰より発し川澄めり 千鶴
丘陵に見送る風雲赤とんぼ 智恵子

2024年10月02日

書机の写経小窓の夕月夜 愛正
夕映えて仰ぐ棚田の稲架襖 せいじ
タオル地を羽毛の夜具に秋迎へ たか子
秋蒔きや風吹くままに種遊び ふさこ
真夏日の続く十月レース編む 千鶴
簡単なレシピ調べて茸飯 こすもす
妻の声補聴器耳へ老の秋 たかを
奈落へと墜つる大滝紅葉山 山椒
秋晴れや鳶の縋りし木の相輪 えいじ
薄もみぢ左見右見していろは坂 智恵子
風とおる軒端に榾の積み上がり あひる
水草に遊んで親子鴨の池 きよえ



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