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妻たのし土堤を悠悠土筆採る えいじ
生まれ変わる駅前ビルの街春思 そうけい
春寒し入線を待つのぞみ号 豊実
土用波叩いて進むポンポン船 みきお
落語聞くアトラクションや春の午後 こすもす
駐在に置かれし袋春野菜 愛正
スーパーのカートの下に雀の子 きよえ
美容院へ母を促す卒業の娘 そうけい
堰落ちて逸る瀬波に風光る 康子
店じまひの早し足助路春時雨 なつき
沈丁花門扉の固く閉ざされて 澄子
啓蟄や手を振る園児お散歩に 満天
黄水仙風強くとも直ぐに立つ きよえ
ふらここを待つ子等の笑い声 智恵子
春雨の止むや否やの薮の騒 明日香
春光を撒く激つ瀬の飛沫かな 康子
強東風にヒマラヤスギの雄花散る かえる
風の葉の雨光れども春寒し えいいち
枯色に明かりを灯す山茱萸の黃 ぽんこ
廃校の芽吹き逞し運動場 愛正
春の夢枕を濡らし目覚めけり みきお
春疾風去りて出番の古箒 みきえ
ぽんぽん船ふくらむ気持ち牡蠣筏 智恵子
春霧の山迫りくる陣屋跡 なつき
春眠や肘落ち目覚む刹那かな みきえ
クレソンに水ゆき渡る日なたかな 澄子
里しづか笑ひ初めたる四方の山 やよい
花びらの白雪に溶け零れけり 山椒
柔らかな槙の新芽の浅黄色 明日香
春雨の屋根打つ音に眠りけり あひる
水温み旅の誘ひの次々と わかば
長閑けしや岬廻りのバスの旅 わかば
うち仰ぐ白亜の天守風光る せいじ
春泥の小径に続く藁筵 むべ
褒められて手抜き恥じたり豆乳鍋 あひる
ぽつぽつと土手明るくし黄水仙 もとこ
蓑虫の空蓑吊るし芽吹きけり みのる
春愁や鏡におのが心見え うつぎ
寒菊も盆にのりくる茶房かな むべ
春水を一擲したる瑠璃はなに みのる
飴ふたつからころなめて月朧 えいじ

2024年03月05日

凍解や裏木戸までの古絨毯 愛正
行く時も帰任も涙人事異動 山椒
草萌やロゼツトすくと立ち上がり むべ
菜を洗ふ手に柔らかき水温む わかば
桜咲く親はカメラに子は走る そうけい
春光や堰落つ水の音高く やよい
今日の雨曲水憂う杯の雨 えいいち
ふんわりと巻く薄紙や雛仕舞ふ あひる
虫塚を白く照らせる竹の秋 康子
春灯の雨にけぶりつ夜の更けり きよえ
飴なめて犬とながむる朧月 えいじ
十七音春に春に初めて春に終わり えいいち
山笑ふ俯瞰する寺箱庭に 康子
嫁の手を借りつ春野の下り坂 たか子
軒低き油問屋の燕の巣 なつき
菜の花や苦味を好む歳となり もとこ
啓蟄や害虫つけた菰はずす 満天
山々は新たな色や木の芽時 満天
媼らも少女の顔に雛の前 みのる
本降りの雨に末黒野匂ひ消ゆ 千鶴
焼失の傷癒やすべく山笑ふ みのる
春しぐれさらりと上がり空まさを 明日香
里山の春竜胆に気付く今 智恵子
春竜胆這い蹲ひて左見右見 智恵子
芽柳や溢れんほどの濠の水 せいじ
風揺らす小筆のごとし姫寒菅 むべ
数多の目はや散る羽目か彼岸桜 そうけい
樹下に佇ち桜謳うがごとく咲く えいじ
赤札の手袋並び春近し 山椒
雲生る河津桜の水鏡 ぽんこ
勤王の志士の碑囲む落椿 こすもす
パチパチと土手焼く音や川向ひ 千鶴
低空を鳶の群飛す春の空 せいじ
いくつかの椿咲かせて庭しづか 澄子
池の鯉優雅に動き水温む わかば
ひと送る灯ともし頃の朧かな 澄子
喇叭水仙塀沿い気ままに日に向う 愛正
啓蟄の大雨小雨目覚むかな きよえ
秒速を競ふ少年風ひかる かえる
紐解ひて眠り遠のく夜半の春 かえる
立ち読みす肩に触れたる吊し雛 なつき
初筏山の恵みを存分に 明日香

2024年03月04日

うららけし高層マンション城正面 千鶴
小綬鶏の我すりぬけて土手下る そうけい
武者窓に俯瞰す城下風光る みのる
何探す残雪の田のこうのとり こすもす
恐竜の指めく根株下萌ゆる 千鶴
木洩れ日の照らす林道名草の芽 愛正
占いの波波迦の木肌社日かな 明日香
花溢れ人の溢れて淀水路 わかば
春疾風右へ左へ病み上り もとこ
男坂夕日の照らす青き苔 康子
丁寧に雛仕舞たる妻の背な えいいち
放たれて酢水の独活のしろさかな 澄子
啓蟄や列島の土蠢蠢めきぬ みきお
枯色に小さな緑あじさいの芽 ぽんこ
祈りいま絵馬に届くや梅香る 智恵子
雨晴れて落葉縁なす潦 せいじ
雛の声混じりて揺るる白鷺の巣 せつ子
水に映ゆ河津桜の並木道 わかば
春光や果てなく伸びる飛行雲 みきえ
香匂ふ本屋の梁の吊し雛 なつき
春夜市灯りて月のあがり来る 澄子
大股の靴跡残る春の泥 みきお
ちやかちやんと花見の嫗の鼻歌す えいじ
日陰にて彩を潜むるいぬふぐり かえる
希少なるバスに乗れたり春の町 みきえ
つついては鳴きまた続く木の芽の鳥 そうけい
こうのとりウロウロする田水温む こすもす
締め付ける血圧計よ春寒し 隆松
耕人の郷関出でず老いにしと みのる
神話なる天香久山春淡し 明日香
白酒や連と散歩の百花茶屋 えいいち
ロケ写真の若き主や春火鉢 なつき
根上がりの縁を彩る青き苔 康子
野火忽と我に向へり風変はり うつぎ
竹林のくいぜ器に春の露 むべ
野遊びの児の手を握りママ体操 きよえ
凍ゆるむ畦に字形の鳥の跡 愛正
強東風や折れ枝の撒かれし朝の苑 かえる
伐採の対象となり蘖ゆる うつぎ
空よ山よ光溢るる春スキー 山椒
春耕の土黒ぐろと貸農園 満天
銀輪の吾に抗うや春嵐 あひる
春夕日犬が促す帰り道 きよえ
ビル街の春雨はまだひんやりと 豊実
子午線の町に日時計風光る せいじ
春の芝つぐみ啄む光かな むべ
お花見のホーム仲間のピースかな えいじ
神楽聴く参道の笑み梅日和 智恵子
水仙の花冠小雨に傾ぎ初む あひる
蛤の椀に潮騒聞こえけり 山椒

2024年03月03日

春日浴ぶ草木も径も里光る きよえ
教会で会ふ義姉の苞蕗の薹 わかば
堅牢なる櫓の内部冴返る 千鶴
採れとれの丹精いろいろ春野菜 満天
青空へ手足を伸ばし野に遊ぶ みきお
雛に沓捧ぐ仕丁の裸足かな かえる
竹筒の花器に顔出す蕗の薹 康子
白菜の花咲いてをり五株ほど 明日香
春光や元気漲る畝二本 明日香
賽銭を握り背中の温きかな 康子
四歳になりし双子や雛祭り こすもす
塩の道トロ箱並べ菊根分 なつき
何処からも五重の塔や植木市 もとこ
堀返す家庭菜園春の土 みきお
寒鯉の動かぬと云ふ力かな たか子
春うらら狭間を覗きて遠景色 みきえ
審判の研修日とや芝青む せいじ
遣水に花穂隠したる菖蒲かな むべ
戦機なす一の貫く春の月 えいじ
仁王の筋骨隆に冴え返る ぽんこ
腹心の彼も鬼籍や春愁ふ みのる
雪柳ほつほつ呟き漏らすかに うつぎ
里の土香の懐かしき蕗の薹 わかば
古びるもいよよ華やぐ雛の家 かえる
病床に読書三昧春の昼 やよい
玄関の雛に目細め配達夫 あひる
シルク帽樹冠を覆うたびら雪 愛正
ぶらんこの下の大きな水溜り 豊実
背伸びして取入れ待つや春大根 きよえ
のけ反りてくぐる山門梅真白 なつき
寄す波の優しさを知る春意かな 智恵子
川なかば威嚇飛翔の春の鴨 えいじ
上出来の絵てがみ夫婦雛なる うつぎ
城櫓武者窓あけてお風入れ みのる
落椿真紅の色も褪め朽ちて 千鶴
早春の香りに駆ける牧の馬 智恵子
踊る雛つま弾く雛も奥座敷 あひる
車座で夜宴をしをる雛どち せいじ
木蓮の紫つぼむ朝かな むべ
梅が香や鼻より吸て鼻へ吐く えいいち
ジーパンに膝のぞかせて春寒し 満天
卒業子投げよ学帽高空へ 山椒
無人駅軌道脇の名残雪 愛正

2024年03月02日

賑やかに枝から枝へ鳥交る みきお
蕗の薹摘て纏ひし香と帰宅 智恵子
どこからか横笛の音や青き踏む せいじ
春禽の止まりし洞の仄昏し むべ
立ち止まる信号を越え梅かほる えいいち
梅が香をまとひて朝事僧の列 愛正
瀬戸の夕沖行く船の灯霞む きよえ
湧水のほんの浅瀬に蝌蚪の紐 澄子
素朴なる風体が好き紙雛 せいじ
にぎやかや梅散らしたる小鳥どち むべ
駈けつこの遂に寝転ぶ犬ふぐり うつぎ
ほろ酔ひに春満月の家路かな うつぎ
頭上なる桜満開謳い咲く えいじ
多羅は芽を摘まさじと棘ただならず みのる
主なくも芽吹く梢や垣根越し 愛正
夕東風や雨の運河の石畳 豊実
列車みな春の眠りの中にをり 康子
高階に俯瞰す春の大夕焼 やよい
朝九時に始まるカフェや春の雪 こすもす
冬の富士山並遥か輝けり 山椒
春日燦マーガレットの白はじく はく子
花冷や左右に軋む電車かな みきお
媼等の宴たけなわの雛の間 あひる
球児らの声高らかや芝青む みきえ
木漏れ日にまた蘇る落椿 みきえ
星一つ月に寄り添ひ冴返る 満天
ビル間より光る遠嶺残り雪 康子
種の殻冠り地に出ず双葉かな かえる
破れたる寺の塀より桃満開 ぽんこ
沈丁のひとひらちさき口開く 明日香
春来る花柄になる缶ビール えいいち
山茱萸の咲くを気になり訪ひ行ける わかば
公園の無音となりて春寒し 満天
喬木に鳥の巣数多春愁 わかば
燦然と冬の東京タワーの灯 山椒
たばこ屋のゆがむ玻璃戸や雛飾る なつき
留守居して迎ふる庭に梅香る もとこ
水底に砂紋きらめく春の川 なつき
日時計の影の刻みや春浅し 千鶴
人去れば踊りだすてふ雛飾り あひる
春眠やテラスの犬と至福時 智恵子
ポスターに泪の跡や春の雨 えいじ
直売のバケツに値札ヒヤシンス かえる
冴え返る苑に幽かに鹿威し 澄子
手作りの蛤ひひな玄関に きよえ
日矢洩れて射抜くなぞへの落椿 みのる
お堀端剪定されし松清し 千鶴
ひな飾りデコパージュ風生きてきて 明日香

2024年03月01日

地蔵堂本尊前に雛飾り なつき
おのが葉にひつかかりたる紅椿 えいじ
踏青や盲導犬と歩を合わせ みきお
揺れに揺れ花粉を放つ杉大樹 やよい
塩の道炭火で焦がす草の餅 なつき
春疾風なかば運ばれ老女来る 澄子
頑なな土峰打ちに田打鍬 みのる
椿喰ふ鳥の狼藉詮も無し 澄子
手水舎に山より春の水溢る 千鶴
雨催ひ空に染みゐる月朧 かえる
夜桜や艶めくうなじ闇に消え みきお
廻廊や僧衣の揺らす梅の香 愛正
朝霞東の山谷棚引けり きよえ
春めいて鉢の表面土動く 明日香
自転車を将棋倒しに東風強し 満天
花ことば添へたる花壇芽吹きけり 康子
人形師に投げ銭する子春の昼 むべ
寄り添いてグランドゴルフ春北風 たかを
雑踏の駅構内に桃の花 みきえ
ふらここや漕ぎて並びて順番こ 康子
窓辺より見ゆ二上山春の雲 ぽんこ
屋根を打つ音色雨水に転じをり かえる
準備よき傘自慢して春時雨 あひる
瀬戸海に並ぶ数多の牡蠣筏 わかば
享保雛商家の縁にお披露目す 智恵子
はこべらの五弁の白は十に裂け むべ
のどけしや硯の海のすぐかわく 明日香
掛け布団一枚足して足延ばす たかを
翔平の噂に国の春来たる たか子
真夜にうち仰ぐ下弦の月朧 せいじ
黒々と土柔にして春の雨 えいいち
ぴょんぴょんと梅花を弾く梅次郎 えいいち
眺望の播磨の灘は春霞 わかば
お供えのぼた餅作り餡炊いて こすもす
波戸の夕波を浮輪に春の鴨 きよえ
重たげに莟溢れる寒椿 そうけい
霜降りのようになぞえの犬ふぐり えいじ
名も知らぬ木々芽立ちたり遊歩道 愛正
下萌を潤す今朝の雨静か 満天
春愁やふと挙げし腕皺たたみ もとこ
春暁や妻の寝言と鳥の声 豊実
春疾風カラカラ唄う風見鶏 智恵子
ビオトープにも立金花春は来ぬ せいじ
土咬んで離さぬ田打鍬叱る みのる

2024年02月29日

幾重にも葉に包まれてカリフラワー 明日香
冬萌の土手滑る子やダンボール みきお
春眠や俄に軋む居間の音 豊実
ゆるり行く濠の和舟に春炬燵 みきえ
アルバムを飽かずに見るや春炬燵 満天
寝てる間に終はる散髪春うらら 康子
啓蟄や始歩の病棟幾まはり やよい
缶コーヒー若芝避けて石の上 智恵子
二月尽女子サーカーのパリ切符 きよえ
年重ぬも心華やぐ雛祭 きよえ
高度下げ雀超えるや冬の川 たかを
お前もか眠れぬ夜に浮かれ猫 もとこ
敷石を進まば藩廟梅に佇つ 愛正
砂嘴浜の渚にあそぶ残り鴨 みのる
繙くは文語の聖書春の塵 むべ
竹幹の雨に艶やか二月尽 素秀
春炬燵将棋の棋士の名を覚え あひる
対局の棋士の面に花明り せいじ
空の色なして群生犬ふぐり えいじ
うたた寝の人ばかりなり春列車 山椒
閏日や狭庭に募る春の雨 せいじ
まなぶたの一重艶めく古雛 澄子
さるぼぼの跳ぬる丸まる吊し雛 なつき
譲り合ふ千本鳥居風光る 康子
残雪に非ず遠山春の雪 こすもす
百歳の齢かさねる母の雛 ぽんこ
明日香路や佐保姫の舞村中に 明日香
無縁塚へ人幅の道青き踏む なつき
蜜蜂や群れて八の字描いてゐる えいじ
父母の忌や郷に梅花の咲き満ちて あひる
川沿の朝日を纏ふ猫柳 満天
閏日や夜間ドライブ雨の中 千鶴
定規筋朱の山門に白き梅 愛正
啓蟄やビル屋上の花壇にも みきお
囀に発言の止む会議かな むべ
卒業期チョンと背中にランドセル そうけい
夜のミモザ雨に深まる色となる わかば
潤びれば緑明るき若布かな かえる
子どもらの品定めせる吊し雛 かえる
一本の芯貫けり冬木立 山椒
花ミモザ空の蒼きへ烟るごと わかば
あたたかや水を持ち上ぐ鯉の口 澄子
卒業期登校子等の声高き そうけい
太梁につるし飾りや雛の宿 みのる
黒猫の枝飛び移る梅二月 素秀
桃源郷トンネル灯り桃色に 智恵子

2024年02月28日

テーブルは書類だらけや納税期 せいじ
朝一にガソリン満タン山笑ふ こすもす
打ち寄する波に若布や瀬戸の海 きよえ
雛の家に子の背を越へる桐二本 素秀
フレームにテンポ刻むや花麒麟 えいじ
書肆あるじ払ひに払ふ春の塵 みのる
春月や夜気潤へる森の木々 むべ
春雨の軒打つ音と二度寝かな 素秀
庭園の飛石伝ひ水温む わかば
冬木立幹隆々と風に立ち 山椒
高架橋照らす浅間の雪景色 愛正
思ひ出や二見の若布子と掬ふ きよえ
夕されば寒緋桜の灯りたり むべ
不意つきてぼたと音する落椿 えいじ
春寒し更地に箪笥捨てにけり 満天
路地裏に逃れ一服花疲れ みきお
春曉の満月西に白じろと やよい
雨上がり歩道光るや犬ふぐり 満天
菜の花の鉢結界に土雛展 なつき
春寒や商店街また店を閉ず 山椒
いとおかし昭和の話おでん酒 えいいち
背伸びして羽ばたきにけり春の鴨 はく子
老ゆ犬の歩みに合わせ春帽子 澄子
満開の河津桜の揺れやまず 澄子
書を閉じて微睡む母や春の午後 智恵子
五色幕ゆるりと揺らせ春の風 かえる
春の海コーヒー香るカフェテラス 智恵子
下校子の囲む畦道蕗の薹 みきお
春北風ペダル重たし耳痛し みきえ
蔵出しの古雛美しき商家かな なつき
春泥を気にせず走る三輪車 康子
鳥帰るわが家の上を通過中 あひる
熊よけの鈴鳴り渡る春登山 愛正
厨よりながむ綿雲風光る 明日香
池の面打つ風優し春の水 わかば
春寒や六尺に臥し子規を読む もとこ
抽斗に香を潜めて豆雛 あひる
桜鯛海にほり投げ島びらき 千鶴
消えかけし目鼻へ春光なでぼとけ かえる
草萌ゆる明るき庭や雨後の朝 康子
追越のオープンカーや春嵐 こすもす
測量の杭打ち込まる犬ふぐり みのる
入力の指の強張る納税期 せいじ
花堤ほとりに小さき釈迦御堂 はく子
電車待つホームに奏づ春の人 みきえ
朝戸繰る眩し春光容赦なく 明日香
春天の相輪まぶし五重の塔 ぽんこ
肌白し一刀彫の雛人形 豊実

2024年02月27日

山菜採り山路あちこち「熊注意」 愛正
医師の指示なりし朝寝をな咎めそ みのる
匂ひくる路地片隅に沈丁花 康子
腹撫ぜて座せる妊婦へ春の風 かえる
日脚伸ぶ農夫畑打つ影長し 千鶴
真鯉来て鱗きらめく水の春 むべ
蒲公英のそっと一輪園の径 きよえ
啓蟄や防虫剤を改むる 智恵子
朝寝して赦されている誕生日 あひる
結び切る合格絵馬の赤き紐 なつき
あちこちの山々消すや春しぐれ 満天
合格の校名光る受験絵馬 なつき
春の泥明日はリフトの最終日 豊実
強東風にしぶきを飛ばす水車かな 康子
雨雫背きあいする雪柳 ぽんこ
金柑の艶煌めきてたわわなり 山椒
気まぐれな空模様なる余寒かな 明日香
春寒に籠る一日や積める書を わかば
春寒や日の有るうちの模様替へ 素秀
春の鴨川面に顔を映しゆく むべ
鳴き交はす声頼もしく鳥帰る あひる
掛け違ふ釦のままに吊るコート 澄子
春はやて危うく消えてしまふとこ もとこ
白き肩出して一列大根畑 みきえ
季移りて投げ売りさるるシクラメン かえる
孫の目に飛機とヘリと春の空 あられ
朝刊を取るや西空月おぼろ 明日香
飛び石の茶屋の植込み竹の秋 きよえ
納税期強壮剤を飲みていざ せいじ
泥つきのままの筍朝の市 みきお
満開の河津桜に雨やどり えいじ
常濡れの不動明王に冴返る ぽんこ
けふは汝の生まれし日なり梅匂ふ せいじ
覗き呉る顔のおぼろや麻酔覚め やよい
里山に見つけ佇む木付子かな 智恵子
来てはすぐ飛び去る小鳥庭余寒 満天
春炬燵書にふけて微睡に入る わかば
春の旅誘ふカタログ次次と みきえ
穴を出て早くも蟻の道づくり みのる
春北風転がりやまぬ塵袋 澄子
密やかに鴨場に添いし残る鴨 えいいち
スーパーの伊予柑目引く大鏡 愛正
飛行機とヘリとセスナと吾子の春 あられ
ふんわりと光りに紛れ初蝶来 みきお
雨降つて遊具に遊ぶ寒雀 えいじ
冴返る手術前夜の臍掃除 やよい
総会の声突く媼春嵐 そうけい
検温にうつつに戻る春の夢 素秀

2024年02月26日

スカートの裾を捕へる春疾風 康子
干し物を取り込む今日は四温晴 せいじ
唸り上げ竹しならせり春疾風 山椒
幟あれど人まばらなる梅祭 千鶴
桃色の吐息溢れる雛座敷 智恵子
下校子の笑顔で会話春しぐれ 満天
芽吹き待つ土には余るほど甘露 明日香
青ぬたの酢を利かせたる好みかな たか子
春夕日樹木の奥へと差しにけり えいいち
底冷えるレグウオーマーつけ夕厨 そうけい
春寒し広場ななめに抜けゆける 澄子
助手席の君は春陽に微睡ぬ 智恵子
撫で牛の鼻面ぬくし梅日和 なつき
猫柳天へと伸びし芽の千手 山椒
春風や遠回りしてポストまで こすもす
おしやべりをやめたるインコ春眠す みのる
春寒や猫はいつでも指定席 こすもす
リハビリの杖と一緒に青き踏む みきお
白壁に影なす揺らぎ紅椿 ぽんこ
なぞへには若返る草あちらこち 明日香
曇天の稜線著るき春の山 わかば
花ミモザそろそろ訪ふを忘れまじ わかば
残雪や山襞の筋あらわなり 愛正
繰り返す卒業ソング校舎裏 せいじ
たんぽぽの空に僅かに近くなり えいじ
ブンブンと屋台を鳴らし風車売り 素秀
縮緬の赤子ほほえむ吊るし雛 康子
寒戻り左右に揺れる庭の木々 たかを
春浅し裁ち鋏の手に迷ひなく 澄子
今日一日振り回されし春の空 満天
熊鈴の揺らぎ止まらぬ登山道 愛正
犬抱く身を切るごとし春北風 むべ
龍天に後追うやうにドクターヘリ 素秀
春雨の映る大門にわたずみ ぽんこ
グーで勝ちグリコ三段遅日かな 豊実
いつの間にこんな齢に春寒し はく子
春の鴨絶へず水掻く流れかな むべ
賛美歌の音痴な二人春灯下 あひる
戸車の軋む玄関冴え返る みきお
散る梅やいぼ取り石に貼りつきぬ なつき
バス停の木々に強風寒戻り そうけい
限定のうぐいす餅の最後尾 かえる
ぬいぐるみ貰ふ生まれ日温かし あひる
釣り上げし鮒下萌に七転す みのる
寒戻り窓に露生す山の宿 かえる
初蝶の不意に真白く浮きにけり えいじ

2024年02月25日

春雨の大阪マラソン三万人 満天
盛上がるここだけの話外は雪 こすもす
手分けして春採れえんどう千切りけり 千鶴
落椿ベンチの端に忘れ物 康子
水仙のひと茎折れて雨あがる 澄子
芽を出さぬとて苗札を疑ひぬ みのる
近づけば囀りの止む小籔かな あひる
さるぼぼの垂れ目吊り目やつるし雛 かえる
水ぬるむターンの飛沫競艇場 素秀
ただいまとランドセル背に春炬燵 智恵子
入学児少し太めの服を着て みきお
梅香る玉砂利の音や天満宮 智恵子
首の凝り手当てほぐせり春の風邪 なつき
曇り来て破れ屋に咲く水仙花 えいじ
雛の客着せ替へ人形抱いて来し なつき
林道を歩まば居立つ百千鳥 愛正
一冊に旅して暮るる春の雨 澄子
曇天の甍に孤高の春の鳶 かえる
冴返る乗客ゼロの路線バス 千鶴
親指の裂く伊予柑や頭数 愛正
沖を行く隠す船影春暗し わかば
春の雨溝ひとり占め鷺やをら みきえ
茫漠と大樹に透けて朧月 せいじ
垂れ下がる干し物の間に朧月 せいじ
籠りての雨のマラソン春炬燵 満天
野に遊ぶ子らの影のび春夕焼 あひる
白梅やウエディング如ポーズして きよえ
春うらら親子で遊ぶ里公園 きよえ
夜の更けて花弁仕舞しチューリップ えいじ
春霞踏んまへて立つ大架橋 みのる
イタリアンの店満席や雪景色 こすもす
春の川水面に綺羅の日を反す わかば
春灯や学者の友と神談義 むべ
外套の胸元仔犬顔出せり 山椒



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