すいすいと下る二輪に春の風 | みきえ |
杖に良き枝並べられ登山口 | あひる |
踏まれても目地に花咲き菫かな | わかば |
藁庇よりしづくして春の雨 | みのる |
猫もまた春眠貪る出窓かな | 澄子 |
島巡る海上タクシー養花天 | みきお |
香を薫く独りの時の楽しみと | わかば |
あと五段のぼればゴール山笑ふ | せいじ |
春場所やざんばら力士活躍す | みきお |
飛び跳ねるおしゃまなスーツ卒園児 | 山椒 |
室の中春の蜜柑や甘くなる | 明日香 |
父母の思ひ出尽きぬ彼岸入 | なつき |
杜の樹々打つ音は剣道春疾風 | そうけい |
さにづらふ色の地平の朝霞 | えいじ |
塀超へて蕾綻ぶ花かりん | かえる |
厳めしき胸像の顔春愁ひ | 山椒 |
鳩独占養生中の春の芝 | せいじ |
2024年03月16日 | |
弁当の箸の音たて春朝明 | えいじ |
春雷や埴輪の妊婦口開けて | みきお |
老耄の歩みを誘ふえくぼ花 | えいいち |
かむなびし遅日の寺門潜りけり | 澄子 |
空真青綾子生家に梅かほる | やよい |
街角のホ句に湯冷めす道後の湯 | 康子 |
足弱と共々散歩青き踏む | ぽんこ |
春寒やネクタイ直す写真館 | 豊実 |
艶の葉に真紅の椿映え盛り | えいいち |
トラクター前に後ろに春耕す | かえる |
花言葉も添へて山茱萸大瓶に | こすもす |
しらす丼春の江ノ島鳶の笛 | 智恵子 |
見晴るかす京を沈めて春霞 | あひる |
車椅子降りてベンチへ春の風 | 満天 |
トラ柵もひつくりかへる春疾風 | えいじ |
雛の宿地酒と古銭飾りたり | なつき |
父倒る辛夷の花の咲きし頃 | 山椒 |
逆光の人影おぼろ春茜 | みきお |
無住寺に僧侶入りたり彼岸入り | 愛正 |
彼岸参絶えぬ古刹の池めぐり | 愛正 |
寒暖の上げ下げ激し入彼岸 | 千鶴 |
貼りたてのマルチへ迫る春の霜 | かえる |
紅白に咲き分け枝垂る梅一本 | 千鶴 |
土筆飯野の香ただよふ夕厨 | わかば |
何をするでも無く長閑花壇愛ず | たか子 |
福寿草可憐五葉の松の下 | せいじ |
社のタブ群れる莟に春の風 | そうけい |
繰れば祠これ御神木落椿 | そうけい |
写真撮る人あり店頭の山茱萸 | こすもす |
低き軒連ぬ街道つばめ来る | なつき |
賜わりし春日全身浴ぶひと日 | 明日香 |
突然に鯉の跳ね上ぐ春の池 | 康子 |
七色の架橋望みて春の宵 | わかば |
山桜蕾綻び天仰ぐ | きよえ |
スカーフに替えて外出春うらら | みきえ |
通学路背中に朝日春日燦 | 満天 |
学び舎の窓にひとひら春光る | 智恵子 |
細波の黄金に光る鴨の池 | きよえ |
卒業子友にコサージュ直さるる | むべ |
落椿沙弥の箒に履かれけり | みのる |
旋回の鳶を見下ろす春の山 | あひる |
天鵞絨の苔に安らふ落椿 | みのる |
芭蕉枯る魑魅魍魎はかくもあらん | せいじ |
ビル影にひかり残れる遅日かな | 澄子 |
春の草やさしく抱く御土居かな | もとこ |
ストックを土産にもらふ謝恩会 | むべ |
紋黄蝶初心者運転ゆらゆらと | 山椒 |
あちこちに耕人の影土をどる | 明日香 |
2024年03月15日 | |
花菜畑諸鳥連れてあさりゐる | そうけい |
春夕日群を離れて番鴨 | きよえ |
身をよぢり咲ける辛夷の白さかな | 澄子 |
地を跳ねて出虫喰らふ春鶫 | えいいち |
ブレザーの釦に聖句卒業子 | むべ |
春光や灯籠続く松並木 | 豊実 |
熊鈴の夫があと来る春の山 | あひる |
春先は新物の文字あふれてる | 明日香 |
影の枝に花咲く如く梅の散る | かえる |
白辛夷空貫きて咲きにけり | 山椒 |
咲き満ちて香りの河津桜かな | わかば |
段丘を風吹き上ぐる桃の花 | 澄子 |
播磨灘沈む夕日の朧なる | きよえ |
杖の妻気遣ふ夫や花の坂 | なつき |
先人の町起こしなる花堤 | せいじ |
鶯とおぼしき声や夕散歩 | こすもす |
菜の花の春を頂く酢みそ和え | 明日香 |
花杏枝天を突き満開す | 満天 |
春愁やなにも出来ない日の続く | わかば |
駒返る草に白髪のジョガーゆく | えいじ |
春雨や傘持ち替へて由緒読む | なつき |
春の川鯉気持ちよく日にあたり | 満天 |
隈笹の覆う小道や残り雪 | 愛正 |
小流の短き滝へ春の虹 | かえる |
初蝶や車往き交ふ道を越え | えいいち |
機上より紙吹雪めく残り雪 | 康子 |
ため池を漁る白鷺水温む | 千鶴 |
広池を一閃二閃ゆりかもめ | みのる |
側溝へ雨ともろとも花の塵 | えいじ |
春雨に濡れる湯上がり温泉街 | 康子 |
観潮や大渦現し奈落かな | 智恵子 |
啓蟄や去年の傷のむず痒く | もとこ |
柱状節理仰ぎ春愁わすれをり | やよい |
空畑の一面ピンク仏の座 | そうけい |
壁叩くががんぼの脚折れ易く | みきお |
まず咲くと満作の花名乗り上ぐ | たか子 |
保護者席よりメゾ和せる卒業歌 | むべ |
春の堀木屑のごとく亀の首 | ぽんこ |
足跡を渚に残し磯遊び | 智恵子 |
翩翻と桜まつりの幟旗 | せいじ |
日矢の空沢筋光る残り雪 | 愛正 |
公園の天使の像も日向ぼこ | 山椒 |
お目かしの犬もモデルに花の中 | はく子 |
吾を鹿と思ひ頑張る春登山 | あひる |
春場所や舞妓の観に来浪花かな | みきえ |
なずな咲く家庭菜園何作ろう | こすもす |
二合寿司祀りて配る社日かな | 千鶴 |
流し雛手を振り別る女の子 | みきお |
春水をへだてて手話を交はしけり | みのる |
2024年03月14日 | |
青芝のつんと突き出る潦 | 康子 |
犬の背をこすりつけたるはこべ野や | むべ |
制服のはちきれさうな卒業生 | 満天 |
いぬふぐりここにあそこにむかうにも | 明日香 |
壺焼の傾きジュッと灰鳴らす | 智恵子 |
蹲の水面静かな遅日かな | 澄子 |
まちまちの高さの土筆まだ青し | こすもす |
桜餅食む川風を頬に受け | あひる |
囀れる森を眼下に展望台 | 康子 |
ひと群れのきもの乙女や花の下 | あひる |
卒業生背中の小さきランドセル | 満天 |
異国語の人垣溢る桜道 | わかば |
洗濯物妻はベランダ涅槃西風 | たかを |
花堤行けば戊辰の戦死者碑 | せいじ |
高さ違う土筆二本や空青し | こすもす |
春光ややっと役所の外に出れば | たか子 |
野点傘立てし床几や桜餅 | みのる |
倒木に腰降ろし聴く百千鳥 | 澄子 |
溝五位と撮り人の間の静けさや | えいいち |
木星に下がる釣り舟春の月 | みきえ |
湯のたぎる浜小屋に来し若布刈舟 | 千鶴 |
七色の淡き色合いしゃぼん玉 | ぽんこ |
ぼんぼりを吊し待ちたる初桜 | なつき |
小屋裏の除雪の山に鳥騒ぐ | 愛正 |
楠大樹風に溢れし春落葉 | えいじ |
日も風も羽ばたきさえも暖かや | きよえ |
隈笹の斜面に随所残り雪 | 愛正 |
菜に交じりはこべ湯掻かる浅緑 | むべ |
昔日の戦場はいま花堤 | せいじ |
信号を待つ人見上ぐ花ミモザ | かえる |
たんぽぽの笑顔に会える散歩かな | 明日香 |
初桜写真撮り合ふ夫婦かな | なつき |
木蓮の花芽は天を向いてをり | 豊実 |
啓蟄やもぐらの穴もあちこちに | えいいち |
翳す手に朝日受けつつ青き踏む | かえる |
玉砂利もはねて掃除の春落葉 | えいじ |
大の字に緑額縁山笑う | もとこ |
シンコ漁解禁日のみ打ち切りに | きよえ |
紅の河津桜のいと美し | わかば |
お迎えの春雨傘を高く掲げ | みのる |
百合鴎戻り賑わいはふ隅田川 | 智恵子 |
紅白の混ざりたる梅枝垂れをり | 千鶴 |
キラキラと岸辺に溢る春の水 | みきお |
竹林のそよと鶯谷渡る | やよい |
2024年03月13日 | |
春の夜独りの時間書に耽る | わかば |
麗かな野に日曜は育児パパ | えいいち |
太ももに隙間ありける春寒し | もとこ |
群がって波に揺揺のこる鴨 | きよえ |
眼鏡屋のレンズにならぶ春光 | あひる |
逆回りの婆とまた会ふ春の苑 | かえる |
蜜蜂の膨るるやうな羽音かな | えいじ |
春雨に思ひの残るけぶる街 | そうけい |
進級に荷を持ち帰る下校の子 | 愛正 |
裏山に赤白見らるや藪椿 | 愛正 |
駅舎出で身震い一つ寒戻る | 智恵子 |
もう逢へぬひとと語らふ春の夢 | かえる |
いばりしてまた啼きにゆく春の猫 | えいじ |
玄武洞神在わすかに涅槃西風 | たか子 |
終点の濠に釣人花堤 | せいじ |
父母に似し眼鏡かけたる雛の絵 | なつき |
スズメ蜂の巣はそのままや余寒あり | こすもす |
いま落ちしばかりの椿家苞に | みのる |
静かなる御堂に聞ける百千鳥 | 康子 |
永日を友と楽しむ美術館 | 智恵子 |
震わせる小鷺の脚に温む水 | えいいち |
煤煙のモンスターかな霞に消ゆ | きよえ |
連れ歩く犬とて春のベスト着せ | 満天 |
裏木戸の透かし彫より黄水仙 | むべ |
春障子揺るる枝先写しをり | 千鶴 |
タクト振る指揮者の如し柳の枝 | 山椒 |
疾風に色薄れゆく風車 | やよい |
道沿ひの小さき花壇菜の花を | 満天 |
城壁に飛び交う影や春の鳥 | 康子 |
思い馳す木々の実りや剪定日 | わかば |
パーフェクトな一日はなし彼岸前 | こすもす |
老ひ母の長き告白春愁 | むべ |
ギャラリーは土蔵造りよ雛飾る | なつき |
大百足虫脚を揃へて止まりけり | みきお |
目標はこの三叉路の紫木蓮 | 澄子 |
香久山に雲居たなびき春の靄 | 明日香 |
老母話し出すをさなき日春の夢 | あひる |
仰向けに落ちやすらへる椿かな | みのる |
春雨やバス停前の香に酔いて | そうけい |
犬連れて思ひ思ひの花の午後 | せいじ |
長き脚競うが如く蜂の舞い | たかを |
彼方より飛行士帰還春の海 | みきえ |
花椿一枝影置く火灯窓 | 澄子 |
ブロンズの踊る少女に春の光 | ぽんこ |
くぐもるる鳩の声する木の芽晴 | 千鶴 |
何処より香りの便り沈丁花 | 山椒 |
病む母のベッド動かす薔薇満開 | みきお |
黒マルチピンと張る畝春の虹 | 豊実 |
春場所は難波を歩く丁髷に | 明日香 |
2024年03月12日 | |
絡み合ふ枝幹に透くる山椿 | 愛正 |
山茱萸の黄をちりばめし青天井 | せいじ |
雲梯を握る指先春の雲 | みきお |
蜜鳥や花に埋もれて蜜を吸ふ | えいいち |
子の笑顔のごと大輪の紅椿 | 満天 |
春潮や河口犇めく都鳥 | 澄子 |
水鳥のフンに注意と標多々 | せいじ |
観音山下りは早し芽吹き風 | なつき |
調度みな昭和レトロや雛の宿 | みのる |
シンボルの鼓楼に春陽出石城 | たか子 |
縁石に日の斑あふる春落葉 | ぽんこ |
回廊を火の粉の雨やお水取り | 千鶴 |
美智子妃に似たる昭和の女雛かな | みのる |
窓際に洩れて日矢さす春の朝 | えいじ |
春の雨何するもなく煎茶淹れ | もとこ |
春夕日身を寄す鴨や河川敷 | きよえ |
厨のあさり闇に寝言の多きかな | 智恵子 |
鈴の緒の美しき岩戸や春社 | 明日香 |
杉枝に隠れ鳴けるや春の瑠璃鳥 | えいいち |
麗らかや白猫発光するごとし | 澄子 |
残る実の川面に映る金鈴子 | あひる |
しゃぼん玉ぱちんと潰す飛沫かな | かえる |
思わざることの次第や春愁 | わかば |
春祭だんじり唄の練習日 | 千鶴 |
春陰や閉じて久しき古水門 | むべ |
摘草を溢しては摘み子ら笑ふ | かえる |
近道の畔ぬけゆくや草萌ゆる | みきえ |
頬杖をつきてベンチの暖かさ | えいじ |
雨情歌碑のバス停野口春あられ | なつき |
囀りやリフトゆるりと山頂へ | 康子 |
引き潮にアタックしつつ残る鴨 | きよえ |
雛あられなぜか残るは白ばかり | 智恵子 |
大空の高枝野鳩の日向ぼこ | あひる |
ものの芽は日差しより雨待ちにけり | 満天 |
下校児の合唱たのし春の畦 | やよい |
歩く事思うに任せず春愁 | わかば |
雨上がり日矢に色付く春の山 | 康子 |
集落に時を知らせる鐘朧 | みきお |
天降り付く天香具山春しぐれ | 明日香 |
な忘れそ今年こそ蒔く花の種 | こすもす |
僧侶の手一枝に一輪玉椿 | 愛正 |
山小屋のテラスにそよぐ花ミモザ | 豊実 |
春雨に鴉の濡羽明るかり | むべ |
2024年03月11日 | |
貰ひ風呂帰る夜道や冴返る | みきお |
ふらここを漕がず内緒の話かな | かえる |
霞立つ船影淡く凪の海 | わかば |
老梅の枝に鳥鳴く火灯窓 | 智恵子 |
東北の旅反芻す震災忌 | 千鶴 |
春あられ古雛ならぶ中馬道 | なつき |
城崎の湯殿に春の入り日かな | たか子 |
野となりし祖父の家跡つくし摘む | あひる |
不意にきしボール春野へ蹴り返す | えいじ |
のどけしや風を捉へて鳶の舞ふ | わかば |
郊外の車窓に現れし桃の垣 | 智恵子 |
突風に風花舞ふや風と去る | きよえ |
剪定の音響きたる神の杜 | 康子 |
白木蓮や焼き餅如く膨らまん | えいいち |
桟橋を打つ波ばかり鴨帰る | えいいち |
玉串を供へ一礼花椿 | 豊実 |
春田打ち響く快音柔き土 | みきえ |
ポップコーン弾けゆくごと初ざくら | あひる |
かはいいは買わぬ台詞よ苗木市 | なつき |
門灯に寒緋桜のつやめけり | むべ |
水底に揺らぐ斑日水草生ふ | 澄子 |
陽と水とほんの手加へ春栽培 | 千鶴 |
水温む身じろぎもせず白鷺に | 満天 |
ものの芽や戦火逃れし民家あり | 澄子 |
震災忌役所は半旗掲げをり | やよい |
春炬燵の席で観賞映画館 | こすもす |
春の野に雀追ひたるをさな子や | むべ |
引き揚げし転覆船に月冴ゆる | 山椒 |
船渡御の雛を池に浮かべけり | みのる |
筆の花ゆびのさきまでまつくろに | えいじ |
高松塚帽子の形風光る | 明日香 |
田園の広ごる里の山笑ふ | きよえ |
外堀をたたら走りす春の鴨 | ぽんこ |
飛機雲の消ゆる海原朝霞 | 康子 |
胡蝶蘭そっと当てたる春日影 | みきえ |
蘖を咥えお澄まし楠大樹 | かえる |
庭の奥蕾膨らむ沈丁花 | こすもす |
春場所の地元力士の技見事 | 満天 |
さくら餅上座に置かる子供椅子 | 愛正 |
春めくや筋力もどすゆつくりと | もとこ |
水温む鳥の水かき疾く動き | せいじ |
祭日の宮司の祝詞白椿 | 豊実 |
光満つ牽牛子塚の白き春 | 明日香 |
雛の座に四川を描く屏風かな | みのる |
貴婦人の香れる如し沈丁花 | 山椒 |
一斉に飛び立つ鴉春怒涛 | みきお |
満水の濠に鴨どちランデブー | せいじ |
2024年03月10日 | |
手を振って見送る春の雪時雨 | うつぎ |
鐘の音の間遠に響く朧かな | 澄子 |
切先が水面持ち上ぐ菖蒲の芽 | みのる |
掛け違ふパジャマのボタン春の風邪 | なつき |
からつぽのふらここ風の揺するまま | かえる |
桜隠し愛でる朝日にひと雫 | 智恵子 |
春眠し椅子より転ぶ奈落かな | ぽんこ |
折り雛の並ぶ改札無人駅 | 愛正 |
豊作を約束したり田水沸く | みきお |
着地して水輪広がる春の川 | もとこ |
卒園の小さき手包む握手かな | あひる |
烏二羽春のベンチを占拠かな | えいいち |
雪解けや鳥声零す黒き樹々 | そうけい |
ぽこぽこと蕾ふくらむ利休梅 | 明日香 |
うつむいて貝母の花は何思ふ | 明日香 |
あんをんと亀の浮きたる春の川 | えいじ |
速攻で鴨上陸すパンめがけ | せいじ |
かくれしは袴の山のつくしんぼ | えいじ |
パーカーに胸輝かせ新入生 | 山椒 |
皿そばを重ね重ねて但馬春 | たか子 |
吟行や集合場所は梅見茶屋 | みきお |
セーターを洗ふ遺品の金盥 | みきえ |
ものの芽の膨らむ雨となりにけり | 澄子 |
商店街帽子を飛ばす春疾風 | 山椒 |
海風の通えばむせぶ菜花畑 | 智恵子 |
満ち潮の川に群れゐる春の鴨 | わかば |
春禽の小枝咥へて巣に急ぐ | せいじ |
ゆつくりと子らあるきたる春の星 | むべ |
職人の名を書き連ね由緒雛 | なつき |
春見つけペンを取り出すホ句楽し | かえる |
蒼天の海に白帆の風光る | わかば |
春場所観戦の娘等さがすテレビ画面 | こすもす |
枝垂梅今年も来たよ語る人 | きよえ |
沈丁花ほんのり香る雨上がり | 満天 |
卒園証書掲げママへと突進す | あひる |
木蓮の蕾綻び紅光る | きよえ |
春霞四方の島浮く瀬戸の海 | 康子 |
大根葉らしき一株庭隅に | みきえ |
桃の花活けて句会や皆笑顔 | こすもす |
紅薄く香り微かな桜餅 | 愛正 |
城の狭間覗けば頬に春の風 | 康子 |
春時雨傘かさんとて追ひかけり | うつぎ |
うすぎぬの天蓋富士に春の雲 | むべ |
春先に来るは富山の薬売り | 千鶴 |
目柳や温泉街は人まばら | やよい |
ドッグランリード放てば春疾風 | えいいち |
梅花散る若き旅立ち見送りぬ | 満天 |
さざ波の静まれば見ゆ菖蒲の芽 | みのる |
2024年03月09日 | |
春雨に濡れる車窓やのぞみ号 | 豊実 |
地の塩になれと餞卒業す | みのる |
乱帙の机辺に春の愁ひあり | みのる |
城下町貸し振袖や風光る | 明日香 |
点々と小さき芽吹き狭庭にも | こすもす |
鳥の巣を仰げば顔に小枝落つ | せいじ |
雨粒の光る枝先木の芽吹く | 満天 |
桜咲くカメラ仲間の笑い声 | えいじ |
枝垂柳押し分け見たる遊舟場 | 愛正 |
破れ目に花の切り張り春障子 | 千鶴 |
読みさしの独りの時間春炬燵 | わかば |
蝶のごと走る少女や花ミモザ | あひる |
春風や手荷物多き下校の子 | 愛正 |
もう晴れて無かったことに春の雪 | もとこ |
瑠璃窓の額に数多の花椿 | 澄子 |
花名札なき犬ふぐり煌めけり | 康子 |
春爛漫中年女子のバレエ団 | 山椒 |
雄藩の誇りに聳ゆ春の城 | たか子 |
切り株の大きに腰掛け日向ぼこ | かえる |
ひたひたと水寄す池塘芽吹く木々 | せいじ |
家敷門覗くミモザの花明かり | 智恵子 |
淡雪や靴のかたちに解け初むる | かえる |
賓頭盧と並ぶ古雛地蔵堂 | なつき |
健康は自信有りやと新社員 | みきえ |
ふらここの高みに子らの靴の裏 | 康子 |
春寒し枝はらわれし学び舎に | 満天 |
軒先に吊るす紙雛風の道 | みきお |
戸を繰れば川の向かふに山笑ふ | こすもす |
さよならを言ふ三叉路に風花す | あひる |
夜半に積む昼には消えし春の雪 | そうけい |
術後の身外湯に癒す春ごころ | やよい |
陶器雛九谷大皿屏風とす | なつき |
突風に髪の逆立つ余寒かな | ぽんこ |
ものの芽の日裏日表なる遅速 | 澄子 |
風光る赤屋根に映ゆクルスかな | 智恵子 |
自撮りする芽柳の揺れ膨らみて | 明日香 |
春色のお揃いの服双子の娘 | 山椒 |
草の間を抜けて水路に春の月 | えいじ |
二輪とて明し狭庭のミニ水仙 | そうけい |
小さき手に溢れるあられ雛祭 | みきお |
帽子飛び畑の端まで春疾風 | 千鶴 |
池の辺に競ひて並び菖蒲の芽 | わかば |
縫ひ付ける刺繍半衿春の午後 | むべ |
2024年03月08日 | |
囀りや窓開け朝の厨ごと | 康子 |
ほ句愉しすぎて春愁など無縁 | みのる |
背を割って不意に飛び立つ天道虫 | みきお |
大人へと巣立つ子の祝今朝の雪 | そうけい |
春雨やそぼ降る夜の暖かし | えいいち |
春霞沖のタンカー異国めく | 智恵子 |
朝ぼらけ狭庭に雪の綿帽子 | 山椒 |
水草の流る側溝数多生ふ | きよえ |
バイオリン修理の木屑春ともし | むべ |
風強し波立つ水面水草生ふ | きよえ |
妻採りしつくしんぼうのほげてゐる | えいじ |
菜の花を揺らす雀の尾っぽかな | かえる |
足湯して春のみぞれも何のその | 明日香 |
喬木の暗きを明かすミモザの黄 | わかば |
本落とす音に目覚める春の夜 | 愛正 |
春の苑光纏わす和服美人 | かえる |
喜寿迎へぬまま逝きし友春寒し | こすもす |
咲き満ちて春の草花香の高く | わかば |
うっすらと皇居の芝に朝の雪 | 智恵子 |
幌かかるスワンボートにゆりかもめ | せいじ |
筒入りの卒業証書不明かな | うつぎ |
足裏で探ぐり掘り当つ小竹の子 | 千鶴 |
春眠の顔は天使やおしやまさん | みのる |
プードルの乗るベビーカー花の道 | あひる |
マフラ-に包まれ目だけ出す守衛 | 山椒 |
実ばかりか幹もすべすべ藪椿 | せいじ |
箒持て姉さん被り仕事雛 | なつき |
苗木市城のふもとの小賑わい | たか子 |
群生の花三椏のまだ白し | やよい |
冴返る星空よぎる飛機ひとつ | みきえ |
思い出せぬ小話ひとつ朧月 | こすもす |
座る位置おのずと決まる日向ぼこ | みきお |
次つぎと訃報の連絡春寒し | 満天 |
番鶏つかず離れず春の昼 | なつき |
舞殿に笑む花嫁や風光る | 康子 |
指先で揉めば香散る山椒の芽 | 愛正 |
イエローのコート取り出し春を待つ | もとこ |
城崎の柳の芽吹きあと少し | 明日香 |
助詞一字思いあぐねし遅日かな | 千鶴 |
斑雪野となりし朝にひよ鋭声 | むべ |
突端で釣り人に会ふ花堤 | あひる |
おもはざる桜隠しの朝かな | 澄子 |
春雨や裾野だけでも富士は富士 | 豊実 |
つくしんぼう袴脱ぎ捨て横になる | えいじ |
混み合いの残る一輪藪椿 | ぽんこ |
病む鼻に香り届けし春の風 | たかを |
春疾風農に就く子の背ナにかな | たか子 |
白木蓮や枝先すべてつぼみなり | えいいち |
春暁や小さき富士を浮かべたり | 澄子 |
2024年03月07日 | |
古の彩あはれなり土雛 | 澄子 |
地蔵尊へ満開の桃供華として | 満天 |
さらさらと流る川辺の水温む | きよえ |
春の夢枕を濡らし目覚めけり | みきお |
のどけしや糺の森の流れ清む | わかば |
水温む鯉の動きも早まりて | 満天 |
堰落ちる泡の白さや川の春 | 明日香 |
六千歩目ざして抱く桜餅 | ぽんこ |
と見る間に水に戻りぬ春の雪 | かえる |
芽柳の風に膨らむ蔵の町 | 澄子 |
賓頭盧の見つむる御目のあたたかし | 康子 |
春風に止まぬビオラのダンスかな | あひる |
柳芽や淀む名残の船着き場 | 愛正 |
淡雪の溶けて儚き染みとなる | かえる |
昔日を思ひ遅日の須磨にあり | みのる |
散り惜しむ若き一枝の梅の花 | えいいち |
神前のぶつかり稽古落椿 | 豊実 |
一人居に年ごと増ゆる吊し雛 | なつき |
庭深く吉祥草の紅実る | むべ |
太鼓橋上つて下りて春たのし | 明日香 |
野水仙風に抗いイナバウワー | 智恵子 |
杉美林縫ひて囀り届きけり | こすもす |
百鉢の芽吹き急ぐを見守れる | うつぎ |
山門を照らす一輪紅椿 | 康子 |
サクサクと雨後の草引く春の畑 | 千鶴 |
露草を掻き分け進む犬の鼻 | みきお |
子らの描く絵雛口開け大笑ひ | なつき |
うららかや廃校カフェにひと休み | やよい |
ばら寿司を埋む豪華なる桜鯛 | 智恵子 |
雨上がる万物芽吹く里の山 | きよえ |
震災を記録すと碑に風光る | せいじ |
春祭り鼻におしろい稚児の列 | 山椒 |
いざ咲かん力漲るこぶしの芽 | 山椒 |
春休み空き室有りの学生街 | 愛正 |
立金花なだれる春の光かな | あひる |
家路ゆく足傷つきし狸かな | むべ |
初花や風に震えて一二輪 | もとこ |
殿様の駕籠に春塵城櫓 | せいじ |
啓蟄の土を撒き出す重機かな | えいじ |
明石の門波の子もなく風光る | みのる |
玉子とじ一番美味し土筆採る | えいじ |
白木蓮の芽の裂け出し白きもの | えいいち |
春巡る朽ちし犬小屋母屋さえ | たかを |
のどけしや草花展の一日旅 | わかば |
ブルーシートの覆ふ土俵や春祭り | こすもす |
2024年03月06日 | |
俊と立つ雨一輪の桜草 | えいいち |
老人学園入口にある雛飾り | こすもす |
雨上がり庭びっしりと落椿 | 満天 |
胸の花挿すままに去ぬ卒業式 | かえる |
桜咲く絵文字並ぶや合格と | 千鶴 |
日時計が待合せ場所春麗ら | せいじ |
夜明くれば白銀の街忘れ雪 | 山椒 |