無人家の茂るがままに雀の家 | きよえ |
梅雨の月ほどなく雨に消えにけり | 澄子 |
生垣に重なり積もる竹落葉 | きよえ |
対局の棋士の手涼し駒を打つ | あひる |
片蔭の来た道戻る夕散歩 | えいじ |
ゆつくりと青葉のみ込む疏水かな | もとこ |
下校子のしたたかに濡れ雷雨急 | むべ |
水茄子の蔕もぱくりと味見かな | あひる |
幾千の紫陽花谷を埋めたる | せいじ |
草いきれ回り道す淀の土手 | ふさこ |
捩花の上昇指向の三センチ | たか子 |
夏芭蕉あをき葉陰を深くせり | むべ |
朝採りのとうもろこしを茹で上げり | 山椒 |
盛り過ぐ四葩は隅より錆始む | かえる |
ミニトマト日ごと覗けど色替へず | よし女 |
秘境宿癒やす調べの沢の音 | 愛正 |
神籬の万葉の香や五月雨 | 明日香 |
冷んやりとせせらぎの音夏料理 | みきお |
風鈴の音軽やかや部屋の中 | 智恵子 |
雨近し峡田を低く燕飛ぶ | うつぎ |
梅雨近し晴れて込み合ふ美容室 | 満天 |
酌すれば雫の垂るる冷酒瓶 | かえる |
サウスポーの大先輩や麦藁帽 | こすもす |
霊岩に寄りて涼風賜はれり | なつき |
雨上がり水辺に傾く花菖蒲 | 愛正 |
うっすらと日の出四時半夏至の候 | 千鶴 |
蜘蛛の糸垣根に雲海ごとく湧き | 康子 |
糠床の茄子食べ頃や藍の色 | 康子 |
点々と土の匂いや梅雨に入る | えいじ |
2024年06月19日 | |
振り返る紫陽花園の出口かな | せいじ |
道狭し何処から集う夜店人 | 董雨 |
雨しとど紫陽花の毬地にキッス | せいじ |
唐菖蒲花の芽朱色のマニュキュア | 山椒 |
野の百合の息吹きかへす花瓶かな | かえる |
白シャツに眩しき朝日サラリーマン | 康子 |
砂もぐれ進む蚯蚓や伸び縮み | みきお |
夏の蝶葉陰に蜜を吸うてをり | 風民 |
沢蟹の渉るはやさや潦 | むべ |
林立のセコイア映る夏の堀 | ぽんこ |
十薬の八重垣なせる空き家かな | 澄子 |
三百人余のグランドゴルフ夏日射す | こすもす |
カフェテラス翁のギターの音涼し | 康子 |
沢登り掴む岩間に沢の蟹 | 愛正 |
池一面畳敷くごと青葉風 | きよえ |
緑陰に開きし父の愛読書 | むべ |
幼手で小さき夏蝶バイバイす | きよえ |
今年竹風の虜に抜きん出し | 満天 |
行く道中は気付かず通過合歓の花 | こすもす |
草ひたし浅き出水の疾さかな | 澄子 |
卵産む夏の田螺は困りもの | 明日香 |
吉野窓開き日の差す夏座敷 | もとこ |
大雨に復興一日蟻の国 | なつき |
川沿ひのチェーンソー響く猛暑日に | 満天 |
立葵バス待つ子らと背比べ | 智恵子 |
大河終ゆ一揆の寺の蓮白し | なつき |
畑仕事手作り弁当夏帽子 | みきえ |
濡れそぼる四葩の窓よりノクターン | かえる |
冷やしたるペットボトルを頬に当て | あひる |
滝落つるやうに青鷺放るりをり | えいじ |
梅雨の入りほつほつ落つる紫雲木 | えいじ |
我が影に蹲りては草を引く | うつぎ |
ほおたるを放てば松の高みへと | あひる |
入梅や田んぼ畑の忙しくて | 明日香 |
雨上がり網戸張替へ風を待つ | みきえ |
兜虫怒り貌してよく売れる | よし女 |
ほとばしるダムの放流桜桃忌 | 千鶴 |
サンダルのぐずれば脱げるおんぶの子 | 風民 |
来る人の予定なけれど水を打つ | よし女 |
三色の冷麦のあり子の笑顔 | みきお |
一閃のバットに西瓜砕けたり | 山椒 |
水芭蕉尾瀬の木道去り難し | 愛正 |
2024年06月18日 | |
夏萩やアーチの天を目指しをり | 康子 |
飛行機雲写す代田雲揺るる | きよえ |
繁殖期闘志みなぎる親鴉 | みきお |
走り根に苔鮮やかに梅雨近し | 満天 |
屈みたる野草ガイドに玉の汗 | 康子 |
桜桃忌けふの夕焼け美しく | たか子 |
枝下げて泰山木の花見せむ | あひる |
紫と紺に染められ紫陽花園 | 山椒 |
鰹たたき昼の配達待ちて食ぶ | 董雨 |
誕生日のケーキはやめて生ビール | こすもす |
梅雨晴れ間残りの草に草からし | 董雨 |
泰山木開かむとする白さかな | あひる |
人溢れ竹の皮散る嵐山 | もとこ |
白薔薇の淡きみどりへ咲きすすむ | むべ |
滴りは指に流れを転じけり | かえる |
ただいまと佇む玄関手毬花 | 智恵子 |
夕方のひつじ草みな閉じゆける | 澄子 |
麦飯で育ちし子今傘寿なり | みきお |
土砂降りに彩の醒めたる額の花 | ぽんこ |
殻摘んで色を増したり薔薇の園 | なつき |
手で割きし水茄子漬や糠香る | むべ |
ジャムにせんとて夏茱萸を捥ぎ集め | よし女 |
入梅や水を噴き出す集水器 | せいじ |
湧き上がり様変はる雲山滴る | きよえ |
足湯熱し向きくるり替ふ竹落ち葉 | よし女 |
売家札立ちて紫陽花盛んなり | うつぎ |
田植機の動きに子らの踊りかな | 愛正 |
曇天に川沿ひ見事立葵 | 満天 |
猛烈な雨のち日差し走り梅雨 | 千鶴 |
滝見茶屋手すりに熊の注意書き | 愛正 |
つむじ風残して消えりつばくろめ | 山椒 |
朝市や曲り胡瓜の詰め放題 | なつき |
代掻きに十分な雨降り給ふ | 千鶴 |
貰い湯の帰り家族で見た蛍 | たかを |
細腕の茎紫陽花の毬掲ぐ | せいじ |
豪雨去り四葩の雫振つてやり | 明日香 |
若竹や日暮の風に戦ぎをり | 澄子 |
揚羽蝶手に触れるほど翅重し | 明日香 |
鳥どちと混声合唱牛蛙 | えいじ |
辻地蔵ピンク紫陽花纏ってる | 智恵子 |
灰雲の汗か涙か梅雨に入る | えいじ |
繁茂せる十薬掻きし鎌匂ふ | かえる |
2024年06月17日 | |
長考の棋士の打ち見る葭障子 | せいじ |
一村を染めたるほどに麦熟るる | 千鶴 |
ひとりごと呟き歩く若葉風 | みきお |
縁側の媼饗す夏蕨 | 愛正 |
巣の燕羽ばたくものを落としをり | よし女 |
ペチュニアの泪の如く吊られをり | えいじ |
日光黄菅湿原の靄に浮く | 愛正 |
駅前のミストに涼む女学生 | 智恵子 |
髪長き少女の裸像薔薇の園 | なつき |
軒下をロケットスタートつばくろめ | 山椒 |
紫陽花の海へと溢れ坂の径 | 山椒 |
乳飲み子の見開くまなこ団扇風 | 風民 |
甘藷植う強風なりしこんな日に | よし女 |
紫陽花の毬曇天も何の其の | きよえ |
我が影を大きく映す夕焼けに | 満天 |
漱ぐ宇治の名水てふ清水 | せいじ |
まつすぐに落つる雨すじ梅雨の窓 | えいいち |
父の日や新婚の嫁より手紙 | 康子 |
稚児地蔵寝転ぶ鼻に苔の花 | 智恵子 |
夕暮れて梔子の風香り来し | 澄子 |
沙羅一輪真白なるまま地にありぬ | 澄子 |
親鳥の仕種を真似る鴉の子 | きよえ |
青畝句碑右近称へる夏となる | ぽんこ |
どくだみのじりじり陣地広げたる | うつぎ |
滑り台着地の向こうあじさい園 | こすもす |
艶めきぬ柿の葉あまた風に揺れ | みきお |
大雨を予告するかに雨蛙 | 千鶴 |
さらさらと風通ひたる風知草 | 風民 |
老鶯の声やむ森の静けさよ | あひる |
無防備や蟻の行進どこまでも | 明日香 |
古墳壕茅花流しの夕べかな | なつき |
片陰を老犬バギー譲らるる | むべ |
緑陰のタイムカプセルドーム型 | こすもす |
片蔭の隙間より見ゆ屋根修理 | えいじ |
揚羽蝶眼で追ふ我をかはしゆく | 明日香 |
双子なり泣く子笑ふ子花柘榴 | もとこ |
夏の島へ舳先持ち上ぐ波頭 | かえる |
紫陽花に囲まれ町の地蔵尊 | 満天 |
薄暗き渓を覆ふや夏椿 | あひる |
日の落ちて蛍を辿る水辺かな | かえる |
足元を照らすどくだみ白き花 | みきえ |
谷筋に宝石のごと楮の実 | むべ |
畦道の風に風鈴いづこより | 康子 |
紫陽花を浮かべし手水微動だに | たか子 |
2024年06月16日 | |
納涼祭予告のチラシ回覧板 | きよえ |
紫と蒼のきざはし紫陽花山 | むべ |
細々と石の隙間のスミレかな | みきお |
手水とす渾渾と湧く岩清水 | せいじ |
一輪に足る白百合の香り良し | 満天 |
御供物の開かずの社枇杷黃なり | ぽんこ |
万緑の島に湧水駆け巡る | かえる |
水しぶき上げてリレーの風涼し | 山椒 |
夏に入る天気予報の赤き地図 | 愛正 |
薫風や足湯の縁は濡れずあり | よし女 |
風涼し草刈り音の止む日暮れ | みきえ |
宮涼し喜撰法師の歌碑を誦す | せいじ |
山肌を隠す雲あり梅雨近し | 満天 |
父の日の大サービスやパイふたつ | あひる |
灸花のぞける塀の透かし松 | むべ |
花街に傘の咲き初む走り梅雨 | かえる |
睡蓮の花の帯なす汀かな | あひる |
飛び込んで光の泡の弾けたり | 山椒 |
残る梅最後はジャムになりにけり | 明日香 |
友の手を借りて植へたる棚田かな | みきお |
祭り太鼓打つ皆の衆の藁草履 | よし女 |
紫陽花寺朱の山門に人絶えず | なつき |
のうぜんの入り日残せる赫さかな | 澄子 |
夕焼けに影絵となりし鳶の舞ふ | 康子 |
子供等の笑顔で充分父の日に | たかを |
廃屋を咲き登りきり凌霄花 | 澄子 |
アロハ着て配る朝刊バイク便 | えいじ |
もう幾夜独り居に慣れ五月闇 | たか子 |
どくだみの効き目ありさう匂消し | 明日香 |
秘密基地新葉出したる夏蕨 | 愛正 |
翅広ぐ優雅に舞ひて黒揚羽 | きよえ |
木漏れ日のゆらぐ千年苔の花 | もとこ |
冷し抹茶青楓てふ銘の菓子 | なつき |
扇激し投句の刻の迫り来し | うつぎ |
若葉風卒寿師囲む同窓会 | みきえ |
無料なる駐車料金蛍狩り | こすもす |
鱚釣りや磯に未明の月白き | 千鶴 |
草陰に調音響く牛蛙 | えいじ |
安産の祈祷待つ列片蔭に | 康子 |
2024年06月15日 | |
収穫の盛り迎へし枇杷農家 | 千鶴 |
紫陽花の泡立つ如し森の中 | 山椒 |
名水を絞りしぼりて苔青し | むべ |
砂浜を素足で歩く親子連れ | みきお |
夕の風涼みて今日の至福なり | 智恵子 |
こまめちゃん薹立ち玉葱鋤き込めり | よし女 |
土積んでトラック連ぬ麦の秋 | なつき |
青葉風浴びて先頭打者ホーマー | こすもす |
初物の枇杷持ち見舞ふ友の家 | 千鶴 |
藍染の竿に靡ける薫風裡 | むべ |
断捨離と言う下闇の夫の物 | よし女 |
茅葺の屋根の厚さや庵涼し | もとこ |
緑さす世界遺産の古社 | せいじ |
溜池や水の空なる燕かな | 澄子 |
参道に香るくちなし一重咲き | せいじ |
住職を見送る背なに風薫る | 智恵子 |
威な高温狭庭干上がる梅雨晴間 | そうけい |
傘閉ぢて青葉時雨をくらひけり | かえる |
袈裟懸けに舘堀翔ぶ燕かな | 澄子 |
紫陽花の元気なき朝雨を待つ | 満天 |
青蛙の卵や崖の苔の上 | 隆松 |
お屋敷を覆ひつくせる夏木立 | かえる |
館長が呼ばれて百足退治かな | うつぎ |
この綿菓子とつてみろよと煙の木 | えいじ |
植田苗風を誘へる丈となり | 明日香 |
睡蓮の浮葉の揺れて鯉の口 | あひる |
熱戦やドームに入り来る青葉風 | こすもす |
耳澄ますピストルの音飛込台 | 山椒 |
曇天や寺門に光る白紫陽花 | 康子 |
土匂ふ予報ぴったりゆだちかな | きよえ |
巣のまぢかとんとん歩く鴉の子 | えいじ |
夏帽子とれば白髪艷やかに | あひる |
改修の陸墓は埋もる夏草に | ぽんこ |
菩提樹の花の香満ちる夏の寺 | きよえ |
早朝の赤城眩しや夏に入る | 愛正 |
片言の孫の二語文声涼し | 康子 |
戦争の終わぬ中東地虫出ず | みきお |
カーテンや大きくまくれ風涼し | たかを |
がんばり豆手に雲梯の夕焼けて | なつき |
奥入瀬のをちこち聞こゆ滝の音 | 愛正 |
万緑の九十九折抜け隠れ寺 | 明日香 |
神木の根元にひそと泉湧く | たか子 |
テニス音空突く校庭朝涼し | そうけい |
父の日や怒りし顔の遂に見ず | うつぎ |
生温ひ風に曇天梅雨近し | 満天 |
2024年06月14日 | |
夏茱萸を昔懐かしその渋味 | 満天 |
子のプール涙目も笑む水しぶき | きよえ |
鐘楼の垂木に太き土蜂の巣 | せいじ |
更地なるはや小綬鶏の四羽となり | そうけい |
夏霞辺境に入る古道かな | 愛正 |
出店減る朝市ビルの影涼し | なつき |
宇治吟行食べずにをれずかき氷 | こすもす |
炎天や舗装の割れ目草の笑み | たかを |
鐘楼の蜂の巣太り夏に入る | あひる |
ただ独りゐて主めきし錦鯉 | せいじ |
不即不離とうもろこしの花咲けり | えいじ |
茶処の抹茶一服縁涼し | なつき |
天花粉を叩ひて終わる蒙古斑 | みきお |
かき氷ストロー先のさじなめる | きよえ |
やや熱き足湯に浸かり汗ばめり | よし女 |
くちなしの匂ふ夜道の慰めり | むべ |
梅雨の雲木隠れに鳩長啼けり | よし女 |
夕庭に四葩の落つる星のごと | むべ |
水鏡またも乱せるあめんぼう | かえる |
湿原の水辺明るや半夏生 | 愛正 |
愉しきは全員一致かき氷 | たか子 |
苗箱の稲に声かけ朝の水 | 千鶴 |
万緑の底に鎮もる鯉の池 | あひる |
靴裏について来たれよ庭石菖 | えいじ |
川とんぼ庭にあらわれふつと消え | 明日香 |
願い事数多ぶら下げ揺る風鈴 | みきえ |
ゴミ出しに小首傾げて烏の子 | 智恵子 |
清流に開く画帳や夏帽子 | 風民 |
ひと休み瑠璃戸展ごる青葉かな | 澄子 |
ベビーカー風車いま虹色に | 康子 |
この館百合の舘と諾へり | 澄子 |
昼顔の浜辺はピンクのファンタジー | 智恵子 |
母子観音背の木立から夏うぐひす | そうけい |
青鷺の田んぼに首を伸ばしきり | 満天 |
睡眠の帳尻合はす昼寝かな | うつぎ |
夏めいて亀石あたり明日香風 | 明日香 |
どくだみに囲まる生家母ひとり | みきお |
得意げにザリガニ見せる小二の子 | こすもす |
漆黒に夏雲流るボンネット | かえる |
梅雨待ちの生駒に雲もなかりけり | あられ |
先駆けて池の端に見る赤とんぼ | ぽんこ |
手の中のほうたる青き火を漏らす | うつぎ |
川風や吾の肩たたく夏柳 | 康子 |
異国語の絵馬重なりぬ夏の宮 | もとこ |
2024年06月13日 | |
梅雨前や部落総出の川掃除 | みきお |
今日もまた猫の手となる早苗田へ | 明日香 |
夏燕ジャズの流るる商店街 | なつき |
かき氷全員一致吟行子 | たか子 |
風涼し今尚利根の渡船かな | 愛正 |
激つ瀬や音の消えたる河岸涼し | せいじ |
良き匂ひ放つ梅の実家苞に | かえる |
仕込まれて吉野の実梅匂ひたり | むべ |
紫陽花の径譲り合ふあしたかな | 澄子 |
公園の紫陽花苑へ車椅子 | 満天 |
額の花そのひとひらに七変化 | 智恵子 |
三重の塔の朱著き青葉山 | せいじ |
九十九折対岸の滝見え隠れ | 愛正 |
竹落葉風とひらひらコラボかな | きよえ |
新しきベンチを探検蟻の列 | 康子 |
歌を聞く東に蛙西に鳥 | たかを |
夏萩の紅ゆるる道風抜けて | もとこ |
紫陽花の濃紫の朝の雨 | 満天 |
葉柳や風の吹くまま左見右見 | かえる |
伏せ猫の目線の先の植田かな | えいじ |
紫陽花の垂れし頭や雨雫 | 澄子 |
乳母車押して木陰を大男 | たかを |
紫陽花寺途切れぬ人や傘の花 | 智恵子 |
店先にドスンと座りかき氷 | うつぎ |
夕涼みして待つ推しの宅急便 | なつき |
舌垂らす半眼の犬薄暑かな | 山椒 |
屋根修理急げや梅雨入り目の前に | 千鶴 |
宇治川に出番待ちたる鵜飼船 | ぽんこ |
朱の門を下れば谷に四葩満つ | あひる |
ゆさゆさと丁張り外す麦藁帽 | えいじ |
宇治金時食みて笑ひて吟旅終ゆ | あひる |
奥院の木漏れ日弾く白紫陽花 | 康子 |
床軸は南無の六文字風薫る | よし女 |
境内は迷路めきをり濃紫陽花 | こすもす |
発車ベル扉飛び込む新社員 | 山椒 |
草を引く隣家の影の失せぬ間に | よし女 |
ゆつくりと雲行きすぐる代田水 | むべ |
苔茂る化粧鎖の皿ひとつ | みきえ |
あめんぼの流れ逆らひ水面蹴る | きよえ |
梅の実を捥ぐ巫女の腕逞しく | みきお |
冷そうめん薬味たっぷり始めけり | みきえ |
採り忘れか青梅一つ杜の庭 | こすもす |
緑陰を日本最古の社へと | うつぎ |
早乙女は真つ赤なシャツや青き空 | 明日香 |
2024年06月12日 | |
初鰹ひと振り土佐の天日塩 | うつぎ |
黒線の水泳帽子プールの子 | 山椒 |
迷路めく紫陽花園や吟行子 | こすもす |
のぞき見る瀬々の玉藻や梅雨晴れ間 | 明日香 |
吊り下げのベゴニア一花石の上 | えいじ |
大甕の浮き草を取る庭師かな | せいじ |
紙風船追いかけ遊ぶ青芝に | 智恵子 |
放ちやる蛍の行方目で追ひぬ | うつぎ |
夏木立将棋さす音響きをり | 康子 |
夏帽子飛んで銀輪急停車 | あひる |
田主寄って水番決める相談事 | 千鶴 |
日盛りや陰をひろひて吟行す | 明日香 |
葉柳を掴まんとする子のジャンプ | かえる |
電線にかかる昼月つばくらめ | むべ |
重ね葉にちらり眠れる昼蛍 | かえる |
卓袱台の旅案内や半夏生 | 愛正 |
岬鼻に船虫釣り竿屯して | よし女 |
ジーパンにショートカット夏に入る | 満天 |
雨上がりあじさゐの葉の濃やかに | もとこ |
万緑の園にしばらく四阿に | 満天 |
蜘蛛の囲や檜皮葺なる拝殿に | たか子 |
朝日浴び車窓流るる植田かな | 澄子 |
草刈りの音の断ち止む午後三時 | えいじ |
老鴬の囃す参道宇治十帖 | こすもす |
茄子畑薄紫の花さかり | きよえ |
行厨は激つ川沿い夏の土手 | ぽんこ |
そば処渓流沿いの夏座敷 | 愛正 |
黒猫の目ん玉浮かぶ五月闇 | みきお |
大巌苔の畳の滴れり | 澄子 |
会社員木陰にひとり懸垂す | むべ |
蕎麦すする音の軽やか梅雨明ける | みきお |
草刈女つぼみある草残しけり | なつき |
台所の主は吾や西瓜切る | あひる |
回覧板届け楽しみ梅ジュース | 智恵子 |
夕暮れて鳩の群来る夏野かな | きよえ |
色移り白きハンカチ桃色に | みきえ |
不意打ちの音にたぢろぎ実梅落つ | 風民 |
夏花摘む言いそびれたる言葉あり | よし女 |
石蛙足組みてをり苔の花 | なつき |
園丁のベルトに唸るハンディファン | せいじ |
山法師真白きベール纏ふごと | みきえ |
宙を舞ひ水突き刺せり高飛び込み | 山椒 |
なんのその細波越ゆるあめんぼう | 康子 |
2024年06月11日 | |
獲物囲む蟻の八方攻めるなり | ぽんこ |
白百合の一輪玄関清々し | 満天 |
簾越し広葉明るき半夏生 | 愛正 |
青々とプールは地球水の星 | 山椒 |
本殿へと誘ふ如老鶯の美声 | こすもす |
夏落葉ふんはり絡む走り根に | 満天 |
誘引の南京の花軒に揺る | かえる |
館に集うボーイスカウト芽吹き風 | そうけい |
畝りたる工事現場の片かげり | えいじ |
鳥よけの池のテグスに夏茜 | せいじ |
湧水にハンカチ浸しまた歩き | 康子 |
農道の轍に苦戦牛蛙 | 智恵子 |
咲き溢る四葩の家よりピアノの音 | かえる |
一輪の相まみえずに二輪草 | 風民 |
存門の肩にむらさき凌霄花 | えいじ |
蓮の葉に光る雨つぶ水晶めく | 千鶴 |
梅雨湿りドライヤーかけてお買い物 | 智恵子 |
菩提樹の花の香包む地蔵尊 | 康子 |
体操の掛け声響くプールかな | みきえ |
無沙汰の子部活の空は鳥曇 | そうけい |
抹茶色の御朱印受くる夏の宮 | こすもす |
そこここの代田ひろがり陽をはじく | 明日香 |
蓮田の葉水面に浮く葉背伸ぶ葉や | きよえ |
初夏の緑道ひとり出勤す | むべ |
御城下の梅雨兆しける月夜かな | 澄子 |
指差して保母の点検夏帽子 | なつき |
朝日来て留鳥も来て桜の実 | むべ |
山間の車窓を滑る桐の花 | 愛正 |
蓮浮葉水玉乗せてゆふら揺る | きよえ |
日傘の柄少しとどかず友の影 | 澄子 |
悠然と寄り来る鯉の涼しかり | せいじ |
電話口朝の挨拶昼寝覚 | みきえ |
揚羽蝶花壇の花を順次訪う | よし女 |
幼き日厠に怖し火取り虫 | たか子 |
植田澄む辻にぽつんとポストかな | よし女 |
遠出して食む抹茶パフェ景涼し | 千鶴 |
自慢げにヴィブラート掛け夏うぐひす | もとこ |
月下美人大輪咲かす新居かな | なつき |
南風水平線に浮かぶ船 | 山椒 |
2024年06月10日 | |
病葉や町医者ひとつまた閉づる | むべ |
待ち合わす駅はもう早初夏兆す | たか子 |
神楠の大き切株ひこばゆる | なつき |
新緑の山に抱かれし古刹かな | せいじ |
店頭に八分の一西瓜数多 | 満天 |
四阿や紫陽花三百六十度 | こすもす |
夏空や喉を潤すグリーンティー | 千鶴 |
体育座りの赤白帽や駅薄暑 | こすもす |
草ひきて根方よりわく飛蝗の子 | 澄子 |
桐の花吊り橋渡れば平家村 | 愛正 |
窓全開ハンドル熱し夕薄暑 | かえる |
竹筒の松明を手に虫送り | 山椒 |
梅雨冷えや老母の足裏を揉む日課 | あひる |
大甕に蓮咲かせんと檀那寺 | よし女 |
青葉して背伸ぶ青空里公園 | きよえ |
西からも東からもや雲の峰 | きよえ |
宇治川の堰のたぎりや夏柳 | 千鶴 |
後ろでこひょっとこの面夏祭 | 山椒 |
飛石をいくつも飛んで苑薄暑 | 康子 |
菊芽挿す人居ずなれば雀どち | よし女 |
一面に代田ひろがり視野ひらけ | 明日香 |
雨しとどお池揺蕩ふ夏落葉 | かえる |
広芝に朱の滲みたる苜蓿 | えいじ |
石灯籠居並ぶ影に雀の子 | ぽんこ |
紫陽花や青磁の茶器に活けられし | 康子 |
そよ風に溺れそうなる早苗かな | みきお |
糸垂らすかもしれぬ蜘蛛逃がしけり | もとこ |
なかなかに来ぬタクシーや駅薄暑 | せいじ |
如露の雨右往左往す子蟷螂 | 澄子 |
金の蘂王冠のごと夏椿 | むべ |
蔦茂るカフェに売り札町薄暑 | なつき |
絡む柄をほぐして一つさくらんぼ | あひる |
蛍見の夕闇までの屋台かな | 風民 |
特盛の宇治氷食ぶ外国人 | 明日香 |
簾からもれる匂いの夕餉かな | 愛正 |
吊り橋を渡りて聞こゆ祭笛 | 風民 |
と見る間に一落千丈揚雲雀 | えいじ |
解禁の眠れぬ前夜鮎の宿 | みきお |
羽広げ海鵜に動く烏帽子岩 | 智恵子 |
小鴨どち町内総出お引越し | 智恵子 |
時の日や動き出したる鳩時計 | みきえ |
街路樹の輝くみどり雨上がり | 満天 |
2024年06月09日 | |
植え田中郵便ポストの影を濃く | よし女 |
街路樹の裾に紫陽花華やげり | ぽんこ |
瑠璃鳴くや鎮守の杜の夕日映ゆ | きよえ |
青柿はサイコロ大や山の雨 | あひる |
蒼天の綾に隠れし揚雲雀 | えいじ |
白と黒色とりどりの梅雨の雲 | たかを |
夕まぐれ十薬の白いきいきと | 風民 |
燕の巣親鳥交互餌を運ぶ | きよえ |
朝顔の夜明けを待たず咲き居たり | 澄子 |
ペダル踏む部活帰りや日焼けの子 | みきえ |
回り来る熱々の鯵フライかな | こすもす |
蓮の葉や揺れて空へと唄ふよう | 康子 |
取り残せし梅の実落ちて香ほのか | 千鶴 |
マンホールに和歌拓本の墨涼し | なつき |
吾はまさに晴耕雨吟走り梅雨 | 千鶴 |
木下闇なぞへに立つる丹の祠 | 康子 |
紫陽花の白が際立つ地蔵尊 | 満天 |
沢の音増して蛍の夜となりぬ | 風民 |
桐の花筵の上のおままごと | 愛正 |
坂のぼる介護ホームに柘榴咲く | もとこ |
梅雨空は雨も降らずや夕の空 | 智恵子 |
夏峠奥田民生を聴きながら | かえる |
筆擱きて古茶の渋みを堪能す | むべ |
ビニールの傘は緑に染まりけり | せいじ |
成り口を丁寧に取り梅漬ける | 明日香 |
クローバの絨毯の上一眠り | 山椒 |
蓬髪の欅並木の風涼し | 山椒 |
風の向き突如に変わり滝飛沫 | みきお |
縁側や蚊遣火の香の立ち込むる | かえる |
ダム湖畔残る古道の桐の花 | 愛正 |
深みどり岩を覆ひて苔清水 | むべ |
雨粒にうまる花弁や庭石菖 | えいじ |
柏葉紫陽花上へ下へと花の鉾 | あひる |
寝ねがての網戸親しく月眺む | 澄子 |
背のびの子お辞儀の子いて植田かな | 明日香 |
大空に声の弾ける夏野かな | みきお |