絶食の検査結果や聖五月 | ぽんこ |
休暇果つ日記にひとつ五月晴れ | 智恵子 |
緑蔭に画架立ててゐる少女かな | ひのと |
五月晴れ元気飛び出る老いた脳 | たかを |
母の日やスマホケースのお揃ひに | なつき |
セーラー服の朝の挨拶風薫る | 満天 |
初夏の園除草機忙し響きをり | きよえ |
鉾杉の妹背並びす樹下涼し | みのる |
山毛欅林にひかる一筋山清水 | 凡士 |
三年ぶり蔵開け放ち山車組めり | なつき |
蒲茂る水無き池の主かな | きよえ |
海風を背に撮る動画鯉のぼり | こすもす |
陽落つるや桐の花まで急ぎ足 | ふさこ |
薫風や伊島のかなた水平線 | 千鶴 |
2022年05月05日 | |
代田には逆さの山と青空と | こすもす |
退院の決まる清和や朝ぼらけ | 隆松 |
虫食ひの鯉のぼり吊る資料館 | なつき |
借景に天守を置いて鯉幟 | 凡士 |
軒並みにソフトクリーム麓茶屋 | あひる |
万緑へ土管トンネル出でにけり | なつき |
残雪の山々映る田んぼかな | こすもす |
こどもの日山羊盛大に声返す | 千鶴 |
夏日射しホースの水も湯に変わり | 明日香 |
早乙女に懐かしきなり赤襷 | ふさこ |
自粛解け笑顔笑顔の行楽地 | 智恵子 |
晴天とて静まりかへる子供の日 | 満天 |
真夜中のリビングルーム薔薇匂ふ | せいじ |
豆飯や余生生き抜く元気得し | 宏虎 |
バスで行く浪花の川よ鯉のぼり | あられ |
五月晴れ大阪探し戎橋 | あられ |
子供の日突と自転車漕ぎだす子 | 素秀 |
柏葉も食みて慌てる初節句 | かえる |
老い母の皺くちや笑顔豆ごはん | みのる |
こどもの日手押し車の玩具かな | きよえ |
黄金週孫加はりし皿洗い | あひる |
新樹下テントの数多園賑ふ | きよえ |
子供の日約束刻む自転車を | 宏虎 |
子どもらの一挙に去りて夏に入る | せいじ |
手作りの餡はみだして柏餅 | むべ |
丁寧語使ふ孫来し子供の日 | もとこ |
村芝居隣村から子を借りて | みきお |
山宿のせせらぎの音夏料理 | みきお |
継ぐ子なくこれが最後と武具飾る | 凡士 |
菖蒲持て歩くや声の掛かりくる | みきえ |
太鼓屋に鼓打つ音こどもの日 | ひのと |
マネキンのカラフルファッション夏来る | 満天 |
子供凧賑はふ砂丘こどもの日 | 智恵子 |
菖蒲湯に浸かりて手足伸ばしけり | みきえ |
亡き母の瑠璃の菓子鉢柏餅 | 豊実 |
明易の船送り出す小声かな | うつぎ |
星よりも街の灯遠き代田かな | ひのと |
連日の紛れ幸い黒揚羽 | ぽんこ |
豆飯の豆はベランダ無農薬 | みのる |
綺羅放つ伊吹の尾根に夏日の出 | 隆松 |
夏蝶を追ふ子に見たる我が童心 | 素秀 |
2022年05月04日 | |
真っすぐに菖蒲立ちたる強き意思 | ぽんこ |
水撒きて描けし虹と戯むなり | ふさこ |
鯉のぼり飛行機雲を吐き出して | あられ |
粒餡も漉餡も好き柏餅 | 満天 |
目張りすし齧りつく子や夏初め | 凡士 |
大ジヨッキ飲み干すビール口に泡 | みきお |
隠沼に日矢くちなはを照らしたる | 素秀 |
三回忌終へし仏間へ鮓はこぶ | ひのと |
廃屋の庭咲き誇る躑躅あり | あられ |
登頂や古希祝ひなる登山靴 | あひる |
幼子に追ひ越されたる春登山 | あひる |
陽光に濡れて艶やか蔦若葉 | 豊実 |
子燕の押しくらをして嘴ひらく | みのる |
畑のもの両手に抱きて立夏の子 | 千鶴 |
枝下す亡夫の鋸の手になじみ | むべ |
騒音の日本橋潜り翡翠二羽 | 智恵子 |
新聞紙で折りしは昔紙兜 | はく子 |
母の日と言ひて餅持て孫来たり | みきえ |
空き家に来て鶯の声初に聞く | 董雨 |
一ミリの草みつけ引く媼かな | なつき |
庭隅に一家なしたる梅雨茸 | うつぎ |
踝に子猫噛みつく修二の忌 | 素秀 |
子供の日老舗の餅を買ひにけり | みきえ |
切り株に座り聞き入る百千鳥 | みきお |
駆け抜ける青葉若葉のドッグラン | かえる |
授業中の窓に張りつく雨蛙 | 凡士 |
青空に此処は平和よ麦の秋 | もとこ |
街の湯の菖蒲の束の大きかリ | 宏虎 |
山涼し眼下に鳶の滑空す | せいじ |
下校子らピーピー豆を鳴らしもし | みのる |
花散りて厩舎へ老馬引かれゆく | ひのと |
岸壁や海へ雪崩るる黄水仙 | 澄子 |
艶やかや触れてもみたし柿若葉 | 満天 |
夏空や航雲みすじ交差して | 明日香 |
連休の長き車列やかき氷 | 千鶴 |
蝶ハンター少年の虫かご三羽 | きよえ |
園涼し隠沼の鯉人に馴れ | きよえ |
海鵜翔ち小さくなりし烏帽子岩 | 智恵子 |
鎮守様山車通る道回覧板 | 宏虎 |
朝掘りの筍待ち侘び湯を沸かす | かえる |
宙返り楽しむ如くつばくらめ | こすもす |
大文字山に孫らと春惜しむ | せいじ |
兄妹の手型足型こどもの日 | なつき |
2022年05月03日 | |
教練の短艇漕いで初夏の海 | 凡士 |
保存指定あまた宮居の楠若葉 | やよい |
黄水仙次々開く池の隅 | みきお |
木屑舞ふ里の工房春暮れぬ | ひのと |
初取りの苺五つぶ供えおり | 明日香 |
嫗どちスマホ見せあう花筵 | こすもす |
釣ることも忘れ見入るや飛魚翔くる | 凡士 |
話しつつ草枯らし蒔く子等の墓地 | 董雨 |
満開の薔薇を崩して驟雨去る | 澄子 |
仏壇に子らのお手紙こどもの日 | なつき |
改憲論余所見の窓は五月空 | 素秀 |
試合後のランチタイムや若葉風 | こすもす |
岩礁の貝殻オブジェ初夏の磯 | きよえ |
葉桜の長堤に汝と二人きり | せいじ |
水底の世界は透けてあめんぼう | うつぎ |
古茶煎りて独り寛ぐ宵の厨 | 智恵子 |
腐葉土に筍探すなぞえかな | 智恵子 |
佐賀平野どこに立ちても春夕焼け | もとこ |
日焼けせし辞書や憲法記念の日 | 豊実 |
さつき燃ゆ墓苑に空き地また一つ | なつき |
ブーム去りタピオカジュース飲む薄暑 | みきえ |
ジャスミンや破れし籬つづりをり | あひる |
五月晴れ浜風頬に手弁当 | きよえ |
連休の暇持てあます街薄暑 | 宏虎 |
五月晴れ手ごたえ確とボール打つ | はく子 |
洗濯機の音重さうに更衣 | むべ |
石庭を臨むランチや粽添ふ | みきえ |
鯉のぼり意気軒昂と竿しぼる | みのる |
安寧を祈る憲法記念の日 | せいじ |
行く春や母によく似たこけし買ふ | ひのと |
若葉風総身に受けペタル踏む | 満天 |
夜蛙の声広ごりて讃歌なる | 素秀 |
たんぽぽを嗅いで仔犬の綿まみれ | かえる |
藁牡丹崩れ香ありて満を持す | 宏虎 |
町中にしぶき飛ばして造り滝 | ふさこ |
登校の列を乱す子葱坊主 | 満天 |
立泳ぎせる渓空の鯉のぼり | みのる |
入港の汽笛に目覚む聖五月 | 千鶴 |
大壷に薔薇カラフルや古希祝ふ | あひる |
あと戻り出来ぬまいまい枝の先 | みきお |
2022年05月02日 | |
海亀の産卵の浜波涼し | 千鶴 |
更衣夫も自分でやりました | 明日香 |
初夏の波止家族団欒釣り日和 | きよえ |
葉桜のトンネルとなる堤かな | せいじ |
健やかに九十路の翁柏餅 | 澄子 |
もういっこ苺をねだる子どもかな | かえる |
とうとう見つけてしまった蛞蝓 | 明日香 |
故郷へ束の間憩ふ立夏かな | ふさこ |
制服もぴったりあひし聖五月 | 満天 |
ゴールデンウイーク中日普通に登校と | こすもす |
若葉風ウーバーイーツに抜かれもし | むべ |
地下足袋のままの濡れ縁三尺寝 | みきお |
雨の薔薇みな重さうに垂れてをり | あひる |
よす波に船虫散りて岩動く | 智恵子 |
着る物に迷ふ気温や若葉寒 | 満天 |
御廟所の木漏れ日返するりとかげ | なつき |
囀りをこぼす千手や楠大樹 | やよい |
塗り替へて真白き燈台夏来る | 凡士 |
後ずさり出来ぬまいまい枝の先 | みきお |
朝寝してゴミ出し車手渡しに | 董雨 |
甘茶かけ雨にリュックを濡らしつつ | なつき |
葉桜の大緑陰を行く園児 | せいじ |
草色に染む白靴の小さき事 | 素秀 |
風吹けば草が応へし夏野かな | ひのと |
夏帽子被り干すなり濯ぎ物 | みきえ |
春風にグランドゴルフ初体験 | はく子 |
飛行機の着陸姿勢卯波来る | 宏虎 |
晴れの初夏飛機雲二本鳥語飛び | きよえ |
四阿に池の水音春惜しむ | うつぎ |
しずしずと蛇泳ぎ来る心字池 | うつぎ |
子に与ふ豆菓子とパックの苺 | 素秀 |
朝まだき定家葛の花の道 | 豊実 |
木霊生る苔むす森や夏来たる | 千鶴 |
幸運の天気宜敷く伊豆の旅 | 宏虎 |
郭公の声澄み渡る牧の朝 | 智恵子 |
藤棚に集ひ輪投げす老人会 | みのる |
燕飛び紙飛行機と交差せる | 凡士 |
春昼の遅々と進まぬ新書かな | もとこ |
葱坊主ドミノのごとく打倒れ | あひる |
春の雷何処に落つや肝冷やす | みきえ |
振り向いてさよならと挙ぐ春日傘 | みのる |
命日の網戸より僧這入りけり | ひのと |
特に予定の無くても平気五月晴 | こすもす |
2022年05月01日 | |
老幹に苔太らせて緑雨かな | あひる |
無人なる万緑の湯へ泳ぎだす | ひのと |
幾艘の白き航跡夏近し | 千鶴 |
草刈りを終えた麦酒の旨きこと | かえる |
降る雨に大口開けて鯉幟 | うつぎ |
今年の五月十三日は金曜日 | こすもす |
接待の客の出迎え春灯 | 豊実 |
行き過ぎてよりジャスミンの匂ひけり | せいじ |
一人居の隣家閉ざせり若葉寒 | なつき |
夕日落つ刹那の代田明かりかな | みのる |
軒奥へ蝶のさなぎを移しやり | 明日香 |
新緑のアーチの先の異人館 | きよえ |
荒るる畑に紫並ぶ杜若 | 董雨 |
砲撃の止まぬ市街地夏の月 | みきお |
潮騒のテラスに憩ふ初夏の夕 | 智恵子 |
桐咲くやいまも墨打つ老大工 | 凡士 |
緑陰に祈る白亜のマリア像 | せいじ |
手土産に鯉のぼり立つケーキかな | なつき |
信号待ち頭上につばめ宙返り | やよい |
エアメール投函の朝燕来る | 凡士 |
ネモフィラの丘稜線の夕焼かな | 素秀 |
青青と幾つ実るか柿若葉 | 董雨 |
曇り空そつと頬寄す柿若葉 | たかを |
水底のあめんぼの影沓を履く | うつぎ |
武具飾る譲り受けし子三歳に | ふさこ |
芽吹山不揃い過ぎる新緑かな | 宏虎 |
六甲山若葉の風の吹きおろし | きよえ |
夕涼の湯かご提げれば鈴の音 | ひのと |
パンジーの風を掬いて大風車 | はく子 |
巣を作るのに十分な若葉影 | 明日香 |
柿若葉塀よりのぞきつややかに | 満天 |
黄薔薇みな重さうに垂れ朝の雨 | あひる |
行く春の風乱暴にシャツ揺らす | 素秀 |
メーデーで開校記念日で曇天 | こすもす |
夕茜染めてひろごる代田かな | みのる |
咲き満ちて眠り誘ふよ八重桜 | もとこ |
含みたる麦藁ストロー日の香り | むべ |
野面積みなる城壁に花菫 | 澄子 |
春の昼訃報のメールありにけり | みきお |
摘果日を知らさる八十八夜かな | みきえ |
ベランダより見ゆるかぎりの春惜しむ | 満天 |
髪切りて歩く街なか風薫る | みきえ |
草のびて八十八夜の雨後の畑 | 千鶴 |
どくだみの干されて陣取る曲り縁 | 智恵子 |
若葉風水車の回るうどん店 | 宏虎 |
2022年04月30日 | |
藤色に花大根は陽の匂ひ | 素秀 |
お出掛けの無き連休の庭キャンプ | 智恵子 |
迅瀬の飛沫にひかる芹葎 | 智恵子 |
玻璃窓の涙となりぬリラの雨 | みのる |
新聞にくつついて来し子なめくぢ | せいじ |
囀や空を分けゆく飛行機雲 | 凡士 |
ポピ-咲く小さき雨傘干す垣根 | みづき |
さへづりや板の穴より秘仏観ゆ | なつき |
夏来る山の膨れて迫り来る | 明日香 |
春惜しむため息ばかり過ぎし日々 | ふさこ |
そら豆を添へて行厨母ごのみ | あひる |
新しき土を鋤き込み花人参 | 素秀 |
大人にはひとり時間や春の昼 | もとこ |
菊若葉咲く色記し札たてり | ふさこ |
つつじ萌ゆ花博名残の水亭に | はく子 |
様々な思ひ馳せしめ暮の春 | きよえ |
痩身を隠しきれざるうすごろも | やよい |
抽斗にテレホンカード昭和の日 | うつぎ |
若芝の起伏楽しみゴルフかな | こすもす |
まほろばの一望千里花の雲 | 澄子 |
リラ匂ふよと雨の窓あけにけり | みのる |
路地抜くや躑躅満開大通り | みきえ |
新道より観る旧道の懸り藤 | うつぎ |
せせらぎの聞こゆる川の若葉風 | きよえ |
霊山の何処まで続く木下闇 | 宏虎 |
船去りてなほも手を振る遅日かな | ひのと |
白南風やシーサー据うる赤瓦 | 凡士 |
犬の散歩同士の会想春の宵 | 宏虎 |
神苑の水面影置く花菖蒲 | みづき |
花しべのなべて天向く山躑躅 | むべ |
二世帯の二階をおよぐ鯉のぼり | なつき |
常盤木と雑木くっきり夏の山 | 明日香 |
雑草を抜かんとすれば大毛虫 | せいじ |
ジャスミンの角曲がるたび匂ひけり | 満天 |
夏空へ乳歯一本放り上ぐ | ひのと |
募金箱ランチタイムの若葉風 | こすもす |
どくだみの最後っ屁かな手の匂ふ | かえる |
グアテマラの珈琲点てて春の雨 | 豊実 |
ががんぼの叩く障子や脚長し | みきお |
水すまし流され戻る雲の影 | みきお |
縁石へしぶき上げたり立浪草 | あひる |
缶コーヒー飲み干す目線つばめ飛ぶ | たか子 |
母の待つ島への帰省二年ぶり | 千鶴 |
山襞の緑綾なす五月晴 | 千鶴 |
2022年04月29日 | |
矢車草麦の波間に顔上げて | たかを |
花時計やや疲れ見せ春深む | みのる |
春雨や傘さし洗車する人ぞ | みきえ |
ペダルこぐ迷ひし道に鯉のぼり | あひる |
山盛りにそら豆を煮る母の日や | あひる |
朝寝して宅急便の不在票 | みのる |
首すぢに白粉のこる桜の夜 | ひのと |
春驟雨シャワーのごとく厨窓 | 明日香 |
万緑の峰また峰を一望に | 千鶴 |
昭和の日若き遺影の母笑みし | なつき |
時代劇好みし刀自や昭和の日 | はく子 |
思ひ出の古きアルバム春の雨 | 満天 |
若葉雨雨音あふれ地の充ちて | きよえ |
菜種梅雨退院の身を重ね着し | たか子 |
懐かしの歌三昧や昭和の日 | こすもす |
貸土地の看板埋める豆の花 | あられ |
須磨沖に浮かぶ帆船風光る | みきえ |
小綬鶏の聞こゆる森に続く道 | 豊実 |
花なくば寂しと母の四月果つ | せいじ |
モーレツもストも死語なる昭和の日 | 凡士 |
昭和の日昭和生まれぞエールかな | きよえ |
髪切りて白髪はねたる昭和の日 | なつき |
衣脱ぐたけのこ白く肌柔く | かえる |
尺取りや五体投地の枝の先 | みきお |
風呂敷を解けば筍まろび出づ | ひのと |
ひと揺らぎ飛び立つ綿毛慌て虻 | たかを |
新緑に脊山青あお蕪村像 | 宏虎 |
雲うつす洗面器にはめだかの仔 | 素秀 |
菜種梅雨からくり踊る時計塔 | 智恵子 |
しゃぼん玉影もろともにはじけけり | はく子 |
ネモフィラや雨打ちのめす春の果て | もとこ |
ほどほどの蛙の声よ子守唄 | 素秀 |
少年の尖る心や青林檎 | みきお |
吹き降りに植えたばかりのペチュニアが | 明日香 |
夏近し俎板の音リズミカル | せいじ |
コンクリートとガラスの街を鯉幟 | 凡士 |
スマホよりエフエムラジオ昭和の日 | こすもす |
折り紙の鯉のぼり夢託し折る | ふさこ |
雨けぶる東京タワー昭和の日 | むべ |
老幹の一本棚の藤淡し | 智恵子 |
不格好を隠す苦労や更衣 | 宏虎 |
黄蝶のいづくより来て見送りぬ | 満天 |
2022年04月28日 | |
清和なる山てっぺん街望む | みきお |
駅なかに茶摘み娘の新茶売り | 凡士 |
他所行きの母のよこがほ春日傘 | ひのと |
ベランダの手作り五匹鯉のぼり | 満天 |
緑さすガラス映せる理髪店 | 宏虎 |
小手毬の花やナイチンゲール像 | 凡士 |
春愁や配達員の声響く | たかを |
普請終え青葉若葉の地蔵堂 | なつき |
大甕を満たさん春の雨夜来 | 素秀 |
甘き香を追ひ見つけたり藤の花 | かえる |
アイアンのカタカタ鳴るや花水木 | 豊実 |
純白の八重の芍薬濡れそぼつ | 千鶴 |
山躑躅控えめに山彩れり | もとこ |
花嫁を撮る新緑の回廊に | せいじ |
朝採りの筍尽くし夕餉かな | みきえ |
はしゃぐ子ら谷戸の矢倉の鯉のぼり | 智恵子 |
孫はいま思春なるや葱坊主 | あひる |
背の稚の微笑む木陰聖五月 | みきお |
磨り硝子透けてさ揺らぐ庭若葉 | せいじ |
人伝てに廃業知りぬ花の宿 | ひのと |
筍飯箸運びよき留学生 | むべ |
朝寝して頭に受ける猫パンチ | こすもす |
直植への石楠花やっと芽吹きけり | みきえ |
二度手間か西瓜の苗がみあたらず | 明日香 |
派手になり人目良く見せ更衣 | 宏虎 |
ひこばえが囲む鎮守のモチ古木 | なつき |
磯蟹のポチャリ飛び込む潮溜り | 智恵子 |
春深し気温上がりて雨後の昼 | 満天 |
石楠花や四つ目籬の築山に | みのる |
鮒の竿のべて池塘の春惜しむ | みのる |
晴れの園蝶の連れ来て飛び巡る | きよえ |
春光に水面眩しき沈下橋 | 素秀 |
目印の欅の大樹の芽吹くなり | 澄子 |
葱坊主支ゆる葱の深緑 | あひる |
乳母車手をのばす子の風車 | きよえ |
白薔薇や風雨に雪の片のごと | 明日香 |
ただいまと子供の声の四月かな | たかを |
も一つの花筏葉に花咲かせ | ふさこ |
桜蕊だらけの磴やな滑りそ | こすもす |
木香薔薇垣根を埋めて咲きにけり | 董雨 |
2022年04月27日 | |
泣きどころ何故か笑へる村芝居 | なつき |
鳥帰る島に汽笛の余韻あり | ひのと |
初夏の風港訪ぬや一万歩 | みきえ |
カーテンの揺れに飛びつく仔猫かな | 宏虎 |
茶畑や萌黄が陣を広げたる | かえる |
鉄叩く音を聞きたる花林檎 | 素秀 |
手作り品のちいさなお店桜餅 | こすもす |
古民家の梁は燕の団地なる | 智恵子 |
奈落より鶯の声通天橋 | せいじ |
半年も咲かせた鉢へ春の土 | 明日香 |
草餅の搗きたて人気湯気と香に | 満天 |
東風強し曇天広ぐ雲絶へず | きよえ |
郭公や空の奥行きはかりけり | むべ |
傷跡のむず痒くなる夏ちかし | もとこ |
尻もちの跡起ちなほる苜蓿 | みのる |
雨上がり囀りに覚む朝ぼらけ | みきえ |
くす落ち葉掃くもはらはら落ちにけり | 千鶴 |
音たてて叩けば木の芽手に弾み | あひる |
昼からは樋鳴らす雨夏きざす | せいじ |
巣立鳥羽色も未だ定まらず | 豊実 |
九十路母の目線に花うつぎ | あひる |
結婚の元横綱や春爛漫 | こすもす |
北窓を開く間遠に海鳴りす | 澄子 |
遠足の黄色帽子はひよこ組 | なつき |
糶る声のさらに昂ぶる桜鯛 | 凡士 |
蹲の窪みに座する濃山吹 | 素秀 |
菜種梅雨気圧が本土覆い込む | 宏虎 |
愛犬の鼻動めけり薔薇の坂 | みきお |
雨の前花の植え替え暮れかねて | 明日香 |
竹林をカラカラ奏で春の風 | 千鶴 |
手際よき剪定の音風光る | 満天 |
若葉風連れて江ノ電切り通し | 智恵子 |
歳時記の糸とじ直す日永かな | やよい |
薔薇真紅曇天の庭香の満ちて | きよえ |
遺愛なる春蘭なほも生きつづけ | みのる |
煮びたしの母の味たる芹摘みし | ふさこ |
海鳥の標とならむ春の水尾 | ひのと |
能登の塩八十八夜の潮を汲む | 凡士 |
2022年04月26日 | |
祖父連れてまず一回り植木市 | みきお |
句を二つほど家づつに井月忌 | 素秀 |
苧環の花や今年も裏庭に | こすもす |
朧月水琴窟の音静か | 宏虎 |
春の里此の道が好き風が好き | 宏虎 |
衣擦れは吐息に似たり春障子 | ひのと |
時報鐘流るる湖畔春惜しむ | 凡士 |
細竹の筒よりつるり水羊羹 | あひる |
狭間より見下ろす町や燕飛ぶ | なつき |
春塵や止まる遺品の置時計 | なつき |
夏めきて老舗抹茶の泡やさし | あひる |
印南野の風に靡くや青き麦 | みきえ |
ルリタテハ蛹ふたつも見つけてたり | 明日香 |
一陣の風新緑の谷を駆く | せいじ |
俯けば土なき裂け目に蟻の塚 | かえる |
庭つつじ濡れそぼちつつ赫々と | 千鶴 |
いきいきと風にはずみし大手毬 | むべ |
海惨憺船のみ込みし春嵐 | ふさこ |
豆の飯いぶりがっこを添えて食ぶ | あられ |
はじめだけ効果ありけり種案山子 | みきお |
花は葉に見守り隊へ挨拶す | 満天 |
春愁や玻璃窓を落つ涙雨 | みのる |
風薫る大方丈の広き縁 | せいじ |
指先に柔らきかな豆の花 | 豊実 |
青麦の禾つんつんと寄せつけず | 明日香 |
何か待つ形にまるく雲雀の巣 | 素秀 |
出前桶積まれしままに春暮るる | ひのと |
節くれ手春耕の鍬振り上げて | 千鶴 |
春寒し街つぎつぎと崩壊す | 満天 |
雪柳ダンスのごとく揺れ止まづ | みきえ |
春時雨ひびく乙女の叫び声 | あられ |
梅日和活断層の真上てふ | 澄子 |
水郷に回る風車やチューリップ | 智恵子 |
六地蔵合掌の子の夏帽子 | 智恵子 |
雪やなぎ花こぼしつつ迎へけり | きよえ |
あれそれと会話にならぬ日永かな | もとこ |
一頻り山鳩啼いて谷若葉 | 凡士 |
若葉風葉を懐くかや並木道 | きよえ |
苗植える予報的中の穀雨 | こすもす |
春雨のドレミファソラソトタン屋根 | みのる |
2022年04月25日 | |
校庭の残花に雨の用捨なく | きよえ |
雨晴れて遊具隠すや若葉風 | 満天 |
藤棚に激しき羽音肥えた虻 | たかを |
京街道途切れし路地に花かんざし | あひる |
花開き頭でっかち葱坊主 | 智恵子 |
グランドの東西南北若葉山 | こすもす |
川またぎ家族も増えて鯉のぼり | もとこ |
天降るごと囀る大樹仰ぎけり | みのる |
下見来てつばめ夫婦の姦しき | 素秀 |
何処やらに雲雀聞こえる真青空 | 素秀 |
潮干狩夢中になりて尻濡らす | 宏虎 |
そつと置くレコードの針春の雨 | 凡士 |
麦秋の大地蹴散らす戦車かな | 凡士 |
大欅芽吹きて苑の空統ぶる | みのる |
若人の尖る靴先入社式 | みきお |
八重の汐水脈幾筋も瀬戸の春 | 澄子 |
蜜吸ひて躑躅散らかす通学路 | かえる |
若葉風受けてグランドゴルフかな | こすもす |
風涼し北斗星なす石の庭 | せいじ |
手の窪にこんぺいとうや春深し | なつき |
街路樹や小雨降りつつ緑増す | きよえ |
遠慮せず長生きせよと亀の鳴く | 宏虎 |
藤棚の下に御座すや地蔵尊 | 満天 |
鳥語降る三つ葉躑躅の高尾山 | 智恵子 |
鈴生りの合格絵馬や青葉映ゆ | なつき |
何気なく鉢を上げれば大百足 | 明日香 |
春浅き北の海難無事祈る | みきえ |
石庭の島嶼を渡る風涼し | せいじ |
夕立や土の匂ひの湧き上がる | みきお |
ランナーの靴の朱色や風光る | むべ |
泣きながら姉は二階へ春の暮 | ひのと |
ひとつまみ物種蒔くや自家菜園 | 豊実 |
花屑と共に入りたる喫茶かな | ひのと |
読経する僧侶の袈裟の夏めきて | 千鶴 |
頭にたるる咲ききりし藤たゆたふと | ふさこ |
追ひついて二つとなりし春日傘 | あひる |
知床の海難事故や春愁ふ | みきえ |
目の前を突如春鹿飛び出でり | 千鶴 |
2022年04月24日 | |
道をしへ吟行子らを導きぬ | みのる |
手鞠花ここより急な坂となる | あひる |
音も無く降る雨窓に春惜しむ | 満天 |
ヤッホーを綺麗に返す山若葉 | やよい |
捕虫網振りて掠める杜若 | なつき |
万緑や通天抜けて方丈へ | せいじ |
囀りのこぼれんばかりなる大樹 | 宏虎 |
楠大樹囲む根方のしゃが畳 | 和子 |
家々の庭の緑のさし加減 | 明日香 |
中洲いま竹の秋なる四国三郎 | 和子 |
春灯の瞬きやまぬ峡の里 | 澄子 |
柿若葉小雨に色を変へゐたる | 素秀 |
牡丹二輪残る蕾はあと三個 | こすもす |
新聞の切り抜き増えし春炬燵 | 満天 |
洗車場の水に生まるる春の虹 | かえる |
妻病んで春の厨房独り占め | たかを |
行く春や瀬戸の小島の時計店 | 凡士 |
天敵にカラスアゲハや葉に隠れ | きよえ |
校長が褒めてゆきたるチューリップ | ひのと |
刈りたての蕗を煮しめに酒五勺 | 千鶴 |