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すいすいと下る二輪に春の風 みきえ
杖に良き枝並べられ登山口 あひる
踏まれても目地に花咲き菫かな わかば
藁庇よりしづくして春の雨 みのる
猫もまた春眠貪る出窓かな 澄子
島巡る海上タクシー養花天 みきお
香を薫く独りの時の楽しみと わかば
あと五段のぼればゴール山笑ふ せいじ
春場所やざんばら力士活躍す みきお
飛び跳ねるおしゃまなスーツ卒園児 山椒
室の中春の蜜柑や甘くなる 明日香
父母の思ひ出尽きぬ彼岸入 なつき
杜の樹々打つ音は剣道春疾風 そうけい
さにづらふ色の地平の朝霞 えいじ
塀超へて蕾綻ぶ花かりん かえる
厳めしき胸像の顔春愁ひ 山椒
鳩独占養生中の春の芝 せいじ

2024年03月16日

弁当の箸の音たて春朝明 えいじ
春雷や埴輪の妊婦口開けて みきお
老耄の歩みを誘ふえくぼ花 えいいち
かむなびし遅日の寺門潜りけり 澄子
空真青綾子生家に梅かほる やよい
街角のホ句に湯冷めす道後の湯 康子
足弱と共々散歩青き踏む ぽんこ
春寒やネクタイ直す写真館 豊実
艶の葉に真紅の椿映え盛り えいいち
トラクター前に後ろに春耕す かえる
花言葉も添へて山茱萸大瓶に こすもす
しらす丼春の江ノ島鳶の笛 智恵子
見晴るかす京を沈めて春霞 あひる
車椅子降りてベンチへ春の風 満天
トラ柵もひつくりかへる春疾風 えいじ
雛の宿地酒と古銭飾りたり なつき
父倒る辛夷の花の咲きし頃 山椒
逆光の人影おぼろ春茜 みきお
無住寺に僧侶入りたり彼岸入り 愛正
彼岸参絶えぬ古刹の池めぐり 愛正
寒暖の上げ下げ激し入彼岸 千鶴
貼りたてのマルチへ迫る春の霜 かえる
紅白に咲き分け枝垂る梅一本 千鶴
土筆飯野の香ただよふ夕厨 わかば
何をするでも無く長閑花壇愛ず たか子
福寿草可憐五葉の松の下 せいじ
社のタブ群れる莟に春の風 そうけい
繰れば祠これ御神木落椿 そうけい
写真撮る人あり店頭の山茱萸 こすもす
低き軒連ぬ街道つばめ来る なつき
賜わりし春日全身浴ぶひと日 明日香
突然に鯉の跳ね上ぐ春の池 康子
七色の架橋望みて春の宵 わかば
山桜蕾綻び天仰ぐ きよえ
スカーフに替えて外出春うらら みきえ
通学路背中に朝日春日燦 満天
学び舎の窓にひとひら春光る 智恵子
細波の黄金に光る鴨の池 きよえ
卒業子友にコサージュ直さるる むべ
落椿沙弥の箒に履かれけり みのる
旋回の鳶を見下ろす春の山 あひる
天鵞絨の苔に安らふ落椿 みのる
芭蕉枯る魑魅魍魎はかくもあらん せいじ
ビル影にひかり残れる遅日かな 澄子
春の草やさしく抱く御土居かな もとこ
ストックを土産にもらふ謝恩会 むべ
紋黄蝶初心者運転ゆらゆらと 山椒
あちこちに耕人の影土をどる 明日香

2024年03月15日

花菜畑諸鳥連れてあさりゐる そうけい
春夕日群を離れて番鴨 きよえ
身をよぢり咲ける辛夷の白さかな 澄子
地を跳ねて出虫喰らふ春鶫 えいいち
ブレザーの釦に聖句卒業子 むべ
春光や灯籠続く松並木 豊実
熊鈴の夫があと来る春の山 あひる
春先は新物の文字あふれてる 明日香
影の枝に花咲く如く梅の散る かえる
白辛夷空貫きて咲きにけり 山椒
咲き満ちて香りの河津桜かな わかば
段丘を風吹き上ぐる桃の花 澄子
播磨灘沈む夕日の朧なる きよえ
杖の妻気遣ふ夫や花の坂 なつき
先人の町起こしなる花堤 せいじ
鶯とおぼしき声や夕散歩 こすもす
菜の花の春を頂く酢みそ和え 明日香
花杏枝天を突き満開す 満天
春愁やなにも出来ない日の続く わかば
駒返る草に白髪のジョガーゆく えいじ
春雨や傘持ち替へて由緒読む なつき
春の川鯉気持ちよく日にあたり 満天
隈笹の覆う小道や残り雪 愛正
小流の短き滝へ春の虹 かえる
初蝶や車往き交ふ道を越え えいいち
機上より紙吹雪めく残り雪 康子
ため池を漁る白鷺水温む 千鶴
広池を一閃二閃ゆりかもめ みのる
側溝へ雨ともろとも花の塵 えいじ
春雨に濡れる湯上がり温泉街 康子
観潮や大渦現し奈落かな 智恵子
啓蟄や去年の傷のむず痒く もとこ
柱状節理仰ぎ春愁わすれをり やよい
空畑の一面ピンク仏の座 そうけい
壁叩くががんぼの脚折れ易く みきお
まず咲くと満作の花名乗り上ぐ たか子
保護者席よりメゾ和せる卒業歌 むべ
春の堀木屑のごとく亀の首 ぽんこ
足跡を渚に残し磯遊び 智恵子
翩翻と桜まつりの幟旗 せいじ
日矢の空沢筋光る残り雪 愛正
公園の天使の像も日向ぼこ 山椒
お目かしの犬もモデルに花の中 はく子
吾を鹿と思ひ頑張る春登山 あひる
春場所や舞妓の観に来浪花かな みきえ
なずな咲く家庭菜園何作ろう こすもす
二合寿司祀りて配る社日かな 千鶴
流し雛手を振り別る女の子 みきお
春水をへだてて手話を交はしけり みのる

2024年03月14日

青芝のつんと突き出る潦 康子
犬の背をこすりつけたるはこべ野や むべ
制服のはちきれさうな卒業生 満天
いぬふぐりここにあそこにむかうにも 明日香
壺焼の傾きジュッと灰鳴らす 智恵子
蹲の水面静かな遅日かな 澄子
まちまちの高さの土筆まだ青し こすもす
桜餅食む川風を頬に受け あひる
囀れる森を眼下に展望台 康子
ひと群れのきもの乙女や花の下 あひる
卒業生背中の小さきランドセル 満天
異国語の人垣溢る桜道 わかば
洗濯物妻はベランダ涅槃西風 たかを
花堤行けば戊辰の戦死者碑 せいじ
高さ違う土筆二本や空青し こすもす
春光ややっと役所の外に出れば たか子
野点傘立てし床几や桜餅 みのる
倒木に腰降ろし聴く百千鳥 澄子
溝五位と撮り人の間の静けさや えいいち
木星に下がる釣り舟春の月 みきえ
湯のたぎる浜小屋に来し若布刈舟 千鶴
七色の淡き色合いしゃぼん玉 ぽんこ
ぼんぼりを吊し待ちたる初桜 なつき
小屋裏の除雪の山に鳥騒ぐ 愛正
楠大樹風に溢れし春落葉 えいじ
日も風も羽ばたきさえも暖かや きよえ
隈笹の斜面に随所残り雪 愛正
菜に交じりはこべ湯掻かる浅緑 むべ
昔日の戦場はいま花堤 せいじ
信号を待つ人見上ぐ花ミモザ かえる
たんぽぽの笑顔に会える散歩かな 明日香
初桜写真撮り合ふ夫婦かな なつき
木蓮の花芽は天を向いてをり 豊実
啓蟄やもぐらの穴もあちこちに えいいち
翳す手に朝日受けつつ青き踏む かえる
玉砂利もはねて掃除の春落葉 えいじ
大の字に緑額縁山笑う もとこ
シンコ漁解禁日のみ打ち切りに きよえ
紅の河津桜のいと美し わかば
お迎えの春雨傘を高く掲げ みのる
百合鴎戻り賑わいはふ隅田川 智恵子
紅白の混ざりたる梅枝垂れをり 千鶴
キラキラと岸辺に溢る春の水 みきお
竹林のそよと鶯谷渡る やよい

2024年03月13日

春の夜独りの時間書に耽る わかば
麗かな野に日曜は育児パパ えいいち
太ももに隙間ありける春寒し もとこ
群がって波に揺揺のこる鴨 きよえ
眼鏡屋のレンズにならぶ春光 あひる
逆回りの婆とまた会ふ春の苑 かえる
蜜蜂の膨るるやうな羽音かな えいじ
春雨に思ひの残るけぶる街 そうけい
進級に荷を持ち帰る下校の子 愛正
裏山に赤白見らるや藪椿 愛正
駅舎出で身震い一つ寒戻る 智恵子
もう逢へぬひとと語らふ春の夢 かえる
いばりしてまた啼きにゆく春の猫 えいじ
玄武洞神在わすかに涅槃西風 たか子
終点の濠に釣人花堤 せいじ
父母に似し眼鏡かけたる雛の絵 なつき
スズメ蜂の巣はそのままや余寒あり こすもす
いま落ちしばかりの椿家苞に みのる
静かなる御堂に聞ける百千鳥 康子
永日を友と楽しむ美術館 智恵子
震わせる小鷺の脚に温む水 えいいち
煤煙のモンスターかな霞に消ゆ きよえ
連れ歩く犬とて春のベスト着せ 満天
裏木戸の透かし彫より黄水仙 むべ
春障子揺るる枝先写しをり 千鶴
タクト振る指揮者の如し柳の枝 山椒
疾風に色薄れゆく風車 やよい
道沿ひの小さき花壇菜の花を 満天
城壁に飛び交う影や春の鳥 康子
思い馳す木々の実りや剪定日 わかば
パーフェクトな一日はなし彼岸前 こすもす
老ひ母の長き告白春愁 むべ
ギャラリーは土蔵造りよ雛飾る なつき
大百足虫脚を揃へて止まりけり みきお
目標はこの三叉路の紫木蓮 澄子
香久山に雲居たなびき春の靄 明日香
老母話し出すをさなき日春の夢 あひる
仰向けに落ちやすらへる椿かな みのる
春雨やバス停前の香に酔いて そうけい
犬連れて思ひ思ひの花の午後 せいじ
長き脚競うが如く蜂の舞い たかを
彼方より飛行士帰還春の海 みきえ
花椿一枝影置く火灯窓 澄子
ブロンズの踊る少女に春の光 ぽんこ
くぐもるる鳩の声する木の芽晴 千鶴
何処より香りの便り沈丁花 山椒
病む母のベッド動かす薔薇満開 みきお
黒マルチピンと張る畝春の虹 豊実
春場所は難波を歩く丁髷に 明日香

2024年03月12日

絡み合ふ枝幹に透くる山椿 愛正
山茱萸の黄をちりばめし青天井 せいじ
雲梯を握る指先春の雲 みきお
蜜鳥や花に埋もれて蜜を吸ふ えいいち
子の笑顔のごと大輪の紅椿 満天
春潮や河口犇めく都鳥 澄子
水鳥のフンに注意と標多々 せいじ
観音山下りは早し芽吹き風 なつき
調度みな昭和レトロや雛の宿 みのる
シンボルの鼓楼に春陽出石城 たか子
縁石に日の斑あふる春落葉 ぽんこ
回廊を火の粉の雨やお水取り 千鶴
美智子妃に似たる昭和の女雛かな みのる
窓際に洩れて日矢さす春の朝 えいじ
春の雨何するもなく煎茶淹れ もとこ
春夕日身を寄す鴨や河川敷 きよえ
厨のあさり闇に寝言の多きかな 智恵子
鈴の緒の美しき岩戸や春社 明日香
杉枝に隠れ鳴けるや春の瑠璃鳥 えいいち
麗らかや白猫発光するごとし 澄子
残る実の川面に映る金鈴子 あひる
しゃぼん玉ぱちんと潰す飛沫かな かえる
思わざることの次第や春愁 わかば
春祭だんじり唄の練習日 千鶴
春陰や閉じて久しき古水門 むべ
摘草を溢しては摘み子ら笑ふ かえる
近道の畔ぬけゆくや草萌ゆる みきえ
頬杖をつきてベンチの暖かさ えいじ
雨情歌碑のバス停野口春あられ なつき
囀りやリフトゆるりと山頂へ 康子
引き潮にアタックしつつ残る鴨 きよえ
雛あられなぜか残るは白ばかり 智恵子
大空の高枝野鳩の日向ぼこ あひる
ものの芽は日差しより雨待ちにけり 満天
下校児の合唱たのし春の畦 やよい
歩く事思うに任せず春愁 わかば
雨上がり日矢に色付く春の山 康子
集落に時を知らせる鐘朧 みきお
天降り付く天香具山春しぐれ 明日香
な忘れそ今年こそ蒔く花の種 こすもす
僧侶の手一枝に一輪玉椿 愛正
山小屋のテラスにそよぐ花ミモザ 豊実
春雨に鴉の濡羽明るかり むべ

2024年03月11日

貰ひ風呂帰る夜道や冴返る みきお
ふらここを漕がず内緒の話かな かえる
霞立つ船影淡く凪の海 わかば
老梅の枝に鳥鳴く火灯窓 智恵子
東北の旅反芻す震災忌 千鶴
春あられ古雛ならぶ中馬道 なつき
城崎の湯殿に春の入り日かな たか子
野となりし祖父の家跡つくし摘む あひる
不意にきしボール春野へ蹴り返す えいじ
のどけしや風を捉へて鳶の舞ふ わかば
郊外の車窓に現れし桃の垣 智恵子
突風に風花舞ふや風と去る きよえ
剪定の音響きたる神の杜 康子
白木蓮や焼き餅如く膨らまん えいいち
桟橋を打つ波ばかり鴨帰る えいいち
玉串を供へ一礼花椿 豊実
春田打ち響く快音柔き土 みきえ
ポップコーン弾けゆくごと初ざくら あひる
かはいいは買わぬ台詞よ苗木市 なつき
門灯に寒緋桜のつやめけり むべ
水底に揺らぐ斑日水草生ふ 澄子
陽と水とほんの手加へ春栽培 千鶴
水温む身じろぎもせず白鷺に 満天
ものの芽や戦火逃れし民家あり 澄子
震災忌役所は半旗掲げをり やよい
春炬燵の席で観賞映画館 こすもす
春の野に雀追ひたるをさな子や むべ
引き揚げし転覆船に月冴ゆる 山椒
船渡御の雛を池に浮かべけり みのる
筆の花ゆびのさきまでまつくろに えいじ
高松塚帽子の形風光る 明日香
田園の広ごる里の山笑ふ きよえ
外堀をたたら走りす春の鴨 ぽんこ
飛機雲の消ゆる海原朝霞 康子
胡蝶蘭そっと当てたる春日影 みきえ
蘖を咥えお澄まし楠大樹 かえる
庭の奥蕾膨らむ沈丁花 こすもす
春場所の地元力士の技見事 満天
さくら餅上座に置かる子供椅子 愛正
春めくや筋力もどすゆつくりと もとこ
水温む鳥の水かき疾く動き せいじ
祭日の宮司の祝詞白椿 豊実
光満つ牽牛子塚の白き春 明日香
雛の座に四川を描く屏風かな みのる
貴婦人の香れる如し沈丁花 山椒
一斉に飛び立つ鴉春怒涛 みきお
満水の濠に鴨どちランデブー せいじ

2024年03月10日

手を振って見送る春の雪時雨 うつぎ
鐘の音の間遠に響く朧かな 澄子
切先が水面持ち上ぐ菖蒲の芽 みのる
掛け違ふパジャマのボタン春の風邪 なつき
からつぽのふらここ風の揺するまま かえる
桜隠し愛でる朝日にひと雫 智恵子
春眠し椅子より転ぶ奈落かな ぽんこ
折り雛の並ぶ改札無人駅 愛正
豊作を約束したり田水沸く みきお
着地して水輪広がる春の川 もとこ
卒園の小さき手包む握手かな あひる
烏二羽春のベンチを占拠かな えいいち
雪解けや鳥声零す黒き樹々 そうけい
ぽこぽこと蕾ふくらむ利休梅 明日香
うつむいて貝母の花は何思ふ 明日香
あんをんと亀の浮きたる春の川 えいじ
速攻で鴨上陸すパンめがけ せいじ
かくれしは袴の山のつくしんぼ えいじ
パーカーに胸輝かせ新入生 山椒
皿そばを重ね重ねて但馬春 たか子
吟行や集合場所は梅見茶屋 みきお
セーターを洗ふ遺品の金盥 みきえ
ものの芽の膨らむ雨となりにけり 澄子
商店街帽子を飛ばす春疾風 山椒
海風の通えばむせぶ菜花畑 智恵子
満ち潮の川に群れゐる春の鴨 わかば
春禽の小枝咥へて巣に急ぐ せいじ
ゆつくりと子らあるきたる春の星 むべ
職人の名を書き連ね由緒雛 なつき
春見つけペンを取り出すホ句楽し かえる
蒼天の海に白帆の風光る わかば
春場所観戦の娘等さがすテレビ画面 こすもす
枝垂梅今年も来たよ語る人 きよえ
沈丁花ほんのり香る雨上がり 満天
卒園証書掲げママへと突進す あひる
木蓮の蕾綻び紅光る きよえ
春霞四方の島浮く瀬戸の海 康子
大根葉らしき一株庭隅に みきえ
桃の花活けて句会や皆笑顔 こすもす
紅薄く香り微かな桜餅 愛正
城の狭間覗けば頬に春の風 康子
春時雨傘かさんとて追ひかけり うつぎ
うすぎぬの天蓋富士に春の雲 むべ
春先に来るは富山の薬売り 千鶴
目柳や温泉街は人まばら やよい
ドッグランリード放てば春疾風 えいいち
梅花散る若き旅立ち見送りぬ 満天
さざ波の静まれば見ゆ菖蒲の芽 みのる

2024年03月09日

春雨に濡れる車窓やのぞみ号 豊実
地の塩になれと餞卒業す みのる
乱帙の机辺に春の愁ひあり みのる
城下町貸し振袖や風光る 明日香
点々と小さき芽吹き狭庭にも こすもす
鳥の巣を仰げば顔に小枝落つ せいじ
雨粒の光る枝先木の芽吹く 満天
桜咲くカメラ仲間の笑い声 えいじ
枝垂柳押し分け見たる遊舟場 愛正
破れ目に花の切り張り春障子 千鶴
読みさしの独りの時間春炬燵 わかば
蝶のごと走る少女や花ミモザ あひる
春風や手荷物多き下校の子 愛正
もう晴れて無かったことに春の雪 もとこ
瑠璃窓の額に数多の花椿 澄子
花名札なき犬ふぐり煌めけり 康子
春爛漫中年女子のバレエ団 山椒
雄藩の誇りに聳ゆ春の城 たか子
切り株の大きに腰掛け日向ぼこ かえる
ひたひたと水寄す池塘芽吹く木々 せいじ
家敷門覗くミモザの花明かり 智恵子
淡雪や靴のかたちに解け初むる かえる
賓頭盧と並ぶ古雛地蔵堂 なつき
健康は自信有りやと新社員 みきえ
ふらここの高みに子らの靴の裏 康子
春寒し枝はらわれし学び舎に 満天
軒先に吊るす紙雛風の道 みきお
戸を繰れば川の向かふに山笑ふ こすもす
さよならを言ふ三叉路に風花す あひる
夜半に積む昼には消えし春の雪 そうけい
術後の身外湯に癒す春ごころ やよい
陶器雛九谷大皿屏風とす なつき
突風に髪の逆立つ余寒かな ぽんこ
ものの芽の日裏日表なる遅速 澄子
風光る赤屋根に映ゆクルスかな 智恵子
自撮りする芽柳の揺れ膨らみて 明日香
春色のお揃いの服双子の娘 山椒
草の間を抜けて水路に春の月 えいじ
二輪とて明し狭庭のミニ水仙 そうけい
小さき手に溢れるあられ雛祭 みきお
帽子飛び畑の端まで春疾風 千鶴
池の辺に競ひて並び菖蒲の芽 わかば
縫ひ付ける刺繍半衿春の午後 むべ

2024年03月08日

囀りや窓開け朝の厨ごと 康子
ほ句愉しすぎて春愁など無縁 みのる
背を割って不意に飛び立つ天道虫 みきお
大人へと巣立つ子の祝今朝の雪 そうけい
春雨やそぼ降る夜の暖かし えいいち
春霞沖のタンカー異国めく 智恵子
朝ぼらけ狭庭に雪の綿帽子 山椒
水草の流る側溝数多生ふ きよえ
バイオリン修理の木屑春ともし むべ
風強し波立つ水面水草生ふ きよえ
妻採りしつくしんぼうのほげてゐる えいじ
菜の花を揺らす雀の尾っぽかな かえる
足湯して春のみぞれも何のその 明日香
喬木の暗きを明かすミモザの黄 わかば
本落とす音に目覚める春の夜 愛正
春の苑光纏わす和服美人 かえる
喜寿迎へぬまま逝きし友春寒し こすもす
咲き満ちて春の草花香の高く わかば
うっすらと皇居の芝に朝の雪 智恵子
幌かかるスワンボートにゆりかもめ せいじ
筒入りの卒業証書不明かな うつぎ
足裏で探ぐり掘り当つ小竹の子 千鶴
春眠の顔は天使やおしやまさん みのる
プードルの乗るベビーカー花の道 あひる
マフラ-に包まれ目だけ出す守衛 山椒
実ばかりか幹もすべすべ藪椿 せいじ
箒持て姉さん被り仕事雛 なつき
苗木市城のふもとの小賑わい たか子
群生の花三椏のまだ白し やよい
冴返る星空よぎる飛機ひとつ みきえ
思い出せぬ小話ひとつ朧月 こすもす
座る位置おのずと決まる日向ぼこ みきお
次つぎと訃報の連絡春寒し 満天
番鶏つかず離れず春の昼 なつき
舞殿に笑む花嫁や風光る 康子
指先で揉めば香散る山椒の芽 愛正
イエローのコート取り出し春を待つ もとこ
城崎の柳の芽吹きあと少し 明日香
助詞一字思いあぐねし遅日かな 千鶴
斑雪野となりし朝にひよ鋭声 むべ
突端で釣り人に会ふ花堤 あひる
おもはざる桜隠しの朝かな 澄子
春雨や裾野だけでも富士は富士 豊実
つくしんぼう袴脱ぎ捨て横になる えいじ
混み合いの残る一輪藪椿 ぽんこ
病む鼻に香り届けし春の風 たかを
春疾風農に就く子の背ナにかな たか子
白木蓮や枝先すべてつぼみなり えいいち
春暁や小さき富士を浮かべたり 澄子

2024年03月07日

古の彩あはれなり土雛 澄子
地蔵尊へ満開の桃供華として 満天
さらさらと流る川辺の水温む きよえ
春の夢枕を濡らし目覚めけり みきお
のどけしや糺の森の流れ清む わかば
水温む鯉の動きも早まりて 満天
堰落ちる泡の白さや川の春 明日香
六千歩目ざして抱く桜餅 ぽんこ
と見る間に水に戻りぬ春の雪 かえる
芽柳の風に膨らむ蔵の町 澄子
賓頭盧の見つむる御目のあたたかし 康子
春風に止まぬビオラのダンスかな あひる
柳芽や淀む名残の船着き場 愛正
淡雪の溶けて儚き染みとなる かえる
昔日を思ひ遅日の須磨にあり みのる
散り惜しむ若き一枝の梅の花 えいいち
神前のぶつかり稽古落椿 豊実
一人居に年ごと増ゆる吊し雛 なつき
庭深く吉祥草の紅実る むべ
太鼓橋上つて下りて春たのし 明日香
野水仙風に抗いイナバウワー 智恵子
杉美林縫ひて囀り届きけり こすもす
百鉢の芽吹き急ぐを見守れる うつぎ
山門を照らす一輪紅椿 康子
サクサクと雨後の草引く春の畑 千鶴
露草を掻き分け進む犬の鼻 みきお
子らの描く絵雛口開け大笑ひ なつき
うららかや廃校カフェにひと休み やよい
ばら寿司を埋む豪華なる桜鯛 智恵子
雨上がる万物芽吹く里の山 きよえ
震災を記録すと碑に風光る せいじ
春祭り鼻におしろい稚児の列 山椒
いざ咲かん力漲るこぶしの芽 山椒
春休み空き室有りの学生街 愛正
立金花なだれる春の光かな あひる
家路ゆく足傷つきし狸かな むべ
初花や風に震えて一二輪 もとこ
殿様の駕籠に春塵城櫓 せいじ
啓蟄の土を撒き出す重機かな えいじ
明石の門波の子もなく風光る みのる
玉子とじ一番美味し土筆採る えいじ
白木蓮の芽の裂け出し白きもの えいいち
春巡る朽ちし犬小屋母屋さえ たかを
のどけしや草花展の一日旅 わかば
ブルーシートの覆ふ土俵や春祭り こすもす

2024年03月06日

俊と立つ雨一輪の桜草 えいいち
老人学園入口にある雛飾り こすもす
雨上がり庭びっしりと落椿 満天
胸の花挿すままに去ぬ卒業式 かえる
桜咲く絵文字並ぶや合格と 千鶴
日時計が待合せ場所春麗ら せいじ
夜明くれば白銀の街忘れ雪 山椒



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