病室へかすみ草添え春の花 | たか子 |
賛美歌を乗せて土堤の春の風 | あひる |
窓あけてまづ沈丁の匂ひたる | 更紗 |
もういいよの声に駆け出す春帽子 | ひのと |
2023年03月16日 | |
石畳木蓮張り付く裏参道 | 愛正 |
玉筋魚のくぎ煮送ると電話口 | きよえ |
蹴り返すボールの落下春落葉 | ぽんこ |
黒土にへばりつきたる花の屑 | せいじ |
岩穴を灯す仏や春の闇 | なつき |
春霜やひとときだけの綺羅畑 | 隆松 |
こびりつく燕の古巣酒屋閉づ | なつき |
ごみ出しの手を止めて聞く初音かな | もとこ |
行厨や横はカップル花堤 | あひる |
客人として故郷に青き踏む | うつぎ |
半日を煙の様な春霞 | 宏虎 |
耕され黒々と土立ってをり | 明日香 |
落椿タイムカプセル赤く染め | ぽんこ |
白木蓮天女舞ふごと花揺るる | きよえ |
蒼天に全開の辛夷咲く | 満天 |
羽ばたきに堕とされてゆく椿かな | 澄子 |
初蝶に見送られもしゴルフへと | こすもす |
杜に住む鳥の鋭声や落椿 | 豊実 |
春の朝軽き足取り退院す | みきお |
ゴンドラの人が手を振り山笑ふ | みのる |
耕牛に鞭当て進む田圃かな | みきお |
山桜ダム湖囲みて渋滞す | 智恵子 |
春霜に素手くるまんと伸ばす袖 | 隆松 |
キエフへとこの暖かさ届けたし | 明日香 |
雪柳しの字ノの字の乱れ咲き | たか子 |
啓蟄の夜に喘息発作の子 | 素秀 |
振り上げし拳を解きぬ春の暮 | ひのと |
天井の龍も仲間に涅槃絵図 | はく子 |
聞こえども姿見えざる初音かな | 千鶴 |
写真家もモデルも通る花堤 | あひる |
富士裾車窓に映ゆる花菜畑 | 智恵子 |
初蝶のおぼつかぬ様いざゴルフへ | こすもす |
イタリア戦祈る勝利や春疾風 | 千鶴 |
囀りの伝播途切れぬ楠大樹 | 素秀 |
よもぎ摘む婆へ土産の餅ねだる | かえる |
摘む児らの手にも胞子やつくしんぼ | せつ子 |
春うららホールインワンに歓声を | 満天 |
花屑の樹下に名残を惜しむかに | せいじ |
つくしんぼ背くらべせる土堤かな | みきえ |
佐保姫の小走りに来て窓叩く | 宏虎 |
輝ける花菜横切る車窓かな | みきえ |
掃き寄せし葉の中光る落椿 | 愛正 |
卓上に卒業子から感謝状 | むべ |
踏青やサイクリングに道譲り | みのる |
駅に買ふ小さき花束彼岸入 | ひのと |
茎立の良き菜を選び夕餉とす | よう子 |
2023年03月15日 | |
今日こそは初音聞かむとすます耳 | こすもす |
春日燦ひねもす畑の中にいて | 千鶴 |
窓開けて空へ帰すや春の蝿 | ひのと |
半月を見むと飛び起く春の朝 | みきえ |
ヒッチコック映画出るに出られぬ春炬燵 | こすもす |
空谷の奈落に雉子叫びけり | みのる |
雛飾りいぶす囲炉裏の煙かな | なつき |
歩を止めよ汝が踏むところもの芽出づ | みのる |
春の陽にモミダの黄色空に映ゆ | きよえ |
満開の桜に鳥の歓喜せり | ぽんこ |
寝過ごして是非もなしかな花菫 | 澄子 |
南空に下弦の月や春の朝 | みきえ |
啓蟄や農機具出して点検す | みきお |
ダンボール橇がわりにし野に遊ぶ | みきお |
はいはいの途中寝落ちや春うらら | 智恵子 |
かがり火の赤濃くなりぬ春の宵 | もとこ |
疎に密に河津桜の並む河畔 | せいじ |
蒼天に諸手広げし桜の木 | ぽんこ |
個々想ふ廃校跡の古梅かな | 愛正 |
ほころびし蕾満載藪椿 | せいじ |
旧友の変はらぬ笑顔梅の宮 | きよえ |
春の虹消ゆればありしこと忘れ | 宏虎 |
日照雨佐保姫歳をとられたし | 宏虎 |
散り敷きし花に花枝の著き影 | あひる |
里山の試歩の小道や春の汗 | 智恵子 |
首に巻く真珠に春の寒さあり | ひのと |
渓谷の光る飛沫や雪解水 | 愛正 |
たんぽぽや園児の散歩皆笑顔 | 満天 |
先導の兄弟喧嘩山笑ふ | かえる |
古草の手持ち無沙汰や風に揺る | 明日香 |
ゆらゆらと人影昇る目借り時 | 澄子 |
道端の蓮華カチューシャには足りず | よう子 |
登り行くリフトの眼下蕗の薹 | 豊実 |
白木蓮の花びら広げ踊り出す | はく子 |
三椏の花や紙漉き昼灯す | なつき |
水温む鯉は口開けのぼり来る | 満天 |
谷々の雪解集めて川疾し | 隆松 |
散り敷きしピンクのドット花堤 | あひる |
野遊びの茣蓙を広げる一樹下 | 素秀 |
筆洗ふ水を貰ひし春の川 | 素秀 |
輸血とは命のしずく春日差す | たか子 |
2023年03月14日 | |
雪どけや湖水の色の七変化 | 愛正 |
ケーキ買ふバレンタインのお返しや | みきえ |
暗渠より溢れ出でたる花筏 | あひる |
四十八番の受付票や納税期 | こすもす |
花透かし牽牛子塚の白き綺羅 | 明日香 |
地球儀の太平洋に蝿生る | みのる |
竿売りの声遠きから春嵐 | 素秀 |
スケッチの岬抜けゆく若葉風 | 智恵子 |
待合の長椅子に嫗目借時 | せつ子 |
春愁や会社勤めの名刺束 | 宏虎 |
春寒しスカーフ丸めバック中 | みきえ |
春雨の晴れて夕の茜雲 | 智恵子 |
さへづりに休む水筒飲み干して | なつき |
花杏旧家の名残天を突く | そうけい |
老い母へ朝のひかりや春障子 | あひる |
地蔵尊へ翳す数多の木木芽吹く | 満天 |
定休日の札風に揺れ日永し | むべ |
折り雛は俳書の山を高御座 | みのる |
不織布を張り付けたよう春の月 | たか子 |
愚づる子を肩車して青き踏む | みきお |
山笑ふ登山口てふ道しるべ | せいじ |
コミックの吹出しめくや杉花粉 | 隆松 |
明け染むる空に柔らな春満月 | かえる |
春昼や刀自慢の骨董市 | ぽんこ |
威を放ち隙なく並ぶ杏花 | そうけい |
春愁や待合室の数値待ち | せつ子 |
宮参りの嬰のぞかるる遍路寺 | なつき |
転転と古道に倣ひ藪椿 | 素秀 |
酒瓶にねむる帆船春埃 | ひのと |
シャキシャキと新玉ねぎの噛みごたへ | 千鶴 |
春暖の名宝なく寺過去帳 | 宏虎 |
青き踏むゴミ出し済まし登校児 | きよえ |
子が叫ぶ白木蓮はバニラ色 | せいじ |
をちこちでくさめの響く梅の園 | もとこ |
火口原まだら緑の雪解野 | 愛正 |
ぱつちりとこちらを見てる犬ふぐり | 明日香 |
薹立ちの菜を薙ぎ倒す春嵐 | 豊実 |
産院に満つるささやき暖かし | ひのと |
背後より現われ消へる初蝶来 | みきお |
2023年03月13日 | |
陽炎や古き瑠璃戸を揺さぶりぬ | 澄子 |
梅の香やグランドゴルフ四季巡る | たかを |
石垣の一つに一羽残る鴨 | 素秀 |
雨戸打ち真夜に過ぎ行く春一番 | みきえ |
失せ物を探しあぐねる日永かな | ぽんこ |
木の股に隠されてゐる春帽子 | かえる |
黒牛の帰る背中の杉花粉 | 素秀 |
つくしんぼ袴脱がせて家路へと | 智恵子 |
涅槃西風バイクの僧の輪袈裟揺る | きよえ |
振り返りあれっと紅き落椿 | よし子 |
通るたびつまみ食ひの子雛あられ | みきお |
麦踏めば山から風の又三郎 | よし子 |
古民家に古雛あつめ郷土展 | みのる |
遍路婆弁天池に鯉呼べり | なつき |
千枚田雪解け水の襞模様 | 愛正 |
春愁やラジオつけいて聞かずいる | 宏虎 |
後ほどと言うて別れし花衣 | ひのと |
春暖の急勾配の天守閣 | 宏虎 |
桜咲くの厚き封書や大試験 | せつ子 |
卓袱台を内裏としたる雛の宴 | あひる |
ものの芽の覆う沢筋霊泉場 | 愛正 |
呼び鈴に応ふ声なき沈丁花 | 澄子 |
ゆくりなく始まる茶会雛の間 | あひる |
八十路とて三輪挑む春の日に | きよえ |
ボンネットの猫の足跡春の泥 | こすもす |
耕され畝黒々と艶々と | 明日香 |
春郊に車を止めてボール蹴る | せいじ |
日の当たる部屋を貰ひて卒業す | ひのと |
春色の京漬け物が主菜かな | もとこ |
夕暮れのひときは白き雪柳 | 満天 |
花粉症らしき僧侶や月命日 | こすもす |
取りそこねたるボール落つ春の池 | せいじ |
唸りたる雨戸に目覚む春一番 | せつ子 |
春落葉日毎掃き寄す媼かな | みきえ |
春寒きカフェーにいつもの語り草 | たか子 |
町中の小さき木立に初音聞く | はく子 |
妻の息確かめ吾もまた朝寝 | みのる |
更くる夜の一回きりの春の雷 | 千鶴 |
無人駅案内人立つ梅の里 | 智恵子 |
メークイン売り切れたとや種物店 | 明日香 |
川面へとなだれ咲きつぐ雪柳 | 満天 |
新宿のビル群むせぶ春時雨 | むべ |
竜のごとのぼる老松遍路寺 | なつき |
犬走り伸びるリードや青き踏む | 豊実 |
大輪を思い描ひて菊根分 | みきお |
2023年03月12日 | |
風強しひと日で乾く若布かな | 明日香 |
江の島に沿ひて天蓋籔つばき | 智恵子 |
春塵に猫の足あと二つ三つ | かえる |
啓蟄の庭に気配を探しけり | あひる |
左右から畦塗りはじむ老夫婦 | みきお |
東風の波止潮騒の音の響きをり | きよえ |
名札立て花種蒔くや柔き土 | みきえ |
啓蟄や傷の引きつりゆるみけり | もとこ |
中空の真白き辛夷触れ難き | 澄子 |
四阿に一会の人とあたたかし | なつき |
春愁や二日続きの野辺送り | せいじ |
強東風や玻璃に木の影揺れをりぬ | こすもす |
にぎにぎし紅や白やと更紗木瓜 | むべ |
ゆっくりと確実に伸ぶ日脚かな | たか子 |
こんなにもよくぞ咲きたり土佐水木 | こすもす |
木洩れ日の降る橅林の雪間かな | 愛正 |
啓蟄や泣き声太き香具師の嬰 | なつき |
譲り受く机届くや新入生 | みきえ |
ものの芽に触れるそよ風匂ひ立つ | 愛正 |
家狭く曾孫の雛は二人だけ | 宏虎 |
公園を見透かし囲む花馬酔木 | 智恵子 |
隣家より降りしきる梅わが庭に | 満天 |
啄むる紅の侘助病室に | そうけい |
種芋の埋土を均す小さき手 | 豊実 |
初音聞く畑仕事の母娘 | たかを |
大楼門へと大路なす新樹かな | みのる |
籠りては相撲に野球春炬燵 | 満天 |
衿もとへ熱を看る手やおぼろの夜 | たか子 |
いわれある岩に凭るる花椿 | ぽんこ |
存問の吾を励ませるうつぎの芽 | あひる |
野遊びの子に嘴鳴らすこふのとり | 素秀 |
野遊びの歓声溢る園児たち | かかし |
庭に積む菜花の浅漬朝の膳 | はく子 |
野に遊ぶ逆さキャップのをさなかな | せいじ |
老い妻と日課の散歩日脚伸ぶ | みのる |
砂はかすつぶやく浅利夜の厨 | 宏虎 |
卒業生校名なぞり目の潤む | かかし |
鳥荒らす庭の侘助病室に | そうけい |
打出しのだんじり太鼓郷うらら | 千鶴 |
春禽の羽のあはひや水ひかる | 澄子 |
夕映えの宿に馬酔木と湯の匂ひ | 素秀 |
雨垂れの膨らみ落ちる春の色 | みきお |
路地裏は子らの縄張り春夕焼 | ひのと |
東風強し帰り支度す釣人や | きよえ |
降幕へ投げるおひねり春芝居 | 千鶴 |
店番に犬置いてゆく苗売女 | ひのと |
初音聞く唯一言の日記かな | うつぎ |
2023年03月11日 | |
初々し雛ふるびし桐箱に | あひる |
春愁やいいすぎし事足らぬ事 | 宏虎 |
三陸の遺児投げるドームや震災忌 | 千鶴 |
春の丘雲と風車と青空と | はく子 |
種を撒き目印に挿す種袋 | みきお |
庭仕の手思はず止まる初音かな | うつぎ |
点々となぞへに憩ふ残る鴨 | 明日香 |
採寸の両手真つ直ぐ春日燦 | ひのと |
奥の院木の根の階に落椿 | なつき |
悪童め首すげ替える雛の段 | かえる |
啄まれ光零るる梅の花 | 豊実 |
ふらここや高さ競うて風にのる | 素秀 |
人垣は催事の習ひ雛流し | せいじ |
幼子に挨拶受ける春の土手 | もとこ |
黄昏の道標明かり花ミモザ | 智恵子 |
嵩高に春菜積まれて無人棚 | 澄子 |
シャボン玉魔法のタクト高く舞ふ | きよえ |
さざなみに小さき足入れ春の浜 | きよえ |
木蓮の蕾のぞきし二階窓 | 素秀 |
朱唇あけたまひし雛の微笑かな | みのる |
プランターの三色すみれ日を返す | 満天 |
芽吹きだと確かめ触れる蔓の枝 | そうけい |
生花展にまさかの花材座禅草 | こすもす |
抗生剤はご免蒙る春の風邪 | うつぎ |
竹藪の雀囀る雪間かな | 愛正 |
リラの花別荘地へと並木道 | 智恵子 |
緩き風に振る種袋日付入れ | そうけい |
雛納め夫に急かさる八日かな | あひる |
屋根に置く漬物石や里うらら | ひのと |
おのが目を疑うなかれ陽炎へる | こすもす |
神事なること諾ひし雛流し | せいじ |
夜のカフェ女主人の雛納め | なつき |
代々の伝統を守り種浸す | みきお |
逆上がりやっと出来るや風光る | 満天 |
指先に探る目玉や蛍烏賊 | たか子 |
両の手にみるみる溢る蕗の薹 | 澄子 |
下駄箱の上に手作り雛まつり | みのる |
うららけし一気に冬着しまひけり | 千鶴 |
登山道日差す窪地の雪間草 | 愛正 |
雪柳ブレイクダンスしてをりぬ | 明日香 |
春愁やただそれのみの日が暮れぬ | 宏虎 |
岩盤の波に洗われ苔の花 | ぽんこ |
2023年03月10日 | |
野遊びに飽きて頬張る握り飯 | かえる |
白木蓮夜空に向かい手を開く | むべ |
朧なり止まったままの水車小屋 | なつき |
親株を遠巻きにして名草の芽 | うつぎ |
城跡の堀の底へと落椿 | 豊実 |
春灯や波につながる漁師町 | 宏虎 |
果てしなき青空に伸ぶ梅白し | せつ子 |
松原に寄するさざなみ風光る | きよえ |
霞立つ影を写して朝日照る | きよえ |
思ふまま老木囲む梅見かな | 愛正 |
賑賑し梅みる人の公民館 | 愛正 |
清流へ綺麗どころの流す雛 | せいじ |
朝刊を飾る若人風光る | みきえ |
梅の里籠る香りや磨崖仏 | 智恵子 |
囀りに歩幅伸びたる散歩道 | 千鶴 |
花びらに群がる蜂の羽音かな | 千鶴 |
箸置きを桜に変えて雛の膳 | 智恵子 |
赴任地は海沿ひの町燕来る | ひのと |
湧水を音と変へたる春僧都 | 澄子 |
若鮎の力溜めたる大堰堤 | 素秀 |
おくるみより覗く蕾のちゅうりっぷ | はく子 |
綿菓子のごとく盛られしスイートピー | あひる |
車検終え土筆探しに遠出する | 明日香 |
青踏みて鬼籍の友を語り草 | みのる |
草の芽や日差しを受けてビロードのごと | 満天 |
常世へと幾瀬経しなん流し雛 | みのる |
雛見入る座布団すすめて呉れしかな | うつぎ |
玉筋魚の釘煮の近々届く頃 | 澄子 |
暖かや貸し農園の子等の声 | 満天 |
暮遅し水を欲しがる庭と鉢 | 明日香 |
よく似合ふ遺影の友にスイートピー | あひる |
口ベタの農民値切る農具市 | みきお |
釣り上げるメバル目を剥き膨らみぬ | みきお |
恋猫や勝手口より父帰る | ひのと |
五百齢触れてあたたか椋大樹 | はく子 |
引き返し老い母に買ふ流し雛 | せいじ |
芹青き水に揺られて寂光土 | 素秀 |
春たけなわ招待状は生花展 | こすもす |
春愁や二回目なりし四十肩 | なつき |
摘み草を満たして籠の重からず | 宏虎 |
春塵やけふは内干し濯ぎ物 | みきえ |
春陽ざし小石に伏せる小虫かな | たかを |
去年より増えし蕾や黄水仙 | こすもす |
鳥帰る一期一会のまた有りや | もとこ |
2023年03月09日 | |
春暁の手足が集ふ洗面所 | ひのと |
眺む人皆んな笑顔やチューリップ | こすもす |
山襞の残雪光る赤城山 | 愛正 |
観梅や山麓沿いの道の駅 | 愛正 |
梅の香を乗せて漂ふ谷雲海 | せつ子 |
春昼や甲羅干したる二十頭 | 豊実 |
剪定や鋏持つ手の迷子かな | かえる |
流し雛離るる岸を振り向かず | みのる |
山笑ふ病自慢の同窓会 | もとこ |
釜揚げのしんこ煽いで湯気飛ばす | 千鶴 |
お手玉の転がつてをり雛の間 | うつぎ |
重箱の中は宴の豆ひひな | うつぎ |
回覧板老女の歩み春の笑み | たかを |
春風や手を振り進む一輪車 | みきお |
浜風に匂ふいかなご天日干し | 千鶴 |
玉筋魚や入荷待つ列疎らかな | みきえ |
トロ箱を狭しと跳ねる桜鯛 | 智恵子 |
啓蟄や仏計らい守りしよ | 宏虎 |
豊後梅うすくれなゐに園光る | むべ |
骨董屋の甕に子目高きらめけり | なつき |
色も香も闇に隠るる薄紅梅 | 素秀 |
雛流し人垣に立つ自撮り棒 | せいじ |
春野菜屋台に並びみづみづし | きよえ |
散歩途中友より貰ふ根分株 | こすもす |
道祖神にバスの減速山笑ふ | なつき |
玉筋魚や価格眺めて立ち止まり | みきえ |
地蔵尊の笑みうっすらと暖かし | 満天 |
桜海老干されて浜を通せんぼ | 智恵子 |
朝シャンと見しつくばひの四十雀 | みのる |
ゆるキャラも目を丸くして雛流す | せいじ |
うららかや笑い途切れぬ客間かな | たかを |
四温晴れあれもこれもと洗濯す | 明日香 |
余生とは元気に趣味に朧の夜 | 宏虎 |
庭に来る今年最初の黄蝶かな | 明日香 |
暮れかぬる明るさありて沈丁香 | 澄子 |
赤い靴行きつ戻りつ青き踏む | 満天 |
曇り日や明るさ空に桃の花 | きよえ |
稜線も丸くなりけり春の山 | せつ子 |
図書館の一枚ガラス暮れ遅し | たか子 |
補助輪の取れてはしゃぐ子風光る | みきお |
桜餅まづ客間へと運ばるる | ひのと |
故郷の従姉妹が守る桃の庭 | 澄子 |
犬の来ぬ斜面に美しき蓬かな | たか子 |
うす雲のダム湖を満たし花辛夷 | 素秀 |
2023年03月08日 | |
介護タクシー降りきし友の春ショール | こすもす |
酔いどれは右へ左へ春の宵 | かえる |
名草の芽山の日へ向く道祖神 | なつき |
剪定の話は長し植木市 | 愛正 |
春暁の草木の眠り美しく | 宏虎 |
小流れの水呑む猫や水温む | みきお |
霊水を汲む岨路や雪残る | 愛正 |
子らの手を借りて通院春の昼 | たか子 |
窓開けてカーテン揺らすや暖かし | 満天 |
日の当たる土うきうきと竜の玉 | よし子 |
空を蹴り山を蹴り上げ半仙戯 | よし子 |
吊り橋の透ける足元雪解水 | 豊実 |
父母の墓掃きこぼれたる土筆ん坊 | ぽんこ |
地の温み残る夕餉の蕗の薹 | うつぎ |
暖かやはみだす手足ベビーカーより | 満天 |
光満つ桧皮の屋根の苔の花 | あひる |
春の鳶羽広ぐるももう飛べず | 千鶴 |
幾度も戦禍くぐりし雛かな | 澄子 |
芹洗ふ泣く子を足に絡ませて | ひのと |
囀りや洪水跡の山癒えて | みきお |
祢宜らみな八面六臂雛流し | せいじ |
春月へ真つ直ぐ向かふ家路かな | 素秀 |
袋路の足の怯むや落椿 | 素秀 |
踏青や指呼の比叡はまだ覚めず | みのる |
浜公園椿咲く路少し坂 | きよえ |
新物とラベル貼らるる白子干し | みきえ |
遠浅に巌の尖る春の海 | ぽんこ |
芥なきみたらし川へ椿落つ | 明日香 |
目の痒み我慢出来ぬ日花粉熱 | 智恵子 |
青き踏む犬のリードの伸び縮み | むべ |
さっちゃんてふ介護タクシー春うらら | こすもす |
欄干に凭れて指呼の残り鴨 | あひる |
先の目処付きし安堵や朧月 | たか子 |
もこもことまだ背の低き麦青む | 明日香 |
ゆるキャラも袴をはきて雛流す | せいじ |
暮れ残る稜線ほのと春夕焼 | やよい |
桃一枝活けて机上の華やぎぬ | 澄子 |
散策の茂みに覗くまむし草 | 智恵子 |
小鳥待つカメラ砲群梅の苑 | せつ子 |
春の夕ポストに落ちるラブレター | 宏虎 |
玉筋魚や高値をつけて鎮座せり | みきえ |
次々と予定入れたる遅日かな | もとこ |
志望校日頃の努力さくら咲く | きよえ |
ひな流し京の舞妓も花を添へ | みのる |
あたたかや睫毛描かれし抱き地蔵 | なつき |
春の灯の文に封する手暗がり | ひのと |
2023年03月07日 | |
糸月や玉藻の前の春化粧 | 澄子 |
身をかがめ日の差す園のクロッカス | 満天 |
我が影に姿勢正すや春の朝 | きよえ |
せつぶん草なぞえに這いて撮りにけり | やよい |
春きざす糺の森のささら川 | せいじ |
春霞飛び交う汽笛瀬戸の夕 | 智恵子 |
家事抜けて春の花壇に泣きに行く | たか子 |
山吹の枝垂れ水面を明るうす | 素秀 |
先頭の統率力や鳥帰る | たか子 |
道沿ひの畑に小さきクロッカス | 満天 |
思いのほか小さき花やせつぶん草 | やよい |
青空や千木の尖端風光る | せつ子 |
春昼や牛が背の掻く竹ぼうき | なつき |
点呼とる朝の集会この芽晴れ | みきお |
鼻声の程でもあらず春の風邪 | うつぎ |
春めきぬ空にぽっかり碧き月 | 宏虎 |
残雪に埋むる古道の道しるべ | 愛正 |
大玻璃を透かして京の山うらら | 明日香 |
鉋くづ東風に飛ばさる寺普請 | なつき |
銀山の史跡見学風光る | こすもす |
友の数だけ鉢並べ根分けして | かえる |
流し雛みたらし川に放たるる | あひる |
竹藪に朝日零れて初音かな | 豊実 |
引っ越しの荷物届けり桜どき | みきお |
十字架の影をちこちに日永墓地 | むべ |
天窓に星降る春の望の月 | 智恵子 |
寿の標の揺るる梅古木 | せつ子 |
葵橋渡る師弟に春の風 | あひる |
河口から始まる春の月の道 | 素秀 |
足掛けて飛び乗る小舟風光る | ひのと |
十年ぶりに押す車椅子花馬酔木 | こすもす |
子狐や余寒に生まれ来たるらし | 澄子 |
うるうると光あまねし春満月 | 千鶴 |
天へ鉾たてて芽を吹く大公孫樹 | みのる |
散歩して池に生えたる菖蒲の芽 | 宏虎 |
静かなる水面に突と鴨の顔 | ぽんこ |
うららかや次々並ぶ焼き立てパン | みきえ |
顔馴染み苗売る老媼の声高し | 愛正 |
添へし手で波へ送りぬ雛流し | みのる |
碧眼と軽く会釈や梅園で | ぽんこ |
蕗味噌や母は嫌はれ者で良し | ひのと |
ゲツロゲロ蛙でないよ鴉だぜ | たかを |
朝靄や東の空に日のまぶし | きよえ |
春満月得した気分見惚れける | もとこ |
春の土手人増える毎とんび増ゆ | 明日香 |
小流れのしがらみめきし葦の角 | せいじ |
百選の水への山路蕗の薹 | うつぎ |
2023年03月06日 | |
鳥語降る此処に椿の蜜ありと | 澄子 |
校庭の跳び箱一つ春の昼 | 宏虎 |
流し雛スクラム解きて奔流へ | みのる |
豌豆の黃蝶めきたる花ざかり | あひる |
巣立つ鳥巣箱離れて振り向かず | みきお |
転んでは起こす自転車草萌ゆる | ひのと |
長閑けしや瀬戸は潮のリズムなる | きよえ |
目眩して終日伏すや木の芽時 | みきえ |
ひな流し子らの合唱もて終はる | みのる |
薪くべて人立ち去れり春囲炉裏 | なつき |
マスク脱ぎ春の房総食べ歩き | 智恵子 |
鳥雲に争いの無き地を目指し | たか子 |
春耕の土黒々と貸農園 | 満天 |
春昼の土曜講座が早く済み | 宏虎 |
老梅や支えを受けて紅ひらく | もとこ |
参道に紫陽花の苗一面に | 明日香 |
パラグライダーに興ず古民家福よせ雛 | やよい |
日々蕾膨らみきたり土佐水木 | こすもす |
おんぶの子伸ばす右手に風車 | かえる |
春空の天守に鳥の旋回す | ぽんこ |
飛び石に影ひるがえる春の川 | あひる |
折れ曲がる石段の影日脚伸ぶ | みきお |
春雨や夫の背の二滴 | せつ子 |
霞立つ沖合はるか播磨灘 | きよえ |
十日余もリビング飾るフリージア | せいじ |
コンビニに鞐ゆるめる老遍路 | 素秀 |
久方の挨拶多し植木市 | 愛正 |
音のなき清き流れや春浅し | せいじ |
黄の絨毯河津桜とコラボなす | 智恵子 |
谷あいの雪解け利根の一支流 | 愛正 |
喋るなとビデオ撮る人雛流し | 明日香 |
汐風を押さへて立てり若緑 | 素秀 |
玉垣の囲ひ狭しと梅盛る | せつ子 |
つくばいの底に影濃き白椿 | むべ |
春の雪ライトアップの露天の湯 | 豊実 |
街中の柳恋しくペダル漕ぐ | たかを |
遺さるる身の哀しさよ鳥帰る | たか子 |
啓蟄や公園賑はふ親子連れ | 満天 |
囀りはどこから見上ぐ空青し | こすもす |
廃城の城主の墓や山おぼろ | なつき |
ものの芽の戦ぐあかるき空き家かな | 澄子 |
麗らけし鴉ではない飛行機ぞ | たかを |
大谷の打棒すさまじ地虫出づ | 千鶴 |
弟に母を取られて青き踏む | ひのと |