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句会へと切符買う朝雪催ひ こすもす
お取越法話の後のお茶熱く よし女
皆去りて囲炉裏に残る熾火かな むべ
寄鍋やたまの息子に毛蟹解く せいじ
冬桜若木に鹿のかじり跡 なつき
数珠なせる観光バスに銀杏散る 康子
冬の街熊の騒ぎのおさまらず 藤井
法話入りの暦配りや師走来る こすもす
綿雲敷く狭間の朝日冬ぬくし きよえ
薄墨の嶺々を沈めて冬の霧 あひる
小春日や鬱病む人に射すひかり 藤井
翼下には細れ石めく冬の首都 あひる
火吹竹眠れる燠を起こしけり ほたる
おちこちに手締めの声や大熊手 みきお
散りてなほ華やぐ色葉堆し みきえ
寝具からばらぼろ落ちる放屁虫 ほたる
摩天楼つらぬく銀杏落葉道 康子
十重二十重古き社の冬紅葉 明日香
落人村落葉時雨の廃家かな なつき
手習いの硯と筆や秋の午後 勉聖
南京町の湯気くぐり行く十二月 うつぎ
銀杏の葉染まるトンネル夕日浴び ふさこ
補聴器を外し枯れ葉のそよぎ聴く たか子
冬耕の日に照る土や老ひとり えいじ
喧しきラジオを消して冬銀河 わたる
校長の朝の訓示や息白し みきお
熟柿たわわ立入禁止の柵の中 やよい
口笛を吹き合ふやうに冬の鳥 和繁
つむじ風落ち葉過ぎ去る石畳 愛正
彫深き顔の陰翳榾の主 むべ
下戸の子にちと付き合えと新酒酌む せいじ
矢の如く誕生月の師走来ぬ 千鶴
築山や銀杏落葉の滑り台 愛正
冬麗の川瀬啄む白き鳥 えいじ
一穢なき青空に映ゆ冬紅葉 明日香
着水の眼鋭し冬の鴨 澄子
石蕗咲き思わぬ客の声あたたか 勉聖
唐門の透かし彫りから冬紅葉 もとこ

2025年11月30日

堆き落ち葉に沈むスニーカー 澄子
ぼけ封じ要らぬ句帳や冬籠 もとこ
県境の峰々つなぐる冬の星 愛正
車いす押す孫の手に落ち葉舞ふ ふさこ
神官の吐く息白し朝勤め 愛正
補聴器を外し枯れ葉のリアル聴く たか子
煤払ひデッキブラシの出番かな みきえ
剥がされた版築模様冬ざるる 明日香
コーヒーを淹れる冬霧濃き朝 うつぎ
防災の炊き出しうどん冬温し みきえ
ドローンに城の歴史を知る小春 やよい
鋭しや溝覗く目付冬の鷺 きよえ
火吹竹澄みし炎を踊らせて むべ
野地蔵の服とりどりや木の葉雨 康子
バケツごとゆつくり運ぶ初氷 和繁
葉の陰の白首の照り大根畑 和繁
悴む手息吹きかけて登校す みきお
軒先に炭俵積み冬に入る みきお
山越えの善光寺道息白し なつき
通り土間寒梅一枝鉢にさす 藤井
白菜のみずみずしさや鍋の沸く 藤井
窓辺咲く妻生日の冬薔薇 えいじ
ふるなびの蟹届きけり娘に感謝 千鶴
聖菓着く天地無用のギフト箱 せいじ
冬紅葉天蓋なせる女坂 澄子
桜紅葉且散る果ての白き富士 ほたる
太き幹両手に余る名の木落葉 ぽんこ
眼をこらす子持ち勾玉館小春 明日香
はあと言ふ毒を吐き出し露天風呂 わたる
鳥除けのカイト旋回りんご畑 なつき
自然薯を探り掘りたる秋日和 勉聖
干布団ほっくらつつむ日の匂い ほたる
鉄鍋の黒々として榾明り むべ
山道にこぼれるほどの蜜柑かな 青海
真青なる空に綺羅あり水鳥来 せいじ
吊し柿すまし顔なる個包装 あひる
尉鶲朝のしじまを破りけり 青海
ほつほつと夕陽に染まる冬紅葉 康子
山家に灯るランプやゼンテイカ 勉聖
冬菊や香り放ちて里小径 きよえ
冬の月鐘の余韻の消え残る 博充
降雪の電話画面の孫遠し あひる
あと一つ寝ると到来十二月 こすもす
朝まだき鼻歌まじり蒲団仕舞ふ えいじ
鴎飛ぶ真青なる空カンバスに よし女

2025年11月29日

冬日浴び本を味合ふ昼下がり みきお
残されし熊の爪痕山眠る ほたる
雪吊は樹木と眺む人のため わたる
小六の修学旅行奈良の鹿 千鶴
地蔵めく気根に纏ふ冬の蝶 えいじ
金色に金色重ね大公孫樹 むべ
通り土間寒梅一枝鉢にさす 藤井
自己主張色鮮やかな冬すみれ ぽんこ
大銀杏の切株に注連冬日影 なつき
県境の浴ぶる連山冬の星 愛正
旧友は二十とし下忘年会 たか子
とつぷりと汁に横たふ寒鰈 えいじ
戸袋の戸の隙間より虎落笛 せいじ
黄落の三四郎池埋めけり むべ
このような小さき木にも雪囲 わたる
陋屋を虜としたる冬の霧 せいじ
右足の靴擦れかばう冬舞踏 ほたる
卓上に周る飛行機冬日燦 みきえ
冬の月峠越え来て光満つ 博充
句でつなぐふいの再会欄の花 勉聖
自然薯の探り掘りして昨日今日 勉聖
白菜のみずみずしさや鍋の沸く 藤井
寒鯉に微動だにせぬ水面かな 康子
一椀の柚かほり立つ夕餉かな 澄子
黄落に松の枝棚華やげり 康子
餌をあさる数多水鳥昼の波戸 きよえ
湯豆腐に一人分なる昆布を敷き たか子
庭仕事寒菊束ねゆきにけり 澄子
枯枝の奥に蜂の巣古びたり 和繁
キックボードの子ら凩を追ひ抜ひて なつき
宅配に米菓子手紙冬ぬくし もとこ
冬の海彼方に光集めたり うつぎ
青空を隠す黒雲時雨るかな きよえ
放牧場牛の白息靄の中 愛正
銀杏絨毯黄色き声の駆け回る やよい
大海へ拳突く声寒稽古 みきお
逆光の緑を包む枯木立 和繁
小春の日寄せ植へ習ふ人だかり みきえ
週間予報に遂に登場雪だるま こすもす

2025年11月28日

神杉を透かす日差しに散りもみじ 明日香
突つ突けばポンと抗ふポンポン菊 あひる
持ち寄りはリクエスト受け茸飯 こすもす
着脹れの竿振る人の手の手早 きよえ
布団干す夫の手伝ひ有難く きよえ
弟へ編みしセーター今形見 ほたる
冬の月休田照らす道白し 博充
行き過ぎてより雨のごと散る紅葉 せいじ
並木路真中の銀杏冬の色 明日香
東山四方八方冬紅葉 もとこ
「寒いね」と朝のあいさつ田舎道 藤井
六畳の墨の香りや障子かな 藤井
踏切の旗振る保護者息白し 愛正
うつむきて陋屋沈む石蕗の花 よし女
時雨るるや駐車場にて受診待つ 和繁
カラカラと絵馬を鳴らせて神迎へ 澄子
茶の花や訪ひ来る人もなく暮るる よし女
くたくたの寺の座布団日向ぼこ 千鶴
遠目にも鈴懸の幹夕紅葉 ぽんこ
屋根神や冬青空と白きビル なつき
心字池水輪重ねて時雨けり 澄子
大揺れの吊り橋の先山粧う あひる
影の行くその影追ひぬ冬暁 えいじ
グランドの足跡に舞ふ枯葉かな うつぎ
籾焼きの煙掛かりて服香る うつぎ
ゴッホ展神戸の秋のカフェテラス ふさこ
短日や選句だんだん早くなり こすもす
立ちすくむ朝戸を繰れば冬の霧 せいじ
真青空突き刺すごとく銀杏樹冠 ほたる
遺愛なる侘助植ゑし樹木葬 むべ
蔦紅葉石垣染める古城跡 勉聖
小春日に語らふ事の飽きもせず たか子
冬没日北の原野に呑まれけり むべ
屋根神閉づ時止めたまま冬に入る なつき
空青し日に照る桜落葉散る えいじ
くくられし枯菊匂ふ小雨降る みきお
地図になき道を辿りて枯野原 わたる
火を起こす涙流す子燻り炭 みきお
点呼とる教師の息の白きこと 愛正
いよよ燃ゆライトアップの城紅葉 やよい
色葉散る小径に沿ひて丸太椅子 康子
五歳児のまた来てと言う秋の暮 勉聖
千切り絵のやうに重なり池紅葉 康子
村時雨塵収集車閉づる音 和繁

2025年11月27日

森統ぶる黄葉明かりや天も地も 康子
冬うらら犬の吠え合ふ園路かな えいじ
漏れもなく冬日注ぐや芝の丘 えいじ
溜池の日だまりを知る鴨の群れ よし女
巫女舞の習ふ鈴の音冬はじめ なつき
千鳥鳴く鬱病といふ病かな 藤井
母亡きて七十年の夜寒かな 千鶴
兎狩銃なく犬を連れゆけり 藤井
冬港や青い光の観覧車 明日香
走り根を埋む黄葉のうずたかく 康子
信楽の千の豆狸に北時雨 あひる
雲切れて車窓まばゆき冬落暉 せいじ
白き首覆ひ隠せる大根葉 みきえ
白壁に襷掛けなる蔦紅葉 澄子
末枯の風吹き渡る夕河原 むべ
冬ざれや川音ひびく山の宿 博充
湯豆腐や微妙な距離を温めをり もとこ
おやつタイム犬にも少し冬りんご こすもす
立ち話終わらぬ軒の吊るし柿 あひる
霧ごめのラジオ体操音高く うつぎ
落葉踏む音して深む霜の寺 勉聖
四間道の辻にたばこ屋銀杏散る なつき
里山の枯木並木の白き帯 和繁
天守閣に侍りて冴ゆる鎌の月 やよい
開店の振舞酒や小春の日 澄子
冬日差し珈琲の湯気光る塵 わたる
裾濃なる山の錦を見晴かす むべ
沢登り紅葉散り敷く河原石 愛正
側溝のパラリと水輪片時雨 きよえ
川下り水面に揺れる散り紅葉 ふさこ
滝音の迫る沢沿い散る紅葉 愛正
冬肌か老いか新聞繰れぬ指 せいじ
治りがけ手足重たき冬の風邪 勉聖
赤のれん背に熱燗や冷える夜 みきお
シルバーカーとて坂は難儀や冬紅葉 よし女
枯柳隙間に見ゆる高層ビル ぽんこ
咲き残る花に蝶あり冬麗ら 和繁
冬うらら小判の波や瀬戸まばゆ きよえ
水飛沫上げて着水初鴨来 みきお
忘年会行きたし忙し思案なる たか子

2025年11月26日

懐手の父いつもより饒舌に こすもす
と見る間に車窓広ごる時雨雲 せいじ
長き水脈引いて群へと急ぐ鴨 和繁
密やかに石の色変え冬の雨 あひる
利鎌月日毎膨れる寒夜かな ほたる
枯枝に掛けし巣箱を見上げをり 和繁
枯葉踏み参道登る山の寺 きよえ
旅ごころ銀杏散り敷く慣れし道 みきえ
珈琲の苦味濃や冬の朝 勉聖
偕老のふたり両手に大紅葉 康子
ベンチ五人詰め合ふ媼日向ぼこ なつき
着ぶくれて靴紐結へぬ八十路かな 愛正
次々に屋根葺くごとく落葉して むべ
綿棒を鼻の奥まで風邪検査 ぽんこ
小春日や半眼の亀甲羅干し かかし
冬麗や鐘の音沁みる高台寺 もとこ
籠もり居て一日の癒やし冬の雨 あひる
待合に一輪紅き冬薔薇 澄子
京道の古き醫院の庭紅葉 せいじ
しろがねの霜の花咲く芝の中 えいじ
思い出す父の姿は懐手 こすもす
石塀のへばりつく蔦冬紅葉 きよえ
102段登りて見上ぐ紅葉かな 藤井
山里や積み肥匂ふ落葉かな 勉聖
ひかり号冬虹を背にまっしぐら 明日香
庭ならば掃かずおきたや色葉散る みきえ
柿花火をちこち揚がる里小径 むべ
冬ざれて野の一筋の煙かな 博充
山腹の名刹近し冬紅葉 愛正
冬夕焼一気に車内あから顔 明日香
寒菊のひと塊が暮れ残る 澄子
五百機のドローンショーや城小春 やよい
かがみこみ大根の太さ確かめり 千鶴
一枝に五輪重たし冬薔薇 なつき
菊人形蜂が飛び交う晴天日 藤井
北風や藁の重ね着冬牡丹 みきお
墓石へと染みゐる音や時雨傘 康子
悴めば日記象形文字なりぬ えいじ
毛糸編みし妣愛用の軋む椅子 かかし
五つ六つ熟れし檸檬は葉に隠れ ふさこ
晩酌の後は手打ちの蕎麦に柚子 ほたる
寒々と湖面に映える冬紅葉 みきお

2025年11月25日

鯛焼きや部活帰りの子の列へ 康子
亡き母のお茶目なメモや冬温し あひる
霧深き中へと進む登校児 和繁
口開きては鴉が異変告ぐ時雨 よし女
広芝へ靴放る子らや冬うらら えいじ
両の掌に包む鯛焼き夕散歩 康子
晩秋や酒屋と見ゆる門構え 勉聖
冬ざれて灯の影ゆれ人ひとり 博充
錦秋にうづもる寺の静かなり もとこ
朝礼の活発な子ら麦芽列 愛正
木漏れ日や薮から薮へ笹子鳴く みきお
冬空へ輝き放す銀杏かな 青海
片時雨傘の柄少し傾けて 明日香
摘む手よりこぼれ落ちゆく菊の花 勉聖
昨夜の雨一隅照らす石蕗の花 かかし
ライトアップの城の華やぐ冬温し やよい
朱に染まる蔵王の裾や柿簾 わたる
時雨るるや植えたての苗ピンと立つ 千鶴
喪の文を投函すれば寒夕焼 せいじ
柿供ふ旧家の屋敷稲荷かな 澄子
風澱む路地の片隅柿落葉 みきお
遠山の紫立ちて冬近し ほたる
手翳しで渡る人橋冬うらら えいじ
蒟蒻掘る夕闇諸所にコンテナー 愛正
白鳥や声高らかに飛来せり 藤井
橙色の冬三日月や雨後の帰路 こすもす
時雨るるや明かりの灯る里の家 きよえ
歯触りの良き音立てて林檎食ぶ むべ
やましさのよぎる喪の日々片時雨 せいじ
バス停に残りし傘や時雨止む みきえ
紙飛行機風に乗りたり神の留守 藤井
初時雨犬を腕に小走りす むべ
冬来たる哀しき熊のニュースなる たか子
天窓のにわかに震ひ冬の雷 あひる
枯蔓や落人村の弥勒堂 なつき
枯草を揺らし揺らるる雀かな 青海
時雨るるや生駒金剛もやの中 明日香
雨の朝ハーモニー弾く冬の虫 きよえ
木製の古電柱の立つ冬田 和繁
面打ちの気魄洩るるや冬館 かかし
垣根超し黄より明るき石蕗咲きぬ ふさこ
錦繍に白無垢映ゆる古刹かな 澄子
菰巻きて二本寄り添ふ城の松 なつき

2025年11月24日

借畑の白菜しかとまひてをり きよえ
鳥の声風のこゑあり鳥渡る 藤井
献血をさそふ真赤なコートかな あひる
仰臥して果てし冬蜂日の褥 せいじ
アップルパイ焼き立て勤労感謝の日 なつき
冬日向追ひかけ庭の手入れかな 康子
蒟蒻掘る背なに夕日の赤城山 愛正
柿つつくカラスの嘴の煌めけり みきお
秋時雨木の葉に隠る礼拝堂 勉聖
東雲にひつくりかへる冬三日月 えいじ
朝寒し鍋の一合米洗ふ えいじ
静寂を不意に破るか朴落葉 和繁
久しぶりわが家に玄関マスク取る 藤井
着膨れてスマホスマホの電車なる たか子
柿落葉閉じこめ光るにはたづみ むべ
後継ぎの無き墓の事月冴ゆる 明日香
冬麗や吾と沿い走るサンロード ほたる
ウォッチング習ふ小春の野鳥園 せいじ
山門の一角占めてお茶の花 こすもす
寒鴉神杉の秀を取り合いて 明日香
冬ざれの町に響ける風の音 博充
秋の夜や犬駆け回るドッグラン 勉聖
落葉掃く赤黄茶色の袋かな むべ
法話会出迎へる如お茶の花 こすもす
風向きを教ふる麦芽村の風 愛正
への字に曲がるめがねフレーム夜の寒し よし女
寺紅葉波打つ瑠璃の向ふ側 もとこ
柿盛れば遺影の母の良き笑顔 あひる
霧靄に射し込む朝日村目覚む ほたる
次々と冬の灯ともる山の家 みきお
沼映えて月山二つ紅葉晴 わたる
地震多し日本列島冬に入る ふさこ
柿落葉だらりの帯を解く様に きよえ
木の葉髪奥の細道まだ遠し やよい
ゲーム子に勝つて勤労感謝の日 なつき
鏡池小舟の揺らす照紅葉 康子
苺の葉紅くなりをり露に濡れ 和繁
色変へぬ松の根本に稚魚の群 ぽんこ
こうのとり落ち着く水辺冬温し 千鶴

2025年11月23日

耳すます時雨の音や松の鉢 藤井
藤黄葉小金積むかに一山家 よし女
暮早し帰宅急くなり具材持て みきえ
実南天ネットをかけて大切に 明日香
信徒らの聖樹に金の星飾る むべ
病癒へはや一年や日記買ふ 康子
曼殊沙華性善説を疑はず 藤井
三日月の低く傾くビルあはひ 澄子
庭の赤は南天万両藪柑子 こすもす
夫も吾も臥せし日はなき古日記 康子
また病名告げらるる秋の午後 勉聖
寒鯉の池面盛り上ぐ大水輪 きよえ
飛機音の消へて静もる冬の夜 みきえ
生き残る休耕田の冬蝗 愛正
落ち葉道風の道筋残りけり わたる
冬紅葉ひと枝あおきままありて 明日香
着ぶくれし互ひを笑ふ待合せ あひる
蛇口よりアルプスの水駅小春 なつき
障子に穴猫じゃれし後残しけり ふさこ
日だまりをのろのろ歩く冬の蠅 みきお
我が床に亡母の電気敷毛布 せいじ
まばゆきは蘆の穂絮や河川敷 あひる
風向計お尻振り振り北を指し たか子
子の声の消えたる暮や冬木立 博充
新しきシーツ掛け替へ風邪ごもり ぽんこ
翅折れしとんぼ垣を越えられず 勉聖
長椅子にバス来るまでの日向ぼこ やよい
裏返る歩道とどまる朴落ち葉 愛正
青空の木に張り付きし銀杏の実 ほたる
花梨の実叩けば己の頭落つ ほたる
高札を掠めて行きぬ草の絮 うつぎ
芋の露笑ひ崩れて子ら消ゆる よし女
茶の花を籬としたるひと処 澄子
蛇の目傘ひろぐアートの紅葉園 なつき
黄落の大樹に夕日さしにけり むべ
団欒の芝に一葉や紅葉散る えいじ
冬ぬくし妊婦闊歩の園路かな えいじ
年忘みな一病の時抱へ もとこ
こは罪か牧師の映画身にぞ入む せいじ
縁側に本と珈琲日向ぼこ やよい
裸木に丸き実となる雀かな 和繁
アクスタの占める本棚大西日 みきお
山頂の祠に賽銭冬うらら 千鶴
冬めくや袖よりほのと木の薫 博充
飛行雲青空二分す冬の朝 きよえ
朝靄の冬紅葉より雀発つ 和繁

2025年11月22日

湯豆腐やさしたる話なき二人 うつぎ
冬めきて遠き犬声澄みとほる 博充
子ら駆けて枯芝ぶつけ合ふ広野 えいじ
藤黄葉夕日に染まり輝けり よし女
城の池逆さ紅葉と青き空 やよい
湯豆腐やほつこりすると夫笑ひ もとこ
電線にぴっちり並び燕去ぬ よし女
コトコトと踊る湯豆腐夕餉かな みきお
白髪のごと花びらをぬく秋の菊 ほたる
庭隅にぱっと明るく石蕗の花 明日香
懐に残る温もり石焼芋 みきお
生バンド響く境内紅葉狩り こすもす
道標の背に一本の冬紅葉 愛正
小春日や買物がてらドライブす きよえ
紅葉且散りて水面に錦織る むべ
朝霧や晴れて綾なす黄落葉 勉聖
冬晴や補助輪疾走る公園路 えいじ
我が家の縁石好む冬蜻蛉 和繁
柿簾垂木にわたす竹長し むべ
総玻璃のビルは小春の空と化し せいじ
切り株に誰置く通草二つ三つ たか子
行列や早くもセール冬帽子 ふさこ
流感やくしゃみ三回咳二回 藤井
おぼつかぬ手で家事する風邪ごもり ぽんこ
草枯れて日の照る野路や杖も照る きよえ
古書簡整理の遅々と冬座敷 あひる
赤極め花水木の葉散りにけり 明日香
持ち寄りに色を添へたり菊膾 和繁
クリスマスフェスタ横目の勤め人 せいじ
朴落葉戯るる吾子らの騒ぎ声 愛正
青空に音符めきたる柿花火 康子
湯気立てて客の途切れぬ中華まん あひる
テレワーク夫は炬燵で会議かな 康子
今年米製米したての温みかな わたる
くねりつつ登る車や枯野かな 藤井
刈られしをなお咲き残る秋あざみ 勉聖
冬日燦吾の影伸びて田の向かう 千鶴
神馬の背紅葉且つ散る古刹かな こすもす
寒蘭にやるお礼肥のたつぷりと うつぎ

2025年11月21日

頂に落日留め木守柿 澄子
粧ひし山並み指呼に三宮 せいじ
まず暖房入れて始まる今日の句会 こすもす
冬木立空の蒼さの深まりぬ 博充
古民家の裏庭占めて柚明り 澄子
二輪咲く金網越しに石蕗の花 ふさこ
予定合ふ日の難しき忘年会 もとこ
黄落や一葉肩来て道連れに きよえ
貯水槽脇に詰草返り咲き 和繁
トラクターみな鋤き込んで冬の畑 千鶴
紅葉山ゴンドラ次々吸ひ込めり みきえ
ミニチュアの城の華やぐ菊花展 康子
黄に燃へる冬蒲公英の一花咲く えいじ
生駒嶺の白く靄りて冬ざるる せいじ
だんご虫起こしてしまひ落ち葉かき あひる
大公望ひとり岬に小春かな 藤井
納屋裏の日差しは温し花八つ手 愛正
コトコトと踊る湯豆腐夕餉かな みきお
大根葉分けて太きを見つけ抜く よし女
隙間風機嫌の悪きミシンかな うつぎ
御座船を遠巻きにして鴨の陣 たか子
満天星の色濃し山の駅に降り なつき
青っぽさ残る蟷螂枯れてをり 明日香
冬ぬくし熊の出でたる町騒ぎ 藤井
夕日浴び銀杏拾ふ影法師 わたる
住職の祈る池端大紅葉 山椒
小春空与へられけり牧師の葬 和繁
楢枯れや山路の荒み身にぞ入む むべ
新しき切株光る落葉道 なつき
山深き廃寺際立つ冬紅葉 愛正
クリスマスムードわんさかテラス席 みきえ
手習いの墨の匂ひや秋の午後 勉聖
セコイアの飴細工めく黄葉かな むべ
冬木立遠き汽笛の消え残る 博充
蟷螂は枯れ切れないと鎌もたげ 明日香
白波や岩礁打ちて泡となる よし女
プランター五個に球根植付けり こすもす
色葉散る友禅流しめきし池 やよい
ひとひらの枯葉高舞ふ摩天楼 あひる
プラタナス紅葉の遅速ありにけり えいじ
切り干しの自作大根妹持ち来 きよえ
秋の蝶翅の寂れやもの悲し 勉聖
太鼓橋池をくりぬく小春影 康子
代々の遺影の並ぶ冬座敷 みきお

2025年11月20日

流るるは門川ごとの色葉かな 康子
湯豆腐の湯気の向こふに笑ひ声 みきお
紅葉山裾に炊きの煙立つ なつき
陋屋の住まい彩る石蕗の花 ぽんこ
冬木立伸びゆく影の濃くなりぬ 博充
枯園に一つ蕾の薔薇のあり 和繁
孫かかへ高く上げたり冬日和 藤井
小春暮三百人の葬儀果て 和繁
ピアノ弾く部屋いつぱいの小春の日 康子
着ぶくれや背に窮屈なランドセル 愛正
お隣りに留守を委ねて枯木宿 せいじ
道に敷く桜落葉の緋毛氈 えいじ
背なに受く冬日の温み畑仕事 千鶴
短日や予定次々埋まりぬ 澄子
花八手映ゆる露頭の縞模様 むべ
ボジョレ・ヌーボー倒る走染み白クロス ほたる
空バケツたたいて鴨の餌やり終ゆ なつき
冬晴やあちこち向く皇帝ダリア こすもす
寒禽の若きカップル野に遊ぶ きよえ
喪の日々はホ句が慰め落葉踏む せいじ
仏壇に再訪約し雪時雨 ほたる
雲早し風向き変はり冬近し 勉聖
春近し孫と彼の背告げるなり ふさこ
冬紅葉触れる地蔵の頬染める 愛正
子の声の消えて広がる冬木立 博充
誰も見ぬ風の通ひ路や今朝の冬 勉聖
駐車中のフロントガラス散り紅葉 こすもす
冬麗や城壁の反り野面積み たか子
日溜りの黄色の小菊畑に照る きよえ
毛糸編むごつごつの手を褒められし うつぎ



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