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病室へかすみ草添え春の花 たか子
賛美歌を乗せて土堤の春の風 あひる
窓あけてまづ沈丁の匂ひたる 更紗
もういいよの声に駆け出す春帽子 ひのと

2023年03月16日

石畳木蓮張り付く裏参道 愛正
玉筋魚のくぎ煮送ると電話口 きよえ
蹴り返すボールの落下春落葉 ぽんこ
黒土にへばりつきたる花の屑 せいじ
岩穴を灯す仏や春の闇 なつき
春霜やひとときだけの綺羅畑 隆松
こびりつく燕の古巣酒屋閉づ なつき
ごみ出しの手を止めて聞く初音かな もとこ
行厨や横はカップル花堤 あひる
客人として故郷に青き踏む うつぎ
半日を煙の様な春霞 宏虎
耕され黒々と土立ってをり 明日香
落椿タイムカプセル赤く染め ぽんこ
白木蓮天女舞ふごと花揺るる きよえ
蒼天に全開の辛夷咲く 満天
羽ばたきに堕とされてゆく椿かな 澄子
初蝶に見送られもしゴルフへと こすもす
杜に住む鳥の鋭声や落椿 豊実
春の朝軽き足取り退院す みきお
ゴンドラの人が手を振り山笑ふ みのる
耕牛に鞭当て進む田圃かな みきお
山桜ダム湖囲みて渋滞す 智恵子
春霜に素手くるまんと伸ばす袖 隆松
キエフへとこの暖かさ届けたし 明日香
雪柳しの字ノの字の乱れ咲き たか子
啓蟄の夜に喘息発作の子 素秀
振り上げし拳を解きぬ春の暮 ひのと
天井の龍も仲間に涅槃絵図 はく子
聞こえども姿見えざる初音かな 千鶴
写真家もモデルも通る花堤 あひる
富士裾車窓に映ゆる花菜畑 智恵子
初蝶のおぼつかぬ様いざゴルフへ こすもす
イタリア戦祈る勝利や春疾風 千鶴
囀りの伝播途切れぬ楠大樹 素秀
よもぎ摘む婆へ土産の餅ねだる かえる
摘む児らの手にも胞子やつくしんぼ せつ子
春うららホールインワンに歓声を 満天
花屑の樹下に名残を惜しむかに せいじ
つくしんぼ背くらべせる土堤かな みきえ
佐保姫の小走りに来て窓叩く 宏虎
輝ける花菜横切る車窓かな みきえ
掃き寄せし葉の中光る落椿 愛正
卓上に卒業子から感謝状 むべ
踏青やサイクリングに道譲り みのる
駅に買ふ小さき花束彼岸入 ひのと
茎立の良き菜を選び夕餉とす よう子

2023年03月15日

今日こそは初音聞かむとすます耳 こすもす
春日燦ひねもす畑の中にいて 千鶴
窓開けて空へ帰すや春の蝿 ひのと
半月を見むと飛び起く春の朝 みきえ
ヒッチコック映画出るに出られぬ春炬燵 こすもす
空谷の奈落に雉子叫びけり みのる
雛飾りいぶす囲炉裏の煙かな なつき
歩を止めよ汝が踏むところもの芽出づ みのる
春の陽にモミダの黄色空に映ゆ きよえ
満開の桜に鳥の歓喜せり ぽんこ
寝過ごして是非もなしかな花菫 澄子
南空に下弦の月や春の朝 みきえ
啓蟄や農機具出して点検す みきお
ダンボール橇がわりにし野に遊ぶ みきお
はいはいの途中寝落ちや春うらら 智恵子
かがり火の赤濃くなりぬ春の宵 もとこ
疎に密に河津桜の並む河畔 せいじ
蒼天に諸手広げし桜の木 ぽんこ
個々想ふ廃校跡の古梅かな 愛正
ほころびし蕾満載藪椿 せいじ
旧友の変はらぬ笑顔梅の宮 きよえ
春の虹消ゆればありしこと忘れ 宏虎
日照雨佐保姫歳をとられたし 宏虎
散り敷きし花に花枝の著き影 あひる
里山の試歩の小道や春の汗 智恵子
首に巻く真珠に春の寒さあり ひのと
渓谷の光る飛沫や雪解水 愛正
たんぽぽや園児の散歩皆笑顔 満天
先導の兄弟喧嘩山笑ふ かえる
古草の手持ち無沙汰や風に揺る 明日香
ゆらゆらと人影昇る目借り時 澄子
道端の蓮華カチューシャには足りず よう子
登り行くリフトの眼下蕗の薹 豊実
白木蓮の花びら広げ踊り出す はく子
三椏の花や紙漉き昼灯す なつき
水温む鯉は口開けのぼり来る 満天
谷々の雪解集めて川疾し 隆松
散り敷きしピンクのドット花堤 あひる
野遊びの茣蓙を広げる一樹下 素秀
筆洗ふ水を貰ひし春の川 素秀
輸血とは命のしずく春日差す たか子

2023年03月14日

雪どけや湖水の色の七変化 愛正
ケーキ買ふバレンタインのお返しや みきえ
暗渠より溢れ出でたる花筏 あひる
四十八番の受付票や納税期 こすもす
花透かし牽牛子塚の白き綺羅 明日香
地球儀の太平洋に蝿生る みのる
竿売りの声遠きから春嵐 素秀
スケッチの岬抜けゆく若葉風 智恵子
待合の長椅子に嫗目借時 せつ子
春愁や会社勤めの名刺束 宏虎
春寒しスカーフ丸めバック中 みきえ
春雨の晴れて夕の茜雲 智恵子
さへづりに休む水筒飲み干して なつき
花杏旧家の名残天を突く そうけい
老い母へ朝のひかりや春障子 あひる
地蔵尊へ翳す数多の木木芽吹く 満天
定休日の札風に揺れ日永し むべ
折り雛は俳書の山を高御座 みのる
不織布を張り付けたよう春の月 たか子
愚づる子を肩車して青き踏む みきお
山笑ふ登山口てふ道しるべ せいじ
コミックの吹出しめくや杉花粉 隆松
明け染むる空に柔らな春満月 かえる
春昼や刀自慢の骨董市 ぽんこ
威を放ち隙なく並ぶ杏花 そうけい
春愁や待合室の数値待ち せつ子
宮参りの嬰のぞかるる遍路寺 なつき
転転と古道に倣ひ藪椿 素秀
酒瓶にねむる帆船春埃 ひのと
シャキシャキと新玉ねぎの噛みごたへ 千鶴
春暖の名宝なく寺過去帳 宏虎
青き踏むゴミ出し済まし登校児 きよえ
子が叫ぶ白木蓮はバニラ色 せいじ
をちこちでくさめの響く梅の園 もとこ
火口原まだら緑の雪解野 愛正
ぱつちりとこちらを見てる犬ふぐり 明日香
薹立ちの菜を薙ぎ倒す春嵐 豊実
産院に満つるささやき暖かし ひのと
背後より現われ消へる初蝶来 みきお

2023年03月13日

陽炎や古き瑠璃戸を揺さぶりぬ 澄子
梅の香やグランドゴルフ四季巡る たかを
石垣の一つに一羽残る鴨 素秀
雨戸打ち真夜に過ぎ行く春一番 みきえ
失せ物を探しあぐねる日永かな ぽんこ
木の股に隠されてゐる春帽子 かえる
黒牛の帰る背中の杉花粉 素秀
つくしんぼ袴脱がせて家路へと 智恵子
涅槃西風バイクの僧の輪袈裟揺る きよえ
振り返りあれっと紅き落椿 よし子
通るたびつまみ食ひの子雛あられ みきお
麦踏めば山から風の又三郎 よし子
古民家に古雛あつめ郷土展 みのる
遍路婆弁天池に鯉呼べり なつき
千枚田雪解け水の襞模様 愛正
春愁やラジオつけいて聞かずいる 宏虎
後ほどと言うて別れし花衣 ひのと
春暖の急勾配の天守閣 宏虎
桜咲くの厚き封書や大試験 せつ子
卓袱台を内裏としたる雛の宴 あひる
ものの芽の覆う沢筋霊泉場 愛正
呼び鈴に応ふ声なき沈丁花 澄子
ゆくりなく始まる茶会雛の間 あひる
八十路とて三輪挑む春の日に きよえ
ボンネットの猫の足跡春の泥 こすもす
耕され畝黒々と艶々と 明日香
春郊に車を止めてボール蹴る せいじ
日の当たる部屋を貰ひて卒業す ひのと
春色の京漬け物が主菜かな もとこ
夕暮れのひときは白き雪柳 満天
花粉症らしき僧侶や月命日 こすもす
取りそこねたるボール落つ春の池 せいじ
唸りたる雨戸に目覚む春一番 せつ子
春落葉日毎掃き寄す媼かな みきえ
春寒きカフェーにいつもの語り草 たか子
町中の小さき木立に初音聞く はく子
妻の息確かめ吾もまた朝寝 みのる
更くる夜の一回きりの春の雷 千鶴
無人駅案内人立つ梅の里 智恵子
メークイン売り切れたとや種物店 明日香
川面へとなだれ咲きつぐ雪柳 満天
新宿のビル群むせぶ春時雨 むべ
竜のごとのぼる老松遍路寺 なつき
犬走り伸びるリードや青き踏む 豊実
大輪を思い描ひて菊根分 みきお

2023年03月12日

風強しひと日で乾く若布かな 明日香
江の島に沿ひて天蓋籔つばき 智恵子
春塵に猫の足あと二つ三つ かえる
啓蟄の庭に気配を探しけり あひる
左右から畦塗りはじむ老夫婦 みきお
東風の波止潮騒の音の響きをり きよえ
名札立て花種蒔くや柔き土 みきえ
啓蟄や傷の引きつりゆるみけり もとこ
中空の真白き辛夷触れ難き 澄子
四阿に一会の人とあたたかし なつき
春愁や二日続きの野辺送り せいじ
強東風や玻璃に木の影揺れをりぬ こすもす
にぎにぎし紅や白やと更紗木瓜 むべ
ゆっくりと確実に伸ぶ日脚かな たか子
こんなにもよくぞ咲きたり土佐水木 こすもす
木洩れ日の降る橅林の雪間かな 愛正
啓蟄や泣き声太き香具師の嬰 なつき
譲り受く机届くや新入生 みきえ
ものの芽に触れるそよ風匂ひ立つ 愛正
家狭く曾孫の雛は二人だけ 宏虎
公園を見透かし囲む花馬酔木 智恵子
隣家より降りしきる梅わが庭に 満天
啄むる紅の侘助病室に そうけい
種芋の埋土を均す小さき手 豊実
初音聞く畑仕事の母娘 たかを
大楼門へと大路なす新樹かな みのる
籠りては相撲に野球春炬燵 満天
衿もとへ熱を看る手やおぼろの夜 たか子
いわれある岩に凭るる花椿 ぽんこ
存問の吾を励ませるうつぎの芽 あひる
野遊びの子に嘴鳴らすこふのとり 素秀
野遊びの歓声溢る園児たち かかし
庭に積む菜花の浅漬朝の膳 はく子
野に遊ぶ逆さキャップのをさなかな せいじ
老い妻と日課の散歩日脚伸ぶ みのる
砂はかすつぶやく浅利夜の厨 宏虎
卒業生校名なぞり目の潤む かかし
鳥荒らす庭の侘助病室に そうけい
打出しのだんじり太鼓郷うらら 千鶴
春禽の羽のあはひや水ひかる 澄子
夕映えの宿に馬酔木と湯の匂ひ 素秀
雨垂れの膨らみ落ちる春の色 みきお
路地裏は子らの縄張り春夕焼 ひのと
東風強し帰り支度す釣人や きよえ
降幕へ投げるおひねり春芝居 千鶴
店番に犬置いてゆく苗売女 ひのと
初音聞く唯一言の日記かな うつぎ

2023年03月11日

初々し雛ふるびし桐箱に あひる
春愁やいいすぎし事足らぬ事 宏虎
三陸の遺児投げるドームや震災忌 千鶴
春の丘雲と風車と青空と はく子
種を撒き目印に挿す種袋 みきお
庭仕の手思はず止まる初音かな うつぎ
点々となぞへに憩ふ残る鴨 明日香
採寸の両手真つ直ぐ春日燦 ひのと
奥の院木の根の階に落椿 なつき
悪童め首すげ替える雛の段 かえる
啄まれ光零るる梅の花 豊実
ふらここや高さ競うて風にのる 素秀
人垣は催事の習ひ雛流し せいじ
幼子に挨拶受ける春の土手 もとこ
黄昏の道標明かり花ミモザ 智恵子
嵩高に春菜積まれて無人棚 澄子
シャボン玉魔法のタクト高く舞ふ きよえ
さざなみに小さき足入れ春の浜 きよえ
木蓮の蕾のぞきし二階窓 素秀
朱唇あけたまひし雛の微笑かな みのる
プランターの三色すみれ日を返す 満天
芽吹きだと確かめ触れる蔓の枝 そうけい
生花展にまさかの花材座禅草 こすもす
抗生剤はご免蒙る春の風邪 うつぎ
竹藪の雀囀る雪間かな 愛正
リラの花別荘地へと並木道 智恵子
緩き風に振る種袋日付入れ そうけい
雛納め夫に急かさる八日かな あひる
屋根に置く漬物石や里うらら ひのと
おのが目を疑うなかれ陽炎へる こすもす
神事なること諾ひし雛流し せいじ
夜のカフェ女主人の雛納め なつき
代々の伝統を守り種浸す みきお
逆上がりやっと出来るや風光る 満天
指先に探る目玉や蛍烏賊 たか子
両の手にみるみる溢る蕗の薹 澄子
下駄箱の上に手作り雛まつり みのる
うららけし一気に冬着しまひけり 千鶴
登山道日差す窪地の雪間草 愛正
雪柳ブレイクダンスしてをりぬ 明日香
春愁やただそれのみの日が暮れぬ 宏虎
岩盤の波に洗われ苔の花 ぽんこ

2023年03月10日

野遊びに飽きて頬張る握り飯 かえる
白木蓮夜空に向かい手を開く むべ
朧なり止まったままの水車小屋 なつき
親株を遠巻きにして名草の芽 うつぎ
城跡の堀の底へと落椿 豊実
春灯や波につながる漁師町 宏虎
果てしなき青空に伸ぶ梅白し せつ子
松原に寄するさざなみ風光る きよえ
霞立つ影を写して朝日照る きよえ
思ふまま老木囲む梅見かな 愛正
賑賑し梅みる人の公民館 愛正
清流へ綺麗どころの流す雛 せいじ
朝刊を飾る若人風光る みきえ
梅の里籠る香りや磨崖仏 智恵子
囀りに歩幅伸びたる散歩道 千鶴
花びらに群がる蜂の羽音かな 千鶴
箸置きを桜に変えて雛の膳 智恵子
赴任地は海沿ひの町燕来る ひのと
湧水を音と変へたる春僧都 澄子
若鮎の力溜めたる大堰堤 素秀
おくるみより覗く蕾のちゅうりっぷ はく子
綿菓子のごとく盛られしスイートピー あひる
車検終え土筆探しに遠出する 明日香
青踏みて鬼籍の友を語り草 みのる
草の芽や日差しを受けてビロードのごと 満天
常世へと幾瀬経しなん流し雛 みのる
雛見入る座布団すすめて呉れしかな うつぎ
玉筋魚の釘煮の近々届く頃 澄子
暖かや貸し農園の子等の声 満天
暮遅し水を欲しがる庭と鉢 明日香
よく似合ふ遺影の友にスイートピー あひる
口ベタの農民値切る農具市 みきお
釣り上げるメバル目を剥き膨らみぬ みきお
恋猫や勝手口より父帰る ひのと
五百齢触れてあたたか椋大樹 はく子
引き返し老い母に買ふ流し雛 せいじ
芹青き水に揺られて寂光土 素秀
春たけなわ招待状は生花展 こすもす
春愁や二回目なりし四十肩 なつき
摘み草を満たして籠の重からず 宏虎
春塵やけふは内干し濯ぎ物 みきえ
春陽ざし小石に伏せる小虫かな たかを
去年より増えし蕾や黄水仙 こすもす
鳥帰る一期一会のまた有りや もとこ

2023年03月09日

春暁の手足が集ふ洗面所 ひのと
眺む人皆んな笑顔やチューリップ こすもす
山襞の残雪光る赤城山 愛正
観梅や山麓沿いの道の駅 愛正
梅の香を乗せて漂ふ谷雲海 せつ子
春昼や甲羅干したる二十頭 豊実
剪定や鋏持つ手の迷子かな かえる
流し雛離るる岸を振り向かず みのる
山笑ふ病自慢の同窓会 もとこ
釜揚げのしんこ煽いで湯気飛ばす 千鶴
お手玉の転がつてをり雛の間 うつぎ
重箱の中は宴の豆ひひな うつぎ
回覧板老女の歩み春の笑み たかを
春風や手を振り進む一輪車 みきお
浜風に匂ふいかなご天日干し 千鶴
玉筋魚や入荷待つ列疎らかな みきえ
トロ箱を狭しと跳ねる桜鯛 智恵子
啓蟄や仏計らい守りしよ 宏虎
豊後梅うすくれなゐに園光る むべ
骨董屋の甕に子目高きらめけり なつき
色も香も闇に隠るる薄紅梅 素秀
雛流し人垣に立つ自撮り棒 せいじ
春野菜屋台に並びみづみづし きよえ
散歩途中友より貰ふ根分株 こすもす
道祖神にバスの減速山笑ふ なつき
玉筋魚や価格眺めて立ち止まり みきえ
地蔵尊の笑みうっすらと暖かし 満天
桜海老干されて浜を通せんぼ 智恵子
朝シャンと見しつくばひの四十雀 みのる
ゆるキャラも目を丸くして雛流す せいじ
うららかや笑い途切れぬ客間かな たかを
四温晴れあれもこれもと洗濯す 明日香
余生とは元気に趣味に朧の夜 宏虎
庭に来る今年最初の黄蝶かな 明日香
暮れかぬる明るさありて沈丁香 澄子
赤い靴行きつ戻りつ青き踏む 満天
曇り日や明るさ空に桃の花 きよえ
稜線も丸くなりけり春の山 せつ子
図書館の一枚ガラス暮れ遅し たか子
補助輪の取れてはしゃぐ子風光る みきお
桜餅まづ客間へと運ばるる ひのと
故郷の従姉妹が守る桃の庭 澄子
犬の来ぬ斜面に美しき蓬かな たか子
うす雲のダム湖を満たし花辛夷 素秀

2023年03月08日

介護タクシー降りきし友の春ショール こすもす
酔いどれは右へ左へ春の宵 かえる
名草の芽山の日へ向く道祖神 なつき
剪定の話は長し植木市 愛正
春暁の草木の眠り美しく 宏虎
小流れの水呑む猫や水温む みきお
霊水を汲む岨路や雪残る 愛正
子らの手を借りて通院春の昼 たか子
窓開けてカーテン揺らすや暖かし 満天
日の当たる土うきうきと竜の玉 よし子
空を蹴り山を蹴り上げ半仙戯 よし子
吊り橋の透ける足元雪解水 豊実
父母の墓掃きこぼれたる土筆ん坊 ぽんこ
地の温み残る夕餉の蕗の薹 うつぎ
暖かやはみだす手足ベビーカーより 満天
光満つ桧皮の屋根の苔の花 あひる
春の鳶羽広ぐるももう飛べず 千鶴
幾度も戦禍くぐりし雛かな 澄子
芹洗ふ泣く子を足に絡ませて ひのと
囀りや洪水跡の山癒えて みきお
祢宜らみな八面六臂雛流し せいじ
春月へ真つ直ぐ向かふ家路かな 素秀
袋路の足の怯むや落椿 素秀
踏青や指呼の比叡はまだ覚めず みのる
浜公園椿咲く路少し坂 きよえ
新物とラベル貼らるる白子干し みきえ
遠浅に巌の尖る春の海 ぽんこ
芥なきみたらし川へ椿落つ 明日香
目の痒み我慢出来ぬ日花粉熱 智恵子
青き踏む犬のリードの伸び縮み むべ
さっちゃんてふ介護タクシー春うらら こすもす
欄干に凭れて指呼の残り鴨 あひる
先の目処付きし安堵や朧月 たか子
もこもことまだ背の低き麦青む 明日香
ゆるキャラも袴をはきて雛流す せいじ
暮れ残る稜線ほのと春夕焼 やよい
桃一枝活けて机上の華やぎぬ 澄子
散策の茂みに覗くまむし草 智恵子
小鳥待つカメラ砲群梅の苑 せつ子
春の夕ポストに落ちるラブレター 宏虎
玉筋魚や高値をつけて鎮座せり みきえ
次々と予定入れたる遅日かな もとこ
志望校日頃の努力さくら咲く きよえ
ひな流し京の舞妓も花を添へ みのる
あたたかや睫毛描かれし抱き地蔵 なつき
春の灯の文に封する手暗がり ひのと

2023年03月07日

糸月や玉藻の前の春化粧 澄子
身をかがめ日の差す園のクロッカス 満天
我が影に姿勢正すや春の朝 きよえ
せつぶん草なぞえに這いて撮りにけり やよい
春きざす糺の森のささら川 せいじ
春霞飛び交う汽笛瀬戸の夕 智恵子
家事抜けて春の花壇に泣きに行く たか子
山吹の枝垂れ水面を明るうす 素秀
先頭の統率力や鳥帰る たか子
道沿ひの畑に小さきクロッカス 満天
思いのほか小さき花やせつぶん草 やよい
青空や千木の尖端風光る せつ子
春昼や牛が背の掻く竹ぼうき なつき
点呼とる朝の集会この芽晴れ みきお
鼻声の程でもあらず春の風邪 うつぎ
春めきぬ空にぽっかり碧き月 宏虎
残雪に埋むる古道の道しるべ 愛正
大玻璃を透かして京の山うらら 明日香
鉋くづ東風に飛ばさる寺普請 なつき
銀山の史跡見学風光る こすもす
友の数だけ鉢並べ根分けして かえる
流し雛みたらし川に放たるる あひる
竹藪に朝日零れて初音かな 豊実
引っ越しの荷物届けり桜どき みきお
十字架の影をちこちに日永墓地 むべ
天窓に星降る春の望の月 智恵子
寿の標の揺るる梅古木 せつ子
葵橋渡る師弟に春の風 あひる
河口から始まる春の月の道 素秀
足掛けて飛び乗る小舟風光る ひのと
十年ぶりに押す車椅子花馬酔木 こすもす
子狐や余寒に生まれ来たるらし 澄子
うるうると光あまねし春満月 千鶴
天へ鉾たてて芽を吹く大公孫樹 みのる
散歩して池に生えたる菖蒲の芽 宏虎
静かなる水面に突と鴨の顔 ぽんこ
うららかや次々並ぶ焼き立てパン みきえ
顔馴染み苗売る老媼の声高し 愛正
添へし手で波へ送りぬ雛流し みのる
碧眼と軽く会釈や梅園で ぽんこ
蕗味噌や母は嫌はれ者で良し ひのと
ゲツロゲロ蛙でないよ鴉だぜ たかを
朝靄や東の空に日のまぶし きよえ
春満月得した気分見惚れける もとこ
春の土手人増える毎とんび増ゆ 明日香
小流れのしがらみめきし葦の角 せいじ
百選の水への山路蕗の薹 うつぎ

2023年03月06日

鳥語降る此処に椿の蜜ありと 澄子
校庭の跳び箱一つ春の昼 宏虎
流し雛スクラム解きて奔流へ みのる
豌豆の黃蝶めきたる花ざかり あひる
巣立つ鳥巣箱離れて振り向かず みきお
転んでは起こす自転車草萌ゆる ひのと
長閑けしや瀬戸は潮のリズムなる きよえ
目眩して終日伏すや木の芽時 みきえ
ひな流し子らの合唱もて終はる みのる
薪くべて人立ち去れり春囲炉裏 なつき
マスク脱ぎ春の房総食べ歩き 智恵子
鳥雲に争いの無き地を目指し たか子
春耕の土黒々と貸農園 満天
春昼の土曜講座が早く済み 宏虎
老梅や支えを受けて紅ひらく もとこ
参道に紫陽花の苗一面に 明日香
パラグライダーに興ず古民家福よせ雛 やよい
日々蕾膨らみきたり土佐水木 こすもす
おんぶの子伸ばす右手に風車 かえる
春空の天守に鳥の旋回す ぽんこ
飛び石に影ひるがえる春の川 あひる
折れ曲がる石段の影日脚伸ぶ みきお
春雨や夫の背の二滴 せつ子
霞立つ沖合はるか播磨灘 きよえ
十日余もリビング飾るフリージア せいじ
コンビニに鞐ゆるめる老遍路 素秀
久方の挨拶多し植木市 愛正
音のなき清き流れや春浅し せいじ
黄の絨毯河津桜とコラボなす 智恵子
谷あいの雪解け利根の一支流 愛正
喋るなとビデオ撮る人雛流し 明日香
汐風を押さへて立てり若緑 素秀
玉垣の囲ひ狭しと梅盛る せつ子
つくばいの底に影濃き白椿 むべ
春の雪ライトアップの露天の湯 豊実
街中の柳恋しくペダル漕ぐ たかを
遺さるる身の哀しさよ鳥帰る たか子
啓蟄や公園賑はふ親子連れ 満天
囀りはどこから見上ぐ空青し こすもす
廃城の城主の墓や山おぼろ なつき
ものの芽の戦ぐあかるき空き家かな 澄子
麗らけし鴉ではない飛行機ぞ たかを
大谷の打棒すさまじ地虫出づ 千鶴
弟に母を取られて青き踏む ひのと



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