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紅白の萩海風に揺れ止まず こすもす
脱ぎし靴履くに履かれぬちちろ鳴く みきお
アメリカより紀州へ波寄す良夜かな よし子
秋の雷轟きわたり起こさるる きよえ
朝冷えの炊飯器鳴るチャイムかな きよえ
秋夕焼神奈川沖の富士の山 千鶴
犬養の万葉仮名や歌碑さやか 明日香
御朱印にキャラクターゐし彼岸寺 なつき
宵闇に一番星の近く有り 智恵子
産気づく牛小屋に敷く今年藁 みきお
客船の太き航跡秋波濤 千鶴
高層ビル増えたる町や虫集く はく子

2023年09月10日

母と子の朝のジョギング鰯雲 豊実
切り株に身を寄せ合いし灸花 ぽんこ
今宵また厨窓に来守宮かな みきえ
小流れに日没を待つ抜菜かな 素秀
秋茄子や指に紫紺の吸ひつけり 素秀
葉の陰にそっと色づく柿ひとつ みきお
教会も日々草も坂の上 あひる
月明に溢つ言の葉うたと為る 澄子
揺り椅子にこの身ゆだねて秋思かな 澄子
秋の蝶草に沈げにひらひらと きよえ
羊雲なぜか懐かし秋日和 智恵子
秋晴や富士くっきりと機上より 千鶴
病むをさな寝息に安堵の夜長かな かえる
青栗の毬こそばゆき掌 むべ
秋さやか恵みを語る老牧師 せいじ
十日見ぬ間に稲穂なほ色づきて 千鶴
狛犬のだんごつ鼻に夜露かな 明日香
秋澄むやスワンボートの水脈白し せいじ
ファッションは黒色多し秋の彩 ぽんこ
秋の朝雲ゆっくりと流れ行く きよえ
秋めきてテラスに母の髪を染め 智恵子
遠き山近くに迫る秋澄めり みきお
古襖の唐子見つめる秋の翳 もとこ
鶏頭や母の羽織りに触るるやう たか子
雨予報外れて残暑なほ厳し 満天
説教にひと声交じる法師蝉 あひる
稲妻と黒雲一過土砂降りへ たか子
脈拍を数えてをりし鉦叩 明日香
吾子固まる両手ふさがる葡萄狩り 愛正
擁壁の水抜孔に秋の草 愛正
昨夜雨に目覚むるばかり鶏頭花 満天

2023年09月09日

石跳を競ふ子らや秋の川 智恵子
金粉の浮沈みをり菊の酒 素秀
河川敷銀網揺らぐ秋茜 智恵子
尼寺にほんのり紅さす酔芙蓉 はく子
一つ二つ灯がつき秋の虹消ゆる なつき
潦ひょいと跳び越す秋浴衣 澄子
生家へと続く山道竹の春 みきお
深更の将棋観戦虫の声 せいじ
夕かげに紅くしたたか酔芙蓉 素秀
秋灯を揺らしぽん菓子爆ぜにけり なつき
雨粒の白く残れり乱れ萩 ぽんこ
爽やかな朝の一時秋の音 きよえ
秋天や篁の風さやかなり 澄子
時計塔の脇の大木百日紅 こすもす
さあ行くぞ蟻を払いてベンチ立つ たかを
白き腹張り付く窓の守宮かな みきえ
我が庭が終の住処か秋の蝶 せいじ
茫洋と三国山脈秋霞 愛正
朝の窓風爽やかに日の昇り きよえ
鶏頭や疎開先なる厨口 たか子
萼だけは緑のままに赤ピーマン 豊実
胡桃手に転がし歩く試歩の道 みきお
南瓜煮て母満足の卓とせむ あひる
秋天にらせん描ける二羽の鳶 むべ
赤ん坊のころり転がる秋の昼 もとこ
秋澄むや公園墓地へと見学を 満天
雨宿り用のテント庇いし百日紅 こすもす
庭木々を揺らす風とて涼新た 満天
秋車内ふたつ折れにて眠りけり 明日香
姉に手を引かれて帰る秋の暮れ かえる
祖母の居間動画で再度墓参り 愛正

2023年09月08日

身をかはし身をかはし生く秋の蝶 明日香
流れ行く雲よ地に伏す三光鳥 豊実
キコキコと古井戸に汲む秋の水 智恵子
色草も残して庭の手入れかな きよえ
ふと発ちてふと戻りくる蜆蝶 あひる
新涼や季の移りたる昨夜の雨 みきえ
あるなしの風にささやく秋桜 明日香
色をやや濃くして秋の衣替え ふさこ
秋草の囲む空家の鬱蒼と きよえ
母の待つ老人の日の書道展 せいじ
一斉に葉を翻す真葛原 澄子
台風来遠く逸るるも鉢移す せいじ
電柱の足元隠す猫じゃらし ぽんこ
青蜜柑剥く少年や反抗期 みきお
ペダル漕ぐ坂道纏ふ群蜻蛉 みきえ
限定の御朱印の列秋暑し こすもす
カーテンを揺らす風とて秋気配 満天
露の土手なんば走りにランナー来 素秀
時計塔の記念内覧秋の蝉 こすもす
いよよ底見えし木箱や乾素麺 あひる
蓑虫もわたしも揺れて世を躱し もとこ
ほの赤く甘薯のつるの伸びゆけり たか子
昨夜雨に紫深む露草に 満天
幾たびもそら仰ぎ見る良夜かな 澄子
コンビニに集ふ若も夜半の秋 みきお
土手沿いの秋草手向く石地蔵 愛正
水澄むや甌穴底の玉の石 愛正
雲海は無音の中の浄土かな 智恵子
月光に揺れるパンパスグラスかな 素秀
また少し痩せて刃の如き月 かえる

2023年09月07日

落蝉を担ぐ無数の命かな 澄子
仏膳に光る黒紫の葡萄かな 愛正
遺児はまだ二歳半ばや秋思憑く せいじ
池の上飛ぶものありて水澄めり むべ
京残暑見返りやなぎうなだれて もとこ
古都の路地添水の音に振り向けり 智恵子
補聴器を外し耳掻き父の秋 豊実
暁の欠片のごとく草の露 素秀
月今宵これが悲恋と一人酌む ふさこ
秋麗百歳体操再開す 明日香
気掛りを一つづつ捨て月涼し たか子
妻は寝て一人聴き入る虫の声 たかを
大空に美し虹の秋の暮 きよえ
宵闇や家路を遠く感じけり かえる
皿を褒め口に運びし夏料理 みきお
鬼ごっこの紅白帽や赤とんぼ こすもす
高原へと七曲坂百日紅 こすもす
目覚めれば昨夜の秋思甦る みきお
夕暮れの薄紅たたむ酔芙蓉 満天
眼鏡橋石の間灯す草紅葉 智恵子
無花果をひとつ剥く間の通り雨 澄子
この子らはばばが育てん露万朶 せいじ
解体の跡に増へゆく秋の声 たか子
句会果て皆で見上げり秋の虹 なつき
暗闇に声のかむさる虫の国 素秀
七人の小人並べり猫じゃらし なつき
芋の葉を裏に表に秋の風 きよえ
真夜の月はや半月になつてをり 明日香
十六夜囁く人声路地の裏 愛正
虫の音にいざなはれゆく夢の世へ 満天
雨予報期待裏切る残暑かな はく子
にわか雨濡れて落葉の石畳 ぽんこ

2023年09月06日

厄日過ぎ異常気象の何時までも 満天
亜の心ほぐせし医師や涼新た たか子
穏やかに暮れゆく町よ秋の虹 なつき
蟷螂の揺らぎながらも草のうえ 澄子
召されしは若き母なり蛍草 せいじ
糸瓜水たっぷりはたく頬っぺかな みきえ
ゆきちがふ人うつくしき良夜かな 澄子
解体のビルの現場や昼の虫 ぽんこ
秋の虹暮れゆく町とともに消え なつき
初めての爽涼の風首筋に 明日香
芋虫の横断中のアスファルト 豊実
七草の九月の暦明日香ふと 明日香
鉄桟に角角角の蛾の脱皮 あひる
曾孫の動画に思はず拍手小鳥来る はく子
葡萄買へば葡萄を貰ふ厨かな あひる
青空を隠す黒紫の葡萄棚 愛正
まずビールひと口呑んで愚痴を聞く みきお
店を出た途端目に入る秋の虹 こすもす
宵闇に自転車ニ台長話 愛正
秋草の上に椅子並べ地鎮祭 せいじ
堂々と畦の真ん中鬼やんま 素秀
妹からの動画メールの虫の声 こすもす
酢橘来る寡婦なりし友笑みこぼし もとこ
稲光り遠くと見れば雨柱 智恵子
土いぢり跳び来て見つむ秋蛙 みきえ
新蕎麦を手作り汁で夫と食ふ きよえ
藁匂ふ田を見届けて燕去ぬ 素秀
新米の幟に山積み道の駅 智恵子
箒目の美しき庭白芙蓉 満天
板の間を踏む足裏や秋めけり みきお
マラカスの如く鳴る干し唐辛子 かえる
りんご園もぎたて噛り瑞瑞し きよえ
音まろぶ水琴窟に秋を聞く むべ

2023年09月05日

百葉箱うら校庭の女郎蜘蛛 智恵子
塀越しに声かけ合うや虫時雨 愛正
血管の浮き立つ手足秋暑し みきお
畑の木の葉の間顔出し青蜜柑 きよえ
犬を呼ぶたかき指笛秋の空 澄子
秋旱明け方に雨閉じる窓 みきえ
秋天に太柱立つ舞台かな むべ
秋憂ひ心にもなき口答へ たか子
をさな二人遺せし母や赤とんぼ あひる
覗く穂は未だ色あをき稲田かな 明日香
なだれ咲き速瀬のままにカンナの黃 やよい
先をゆく犬の巻き尾や草の花 澄子
保育園泣き声止まずしむ身かな ぽんこ
プードルのピンクの祭法被かな なつき
秋日濃し臥龍松見ゆ大広間 もとこ
朝顔の鉢植ならぶ銀座裏 よし子
ともだちとはぐれて泣いて秋の暮 かえる
秋めくや渡り廊下のそよぐ風 みきお
やはらかき小さき手の平てんとむし 豊実
炊きたてのとにもかくにも新米よ 素秀
コンビニの用地えのころぐさの海 せいじ
海風を傾き凌ぐ浜おもと 愛正
渋団扇白髪束ぬる露天商 なつき
貴船菊古き商家に沿ひて咲く 智恵子
秋暑し買ひ忘れして二往復 せいじ
秋草を手折り束ねし母墓前 きよえ
高原は県境なり吾亦紅 あひる
残暑なほ鉢の上まで根を張りて 明日香
秋灯下想い出の旅の話など たか子
高枝に石榴ぱつくり高笑ひ 素秀
あるなしの風にふんはり酔芙蓉 満天
潦またいで通る良夜かな よし子

2023年09月04日

ピカピカに磨くキッチン涼あらた やよい
脂のる秋刀魚焼きけり焦がす箸 みきお
秋空へ鴉一声切り込みぬ もとこ
かなかなや友の墓石の真新し むべ
朝冷のうす雲ちぎれわたり行く きよえ
流れ出るポケットのチョコ猛暑かな みきお
九月入る日暦の良き痩せ具合 素秀
取れ過ぎたゴーヤは干してゴーヤ茶に 明日香
仰ぎ見る坂の上には鰯雲 せいじ
そよ風に秋の風鈴微か鳴る ぽんこ
落鮎の背中に鈍き瀞の色 素秀
伸び過ぎた多肉整え秋暑し 明日香
もらひたる青柚絞りておもてなし ふさこ
朝晩の風は一瞬秋初め 満天
ハイタッチ交わす日曜野路の秋 こすもす
殺虫剤撒く軽トラに秋嵐 みきえ
炎天の子らのダンスの大音量 なつき
虫声止む石階段の下駄の音 愛正
台風のつぎつぎ列島迫りけり きよえ
秋の蝶池の畔の釣談義 豊実
老木の朽ちたる洞の秋じめり たか子
芋虫を黙々潰す農夫いて かえる
街道を外れ畦入り飛蝗追ふ 智恵子
スーパーの前で煙りの秋刀魚焼く 満天
穂芒の揺れて影絵の火灯窓 智恵子
大夕立うつむきて待つ赤信号 なつき
梨を切る老母の咀嚼に合うサイズ あひる
水澄みぬ一寸ほどの稚魚の影 澄子
二学期の校庭に満つ子らの声 せいじ
秋冷の風はや富士裾野翔け 澄子
虫の声埴輪並べし古墳跡 愛正
母亡くも義姉より届く郷の梨 あひる

2023年09月03日

仲秋を歩き過ぎたる7千歩 たか子
長月の森の昏れゆくはやさかな 澄子
秀の印大きな箱や梨届く あひる
秋ともし寄木細工の古ピアノ むべ
黄金色に染まる故郷豊の秋 こすもす
風呂の窓開けば一筋虫の声 愛正
彷徨ひて薄紫の秋の蝶 豊実
ホームまで届く高さの猫じゃらし 明日香
借景の山に引き寄す秋の雲 なつき
新米の香よし味よし朝餉かな きよえ
不知火の波音とどく廓跡 素秀
ひとことのピリッと効かせ唐辛子 もとこ
有明の天守にかかる夢の跡 明日香
廃屋を取り囲みたる虫時雨 愛正
極小のグラスに義母と吾のビール あひる
うたた寝で帰り待ち侘ぶ夜長かな かえる
坂道の天辺に吹く秋の風 せいじ
秋の音松原風に浪コラボ きよえ
葉隠れに零余子大小鈴なりぬ 澄子
無花果の隣組より手のひらに 満天
朝市や苅田日日増えをりぬ こすもす
乱れ萩ただせる風の過ぐ小径 素秀
帰省子の明るき声に和む卓 せいじ
庫裏の猫二百十日の爪をとぐ なつき
買い出しは気合を込める残暑かな ぽんこ
白無花果並ぶ朝市葉のお皿 智恵子
残暑なほ通院に押す車椅子 やよい
遊歩道一人歩くや昼の虫 満天
空き瓶に千草束ねて辻地蔵 智恵子
二人暮らし短きが良しゴーヤかな たか子

2023年09月02日

席ひとつずれ感謝さる秋の朝 みきえ
年替はる手帳売場や九月来ぬ なつき
暦繰るいいことあるや九月来て 明日香
風に乗る紙飛行機と秋茜 智恵子
秋天や赤城連山バックミラー 愛正
バス待ちの土手に風過ぐ秋の朝 もとこ
葡萄喰むみなちょぼ口になってをり あひる
おはぐろのこちらあちらへ獣道 豊実
山門の枝折戸の奥秋桜 かかし
泥むとも川に爽気の風の行く 素秀
雨上がりひときわ強し草いきれ かえる
ようやくに秋知らす風カーテン越し ふさこ
訳有りの大盛り梨や自宅用 みきえ
白鳥のプリマか八重の白芙蓉 はく子
獅子唐のうねるしの字とつの字かな あひる
一房の葡萄の粒に在る個性 せいじ
秋暑しひと駅歩く高架下 澄子
居眠りす疲れ出てくる残暑かな 明日香
風に舞ひ夕日に燦の赤蜻蛉 かかし
虫のこえ踏むまじとゆく野路の朝 澄子
髪切りてシャツの襟立てたる九月 なつき
有りの実のすすり上げたる果汁かな たか子
皺のある粒また甘き葡萄かな せいじ
花芒はらと開きて珠の露 素秀
旋回す水音さやか鯉の群れ ぽんこ
秋簾茶道教授の声すなり むべ
別府川をかすめて親子去ぬ燕 きよえ
旅心地雑草列す歩道行く たかを
二学期や両手ふさがる小学生 みきお
念入りに仏具を磨く盆用意 みきお
ライブ中継に見入る三時間風の盆 こすもす
秋の風満タンになれ深呼吸 たか子
秋風や夕日潮に遊ばるる きよえ
鳥かぶと怪しく誘ふ獣道 智恵子
ひと雨のありて変わらず町残暑 満天
臨場感満載中継風の盆 こすもす
眼鏡橋碓氷峠の秋早し 愛正

2023年09月01日

みそはぎの咲き乱れては水を呼ぶ ぽんこ
滴りる手掘り隧道隣村 愛正
痩せし腕取りてそこまで秋入り日 たか子
ひっそりと彩無き園に百日紅 もとこ
新米のひかり纏ひし朝の卓 澄子
栗ご飯レシピ通りに料理夫 なつき
大花野飛び交う羽音上機嫌 智恵子
ふるさとの畦に仰げり天の川 なつき
川風の分けし葉柳すり抜ける せいじ
通学路賑はひ始む九月かな みきえ
老いふたり備蓄見直す震災忌 せいじ
六尺の子規の世界よ糸瓜棚 澄子
野のすべて月の光の中にあり 素秀
かなかなの大きく聞こゆ夕まぐれ 明日香
しっかりと根を張る株や稲の花 みきお
窓の月カーテン開けて一人占め みきえ
幸せの記憶の滲む秋満月 かえる
海開き水平線に白き雲 みきお
芋の葉の半分程も食はれけり 豊実
満月や今宵はまさにビックショー きよえ
震災忌苦慮の決断句碑に記す きよえ
地元産は少し安値の葡萄かな こすもす
更けて町あまねく照らす望の月 はく子
スマホにてつぎつぎメール防災日 満天
震災忌机に隠れ始業式 ふさこ
朝焼けに今日は何かと防災日 満天
朝露のダイヤモンドのごと散る野 むべ
十六夜も飽かず眺むる今宵かな 明日香
岳麓の牧草ロールひつじ雲 愛正
萩の波風に乱れて走り花 素秀
蔓橋ななふし渡る谷の秋 智恵子
百日紅愛でて二人の夕散歩 たか子
立ち話陳列棚にもう新米 こすもす

2023年08月31日

塩からめ茹でし枝豆酒の友 きよえ
家の子は鰯好きなる親孝行 もとこ
爆音めく熊蝉の止み始業式 あひる
大岩に開く行厨いわし雲 智恵子
亀の子や舞ひ散る木の葉さながらに あひる
青田風見わたす波や明智領 よし子
かろうじて薄雲越しのスーパームーン こすもす
沈下橋見えなくなりぬ秋出水 みきお
つくづくに惜しむ気持ちの法師蝉 素秀
ビル影の弁当を買ふ残暑かな 豊実
愁傷ひ儘ならぬ事多きかな たか子
早朝に裾を濡らすや草の露 ぽんこ
三十分毎の確認今日の月 こすもす
皺の手に薄きマニュキュア綾子の忌 なつき
山裾の広き赤城や星月夜 愛正
のんびりと垂れて糸瓜の太さかな よし子
山小屋や眼下織りなす揚花火 愛正
おむすびは尾根まで待てぬ吾亦紅 智恵子
炭酸水喉を鳴らして飲む厄日 なつき
束ねてもどこか寂しき野菊かな 澄子
天高し卒寿登るや富士の山 みきえ
外出の一歩に気合ひの猛残暑 満天
砂浜の足跡浚ふ秋の潮 みきお
桑の葉の勢い増すや野分あと ふさこ
寝食は暮らしの基震災忌 せいじ
曇天に強風吹くも秋めくや きよえ
瞬きをする間に暮れて八月尽 かえる
朝風にまばゆき翅や赤蜻蛉 むべ
蒲の穂や白きビル背に青き空 ぽんこ
鉦叩声を調べるまでもなく せいじ
厚き雲なれど幽かに望の月 明日香
ブルームーン高く昇るも涙目に 明日香
夏果てし覚えなき痣ひとつあり 澄子
口伝ふわらべ歌とよ地蔵盆 素秀

2023年08月30日

爽やかに八冠挑む若き棋士 ふさこ
耳澄ますことやめしとき鉦叩 せいじ
台風はガレージ壊し去つてつた 明日香
万緑やベンチに眠るホームレス みきお
湾岸の倉庫影濃し葉月尽 素秀
哀愁の胡弓の調べ風の盆 千鶴
俄雨の予報に期待熱帯夜 こすもす
水底を転がる小石水澄めり みきお
宮杜にひと声だけのつくつくし あひる
朝焼けや重き眼の覚めにけり みきえ
吾亦紅弾き返すは小さき雨 素秀
気遣われる体調寝坊の秋の朝 こすもす
芋の葉の大葉ゆさゆさ茎強し きよえ
朝ぐもり濃度確かめ殺虫液 愛正
久びさに植物図鑑曝書せり 澄子
スタンドの灯に腹見せてきりぎりす 智恵子
暑いねと言い交わすまま季の巡る かえる
なまくらな包丁を研ぐ残暑かな ぽんこ
スケッチの場所定まらず秋の池 むべ
台風禍アンテナやつと新しく 明日香
暑さ言い歳だと云ふて土用終へ たか子
夏の夕塒は静か夜の帳 愛正
曇天に鶏頭の紅凜と立つ 満天
すげ笠の眼差し深し風の盆 千鶴
赤とんぼ遊具の上で向き合へり なつき
猛残暑近場で済ます買物を 満天
ほらと言へばすぐに鳴き止む鉦叩 あひる
さきがけてスマホが告げし驟雨ナウ せいじ
みんみんにかなかな加ふ黄昏に もとこ
玻璃登る鬼っ子どこへお引越し 智恵子
源泉の溢るる湯船晩夏光 豊実
芋畑身丈程のぶ茎紫色 きよえ

2023年08月29日

青柿の細き枝とてたわわなり 満天
せせらぎに耳を遊ばせ式部の実 ぽんこ
防虫灯闇に犇めく梨畑 智恵子
秋風に鐘音かすか坂の上 素秀
半玉の浴衣姿や先斗町 せいじ
知らぬ者同士で愚痴る残暑かな たか子
雨音に秋簾繰る京町家 むべ
刈り払ふ葉の乱れ飛び草いきれ かえる
掃き寄せる落葉も虫の脱け殻も 明日香
朝戸繰る一雨毎に秋らしく 明日香
ただならず水手放せぬ暑き秋 ふさこ
干し物に止まり溶け込む赤蜻蛉 愛正
秋暑し横町筋の換気扇 豊実
八千草のこよなく映へて瑠璃の瓶 澄子
襖絵は元総理の手堂涼し せいじ
写真撮る夫の背にも秋桜 智恵子
照る月に守られ帰る夜道かな みきえ
らんまんの植物図鑑ヤマトグサ 千鶴
打合せ帰り愉しき虫の声 こすもす
鎌を砥ぐ砥石のくぼみ秋の水 みきお
秋の雲牛の黒目に流れゆく 素秀
死んでなほ色輝けり黄金虫 みきお
お下がりの靴きつくなり夏の果 なつき
群れをなし水平に飛び来る蜻蛉 ぽんこ
読み返す本の新たや夜の秋 もとこ
ひとひらの雲産まれゆく秋の富士 澄子
青柿の塀よりたわわ人住まぬ 満天
びー玉を忘れて行きし夏休み あひる
売れ残る鈴虫鳴けり朝の市 なつき
少年の花火に果つる休暇かな あひる
洗顔の水たっぷりと朝の涼 たか子
山畑の白きうねりや蕎麦の花 愛正
幾種もの虫の声聞き終い風呂 こすもす

2023年08月28日

芋煮たる間に前山の暮れなずむ 素秀
妹と吾の間をすりぬける風は秋 せいじ
妹よりのずしっと重し梨届く きよえ
秋夕立あたり一面潤いて 明日香
夕まぐれ白粉花の香のたちて 明日香
香水の僅かな香り通学路 愛正
私語盛ん足場組み上ぐ炎の天 たかを
雷鳴や湯気を噴き出す炊飯器 豊実
顔歪めランナー駆ける酷暑かな かえる
唇に湯呑の厚き秋風裡 素秀
幼な子の泣き泣き舐めるソフトかな みきお
稲田分け窓全開の一輌車 智恵子
高階へどこから来たの鉦叩 はく子
朝霧の動きて牧の牛近し 智恵子
忍野村ことさら水の澄みませり 澄子
くつきりと秋の雲あるにわたづみ あひる
珈琲の香をたどる朝秋の宿 むべ
割烹の締めは鰯と土鍋飯 もとこ
拭きあげし長き廊下や秋日差し 澄子
南瓜の高値に献立アレンジを 満天
台風のつぎつぎ迫る列島へと 満天
台風の行き交ふ中に船の旅 千鶴
涼求め水音の先へ奥の院 ふさこ
新聞をめくる秋風山の宿 みきお
ネクタイを外し幾とせ秋夕焼 たか子
明快にへそ曲げる夫冷や奴 なつき
休暇明け門に駆け込む通学児 ぽんこ
売り看板錆びた門扉の避暑の荘 愛正
堂涼し古枝のごとき龍のひげ せいじ
たつぷりの雨あと庭の畑仕舞 なつき
梨剥きてまず一片をいただきぬ きよえ
嫗の秋ファミレスランチの三時間 こすもす
地下街を迷うて疲れ秋暑し たか子
巨人めくサンダルもあり孫来訪 あひる

2023年08月27日

電灯の瞬く下の幽霊画 なつき
大夕焼け海も黄金に煌めけリ 智恵子
もう終い言ひつまだあるゴーヤかな 明日香
土間照らす裸電球ちちろ鳴く みきお
麦わら帽顔は見へねど手は盛ん ぽんこ
熊蝉に応援されつ山路越ゆ むべ
稲光り歩み止まりし夜道かな みきえ
睨めつける天井の龍涼新た せいじ
ドローン飛び稲穂に虫の防除せし 千鶴
堂涼し阿吽の龍に見下ろされ あひる
新涼や溢るる如く水を遣り かえる
覚へある赤き夏帽遠会釈 澄子
大甕の水満々と澄みにけり 素秀
建売の新築売れぬ残暑かな 豊実
鈍色に泥む大瀞秋出水 素秀
思わざる起伏もありて大花野 澄子
秋涼し京の小路を人力車 せいじ
山あいの里に広がる蕎麦の花 愛正
色づく田公民館は改修中 こすもす



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