みのる選:2011年度

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2011年12月20日

(加者14名)

俳句作者
山門を額に黄落御堂筋ひかり
照り翳るちりめん波や冬運河
桟橋を一列占拠百合鴎
信号を待てぬ人あり街師走せいじ
年の瀬や芥をわけてぽんぽん船
年の瀬や人通りなき筋のなし
寒の水浴びて常ぬれ苔不動よし子
裏木戸の軋なほして冬支度
冬木の芽いのち包みてふくらみぬ
留石の紐のゆるびて園小春きづな
池よどむ銀杏黄葉を散り重ね
極月の仮本堂に御本尊
歴日の翁の句碑に年惜しむ菜々
庭落葉翁の句碑にしぐれけり
数へ日のひと日を主婦も心ぶらに
紅と白葉ボタンますぐ畝二本こすもす
号外が師走の街を席巻す
蹠に落葉嵩知る雑木山明日香
蒼天へすかし模様や枯木立
髪染めることもわたしの年用意かれん
留石の縄ゆるむまま冬ざるる
鴨浮寝雨の水輪の間間にはく子
なかなかにその気にならぬ年用意
ポンコツの山と積まるる枯野かな宏虎
懐メロは我が青春歌年忘れうつぎ
病院のロビー真中に大聖樹ぽんこ
ゆりかもめ群舞して橋越へゆけり有香
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2011年11月16日

(加者15名)

俳句作者
竹の影現れては消ゆる白障子うつぎ
利酒に盃を重ねし吟行子
利酒の胃の腑に落ちて合点す
利酒す蔵の奥より杜氏歌
吟行を忘れ新酒の香に酔へり
背丈越す櫂を自在に寒造菜々
舌の上にまろびまろばせ新走り
利き酒に頬をそめたる木の葉髪
温かや白壁つづく灘五郷
踏み減りし蔵の床板寒造
家苞は新酒にあらず酒の粕ひかり
長屋門懸崖菊を侍らしむ
小燈しの手元を照らす寒造
明り窓高きにほのと寒造百合
六甲の風恃みとす寒造
下戸上戸蘊蓄語り酒を利く
もみじばの秀をしをりとす句帳かなせいじ
酒粕は妻へのみやげ新酒利く
七五三一張羅にスニーカー
津の国の水誇りとす寒造よし子
大桶の箍ゆるみなし寒造
序破急の風に嬲られ木の葉髪ぽんこ
箒目を守る翁や菊花展
酒蔵を展示室とす冬舘かれん
大桶の底まで見せて冬うらら
箱膳の並ぶ一間や白障子こすもす
寒造丹波杜氏の男振りつくし
冬晴れに商標の鶴羽ばたけり小袖
蔵人のぞうりに格差身にぞ入む有香
日差すときゆらぐ竹影白障子満天
つくばいに侍りさざんか咲き初むるはく子
寒造男柱の太々と
温かや暖気樽並ぶ資料館
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2011年10月18日

(加者16名)

俳句作者
秋天へ反る蘭亭の飛簷かなはく子
園児らのどんぐり比べ手をひろげ
瀬を速む谷へなだるる草もみぢ
露けしや王義之の書の斯く古りて
澄む水に羽広げたる天使像
好天にハーブの香充つ秋の園きづな
秋渇く錆つく蛇口ひねりては
山荘へいざなふ径の野菊かな
裸婦像の双手をかざす天高しせいじ
夕映えの刈田にのこる潦
図書館へ萩のこぼるる径辿る
たもとほるせせらぎの径石蕗黄なり菜々
王義之の筆洗池澄めりけり
姫さまの散歩道かも白式部
群青の空悠然と鷹高し宏虎
大鷲の空傾けて急降下
菊花展裏にバケツと杓覗く
秋草の園カタカナの札多し満天
秋天をつきあげてをる飛簷かな
東山連峰古都の秋惜しむ
井守の尾消えて溝そば揺れ残る有香
風切って走るジョギング草紅葉
左見右見して風を待つ秋桜明日香
秋の雲投網広げしごとくかな
秋晴の巨船ハングル文字見ゆるひかり
赤とんぼついと翔つとき翅光る
名にしおふ舞子の浜の新松子百合
神木にもたれてをれば小鳥来る
王義之の臨書に秋思憑きにけりわかば
谷川の流れへそよぐ花芒
蹲の底まで届き秋日射すつくし
振り絞るごと細々と残る虫こすもす
聞き役もおしゃべりもゐて芋煮会泰三
二つ三つくわりんを飾る観光課うつぎ
石叩仏足石を教へけり
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2011年9月20日

(加者14名)

俳句作者
インターネット句会隆盛子規忌来る菜々
秋灯下絵本の部屋にあそびけり
湖畔道なぞへは葛の花襖
女の子らに蹴飛ばされたる虚栗
キッチンが主婦の書斎や獺祭忌
爽やかや池に張り出す回り廊
過疎の村降ってきそうな星月夜百合
虫の音も馳走と思ふ山の宿
秋愁ふ車内で化粧仕上げる娘
秋疾風回転ドアに吸ひこまれ
囃されて幼の歩む花野かな
霧襖晴れて展けし千枚田宏虎
殉教の島に燃えゐる曼珠沙華
似て似ざる五百羅漢の秋思顔
山門へ誘ふ左右の萩の波ひかり
茶祖の碑に添ふ椿の実太りけり
境内のところせましと彼岸花
虫の声極楽橋のあちこちにせいじ
竹林の入口はここ彼岸花
近隣に独居人増ゆ敬老日有香
異な楽は外来種かも虫すだく
柿の実の落ちて散らばる獺祭忌よし子
職辞してよりの晩学秋灯し
雁渡し古井戸しっかと蓋を閉じきづな
名の庭に絶えぬ水音初紅葉
校庭にそろふ笛の音秋高し満天
ボローニャ展出て童心や秋うらら
山裾に引く棚雲の生絹ともはく子
逆縁の愚痴も洩らして墓洗ふ
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2011年8月16日

(加者19名)

俳句作者
寄せ植の鉢花長けて秋更くる明日香
葉蔭より心もとなき秋の蝶
ロープウエイいまかなかなの輪唱裡
落蝉のどこも傷なく転がれり
吾子嫁ぐ日や一面のいわし雲
暁闇の一村あくる夏の霧よし子
残る火を孫に渡して庭花火
閉店を告ぐる貼り紙秋の風
頬なずる風まぎれなく涼新た
流灯の沖へ沖へと潮に乗る
大笹を鳥居に結はへ星祭るせいじ
みんみんのスローテンポに歩の合はず
チェンソーの音もかき消す蝉の声
麓駅前山蝉の大合唱
かなかなや社に閉ざす能舞台うつぎ
くぐる橋低しと奇声舟遊び
大男隣に座り秋暑し
はらからも僧も老いたり盂蘭盆会
一末寺村総出なる施餓鬼かな有香
宿題の子らが占めたる夏座敷
流星を語る子の瞳に星宿る
星流れ一村包む深き闇
湖に立つ赤き鳥居に秋日落つ百合
稲穂ゆる近江の湖のきらめきに
騒ぐ子を見てゐるだけのサングラス
踊り好き紅い鼻緒の切るるまで
隠池人影もなく蝉時雨つくし
舟のごと横たふ大樹堰涼し
落し物タオル掛けある葛の棚
枯山水庭の砂紋に秋立ちぬぽんこ
夜焦がす万灯供養盂蘭盆会
墓どころ寧かれと舞ふあきつかな
朝明に訪ふ写経寺鐘涼し小袖
稔り田の色に染まりし峡の里
深き谿なれども今朝は霧の湖
鵜飼舟乗り込む河原石ふみてきづな
シースルーエレベーターや館涼し
暁のかなかなに覚む里泊り
パソコンを座右に灯下親しめりこすもす
外厠目線の窓にヤモリかな
満月の赤くうるみし終戦日かれん
露天湯を一人占めして星涼し
波打てる蓮の広葉や池広しわかば
水澄むや小さき堰に稚魚走る
新駅はガラスのお城秋うらら菜々
月白に切り絵めきたる天守かな
新涼や駅ビルの大異空間はく子
日のぬくみ残る秋茄子もぎにけり
風一陣わたる夕日の芒原宏虎
爽やかに三つ子遊ばす母若しひかり
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2011年5月17日

(加者16名)

俳句作者
屋敷町尽きて滝道鳥語降る菜々
滝壺や禊のミスト総身に
赤銅の岩も裂けよと滝しぶく
日面に男滝女滝は木がくれに
豪邸の片蔭ひろひ吟行す
河蜻蛉吾子のリュックに止まりけりひかり
瀬の音に枝うち重ね若楓
護摩堂の庇に苔や滝しぶく
営業は土日と閉ざす滝見茶屋
野仏の古りし前垂れ木下闇ぽんこ
小祠は不動明王滝の道
風薫る京花町を人力車
夏舘ドーベルマンを侍らしめ
老鶯の一声四囲の音消ゆるせいじ
盤石を磨き磨きて滝落つる
喘ぎつつ辿り着きたる滝涼し
老鶯の声に一息岨の道
岨道を過りて消へし黒揚羽かれん
滝しぶき浴びて一句を拾ひけり
とんぼ生れ影散らしをる水の上
横文字の通用門は薔薇アーチ宏虎
水の嵩瀬音で判る滝の道
深山道つつじ彩る巌襖わかば
河とんぼわが膝の上好みけり
若人とあいさつ交はす夏山路つくし
落石の注意札たつ滝の径
堂涼し五百羅漢の在せりけり明日香
磐座の守護神めける蝮草
花楝一樹広ごる宿場跡小袖
箒手に笑む地蔵尊夏落葉
滝音に昨夜の疲れを癒さるる満天
滝しぶき浴びて全身軽きこと
寺院とも思へぬ館風炉点前こすもす
首地蔵苦難の相に若葉風うつぎ
朝採りの筍土の香に満つる百合
滝の道立ち止まる度風涼しはく子
岩を咬む木々の緑に谷深し
滝ひとつ木の間がくれにもうひとつ
滝道に入れば沢音絶ゆるなし
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2011年4月19日

(加者13名)

俳句作者
堰落つる度に解かるる花筏菜々
尖塔にひっかかりたる春の雲
クレソンを見つけてうれし花堤
花に酔ひ人にもまれて通り抜け
花吹雪虚子三代の句碑の辺に
聖堂のあれば訪ひもし花堤
春うらら上衣を腰に巻きつけてつくし
夕されば散り散りとなる鴨の陣
誰もゐぬ野外舞台に初蝶来
岩崖の隙間隙間にすみれ咲く有香
奥の院まで足延ばし春惜しむ
春愁や鳥形埴輪のうつろな目
風鐸の揺れて落花のとどまらず宏虎
雨だれは和音のリズム春庇
花吹雪胡蝶の乱舞さながらにわかば
走り根を階として山椿
花筏早瀬の波にもまれけりかれん
手庇に仰ぐクルスに風光る
いはれある尼寺の春惜しみけりはく子
聖堂の彩窓に透く春日かな
記帳する筆の先へと桜散るうつぎ
記念樹の末広がりに春の風よし子
春の夜祈りつつ折る千羽鶴百合
節電に叶ふ明るさ春灯きづな
花の道まっすぐ行けば教会へ満天
春光に教会の扉を全開す
薔薇アーチ聖母マリアの在せりけり
碧天へ尖る十字架風光る
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2011年3月15日

(加者18名)

俳句作者
草萌ゆる大地を蹴って太極拳有香
遠足の子とおしゃべりす吟行子
文塚にまだ新しき落椿
汲み上ぐる釣瓶に春の水あふれ
鳶の輪の下にひねもす耕せり
大川の渡し再開水温むよし子
俎の刻む手をとめ初音聞く
避難所の祝卒業の字の虚し
いかなごのくぎ煮伝授す漁師街きづな
春の月仰ぎ被災地思ひけり
とりどりの漁網干されし浜うらら
臥竜なす松の緑や美術館菜々
花ミモザ災後十年の町並に
翼張る神話の女神風光る
下萌のベンチは全て海へ向くかれん
剪定の男は寡黙高梯子
遠景の山笑ふなり鴟尾光る
囀りや自転車の子はイヤホーンつくし
春障子腓返りの足崩す
母の忌に母直伝の蓬餅うつぎ
くっきりと灘の潮目や花菜畑
春憂ふどころではなし地震巨大宏虎
禊場に高鳴る春の水の音ひかり
人丸の丘へ椿の藪の道わかば
春陽ざしへと直立す亀の首こすもす
草青む近江平野の長き畝小袖
春光の大河を分つ舳先かなせいじ
玉の日に合掌ゆるぶ牡丹の芽満天
海光に黄をあふれしめ花ミモザはく子
土佐伊予と水木浅黄を広げけり
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2011年2月23日

(加者18名)

俳句作者
ゆくりなく師と出会ひたる梅の丘はく子
梅似合ふ白亜の館は丘の上
犬ふぐり踏むまじ苑の遊歩道
朱鷺の舞てふあけぼのの色の梅
梅林を抜け子どもらは裏山へ
男手も大活躍す大根焚うつぎ
句会には行くつもりらし春の風邪
珠と散る水車の飛沫水温む
海光のいまとどきたり梅の丘かれん
瀬の楽は四阿あたり梅日和
ふりむけば眼下に霞む港街
遠山を屏風に野焼き煙たつよし子
小流れの木橋渡りて踏青す
梅ばかり見て足元の名無し草
春めくや路上ライブの人の輪にひかり
梅林のどの径とるも人ばかり
雛の前娘と昔話などつくし
金髪の乗馬の乙女風光る
春泥の苑の迷路にまよひけりわかば
春の雪ほこと積みたる祠かな
とりどりの肥料袋や春田打こすもす
水音のジャズを奏づる里の春
ひと息に雛の眉かく筆の先小袖
古雛いと小さくとも気品満つ
肩車風船空に泳がせて有香
谺して早春の山削る音
しだれ梅つまみ細工のごとつぼむ菜々
うららかや三門飛簷反りにけり
香に酔ひて雅号うべなふ梅見かなきづな
おしゃべりの花咲く梅の四阿に
この貌のどこにあの声猫の夫宏虎
レンズ向けられて羞じらふ梅の花ぽんこ
温かや退院許可の医師の声百合
春水のはじける綺羅や鯉ジャンプせいじ
四阿に句仇集ふ梅日和満天
春うらら車掌は若き女の子
枝移りする鳥数多風光る
ふり向けば六甲連山春霞
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2011年1月18日

(加者19名)

俳句作者
大雪に眠る一村無音界宏虎
マネキンは素足見せそめ日脚伸ぶ
虎落笛猫の奇声もその中に
目出度さの土くれつけて福寿草
水仙の袴大事と活けにけりきづな
林立のビル影絵めく冬茜
梅白し聖書講座の通ひ路に
一鉢に窓辺華やぐシクラメン
玉の日の浦にたゆたふ百合鴎ひかり
初詣人に埋もれし夫を追ふ
神の畑広ごる伊勢路日脚伸ぶ
竹藪の怒涛をなせる大北風明日香
中天の冬満月と出勤す
風紋の残りしままに川氷る
大寒波洗濯物はせんべいに百合
探梅や見知らぬ人に会釈して
初暦真っ白な日の動き出す
さざ波の揺らぐ岸辺に鷺凍つるせいじ
静けさに朝戸を繰れば雪世界
葉牡丹のモザイク画めく冬茜
枯れ色の見ゆる棚田の雪間かなぽんこ
雲間より鳶急降下する枯野
得手の娘と不得手の母と毛糸編む有香
探鳥のレンズ合はす手悴めり
初明り六甲の嶺々白変すわかば
風邪癒えて朝のみそ汁うまかりしつくし
寒月に届けとばかり詩を吟ずうつぎ
雨いつか小雪と変はる帰り路よし子
餅花に肩の触れもし木戸くぐる菜々
百選の寒九の水とてコーヒーにかれん
今もって皿割るる音阪神忌満天
子らの声寒九の空へ突き抜けるはく子
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