みのる選:2016年10月度

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2016年10月30日(Sun)

10月22日~10月28日

2016年10月28日
百選の棚田を抱き山粧ふぽんこ
風が大好きとコスモス揺れやまずひかり
黄落の天洩るがごとき山路かなまゆ
湖岸道楓紅葉の並木なす隆松
城塁を搦めにからめ蔦紅葉やよい
秋晴にうぐひす張りの音高し満天
2016年10月27日
秋天下白壁つづく武家屋敷菜々
根ぶか汁手づくり味噌が要てふはく子
月出でていよよ高鳴る瀬音かなまゆ
2016年10月26日
目交ひに主峰の見ゆる花野かなひかり
しまなみの見えず霧笛の響くのみ智恵子
竹林の奥に庵す秋灯まゆ
秋灯ほほふつくらと朱唇仏なつき
2016年10月25日
屋根よりも高きを伐りて天高しよし女
幾たびも針孔さぐる夜長かなやよい
2016年10月24日
縁に腰して適塾の秋を聞くやよい
はかどらぬ遺品の整理秋灯はく子
一面の刈田に白き煙り這ふ明日香
2016年10月23日
山荘へ誘ふ石蕗の小径かなせいじ
花八つ手目隠しなせる外厠宏虎
霧雨に蜘蛛の囲珠をちりばめし克子
2016年10月22日
瀞の面に尾を打ちつけて赤蜻蛉まゆ
小鳥来るビル屋上の庭園にさつき
病葉をくるくる回す蜘蛛の糸よし女

2016年10月23日(Sun)

10月15日~10月21日

2016年10月21日
地野菜を自慢としたる秋の膳たか子
彩窓を貫く秋日濃かりけりやよい
朴の葉を宙吊りにして蜘蛛の糸よし女
山門の臥竜の松の色変へずぽんこ
秋高しブラスバンドの楽ひびくさつき
朝霧の中に木を伐る音間遠まゆ
2016年10月20日
ついて来る猫の背なかに草虱まゆ
黒真珠めく草の実はあまどころ明日香
墳丘に佇てば香し刈田風なつき
潮入りの流れにのりて浮寝鳥さつき
ビル街に彩づく桜紅葉かなぽんこ
2016年10月19日
秋惜しむ浪速七坂たもとほりはく子
猪垣のこんなに低くてもいいのたか子
ポストまで野菊のつづる径辿るまゆ
天覧の見晴台は霧の海やよい
深山道途切れ途切れに残る虫ひかり
七坂の一投足に秋の風満天
2016年10月18日
一陣の風吹きし時葛の花克子
秋うらら水輪の主は亀の首菜々
激つ瀬のしぶきに耐ふる蜘蛛の糸さつき
2016年10月17日
平伏す車窓の尾花高速路豆狸
幕間に山風通ふ村芝居なつき
夕日落つ波止のベンチに秋の人さつき
山葡萄翡翠の珠を鈴なりになおこ
2016年10月16日
鵙高音主婦の一日始まれり明日香
古墳への小径彩る草紅葉こすもす
無人駅出でて一面秋桜やよい
2016年10月15日
秋空へこどもみこしの声弾け菜々
秋澄むやテニスラリーのはずむ音ぽんこ
磨崖碑の裳裾に燃ゆる蔦紅葉やよい
涙目にあらざれど斯く月滲む明日香

2016年10月16日(Sun)

10月8日~10月14日

2016年10月14日
校舎より洩るる輪唱秋澄めるやよい
古民家の三和土に山と柿を積む智恵子
ひつじ田へ鷺の降り立つ朝まだきぽんこ
野仏へ肩幅ほどの千草道菜々
学び舎に残る灯のある秋の夜満天
2016年10月13日
亡き夫の分も生きなば十三夜はく子
疎に咲いてゐて健気なる秋薔薇なおこ
落とし水奔流となり且つ激つ明日香
軒高くトロ箱を積む魚河岸の秋たか子
2016年10月12日
嶺々低き丹波の里は豊の秋菜々
ゆく吾に辞儀する風の芒かなともえ
うそ寒く首にタオルの厨事満天
婆縁に黙々と編む吊るし柿智恵子
2016年10月11日
実りたる稲穂確かむたなごころはく子
ウエディングブーケ投げたる天高し智恵子
町なかの御苑に旅の秋惜しむなおこ
2016年10月10日
公園のジャングルジムに小鳥くるやよい
園児らのゴールはママや運動会智恵子
秋桜風にあち向きこつち向きあさこ
紅葉鯛白磁の皿にはみ出しぬたか子
白萩の屑こぼしつぐ苔の庭豆狸
2016年10月09日
ドミノめく棚田の稲架や明日香みち明日香
行厨や四囲の花野を籬としぽんこ
2016年10月08日
亡き母の文読みかへす灯親し菜々
赤とんぼ芝生広しとホバリングなおこ
フェリー待つ桟橋の沖跳ねる宏虎
回廊に泉水の秋聴ききにけりぽんこ

2016年10月9日(Sun)

10月1日~10月7日

2016年10月07日
秋うららラジオ聞きつつ波止に釣るやよい
レースカーテンを貫く秋日かななおこ
2016年10月06日
色変へぬ松砦とす御陵かなたか子
修験者の錫杖ひびく秋山路宏虎
大梯子下りてのぼりて松手入なつき
製鉄の街見下ろして山粧ふ菜々
係船の舷たたく秋の潮やよい
子ら帰る自転車の輪に草紅葉智恵子
蜻蛉の翔ちては戻る潦ひかり
2016年10月05日
ほろほろと湖面にこぼす萩の屑まゆ
秋霖の杜の走り根苔まみれひかり
映画館客四五人や台風裡やよい
長雨に耐へかねて臥す稲田かなひかり
角隠し渡る廊下に菊薫る智恵子
身に入むや原爆写真みなセピアなつき
核心の話に止まる扇かな宏虎
2016年10月04日
里山に飛び火のごとく櫨紅葉まゆ
秋晴れに扉を全開す大法堂はく子
佇つ我に刃向かふ構へいぼむしり治男
吟行の家苞に買ふ能勢の栗ひかり
宇治の瀬を掠めかすめて石たたき菜々
2016年10月03日
山門に傘をたためる秋の人なつき
ひとところ湖畔に燃ゆる櫨紅葉まゆ
庭草の伸び放題や秋愁ふよし女
這松の群落駈けて霧走る明日香
四方山の話は尽きず敬老会まゆ
曇天を明るうしたりそばの花隆松
銀杏の実を踏むまじと爪立ちにたか子
2016年10月02日
穂薄をのけぞらし過ぐ列車かなともえ
秋風裡高原バスは窓開けて明日香
稲稔る四囲の山々砦とし菜々
枝から枝へリス忙しき森の秋智恵子
太い腹ひきづりあるくいぼむしり三刀
山野辺に摘みしを卓に吾亦紅まゆ
2016年10月01日
竹林はいましも虫の音楽会せいじ
廃線の鉄路を隠す草紅葉智恵子
秋風に揺れどほしなる千灯明さつき
落人の越えしこの淵秋深む治男
萩の花しぼるがごとく雨雫せいじ

2016年10月2日(Sun)

9月24日~9月30日

2016年09月30日
石地蔵麦藁帽を被りけりさつき
黒き雲脱ぎて真澄の月涼しなおこ
乱れ萩海一望の高台にぽんこ
道祖神囲みて畦の曼珠沙華克子
双眼鏡真澄の鷹をとらえけりさつき
野分あと狼藉めける杉林まゆ
不揃ひの雨粒宿す彼岸花よし女
2016年09月29日
湯煙かはた夏霧か山の宿菜々
遺言を書かせる講座うそ寒し治男
車窓いまネオンの滲む秋時雨智恵子
独り酌み仕上げは茶漬け秋深しうつぎ
秋霖もまた良しとせる吟行子やよい
2016年09月28日
秋暑し赤信号の長きこと満天
戦争の苦労話やふかし藷三刀
疎に密に休耕田の秋桜こすもす
内海や波の子もなき秋の晴ぽんこ
2016年09月27日
草葎踏めばあらぬへバッタ跳ぶたか子
秋うらら動くともなき熱気球やよい
2016年09月26日
売り切れの無人野菜や野路の秋やよい
触れまじと思ひつ触るる萩小径うつぎ
結局は捨てる木の実をポケットにたか子
石人に梢を洩るる秋日影豆狸
2016年09月25日
雲の影くつきり落とす秋の山明日香
秋淋し筑前琵琶の音色またさつき
愁思あり発掘されし石人に豆狸
裸婦像の豊胸反らす天高しやよい
2016年09月24日
秋憂ふ開けて噛んでと歯医者さん明日香
秋彼岸番茶を沸かす大薬缶なつき
落暉いま黄金に染む鱗雲隆松

 

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