投句控 :500句/1頁

前のページ次のページ
供花胸に抱へるおみな盆の雨 むべ
夕焼を万のつばめは乱れ飛び 青海
湾うねり土用波寄せて浜濡らす 勉聖
雨もらいやっと花咲く茗荷かな ほたる

2025年08月11日

雨なれどもつれもつれし揚羽舞ふ ふさこ
露草や暑さ和らぐ昨日今日 和繁
雨上りくぬぎ木立の雫の音 和繁
リビングよりピアノの音や子の帰省 こすもす
秋嶺の頂あたり雲流る 明日香
ハイウェイの出口とんぼに迎へられ せいじ
片蔭やベンチに残る友の香 博充
帰省子のピアノ演奏家中に こすもす
有るもので済ます残暑の夕厨 たか子
雨打つも可憐に咲くや草の花 きよえ
秋夕べ女踊りや下駄の音 藤井
忘れじと墓に群がる竜胆花 ほたる
夕涼や人の集まる橋の上 みきお
廃駅のベンチ錆びたる虫時雨 博充
堂前に蓮の大鉢堵列せり 康子
雨二日プール再開知らせあり きよえ
田道ゆく朝焼けの雲真向こうに 千鶴
秋立つやネットがさそふひとり旅 なつき
ハイウェイのなぞへ鉄砲百合の花 せいじ
手を合わせ仰向けになる蝉の骸 ぽんこ
賑わひを閉じ込め静か秋の海 みきお
夏空を撥じきて朱なる大鳥居 あひる
曼荼羅の翅合掌の秋の蝶 えいじ
大きなる雲の崩れて夏が行く わたる
秋めくやボート乗り場の風の音 愛正
風鈴の千に囃されくぐる門 あひる
北の星凝視のままや誓子の忌 勉聖
薬飲む水のすつきり今朝の秋 なつき
伸び代を頼りに励む夏期講習 みきえ
白和へに黄菊ひと片夏料理 むべ
窓少し開けて音聞く秋の雨 澄子
笹叢を雁字搦めに藪からし むべ
秋蝉の独語途切れぬ杜木立 えいじ
鶺鴒の二度三度揺れ次の石 藤井
苺呑むしづかに落ちる胸の奥 勉聖
スーパーに入らば盆花一等地 愛正
回廊に千の塔婆や盆の寺 康子
離島来て目に飛び込みぬ天の川 もとこ

2025年08月10日

地響きの家震はせてはたた神 むべ
かぶと虫の大きを選ぶ朝の市 なつき
留守宿にひそと彩る桔梗かな ほたる
原爆忌被爆マリアの眼の虚ろ 山椒
浮島に草生ひ茂り神の池 あひる
ひと吹きの盆東風や襟揺らしたり えいいち
麻服を選る古着屋の白熱灯 和繁
千枚田巡りめぐりの落し水 みきお
お豆さん上手に炊けて秋ひと日 明日香
ケース積みマンションめきしかぶと虫 なつき
審判の白靴光る甲子園 みきえ
長廊下走る孫らの音涼し 康子
初盆や張りある僧の声に和し 千鶴
つばめの子雲のかなたや母の空 勉聖
小さき蜘蛛砂利を跳ね行く雨催ひ 和繁
雨音や秋の気配のそこかしこ こすもす
熱闘のテレビとじゃんけん夏休み みきえ
スイッチを切れば翅音や夜の秋 えいじ
久々にワイパー出番秋の雨 こすもす
門口から埋め尽くされし十薬花 ほたる
向日葵の影絵となりし夕まぐれ 康子
虫の音の高くなる軒雨小雨 きよえ
撫子の茶筒で淹れる今朝の秋 あきこ
畦道に草の香立ちて子ら駆ける 博充
対岸の樋に止まるのは青き鷺 明日香
試験終へ廊下に空蝉落ち居たり 山椒
辻曲がり並び引つぱる迎鐘 もとこ
闊歩せる漢字Tシャツ京の街 せいじ
秋めくや頬を撫ぜゆく小路の風 愛正
ふる里は豪雨最中や秋思憑く せいじ
なぜかまた夜鳴きはじめし闇の蝉 勉聖
一村を沈めしダムも水澄めり みきお
外出の夫若がえる夏帽子 あひる
老母の背に温もり残る夜長かな 博充
久々に雨の一日秋の雨 きよえ
百合咲けり粗末な机の窓の外 藤井
風の香や柔らかくなる今朝の秋 藤井
葉漏れ日を翅に透かすや秋の蝶 えいじ
石垣の一部崩し夏の果て ぽんこ
路地裏の並ぶ馬穴や日向水 愛正
三色の味で迷いてかき氷 わたる
紅薔薇の蔦に絡まる夏の夢 あきこ

2025年08月09日

ランタナの負けじと咲けり大西日 えいじ
雲絡む浅間山頂初嵐 あきこ
盆花に亡母の好み一枝差す わたる
先頭の帽子を目当てに大花野 みきお
静臥してかなかな聞けぬひと日かな もとこ
法師蝉声遠ざかる夕茜 博充
奈落へのエレベーターや洞涼し せいじ
春光や平和の日の丸ひるがえる 勉聖
どたばたと格闘劇や油虫 やよい
立秋の廊下に揺るる樹々の影 むべ
白鷺の大き羽ばたき朝の川 むべ
土付きの古新聞の枝豆の香 えいいち
噴煙の瞬く間にや秋の雲 きよえ
鳴り渡る双鐘や八月の空 えいいち
大木の木陰に蝉の声を浴ぶ 和繁
雲行きをうかがいながら夜濯かな ほたる
雨後の滴りり落ちし首筋へ ふさこ
八月の豪雨に沈む薩摩かな 藤井
濯ぎ物揺るる風音秋の声 きよえ
嬰の如抱き上げ運ぶ西瓜かな 澄子
海からの風吹く長崎原爆忌 山椒
閃光の阿鼻叫喚や広島忌 藤井
ゆふぐれに牛引く人や青田道 あきこ
返事無き会話などしつ盆用意 たか子
庭を這う蔓にあまたの小朝顔 ほたる
戦はぬ国是やかげなる鷹の爪 勉聖
夕風にこほろぎ応ふ西の土手 和繁
立秋や秋を待てない鉢のあり 明日香
お泊りの泣く児に添ひ寝熱帯夜 なつき
昇竜てふ庭石濡らす秋の雨 なつき
朝顔や元気に二輪咲きにけり こすもす
火灯せば逃ぐる速さや油虫 やよい
渋滞の窓少し開け蝉しぐれ 康子
千羽鶴濡れてそぼ降る長崎忌 せいじ
つくつくし吾は懸命に生きてきた 明日香
炎熱の蛇口はお湯を吐き出せり 康子
羅の僧朗々と読経かな みきえ
秋近し風のテラスで猫のびる 博充
夕餉前吾子にかぶする日向水 愛正
バット振る早朝練習秋はじめ ぽんこ
黙祷の背に蝉時雨被曝川 みきお
戸の隙間玉虫走る光かな 愛正
雨乞ひや令和の御代の神頼み 千鶴
薄明に鹿の笛きくテラスかな 澄子
霜降りの満ちて風待つ稲の花 えいじ

2025年08月08日

鳳仙花はじける音に耳すます 藤井
炎昼や焼けし舗道を犬よぎる 博充
片蔭を選りて駅まで右ひだり みきえ
かなかなの声の伝える気配かな わたる
棚経や先代譲りのテノールで もとこ
昼の道ギリリと止まる蝉の声 山椒
猫鳴けば庭に出づるや星月夜 藤井
落蝉の手はまだ合掌しておらず 明日香
夕闇の喜雨や地面を叩くごと きよえ
主屋まで灼くる飛石伝ひゆく むべ
大声で出番まつ児等甲子園 ふさこ
一村の立葵咲く夏の夕 あきこ
虫の声高き雲のみ明るくて 和繁
地下鉄に避難炎暑の京街路 あひる
おはようのどこか楽しげ今朝の秋 なつき
おほひなる富士と競ひて雲の峯 澄子
峠茶屋樋で取り込む岩清水 愛正
大蟻の列のしんがり務めたり むべ
漆黒の湖上に展ぐ大花火 澄子
ジョキングの足音高し秋初め ぽんこ
注文は夫につられて冷善哉 あひる
誓い読む子の目に青き原爆忌 勉聖
残暑なほ寺石の上猫眠る 博充
原爆忌子の瞳澄む誓文かな 勉聖
帰省の子焦げ跡に祖父偲びをり なつき
炎昼も地図を片手にツーリスト せいじ
新涼を墓地へと遠く参りけり たか子
黒雲の波ひき連れて雷神来 康子
クーラーの切れて目覚める午前二時 やよい
夕涼うなじにそよぐ月の波 あきこ
大あらし空を洗ひて秋立ちぬ 康子
しがみつく空蝉数多干からびて こすもす
本当のことは言わずに檸檬切る 明日香
爽やかや箸も進むや今朝の卓 きよえ
水口の田に落つ泡の音涼し えいじ
片脚で草を動かぬ飛蝗かな えいじ
吊りて干す赤唐辛子軒の下 千鶴
夏草やどこと分からぬ大文字 せいじ
一面の稲田のかほり秋夕べ 和繁
照り続く亀甲模様の焼け田かな 愛正

2025年08月07日

 玉虫や瑠璃色に染む夕の空 愛正
母逝きて窓に差す陽は大暑なり あきこ
祈り込む涙零るや原爆の日 きよえ
山里の車線に寄り来群れ蜻蛉 みきえ
ひもすがら活字を繰りぬ生身魂 康子
数珠を手に頭を垂れり原爆忌 山椒
たもとほる翠の疏水蝉しぐれ せいじ
マリア地蔵訪ふサンダルの若きかな なつき
夏の海漁船しづかに光へと あきこ
最高気温置き去りの夏の果 えいいち
観音の頭上に鴉いわし雲 ぽんこ
草刈れば野地蔵現わる土手の下 愛正
朝焼けの棚引く雲の流れけり えいじ
大空にコーラス響く今朝の秋 ほたる
少年の日の懐かしき風仙花 藤井
空見つめ老父の語る原爆忌 康子
赤とんぼ天より地より湧き出づる よし女
サングラス色濃く変はる亭午かな むべ
小学生の願いほのぼの星まつり こすもす
一日の疲れをたたむ秋日傘 みきお
クーラーの効きしモールをウォーキング せいじ
小気味よき音立て鱧を切る器械 千鶴
帰省子の名残や照りし日焼けの子 勉聖
平和願う短冊数多星まつり こすもす
手の動き止めて愚痴聞く団扇かな みきお
うしろより吹く風涼し丘の上 えいじ
袋角持つ鹿のかお落ち着かぬ 明日香
何もかも放り出したき柘榴の実 明日香
青胡桃かわるがわるに座すベンチ ほたる
茄子の馬飾りて拭けり父母の影 藤井
湾うねり押しひろがりし土用波 勉聖
日輪に蝉の声高し原爆忌 山椒
昨日とは違ふ風吹く今日立秋 和繁
ゆつくりと川面ゆく雲今朝の秋 むべ
水不足プール閉鎖の立看板 きよえ
炎昼の赤バス待てる翁あり 博充
バス停に迎への家族秋の夕 和繁
休日の病棟暗し夏の果 もとこ
ガラガラに都会の気詰めて孫来る わたる
原爆忌誓ひ読む子の目の涼し なつき

2025年08月06日

秋の蝶楽譜ひろげて命過ぐ 明日香
夏祭り畔に連なるのぼり旗 愛正
八の字飛べるとんぼや池回り ぽんこ
炎昼に息同じくし牛を牽く あきこ
と見る間に黒天井や大夕立 むべ
雹止めば吾子の雀躍芝の上 愛正
咲き納めけさ開きたる牽牛花 藤井
国宝の余韻冷めまじ秋立つ日 千鶴
走る背に顔にまなこに滂沱汗 ほたる
天井画龍と目の会ふ堂涼し なつき
嫁入りの道てふ杉の道涼し なつき
わくら葉の風に滑りし池面かな あひる
はや赤み帯びたる楓雨あがり 和繁
自転車をさがす泣きみそ大夕焼 あきこ
折り鶴を折る手ふるふ父の午後 勉聖
炎暑過ぎ軒にまどろむ猫の影 博充
一分間は長しと思ふ原爆忌 こすもす
知らんぷりして向き変へる蟻と蟻 せいじ
寺炎暑微動だにせぬ幟旗 康子
何処かへ飛びたき日あり鳳仙花 明日香
炎帝を躱して疾走る高架下 えいじ
迷ひ猫やさしき声の広島忌 藤井
艶めけり祖父愛用の籐寝椅子 みきお
歳時記を父と黙読夕端居 康子
夕立に祭提灯宵の華 和繁
黒い雨読みける今日は原爆忌 もとこ
薄物に兵児帯キリリ正座指 ほたる
小流れの瀬音も高く曲がりけり あひる
原爆忌一分間の無音かな たか子
芋畑大きな葉陰鳥たむろ きよえ
平和誓ふ子の声しかと原爆忌 やよい
慰霊碑へ新たな名簿原爆忌 せいじ
掴まえてはたく天花粉蒙古斑 みきお
転寝の極楽覚ますはたた神 わたる
秋空に見上げる未来時計塔 山椒
夕散歩犬も揃いのサングラス 山椒
群蝉の沈思黙考木立陰 えいじ
黙祷すテレビの前や原爆忌 やよい
カレンダー知っているやに赤トンボ こすもす
むくり屋根稜線めきて月涼し むべ
波戸の夕潮風さやか散歩かな きよえ
声もなく泣いてゐた子や原爆忌 勉聖

2025年08月05日

燃え尽きぬ柴の火のごと百日紅 せいじ
青時雨心通わぬ日ありけり 明日香
酷暑かな地球湯舟に沈めけり 勉聖
水引草活けてしもた屋ひそと佇ち もとこ
夕立や煎餅齧る音消ゆる わたる
カレンダー名ばかりの秋来たりけり こすもす
砂山を盛り上げ崩す裸足の子 きよえ
叩かれて吾の血に留まる蚊の骸 えいじ
古古米と古米で造る今年酒 山椒
影落とす富士黒々と夏夜空 澄子
板塀を登り切つたる牽牛花 和繁
境界の杭に鎌音草いきれ 藤井
一口に汗ひく思ひガリガリ君 やよい
老人の憩いのベンチ百日紅 ぽんこ
親戻るひしめく命燕の子 みきお
哀愁を帯びる胡弓や風の盆 みきお
いくたびも読む調理本カボチャ煮る 藤井
日盛りや坂を下れば靴の音 博充
日跨ぎの仕舞湯にきく虫の声 澄子
片陰に人影とどむ常の石 勉聖
来たれどもまさに名のみや秋立つ日 こすもす
川蜻蛉掠める水辺影写す きよえ
猛暑日のニュースサウナで聞きゐたり なつき
ゆくりなく虫の羽音の耳掠め あひる
早朝の窓に新涼ようこそと たか子
信じえぬ友の訃報や月涼し あひる
野地蔵を隠す藜や露光る 愛正
古刹へと道しるべなる蝉の声 康子
無人駅祭り提灯華やかに 愛正
駅舎の灯消えてかがよふ星の河 あきこ
茜さす夕焼雲に翳りあり むべ
腹当やボディコンにして体操す えいじ
卒業文集未来の私への手紙 山椒
肝心なところで故障草刈り機 千鶴
夕顔の宵闇に浮く白い花 ほたる
神苑の土俵ひび割る旱かな 康子
ちぎり絵のごとく夕月靄がかる むべ
明星を浴びて開ける牽牛花 あきこ
雑用は記憶飛びたり暑に耐ふる なつき
弓張りの月覗きをる小窓かな みきえ
形代は吾の身代わりを負いにけり ほたる
炎帝のまだおわすここ関西に 明日香
老いたれどアーバンヘアに秋近し せいじ
閉ざされし音楽教室蝉鳴きぬ 和繁

2025年08月04日

川蜻蛉一尺飛んで一休み わたる
仁王立ち西日浴びたる警備員 明日香
何周も巡る酷暑の体育館 山椒
大甍へと和す蝉の大合唱 康子
小夜更けて虫の声聞く風呂上がり みきえ
田の脇の水路涼しき日暮れかな 和繁
鯉の餌のおこぼれ目当て雀の子 ぽんこ
坂がかる道に打水流れけり むべ
僧を待つ仏間にまわる扇風機 こすもす
草の端を滑り落ちさふ露涼し えいじ
お隣の獅子唐にまだ与らず せいじ
ヤジ飛んでしどろもどろの村芝居 みきお
生き残り我が名呼ぶなよ秋の蝉 勉聖
蟻の穴結ぶ地表の窪みかな 和繁
向日葵の迷路さながら万華鏡 こすもす
梵字めく鳥の糞する朝ぐもり えいじ
終活を急がす如き蝉しぐれ 愛正
水撒きて雫の光る数珠珊瑚 むべ
炎昼や信号待ちの苛立ちて ふさこ
老車夫の新婚乗せて風涼し なつき
昼食を友と作りぬ夏休み あきこ
採り入れに備え鎌砥ぐ秋隣 みきお
大西日長き影曳き男坂 康子
片蔭に小鳥仲良く鳩も居て きよえ
孫となら重き腰上げ避暑散歩 せいじ
枝豆の花壇に育つ医院かな あひる
船祭両岸の声途切れ無く 明日香
溶鉱炉に入りたるごとき炎天下 ほたる
マンモスの眠ってそうな夏氷 山椒
赤茶けし線路もぐたり大ひでり もとこ
骨白き干物に当たる極暑かな 博充
落書きを壁いっぱいに夏休み なつき
地球ごと行水させたき四〇度 たか子
獸よけも鳥よけも付き桃育つ あひる
願いより感謝の余生蝉の声 愛正
終戦日祖母の目いまだ熱を帯び 勉聖
八月や日本列島燃えてをり 藤井
癒へ兆す通院帰り買ふ氷菓 やよい
白槿庭いっぱいにそよぎけり ほたる
柿の実や丸く太りて当たり年 藤井
手の届く幹の低きに庭の蝉 みきえ
切り飴を焦がす匂ひや夜店の灯 千鶴

2025年08月03日

りんご飴ぬめりと光り地蔵盆 たか子
油照り手術室より白衣駆けゆく 勉聖
三尺花火浴びて宇宙にありにけり ほたる
噴水に禁遊泳と書かれをり 明日香
北海の浮たる島やお花畑 もとこ
落日に徐々に声上ぐ法師蝉 和繁
ジグザグに軌道を描く夏落葉 むべ
ペンライトいつまでも揺る大花火 ほたる
憧れのセーラ服に更衣 みきお
喉仏上下に動きラムネ呑む みきお
草いきれ隠るる札の熊注意 愛正
日照雨きて夏野の深き草の息 澄子
帰り道見上ぐ夕空月涼し きよえ
暁星の朝焼け雲に呑まれけり えいじ
片蔭や歩を定めたる僧の影 博充
せせらぎの闇の奥より河鹿笛 あひる
四重心フィナーレ飾る大花火 千鶴
夏風邪を一日で完治せしめけり せいじ
砲火飛ぶオリーブ園に秋夕焼 あきこ
夕涼や散歩の子犬振る尻尾 山椒
竹の寺風鈴が鳴る順路かな なつき
百日紅最高気温を煽る色 わたる
心電図かすかに揺れて夏が果て 勉聖
燕の子ネクタイ締めてカルテット 明日香
夕涼や民家に沿ひし裏参道 康子
雷神の君臨したる夜の樹海 澄子
片蔭に添ひて杖の歩まわり道 やよい
盛り上る背伸ぶ浮葉や蓮田の花 きよえ
夕焼けや男もいのる日々の幸 藤井
礼拝の配信終へて汗どつと せいじ
夜半の庭朝顔の蔓光りけり あきこ
日除され犇く人形供養祭 康子
息切れす思ひ出ばなし墓参道 むべ
炎昼や鳴ける烏の嘴赤し えいじ
一体が片影出でし六地蔵 なつき
この庭に薮蚊むれをり人を待つ 藤井
そり返る屋根に夏日の鬼瓦 ぽんこ
雹激し踊るさまにて通すぐ 愛正
思ひ出づやに鳴き始む昼の蝉 みきえ
青鷺の夕日に光る朱鷺のごと 和繁
ブルーベリー摘みゆく指の露に濡れ あひる

2025年08月02日

大木に巻き付く蔦も枯れにけり ぽんこ
外出の一歩に纏ふ溽暑かな やよい
湯上がりの大の字至福冷房下 康子
まだ水に触れてをりけり羽化の殻 勉聖
サンパラソル三色植えて朝涼し あひる
草いきれ進めば名残の秘密基地 愛正
子亀往に静けさ戻る茶の間かな みきえ
夕立に空洗はれて星キラリ きよえ
子亀往ぬ主と共に車内へと みきえ
登り来て蝙蝠飛びぬ丘の朝 えいじ
海渡り古刹を照らす夏の月 愛正
汗拭ふシニアカーにて坂下り よし女
ちと休めとのしるしやも夏の風邪 せいじ
朝の日に頬染めたるや雲の峰 えいじ
夕涼やボール蹴り合ふ男たち 和繁
麻服の皺もシンボル教師かな みきお
スタンドの歯ブラシ増えて夏休み わたる
夕日いっぱい浴びる青田に囲まれて 和繁
石影に舟虫集う磯の釣り 藤井
たっぷりと水引く稲や穂を孕み 千鶴
大粒の喜雨や田畑の土匂ふ きよえ
仰向けの落ち蝉少し揺れている 明日香
素振りの子赤ら顔なる酷暑かな 康子
驟雨あと街の匂ひや溽暑かな 勉聖
メッセージ込めて花火のあがりけり こすもす
貝殻の石鹸皿や宿涼し むべ
退院の父娘スキップ雲の峰 もとこ
冷房の部屋に入るや別世界 山椒
膳の跡ぬくもり微か夜の秋 あきこ
妻と酌む盃薫る新酒かな 博充
野点席前に実生の花さびた なつき
串刺しの鮎虹色に光りたり 山椒
ヘルメットいよよ目深に夏嵐 むべ
白シャツを膨らませ走るバイクかな みきお
芝刈りや朝日を待たぬ一仕事 藤井
花火大会祈る健康と平和 こすもす
水占の旱りてゐたり炎暑寺 なつき
朝夕水やれど太らぬ茄子胡瓜 よし女
御手洗の屋根よりはらり夏落葉 ぽんこ
ひもすがら眠りこけたり夏の風邪 せいじ
下駄音に耳をすまして夏の果 ほたる
夜の秋拙い文字の栞かな あきこ
香煙のゆらぎに射せる朝日かな あひる
頭上より降り来る花火大歓声 ほたる

2025年08月01日

息合はせ孫と料理す夏休み あひる
裏庭に母の声聞き水引草 もとこ
踏切の音乗せ宵の風涼し 和繁
われ生きて風鈴ひと日鳴り続く 藤井
水槽の水音涼し濾過装置 みきえ
涼風の心地良い風朝の窓 きよえ
声掛くや首伸ばし寄る小亀かな みきえ
ピクルスの瓶に色増す夏野菜 康子
錦糸卵光るかんむり冷やしそば あきこ
一椀の冷汁作る昼下がり あきこ
初盆や入所の母の指示ありて なつき
寝返りをするたび目覚む溽暑かな みきお
蝉しぐれ追はれ急かされ急ぎ足 千鶴
ビュッフェより宝石めきしゼリー選る 康子
厚切りのパイン添えられランチかな こすもす
孫らとの別れの駅舎夕涼し せいじ
向日葵や黄のクレヨンに暮るるかな 藤井
開けることじっと我慢の落とし文 わたる
森木立縫ひて紛れし揚羽蝶 えいじ
夕暮にまだ賑やかや蝉時雨 こすもす
遺影にもたまにはオンの扇風機 たか子
中也の詩ひらきてひとり秋しみる 勉聖
心太岩水得たる峠茶屋 愛正
根上りの杉の古道よ汗涼し なつき
拾ひ読む中也の詩集や夜の秋 勉聖
縁側にぽつり月見の団子かな 博充
冷蔵庫開けては一つアイスの実 たか子
天仰ぐ顔に両手に喜雨来たり ほたる
六文銭抜け穴今や百日紅 ぽんこ
大皿はつぎつぎ空に帰省の子 あひる
帰省子の去ねばたちまち発熱す せいじ
雨止みし合図みんみん鳴きそむる むべ
草いきれ無人の駅の待合所 ほたる
小さき薔薇きりり山椒の木の脇に 和繁
灼熱の台座におわす地蔵かな みきお
夏暁に予期せぬ津波北の宿 ふさこ
葉漏れ日に紛れ舞ひたる夏の蝶 えいじ
嵐呼ぶ風に負けじと蝉時雨 むべ
夏露を受けて硯か河原石 愛正
杜の樹の蝉のなき声小さくなる きよえ

2025年07月31日

夏果ての瀬戸のうねりや津波来ぬ きよえ
緑陰に葉擦れの音や漏れ日さす えいじ
お目見えのボーイソプラノ夏芝居 もとこ
色濃ゆき棕櫚の葉影や大西日 康子
帰省子に手を振り合図駅出口 せいじ
テントから顔出して待つ流星群 わたる
手を携え歩くリハビリ夏帽子 ほたる
絵日記の今日で終わる子夏の果 みきお
草いきれ道標隠る遊歩道 愛正
赤福のあんこの甘さ土用餅 千鶴
スタンドを仄かに照らし夜の秋 澄子
炎昼の窓に重たき人の翳 あきこ
夏木立葉漏れ日落とす広野かな えいじ
稜線に寝ころび眺がむ天の川 わたる
絵番付化粧まはしを楽しめり なつき
日焼田の亀甲模様反り返る 愛正
風にのり風に逆らふ蝶ひとつ 勉聖
空襲を耐へし大樹や木下闇 むべ
食トレは六十束の冷素麺 あひる
黒犬の毛並みや夏日照り返す 和繁
濁流の河口や津波夏終る きよえ
瓢簞の尻八方へ畑に這ふ やよい
青虫の色となり葉は裸なり ふさこ
珍客や子亀ふた晩お預かり みきえ
刈跡に残る匂いや蝉時雨 ぽんこ
落蝉やもう土の中へは行かぬ 明日香



前のページ次のページ