投句控 :500句/1頁

前のページ次のページ
おぼつかぬ手で家事する風邪ごもり ぽんこ
草枯れて日の照る野路や杖も照る きよえ
古書簡整理の遅々と冬座敷 あひる
赤極め花水木の葉散りにけり 明日香
持ち寄りに色を添へたり菊膾 和繁
クリスマスフェスタ横目の勤め人 せいじ
朴落葉戯るる吾子らの騒ぎ声 愛正
青空に音符めきたる柿花火 康子
湯気立てて客の途切れぬ中華まん あひる
テレワーク夫は炬燵で会議かな 康子
今年米製米したての温みかな わたる
くねりつつ登る車や枯野かな 藤井
刈られしをなお咲き残る秋あざみ 勉聖
冬日燦吾の影伸びて田の向かう 千鶴
神馬の背紅葉且つ散る古刹かな こすもす
寒蘭にやるお礼肥のたつぷりと うつぎ

2025年11月21日

頂に落日留め木守柿 澄子
粧ひし山並み指呼に三宮 せいじ
まず暖房入れて始まる今日の句会 こすもす
冬木立空の蒼さの深まりぬ 博充
古民家の裏庭占めて柚明り 澄子
二輪咲く金網越しに石蕗の花 ふさこ
予定合ふ日の難しき忘年会 もとこ
黄落や一葉肩来て道連れに きよえ
貯水槽脇に詰草返り咲き 和繁
トラクターみな鋤き込んで冬の畑 千鶴
紅葉山ゴンドラ次々吸ひ込めり みきえ
ミニチュアの城の華やぐ菊花展 康子
黄に燃へる冬蒲公英の一花咲く えいじ
生駒嶺の白く靄りて冬ざるる せいじ
だんご虫起こしてしまひ落ち葉かき あひる
大公望ひとり岬に小春かな 藤井
納屋裏の日差しは温し花八つ手 愛正
コトコトと踊る湯豆腐夕餉かな みきお
大根葉分けて太きを見つけ抜く よし女
隙間風機嫌の悪きミシンかな うつぎ
御座船を遠巻きにして鴨の陣 たか子
満天星の色濃し山の駅に降り なつき
青っぽさ残る蟷螂枯れてをり 明日香
冬ぬくし熊の出でたる町騒ぎ 藤井
夕日浴び銀杏拾ふ影法師 わたる
住職の祈る池端大紅葉 山椒
小春空与へられけり牧師の葬 和繁
楢枯れや山路の荒み身にぞ入む むべ
新しき切株光る落葉道 なつき
山深き廃寺際立つ冬紅葉 愛正
クリスマスムードわんさかテラス席 みきえ
手習いの墨の匂ひや秋の午後 勉聖
セコイアの飴細工めく黄葉かな むべ
冬木立遠き汽笛の消え残る 博充
蟷螂は枯れ切れないと鎌もたげ 明日香
白波や岩礁打ちて泡となる よし女
プランター五個に球根植付けり こすもす
色葉散る友禅流しめきし池 やよい
ひとひらの枯葉高舞ふ摩天楼 あひる
プラタナス紅葉の遅速ありにけり えいじ
切り干しの自作大根妹持ち来 きよえ
秋の蝶翅の寂れやもの悲し 勉聖
太鼓橋池をくりぬく小春影 康子
代々の遺影の並ぶ冬座敷 みきお

2025年11月20日

流るるは門川ごとの色葉かな 康子
湯豆腐の湯気の向こふに笑ひ声 みきお
紅葉山裾に炊きの煙立つ なつき
陋屋の住まい彩る石蕗の花 ぽんこ
冬木立伸びゆく影の濃くなりぬ 博充
枯園に一つ蕾の薔薇のあり 和繁
孫かかへ高く上げたり冬日和 藤井
小春暮三百人の葬儀果て 和繁
ピアノ弾く部屋いつぱいの小春の日 康子
着ぶくれや背に窮屈なランドセル 愛正
お隣りに留守を委ねて枯木宿 せいじ
道に敷く桜落葉の緋毛氈 えいじ
背なに受く冬日の温み畑仕事 千鶴
短日や予定次々埋まりぬ 澄子
花八手映ゆる露頭の縞模様 むべ
ボジョレ・ヌーボー倒る走染み白クロス ほたる
空バケツたたいて鴨の餌やり終ゆ なつき
冬晴やあちこち向く皇帝ダリア こすもす
寒禽の若きカップル野に遊ぶ きよえ
喪の日々はホ句が慰め落葉踏む せいじ
仏壇に再訪約し雪時雨 ほたる
雲早し風向き変はり冬近し 勉聖
春近し孫と彼の背告げるなり ふさこ
冬紅葉触れる地蔵の頬染める 愛正
子の声の消えて広がる冬木立 博充
誰も見ぬ風の通ひ路や今朝の冬 勉聖
駐車中のフロントガラス散り紅葉 こすもす
冬麗や城壁の反り野面積み たか子
日溜りの黄色の小菊畑に照る きよえ
毛糸編むごつごつの手を褒められし うつぎ
海峡を跨ぐ大橋冬の凪 みきえ
ほつほつと空に薄紅冬桜 えいじ
冬日差し平置き本を温めたり わたる
短日や犬も早くにねぐら入る 藤井
居留地に前撮りカップル小春風 みきえ
寒菊や淡きひかりの路地づたひ 澄子
紅葉狩り城の裏坂表坂 やよい
断崖に野路菊の白暮れのこる むべ
水仙のぐんと伸びたり留守の庭 あひる

2025年11月19日

冬の朝調律ひびくアトリウム 康子
裏木戸を開けばまばゆき花八つ手 愛正
いつのまに五千歩超へや枇杷の花 こすもす
廃村を知り尽くしたる古案山子 勉聖
干し大根太し長しと自慢せり わたる
登校の兄を見送る毛糸帽 和繁
餌もらひ損ねし鴨の寄り来たる なつき
湯豆腐や身に沁みとほる白き湯気 藤井
手のひらに残る温もり寒卵 みきお
目覚ましの突如鳴り出し小春の日 みきえ
一歳の足形写す縁小春 康子
埋め立てて六戸建つてふ冬田かな なつき
子だくさん薯雑炊の夕餉かな みきお
久々のリモート句会小春かな 明日香
冬に入る双子揃ひのパーカーに もとこ
振り返る我が影長し冬夕日 きよえ
落ち葉掃く向かふ三軒両隣 みきえ
酉の市欲渦巻く賑わひかな 勉聖
客なべてダウンジャケット感謝市 せいじ
葬送の日々を香りて金木犀 あひる
短日の行き交ふ車あらけなし 澄子
冬浪を切りて進むや旅客船 藤井
実紫にほふ山路を下りけり むべ
画面より冬のスポーツ楽しみて 明日香
ぐあぐあと声上ぐる鴨遡る 和繁
放置畑枯草除草小鳥来て きよえ
寒夕焼けタワーマン日を照り返す ぽんこ
千六本しぶき飛ばして切る大根 あひる
骸ごと枝に鎮座す冬柘榴 ほたる
雪靄の灯り近づく無人駅 ほたる
黄の花や翅合掌の冬の蝶 えいじ
大根抜く三十年の畑仕舞ふ かかし
小春日の雲ひっかけて城の鯱 やよい
眼下には桜紅葉や物見台 むべ
薄命の膝に細き手一葉忌 かかし
風少し吹きて騒げり冬大樹 えいじ
宙を這ふ香炉の煙冬の夜 せいじ
久に観る小百合主演や小六月 千鶴
冬めきて川面の光失せにけり 博充
丹精の子等の畑に冬日差す たか子
柿つるし皮むき夫も上手くなり ふさこ
小春日やお墓の掃除済み清し 董雨
八百野菜みな売り切れて暮れ早し 澄子
鐘つき堂枯れし小枝の冬紅葉 愛正

2025年11月18日

咲き続く葬に飾りし冬薔薇 せいじ
紅葉散る古寺の反り屋根梢の間 愛正
降り注ぐ落葉の先の大河かな 和繁
小灰蝶の擽ってゆく力石 うつぎ
オオバンの白き鼻筋輝きて 明日香
夢殿へ玉砂利踏みて冬日和 あられ
木犀の一夜の闇に散り敷けり よし女
冬宿にまたひとつ灯るランプかな 勉聖
木道の暮れて錦木紅葉濃し むべ
夜明け前高く翔けゆく冬の鳥 藤井
竜馬道風を切りゆく息白し 藤井
木犀の散るを待たずに母逝きぬ せいじ
風一陣色葉吹雪の西の丸 やよい
色変へぬ松を小島に心字池 康子
信号を待つ間パラパラ時雨けり 澄子
雨の打つ桜落葉や朝の径 えいじ
冬めくや風の響きを肩に受け 博充
通学路見守る木立ちダリアかな みきえ
雲海やファンタスティック冬の朝 きよえ
初雪や心構への追いつかず わたる
銀輪の夫の荷台にビオラ揺れ あひる
散り紅葉五彩にしきし甃 明日香
早々に馬のイラスト賀状書く こすもす
威勢良き大き呼び声鰯買ふ みきえ
草堰を連なり掠め落葉舟 むべ
しぐるるや早仕舞ひなる畑仕事 千鶴
木の実降る縄文土器のつぶらな眼 かかし
路地裏に匂ひ溢れる松手入れ みきお
石蕗の咲く庵めぐりや縮景園 康子
短日や家事に追はれて老思ふ もとこ
絵手紙の講座は午年の賀状 こすもす
肩寄せし二人の後ろ寒さかな えいいち
風吹けよわずか十個の吊るし柿 ぽんこ
草紅葉ひと雨ごとに鮮やかに みきお
写経場紅葉且つ散る枯山水 かかし
冬木立日を浴ぶ光放ちをり きよえ
山の湯に渓谷展げ紅葉狩 澄子
シクラメン三色並べ教会堂 あひる
せせらぎの音の雨音枯葉道 和繁
夕日落ちて童謡流る冬の街 えいじ
立冬や飲んで噎せたる痛み止め よし女
改札出づ赤きコートの友待てり なつき
紅葉散る枝間に見ゆる空高し 愛正
忘年会しましょの話二つ三つ たか子
仰向くも伏すも小春の力石 うつぎ
廃線路跡は落葉の散歩道 なつき
山粧ふ熊鈴の音山路ゆく 勉聖

2025年11月17日

祖父母揃ひ祝ふ幸せ七五三 康子
昇降口に並ぶ竹馬小学校 こすもす
鳥のごと枯葉飛びたつ雑木林 あひる
庭隅にか細き声や冬の虫 みきお
眼のつぼを押してまどろむ小春かな わたる
天空の城包みたり紅葉山 山椒
渋柿の甘そうな顔してをりぬ 明日香
黄落の天蓋欅並木ゆく 澄子
神獣鏡出てきはせぬか牛蒡掘り うつぎ
がまずみの実の艶やかに山日和 むべ
日を返す昼の電飾冬紅葉 なつき
わんぱくや毬栗蹴りて遊びけり ふさこ
物干しに母のものなし寒日和 せいじ
一陣の風に落葉の盾走り ぽんこ
冬浅し門扉の錆の薄緑 博充
朝寒し芥拾ひの手を洗ふ えいじ
山茶花の籬や蕾万朶なる 澄子
柿落葉大きな葉々の盛り上がる きよえ
冬の川鳥たちの水脈右ひだり 明日香
足湯して空の真青や渡り鳥 かかし
生かされて寿ぐ孫の七五三 康子
草紅葉夕日に映ゆる尾瀬ヶ原 愛正
側溝に帯なす桜紅葉かな あひる
焼き芋の蜜たっぷりにアルミ焦げ たか子
絮あまた立つたんぽぽの返り花 せいじ
妻逝きて指輪の跡や冬薔薇 藤井
冬の朝台車がたごと菜園へ みきえ
冬の月記憶のなかの母遠し 藤井
柊の残る香りや留守の家 みきお
ドキッとす返す落葉の虫出でて きよえ
新幹線開けば身のすく凍てる風 ほたる
からからと枯葉降りくる野面積 やよい
白壁も隠してしまふ蔦紅葉 よし女
露凝るやオンボロ換気扇止まる 和繁
風吹いて崖舞ひ上る落葉かな 和繁
舂きて金色に透く楢黄葉 むべ
縄編みの帽子のごとき紅葉山 ほたる
秘境ゆく峡の汽笛や秋深む 勉聖
弧を描く川と紅葉の並木道 山椒
牛蒡掘り地中に潜り顔見せず うつぎ
通院の窓辺穏やか冬の海 よし女
我が家には夫念入りの吊し柿 もとこ
千の鴨へと撒く餌は今年米 なつき
月の野に薄の波立ち虫のこゑ 勉聖
芒原吾子の帽子の見え隠れ 愛正
廃校に同窓集ひ芋煮会 かかし
空仰ぐラジオ体操庭小春 えいじ
小春日をひねもす苗を植ゑにけり 千鶴

2025年11月16日

失敗を重さね合わせて秋深む たかを
綾取りをふと思ひ出す夜更かな こすもす
濡れ縁に木の実のころぶ音ひとつ 勉聖
冬耕や真直ぐにならぬ畝作り 千鶴
どうぞとて軽きひざ掛け礼拝堂 あひる
核心をつかれ思はず咳ひとつ 藤井
雨に誘はれて木犀花の屑 えいじ
七五三孫へ膝折る宮司かな 康子
紅葉の甍遥かに比叡山 山椒
紅葉の渓流伝ひ奥社 山椒
刈り残る野にたんぽぽの返り花 せいじ
アクスタの占める本棚大西日 みきお
手作りのマルシェ賑わう小春の日 明日香
着膨れて画面見つむる子等の村 たか子
日の誘ふ四階に客冬の蝶 きよえ
少年野球の甲高き声霧の朝 こすもす
畑小菊花も蕾も黄光る きよえ
小春日や大和三山丸み帯び 明日香
朝散歩あくびの息の白さかな えいじ
宜しければどうぞに啜る熟柿かな うつぎ
鴨家族ほど良き距離に浮かびをり もとこ
青空へ坂ゆるやかに櫨紅葉 あひる
小春日や父のノックに飛びつく子 せいじ
日を返し銀杏落葉の金色に むべ
家々の狭間の夕日照る紅葉 和繁
小春日や蜻蛉まだまだ昇りゆく 和繁
冬温しテレビ出演裏話 やよい
祈祷終へどうぞと重き銀杏の実 康子
幼な子の内緒話や日脚伸ぶ みきお
冬霧や別れの汽笛響きけり 藤井
干し大根ますます軒を明るくし わたる
山下るヘアピンカーブ落葉降る なつき
食べ比べの味見して選るりんご狩 なつき
晩秋や夜明けの街へジャズひびく 勉聖
カメラマンに笑顔ほめられ七五三 むべ
木犀の香たちのぼる銭湯道 ぽんこ

2025年11月15日

堰越えて崩れる月や闇の中 みきお
あれこれでわかるふたりや冬うらら せいじ
曇天の辻見失ふ小灰蝶 澄子
夕照に広ぐ錦秋比叡山 山椒
雨戸開け亡母の部屋にも小春の陽 あひる
銀杏を避けつ庭師の軽やかに むべ
山茶花や終の棲家の風はやし 藤井
山茶花や隣家に人の話し声 明日香
銀杏のころころ転ぶ鍋の上 えいじ
寒蘭のその香もろとも撮りにけり うつぎ
堆く積もる本殿落葉時 ぽんこ
友達の友は皆友冬うらら やよい
風除も無く砲台の寂れやふ たか子
荒縄に弊揺れ神は足鳴らす もとこ
小春空映して城の堀深し 千鶴
岩頭打ちて砕けり冬の波 よし女
小春の日猫はまだまだ外遊び こすもす
一人居の夕餉しみゆく柿膾 よし女
着膨れて混み合つてゐる縄電車 康子
冬めくや竹林揺らぐ葉擦れ音 愛正
枯草の中に艶めく青きあり きよえ
喉仏上下に動く里神楽 みきお
冬浅し影のたゆたふ石畳 博充
車庫前のタイヤ交換柿落ち葉 わたる
山並を掠める雲や秋日和 山椒
引越のトラック二台小春の日 こすもす
山眠る注意喚起の獣道 かかし
小春日のホップステップ万歩計 かかし
芝に敷く小紋模様の散銀杏 澄子
尚照るや残る紅葉に風無常 きよえ
大根葉青々と畝盛り上げり みきえ
鴨増えて水脈もあちこち華やいで 明日香
菓子盆にちようどふたつや蜜柑食ぶ せいじ
ナイフの刃大き檸檬を噛みにけり むべ
あれこれでは解せぬ会話や日の短か あひる
こんなにも蜻蛉行き交ふ小六月 和繁
初霜や牧師の訃報聞きし朝 和繁
水仙花知識は人を若く見す 藤井
冬コート掛けてひと息句を継ぐ 勉聖
着ぶくれで手間どる予防接種かな 愛正
描きかけの画架の連なる紅葉川 康子
朝寒し妻居らぬ日の水仕かな えいじ
花負かす紅葉ひろがるポインセチア 勉聖

2025年11月14日

青天や懸菜の踊る物干し場 明日香
なだらかな芝の起伏に銀杏散る 澄子
万華鏡めきし紅葉のバス通り せいじ
柴垣の柴にかかりて色葉散る むべ
風除のくらしを知らぬ有難き もとこ
冬浅し石の白さへ川澄める 博充
日溜りをヒラヒラ翅や冬の蝶 きよえ
散り敷ひて庭にオブジェの紅葉かな きよえ
文字著るき大扁額や秋澄めり 澄子
木枯しや支柱押さへる寺市女 なつき
着ぶくれてお辞儀の浅き通学児 愛正
水底の砂も煌めく小六月 みきお
くれないに染まる水の瀬紅葉谷 山椒
隧道を出づればはらり落葉かな 藤井
幼子のブランコ緩く宙の靴 ぽんこ
陽だまりに居る夫と吾と冬の蝶 あひる
列柱の杉の参道天高し 山椒
稜線のくっきり浮かぶ冬茜 みきお
青春が赤秋となり紅葉山 こすもす
女子高のグランド紅葉のグラデーション こすもす
時雨きて古道色濃き石畳 愛正
鴨五十浮いて悠々小春凪 和繁
風除や信長塀を守る大樹 たか子
文化の日百円で買ふ化粧水 よし女
地球軸傾き戻る初時雨 藤井
ともかくも九州場所は勝越しを 明日香
寒蘭の開花を知らす香りかな うつぎ
木々渡る小鳥の影や奥の院 なつき
爽やかやコーヒーの湯気匙の先 勉聖
植えし人食べることなどなき蜜柑 よし女
鏡池微動だにせぬ冬の鷺 みきえ
菊花展御門潜れば匂ひ立つ 康子
錦秋や城借景の好古園 千鶴
和服脱ぎ絹の襟ほつる秋の夜 勉聖
北風の狂ふて吹くや芝の丘 えいじ
小春日や首を回してストレッチ わたる
ふるへをる桜紅葉に雨しとど えいじ
蜻蛉凍つ拾へば脚のやや動く 和繁
亡母のこと語りてをれば冬の蝶 あひる
池望む腰掛石や石蕗日和 康子
坂がかる桜紅葉の道晴れて せいじ

2025年11月13日

裸木を透かして見ゆる畝傍山 明日香
寺苑にて銀杏拾ふ吟行子 むべ
冬の庭一樹の紅葉ワイン色 きよえ
夕陽受けいよよもみずる花水木 やよい
食卓が母の祭壇冬薔薇 せいじ
わが世とぞ思ふや寒の鴉鳴く 勉聖
花壇脇歩かば四散す子蟷螂 よし女
冬鳥の犇めく声や最上川 わたる
磨ぎ汁で大根茹づや魚と煮る きよえ
あの声は母のヘルパー街小春 せいじ
たんぽぽの最後の綿毛凩に 和繁
警備員動かぬ肩に色葉散る あひる
一水の流れを染めて銀杏落葉 もとこ
冬時雨吾の腹探る内視鏡 ほたる
竹林の淡きひかりの小春かな 澄子
森に聞くクラリネットに冬ざるる ぽんこ
杉玉の緑あざやふ初しぼり 勉聖
温度差の激しき日々や風邪をひく 藤井
小舟底跳ねて転がる木の実かな 愛正
ベンチ座す友に小春日耀ひぬ 澄子
禅寺の大屋根刷きし秋の雲 康子
すかし見る干し柿の種太きかな みきお
山門を額縁とせり照紅葉 山椒
つかみ取り銀杏指よりこぼれ落つ なつき
宮島の子鹿跳ねたる潮だまり 康子
トラロープ護る紅葉落羽松 みきえ
雨降りの桜紅葉の枝垂れかな えいじ
弾薬庫歴史の重み冬ざるる たか子
野のごとき地主の庭や秋桜 あひる
錦秋の山裾を縫ひ傘の列 山椒
紅残る観音菩薩小春かな 明日香
高梯子立てかけしまま冬はじめ なつき
通夜終え帰る畦道冬の星 みきお
穭田の櫛比のごとく並びをり えいじ
コーヒーの香りに目覚む冬来たり 藤井
枯園に置かれし鎌の錆深し 和繁
時雨来て刈田切り株色深し 愛正
つくづくと田舎育ちや芋茎煮る うつぎ
何よりもこの季を愛す深紅葉 たか子
庭もみじ天守浮き立つ姫路城 千鶴
冬浅し風渡りゆく田の面かな 博充
カフェの門を飾るこすもす手水鉢 みきえ
実万両色づきそむる鐘楼堂 むべ
初みかん去年の肥料の甘味かな よし女

2025年11月12日

冬夕焼け海に鳥居の影絵佇つ 康子
ポインセチア花より葉の赤く映ゆ 勉聖
鶺鴒の風の波乗る番かな えいじ
石蕗咲いて庭の一隅明るうす よし女
里山の小春の朝日受くる色 和繁
寒晴や飛機のぽかりと浮ひてをり もとこ
園児らの団栗拾ふ城址かな 千鶴
秋桜やいたずらに揺れる風の中 勉聖
枯蓮や戦の弓のごとく折れ ぽんこ
冬薔薇留守居の窓辺守りをり 澄子
冬紅葉ますます色を深めけり 明日香
黒御影墓石に映る小春空 あひる
砲台跡へ抜ける林道石蕗明かり やよい
さきがけて枝垂紅葉の寺染むる むべ
冬暖や行き交ふ人の微笑みぬ 博充
衿元は犇めくつぼみ菊人形 あひる
立冬や身の締まる朝いまだ来ず 明日香
喜寿の賀に遺影の母も秋灯下 せいじ
久に咲く寒蘭あるじはもうおらず うつぎ
小春日や放牧牛の声やわら 藤井
日の沈みなお輝けり石蕗の花 みきお
雲一面一筋明る今朝の冬 きよえ
手水鉢覆いを掛けて初時雨 わたる
鉢覆ふ大菊七本仕立てとや みきえ
古代菊競ひ合ふやに勢揃ひ みきえ
これよりは胸突きの磴紅葉寺 康子
探し物やっと見つけり長火鉢 藤井
秋霖や山の襞より昇る霧 山椒
叩き割る防火水槽初氷 みきお
渡船場の跳びかふ木の実屋形船 愛正
試運転の除雪車通過空青し こすもす
岩山の傾斜彩る冬紅葉 和繁
手を引かれ上る落葉の急階段 やよい
天秤の冷えし賽銭焔魔堂 なつき
雨ふればしとどに散るや木犀花 えいじ
母看取り弟逝きし神無月 ほたる
冬暖や畑にほころぶ人の笑み 博充
菊ならぶ役所をつなぐ道の上 せいじ
紅葉池人面鯉の寄り来たり なつき
久々の来訪待ちつ落葉掃く よし女
枯野原吾子の帽子の浮き沈み 愛正
水仙の互ひに優し花揺るる きよえ
槍襖の如き竹林秋時雨 山椒
落花梨すねた横顔誰ぞ似て ほたる
隼人瓜揉みてほどよき塩加減 澄子
竹春の路地を曲がればいけず石 むべ

2025年11月11日

爪切りもエンゼルメイク冬ぬくし せいじ
すれ違ふ京都言葉よ紅葉道 山椒
読経の鉦の響きや紅葉寺 山椒
たおやかに風の意のまま秋桜 千鶴
弁天池金木犀の散り染むる なつき
金木犀散る陋屋に喜寿祝ふ あひる
手を引かれ登る急磴落ち葉道 やよい
冬の鳥見張りの一羽天仰ぐ きよえ
大空へ路線図描く大枯木 明日香
山深く蕎麦の庵に冬灯ともる 勉聖
風除も無く砲台の寂れやふ たか子
冬日背に畑打つ鍬の煌めきけり みきお
木の実降る音鳴り響くトタン屋根 愛正
きらきらの緩和病棟日短し 和繁
裸木の全身きらら雨雫 明日香
鳥帰る飛行機雲に交差して むべ
階下より届くや妻の大嚔 えいじ
しずかなる一日なりき玉子酒 藤井
泉水の流れの響き杜鵑草 ぽんこ
障子には猫のつめ跡三すじかな 藤井
いつくしま霧より現るる大鳥居 康子
医通ひや娘と腕を組む秋日和 よし女
冷たかり棺の母に触れたれば せいじ
冬の市ポットのふるまひ茶の熱し なつき
押し入れの奥まで陽届く小春かな わたる
白鳥の少し離れて追ひかける 和繁
他は断念インフルの予防接種日今日 こすもす
山小屋を閉むる尾瀬沼雪の花 愛正
オールディーズ流るファミレス冬日さす えいじ
紅葉燃ゆ錦帯橋の弧を額に 康子
枯葉舞ふ杖音風に待ち合はせ きよえ
神の留守神使兎の目の赤き もとこ
落下せる武骨顔なる花梨の実 澄子
柿ひとつ残し恐々降りにけり 澄子
半袖の医師と向き合ひ冬に入る よし女
毛玉ごと母の形見のカーディガン あひる
寺庭や石蕗の花伸び競ひ咲く 勉聖
枯蟷螂鐘楼登ること半ば うつぎ
薪を割り軒先に積む冬日向 みきお

2025年11月10日

葉の光る垣根越しや石蕗の花 きよえ



前のページ次のページ