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しだれ桜満開道真公の御旅所に よし女
雲優大近付きはなるとんびかな 董雨
梅の小枝添へて二組供花整う こすもす
土に水染みて薄氷残さるる 和繁
血液を抜く針太き春愁 わかば
日の弾むかほり湧き立つ梅の丘 えいじ
海彦の今朝の釣果や茎若芽 せつ子
釣れる人釣れない人や春の波止 きよえ
春の波止石段這ふ児靴光る きよえ
いちご大福一番乗りの客となる あひる
紫に畦綴りたる三階草 むべ
海風に乾く香放ち新わかめ よし女
春雷の音に驚く事暫し わかば
隊列の崩るる子らのチューリップ なつき
見ていても見へぬことあり蜃気楼 わたる
湯に入らば変色術成す茎若芽 せつ子
ふらここやセーラー服の襟靡く 康子
児ら燥ぐフードコートや春休み せいじ
オーラスの班旗掲ぐる卒業子 せいじ
陽炎に揺れて思案の固まらず わたる
翻る力士幟や春嵐 こすもす
草覆ふ春田を低く烏飛ぶ 和繁
ふらここの空へ姦し女学生 康子
まだ繋がらぬ高架橋山笑ふ あひる
誰も居ぬ生家にひそと梅の待つ もとこ
春愁ふ母の電話の長きこと むべ
足弱の夫と共々春の汗 ぽんこ
証書筒かざし門出る卒業子 千鶴
むくむくと雲ひるがえるとんびかな 董雨
波しぶき光りて浜辺長閑かな 博充
芽立時日毎に変わる山の彩 明日香
丸刈りの選手宣誓風光る みきお
我が気分三寒四温そのままに 明日香
ももたまなの芽の揃ひたつ慰霊塔 なつき
耳寄せて春水仙の詩聴かむ えいじ
光る野に降り注ぐ声雲雀かな 博充

2025年03月17日

石人の鼓鳴るかや春うらら せつ子
波しぶき光りて浜辺長閑かな 博充
ATMの空きを待つ間や春の雪 こすもす
ものの芽の揃ふてをりぬ今朝の雨 和繁
暫くは卯波にこの身任せをり 澄子
昨夜雨に濡れし街並み春日燦 せいじ
投稿の親心知る卒業歌 みきえ
四方より桜東風舞う石舞台 明日香
芽を出して綺麗に並ぶチューリップ よし女
陽の池に四肢脱力の蛙かな 康子
存問の友と語らひ春一日 せつ子
靄がかる淡き船影沖朧 わかば
下萌や踏みしむ足に雫垂る きよえ
梅東風や背ナに煌めく班旗の黄 せいじ
日の弾む花に遊ぶや目白どち えいじ
光る野に降り注ぐ声雲雀かな 博充
もう一度着る好きな服寒戻り あひる
朝風に光を散らす花ミモザ むべ
紅椿雨をさらりと流しをり きよえ
畳まれし防雪柵よ雨に濡れ 和繁
列なして魚道を下る落ち椿 愛正
バス時刻までの立ち読み春寒し やよい
靴垂らし触るる青草揺るリフト 愛正
石仏の並ぶそびらに春日差し もとこ
春めくや入学前のランドセル わたる
春泥やコンビニ前の泥落とし わたる
春時雨止み間待ちつつ品定め みきえ
春燈や数独パズル解けるまで たか子
イペーの花や英字看板の基地の町 なつき
土手を焼く煙の中を散歩犬 よし女
ままならぬ老の指先花曇 みきお
夕茜ほろほろと散る河津桜 ほたる
山々を薄っすら染める春の雪 みきお
散々に心配させて名草の芽 うつぎ
堰落つる楽なる水や里の春 明日香
晩学の帰路の買い物花菜漬 わかば
白梅の次に紅梅枝垂れ咲く 千鶴
堅雪を突きぬける芯片栗芽 ほたる
灯籠に明かりの入る春しぐれ ぽんこ
幾たびも波濤砕けて春の虹 澄子
白木蓮天に捧ぐるごと開く むべ
海風を浴ぶる城壁松の花 なつき
梅寒し鳥も香りも消えにけり えいじ
ぐつぐつと煮る豚汁や寒戻り あひる

2025年03月16日

春苺銀のスプーンに映りたり むべ
雲上ゆく機窓に春日まぶしめり なつき
露天より見上げる空や鳥帰る わたる
盆松の葉の黄緑は春の色 和繁
孫嫁の介助の夕餉あたたかし あひる
花姿に似合はぬ名持つ犬ふぐり わたる
薔薇の芽や刃の如く紅に染む きよえ
駅弁やもう玉筋魚を味わえり こすもす
会堂は辛夷の花のお出迎へ きよえ
慰霊碑に囀りつよく響きけり なつき
戦災を知らぬ吾も喜寿梅万朶 せいじ
春眠し打楽器合奏聴きゐても うつぎ
犬ふぐり拡ぐ天神様の社務所裏 よし女
小雨降り遠山霞む形を変え 董雨
飛石を席巻したる蟻の列 康子
太き影緩く曳くなり春の鯉 えいじ
春眠の母を覚ませる蒸しタオル あひる
出来たてをつまめば歪む草の餅 千鶴
栞紐垂らしまどろむ雪しずく ほたる
庭隅の落ち葉もたぐる蕗の薹 愛正
教会へ蕗の薹持て里の姉 わかば
幾とせや集ひ祝ひし雛飾 博充
そぼ降るや男合羽に春時雨 むべ
フランスパンのひび割れ音や春の風 博充
一升瓶抱えて弟や逝く朧 ほたる
犬ふぐり踏むまじと行く干拓地 董雨
春の雨待つ客こくり美容院 みきえ
通り雨参道清め彼岸寺 明日香
ほろ酔ひて夫と春雨傘の音 康子
菜の花の帰路の車窓に眩しかり こすもす
梅満開絵本のような一山家 よし女
この梅は早く咲くかと目星つけ 和繁
今朝の雨袴に溜める土筆かな えいじ
ひよつこりと生駒山より春の月 せいじ
大剪定されて電柱立つごとし 明日香
天昇るごとくに梅の枝伸びる 千鶴
燕の腹一瞬消ゆる白き壁 愛正
陀羅尼助まかなふ店の春灯す もとこ
翡翠の待ちに待ちたるカメラマン ふさこ
水温む入江に稚魚の動く影 わかば
送信の返し気になる菜種梅雨 ぽんこ

2025年03月15日

サーターアンダギー半分こして辺戸の春 なつき
月朧キエフの涙知るごとく 明日香
庭隅の落ち葉もたぐる蕗の薹 愛正
お祝いのケーキに光る寒苺 あひる
山桜莟ちらほら瀬戸は凪 きよえ
出国の長蛇の列や春埠頭 澄子
壁紙のウィリアム・モリス春暖炉 うつぎ
鉄塔積み春霞中出港す 董雨
ぽろぽろと鳩が降りたつ春田かな 和繁
春眠や目覚まし時計遠くで鳴り ぽんこ
目と大口を開けて点眼祖母うらら ほたる
前庭のところ構はず蕗の薹 うつぎ
幾とせや集ひ祝ひし雛飾 博充
春場所や焼き鳥必ず弁当に こすもす
引き売りに貝ずくしの寿司薦められ よし女
群生えてこわきものなし犬ふぐり わたる
フランスパンのひび割れ音や春の風 博充
二もとの梅に侍るは立金花 せいじ
ドーナツにちょっととんがり木の芽時 和繁
春霖の音のみ微か雑木山 むべ
深き夜の籠松明の荒々し 明日香
三月の空のま青や番いの鴉 えいじ
菜種梅雨消へることなく外灯や きよえ
出航を見送る船灯春嵐 澄子
ひっそりと夕日に揺らぐ浜大根 ほたる
燕の腹一瞬消ゆる白き壁 愛正
堰を落つ山茶花屑の噴き上がる えいじ
鳥帰る道しるべなり最上川 わたる
貴重なる春蘭展を風の中 わかば
大皿の山崩れゆく牡蠣フライ あひる
春池や迫り出す松の水陽炎 康子
万本のしだれ紅梅満車札 よし女
外に出れば直ぐ春くしゃみ続けざま 千鶴
母の背を優に超えたる卒業子 せいじ
春場所や名入タオルと声援と こすもす
長雨に隣の梅も散り初めし ふさこ
囀りやガマに三線弾きし像 なつき
池の上を群舞ふ鴎風を切る わかば
丸まりて力漲る山椒の芽 むべ
目白鳴き枝を弾きて青の翔ぶ 董雨
春うらら甘味屋多き奈良の町 もとこ
ケーキ屋のケースに踊る春苺 康子

2025年03月14日

春暖や鼻歌も出る食介助 せいじ
母好む土筆が出たと夫の苞 わかば
お返しはそっと手のひら蕗のとう ほたる
図らずも絵踏のごとく野を歩み 澄子
胸の花取らず校外卒業生 みきえ
卒業子見上ぐる母も校庭に あひる
梅見椅子保冷バッグをすぐそばに よし女
初物と一菜となる土筆炊く わかば
春障子開け払はれて曼荼羅堂 もとこ
大仏の見下ろす笑顔梅万朶 山椒
けふ孫の卒業式や写メール来 せいじ
晴の今日続かぬ天気弥生かな きよえ
山茶花の花と屑落つ水鏡 えいじ
天辺に梵鐘響き冴返る 博充
春うらら口笛吹くは下校の子 康子
偕老の試歩手をつなぎ春野行く あひる
籠松明赤々と舞ふ修二会かな みきえ
春しぐれ琉球衣装の宮参り なつき
春の川瀬の倒木に鳥群れて 明日香
曽野綾子氏の追悼コーナー黄水仙 こすもす
春帽子被る人増え駅広場 澄子
春鴨の戯れ日浴ぶ波止散歩 きよえ
赤い薔薇胸にスキップ卒園生 山椒
竹の秋幹打ち合へる音清し よし女
山寺の異国語賑や百千鳥 わたる
ロゼット葉立ち上がりたる春の庭 むべ
一服の友あり生あたたかき蕨餅 せつ子
春光を弾く銀輪通学路 愛正
前庭の摘むには惜しき蕗の薹 うつぎ
母子たのし漕ぐやふらここ風まみれ えいじ
春の水微かに聞こふ葦の笛 ふさこ
犬ふぐり嬰の摘むとも小さきまま わたる
輪を描く産業ロボット日永かな 和繁
慰霊碑の石階のすそ島すみれ なつき
河岸場跡縺れ解くる糸柳 愛正
今を待つ木々の命や里の春 ほたる
春雨や二歳の孫の傘デビュー 康子
雪とけて水満つる田に白鳥あり 和繁
梅万朶化身のごとく真白なる 千鶴
鎌足の産湯てふ井戸うららけし 明日香
春の朝味噌汁薫る厨かな 博充
花虻の地に影落とすホバリング むべ
花ミモザ坂の神戸の異人館 たか子
街路樹の高枝揺らす春の風 こすもす

2025年03月13日

石組みのぴたり隙なき余寒かな 澄子
子ら去りて鞦韆の揺れそのままに わかば
河岸場跡絡み解るる糸柳 愛正
うたた寝の夢の続きや宵の春 博充
春雨の綺羅をとどむる山野草 康子
よべの雨雫残して芝萌ゆる むべ
春の小川雨を戴き園巡る きよえ
緋桜の花粉まみるるひよの嘴 むべ
卒業子ら記念植樹の梅讃ふ 千鶴
風光る少女の髪のほどけをり 博充
卒業す平家踊りを伝承し よし女
水温むイギリス村の水車小屋 せいじ
マニュキュアを塗りなほし発つ春の旅 なつき
大仏も目覚むる如し春日和 山椒
春荒れて瀬の波模様見て飽かず 明日香
雪解田に浮く鴨とそを見たる鴨 和繁
あの頃に街灯ともり猫の恋 ふさこ
恥ぢらへる男雛を隠す御簾の房 うつぎ
立金花煌めかせたる朝日かな あひる
春の川孤高を持する鷺一羽 明日香
ふわふわの獣の尾っぽ雪柳 澄子
紫雲めく川辺拡ぐや三階草 えいじ
山茱萸花黄色自慢の庭景色 わたる
白梅のか細し枝先天仰ぐ きよえ
遠来を労ふ店主蓬餅 みきえ
強風に花粉の混じる黄砂かな みきお
菜の花の明るさ心緩ぶなり わかば
名札下げ参磴綴る名草の芽 康子
春光を弾く銀輪通学生 愛正
朝戸引くやにわに躍る春嚔 えいじ
腰高の袴闊歩す卒業生 みきえ
赤提灯行ってみたしやおでん煮る あひる
鳥雲についていきたや旅心 わたる
反り上ぐる羽根裏の無垢春の鳩 和繁
一筆添へ彼岸法会の案内状 よし女
玉椿赤み増したる蕾の先 ぽんこ
母の押す双子のバギー風光る みきお
春愁や坩堝の炎見てみたし うつぎ
太子蔵まなざし遠く春の夢 もとこ
目覚めれば踏み脱ぎてをる掛け布団 せいじ

2025年03月12日

七色を灯す大橋朧かな わかば
久闊を叙する友会ふ弥生かな ぽんこ
春動くナースきびきび先回り 和繁
梅咲くや青天画す飛行雲 もとこ
朝日浴ぶ残雪燃ゆる赤城山 愛正
紅梅のしだれの隙間地蔵尊 よし女
綺羅星のやうな波寄す春夕焼 やよい
裏通り格子の奥に雛飾り ふさこ
春日差し手漉き硝子の波打てり なつき
息づいているかの如く木の根明く ほたる
春暁や産みの一声牛舎より 千鶴
大仏の顔青白し春の雨 山椒
鯱瓦尾で弾きたる春の空 康子
旧友のあはぬ言の葉春愁 わかば
啓蟄や蟷螂卵のおもちゃ箱 わたる
春蝉の合唱タクト松公園 きよえ
春の虹たもとの見えぬ六十階 むべ
さにつらふ雲なき空へ鳥帰る えいじ
山麓に霞む双塔蒸溜所 せいじ
春雨のそぼ降る通り傘ささず むべ
一山をピンクに染める芽吹きかな みきお
入学試験と同時開催絵手紙展 こすもす
湯治果てバックミラーに山笑ふ 康子
旅鞄あまりに重し春憂 澄子
髪を切り首長くして花見待つ よし女
啓蟄の土を踏みしめ匂ひ立つ 博充
けふ孫の入学試験気もそぞろ せいじ
春暁に薪ストーブの煙かな 和繁
山畑の畝にひとすじ花薺 あひる
春燈の屋号は灯屋和蝋燭 うつぎ
能登地震瓦礫に生き抜く春の草 愛正
松蝉の聴き入る程に声揃ふ きよえ
目借り時活字ぼやけて瞼落つ 博充
桜ちらほら花咲か爺の居るごとく あひる
納む日も出すも大安雛行事 わたる
半歩づつ遅れる杣道山桜 みきお
力作の絵手紙展や桜もち こすもす
春荒れの道に迫り出す椋大樹 えいじ
取次の市松雛に迎へらる うつぎ
雛飾り愛でて借り傘返したり なつき
山嶺の靄ゆるゆると春空へ 明日香
佳き知らせのごと咲き継ぐ椿かな 澄子
砂浜に遺影と花束震災忌 山椒

2025年03月11日

菜種梅雨蛇目置かれし小料理屋 澄子
内裏雛乗すには小さき牛車かな うつぎ
町と町つなぐ手作り吊るし雛 康子
青年押す車椅子いく春の潮 董雨
鎮魂の東の浜に花は咲く わたる
渦巻ける潮めきたる三階草 えいじ
河津桜宵闇に浮くひと処 ほたる
春めいて靄の帷の明日香村 明日香
鶯鳴く何が恥ずかし姿なし ふさこ
倒木の梅の命の開花せり 明日香
水尾引く波止の出船や風光る きよえ
日差しきて河津桜の闌けにけり むべ
ちゃんちゃんこ並ぶ春場所土俵下 みきえ
紫煙吐く放屁のひとも春の森 えいじ
潮騒や花咲く浜の震災忌 わたる
卓球の途中の黙祷花の冷え こすもす
春日影踏までに歩む六地蔵 愛正
家事終へて選句楽しむ春炬燵 せいじ
鎮魂の白き風船大空へ せつ子
天仰ぐ紅の弾くや梅大樹 きよえ
アスパラやメキシコ発の夕餉皿 ほたる
練習バレーの隣は卓球春暑し こすもす
まんさくの花に踊り子群がって よし女
飲むふりの風邪の子が吹く粉薬 なつき
甘辛の磯の香りや茎わかめ 千鶴
飛機雲をベールにしたる春の風 康子
せせらぎの楽サラサラと早春譜 せつ子
茶の席の設ふ社中雛の夜 わかば
花なづな休耕田を点描す むべ
物音に春眠さめし妻の留守 せいじ
外つ国の人も黙して梅が香に たか子
口あけて匙待つ母の長閑な日 あひる
藁ぼっち春陽さしたる花の寺 愛正
異国語や京の電車に春の雨 あひる
まだ高き残雪に乗り見る景色 和繁
山林を燃やす椿事や涅槃西風 たか子
この高値いつまで続く春キャベツ ぽんこ
豆飯の息子嫌ひで嫁は好き もとこ
カルストの山焼き今年は不発てふ よし女
記念樹の周り雪解け早きこと 和繁
乳飲んで寝る子に春雨静かなり なつき
葉隠に春蘭とふに咲き至り 澄子
一両車進む海岸震災忌 山椒
春寒やまたも書店の閉鎖とや やよい

2025年03月10日

梅日和夫カメラ手に吾吟行 きよえ
クラッタリングで身を張る鸛や抱卵季 ほたる
群鳥に笑うがごとく梅ゆるる えいじ
梅一輪目で追う参道たたら踏む 愛正
土見へて懐かし匂ひ雪間かな わたる
散らばつて遊ぶ目白や花踊る えいじ
黄風船スタンド埋めるオープン戦 みきえ
住職の裾ひるがえる春疾風 みきお
雪の田に白鳥三羽みな立てり 和繁
急ぎ足ついつい止まる種袋 明日香
御手洗の苔むす岩や春の水 ぽんこ
春禽や疏水にかかる太鼓橋 むべ
陣屋跡子らのダンスの雛祭 なつき
ミモザ咲きふはりドレスのピアノ弾く もとこ
春風や足延ばし漕ぐ二輪かな みきえ
風車群掻きまわしたるスギ花粉 千鶴
水甕の底ゆらゆらと春兆す 澄子
求愛中重なる蝶の舞ひみとれ ふさこ
つくし摘む先へさきへと眼の泳ぎ よし女
寺男に貰ひし一枝梅の香 愛正
暮れ残る池の向かふの西の空 よし女
春の日に赤らむ海や旅の朝 康子
春の花舗売り子の髪の花飾り あひる
シフォンケーキをほおばる目もと山笑う ほたる
青麦のまださざ波になれずいる 明日香
どう見てもこれが特大大根選る あひる
春めける少女のリボンそよぐ風 きよえ
つかず離れず四羽のからす雪渡る 和繁
鞦韆のかはるがはるに蒼き空 澄子
春風やミニチャペルよりハープの音 せいじ
暖かきハープの音色アヴェマリア せいじ
道草に帰る畦道長閑なり はく子
包帯の手で経上げし彼岸僧 こすもす
花入の縁一輪の椿かな 康子
百花織る絨毯のごと春野かな むべ
日の落ちし海辺に光る一灯あり 董雨
手際よく出すは三日の雛仕舞ふ なつき
しなやかな棋士の手つきや春炬燵 こすもす
堅雪や視界のすべて登山道 わたる
大部屋は老人ホーム雛ならぶ 董雨
部屋隅を貰ひ機嫌や吊るし雛 うつぎ
朝市のテント持ち上ぐ砂あらし みきお

2025年03月09日

若人のスーツの硬さ春の風 澄子
春なれや淀む川辺の鯉の群れ 愛正
山椒の芽吹き確かな薄緑 わかば
ふらここの空を二つに分けにけり わたる
風光る吊り橋越しに揺れる海 ふさこ
ここにもと妻の足もと犬ふぐり せいじ
白梅や闇に浮き上ぐ灯りかな みきえ
宿料理添へある梅の香ゆたか 康子
夕焼け雲鉄塔の先光らせて 董雨
釣歩く満干潮の鷺一羽 えいじ
春眠し写す字と字が重なりて うつぎ
生け垣やおもひもかけず蕗の薹 愛正
我慢などしなくてよいと蕗の薹 わたる
啓蟄や新聞購読再開す よし女
讃美歌の練習つづく春の昼 むべ
かまきりの卵見つけし剪定後 明日香
雛飾る古民家通り華やかに みきお
野遊びや椅子車椅子寄り添ひて あひる
池の縁てんでに芹を摘み帰り 千鶴
下の子の言葉数増へ春うらら はく子
焼き杉塀しぶき光沢新走り ぽんこ
春淡し見上ぐる鷹の白き腹 和繁
残雪が靄おくり込む朝の道 和繁
啓蟄の鳥語あちこち枝から枝へ きよえ
亡き嬰の産着でつくる内裏雛 なつき
涅槃雪跡形もなく朝の庭 澄子
春光や昭和のガラスに馴染みけり たか子
小栴檀草の実刺しぬ春の土手 えいじ
庭の雪も今日が最後や春日差し こすもす
花柄のマスクで茶席かしこまる なつき
ルピナスや吾娘より若き牧師来る あひる
城濠の池畔枝垂るる柳の芽 わかば
吊るし雛真中の鞠は逆回り 康子
チューリップ所得たりと一つの芽 よし女
野遊びや夫が妻の食介助 せいじ
曇天に紅梅の紅かすみけり もとこ
青錆ぶる富士見櫓に春の雨 むべ
10秒のソロの舞台や卒業子 そうけい
梅つぼみ厨にさせばすぐ開き 明日香
春の鴨波止の波間にゆうらゆら きよえ
踏青や友待つ間の参道 こすもす
通学路傘の花満つ梅雨に入る みきお

2025年03月08日

標識より雪くつきりと落ちにけり 和繁
手水鉢紅輝るや落椿 きよえ
酸素吸い輸血をし百の春まで 董雨
黄水仙花茎延ぶや莟出ず きよえ
春眠や足場組む音目覚めけり みきえ
励ましの歌にも聞こゆ北帰行 わたる
啓蟄や斯くけしけしと目覚む朝 えいじ
緑青の旧家の樋や春の雨 ぽんこ
雛めぐり馬頭観音折り返す なつき
春の曲生るるハープの色の弦 あひる
春の水流れとともに歩を進め ふさこ
梅が香を雨の匂ひが追ひかけて むべ
子の笑顔親感涙の卒業歌 わたる
シェバードのリード放ちて青き踏む 澄子
なぞへには青の濃淡物芽かな こすもす
毎年のことよこの辺フキノトウ こすもす
皺多き児の書道展風光る 康子
殿方は館長ひとり雛の宿 うつぎ
寒なまこ刃に身を縮め海を恋ふ よし女
まだ雪に埋もるる象の滑り台 和繁
春光のハープに届くコンサート あひる
待合はプリザーブドの春の花 明日香
強東風や四方八方木々揺らぐ 明日香
芽柳や大きく揺れて風を呼ぶ みきお
春の鴉の木つ端咥えて飛び去りぬ えいじ
春寒の眠れぬ夜にラヂオ終ふ もとこ
息災に梅見の時を満ち足りて たか子
鑿跡や富士見多聞にある余寒 澄子
女子寮は父でも入れぬ入学期 よし女
ものの芽のひと夜の雨のほぐれかな 愛正
石重し春水濁る樽の底 千鶴
天気雨フード被りて雛めぐり なつき
トンネルをなさんと芽吹く並木かな せいじ
風花を茶房の窓に汁粉食ぶ 康子
糠雨に傘は無用や春寒し せいじ
蕊までも寒緋桜の共色に むべ
ひっそりと現わる木の芽輝けり みきお
啓蟄の天地の動き響き合ふ わかば
花の芽の色づく山裾無人駅 愛正
茶席への弾む心や梅真白 わかば

2025年03月07日

外に出ればほてりをさます春の風 せいじ
留守番は紙の雛や駐在所 千鶴
啓蟄や一歩踏み出す赤い靴 せつ子
梅の園紅映ゆや空澄み渡り きよえ
外つ国の愛でる人にも梅香る ふさこ
山茶花や夫掃きあげし道にまた あひる
開店記念のセール賑やか春麗 こすもす
雛壇の仕丁は女人勇ましき うつぎ
啓蟄やひねもす庭を見てをりぬ 明日香
寒もどる血圧計のベルトかな わたる
梅園の満開見えて足早に むべ
ビシバシとタンゴのピアス風光る ほたる
陽の当たる雪の玉水眩しけり ほたる
生姜湯や無為の一日をしめ括る あひる
潦朽葉沈めて澄みにけり 澄子
せわしなく告げる案内や揚雲雀 もとこ
足早に吾を追ひ越して行く春コート みきえ
坂道の両脇綴り梅万朶 澄子
剪りくれし白梅一枝病む我に 明日香
虫干しの被爆者名簿捲れけり みきお
蜷の道地蔵のお顔描きをり やよい
啓蟄や抱かれて嬰はもじもじす よし女
暖かし旧邸披露は厠まで たか子
徒長枝にしがみつきたる餅の雪 愛正
バスに道譲られにけり浅き春 和繁
春北風生け簀の水の横なぐり むべ
白鷺の見得切る如し春空へ きよえ
土雛の吉良義士見栄を切り並ぶ なつき
玉筋魚の炊く楽しみの遠くなり わかば
覗き見る鷺の映ふるる春の川 えいじ
落とし物引つ掛けられて桜の芽 えいじ



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