しだれ桜満開道真公の御旅所に | よし女 |
雲優大近付きはなるとんびかな | 董雨 |
梅の小枝添へて二組供花整う | こすもす |
土に水染みて薄氷残さるる | 和繁 |
血液を抜く針太き春愁 | わかば |
日の弾むかほり湧き立つ梅の丘 | えいじ |
海彦の今朝の釣果や茎若芽 | せつ子 |
釣れる人釣れない人や春の波止 | きよえ |
春の波止石段這ふ児靴光る | きよえ |
いちご大福一番乗りの客となる | あひる |
紫に畦綴りたる三階草 | むべ |
海風に乾く香放ち新わかめ | よし女 |
春雷の音に驚く事暫し | わかば |
隊列の崩るる子らのチューリップ | なつき |
見ていても見へぬことあり蜃気楼 | わたる |
湯に入らば変色術成す茎若芽 | せつ子 |
ふらここやセーラー服の襟靡く | 康子 |
児ら燥ぐフードコートや春休み | せいじ |
オーラスの班旗掲ぐる卒業子 | せいじ |
陽炎に揺れて思案の固まらず | わたる |
翻る力士幟や春嵐 | こすもす |
草覆ふ春田を低く烏飛ぶ | 和繁 |
ふらここの空へ姦し女学生 | 康子 |
まだ繋がらぬ高架橋山笑ふ | あひる |
誰も居ぬ生家にひそと梅の待つ | もとこ |
春愁ふ母の電話の長きこと | むべ |
足弱の夫と共々春の汗 | ぽんこ |
証書筒かざし門出る卒業子 | 千鶴 |
むくむくと雲ひるがえるとんびかな | 董雨 |
波しぶき光りて浜辺長閑かな | 博充 |
芽立時日毎に変わる山の彩 | 明日香 |
丸刈りの選手宣誓風光る | みきお |
我が気分三寒四温そのままに | 明日香 |
ももたまなの芽の揃ひたつ慰霊塔 | なつき |
耳寄せて春水仙の詩聴かむ | えいじ |
光る野に降り注ぐ声雲雀かな | 博充 |
2025年03月17日 | |
石人の鼓鳴るかや春うらら | せつ子 |
波しぶき光りて浜辺長閑かな | 博充 |
ATMの空きを待つ間や春の雪 | こすもす |
ものの芽の揃ふてをりぬ今朝の雨 | 和繁 |
暫くは卯波にこの身任せをり | 澄子 |
昨夜雨に濡れし街並み春日燦 | せいじ |
投稿の親心知る卒業歌 | みきえ |
四方より桜東風舞う石舞台 | 明日香 |
芽を出して綺麗に並ぶチューリップ | よし女 |
陽の池に四肢脱力の蛙かな | 康子 |
存問の友と語らひ春一日 | せつ子 |
靄がかる淡き船影沖朧 | わかば |
下萌や踏みしむ足に雫垂る | きよえ |
梅東風や背ナに煌めく班旗の黄 | せいじ |
日の弾む花に遊ぶや目白どち | えいじ |
光る野に降り注ぐ声雲雀かな | 博充 |
もう一度着る好きな服寒戻り | あひる |
朝風に光を散らす花ミモザ | むべ |
紅椿雨をさらりと流しをり | きよえ |
畳まれし防雪柵よ雨に濡れ | 和繁 |
列なして魚道を下る落ち椿 | 愛正 |
バス時刻までの立ち読み春寒し | やよい |
靴垂らし触るる青草揺るリフト | 愛正 |
石仏の並ぶそびらに春日差し | もとこ |
春めくや入学前のランドセル | わたる |
春泥やコンビニ前の泥落とし | わたる |
春時雨止み間待ちつつ品定め | みきえ |
春燈や数独パズル解けるまで | たか子 |
イペーの花や英字看板の基地の町 | なつき |
土手を焼く煙の中を散歩犬 | よし女 |
ままならぬ老の指先花曇 | みきお |
夕茜ほろほろと散る河津桜 | ほたる |
山々を薄っすら染める春の雪 | みきお |
散々に心配させて名草の芽 | うつぎ |
堰落つる楽なる水や里の春 | 明日香 |
晩学の帰路の買い物花菜漬 | わかば |
白梅の次に紅梅枝垂れ咲く | 千鶴 |
堅雪を突きぬける芯片栗芽 | ほたる |
灯籠に明かりの入る春しぐれ | ぽんこ |
幾たびも波濤砕けて春の虹 | 澄子 |
白木蓮天に捧ぐるごと開く | むべ |
海風を浴ぶる城壁松の花 | なつき |
梅寒し鳥も香りも消えにけり | えいじ |
ぐつぐつと煮る豚汁や寒戻り | あひる |
2025年03月16日 | |
春苺銀のスプーンに映りたり | むべ |
雲上ゆく機窓に春日まぶしめり | なつき |
露天より見上げる空や鳥帰る | わたる |
盆松の葉の黄緑は春の色 | 和繁 |
孫嫁の介助の夕餉あたたかし | あひる |
花姿に似合はぬ名持つ犬ふぐり | わたる |
薔薇の芽や刃の如く紅に染む | きよえ |
駅弁やもう玉筋魚を味わえり | こすもす |
会堂は辛夷の花のお出迎へ | きよえ |
慰霊碑に囀りつよく響きけり | なつき |
戦災を知らぬ吾も喜寿梅万朶 | せいじ |
春眠し打楽器合奏聴きゐても | うつぎ |
犬ふぐり拡ぐ天神様の社務所裏 | よし女 |
小雨降り遠山霞む形を変え | 董雨 |
飛石を席巻したる蟻の列 | 康子 |
太き影緩く曳くなり春の鯉 | えいじ |
春眠の母を覚ませる蒸しタオル | あひる |
出来たてをつまめば歪む草の餅 | 千鶴 |
栞紐垂らしまどろむ雪しずく | ほたる |
庭隅の落ち葉もたぐる蕗の薹 | 愛正 |
教会へ蕗の薹持て里の姉 | わかば |
幾とせや集ひ祝ひし雛飾 | 博充 |
そぼ降るや男合羽に春時雨 | むべ |
フランスパンのひび割れ音や春の風 | 博充 |
一升瓶抱えて弟や逝く朧 | ほたる |
犬ふぐり踏むまじと行く干拓地 | 董雨 |
春の雨待つ客こくり美容院 | みきえ |
通り雨参道清め彼岸寺 | 明日香 |
ほろ酔ひて夫と春雨傘の音 | 康子 |
菜の花の帰路の車窓に眩しかり | こすもす |
梅満開絵本のような一山家 | よし女 |
この梅は早く咲くかと目星つけ | 和繁 |
今朝の雨袴に溜める土筆かな | えいじ |
ひよつこりと生駒山より春の月 | せいじ |
大剪定されて電柱立つごとし | 明日香 |
天昇るごとくに梅の枝伸びる | 千鶴 |
燕の腹一瞬消ゆる白き壁 | 愛正 |
陀羅尼助まかなふ店の春灯す | もとこ |
翡翠の待ちに待ちたるカメラマン | ふさこ |
水温む入江に稚魚の動く影 | わかば |
送信の返し気になる菜種梅雨 | ぽんこ |
2025年03月15日 | |
サーターアンダギー半分こして辺戸の春 | なつき |
月朧キエフの涙知るごとく | 明日香 |
庭隅の落ち葉もたぐる蕗の薹 | 愛正 |
お祝いのケーキに光る寒苺 | あひる |
山桜莟ちらほら瀬戸は凪 | きよえ |
出国の長蛇の列や春埠頭 | 澄子 |
壁紙のウィリアム・モリス春暖炉 | うつぎ |
鉄塔積み春霞中出港す | 董雨 |
ぽろぽろと鳩が降りたつ春田かな | 和繁 |
春眠や目覚まし時計遠くで鳴り | ぽんこ |
目と大口を開けて点眼祖母うらら | ほたる |
前庭のところ構はず蕗の薹 | うつぎ |
幾とせや集ひ祝ひし雛飾 | 博充 |
春場所や焼き鳥必ず弁当に | こすもす |
引き売りに貝ずくしの寿司薦められ | よし女 |
群生えてこわきものなし犬ふぐり | わたる |
フランスパンのひび割れ音や春の風 | 博充 |
二もとの梅に侍るは立金花 | せいじ |
ドーナツにちょっととんがり木の芽時 | 和繁 |
春霖の音のみ微か雑木山 | むべ |
深き夜の籠松明の荒々し | 明日香 |
三月の空のま青や番いの鴉 | えいじ |
菜種梅雨消へることなく外灯や | きよえ |
出航を見送る船灯春嵐 | 澄子 |
ひっそりと夕日に揺らぐ浜大根 | ほたる |
燕の腹一瞬消ゆる白き壁 | 愛正 |
堰を落つ山茶花屑の噴き上がる | えいじ |
鳥帰る道しるべなり最上川 | わたる |
貴重なる春蘭展を風の中 | わかば |
大皿の山崩れゆく牡蠣フライ | あひる |
春池や迫り出す松の水陽炎 | 康子 |
万本のしだれ紅梅満車札 | よし女 |
外に出れば直ぐ春くしゃみ続けざま | 千鶴 |
母の背を優に超えたる卒業子 | せいじ |
春場所や名入タオルと声援と | こすもす |
長雨に隣の梅も散り初めし | ふさこ |
囀りやガマに三線弾きし像 | なつき |
池の上を群舞ふ鴎風を切る | わかば |
丸まりて力漲る山椒の芽 | むべ |
目白鳴き枝を弾きて青の翔ぶ | 董雨 |
春うらら甘味屋多き奈良の町 | もとこ |
ケーキ屋のケースに踊る春苺 | 康子 |
2025年03月14日 | |
春暖や鼻歌も出る食介助 | せいじ |
母好む土筆が出たと夫の苞 | わかば |
お返しはそっと手のひら蕗のとう | ほたる |
図らずも絵踏のごとく野を歩み | 澄子 |
胸の花取らず校外卒業生 | みきえ |
卒業子見上ぐる母も校庭に | あひる |
梅見椅子保冷バッグをすぐそばに | よし女 |
初物と一菜となる土筆炊く | わかば |
春障子開け払はれて曼荼羅堂 | もとこ |
大仏の見下ろす笑顔梅万朶 | 山椒 |
けふ孫の卒業式や写メール来 | せいじ |
晴の今日続かぬ天気弥生かな | きよえ |
山茶花の花と屑落つ水鏡 | えいじ |
天辺に梵鐘響き冴返る | 博充 |
春うらら口笛吹くは下校の子 | 康子 |
偕老の試歩手をつなぎ春野行く | あひる |
籠松明赤々と舞ふ修二会かな | みきえ |
春しぐれ琉球衣装の宮参り | なつき |
春の川瀬の倒木に鳥群れて | 明日香 |
曽野綾子氏の追悼コーナー黄水仙 | こすもす |
春帽子被る人増え駅広場 | 澄子 |
春鴨の戯れ日浴ぶ波止散歩 | きよえ |
赤い薔薇胸にスキップ卒園生 | 山椒 |
竹の秋幹打ち合へる音清し | よし女 |
山寺の異国語賑や百千鳥 | わたる |
ロゼット葉立ち上がりたる春の庭 | むべ |
一服の友あり生あたたかき蕨餅 | せつ子 |
春光を弾く銀輪通学路 | 愛正 |
前庭の摘むには惜しき蕗の薹 | うつぎ |
母子たのし漕ぐやふらここ風まみれ | えいじ |
春の水微かに聞こふ葦の笛 | ふさこ |
犬ふぐり嬰の摘むとも小さきまま | わたる |
輪を描く産業ロボット日永かな | 和繁 |
慰霊碑の石階のすそ島すみれ | なつき |
河岸場跡縺れ解くる糸柳 | 愛正 |
今を待つ木々の命や里の春 | ほたる |
春雨や二歳の孫の傘デビュー | 康子 |
雪とけて水満つる田に白鳥あり | 和繁 |
梅万朶化身のごとく真白なる | 千鶴 |
鎌足の産湯てふ井戸うららけし | 明日香 |
春の朝味噌汁薫る厨かな | 博充 |
花虻の地に影落とすホバリング | むべ |
花ミモザ坂の神戸の異人館 | たか子 |
街路樹の高枝揺らす春の風 | こすもす |
2025年03月13日 | |
石組みのぴたり隙なき余寒かな | 澄子 |
子ら去りて鞦韆の揺れそのままに | わかば |
河岸場跡絡み解るる糸柳 | 愛正 |
うたた寝の夢の続きや宵の春 | 博充 |
春雨の綺羅をとどむる山野草 | 康子 |
よべの雨雫残して芝萌ゆる | むべ |
春の小川雨を戴き園巡る | きよえ |
緋桜の花粉まみるるひよの嘴 | むべ |
卒業子ら記念植樹の梅讃ふ | 千鶴 |
風光る少女の髪のほどけをり | 博充 |
卒業す平家踊りを伝承し | よし女 |
水温むイギリス村の水車小屋 | せいじ |
マニュキュアを塗りなほし発つ春の旅 | なつき |
大仏も目覚むる如し春日和 | 山椒 |
春荒れて瀬の波模様見て飽かず | 明日香 |
雪解田に浮く鴨とそを見たる鴨 | 和繁 |
あの頃に街灯ともり猫の恋 | ふさこ |
恥ぢらへる男雛を隠す御簾の房 | うつぎ |
立金花煌めかせたる朝日かな | あひる |
春の川孤高を持する鷺一羽 | 明日香 |
ふわふわの獣の尾っぽ雪柳 | 澄子 |
紫雲めく川辺拡ぐや三階草 | えいじ |
山茱萸花黄色自慢の庭景色 | わたる |
白梅のか細し枝先天仰ぐ | きよえ |
遠来を労ふ店主蓬餅 | みきえ |
強風に花粉の混じる黄砂かな | みきお |
菜の花の明るさ心緩ぶなり | わかば |
名札下げ参磴綴る名草の芽 | 康子 |
春光を弾く銀輪通学生 | 愛正 |
朝戸引くやにわに躍る春嚔 | えいじ |
腰高の袴闊歩す卒業生 | みきえ |
赤提灯行ってみたしやおでん煮る | あひる |
鳥雲についていきたや旅心 | わたる |
反り上ぐる羽根裏の無垢春の鳩 | 和繁 |
一筆添へ彼岸法会の案内状 | よし女 |
玉椿赤み増したる蕾の先 | ぽんこ |
母の押す双子のバギー風光る | みきお |
春愁や坩堝の炎見てみたし | うつぎ |
太子蔵まなざし遠く春の夢 | もとこ |
目覚めれば踏み脱ぎてをる掛け布団 | せいじ |
2025年03月12日 | |
七色を灯す大橋朧かな | わかば |
久闊を叙する友会ふ弥生かな | ぽんこ |
春動くナースきびきび先回り | 和繁 |
梅咲くや青天画す飛行雲 | もとこ |
朝日浴ぶ残雪燃ゆる赤城山 | 愛正 |
紅梅のしだれの隙間地蔵尊 | よし女 |
綺羅星のやうな波寄す春夕焼 | やよい |
裏通り格子の奥に雛飾り | ふさこ |
春日差し手漉き硝子の波打てり | なつき |
息づいているかの如く木の根明く | ほたる |
春暁や産みの一声牛舎より | 千鶴 |
大仏の顔青白し春の雨 | 山椒 |
鯱瓦尾で弾きたる春の空 | 康子 |
旧友のあはぬ言の葉春愁 | わかば |
啓蟄や蟷螂卵のおもちゃ箱 | わたる |
春蝉の合唱タクト松公園 | きよえ |
春の虹たもとの見えぬ六十階 | むべ |
さにつらふ雲なき空へ鳥帰る | えいじ |
山麓に霞む双塔蒸溜所 | せいじ |
春雨のそぼ降る通り傘ささず | むべ |
一山をピンクに染める芽吹きかな | みきお |
入学試験と同時開催絵手紙展 | こすもす |
湯治果てバックミラーに山笑ふ | 康子 |
旅鞄あまりに重し春憂 | 澄子 |
髪を切り首長くして花見待つ | よし女 |
啓蟄の土を踏みしめ匂ひ立つ | 博充 |
けふ孫の入学試験気もそぞろ | せいじ |
春暁に薪ストーブの煙かな | 和繁 |
山畑の畝にひとすじ花薺 | あひる |
春燈の屋号は灯屋和蝋燭 | うつぎ |
能登地震瓦礫に生き抜く春の草 | 愛正 |
松蝉の聴き入る程に声揃ふ | きよえ |
目借り時活字ぼやけて瞼落つ | 博充 |
桜ちらほら花咲か爺の居るごとく | あひる |
納む日も出すも大安雛行事 | わたる |
半歩づつ遅れる杣道山桜 | みきお |
力作の絵手紙展や桜もち | こすもす |
春荒れの道に迫り出す椋大樹 | えいじ |
取次の市松雛に迎へらる | うつぎ |
雛飾り愛でて借り傘返したり | なつき |
山嶺の靄ゆるゆると春空へ | 明日香 |
佳き知らせのごと咲き継ぐ椿かな | 澄子 |
砂浜に遺影と花束震災忌 | 山椒 |
2025年03月11日 | |
菜種梅雨蛇目置かれし小料理屋 | 澄子 |
内裏雛乗すには小さき牛車かな | うつぎ |
町と町つなぐ手作り吊るし雛 | 康子 |
青年押す車椅子いく春の潮 | 董雨 |
鎮魂の東の浜に花は咲く | わたる |
渦巻ける潮めきたる三階草 | えいじ |
河津桜宵闇に浮くひと処 | ほたる |
春めいて靄の帷の明日香村 | 明日香 |
鶯鳴く何が恥ずかし姿なし | ふさこ |
倒木の梅の命の開花せり | 明日香 |
水尾引く波止の出船や風光る | きよえ |
日差しきて河津桜の闌けにけり | むべ |
ちゃんちゃんこ並ぶ春場所土俵下 | みきえ |
紫煙吐く放屁のひとも春の森 | えいじ |
潮騒や花咲く浜の震災忌 | わたる |
卓球の途中の黙祷花の冷え | こすもす |
春日影踏までに歩む六地蔵 | 愛正 |
家事終へて選句楽しむ春炬燵 | せいじ |
鎮魂の白き風船大空へ | せつ子 |
天仰ぐ紅の弾くや梅大樹 | きよえ |
アスパラやメキシコ発の夕餉皿 | ほたる |
練習バレーの隣は卓球春暑し | こすもす |
まんさくの花に踊り子群がって | よし女 |
飲むふりの風邪の子が吹く粉薬 | なつき |
甘辛の磯の香りや茎わかめ | 千鶴 |
飛機雲をベールにしたる春の風 | 康子 |
せせらぎの楽サラサラと早春譜 | せつ子 |
茶の席の設ふ社中雛の夜 | わかば |
花なづな休耕田を点描す | むべ |
物音に春眠さめし妻の留守 | せいじ |
外つ国の人も黙して梅が香に | たか子 |
口あけて匙待つ母の長閑な日 | あひる |
藁ぼっち春陽さしたる花の寺 | 愛正 |
異国語や京の電車に春の雨 | あひる |
まだ高き残雪に乗り見る景色 | 和繁 |
山林を燃やす椿事や涅槃西風 | たか子 |
この高値いつまで続く春キャベツ | ぽんこ |
豆飯の息子嫌ひで嫁は好き | もとこ |
カルストの山焼き今年は不発てふ | よし女 |
記念樹の周り雪解け早きこと | 和繁 |
乳飲んで寝る子に春雨静かなり | なつき |
葉隠に春蘭とふに咲き至り | 澄子 |
一両車進む海岸震災忌 | 山椒 |
春寒やまたも書店の閉鎖とや | やよい |
2025年03月10日 | |
梅日和夫カメラ手に吾吟行 | きよえ |
クラッタリングで身を張る鸛や抱卵季 | ほたる |
群鳥に笑うがごとく梅ゆるる | えいじ |
梅一輪目で追う参道たたら踏む | 愛正 |
土見へて懐かし匂ひ雪間かな | わたる |
散らばつて遊ぶ目白や花踊る | えいじ |
黄風船スタンド埋めるオープン戦 | みきえ |
住職の裾ひるがえる春疾風 | みきお |
雪の田に白鳥三羽みな立てり | 和繁 |
急ぎ足ついつい止まる種袋 | 明日香 |
御手洗の苔むす岩や春の水 | ぽんこ |
春禽や疏水にかかる太鼓橋 | むべ |
陣屋跡子らのダンスの雛祭 | なつき |
ミモザ咲きふはりドレスのピアノ弾く | もとこ |
春風や足延ばし漕ぐ二輪かな | みきえ |
風車群掻きまわしたるスギ花粉 | 千鶴 |
水甕の底ゆらゆらと春兆す | 澄子 |
求愛中重なる蝶の舞ひみとれ | ふさこ |
つくし摘む先へさきへと眼の泳ぎ | よし女 |
寺男に貰ひし一枝梅の香 | 愛正 |
暮れ残る池の向かふの西の空 | よし女 |
春の日に赤らむ海や旅の朝 | 康子 |
春の花舗売り子の髪の花飾り | あひる |
シフォンケーキをほおばる目もと山笑う | ほたる |
青麦のまださざ波になれずいる | 明日香 |
どう見てもこれが特大大根選る | あひる |
春めける少女のリボンそよぐ風 | きよえ |
つかず離れず四羽のからす雪渡る | 和繁 |
鞦韆のかはるがはるに蒼き空 | 澄子 |
春風やミニチャペルよりハープの音 | せいじ |
暖かきハープの音色アヴェマリア | せいじ |
道草に帰る畦道長閑なり | はく子 |
包帯の手で経上げし彼岸僧 | こすもす |
花入の縁一輪の椿かな | 康子 |
百花織る絨毯のごと春野かな | むべ |
日の落ちし海辺に光る一灯あり | 董雨 |
手際よく出すは三日の雛仕舞ふ | なつき |
しなやかな棋士の手つきや春炬燵 | こすもす |
堅雪や視界のすべて登山道 | わたる |
大部屋は老人ホーム雛ならぶ | 董雨 |
部屋隅を貰ひ機嫌や吊るし雛 | うつぎ |
朝市のテント持ち上ぐ砂あらし | みきお |
2025年03月09日 | |
若人のスーツの硬さ春の風 | 澄子 |
春なれや淀む川辺の鯉の群れ | 愛正 |
山椒の芽吹き確かな薄緑 | わかば |
ふらここの空を二つに分けにけり | わたる |
風光る吊り橋越しに揺れる海 | ふさこ |
ここにもと妻の足もと犬ふぐり | せいじ |
白梅や闇に浮き上ぐ灯りかな | みきえ |
宿料理添へある梅の香ゆたか | 康子 |
夕焼け雲鉄塔の先光らせて | 董雨 |
釣歩く満干潮の鷺一羽 | えいじ |
春眠し写す字と字が重なりて | うつぎ |
生け垣やおもひもかけず蕗の薹 | 愛正 |
我慢などしなくてよいと蕗の薹 | わたる |
啓蟄や新聞購読再開す | よし女 |
讃美歌の練習つづく春の昼 | むべ |
かまきりの卵見つけし剪定後 | 明日香 |
雛飾る古民家通り華やかに | みきお |
野遊びや椅子車椅子寄り添ひて | あひる |
池の縁てんでに芹を摘み帰り | 千鶴 |
下の子の言葉数増へ春うらら | はく子 |
焼き杉塀しぶき光沢新走り | ぽんこ |
春淡し見上ぐる鷹の白き腹 | 和繁 |
残雪が靄おくり込む朝の道 | 和繁 |
啓蟄の鳥語あちこち枝から枝へ | きよえ |
亡き嬰の産着でつくる内裏雛 | なつき |
涅槃雪跡形もなく朝の庭 | 澄子 |
春光や昭和のガラスに馴染みけり | たか子 |
小栴檀草の実刺しぬ春の土手 | えいじ |
庭の雪も今日が最後や春日差し | こすもす |
花柄のマスクで茶席かしこまる | なつき |
ルピナスや吾娘より若き牧師来る | あひる |
城濠の池畔枝垂るる柳の芽 | わかば |
吊るし雛真中の鞠は逆回り | 康子 |
チューリップ所得たりと一つの芽 | よし女 |
野遊びや夫が妻の食介助 | せいじ |
曇天に紅梅の紅かすみけり | もとこ |
青錆ぶる富士見櫓に春の雨 | むべ |
10秒のソロの舞台や卒業子 | そうけい |
梅つぼみ厨にさせばすぐ開き | 明日香 |
春の鴨波止の波間にゆうらゆら | きよえ |
踏青や友待つ間の参道 | こすもす |
通学路傘の花満つ梅雨に入る | みきお |
2025年03月08日 | |
標識より雪くつきりと落ちにけり | 和繁 |
手水鉢紅輝るや落椿 | きよえ |
酸素吸い輸血をし百の春まで | 董雨 |
黄水仙花茎延ぶや莟出ず | きよえ |
春眠や足場組む音目覚めけり | みきえ |
励ましの歌にも聞こゆ北帰行 | わたる |
啓蟄や斯くけしけしと目覚む朝 | えいじ |
緑青の旧家の樋や春の雨 | ぽんこ |
雛めぐり馬頭観音折り返す | なつき |
春の曲生るるハープの色の弦 | あひる |
春の水流れとともに歩を進め | ふさこ |
梅が香を雨の匂ひが追ひかけて | むべ |
子の笑顔親感涙の卒業歌 | わたる |
シェバードのリード放ちて青き踏む | 澄子 |
なぞへには青の濃淡物芽かな | こすもす |
毎年のことよこの辺フキノトウ | こすもす |
皺多き児の書道展風光る | 康子 |
殿方は館長ひとり雛の宿 | うつぎ |
寒なまこ刃に身を縮め海を恋ふ | よし女 |
まだ雪に埋もるる象の滑り台 | 和繁 |
春光のハープに届くコンサート | あひる |
待合はプリザーブドの春の花 | 明日香 |
強東風や四方八方木々揺らぐ | 明日香 |
芽柳や大きく揺れて風を呼ぶ | みきお |
春の鴉の木つ端咥えて飛び去りぬ | えいじ |
春寒の眠れぬ夜にラヂオ終ふ | もとこ |
息災に梅見の時を満ち足りて | たか子 |
鑿跡や富士見多聞にある余寒 | 澄子 |
女子寮は父でも入れぬ入学期 | よし女 |
ものの芽のひと夜の雨のほぐれかな | 愛正 |
石重し春水濁る樽の底 | 千鶴 |
天気雨フード被りて雛めぐり | なつき |
トンネルをなさんと芽吹く並木かな | せいじ |
風花を茶房の窓に汁粉食ぶ | 康子 |
糠雨に傘は無用や春寒し | せいじ |
蕊までも寒緋桜の共色に | むべ |
ひっそりと現わる木の芽輝けり | みきお |
啓蟄の天地の動き響き合ふ | わかば |
花の芽の色づく山裾無人駅 | 愛正 |
茶席への弾む心や梅真白 | わかば |
2025年03月07日 | |
外に出ればほてりをさます春の風 | せいじ |
留守番は紙の雛や駐在所 | 千鶴 |
啓蟄や一歩踏み出す赤い靴 | せつ子 |
梅の園紅映ゆや空澄み渡り | きよえ |
外つ国の愛でる人にも梅香る | ふさこ |
山茶花や夫掃きあげし道にまた | あひる |
開店記念のセール賑やか春麗 | こすもす |
雛壇の仕丁は女人勇ましき | うつぎ |
啓蟄やひねもす庭を見てをりぬ | 明日香 |
寒もどる血圧計のベルトかな | わたる |
梅園の満開見えて足早に | むべ |
ビシバシとタンゴのピアス風光る | ほたる |
陽の当たる雪の玉水眩しけり | ほたる |
生姜湯や無為の一日をしめ括る | あひる |
潦朽葉沈めて澄みにけり | 澄子 |
せわしなく告げる案内や揚雲雀 | もとこ |
足早に吾を追ひ越して行く春コート | みきえ |
坂道の両脇綴り梅万朶 | 澄子 |
剪りくれし白梅一枝病む我に | 明日香 |
虫干しの被爆者名簿捲れけり | みきお |
蜷の道地蔵のお顔描きをり | やよい |
啓蟄や抱かれて嬰はもじもじす | よし女 |
暖かし旧邸披露は厠まで | たか子 |
徒長枝にしがみつきたる餅の雪 | 愛正 |
バスに道譲られにけり浅き春 | 和繁 |
春北風生け簀の水の横なぐり | むべ |
白鷺の見得切る如し春空へ | きよえ |
土雛の吉良義士見栄を切り並ぶ | なつき |
玉筋魚の炊く楽しみの遠くなり | わかば |
覗き見る鷺の映ふるる春の川 | えいじ |
落とし物引つ掛けられて桜の芽 | えいじ |