2025年04月07日 | |
腰痛をなだめなだめて春田打つ | 藤井 |
花一輪咲きしニュースの北の街 | わたる |
キャンパスの渡り廊下へ若葉風 | 康子 |
大好きと書かれし浜や海おぼろ | なつき |
杉菜生ふ小さき針葉樹林帯 | むべ |
牡丹園草一本もなき程に | よし女 |
心寄す花の中にて時過ごす | わかば |
桜散る阪急電車さらばよと | もとこ |
なほ三分咲けば見頃や家桜 | せいじ |
啓蟄や身構える猫首傾げ | みきお |
走り回る犬も一員花宴 | ぽんこ |
佳きことの予感高まる初音かな | わたる |
昨日より今日よく開くヒヤシンス | 和繁 |
菜の花の籬を走る土手の道 | 康子 |
外つ国のひとはよそゆき着て花見 | えいじ |
春の田の畦を登りて鴨出づる | 和繁 |
春暁やあまた名のある星ひとつ | えいじ |
咲き満ちて新葉の赤き山桜 | むべ |
厨より潮吹く浅蜊ひとり言 | みきお |
登山人桜称美し尾根見上ぐ | きよえ |
霞む夜の飛機音ゴーと大阪湾 | きよえ |
ぱっと咲きはや散り初むる桜花かな | 千鶴 |
金色の鯉へパン投ぐ花の橋 | なつき |
象の背の釈迦にかけたる甘茶かな | みきえ |
畑隅の色に誘わる桃の花 | 愛正 |
春の蝶数へて過ごす小半時 | 藤井 |
花曇そらに溶けいる花の翳 | 澄子 |
場所取りの割り箸のたつ春夕焼 | ほたる |
花盛りもう一ケ所と万歩超へ | みきえ |
緋桃燃ゆ山ふところの無人駅 | 愛正 |
珍客に咲き始めたリ金ろ梅 | 董雨 |
方丈てふ額へとなびく花吹雪 | せいじ |
どこまでも花花花や花の園 | やよい |
明日初の医師訪問日草を引く | 董雨 |
トロッコ車さくら割き行く嵐山 | ふさこ |
ペリカンの羽ばたきに散る桜かな | よし女 |
ちりぢりの桜花びらつまみたり | えいいち |
故郷との差のくっきりや花見頃 | こすもす |
ミモザ咲く粋な門扉に覗かせて | わかば |
川下りの水の飛沫や夏隣 | こすもす |
花の柄をブランコにして蜜を吸い | 明日香 |
花吹雪浴びて佳き日となりにけり | 澄子 |
ビル隙に源平咲きの梅万朶 | ほたる |
花の下青い目の人囲む宴 | 山椒 |
花曇灯台静かに灯りけり | 博充 |
2025年04月06日 | |
カラフルな一両電車春田中 | みきえ |
蝿の子の止まる嫗の背西日射す | 愛正 |
春うらら歩調ゆるめる散歩人 | わたる |
桜餅匂ひ残れり指の先 | みきお |
山並みに薄紅散らす桜かな | みきえ |
雨後の草みるみる伸びぬ春の畑 | 千鶴 |
笑ふ山登山列車はジグザグに | はく子 |
人溢る往路復路の花の道 | わかば |
昭和団地の外周桜吹雪かな | なつき |
吾が家を囲む鳶の輪のどかなり | やよい |
袖濡らす夜のしじまに桜かな | 博充 |
マンションの四囲埋め尽くす桜花かな | せいじ |
清明や湧きいづる水漲りて | ほたる |
花日和ソフトクリーム口に良し | 董雨 |
オホイヌノフグリと言うと子らの指 | わたる |
香放つ床の間生けし利休梅 | 愛正 |
銅像はももいろペリカン花の下 | よし女 |
山門の奥へいざなふ花吹雪 | 康子 |
遠足のお菓子迷ひし三百円 | もとこ |
数本の菜の花開き初蝶来 | 和繁 |
行先は犬に委ねる春の土手 | 和繁 |
花韮に仄かな空の翳りかな | むべ |
湖のしろしろとあり朝桜 | よし女 |
夕風に白く震へる梨の花 | むべ |
翠黛に散りばめられし山桜 | あひる |
足跡を砂へとかへる春の雪 | 藤井 |
大太鼓合わすリズムの花宴 | ぽんこ |
春休の電車美声の車掌かな | こすもす |
散る花や一人で愛でる園の椅子 | えいいち |
バス停を一駅歩く花並木 | 澄子 |
針金のハンガー見ゆる烏の巣 | 藤井 |
春うらら花壇の囲むカフェテラス | 康子 |
隙間無く樹下に溢れて花の宴 | わかば |
朝桜コーヒー香るキッチンカー | なつき |
弁当を広ぐ堤や花の下 | こすもす |
俯きしカタクリに在る愁ひかな | 澄子 |
舟べりを叩いて散れり土用波 | みきお |
錦城の二の丸殊に花盛り | せいじ |
桜咲くホームを過ぎる一両車 | 山椒 |
花了る濡れし街路の星模様 | えいじ |
照れ笑ふ甘へた曾孫一年生 | きよえ |
遠嶺の淡き切り絵や春夕焼 | えいじ |
菜の花をなびかせ飛ばす高速道 | あひる |
雪柳目線に白く揺れにけり | 董雨 |
邦楽の里山染むや桜まつり | きよえ |
2025年04月05日 | |
野良猫の雀隠れに沈みけり | えいじ |
釣り船の桜満つ土手波引きて | きよえ |
雪予報なくなりタイヤ交換す | わたる |
拍手乞ふ大道芸や花の城 | やよい |
病む母のベッド動かす庭桜 | みきお |
春灯下母の残せし句帳読む | わかば |
一水に天蓋なせり花万朶 | むべ |
鐘霞む詩を書きかけ風に舞ふ | 博充 |
雛納漢ばかりの我が家かな | もとこ |
妻待てば回転ドア―春の風 | 藤井 |
椿落つ赤き直線椿道 | わたる |
城堀にしだる一樹の花明り | 董雨 |
山笑ふ幾星霜の樹々抱き | はく子 |
満開のさくらさくらに眼で酔ひぬ | 千鶴 |
春灯下積み上げし書の少しづつ | わかば |
帰るより来る人多し夕桜 | なつき |
たっぷりの墨含ませて春を描く | ほたる |
老木の下ボールけり花日和 | 董雨 |
威勢よく泳ぐ真鯉や鯉のぼり | 康子 |
脳味噌は長閑を過ぎて廻らざる | たか子 |
朝日さす土筆も影も伸びにけり | 和繁 |
早や散りて花弁踏むまじ歩道かな | ぽんこ |
古民家園集ひし子らへ鯉のぼり | 康子 |
花冷えに花のいのちの存へし | 澄子 |
万葉の森一輪の椿落つ | きよえ |
シャボン玉風に吹かれて雲になる | 藤井 |
暮の春古き笑ひのかすみけり | 博充 |
天と地を庭にねころぶ花人よ | ほたる |
片手娘にゆだねて行けり花の下 | よし女 |
春の田の隅に何かを燃す煙 | 和繁 |
夏の湖水面に走る白い雲 | みきお |
無住寺の傾ぐ裏門春落葉 | 愛正 |
酒に酔ひ人に酔ひたる夕桜 | 澄子 |
落ちあひてまた離れゆく花筏 | むべ |
朝三分夕方五分や桜咲く | こすもす |
利休梅掛け軸前に香り立つ | 愛正 |
散る花に病床の窓少し開け | ふさこ |
ランドセル背負ふ子抱きたる花の下 | なつき |
欠伸して森羅万象朧の夜 | えいじ |
帽子ゴム入れ替へ請はる春休み | みきえ |
花の中とんび舞翔ち舞落つる | よし女 |
2025年04月04日 | |
眼鏡からコンタクトにす入学日 | せいじ |
春灯を点す島影ぼんやりと | わかば |
泥んこの残雪洗う春時雨 | こすもす |
花散りて来る人あらじ城址堀 | 愛正 |
風光る蕎麦屋開店のぼり旗 | わたる |
のり弁に花びら散らす幼な妻 | ふさこ |
青空の破れしごとく桜散る | 藤井 |
番ひ鳥水脈の交はる川日永 | えいじ |
鵜の羽根のМ字に拡ぐ春の川 | えいじ |
花並木尽きてま青な瀬戸の海 | よし女 |
大き群れ田を縫ふごとく引く白鳥 | 和繁 |
草原の遠く近くに春の駒 | 藤井 |
公園の桜舞い散る隣家へと | たかを |
風凪いでつばめ来さうな朝曇り | 千鶴 |
苑のどか歌碑の楽譜に口ずさみ | 康子 |
暮の春筆を拭いし硯かな | 博充 |
囀に口笛合はす晴の今朝 | きよえ |
川沿いに傘の花咲く花の雨 | 澄子 |
木に繋ぎ犬の留守番花筵 | なつき |
うららけし一人遊びの児の世界 | なつき |
夕桜残念石を覆うかに | たか子 |
点滴の雫の音や朧月 | ほたる |
軒下の鳩の巣作り難しい | 明日香 |
次々とあくびの移る日向ぼこ | みきお |
外つ国へ去る子らと見る桜かな | あひる |
五分咲の桜も見てる転んだ子 | ぽんこ |
木の芽雨地層剥きだす切通し | むべ |
今日のバス医通ひでなし花見行き | 康子 |
山川も桜の咲ひて空明る | きよえ |
展けたる砲台跡や揚雲雀 | せいじ |
いぬふぐり誘ふごとく群れ咲きて | 明日香 |
城壕を埋むが如く花万朶 | 山椒 |
スケボーを楽しむ子らや春夕焼 | こすもす |
大部屋は老人ホーム雛ならぶ | 董雨 |
釣り人の魚籠の中味やうららけし | わかば |
水面へと触れんばかりに花一枝 | 澄子 |
何事もままならぬ日や春の暮 | わたる |
花見果て土手に溢るる笑ひ声 | 博充 |
弁当手に子の走り来る老桜 | 董雨 |
菜の花の中を野鳥の中洲かな | 愛正 |
茉莉花の香の先数歩にまた香る | よし女 |
一輪車乗れたる子供雲の峰 | みきお |
水族館硝子張り付く遠足児 | もとこ |
桜咲く大樹となりて故郷に | あひる |
清月や目覚めの樹々の息づかい | ほたる |
折れてなほつながる枝よ梅ふふむ | 和繁 |
桜雨受くる塚あり見立て富士 | むべ |
2025年04月03日 | |
息合はせ椋鳥去りぬ土筆かな | 和繁 |
篝火のごと大鉢のシクラメン | みきえ |
清らかな乙女色なり雨桜 | えいいち |
兄が採り義姉が炊きたる土筆着く | あひる |
糠雨に香り鎮めて沈丁花 | わかば |
沈丁花闇に帰らぬ人をふと | わかば |
山川のコロンと傾くラムネ玉 | よし女 |
鳥散らす無傷の花をそっと取り | 明日香 |
詰所ではナース賑やか春の昼 | もとこ |
春鴨の様子見てるか竿の先 | きよえ |
藻掻きても予算未達や春の夢 | えいじ |
山桜緑の葉付けピンク染む | きよえ |
先走る突沸めきし春の草 | えいじ |
さつくりと春の土入れベルフラワー | あひる |
手の甲の焼け目立ちたる春陽かな | 千鶴 |
老木の胴吹き桜咲き誇る | 愛正 |
春時雨駅に托鉢ビルマ僧 | よし女 |
走り根がしかと受け止む椿かな | 澄子 |
風止まば繭引くごとき糸桜 | 愛正 |
漱石忌路地の黒猫すり寄り来 | たか子 |
踏むまじき蒲公英の土手花の鋲 | ぽんこ |
ジャム煮詰む厨に残る苺の香 | やよい |
布留川にプリンセスてふ桜咲く | 明日香 |
咲き満ちて行く手を阻む紫木蓮 | せいじ |
春落葉左で釘を打つ大工 | 藤井 |
風光る新しき子ら渡り旗 | わたる |
花見終へ川面に宿る月淡し | 博充 |
雨樋に絡み飛び出し芽吹く薔薇 | 和繁 |
こぼれ種小さき花芽の愛おしき | ふさこ |
万朶なる十木十色の椿たち | 澄子 |
縄文の森よみがえる素足かな | みきお |
どこからか麦笛聞ゆ峠かな | みきお |
薄紅に気もそぞろなる花盛り | みきえ |
切株の卓で宴や花筵 | 康子 |
花ニラの花唇全開春日燦 | せいじ |
胴吹に力みなぎる老桜 | 康子 |
下駄箱にミモザ生けられ投薬日 | こすもす |
エコバッグに通りがかりの土筆摘み | なつき |
川風に花冷えつのる城址かな | なつき |
無人駅座布団二つ春没日 | 藤井 |
子の声のひびく芝生に桜かな | 博充 |
面倒なことは好きかと蜆汁 | わたる |
花冷えや音なく曲がる救急車 | こすもす |
鮮やかな傘溢る橋花の壕 | 山椒 |
2025年04月02日 | |
春草を掻き分け走るラジコンカー | 康子 |
降り止まぬ身震ふ雨や五分の花 | えいいち |
休みたくて蝶は野花の中に消ゆ | よし女 |
雨あがり孫と手つなぎ花見かな | 千鶴 |
川風に押され土手下雀の子 | 愛正 |
小さき花ほどなほ愛し犬ふぐり | わたる |
春の田を漁る白鳥いまだ在り | 和繁 |
正装の三代で潜る茅の輪かな | みきお |
芽柳や浮世絵めきし眼鏡橋 | 澄子 |
ロゼットのたんぽぽあたり日燦燦 | 明日香 |
子の声の途切れぬ芝の花見かな | 博充 |
春雨や鳩の羽ばたき目一杯 | 和繁 |
あでやかや試歩休ましむ紫木蓮 | せいじ |
晴久し手かざして見春夕日 | きよえ |
狛犬の尻尾の巻き毛春日燦 | 明日香 |
春雨にじつと動かぬ鴉かな | むべ |
人見えぬ里を賑やに燕来る | わたる |
日一日ピンク帯びたり桜の木 | こすもす |
登校の子らの真上に春の虹 | 藤井 |
里山を背に林立のつくづくし | あひる |
帰り道土佐みずきの黄を目印に | よし女 |
花見客遠き太鼓の音淡し | 博充 |
春雨や厨の整理はかどりて | 千鶴 |
灯火の瞬く埠頭もまた朧 | 澄子 |
臥す窓に水玉もよう菜種梅雨 | むべ |
花散つて切り瘤あらは梅古木 | えいじ |
星屑のごと起伏野のたんぽぽ黄 | せいじ |
麗らかや西へ東へ踏むペダル | みきえ |
花人の一枚二枚脱ぐ日和 | なつき |
桜咲く母在さばと想ひけり | わかば |
よそよそしく傘の会話や新社員 | ほたる |
東屋の吹き込む花や膳の上 | 愛正 |
低温日続き長持ち白モクレン | こすもす |
ぽたっとと椿落つ音振り返る | きよえ |
妣植ゑし桜の花のちらほらと | わかば |
自販機に武将の絵あり城桜 | なつき |
春霞みな老人の喫茶店 | 藤井 |
緑青の千木を撫ぜたる老桜 | ぽんこ |
青鷺と眼の合ふ近さ山の池 | みきお |
池面へとなだれ咲きゐる老桜 | 康子 |
それぞれに目指す天あり葱坊主 | もとこ |
大耳垢落ちて仰天万愚節 | えいじ |
花冷えの人波絶へぬ城まつり | やよい |
2025年04月01日 | |
草餅に指先残る葉のかほり | 康子 |
花万朶香煙けぶる地蔵堂 | やよい |
春寒し炊きたる粥に息を掛け | よし女 |
堤へと回り道して雲雀聞く | せいじ |
雨受けて色の際立つ菫かな | 和繁 |
何するで無く日の過ぎて長閑なる | たか子 |
対岸の蕎麦屋透けたり糸柳 | 愛正 |
万愚節留守番チャイムの人不明 | よし女 |
揚雲雀見る間に点となりにけり | 明日香 |
喧騒のあはひにふっと蝶生まる | 澄子 |
咲き満ちて雲に彩なす花の下 | えいじ |
春の田に昇り降りする鳩の群 | 和繁 |
田返しの土黒ぐろと立ってをり | 明日香 |
寄り道の田の草食んで鳥帰る | わたる |
四月始め今日から血圧つけつずく | 董雨 |
裏山の鶯声日ごと澄みてきし | 千鶴 |
紺似合う今も昔も新社員 | ふさこ |
銀輪の頭上鈴の音揚雲雀 | せいじ |
紅白の絵日傘揺るる枝垂れ梅 | ぽんこ |
乙女らのくすくす笑ひ雪やなぎ | もとこ |
かたばみに囃され仰ぐ花の雨 | ほたる |
川風に藏壁塗りたる柳かな | 愛正 |
わらび餅笑わせないで黄粉吹く | 康子 |
花開き雨の雫の涙かな | えいいち |
整体に骨のぽきりと万愚節 | なつき |
三椏の花のなぞへや甘き香 | みきえ |
さへずりや昼間は少し忘れてる | こすもす |
霾や朱き鳥居の大柱 | 藤井 |
黒潮の波濤に向きし山椿 | 藤井 |
居留地へ続く街路や辛夷咲く | わかば |
桜雨一雨ごとに色褪せし | ほたる |
霾るや墨染といふ古町に | あひる |
ケーブルカー終点駅は花の下 | あひる |
イペの木のこれからと云ふ芽吹きかな | わかば |
風ひかる古地図のなかの眼鏡橋 | 澄子 |
夕映への白塀染むる桜かな | 博充 |
霾や晴天予報閉ざさるる | きよえ |
辛夷の下息吸い込みし散歩かな | きよえ |
花淡し天誅組の辞世歌碑 | なつき |
春眠や夢の彼方に日の光 | 博充 |
名残りとは言へぬ大雪春の雪 | わたる |
草に大の字で見上げる春の雲 | えいじ |
2025年03月31日 | |
薔薇の芽や花の色見せ尖りしか | きよえ |
枝垂れては疏水になびく初桜 | たか子 |
薄霞たそがれ映す只見川 | 和繁 |
一輪草静かな湖に櫂の音 | 博充 |
夢うつろ囀る声に目覚めけり | 博充 |
池端の流るるごとき大桜 | えいいち |
花冷えや窓辺で眺む懐手 | ほたる |
み吉野の花の遅きに旅ならず | もとこ |
撮り鉄の待ちたる電車花の雲 | 康子 |
野面積み目地突きいづる名草の芽 | 愛正 |
蒲焼に添へしは庭の山椒の芽 | せいじ |
池の傍せっせとわらび摘みし頃 | 千鶴 |
藏街の川辺きわだつ青柳 | 愛正 |
広芝を一人占めして蝶ひぬ | せつ子 |
萌黄色に染まる列島春来たる | みきお |
騙されしふりしてみせん四月馬鹿 | せいじ |
落ちる星春三日月に刺さりけり | わたる |
さんざんに打ちのめされて春寒し | わたる |
重くなり嬰よく笑ふチューリップ | よし女 |
繋がれし闘牛そばに鼓草 | 藤井 |
黄水仙並びし花や奔放に | きよえ |
見上げれは天守に赤き春灯し | やよい |
グライダー歓声あがる春の空 | あひる |
春休みパス特訓中婆と孫 | みきえ |
試合終え師を胴上げの三月尽 | なつき |
土筆伸ぶ嘗ては隠居の庵とや | たか子 |
このあたり昔塩田新玉葱 | よし女 |
剪定の音の響きけり里の山 | みきお |
兄を追ふ小さき銀輪野路の春 | あひる |
芽吹く木々聞こえるほどの息遣ひ | 明日香 |
花人に負けじと燥ぐ鳥の声 | 康子 |
どんみりと鳥居にかかる朝桜 | ぽんこ |
花吹雪昔のことよ恋去りて | ふさこ |
外壁の塗り替へ新た風光る | みきえ |
瞑りて聞く囀りのシャワーかな | せつ子 |
かたばみに囃されている桜かな | ほたる |
ボール追ふ子の声遠く土筆摘む | なつき |
春暁や社の裏の草も燃ゆ | 藤井 |
春雨や通り過ぐかに迢空碑 | 明日香 |
羽根をちょと濡らして去りぬ雀の子 | えいじ |
テラス席閑散として花の冷え | 澄子 |
春潮や気流旋回鳶はるか | 澄子 |
中学時代思ひ出させる小手毬よ | こすもす |
野遊びや犬はお座り嬉しげに | 和繁 |
鵜と鷺の寄り合ふ中洲鳥曇 | えいじ |
2025年03月30日 | |
見上げれば顔に桜の雨雫 | ほたる |
須弥山の文様触るる暖かし | 明日香 |
消灯の会堂に差す花明り | せいじ |
羊羹を食べて目ひらく花曇り | 和繁 |
花冷えや一羽となりし孔雀小屋 | なつき |
風ひかるグラバー邸の坂登る | 澄子 |
チューリップ咲く日待ちつつ赤三本 | きよえ |
日照雨京の桜の覚めまほし | えいじ |
鋭角のカーブ描いて初燕 | わたる |
山寺や一雨ごとに草青む | 藤井 |
開花日を今日と日記に書く桜 | 藤井 |
花の風たゆたふスワンボートかな | 康子 |
蛍烏賊目の残りたる夕餉かな | わたる |
一輪草暮れゆく空に染みゆきて | 博充 |
売られをる桜苗木も花盛り | あひる |
三川の風に煽られ花堤 | あひる |
花冷えの青きシートの手持ちぶさ | ふさこ |
校庭の花ちらほらと笑まひけり | みきえ |
花の席シングル会として集ふ | たか子 |
冴返るきっちり戻るブーメラン | 千鶴 |
パンジーに朝の雫のレンズかな | むべ |
石垣沿ひ光る羽毛の翁草 | 愛正 |
遊歩道私も見てと木瓜の花 | みきえ |
雪柳アーチを潜る笑顔かな | きよえ |
語り部は同窓生や城のどか | やよい |
引き潮の穴より馬刀貝躍り出る | よし女 |
東風吹くや舫解く手の温もりて | 博充 |
せせらぎの風に乗りたるしゃぼん玉 | 康子 |
大輪の椿好みし武家屋敷 | 澄子 |
咲きすすむ下枝川面へ花堤 | むべ |
遠山に点々と白花こぶし | こすもす |
昨の雨ふふむ桜の洛大路 | えいじ |
百年を愛でる人見し糸垂桜 | ほたる |
翁草芽吹く樹下の砂だまり | 愛正 |
月映す池とや今は花かがみ | たか子 |
光悦の愛し三山涅槃西風 | もとこ |
そぼ降りの仄かに花の光りけり | えいいち |
ほつほつと肩で息する芽吹き山 | 明日香 |
土手のどか走者は絆ロープして | せいじ |
ハンカチにつつむ貝殻磯遊び | なつき |
桜湯の香りおこわに炊き込まむ | よし女 |
鳶風に煽られながら風に乗る | 和繁 |
2025年03月29日 | |
淡雪や時計静かに秒刻む | 藤井 |
花曇り水面は太陽のみ映す | 和繁 |
ひとり居の背なの湿布や春憂ひ | たか子 |
初花や一輪愛でる肩車 | ほたる |
蓮の葉の屋根ともなりて花を守る | せいじ |
石積の隙間に芽出す翁草 | 愛正 |
砂浴びの雀飛び立つ翁草 | 愛正 |
花冷えや丸くなってる膝の猫 | こすもす |
競漕の足の突っ張り赤銅色 | みきお |
退院して驚く青葉額の花 | 董雨 |
盃に桜をひとつ浮かべけり | わたる |
ものの芽の潤ふ雫や雨しづか | もとこ |
八重椿ばさりと重き音に落つ | 藤井 |
学園へと変身の母校花の冷え | こすもす |
遠峰は黒し菜の花畑かな | むべ |
一本の桜咲き満つ寺の庭 | きよえ |
麗らかや高舞ふ鳶の目は何を | わかば |
春を撮る焦点深度浅くして | せいじ |
朱橋より鯉の口見る花の下 | なつき |
押し車の新車の軽し三月じん | 董雨 |
山嶺の薄雲払ふ桜東風 | 明日香 |
チューリップ小さき手の鉢あぶなかし | ふさこ |
黄水仙輪に咲き日浴ぶ木の袂 | きよえ |
お座りのララと見てゐる初朧 | えいじ |
春の日や孫の寝返り再挑戦 | 康子 |
風光る湖さざめきて櫂走る | 博充 |
鵯の子の軒端に宿る菜種梅雨 | 澄子 |
死の淵に彷徨ふ爺に寒戻る | みきお |
キッチンカーに惑ふや春の城マルシェ | やよい |
ダム湖畔映る桜は四分か五分 | 千鶴 |
ぷるぷると風に三色すみれかな | えいいち |
花冷えや橋の袂はさらさらと | 博充 |
子の駆ける大地百花や風光る | えいじ |
車椅子降りて写真や花の下 | 康子 |
藪椿重さあるごと落ちにけり | よし女 |
揚げ雲雀上昇気流のり歌う | わたる |
木の芽棘よけて摘む手の残り香よ | ほたる |
八方に風つかまんと雪柳 | むべ |
白鷺をマイクロバスが抜く春野 | 和繁 |
木々の間を埋め三椏明かりかな | わかば |
たこ壷の口あんぐりと春の浜 | よし女 |
昼灯すキッチンカーや花曇り | なつき |
春や春五十五万石とや城下なる | たか子 |
日輪の沖に留まる遅日かな | 澄子 |
2025年03月28日 | |
茫漠の巨大落日黄沙舞ふ | えいいち |
春の泥長靴逆さに干す現場 | 山椒 |
再会はまだ三分咲き花の下 | なつき |
花むしろ猫耳つけておしゃまな子 | なつき |
初桜大使館辞す吾のうへに | むべ |
店先に並ぶバケツやチューリップ | あひる |
磯静か子らの足音春夕焼 | 博充 |
あたたけし小さき手合はす曹父母に | もとこ |
初蝶の大地百花を練りゆけり | えいじ |
海原や千里遥かな蝶の旅 | 澄子 |
首塚の真上に歌ふ揚雲雀 | 明日香 |
坂登れば河津桜の吹雪をり | 千鶴 |
花冷えや軒の隙より猫の声 | 博充 |
春蘭のつまし一株香の密か | わかば |
幾度となく挨拶に来る初燕 | ほたる |
しばらくは子雀あそぶパーゴラに | 康子 |
島二つかすかに浮かぶ黄砂かな | 藤井 |
初音聞く里の小径を出勤す | むべ |
木の芽時昼餉は吾も庭椅子で | よし女 |
次々と駆け込む軒下春驟雨 | みきお |
香を放つ空家の庭の沈丁花 | こすもす |
つぎつぎと芽吹く鉢植え笑みこぼる | 明日香 |
花守の車の整理多忙なる | みきお |
ブロック塀はみ出し揺るる雪柳 | こすもす |
捨て畑や畦に明るき金鳳華 | 愛正 |
吉宗も愛でし庭園藻草生ふ | やよい |
春蘭の目覚め促す木漏れ日よ | わかば |
マンションの百灯に照る大桜 | 康子 |
あばら家の上座居座る君子蘭 | 愛正 |
春嵐雨の匂ひを纏ひたり | 山椒 |
つちふるや派手な部屋干し旗めきて | ふさこ |
春寒し一枚羽織る駅出口 | みきえ |
自転車の保険更新春野馳す | せいじ |
クラックに生ふ蒲公英のロゼット葉 | せいじ |
嬰笑ふ顔憶えたり春うらら | わたる |
口すすぐ庭土佐みずきの花明かり | よし女 |
馬酔木咲く村の小道や子らの声 | 藤井 |
しだれ梅愛づやだらりの帯の如 | きよえ |
味噌蔵の甍の波に春陽差し | たか子 |
雨止む間初蝶野中ふはふはと | きよえ |
広野いまアブストラクト芝青む | えいじ |
不揃ひの二両編成春の野に | 和繁 |
地の酒に桜浮かべて酔ひにけり | わたる |
春雨や田から鵟が向かふ森 | 和繁 |
春雷や細く仄かにホライズン | 澄子 |
明け方に目覚めしままや春の雨 | ぽんこ |
2025年03月27日 | |
黒マルチ宝蓋草に縁取られ | みきえ |
花山椒摘みし指先香りたり | むべ |
甘辛の土筆煮子らの食卓に | なつき |
明日こそ咲いてくれそうチューリップ | こすもす |