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溝蕎麦の花浄土なる用水路 せいじ
蔵白壁塗りつくしたる蔦紅葉 ほたる
プレゼント用のお手玉作り秋惜しむ こすもす
宵月や厳しさ朝と教えけり わたる
山澄みし天に稜線張りにけり もとこ
色直し赤き実纏う山法師 みきえ
「せせらぎの小径」は秋の蚊の牙城 えいじ
穭田は乾田のごと整然と せいじ
秋空映るソーラーパネル雀来る 和繁
夕暮れに沈む紫斑や杜鵑草 むべ
インターを出れば紅葉の道標 康子
腕時計きらりと光る村芝居 みきお
栗羊羹切るに手こずる爪楊枝 愛正
海山を越えて集まる神の旅 みきお
果舗茶舗をめぐり城下の秋惜しむ 千鶴
秋草の抜け道をゆく夫連れて あひる
主治医の話聞きざる秋思かな ぽんこ
草の庭隣の柘榴爆ぜて落つ 和繁
採りたてのほど良き塩のむかご飯 ふさこ
湯殿より飛ぶ星数ふ至福かな 澄子
野地蔵に木の実ふるなり檜木笠 愛正
神馬駆け出して紅葉を揺らすかに なつき
夜半の雨冴えざえと咲く露の草 勉聖
秋日和名を刻みたる掛け時計 勉聖
トランプ氏タラップおりて咳一つ 藤井
晩秋や大樹を過る鳥の影 むべ
長き夜の野球談義や夫と居て きよえ

2025年10月28日

小灰蝶グランドカバーをたもとほる むべ
水鳥やひなたに浮かぶ無音かな あきこ
破れたる土嚢に育ち草の花 あひる
久々のホールインワン秋うらら こすもす
靡かざる敗荷さらに荒れにけり 澄子
波打ちてダムになだるる紅葉山 康子
展望の果てまで靡く芒原 康子
熊出でて観光立国昼の月 藤井
実南天雨粒下げて辞儀深く よし女
行く秋よ杖の向くまま里山路 きよえ
彼岸花群れて咲くほど寂しかり 明日香
敷石に躓く吾子の手に木の実 愛正
鉄塔を流れて迅し秋の雲 えいじ
虫食ひの桜紅葉の光の葉 えいいち
朱欒熟るほそき木末の弓形に むべ
黄落の銀杏並木を登校す 和繁
手を振りてショートステイへ秋日和 せいじ
庭隅に細き畝足し葱植うる なつき
御手洗の底に重なる落葉かな ぽんこ
プラタナス天使の如し翠の葉 あきこ
賑やかしコキア紅葉の無人駅 もとこ
頂に紅富士を得し刹那かな 澄子
無口な子悴む心打ち解けず みきお
赤城山晴れて秋寒湖畔宿 愛正
川音や古民家カフェの寒椿 藤井
弓形に撓ふ枝先柿三つ えいいち
竹の春筆塚の文字ふくよかに たか子
黒雲の波すれすれに月泳ぐ わたる
稲の穂や畦に名残の風揺るる 博充
インフルエンザ園の白鳥隔離され よし女
クリーニング済みのコートや宅急便 なつき
秋没日紀淡海峡朱に染めて やよい
内海より川流るるごと秋の渦 千鶴
雁渡る雲間の月に吸はれけり 勉聖
白雲にうつすらと立つ秋の虹 和繁
激つ川白き水音秋惜しむ 明日香
ユーターンしてまた畑へ秋の蝶 あひる
店先に展ぐ彩り豊の秋 山椒
行く秋や旅立つ人の影長く 博充
お出かけの母ふかぶかと冬帽子 せいじ
雲の日に色の浮きたつ泡立ち草 えいじ
新ゲームは楽しさ半分秋の虹 こすもす
傾斜地に踏ん張り探す梅の花 みきお
掃き寄せし銀杏の山御堂筋 ふさこ
白波や浜に佇てば月の影 勉聖
三日月や茜雲の遠くあり きよえ

2025年10月27日

秋祭果てたる宮の静寂かな やよい
往きよりも二度下がる気温秋の虹 こすもす
夕さりて山法師の実ともる道 むべ
一つ飛んでわれもわれもと稲雀 えいじ
被爆地の川の澄みけり秋日和 藤井
静けさや柿の実熟れて地に落つる 藤井
暁や山寺の甍に鳥啼けり 勉聖
蔦紅葉蔵の家紋に縺れたり 愛正
木犀の溢るる大地匂ひたつ むべ
焼芋を包む新聞ほのぬきし みきお
野の草を跳ねる雀の白き頬 和繁
一ビルに陽の宿るごと秋の朝 ほたる
零余子飯先ずは仏壇湯気上る 愛正
実南天雨粒下げて辞儀深く よし女
群鳩の波の攫ふや刈田原 えいじ
赤き実を食べ散らかして鵯騒ぐ わたる
未だ解かずありねんねこの仕付け糸 よし女
白鳥の声に朝日の射し込めり 和繁
寒露過ぎ竹の影濃し朝の庭 博充
ばあちゃんち長靴で剝く栗拾ひ 千鶴
瀬戸焦すドドドンドーン秋花火 きよえ
石磴の手摺に触れる海桐の実 ぽんこ
草の花飾る旅館の談話室 康子
ぽろぽろと止まらぬ愚痴や夕化粧 明日香
パソコンの寝落ちの連打小六月 ほたる
路地裏の塀を外るる初紅葉 えいいち
栗剥ひて手と口動く厨かな もとこ
風あれば風の意のまま薄原 明日香
寄り道や聖歌ひびく秋の午後 勉聖
秋の草駅へと靡く分離帯 みきえ
秋思憑く終末ケアの苦心譚 せいじ
コンバイン音も軽やか豊の秋 みきお
遊具から遊具子を追ふ秋うらら なつき
岩肌を纏ふ衣や薄紅葉 きよえ
チャプレンは何て可憐や吾亦紅 せいじ
新米の香に待ちわぶ旅朝餉 康子
逆光のポールポストや秋日差し こすもす
天高し子と乗るジェットコースター なつき
行く秋や橋の下より水の声 博充

2025年10月26日

小菊咲く墓地への道や手向草 むべ
独り居の咳の音にぞ励まされ あきこ
時雨きて楡の大樹に宿りけり 澄子
作句する夜の静けさ秋灯火 ぽんこ
秋日射し天守を登る水陽炎 康子
病癒えし身に浸みわたる隙間風 藤井
秋霖や銀輪に絡む靴の紐 ほたる
柚子味噌を舐めて一献友と酌む 愛正
石蕗や蕾頂く茎太し こすもす
雨の降るなかの完売文化祭 和繁
うそ寒し小雨そぼ降る裏参道 せいじ
喉奥に髭の纏はる鬼まんじゆう えいじ
しみじみと晴れし空なり赤とんぼ 青海
飛び去ると見えし鴨来る急旋回 和繁
銀杏の溢るる古城石畳 山椒
暗闇の路地か匂ふ金木犀 みきお
霧雨に黒傘けぶる山の墓地 むべ
晩秋の百舌のひとみや羽冷ゆる 勉聖
柿の秋八百屋の棚のセール品 あきこ
落毬のはじけ栗の実三つ揃ひ 千鶴
稲妻や背骨顕に最上川 わたる
今買ひし苗に降り初む秋時雨 あひる
散紅葉ライトアップの絨毯に 康子
秋時雨木立も軒も雫留む きよえ
唐突の寝落ちに未成秋灯下 えいいち
不忍池や揺るる敗荷抱くのみ えいいち
銀杏散り夕日に染む並木道 勉聖
秋の夜配膳ロボットフル稼動 みきえ
粗壁の蔵に西日や蔦紅葉 愛正
豊の秋夫の糠床手入れかな もとこ
水底の紅葉ひとひら揺れてをり 明日香
渋柿のあまたに実り影深し 藤井
秋の日を包んで仕舞ふ布団かな みきお
シナモンが決め手輪切りの焼きりんご たか子
生きる意味説くチャプレンの声さやか せいじ
行き暮れて紅葉の山の名残惜し 青海
朝冷えの街の灯に息吹きかけり えいじ
秋高し毘沙門天の威徳院 明日香
庭手入れ付かず離れず飛蝗かな やよい
薄墨の樹海重たき時雨雲 澄子
頂上は小鳥に残す木守柿 ほたる
庭の松手入れ宜しく若返る きよえ
バス停に菊懸崖のちんまりと こすもす

2025年10月25日

運動会ビデオ係に駆り出され なつき
秋寒しハンドクリーム念入りに みきえ
むかご飯老婆自慢の塩加減 愛正
風の日の高きに揺るる花梨の実 えいじ
独り居の三日続きのシチューかな たか子
大型車通過する度照葉散る きよえ
一栄の夢を手繰りて浮寝鳥 あきこ
朝寒やポキポキポキと腰の骨 やよい
里山に佇てば裾野は柿花火 康子
見上ぐれば竿先に照る熟れし柿 博充
せはしげに水路を辿る火焚鳥 和繁
おはぎ屋の庭の紅葉見て帰る 和繁
父母逝って故郷遠くなりにけり みきお
寺市の仏花抱えて千灯祭 なつき
白波の逆巻くうねり冬近し 千鶴
翳紅き花に惑ひて神の留守 あきこ
風の萩ゆりかごとせる蜆蝶 みのる
柿吊るす簾となりて夕の里 わたる
暮の秋窓に映るは影一つ 博充
薄紅葉手延べ硝子に揺らぎをり もとこ
唐突に日日じゃ えいいち
気持だけ若くて元気冬来る 藤井
指先にかろき痛みや草虱 むべ
垣のごと里道続く芒かな きよえ
雨しとどから紅に茨の実 澄子
襟立てて靴音高し夜寒かな ほたる
山峽の人住まぬ家霧の中 明日香
柚子むけば香り立ちたる台所 愛正
街路樹の幹にもみづる一葉かな せいじ
波打った走り根に降る落葉かな ぽんこ
茹であがる酢に紅染まるズイキかな ほたる
薮に置く霜降の実の紅美しき 澄子
稜線の雲にとけゐし秋黴雨 明日香
友見舞ふ作り笑顔の年の暮れ みきお
黄金の色さまざまや銀杏散る せいじ
木犀や裏戸をあければ香の波 勉聖
秋晴れに譲りし雲は山々に 康子
冬の陽や狂ヘる四季に暦見る 藤井
朝日出づ薄紅の鰯雲 えいじ
気嵐や黄金に染まる舟ひとつ 勉聖

2025年10月24日

暮の秋川面を染むる赤き雲 博充
蒼天や日差しを浴びて庭木刈る 明日香
渡し場の小舟に散るや蘆の花 愛正
幼な子と遊ぶ砂場や小六月 みきお
蔵壁をグラデーションに蔦紅葉 康子
干からびし供花入れ替ふ墓参り みきえ
畑隅の一隅照らす柿紅葉 愛正
鳥渡る隊列組みて飛機のごと きよえ
泣き果てて母の背中に冬ぬくし もとこ
水鳥の日向に浮かぶ二羽三羽 あきこ
一切を霧に包まる杣の村 明日香
留守宅に秋風とおす一日かな あひる
青信号伴奏に鳴く月鈴子 あきこ
秋の河澱みに浮かぶ下り舟 えいじ
目印は泡立草や車止め むべ
落穂踏む靴音かすか風渡る 勉聖
対岸は白樺綴る紅葉山 康子
色鳥の一羽鉄塔見張りかな きよえ
熊笹の縁取り著るき冬隣 澄子
園間中小さき祠に小鳥来る ぽんこ
木くず置場に清さありけり仙人草 和繁
こすもすは開花と幟やまの駅 あひる
大口でニカリ南瓜のランターン 山椒
具沢山けんちん汁の鍋溢れ みきえ
外に出て急ぎ戻るやそぞろ寒 ほたる
小鳥来る人来ぬ村社の鬼飾り わたる
悩みまた反抗の日や秋の霧 勉聖
運動会の樂流れくる庭手入れ やよい
天然のミラーボールや夕紅葉 せいじ
湖の色深く沈めて冬近し 澄子
羽根欠けし秋蝶のなほ飛ぶ日向 和繁
模倣から知恵の芽生えや鰯雲 藤井
常緑の山をバックに銀杏黄葉 せいじ
音もなく花園つつむ朝の霧 藤井
秋江の流れをねじる礁 えいじ
親芋に子芋抱かれ育ちけり 千鶴
旅に打つ弁慶の鐘秋澄めり なつき
目薬の溢れ流るる今朝の冬 みきお
大玻璃に涙ばしりす秋時雨 むべ
葉の落ちて柿の実宙に浮きし如 こすもす
五鈷水に皺の手広げ秋惜しむ なつき

2025年10月23日

本堂へ迫り出す松の色変えず 康子
鋤焼をどうぞお食べと鍋奉行 えいじ
常濡れし弘法石や散紅葉 なつき
月今宵越し方行く末良しとせり たか子
夕月や友の影追ふ池の面に 勉聖
実の赤や紅葉深き花水木 和繁
岩頭のひびに色づく蔦紅葉 えいじ
高きよりライスシャワーめく金木犀 むべ
渋柿の落ちて静けき夕まぐれ 博充
城下町古家彩る蔦紅葉 康子
息の合ふ漢の笛や秋祭 やよい
朝顔に彩られたり塵出し場 和繁
ハイタッチ孫と卒寿の稲を刈る かかし
吹き抜くる風の囁き芒原 よし女
樟大樹ごっこ遊びに秋日射す ぽんこ
天高し吹く風たまに朝散歩 きよえ
紅葉の池に映ゆるや鯉二匹 藤井
蘆の花中洲の野鳥見え隠れ 愛正
のけぞりてジェット機追ふや天高し 千鶴
翳は濃き辛子色して銀杏黄葉 せいじ
神の旅標なき道にしひがし あきこ
渋柿やたわわに生りて鳥も来ず 博充
卓を統ぶ香りの強き草の花 せいじ
秋日射すアールデコなる古館 もとこ
大風の立ちて始むる神の旅 あきこ
歩きつつリップ塗る人ジャケツ着て あひる
二拍子に揺れて手を振る紅葉かな わたる
幾たびも冠雪の富士仰ぎ見ゆ 澄子
霜降の黒づくめなる旅装かな なつき
稲架崩れ鳥影ひとつ秋の暮 勉聖
里の道杖を休めて秋の声 きよえ
秋天に白鳩の群れ円描く むべ
柿紅葉棚田の畦を滑る風 愛正
屋根に干す寝具ふかふか秋日燦 明日香
おのが影色濃く落し蜻蛉飛ぶ よし女
掘炬燵出番となりてど真ん中 みきえ
現れてすぐまた消える秋の雲 こすもす
球の行方追えば茸のちんまりと こすもす
冬近し花終えし庭安らぎて 明日香
卓上に香り清しく青き柚 澄子
廃校の黒板メニュー零余子飯 かかし
閣僚の新顔映える秋の陣 藤井

2025年10月22日

秋雲り道へ滴る草の雨 えいじ
惜しみつつ飲むラテアート秋うらら あひる
選挙カー行き交う国道秋時雨 こすもす
うそ寒や何するでなく独りの夜 やよい
まな板の音も水音も澄めりけり せいじ
秋の夜や既読を待てる胸の焦 勉聖
真白なる獣の尾めく花芒 むべ
紅い花部屋に飾りて神の留守 あきこ
鰯雲すきまだらけに星ひとつ えいじ
指間こぼるる小さき宝石今年米 ほたる
緑さす館包みし摩耶夫人 山椒
そこここに残る千草やけもの道 澄子
晩秋のグランのゴルフ六千歩 こすもす
母牛を肉に売る日やそぞろ寒 和繁
新米の運び込まれて蔵重し ほたる
牡蠣殻にまばゆき螺鈿の調べかな あきこ
古井戸を覆ふ無花果蟻の列 愛正
藤袴植えて待つ庭渡り蝶 みきお
秋湿り墓地を去り行くひと家族 たか子
句作りや筆とまらせる月明り 藤井
トンネルに立ちはだかりし霧襖 康子
青空や心の弾む庭仕事 明日香
色鳥や廃線先は杣の道 わたる
霜降や終活講座の案内見し なつき
蜜柑むく音の心地よき一人の夜 あひる
暮の秋灯をともしたる机かな 博充
待った無しけふこそ後の更衣 みきえ
百寿てふ恩師囲みて菊日和 かかし
どこからか鎚の遠音や秋澄める せいじ
口ずさむ路上ライブや秋の暮 もとこ
手水舎の屋根に矢の落つ千灯祭 なつき
母牛にブラシをかける秋思かな 和繁
忘れ物取りに帰る子小鳥来る みきお
雨冷へや一気に変はる季の巡り みきえ
手土産は枝振り美しき木通蔓 澄子
月を待つ心静かに夜の風 藤井
地獄谷覗けば燃ゆる紅葉かな 康子
草の花雨天に黄色ひかりをり きよえ
松茸の香る初物吸いものに 千鶴
法事には父思い出す零余子飯 明日香
鰯雲石を蹴り蹴り下校生 かかし
杜囲む刈田飛び交ふ群鴉 愛正
木の実降る道に誰そゐる夕まぐれ 勉聖
足弱の夫とタクシー小夜時雨 ぽんこ
立ち止まり譲り合ふ路地秋の雨 きよえ
秋雨に濡れ羽を翳す鴉かな むべ

2025年10月21日

秋の蚊に刺され眠れぬ深夜かな みきお
ひもすがら残る千草に雨すだく 澄子
タンカーゆく水平線の秋日満つ なつき
ゴミを出す午前五時半夜の露 藤井
カラフルに犇めくコスモス休耕田 こすもす
秋深し疲れた庭に薄日差し 明日香
背を追ひし馬の尾に附す神の旅 あきこ
紅葉散る鏡池へと呑みこまれ 康子
色褪せしがり版句集秋燈下 かかし
ふたり居の飴色大根昨日今日 もとこ
放棄田に鍬の錆びをる秋の暮 かかし
碧天にひるがえり舞う池紅葉 ほたる
赤き陽を撥ね返したる柿簾 わたる
山もみじ舞ふ廃寺や涙雨 愛正
肩掛けの背丸めつつ季寄せ繰る みきえ
蔦紅葉絡む窓辺や礼拝堂 むべ
高梯子上り獅子舞ふ秋祭 やよい
飲泉をはさみ利酒旅至福 康子
緞帳か山腹覆ふ山紅葉 愛正
林檎六つならべ明るき厨窓 あひる
ふと気づく生活音も秋の声 せいじ
葉の落ちてほぼ茎だけや杜鵑 明日香
密集し明るし秋の麒麟草 和繁
しんと佇つ牡鹿と暫し対峙せり 澄子
新米のはじめて食す新之助 ほたる
爽やかや車窓の海の青々と なつき
愛用の帽子も檀に秋の葬 たか子
花水木並木紅葉深まりぬ 和繁
夕風に斑紋揺るる冬紅葉 あきこ
夕風に色づく芒唄ってる きよえ
常に持つ扇つひに仕舞ひけり みきえ
雲去つて秋しののめに星ひとつ えいじ
足音の消えてゆきたる後の月 藤井
寺門を入ればしじまに虫の声 勉聖
胸ふるるひつぢ田啄む鴨のこゑ 勉聖
九十六才を見舞いし帰路や秋夕焼 こすもす
鰯雲なりきれぬまま日の暮れて みきお
香のほのか真夜の厨に草の花 あひる
柿照るや天の深さに手を翳す 博充
ゆで栗を下宿までもてくれし君 せいじ
まんまるのなぞえ光りの木の実かな えいじ
藷飯を炊きたく畑へ掘りに行く よし女
柘榴爆ぜ宝石箱を開けるごと むべ
息子来て早々決まるお取越 よし女
黄葉照る園の大樹の銀杏かな きよえ
やや寒の村を連呼の選挙カー 千鶴

2025年10月20日

秋桜の揺れる四五本朝の卓 みきえ
鳥のため残す真赤な熟柿かな こすもす
冬近しロイ・ブキャナンの哭くギター 勉聖
気怠げな君も愛しき今朝の秋 勉聖
ゆで栗をスプーンもて餓鬼さながらに せいじ
白き街染めて海へと秋入日 なつき
黒き服着たる母子や秋の庭 和繁
草色の刺繍糸減る夜なべかな あきこ
朝法要尼僧の響く声さやか 康子
一枚の冬服入れてショートステイ あひる
道端の青紫蘇の実の丸さかな 和繁
里染める漆紅葉や一番手 わたる
木の橋を渡りて帰る秋の暮 藤井
高鳴きの森を切り裂き鵙日和 むべ
ゆで栗を喰めばふるさと偲ばるる せいじ
秋草の勢ひ増すや夜半の雨 きよえ
灯の消えて青息吐息鉦叩 よし女
朝霧のマンションの窓灯幽か そうけい
ランタナの釣瓶落しの日を咲けり えいじ
紅白の水引草の花添いて 明日香
川岸へひとひら舞ひて落葉かな 博充
朝霧をまとひ浮かぶるひえの山 もとこ
おでん鍋辛子を探す夜の厨 よし女
開け放つ居間通り過ぐ鬼やんま みきお
猿梨や鳥の目溢し撓わなる 澄子
石棺の闇に合掌鳥渡る たか子
艶消しの車輪梅の実露はじく むべ
朝顔や垣巡らせて紫に染むし きよえ
水涸れる園の水路のさびしさよ ぽんこ
夜半の雨朝日におどる桜紅葉ほ ほたる
夜の静寂秋風鈴の冴へ渡り みきえ
水青し渓流に映える山の色 愛正
寄せ鍋や娘の加われば賑やかに あひる
吊し柿適した軒は今はなく 明日香
柿落葉踏めば鳴りけり暮の径 博充
パパが掘り仕上げは子らや甘薯掘り 康子
新藁の友編む草鞋軽きかな 千鶴
玄関にか細き声の昼の虫 みきお
露けしや学びの道の果て知らず 藤井
日展や外は絵の具を混ぜし空 あきこ
山もみじ散る葉を背なに山の道 愛正
風船葛種に真白きハートかな こすもす
草の丘釣瓶落しの日に登る えいじ
円陣に老樹に噴きし茸かな 澄子
蕪村句碑秋草を刈り伏せるまま なつき

2025年10月19日

秋祭り御神酒背に受け獅子の舞ふ やよい
辻井氏弾くショパンのピアノ身にぞ入む うつぎ
シボ光る縮緬波や秋日燦 むべ
道に伏す蜻蛉の脚にまだ力 和繁
皮きわをぽったり掬う熟柿 ほたる
鳥渡る朝日に染まる連峰へ 康子
夜長し宵寝ののちの虫養ひ 澄子
柿に鳥みづのきれいな農家かな あきこ
手作りの新米イカ飯舌鼓 こすもす
北斎の龍に見入るや秋の暮 勉聖
虫の声一人暮らしも長くなり 藤井
青空に種の透くごと熟し柿 ほたる
秋霖や巌張り付く散紅葉 澄子
白茶けし狗尾草に夕の風 和繁
里山の辺り辺りや初紅葉 きよえ
笛拍子に合はせて獅子の秋の舞 千鶴
風の日の葉裏を照らす秋の草 えいじ
朝日射し光芒をなす鰯雲 康子
ひつじ田の青空映る水溜り わたる
身に入むや病の友の力無く もとこ
祝福のカードを綴る良夜かな あひる
神よりの白木の箸や今年米 よし女
山裾を見上げるほどに紅葉かな 青海
送迎も牧師の仕事身にぞ沁む せいじ
東西に長き日本の残暑かな 藤井
古民家のライブとはしご文化祭 こすもす
渋柿の葉に光りたる雨雫 博充
山面を直登に翔び行く鷹一羽 愛正
須磨の浦遠く霞める旅の秋 勉聖
花束をルドンと並べ秋日和 あきこ
残されてかの日植えたる落葉掃く よし女
ひつじ田の青波初夏の景となり 愛正
揺らぎつつ水草紅葉綾なして 明日香
秋祭天狗に大泣き幼などち みきえ
ブラインド下ろせど秋日満つ車内 なつき
残り福待ちて棒立ち秋祭 みきえ
秋深し友の筆跡かすれをり 博充
甘藷堀る畝に並べて子のはしゃぐ きよえ
野放図に茎を伸ばすや水引草 明日香
藷掘りの服に牧師の早着替へ せいじ
茹で栗や同じ思い出夫と吾に あひる
山紅葉空のリフトの戻りけり なつき
広芝の一花に縋る秋の蜂 えいじ

2025年10月18日

潮風や無花果熟るる異人館 むべ
磨崖仏しぶきを浴びて秋暮るる 明日香
秋草の花穂に犇めく雨雫 えいじ
金木犀香るバリアへ突入す むべ
念願の御朱印受くる秋の宮 こすもす
三回忌明日に引かへて秋湿り たか子
冬近し日記にしるす接種の日 愛正
白百合の香満つ吹き抜け秋の宴 なつき
秋の園アサギマダラや旅立ちへ きよえ
結ぶ実も染め夕照の百日紅 あひる
運転の車中に及ぶ虫時雨 和繁
日没や月にも墓見ゆ赤とんぼ 藤井
秋深し書棚に眠る古日記 博充
一村をあげて応援万国旗 澄子
川風にほろりとこぼる蔦紅葉 勉聖
軽トラで拾って回る捨案山子 みきお
それぞれに灯火親しむ茶の間かな せいじ
鎌の月宇宙ステーションふと思ふ 明日香
御神木の夫婦杉佇つ秋の宮 こすもす
鰯雲手の平翳し風を知る 博充
藍染の暖簾くぐりて新走り 千鶴
秋の鷺コウノトリ追ふ里の池 きよえ
眼に眩し赤き簾や吊るし柿 わたる
山風やひつじ田揺らす青き波 愛正
小鳥くる狹庭の会議チュピチュピと やよい
廃寺跡柿を啄む羽音かな あきこ
懸崖の茶室を照らす渓紅葉 康子
落葉して梢の先の透かし空 澄子
天高し明石の門には斜張橋 せいじ
掃きし庭また席巻す朴落葉 よし女
老いの日をおちゃめに生きて秋の風 勉聖



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