2023.1〜2023.12の自選作品集です。
2023.1〜2023.12の自選作品集です。
完璧に筋とりきつてみかん食ぶ
行きゆきて戻るも楽し花堤
花どきの堤に現れし料金所
老い母の受洗祝ぐやに春の星
風立てば先陣を切る吹流し
身に馴染む義父の形見の夏衣
宮涼し双子ならびに力石
さざ波に片寄せられし未草
寄り来たる一会の人と椎拾ふ
菊に立つ今日より後期高齢者
今年は2月に義父が98歳で亡くなりましたが、5月には母が96歳でキリスト教の洗礼を受けるという喜ばしい出来事もありました。
私自身は11月に後期高齢者となりましたが、これからも俳句とともに前向きに生きていきたいと思っています。
禁猟区知つてゐるやに浮寝鳥
廊下にも一つ置かれし火鉢かな
カラフルなパラグライダー山笑ふ
野ざらしの五百羅漢に春疾風
花虻が案内役や植物園
堂内に響く雅楽や春の雨
ゆらゆらと若葉の影や遊歩道
白南風や外輪船の機嫌よし
刻々と変る筋雲秋夕やけ
柿たわわご自由にと札立てられて
喜寿を迎えましたが今年も定例句会は勿論のこといろんな趣味の会、ボランティア活動等にも元気に楽しく参加出来ました。
これからも俳句共々機会あるごとにいろんな活動に参加し精進していこうと思っています。
初電話たちまち弾む国訛り
しづり雪茶店の客の総立ちす
一幅の花の絵となる玻璃戸かな
掘返す工事の穴へ桜散る
故郷の兄と見ている蛍かな
思ひ出を語りあふ夜や青葉木菟
紙帯を解くや素麺ぱさと散る
びー玉は忘れものらし夏休み
名月のぽんと浮き出る甍かな
秋天へ手を振るごとく玻璃戸拭く
俳句の難しさと楽しさを味わった一年でした。
自分の句が「報告」「理屈」「無理」「季語動く」など自分で気が付くようになりました。
それが良い作品になっていけば良いのですが難しいです。
また大阪組や能勢のみなさんとの吟行はとても楽しく、句会での披講も経験できて良き学びとなりました。
今年も十句、楽しく選ばせていただきました。
ありがとうございました。
枯色に包む陸墓に木守柿
おはようと目覚めし雛を存問す
失せ物を探しあぐねる日永かな
収束に近きコロナ禍花は葉に
梱包の地方新聞梅雨じめり
四阿の隅に営む蟻の国
観音の片頬濃ゆき秋日陰
なまくらな包丁を研ぐ残暑かな
序破急と池に散りこむ風落葉
朽木めく老幹なれど冬芽もつ
定例句会が今年の11月で終了しました。私は20年お世話になりましたが最初の頃は緊張と焦りの連続でした。
それでも句友との出会いが楽しくもあり有意義な20年間でした。
面取りて泣く児に詫びる追儺鬼
首飾り編むげんげ田に日を浴びつ
代わる代わる赤子抱き上ぐ藤の下
花人を縫ひて始まる鬼ごつこ
子どもらはお菓子が目当て花まつり
肩車されて揃ひのアロハシャツ
水鉄砲の二丁拳銃爺降参
初めてのお泊りできし夏休み
お泊りの孫と一緒に盆用意
敬老日笑顔をくれし歯抜けの子
あっという間に一年が過ぎました。
出かけられず身辺句が多くなっていますが、吟行句も作りたいなと思うこの頃です。
恙なく一行記す初日記
抹茶点てお裾分けなる愛のチョコ
曲がりたる腰を伸ばすや花の下
鶺鴒の遊ぶ河原の風光る
破れなき蜘蛛の囲朝の日を弾く
雨滴かと見れば犇めくあめんぼう
昼過ぎを知つてゐて止む蝉時雨
配達便受取りねぎらふ残暑かな
長き夜の枕辺に置く句帳かな
緋毛氈敷しごとくに散紅葉
永い間お世話になっております。
今は体調悪く吟行に参加出来ないのがとても残念です。
これからもどうかよろしくお願いいたします。
屋号にて御慶を交はす宿場町
急磴にひと息つぎし百千鳥
春愁や思惟の菩薩のくすり指
沢からのよき風通ふ夏木立
藍染の卓布に変へて涼新た
薪として割る樹を選ぶ冬支度
湖囲む四囲の山並秋深し
橙に色差しきたる寒さかな
白骨の風倒木や冬河原
影曳きて人と犬ゆく雪の路地
本格的にこちらで学び始めて二年目になります。
『継続は力なり』を座右の銘としつつ、来年もみのるさんのご指導や皆様からのよき刺激をいただきつつ自分なりに頑張っていきたいと思います。
ありがとうございましたm(_ _)m
街灯に透ける氷柱はシャンデリア
小流れに指差し入れて芹を摘む
囀りやお代は吊るす竹筒に
出庫する始発電車に朝つばめ
瀬の石を桂馬飛びして避暑散歩
幼名で呼び合ふ座敷初盆会
瓢の笛優しく吹けば鳴りにけり
尺蠖の帽子の縁を一巡り
牛車軋む音も雅や時代祭
凭れ合ひ支へ合ひつつ蓮枯るる
選りすぐりの10句とはとてもいきませんでしたが、1年間続けられたことに満足しています。
皆さんとの絆があったればこそと感謝に堪えません。
今後ともよろしくお願い致します。
校長は達筆と知る卒業式
頬杖の崩れ落ちたり春眠し
女将呼ぶ蓋の開かない焼栄螺
詰め物は信濃新聞アスパラガス
雨後の朝袖を濡らして苺摘む
いつぞやの金魚のおもちや溝浚へ
商談を切り出す前の麦茶かな
弓なりの竿や鱸の鰓洗
篳篥の闇に染みゆく月今宵
腕に寝る四千グラム日向ぼこ
今年も何とか俳句を続けることができました。
GHの皆様に感謝致します。
なかなか類想から抜け出せないのですが新たな視点で万物を見つめて感性と発想を広げて行きたいと思います。
今後ともよろしくお願い致します。
逞しき冬芽の枝に神籤結ふ
薄氷を踏まずにをれぬ登校子
五百齢触れて暖か椋大樹
花堤左右に木津川桂川
花の雲目路に山上レストラン
山笑ふ吊橋わざと揺らす人
明け易し宵つ張りなる一人居に
地に落ちて嫌はれ好かれ銀杏の実
尻もちの後引く痛さ年詰まる
ペンギンの頭上に泳ぐ館涼し
又一年が過ぎました。
だんだん俳句が出来にくくなって行くように思います。
ゆっくりとでも何とか続けて行きたいと思っておりますが…よろしくお願いいたします。
風花の地に落つ刹那消えにけり
寒声や余韻の尻尾裏返り
誘ひあひ競ひあふやに梅ゆるむ
息災の一筆添へて新玉葱
代掻きを終へて労ふ老農機
パノラマに見ゆ秋航の水平線
新米の湯気包み込み塩むすび
この家の永き歳月木守柿
特攻の出撃跡地枯れすすき
顔見世に華を添へたる舞妓衆
12月に喜寿を迎えました。
毎日句会に選句-投句を始めて丸2年が過ぎ、作句もようやく千句を超えノートも5冊目となりました。
凡句続きでパッとしませんが亀の歩みでおっちら励みたいと思います。
今後ともどうぞ宜しくお願いします。
産みたてと掌に享く寒卵
ふらここやおでこで受くる夕日かな
梅ふふむ嬰の拳のひらくごと
藤房に見え隠れする蜂の尻
木の瘤に成りすましゐる蟇
みな美女に見ゆる編み笠風の盆
漆黒の海二タ分けす月の道
運転の鼻をくすぐる木犀香
雪吊の波うつてをる水鏡
叩かずに目こぼししたる冬の蝿
言葉で絵を描くように作句することの難しさを痛感する一年でした。
ただ、ふわっと降りてきたような句を捕まえた時のささやかな喜びが忘れがたく、ふうふう言いつつもどうにか継続することができました。
に心から感謝しています。
また来年もどうぞよろしくお願いいたします。
トロ箱を狭しと跳ねる桜鯛
風見鶏上機嫌なる南風
終点と肩叩かるる目借時
薔薇園のベンチに並ぶ豆画伯
大椰子に凭れ沖見るサングラス
大岩を卓に行厨いわし雲
秋時雨寄り添う鳩の含み声
トロッコの軋みて下る蜜柑山
村雨に朝日の虹の生まれをり
石蕗に寄せ草履揃えるにじり口
なかなか上達出来ませんが、頑張って行きますので宜しくお願いします。
綾取りは菓子折りの紐小正月
また一人来ては侍りし涅槃絵図
豆雛小さな宴広げをり
朝まだき元気だせよと時鳥
禰宜の妻ようお参りと笑み涼し
笊の豆涼しまろべば波の音
目に涼し汀子手縫ひといふドレス
気功の手翳す秋天支ふごと
養生の千年欅冬に入る
石仏の頬ゆるむやに冬日燦
一月からの十句を選びつつ一年の早さを感じます。
朝の気功とラジオ体操に精を出した事、三十年来の親友が亡くなった事、吟行が楽しかった事などがあります。
俳句は細々とですが来年もよろしくお願いいたします。
参磴に布袋の笑顔冬ぬくし
木道に蹲り見る花菖蒲
梅花藻の花星屑のごと揺るる
曼珠沙華道ゆく皆に愛でられて
甲山烟らしてをる宮焚火
翼下いまパズルのやふな刈田かな
センセーションてふ薔薇殊によく香る
実石榴を旅の土産と父帰る
鰭酒を兄と酌む日の来たりけり
笑顔良し真顔また良し初写真
いつもゴスペル俳句で学ばせていただき、ありがとうございます。
小さな発見をたいせつにこれからも俳句を続けていきたいと思います。
来年もよろしくお願いいたします。
お弁当見せあいつこす樹下涼し
推敲の句帳に今日の薔薇薫る
畑のどかウインカー無きトラクター
眺望へあと一段や梅の丘
中庭へ開け放ちたる雛の間
園丁の目こぼしならめ捻花
萩叢をぬつと出できし庭師かな
忠魂碑高し八千草籬とす
朱の欄に触れかつ散る寺紅葉
茶寮なる玻璃戸に歪む紅葉影
瞬く間の一年でした。
皆様のおかげ様で無事吟行に参加できることができました。
参加することに意義があると言い訳をしながら俳句を続けています。
みのるさんと のよき仲間に感謝しています。
放棄田に農学部員鍬始
冬うらら犬も乗りをる渡し船
花に酔ひ人にも酔ひて吉野山
花吹雪畦を行き交ふ耕運機
田水張る真青な空を延べにり
百匹の鯉幟舞ふ過疎の村
風鈴のねむれねむれと赤ん坊
秋天下市民ランナー数珠なりに
丸き背な伸ばし冬耕老夫婦
鬼瓦べそかくごとく霜雫
相変わらず首の頸椎異常で、手足が痺れ歩行が不安定です。
来年こそ治癒しあちこち吟行に参加したいと思います。
双六の折目に駒の浮いてをり
繰り出せる糸の限りの凧
筆洗ふ水を貰ひし春の川
楊梅を含みし頬のかた笑窪
腰深く落として処暑の太極拳
遠花火土手に影絵の人の列
廊下行く口笛はジャズ夜学生
稲刈を終え地下足袋に乾く泥
糊の香に猫の躊躇ふ白障子
悴みて墨糸絞る宮大工
でお世話になって丸5年になりました。
地元の結社での活動も順調です。
次のステップは…、などと考えてもいますが変わらず多作を続けていこうと思っています。
初茜視界展ける七合目
夭折のちひさき墓に春の雪
クロッカス北の大地を割り出づる
擬宝珠の蕾をほどく夜明けかな
独り寝に夜干の梅の匂ひたり
群青に空洗ふごと月涼し
かなかなや友の墓石の真新し
頂に小さき天守や紅葉山
一穢なき冬青空へ父逝きぬ
胼薬念入りにぬりひと日終ふ
今年は、みのるさんがつないでくださり武蔵野エリアで少人数吟行を実現できました。
自然の中に仲間とともに身を置き、神様がくださるさまざまな出会いを大切にしていきたいです。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
おでん種好物そつと夫へ寄せ
吹き出してうぐひす餅の粉飛ばす
輸血とは命のしずく春日差す
臥す夫に聴かせぬ話木下闇
時の日や看護の日々を慈しみ
髪洗ふあしたは明日けふは今日
諍いを悔ひつ片陰戻りけり
励ましの会話に満ちて冬温し
冬の朝あつあつ珈琲遺影にも
一人鍋つついて味の薄きこと
初めて吟行句会に参加させて頂いてからまだ7〜8年。
毎月の定例句会は7句出句と言う厳しさでした。
怖ごわのドキドキで参加させて頂いたのを覚えています。
みのるさんと皆様の魅力が引力となりここまで引っ張って来て頂いたと感謝にたえません。
まだまだ発展途上人の私です。末永くお付き合い下さいませ。
玻璃杯に富士を透かせて今年酒
青空と紅葉揉み合ふ水鏡
ハロウィンお化けのままに眠る孫
菰巻かれ身をよじるやに臥龍松
白菜のお尻の並ぶ無人店
片言の孫とおしゃべり縁小春
風意地悪追ひつ追はれつ落葉掃く
頬さすり美肌うべなふ柚子湯かな
クリスマスソング唄ひつ厨ごと
日記果つ佳き日の頁読み返し
今年の春ごろから俳句を始めました。
でみのるさんはじめ諸先輩方より勉強させて頂けることを心から感謝しております。これからも心ときめく瞬間をたくさん見つけ俳句を楽しんでいきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
地元紙に包まれ届くお餅かな
賀状書く金釘なれど心込め
笠被る狸も軒へ雪の朝
学窓へ振り返す手や春隣
万緑の山を貫くハイウェイ
歩を合はせ夫に差し掛く日傘かな
幼な子も花桶運ぶ墓参かな
秋暑し訪ねし店は休業日
しで棒の並ぶ沿道秋祭り
吊るし柿良き色選りてお裾分け
皆様の出句の力強さにいつも励まされています。感謝です。来年は、一日ニ句、吟行句、写生句を目標に精進したいと思っています。よろしくお願いいたします。
一と筋の轍も見えず銀世界
背にカイロ腰に毛布の厨かな
大いなる鳶の輪の中春耕す
囀りを零す大樹の葉擦れかな
尾を垂れて次の風まつ鯉幟
母の日やかの日の悔ひの今もなほ
草を引くこと又楽し雨後の朝
ピカピカにキッチン磨き涼あらた
爽やかや厨に鳥語きく朝
ゴンドラの人着ぶくれて窓掃除
昨年は殆ど投句できず、ギリギリの10句ですが参加出来たことに安堵しています。今年は少しでも俳句のできる環境であれば…と願ってています。
薄墨に滲みて東山眠る
余寒なほ挙がらぬ腕を持て余す
看板のひらがな読めて入学す
伽羅蕗を煮て母の味探りけり
雨空に月の鉾出づ京の辻
朝粥でもてなす京の残暑かな
茫々と平城宮跡冬芒
はふはふと梵字頂く大根焚
うたたねの膝に季寄せや日向ぼこ
門松の切つ先匂ふ老舗かな
京都暮らしの一年でした。GHに参加させていただいて、俳句のゼロから始め、身近の生活を詠む事がやっとで、景を詠む事が苦手でした。しかし、京都暮らしの中で、少しづつ詠めるようになってきたのかなと、自選しながら思いました。みのるさんの「京都に住んでから、変わったね」と言われたことが、腑に落ちました。今年には、兵庫に戻りますが、この経験を生かして、続けていきたいと思います。
藁屋根を見下ろしてをる木守柿
のんびりと垂れて糸瓜の太さかな
鰻より穴子が好きと瀬戸育ち
客打つて叱られている水鉄砲
ポンポンと音を聞かせて西瓜売る
梅雨に倦む六甲連山雲脱がず
喬木の森の小道の新樹光
花筏破りて鯉のはねにけり
空を蹴り山を蹴り上げ半仙戯
寒紅を引きてリモート句会かな
ついに私も超高齢者となりました。俳句の発想も覚束なくなり引退の時期かも知れないと思うこの頃です。続けられればよいのですが…
お正月集ふ真中に母在す
風花の乱舞に自若大伽藍
瑞枝いま雫と含む枝垂梅
慰霊の碑動物園の春陰に
高鳴れる水音のほとり半夏生
神奈備の樹下のベンチの風涼し
水滴の光る草食む鹿の子かな
瀬の楽の序破急に沿ふ滝の道
汀子展めぐる遺品のみな清か
黙想の庭の静けさ小鳥来る
みのるさん、 の皆様との吟行の学びとお交わりの楽しさに感謝いたします。
新しい年も変わらぬお交わりを心から願っております。
どうぞ皆様よろしくお願いいたします。
涅槃像御目あけませ風花す
ヘリの音太鼓打ちせる梅雨晴間
貴賓椅子涼し高足組んでみる
芝涼し湖面のごとく刈り込まれ
屁糞葛親のかたきと引かれけり
どことなく渦巻いてをる瀞涼し
たらちねの抱擁に似し日向ぼこ
錦繍の梢に透きて空ま青
紅葉且つ黄葉御座所を荘厳す
秀枝洩る日の目潰しや寺紅葉
年度作品集へのご協力をいただき心より感謝します。
皆様の素晴らしい作品を拝見しながら、自らの作品の不甲斐なさを覚えますが言い訳は出来ません。選者としての立ち位置に恥ずかしくない作品を目指してさらなる精進をしなくてはと反省しました。
メンバーの高齢化が進み顔ぶれにも少しずつ変化が見え始めました。応募者数も年々減少傾向にあり、詮無きことながらなんとも寂しいことです。
昨年の11月、みのるもけじめの80歳となりました。まだまだあと10年…といいきかせつつも体力の衰えは否定できず、俳句ライフのスタイルも転換期を迎えています。
若いメンバーの躍進に元気を頂きつつ新しい道へ踏み出したと思いますので、ひきつづいて の活動を支えていただきたく、よろしくお願いいたします。