2022.1〜2022.12の自選作品集です。
2022.1〜2022.12の自選作品集です。
参加年 = 2021年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 東京都
棟梁は齢八十屋根を葺く
たんぽぽを吹く子に戻るわた帽子
新入生傘で地面にあいうえお
立ち漕ぎや半袖シャツを膨らませ
爺の網ひとふりで蝶捕えけり
洗車場の水に生まるる春の虹
海鳴りのほかに音無く星月夜
どんぐりでお店ごつこのお支払い
猪の怒り凄まじ罠の檻
木犀を掃きし箒も匂ひ立つ
毎日句会に参加させていただき、ほぼ1年が経ちました。うんうん唸りながらどうにか毎日の作句を続けて参りましたが、先輩方はこれをずうっと継続され、なお瑞々しく新しいものを生み出しておられるのですから、本当に眩しい限りです。私はまだまだ力がなく、自分の見聞きした身近なものからしか句を作ることができません。少しずつでも幅を広げていきたいと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
参加年 = 2018年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 宮城県
舞ひ終へし帯の火照りや垂り雪
子を寝かすやうに畳みぬ春袷
舞ふ人の影しなやかに春障子
紅筆の小指が立ちぬ花衣
まづ浴衣直されてゐる舞稽古
脱ぎ置いて波のやうなる藍浴衣
流し目のままに扇を閉ぢにけり
振れば風揺らせば波や舞扇
秋扇を天に翳して踊り果つ
足袋脱げば五指寛いでをりにけり
飽きっぽい私ですが、みのるさんから何度も励ましの言葉をいただき、なんとかほぼ毎日投句を続けることが出来ました。良い句ができたことよりも、毎日休まず俳句を詠むことができた、このことが何にも代え難い財産になったと思います。迷わず、挫けず、日々淡々と作句することの難しさを痛感した一年でした。
参加年 = 2010年
性 別 = 男性
都道府県 = 大阪府
春迎ふ老いたればこそダンディーに
玉葱を包む新聞紙の戦禍
一枚は早や萍の田となりぬ
鎖場に吾を待ちくれし登山帽
老い母の吾に向けくれし扇風機
幸せといふ老い母の終戦日
嗚呼友よ霧の北鎌尾根に逝く
立てかけし杖に影あり真夜の月
浦小春指呼に満珠と干珠島
凩や微動だにせぬ関門橋
毎日句会への投句を生活のリズムとしながら一年を過ごしました。今年はかけがえのない友人を山の事故で突然亡くしましたが、俳句によって心を奮い立たせることができました。また、母や故郷にも心を寄せることができました。来年はどのような年が用意されているでしょうか。
参加年 = 2011年
性 別 = 女性
都道府県 = 愛知県
初盆や父の座椅子のでんとあり
初盆や父知らぬ嬰加はれり
振り向かず駅に消えゆく帰省の子
子ら去りて静けさ余す盆の月
子ら去りて夫婦で分くる缶ビール
鐘楼の前にハーレー秋遍路
イヤホンの片耳外す虫の夜
ヒーローになりたきと絵馬小鳥来る
髪ゴムの鈴鳴らしゆく花野道
子に将棋手加減なしや木の葉髪
今年の夏は暑さが特に体にこたえました。 毎日句会だけは続けたいと思い、何とか乗り越えられました。 そろそろ出かけたいなと思いつつ、億劫になってます。 また皆さんとお会いできる日を楽しみにしています。
参加年 = 2018年頃
性 別 = 男性
都道府県 = 徳島県
獅子舞の大き口から眼鏡顔
日脚伸ぶ鍵の振れゐるランドセル
童顔の百歳笑まふ雛の宿
上向きに並ぶ蛇口や夏の午後
漂流記胸に抱へて籐寝椅子
苔涼しわらべ地蔵に日の斑
川風を蹴上げて進む盆踊
折りとれば露の重さの蛍草
小糠雨とどめて光る芒の穂
ふきん縫ふ指は骨太一葉忌
自選した句を並べてみると俳句の中の世界のなんと平和なことか。 2022年は争いの時代でした。世界史の大きな変換点になる年のような気がします。良い方に行くのかまだまだ混乱が続くのか分かりませんが、ひととき俳句にひたっている時は世事の憂いを忘れたいと思っています。
参加年 = 2003年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
底冷えの日や天国と長風呂に
学び舎の残る一灯冴返る
掲げるは優勝力士桜鯛
四方の山色濃くなりて春深し
白々と卯の花浮かぶ夕べかな
黒南風の町を馳せゆく救急車
夏旺ん大泣きの子を持て余す
参拝の裳裾に触るる風の萩
澄む水の底石に日のとどきけり
汝れ逝くや金木犀の散る中に
ゴスペル俳句にお世話になって早20年御指導感謝致します。 今年は先輩の菜々さんが永遠に旅立たれ辛い一年になりました。これからもよろしくお願いいたします。
参加年 = 2010年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 広島県
赤マフラーして吟行すわれ白寿
氣のすまぬ時そっぼ向く春の駒
葉隠れに深山蓮華の大蕾
回覧板届けし軒に初燕
花あげしカタバミなればぬかでおく
草引かれ右往左往やてんと虫
せせらぎの音に傾き七変化
日日草日照りに耐ふる力あり
あれこれと老いの手抜きや年用意
セビアなる庭華やぐや実千両
今年は最悪の年でした。もう年だからやめようかと思いましたが、来年もう一年頑張って勉強をし直して見ようと思います。どうか宜しくお願いします。
参加年 = 2015年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 神奈川県
灯ともせば結露の玻璃は万華鏡
湯もみ女の高窓に舞ふ細雪
星空へからから唄ふ凍み豆腐
音程を涙に外す卒業子
大仏の螺髪に花の髪飾り
通訳の要る児と笑ふ花の下
がしやがしやと薬缶に氷畦を行く
草千里白露にまつ毛濡らす馬
かはらけを投げて厄除け紅葉山
緋毛氈華やぐ野点竹の秋
色々あった一年で、辛い事も多く、俳句では迷ってばかりでした。皆さんが頑張っていらっしゃるから…何とか励まされ日々を過ごせました。これからも頑張ります。宜しくお願いします。
参加年 = 2022年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 東京都
満開の薔薇に驟雨の容赦なく
青葉闇ここ一門の墓どころ
三方に海ひらけたる夏座敷
露地親し江戸風鈴のかろき音
葛刈りて渓の奈落のたしかなる
浜おもと海を見下ろす無人駅
けだものの目鼻となりて茸狩
指先に触れて冷たき花梨の実
坂がかる湯の街の路地片時雨
遠国の酒取りよせて冬篭
今年四月に句会参加を許され、無謀にも六月には投句…人前で恥をさらすのが上達の近道とばかり…皆様の句から計り知れない刺激を受け、改めて日本語の美しさや奥深さに感じ入る毎日です。みえないものに心を研ぎ澄ませる感性を養って生きたいと思ってます。これからも宜しくお願いします。
参加年 = 2021年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 兵庫県
老いうららひねもす畑の草引いて
節くれ手春耕の鍬振り上げて
サングラスかけてほど良し野良仕事
田水張り終へて生まるる蝌蚪の国
水やりの途中もぎりてトマト食む
鎌引きぬ稲束ザクッとひと握り
冬耕やまたこの黒ぼこの世話になる
冬日受く背なぽかぽかと畑仕事
鋤きたての土くれ転ぶ冬の畑
出で立ちは冬山装備畑に立つ
淡路島で米と玉ねぎの栽培をわずかばかり独り農家でやっています。去年10月から投句を始め21日現在693句目となりました。駄句凡作のオンパレードですが一日一句を目標に途切れることなく継続したいと思っています。これからもよろしくお願いします。
参加年 = 2004年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
寒風にテニスボールのよろけけり
春光を御手に掬ひし観音像
目の前の桜の枝とハイタッチ
奏でゐる園の一水蝌蚪の池
鳥語降る下闇深く義士の墓
噴水の中に腕白仁王立ち
夏日影塀より高き一断碑
山車曲がる身をよじりつつ反らしつつ
手の平に乗る盆栽の紅葉かな
焼栗の店主饒舌蚤の市
2004年頃からゴスペル俳句にお世話になっています。今年は俳句の不調の年となりもっと右脳(もう遅いかもしれませんが…)を鍛えなければとおもっています。
参加年 = 2004年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
寒稽古小さき拳が板を割る
花園に蝶々ひらり又ひらり
春日透く汀へ稚魚の寄りきたる
川風が捻れをほどく鯉幟
夢叶ひそうな真つ赤な薔薇アーチ
小鳥来て土俵に遊ぶ神の庭
一とかけの雲なき美空鳥渡る
冬菜畑トラピスチヌの裏庭に
マイナスの気温に吐息霜の朝
行く秋や汝と歩みし女坂
70歳のたしなみ(坂東眞理子)という本を買いさあこれからと思っているうちに気がつけば5年近くも経ちました。今年は飼いウサギの公兎(くう)が11年5ヶ月の長寿で亡くなったりと、別れの多い年でした。 俳句は10句揃えるのがやっとでしたが一句一句の思い出はいっぱいです。
参加年 = 2020年頃
性 別 = 男性
都道府県 = 兵庫県
金箔の黒豆摘む祝い箸
独楽の色同心円に溶け込めり
花万朶双子の眠るベビーカー
春光や苔押し分けて立つ実生
大南風松より高き龍馬像
魚信なき竿立て掛けて寝待月
引越しの荷物見送り鰯雲
小鳥来て和らぐ杜や力石
神主の走る境内七五三
不揃いの大根並ぶ「ご自由に」
お陰様でこの一年もGHを継続できたことに感謝致します。毎日句会では私は相変わらず一日一句のペースですが、新たな発想を求めて、日々精進したいと思います。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
参加年 = 2003年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
風が打つ鰐口の音花吹雪
水底のあめんぼの影沓を履く
水鏡して巫女舞へる御田祭
窓若葉夫婦でハモるリコーダー
立葵仲間に入れて立話
蛍火のついて来いよと言ふやうに
寝惜しみて亡夫と明かす盆の月
野仏の謂れは知らず曼珠沙華
磔像の部屋まで届け紅葉影
良きことも少しは有りて日記果つ
今年は辛いことも沢山ありましたが10句を抜き出しているとGHの選句投句をしている時間は、吟行の一日は、憂き事を忘れ無我の境地になれていたのだと気付かされます。趣味とはそういうことですよね。これからも俳句を続けていきたいと思います。
参加年 = 2003年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 兵庫県
カラフルな力士幟や街の春
夫在さば共に喜寿なり花吹雪
立ち止まる芭蕉の句碑や白日傘
園児嬉々おたまじゃくしに足生えて
昼餉の箸置きて黙祷終戦日
帰省子の過密予定の三日間
溶岩跡の清流風の音は秋
一羽来て一羽飛立つ木守柿
一坪の老いの丹精冬菜畑
眼を閉じて過ごす術後や夕時雨
今年も10句揃えることができました。GHすべての句会にほぼ参加、投句できたことも我ながらよく続いてると感心しています。但馬からの参加は奈良の娘宅無しでは考えられず、娘家族には大感謝です。これからも焦らずくさらずコツコツ俳句とつきあっていきたいと思います。
参加年 = 2011年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
田起こしの黒き土塊力満つ
よく空いて春日の席を置く電車
根上りに座す人もおり花筵
朝粥に塩味を足す大暑かな
手を繋ぐ夫は片陰外れたり
鞘堂の褪せし鈴の緒夏深し
大甕に犇めき太る布袋草
木喰仏在す洞へ稲穂風
炉火を守る若き女将の粉挽き唄
息詰めて第九のタクト待ちにけり
今年の俳句を繰っていくとその時々の情景が浮かんできます。楽しかった思い出は一杯ですが俳句にするのは難しく じっくり対象物を見る訓練を痛感しました。自分の句を客観的に見ることができました。これからもご指導よろしくお願いいたします。
参加年 = 2003年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
山茶花の花びら載せて力石
雛飾る笑顔に覗く二本の歯
銀色の雨滴をとどむ木の芽晴れ
クローバの花冠の落とし物
梔子のつぼむ筆先うすみどり
青々と清しき茅の輪くぐりけり
八寸の彩り豊か夏料理
羅漢様蟻登らせて笑まひをり
盆踊りペディキュアの下駄かろやかに
日々寧き一人暮らしや年惜しむ
ゴスペル俳句にお世話になって早20年、当然年齢もその分ふえており脳その他の働きも年齢相応?に陥っておりますが、これからも焦らずのんびりと俳句と付き合って行きたいと思っています。よろしくお願いいたします。
参加年 = 2016年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
紅葉影揺れ通しなる力石
甲山見おろして立つ雲の峰
根深葱頭出てをるエコバッグ
境内のベンチで句会青葉風
薔薇薫るコロナのマスク外したし
陽炎のなかを駈けゆく草競馬
秋日いま光と影に力石
露草が綺羅と朝日をはじきをり
池のどか植物園をゆらしてる
ケーブルカー窓いつぱいに花の雲
2022年は越木岩神社の吟行に参加をさせていただき、ありがとうございました。久々の吟行、楽しかったです。越木岩神社は、私が2016年に初めてゴスペル俳句に参加させていただいた時の吟行地です。来年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
参加年 = 2019年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
戸締りの触れしもの皆底冷えて
父偲ぶ振り子時計や冬座敷
姦しき鳥語出窓のヒヤシンス
手作りの野菜も並ぶ梅見茶屋
白梅の一枝添へて梅見膳
通し土間抜けてお庭の柿若葉
若楓ひと葉しのばせ旅便り
貴船川青く点して蛍の夜
写経する萩咲く庭に目を休め
凩や旅の地酒を酌む夜かな
今年は近辺に別れの多い年でした。何とか俳句を続けてこられたことに感謝しております。これからも宜しくお願い致します。
参加年 = 2005年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
寒天干す四囲の山垣砦とし
乙訓の水に育ちし白牡丹
千年の黴のほほえみ菩薩さま
酔芙蓉眺めの午後のテイタイム
七五三大きな夢を絵馬に書く
最終電車降りて家路へ枯野星
手習ひの窓の下なる猫の恋
八十路なほ夢のありけり雛飾る
ヘルメット脱ぐ長髪に花の風
炎昼やじつと我慢の力石
俳句を始めて20年になります。これからも続けていきたいと思っていますが年齢を重ねると自分のペースになってしまいます。皆さんにはご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。
参加年 = 2021年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
煤払い玻璃戸に息を子と競ひ
山道の採るに採られぬ柿たわわ
水澄て繰り返し鯉数える子
砲台跡海を眼下に風は秋
ひと日終へ老には長し秋の夜
舌だして色競べあふかき氷
大路なる車も停めし孕み鹿
杏咲く家目印と訪ねけり
春うらら洗濯物にかくれんぼ
東北忌海にぶつけし男泣き
ゆっくりと、しかし焦りながらなんとか1年目が終わりました。新しき年を迎え一つでも多く自分に合った句が詠めることを願っています。
参加年 = 2015年頃
性 別 = 男性
都道府県 = 大阪府
花丸も添削の書も吉書揚
フリスビー見事にキャッチ草青む
早暁の木々に耳当て桜守
ひらがなのスコアボードやこどもの日
川下る棹の捌きや新樹光
指尺で胡瓜を測る畑日誌
水筒に不老水てふ岩清水
ビル陰に昭和の長屋金魚玉
うそ寒し間分に残りし手鑿跡
炭焼の煤けし顔や歯の真白
首の頸椎異常がかなり癒えました。あと手足の痺れが癒えた折には、吟行句会に復帰したいと願っています。その時は宜しくお願いします。
参加年 = 2016年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
雪道を夫の靴跡なぞりつつ
芽柳に縺れ始めし濠の風
愛称はいねむり観音梅日和
病窓に街動き出す音おぼろ
誰とても失格は無し桜桃忌
揺るぎ無き悟りの窓に薄暑光
と見る間に梅雨雲脱ぎて山晴るる
四ツ辻に京の都を廻す鉾
天辺で呵呵大笑の柘榴かな
立ち喰いの解放感や街師走
改めてこの一年を振り返ることが出来ました。一句一句を読みかえせば、忽ちにその場面が再現出来る事を改めて感じました。俳句が面白い時期、楽しい時期、もう出来ないという時期があり、色々な場面でみのるさんの声無き励ましや、お仲間との交流に慰めや元気を戴きながらの俳句生活でした。中々申し上げる機会も無いのでここに御礼申し上げます。あと少し皆様について勉強するつもりでいます。
参加年 = 2021年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
春ぼこり拭いて地球儀回しけり
ふらここや小さきマントひるがえし
ただいまに返事の無くて昼寝中
一畝はラインダンスの花オクラ
やすらぎといふボタン押す扇風機
友逝けり秋深みたる槍ヶ岳
秋灯し鞍馬の里の小糠雨
裏側も覗いてみたり菊人形
小走れば枝から枝へ枯木星
冬ぼうし褒められて出る面会室
悲しいことも嬉しいこともあった一年、それを俳句に表現しながら前に進んで来ました。心配をおかけしたこともありました。反対に、みなさまの俳句に滲む思いに共感したり、俳句に心を解き放たれておられるご様子をともに楽しむことが出来ました。良き一年を心から感謝いたします。
参加年 = 2021年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 兵庫県
突風に舞ひ落ちて来し寒雀
寒風に揺るるおでんの赤提灯
降車して気づく春です忘れ物
制服の袖丈伸ばす春休み
須磨沖に浮かぶ帆船風光る
笹見へぬ程に短冊星祭
神職ら命綱付け滝の上
曼珠沙華さざ波寄する湖畔かな
黒髪を腰まで伸ばす秋の人
芋掘りの子らの犇めく畑一枚
皆様の作品に感動し大きな刺激を受けた一年でした。なんとか続ける事ができました。今後共よろしくお願いいたします。
参加年 = 2016年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 和歌山県
伸びやかな鳶の笛降る初御空
女正月三人寄ればよく笑ふ
追儺豆踏みて赤鬼よろけたり
杖あまた支ふ大樹の垂れ梅
園うらら一期一会の花談義
春惜しむ木造校舎の長廊下
高笑ふ鸚鵡に笑ひ園のどか
反りし身に煮汁幾重もめばる炊く
歳時記の糸綴じ直す日永かな
冬うらら螺髪に挟むお賽銭
今年は本当に色々大変な一年でした。少ない投句から何とか選んだ10句ですが、振り返れば役所への手続、その他のつぴきならぬ用の帰りに少し寄り道した時のものが多く、外出時の解放感のある句だなと…やはり俳句に救われてると実感しました。これからも細々と前向きに過ごしたいと思います。
参加年 = 2020年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 神奈川県
やはらかき手首を持ちて筆始
亡夫眠る西の方より風花す
釣り人に小鷺隣りて春の堀
春風裡消防団の銀しころ
蜜蜂の脚にまあるき花粉玉
遠雷や重きペダルに変速す
売り文句華語や日語や市小春
力なく病み臥す胸に月渡る
冬落暉閉じし瞼に透けにけり
天地のあはひに黒き山眠る
みのるさん、GHのみなさまのおかげで、持病がありながら俳句の世界でドキドキ、わくわく、心遊ばせることができました。新しき年は、季語の理解を深めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
参加年 = 2018年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 兵庫県
みな去りて珈琲旨し三日かな
ボール蹴り靴も飛ばす子春隣
海見えてあとはゆるゆる桜坂
丁寧語使ふ孫来し子供の日
慌ただし日々の隙間に柚子の花
島唄に賑はい戻り夏迎ふ
最後まで話聞いてよ法師蝉
ハロウインの魔女はいつでも飴持ちて
落葉掻く墓守に降る鳥語かな
討ち入りの日や南座の陣太鼓
十句を選びながら、2022年を振り返ることができました。良い事ばかりではなかったけれども、良い事の方が浮かびあがってきました。今年も穏やかに俳句を楽しめますように。
参加年 = 2004年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 兵庫県
冬の日の光芒ひろぐ凪の海
眠られぬ夜行列車や蜜柑食ぶ
まどろみに母の呼ぶ声明易し
勝ち馬へ人馬一体なる走り
藍深き湖へ五彩の緑なす
短夜の星降る山の旅寝かな
心まで染まりし森の緑かな
老い母とあひ慈しむ虫の夜
子規虚子の句碑に佇み秋惜しむ
照紅葉白亜のイエス御手ひろげ
この一年もコロナ禍の中にあって、GHのお陰で句会、吟行と参加することが出来て感謝致します。新しい年も俳句を続けることが出来ればと願っています。みのるさん、皆さんよろしくお願いいたします。
参加年 = 2000年
性 別 = 男性
都道府県 = 兵庫県
玻璃窓の涙となりぬリラの雨
機窓いま下界は深き黄塵裡
箒目の渦の上なる落椿
涅槃絵図渚のごとく余しけり
神の池涼し池心に遥拝所
杉無垢の一枚板や卓涼し
大噴水構へなほしてフィナーレへ
落蝉の祈るかたちに天仰ぐ
飛行雲大秋晴を逆落し
華語訛りして豚まんを買つてけと
多くの皆様に年度作品集へのご協力をいただき心より感謝します。 コロナ禍3年目、思うように吟行出来ないなか、みなさんの作品を拝見してとても頑張っておられるなと感動しています。特に若いメンバーの躍進は目覚ましいものがあります。一方、みのるの作品はというととても恥ずかしく、もう一度初心にかえって励まねばと反省しています。
詮無きことながらメンバーの高齢化が進み の活動にも少しずつ変化が見え始めました。 でも、せっかくみなさんが応援して育んでくださったこのご縁をこのまま沈没させるわけには行かないと考えています。具体的な道はまだ見えていませんが、『見よ。わたしは新しいことをする。(イザヤ書43章19節)』という聖書のことばを信じて、期待しつつ新年を迎えたいと思います。