2020.12〜2021.12の自選作品集です。
参加年 = 2020年頃
性 別 = 男性
都道府県 = 兵庫県
見送られ社屋に一礼風は春
鯉幟川面に影の泳ぎけり
川上の藪のにほひや初蛍
梅雨の傘手紙を胸にポストまで
渓流に任せて揺らす素足かな
風起こす貨物列車や猫じゃらし
校庭に並ぶ赤帽秋高し
森林の奉仕活動小鳥来る
背中の子落葉に降ろし小休止
腐葉土を脱ぎて顔だす実生の芽
2021年は私にとって会社を定年退職した節目の年でした。世の中は後戻りできないような大きな変化をしていますが、そんな中で俳句に出会えたこと、そして、GH俳句に出会えたことに感謝しております。これからも自然を愛でる気持ちを大切にします。来年もどうぞよろしくお願い致します。
参加年 = 2016年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
豆ごはん振る舞ひて豆売りにけり
万緑に集ひおしゃべりしたきかな
千年宮雌雄の岩の滝涼し
病葉や森閑として神の森
蒸したての玉蜀黍の粒揃ひ
蹲踞に桔梗一茎明智寺
日向ぼこしつつぺちゃくちゃ句輩
大夕焼親子の長き影法師
海坂へ一本道や秋澄める
青嶺また青嶺を縫ひてハイウエイ
2021年は北山緑化植物園の吟行に参加させていただき、ありがとうございました。 来年もご指導をどうぞよろしくお願い申し上げます。
参加年 = 2003年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
鶴首に一茎凜と黄水仙
猫柳朝日にかむりふりにけり
彼岸寒故郷遠くなりにけり
春耕の田を我がものに群れ雀
朝礼の声届きくるも若葉風
サボテンの針の中より花ひらく
水玉をまろばせあそぶ蓮の風
秋の夜や終活のことあれこれと
学び舎を包み染めたる冬夕焼
蒼天へみな万歳す冬木立
2年続きのコロナ禍でしたがゴスペル俳句にお世話になっている事で本当に充実した日々を過ごさせて頂きました。これからもご指導宜しくお願い致します。
参加年 = 2010年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 広島県
庭椿剪る手に昨夜の雨雫
二タ指に香りを移し木の芽摘む
一坪に高さを競ふ葱坊主
アスバラカスぽきんと手折る楽しさよ
瀬戸内のたぎつ流れに風光る
潮入の波の音聞くいぬふぐり
紅葉して九十九折れたる峠道
水車舞ひ水草紅葉浮き沈み
鈴生りの一枝お辞儀す実南天
ガラス戸のなきやに磨く年用意
今年は春頃からスランブになり秋に子供に吟行に連れて行って貰いました。少しは出来るようになりました。宜しくお願いします。
参加年 = 2021年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 兵庫県
ゴッホの黄うち広がりし豊の秋
大落暉海峡を呑む島の秋
はぐれ鹿白き尻毛の震へをり
渡リ蝶色なき風を捉へけり
踏み入れば足裏にやさし落葉嵩
磯の香を腹まで吸ふてひじき刈る
冬凪の浦一面に朝日燦
太梁の築百年の隙間風
猪鍋は夫の十八番の味噌仕立て
一鍬に土よみがえる寒起こし
今年一月から無料添削を受け、九月に毎日句会への参加承認を得ました。「理屈にならないように、素直な写生を!」と何度かみのるさんからコメントをいただきました。まだ添削を続けるようにと言われていますが一日一句が関の山で投句だけは途切れないようにと四苦八苦しています。 まだまだ頭の中でこねくり回して作句していると思いますが、「継続は力なり」ですよね。みのるさんはじめ皆様方の胸をお借りして頑張っていこうと思います。よろしくお願いします。
参加年 = 2010年頃
性 別 = 男性
都道府県 = 大阪府
凧糸の弧の美しき初御空
条幅にみ言葉太く筆始
鉢植を並べ替へては春を待つ
翻りては水面打つ柳の芽
蛇行して大河は海へ春霞
色失せてときに激しき風ぐるま
花屑の渦を残して塵芥車
雨しづく若葉をトランポリンとす
孫つれて被爆地を訪ふ暮の秋
デイケアの母はニットの冬帽子
昨年に続き皆さんとご一緒の吟行や句会がほとんどできなかったことは残念でしたが、ウェブ句会によって皆さんと心を通わすことができたことに感謝しています。メンバーが増えたこともうれしいことでした。これからもコロナ禍に負けず皆さんとともに俳句を楽しみたいと思います。
参加年 = 2011年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 愛知県
籠居の父と詣でる三日かな
子が数えあぐねる爺の年の豆
病む父の薄き身体や籐寝椅子
母の忌を修して父の端居かな
父はさみ姉妹の会話団扇風
臥す父のカーテン開くる月今宵
痩身にじんべの紐を持て余す
病む父と七三で分く氷菓子
薬飲む水にむせたる寒露かな
病む父に千羽鶴折る夜長かな
コロナ禍の中、俳句を続けられたことに感謝です。お仲間も増えて、毎日の選句も佳句が多くて悩みます。
参加年 = 2003年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
笑う山ロープウエイでひとつ飛び
花の中仁王は憤怒緩めざる
嬰子の動画に飽かず暖かし
紅ほのと蓮の蕾の宝珠なす
人力車専用路あり竹の春
稔田の広ごる郷にケアホーム
野路行けば草の実草の花楽し
茅葺の里に広ごる蕎麦の花
焼芋は新聞紙のなかにこそ
宿木の緑際立つ冬木立
コロナに開けコロナに暮れた一年、やっと12月に一度皆さんにお目にかかれたのみの一年でした。体力、脳力のおとろえをいやという程痛感しています。何時まで続けられるか分かりませんが今後とも宜しくお願い致します。
参加年 = 2018年頃
性 別 = 男性
都道府県 = 徳島県
山の湯の桶に揺れゐる枯木星
沼滑りゆく気嵐に鳥の首
一山の芽吹きを待てる野辺地蔵
白亜紀の地層に葎黄水仙
壺焼きの傾き海をこぼしけり
大岩に光を置くや初蛍
掬ひたる指の形に夜光虫
流木は麒麟の形秋の浜
露天湯に秋の星座をなぞる指
火球過ぎ何事もなき冬銀河
今年も無事に作品集を纏められた事は大変喜ばしい事です。生活環境も社会情勢も激変していますが、季節の声に耳を傾ける生活は変わらず続けて行きたいと思います。
参加年 = 2003年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 兵庫県
点々と岩場に居るは海苔つみ女
健願ふ奉納草鞋東風に揺る
囀りに耳動きをり膝の猫
古れんが隧道出れば花の雨
軍服の父の若さや昭和の日
音すれど見へぬ電車やすすき原
運動会踊る法被の背に夢と
貝殻に残る足跡秋の浜
池半分占めて犇めく花筏
御朱印帳見せあい旅の春惜しむ
コロナ禍の中みのるさんにはいろんな新しい試みでGHを盛り上げていただき新しいメンバーも沢山増えました。ありがとうございました。来年こそ定期的に吟行、句会が出来るようになってほしいものです。
参加年 = 2015年頃
性 別 = 男性
都道府県 = 大阪府
健の文字添へてぞ写経筆始
雪しまく洞に雀の一家族
老夫婦今年限りと耕せり
卒寿翁杖をうつちやり春耕す
水満ちて蛙鳴き交ふ千枚田
農家カフェ吊す玉葱一品に
渓流に足を預けて河鹿笛
七半のライダーは古稀草紅葉
紅葉渓竿一本を操りて
冬夕焼馳せる一矢は飛行雲
頸椎異常で残念ながら吟行句会に参加出来ませんが、治癒すればまた、みのるさん始め皆さん宜しくお願い致します。
参加年 = 2020年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 神奈川県
探梅や歩き初む子に抜かれもし
春水や太古の地層滲ませて
大工らの紫煙くゆらす春の昼
下山せし夫の土産や落し角
梅雨曇もやしのひげ根とる無心
夏袴のぞく素足にかるただこ
蝦夷ここに棄農の地あり夏の草
出払ひし看護詰所や夜の秋
里芋の噴きこぼれたる長電話
歳取らぬ夫の遺影や年の暮
毎日句会、毎週句会、秀句合評が日々のルーティンとして定着した2021年でした。行動範囲の狭い私ですが、季節の移ろいを感じられるようになりました。GHとみのるさん、メンバーのみなさまに感謝です。
参加年 = 2021年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
吾子の問ふあの案山子さんいつ寝るの
蕎麦の花さざ波なせる麓田かな
選挙カー絶叫ばかり秋の風
十字花庭の一隅占領す
秋日和孫やひ孫に手をひかれ
涼しさや水音の先に奥の院
鳴き声の間遠くなりし秋の蝉
渓の秋木々に映りし水陽炎
秋草の名をあてあひて吟行す
軒下にラインダンスや大根干す
皆様方のご経験年数に感服しております。毎日句会の選句させて頂くのが楽しみで今後は投句できるようになればと願っています。宜しくお願いいたします。
参加年 = 2021年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
置土産おむすびほどの雪だるま
文字躍るをさなの手紙あたたかし
奏楽者デビュー礼拝堂の春
ジャズ聴けば湯気踊り出すマグカップ
鉄砲のやうに潮吹く浅利かな
押し上げむ桜の丘へ車椅子
ブラウスはペンギン柄や夏に入る
底ぬけに青き空ある水田かな
重なりし亀なだれ落つ池小春
手袋にちやうど良き穴スマホ繰る
一月十日に初めて毎日句会に投句させていただき、何とか一年続けることが出来たことをうれしく思っています。言葉を五七五にあてはめることや、季節ごとに豊かな自然に心を向けることが楽しくなりました。みのるさんをはじめメンバーのみなさまの温かさに心もほっこりしています。本当にありがとうございました。
参加年 = 2003年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
竹爆ぜて木霊を返す大とんど
リハビリに吹く風船や息足りず
客として訪ふ生家彼岸寒
つばくらや淡路瓦のいぶし銀
渡船場に干物の匂ふ島薄暑
夕市へ紅の鼻緒の素足かな
牛蛙親鸞像におらびをり
防空壕もワインセラーも蔦紅葉
田の神の裏は捨て畑秋暮るる
人去れば俄に寂し冬桜
二年続きのコロナ禍で一つ一つの動作が鈍くなり多分頭もそうでしょう。でもそれは仕方のないこと。今年も自選10句を載せて頂けることに感謝してこれからも頑張りたいと思います。皆様宜しくお願い致します。
参加年 = 2004年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 兵庫県
探梅や眼下に播磨灘展け
春疾風三角波を研ぎにけり
ゆくりなき初音に次の声を待つ
掛筒の椿一花に座の和む
内海を隔つ島影夏霞
山々の彩り深む緑雨かな
寄る辺なき母の枕辺レース編む
露の身を相労りて恙なく
小鳥来るよきおとずれと覚えけり
寒禽の賑はひ森に一頻り
みのるさん はじめメンバーの方々のあたたかい励ましの中無事一年をすごすことができましたこと感謝申し上げます。新しい年も何とか皆様の中で俳句生活を送ることが出来ればと願っております。
参加年 = 2004年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
洞深き老幹なれど冬芽満つ
芽柳の風に縺るる朱雀門
ベレー帽少しあみだに桜狩
噴水の雲に溶け込むしぶきかな
らっきようの輝く白を漬けにけり
目を剥ける達磨大師にさくらんぼ
初紅葉天守に向かふ女坂
干されたる魚網の臭ふ残暑かな
秋寂ぶや苔の首塚供華もなし
陸軍墓地一基残らず菊の供華
この一年はコロナに翻弄され思うように吟行ができず、あまりいい俳句ができなかったように思います。
参加年 = 2020年頃
性 別 = 男性
都道府県 = 兵庫県
佐保姫をいざなふ寺のライブかな
存分に春の風吸ふ象の鼻
つなぎ脱ぎをんなにもどる藍浴衣
骨切りの音も肴や祭鱧
手に重き日の温もりの熟柿吸ふ
警官も板前もゐて夜学の灯
日だまりに鳩のふくらむ寒さかな
広島弁姦し浜の牡蠣打女
トロ箱をはみ出す河豚の脹れ面
ジオラマの小さき町並み春灯す
昨年1月の添削指導から2年が経ちましたが、句力の付いた実感はなく相変わらず四苦八苦状態です。 自薦10句は、季節ごとに各2句と最多の互選票をいただいた句および互選はダメでしたがみのる選に採っていただいた句を選んでみました。今年は取り合わせ俳句をすこし学びたいと思っています。
参加年 = 2016年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
ポストまで冬三日月をお供にし
礼者顔して窓に来る雀かな
トーストにバター良く伸び春立ちぬ
枕木に敷く花屑やインクライン
春の空引張って行く飛行雲
寺訪へば風のもてなし萩白し
色鳥に返す術なき羽根拾ふ
木枯らしに耳裏がへるピーグル犬
一枚を刈れば稲田の風替わる
風鈴の鳴りてややあり風届く
災禍に右往左往した一年でしたが GH句会ならではのシステムでほぼ投句出来、句会で新しい方ともお会いできて感謝しております。
参加年 = 2003年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 奈良県
臘梅を活ければほろと金の粒
揚雲雀声落としつつ虚空へと
夕帷まとふ空木の白さかな
厨窓今宵の客は雨蛙
まだ苗の歪みの見える植田かな
言ひ過ぎた言葉戻らず遠花火
風なくて風あるごとし秋桜
つと立ちて次の風待つ猫じやらし
石畳駈けて枯葉の遊びをり
ねこ車押す影長き枯野道
無事に2022年を迎えることが出来ました。みのるさん、皆さん今年もどうぞよろしくお願いいたします。
参加年 = 2019年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
小包に一枝庭の寒椿
梅東風や風切る車夫の赤だすき
赤ちゃんの干しもの揺らす若葉風
京路地の町屋に古りし秋簾
万両や写経する場に加はりぬ
マスクして世事みな遠くなりにけり
スキップしおませな仕草初浴衣
乗り換への駅の木椅子のそぞろ寒
冬帽子駅中ピアノ演奏す
大原の入り日に染まる葱畑
これからも皆様について行けますよう頑張りたいと思っております。みのるさまはじめメンバーの皆様よろしくお願い致します。
参加年 = 2021年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 兵庫県
初詣ま青な空へ大鳥居
たわし持ち企業社員ら朔詣
青空へ仕事始めの煙立つ
園丁の鋏軽やか園小春
柔らかき土踏むなぞへ春の色
花の下猿の腰掛け宴待つ
静かなる湖面を叩く緑雨かな
足裏に名栗加工の床涼し
青空の里公園に菊薫る
剪定に広ごりし庭寒椿
落穂句会に在籍しています。12月からの参加です。今年もよろしくお願いいたします。
参加年 = 2016年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 和歌山県
寒禽の声透き通る神の杜
春立つ日退院の空晴れ渡り
目を凝らす動き微かに蜷の道
隠沼の静寂揺さぶる牛蛙
あめんぼう雲のじゅうたん跳ぶごとし
ふくよかに香るワイン煮傷の桃
音高く香を広げゆく草刈り機
灯火親し天性人語書き写す
雪ばんば薪割る山の一軒家
日向ぼこ小さくなりし夫の背な
介護生活もあっと言うまに一年になります。俳句のおかげで救われることも多々ですが今は冬眠状態。ゆつくり焦らず句に向き合って行きたいと思います。錆びた頭をリフレッシュして毎日投句出来るようになればと思います。
参加年 = 2004年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
冬の蟻長き影ひく石畳
炭窯の白煙噴きて人寄せず
涅槃図の雲居馳せるは摩耶夫人
正門に十五の春を送り出す
揚雲雀空の深さを思ひけり
母の日やタンスに残る肩揉み券
夕涼み掌に受く京の金平糖
流木を拾ひあつめて浜焚火
宅配夫夕を小走り十二月
冬銀河郷関出でて半世紀
健康推進の町で水曜ウオークに参加したり5千歩〜1万歩を目標にして毎日励みました。令和3年はゴスペルの新しい句友のお名前を沢山覚える事が出来て良い一年でした。
参加年 = 2015年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 神奈川県
笛に舞ふ巫女あどけなき初神楽
箱舟に摘まむ三つ指蓴菜女
海原を分けて渚へ月の道
運動会子らのゴールは母の胸
競落とすトロ箱の河豚大暴れ
朝焼けに霊峰富士のシルエット
大原女に道問ふ古都の菊日和
新藁に相寄り眠る牛と猫
小流れの落葉まぎれに稚魚の影
冬ざれの浜に朽ちたる手漕ぎ船
この一年、貝になり黙す事が多かったのですが頑張って前を向いていました。出来る限り明るい句を詠んでいきたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。
参加年 = 2021年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 愛知県
川辺から山へと続く虹の橋
今朝晴れて初雪の富士遥拝す
刈田いま遊びし子らの声響く
空蝉や風に吹かれてゆれる枝
急ぎ足しばし止めて虫時雨
電線にひと並びして去ぬ燕
連鎖して風にお辞儀すすすきかな
供花のなき野墓を囲む彼岸花
もろこしの焼けし香りが人集む
寄鍋に車座となる笑顔かな
8月に右も左もわからずに入れていただき、毎日句会の選句を通じて勉強させていただきました。今年はもう少し詠めるといいなと思っています。
参加年 = 2010年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
悴みて明日の二合の米を研ぐ
探梅の紀州のどこも海明り
一体は紫陽花隠れ六地蔵
蓮の風少女は膝の本を閉づ
転がして値札確かむ真桑瓜
簾吊る一人暮らしの二階にも
夕間暮れのつぺらぼうの案山子かな
キーン訳読む芭蕉碑に萩零る
古書の市落葉払へどまた落葉
病院の窓の人影冬銀河
昨年はコロナ禍のうえ私的にも忙しい年でした。皆様とお会いできる吟行・句会の楽しさを認識させられた一年でもありました。自選10句の選句は反省しきりの時間になりました。このような機会を与えられたことを感謝いたします。ありがとうございました。
参加年 = 2020年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 奈良県
ガラス戸に孫の手の跡冬温し
御吉野や時雨まとひて曼珠沙華
背高の夏草刈れば顕彰碑
梅雨の闇テールランプの赤滲む
被災地を走る聖火や花開く
竹干さる茶筌の里や春うらら
御仏のお顔に冬日届きけり
飛火野の草食む鹿の息白し
山茶花の母を偲べと咲き初むる
道草の下校子の手にあけびの実
つたない作品ですが、なんとか10句そろいました。よろしくお願いいたします。
参加年 = 2005年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
探梅行一会の人と道づれに
肩車パパより高いゴム風船
桜餅母エプロンを縦結び
満開に咲いても寂し白木槿
御神木樹齢千年法師蝉
芋の葉に笑ひころげし露の玉
登校の子らが横切る苅田かな
廃校跡子らの声無く枯れすすき
庭の霜踏めば地球の啼くごとし
言ひ訳の嘘とわかりし息白し
俳句を始めてあっという間の20年でした。未だに上達はおぼつかないですが、よき先生とよき仲間の皆様に出会えて楽しくやってこられたことに感謝しています。
参加年 = 2015年頃
性 別 = 男性
都道府県 = 滋賀県
ワイパーの一掻きに散る薄氷
SLの駆け抜けていく麦の秋
強東風や岩掴めずによろけ鳥
沢蟹の横切るを待つ渓の道
片陰や手刀切って擦れ違い
朝寒や散歩に選ぶ日向道
湖涸れてあらはとなるや穴太積
暁にうちひろげたる氷魚網
湖涸れて古銭うち上ぐ遙拝所
藁屋根の散らばる谷戸の冬銀河
進歩があるのかないのか相変わらずの凡人止まりだったように思うが、なんとなくみのる選に入ることが少しは増えたようにも思い、少しながら嬉しくもある。
参加年 = 2016年頃
性 別 = 男性
都道府県 = 群馬県
老犬の腹に潜りし仔猫かな
穴を出る蟻の見上げる壺中天
ケアハウス窓に広がる麦の秋
麦の秋四方に展けし古墳山
夏草や汲み上げポンプ錆しまま
すり寄りて猫の離れぬ秋思かな
秋深し妻の介護の日々なりし
星座表手にする秋の夜警かな
薄ら日に冬菜輝く緑かな
息白く吾子の駆け来る川堤
お世話になっています。自分らしくそして読む方に理解される句を目指して日々頑張っています。俳句は生き甲斐です。これからもよろしくお願いします。
参加年 = 2015年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 大阪府
新しい鉛筆削り初句会
糸柳風に揺れてはほぐれては
ぽんぽん船楽鳴らし行く淀日永
音もなく野仏濡らす春の雨
涼風へ開けて古刹の花頭窓
二の腕に長子の気骨代田掻く
久々の吟行なれば白靴に
天高し何処へ行くにも万歩計
冬隣勉強机の向きも変へ
日陰りてより蝋梅の慎ましく
退職後、ゴスペル俳句にご縁をいただいてより、いつも心の中にほんわかと暖かい物を抱いて居るような気持ちで暮らして参りました。今後ともよろしくお願い致します。
参加年 = 2003年頃
性 別 = 男性
都道府県 = 兵庫県
千代の春ダイヤ婚過ぎ卒寿来る
とも白髪なる偕老の祝箸
百歳は近くて遠し福寿草
負けん気が口元にあり古雛
吃水の見えつ隠れつしじみ舟
沢蟹の庭を横切る湯宿かな
青田風一陣吹きて水匂ふ
旅の吾も阿呆となりて阿波踊
懸崖菊万朶の蕾揃いけり
暗闇の沖につんざく鰤起こし
脊柱管狭窄症を患って2年、色々手当てして居りますが脹ら脛が痛く困っております。歩行が思うようにならないのですが幸い体は至って健康で坐って居れば苦痛はなく常人と変りません。皆さんと吟行を希望しておりますが今暫くお待ち下さい。
参加年 = 2020年頃
性 別 = 男性
都道府県 = 広島県
このあたり生家ありけり冬木立
春泥の長靴揃ふ集会所
田起こしの土それぞれに尖りけり
鎌を研ぐ光る指先水温む
歳時記を開きしままの春炬燵
春帽子似合ふ100歳誕生日
石段に折線の影日脚伸ぶ
一輪車乗れたる笑顔桃の花
一村の家々分つ稲架襖
蒼天の深さ知りけり揚雲雀
皆さんの俳句を詠んで大変勉強になりました。今年もよろしくお願い致します。
参加年 = 2018年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 兵庫県
愚痴いはず小言もいはぬ懐手
節分の鬼も白髪となりにけり
かくれんぼ影映したる春障子
春の宮哀しみかさね水子絵馬
太陽の塔がハグする夏野かな
秋蝶の風にあづける翅薄し
一病の夫と分け合ふ秋刀魚かな
残像に白き手袋憂国忌
冬帽の若き漁師の耳ピアス
未来への約束秘めし冬木の芽
二年続きのコロナ禍で、毎日句と兼題句を続けることが出来ました。自粛の合間を縫っての大阪グループの吟行も活力になったと感謝しています。何の知識も無いまま参加させて頂いたゴスペル俳句で四年目の新年です。今だに勉強不足ですが、続ける事で力を蓄えていきたいと思います。みのるさん、そしてメンバーの皆様よろしくお願い致します。
参加年 = 2021年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 兵庫県
幼子のおかつぱ髪へ花吹雪
広芝を掠め掠めてつばくらめ
天へ伸ぶ聖十字架に風光る
里山をつつむ五彩の緑かな
木漏れ日に見え隠れなる黒揚羽
大池の白き葎は半夏生
枯山の馬の背を撫づ雲の影
この径のどんぐり袴ばかりかな
推敲に推敲重ね日短し
鉢巻きも泥だらけなり蓮根掘
落葉句会で学んでいます。毎日句会には、2021年11月からの参加ですが、メンバーの方々は日記の如く投句されていて目を見張るばかりです。一歩一歩進みたく願っています。この句会に出会えた事心より感謝してます。
参加年 = 2018年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 千葉県
母と子の追ひつ追はれつ青き踏む
母がりへ大笊に子等よもぎ摘む
縺れてはしだれて重し雪柳
咲き満ちて小米花の名偽らず
貸農園苗譲り合ふ夏帽子
紫陽花の毬木漏れ日に踊りけり
花嫁のブーケを投げし椰子の影
椅子に持て余す昼寝や子等の足
月の出を畑道で待つ人の列
墓参り手桶持つ子等逞しく
あっという間の一年でした。十分に参加できませんでしたが楽しい時間を持てたましたことこころより感謝しております。高齢になってからの意識改革は私にとっては至難の業ですが針の穴ほどでも感性アップの意識が持てればと、マイペースで頑張っていきたいと思います。よろしくお願い致します。
参加年 = 2021年頃
性 別 = 女性
都道府県 = 兵庫県
風通ふたび泳ぐごと金魚草
吹きわたる葉ずれの音や風薫る
蓮浮葉風にうながされて揺るる
月仰ぎ見つつ至福の散歩かな
金色の陽をまとひ舞ふ赤とんぼ
窓ごしに小鳥が呼ぶよ今朝の晴
虫の音の聞き入るほどに高くなり
一仕事終へて仰ぎし天高し
もぎたての林檎手でなで丸かじり
凩や術後の耳に吹き荒るる
四季を身近に感じるようになりました。体の異変やいろいろな事がありますが、空を見上げたり足元の草花を見ていると心が癒され豊かになります。その気持ちを句で詠めたら最高だなと思っています。これからもよろしくお願いいたします。
参加年 = 2000年頃
性 別 = 男性
都道府県 = 兵庫県
初日さす沖にエールの汽笛かな
敗者いま息白く天仰ぎけり
寒造り樽は百寿の吉野杉
うららかや空缶汐の波まくら
ひろげ干す傘春風に走りだす
鯉のぼり息を吐かせてたゝみけり
つながむと手をさしのぶる苑小春
吉野窓繰ればさやけし竹の春
着ぶくれの行列なせる豚まん屋
青信号フライングせる師走人
2020年に続いて年度作品集を編纂できましたことをうれしく思います。コロナ禍にあって吟行や句会開催は制限されましたが、みなさまのご協力を得て の活動を継続することができました。心から感謝します。
みのる選の作品の中からとはいえ自選という作業はとてもむずかしかったと思います。斯くいう私も例外ではありません。でも、作品を選びながら一年間継続できたという達成感は格別のものがあり、次の年度も頑張るぞというエネルギーになります。互いに切磋琢磨しつつ良き俳句ライフを綴りましょう。感謝!