みのる選:2022年11月度
2022年11月26日 | |
眼を閉じて過す術後や夕時雨 | こすもす |
池の面落葉が埋めつくしけり | ぽんこ |
茶の花や清楚旨とす志 | わかば |
亡夫の服孫に似合ひて冬うらら | はく子 |
木の葉髪いふこときかぬ脛撫ぜて | なつき |
這ひ這ひの嬰膝に来て冬ぬくし | なつき |
藪巻の結び目に凝る庭師かな | 愛正 |
不穏なる間違ひ電話うそ寒し | 素秀 |
唇に冷たき亡夫のハーモニカ | むべ |
晴れ渡る富士を隠せる柿すだれ | はく子 |
黙々と門前を掃く冬帽子 | ぽんこ |
2022年11月19日 | |
小流れを堰きて犇めく落葉かな | はく子 |
遺されし父のセーター着るおしやれ | むべ |
山茶花の咲き継ぐ庭の主悼む | わかば |
柔らかな日ざしが包む浮寝鳥 | ぽんこ |
炊きたてを握る熱さよ今年米 | むべ |
ヒーローになりたいと絵馬小鳥来る | なつき |
セコイヤのしぐれのごとき落葉かな | はく子 |
滑走路尽きたるさきの枯芒 | 素秀 |
箒目を踏みゆく草履七五三 | なつき |
ゆつくりと枯野撫ぜゆく雲の影 | 愛正 |
2022年11月12日 | |
街の灯を白く濁して初時雨 | 素秀 |
秋天を貫かんとす九輪塔 | ぽんこ |
動物の童話仕立てや菊花展 | はく子 |
夕映えの残る美空に月白し | はく子 |
艷やかに陶と見紛ふ次郎柿 | 素秀 |
黄落の肩に鞄に自転車に | むべ |
泥んこも何のそのとて甘藷掘 | こすもす |
御朱印の達筆なりし神の留守 | 宏虎 |
力なく病み臥す胸へ月渡る | むべ |
恐竜のマスクの男の子七五三 | なつき |
2022年11月5日 | |
日の窓辺一輪挿しに石蕗の花 | こすもす |
沢沿ひをのぼる川霧露天風呂 | 愛正 |
と見る間に里山覆ふ霧襖 | かかし |
店仕舞ひてふ古書店に秋愁ふ | 素秀 |
秋桜風いなしては立ち直りす | はく子 |
そぞろ寒テープでつなぐ玻璃の罅 | なつき |
初霜や薪割り急かす里の山 | かかし |