みのる選:2022年10月度
2022年10月29日 | |
亡き父の畑仕舞する帰郷かな | なつき |
病窓へとどく運動会の声 | むべ |
コロナ禍の吟行に秋惜しみけり | こすもす |
走り根に枕ならべし木の実かな | ぽんこ |
錦繍や火口湖目指す尾根の道 | わかば |
からと音して翻る落葉かな | わかば |
注連縄の古し大磐小鳥来る | ぽんこ |
行雲を追ふ母の目の秋思かな | 素秀 |
紫に暮れ行く山の秋惜しむ | はく子 |
喬木のセコイアいまし黄落期 | こすもす |
太梁の櫓を抜くる秋の風 | なつき |
点滴を終へし病窓黄落期 | むべ |
すがれ虫残念石のうしろより | かかし |
言はでものその一言のうそ寒し | はく子 |
月白に屋根の影濃き倉庫街 | 素秀 |
トロッコの車窓過ぎゆく芒かな | 宏虎 |
2022年10月22日 | |
栗飯を炊いてお仏供と昼ごはん | はく子 |
細波の綺羅に初鴨潜りけり | ぽんこ |
一筋の川面が分かつ芒原 | なつき |
喬木に色を添えたる蔦紅葉 | わかば |
秋声は大山門の柱より | はく子 |
保護犬の細き泣き声秋の暮れ | 愛正 |
手の平に乗る盆栽の紅葉かな | ぽんこ |
あきつ群る通園バスの停留所 | なつき |
立ち入れば溺れさうなる芒波 | 素秀 |
句の道に定年はなし夜学生 | かかし |
色鳥来白寿の母を祝ふかに | わかば |
オーケストラ並びにハロウィンかぼちやかな | なつき |
銀杏の実終焉地てふ芭蕉句碑 | かかし |
2022年10月15日 | |
分け入りて空しか見えぬ芒原 | 素秀 |
アトリエの窓に初冠雪の富士 | むべ |
コウノトリ薄隠れに降りたちぬ | こすもす |
不夜城は夜霧に滲むコンビナート | 素秀 |
柘榴爆ぜ地にいく粒か赤い星 | 素秀 |
新蕎麦を刻むリズムや道の駅 | かかし |
秋天下須磨に直筆師弟句碑 | わかば |
巴里よりビデオ電話や夜の長し | むべ |
子規虚子の句碑に佇み秋惜しむ | わかば |
薄々とこれからといふ山の秋 | わかば |
焼栗の店主饒舌蚤の市 | ぽんこ |
野地の秋おにぎり弁当頬ばりて | なつき |
2022年10月8日 | |
海に向く敦盛塚や鳥雲に | わかば |
三日月に吊られしごとく一つ星 | 素秀 |
我が影の先行く彼岸花の土手 | なつき |
雑木山幾許団栗共和国 | むべ |
名水にもぎたて檸檬ひと搾り | むべ |
山麓の過疎灯ともりて秋闌くる | 愛正 |
野仏の供花に誘はれしじみ蝶 | ぽんこ |
天空の線画となりて鳥渡る | 愛正 |
溶岩跡の清流風の音は秋 | こすもす |
芒原声遠ざかるつづら坂 | 素秀 |
秋の雲三角点は国境 | わかば |
堆き樟の落葉に力石 | ぽんこ |
走り根の多き尾根道木の実落つ | わかば |
一末寺鐘楼に吊る柿すだれ | なつき |
2022年10月1日 | |
孫四人車椅子押す敬老日 | なつき |
秋彼岸話はいつも昭和論 | 宏虎 |
壱岐つつむ島の奥まで鰯雲 | 宏虎 |
秋色を帯びしセコイヤ並木かな | はく子 |
赤とんぼ結界縄にひと並び | なつき |
夕映がつつむ棚田の稲穂波 | かかし |
この土手の一番花の曼珠沙華 | 素秀 |
田仕舞の案山子に礼す老夫婦 | かかし |
古戦場跡の広原虫時雨 | かかし |
パノラマに六甲連山秋澄みぬ | わかば |
曼珠沙華ジプシーせるは黒揚羽 | むべ |
こどもらのかくれんぼせる稲架襖 | 愛正 |
里芋の広葉の露の玉光る | はく子 |
梵鐘の響く明日香路曼珠沙華 | かかし |
秋の浜ゆけば間遠に沖汽笛 | わかば |
野分跡また立ち直る千草あり | ぽんこ |