投句控 :500句/1頁

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流木の散らばる浦や浜焚火 小袖
締め切りや滑る膝掛巻きなほす よう子
寒風や猫立ち止まる塀の上 素秀
朱雀門廻りは枯野淋しけり 宏虎
焼芋は新聞がみのなかにこそ はく子
反論もほどほどが良し一夜漬け 愛正
極月の納棺の父軽きかな なつき
初雪の降りて小庭を一変す 宏虎
酒蔵の路地は港へ冬温し よう子
紅葉散るかさね色目の石畳 愛正
時雨るるやカーブミラーに眼を凝らす よう子
山門の蹲ひ覆ふ散紅葉 かかし
風除けの大樹めぐらし散居村 凡士
深山の枯れて禽獣人里へ 凡士
鯛焼を頬張り下校予備校生 かかし
日向ぼこ兼ねる散歩や猫抱いて こすもす
コート脱ぐ駅構内の喫茶店 小袖
払いてもまた日だまりへ冬の蠅 小袖
落葉掃く音大仰に竹箒 うつぎ
いただきし訳あり蟹の産地タグ 凡士
海峡に鳶の輪幾重小六月 うつぎ
大海鼠浅瀬を統べて内の海 素秀
風避けて日差しに集ふ浮寝鳥 宏虎
沖に日矢さしてエリ漁の延ぶる杭 凡士
教本に挟む栞か散る紅葉 愛正
冬晴れや人も車も大行列 こすもす
放棄田を覆ひ尽くすや枯尾花 かかし
寒の菊翳を重ねて花あまた 素秀
夕暮の禽の塒や大冬木 わかば
年の市鈴鳴る鍵の落し物 なつき
通夜料理帰りて食ぶる寒さかな なつき
短日や早島の灯の点り初む わかば
雪吊りの漢の作業男結び 宏虎
小春凪タンカー動くとも見へず よう子
冬木立大阪城は泰然と はく子
炊き込んで家族を待つやおでん鍋 わかば
頬かむり解きて漁村の喫茶店 うつぎ
城跡より眺む街並み冬日影 こすもす
川はさみ芒の土手の枯ゆけり 素秀
迫りだして水面明るし照紅葉 むべ
六義園もみづ紀のくに唐のくに むべ
農学生沢庵漬けを大樽に かかし
落葉焚見知らぬ人と談笑す かかし
白鳥の首の長さと小さき眼 宏虎
白富士や当駅どまりとアナウンス むべ
街の灯の近くて遠き刈田道 なつき
落葉焚き今が盛んと手招きす 小袖
南北に川を挟みて山眠る 素秀
大根干す庇はずれし陽の光 愛正
木道の色塗りかへて散紅葉 むべ
通夜客の窓開けて見る冬の虹 なつき
と言う間に芝生真白やあられ降る こすもす
子らに聞く将来の夢暖炉燃ゆ うつぎ
藁抱え通る学僧冬構 愛正
もう何も欲しきもの無し日向ぼこ うつぎ

2021年12月4日

縁側の陽射しに老婆柿簾 愛正
海境をマスト伸びくる冬の凪 素秀
紅葉見と通勤の客替はるバス せいじ
出入り口塞ぐ山小屋冬構 愛正
農家カフェ暖簾代りの柿簾 かかし
言の葉にならぬと動画紅葉かな よう子
前屈みで進む凩の土手かな こすもす
小春日や何をするのも好都合 宏虎
雪吊の円錐天を引き締むる 凡士
目離せぬ延長戦や息白し こすもす
広島弁姦し浜の牡蠣打ち場 凡士
境内は落葉に埋もり公孫樹 凡士
紅葉見と分かる服着て朝の汽車 せいじ
稜線の朝日透かせて冬木立 うつぎ
剪定こぶ露わに欅落葉かな 素秀
船頭の案内も楽し紅葉晴 はく子
冬となり庭の樹木も花咲かず 宏虎
着膨れの影のうごめく穴仏 なつき
大皿は柿右衛門とや河豚を盛る よし子
風除けに添うて石蕗の黄覗くなり わかば
過疎団地銀杏並木の大通り よう子
冬雲や暗き真昼の街あかり むべ
丹精を凝らせし古寺の紅葉かな せいじ
身に入むや閉会と言ふ一区切り よし子
シュトレン母娘で仕込む待降節 むべ
岨道の落葉は深しな滑りそ せいじ
深く座す紅葉疲れのカフェの椅子 よう子
野を駆ける子の一塵や冬帽子 素秀
日本晴れの冬のひと日を保津峡に はく子
綿虫の着地したるは犬の背な むべ
息子の手少しだけ借り年用意 こすもす
子の健に育つ動画や冬ぬくし はく子
神農の虎の貌みな浪速貌 よし子
隙間風だらけの家に執着す うつぎ
冬夕焼じっと見詰めて優雅なり 宏虎
棕櫚剝きて作る和箒村おこし 愛正
廃校舎子らの声なし秋深し よし子
光頭が出でし小春の穴仏 なつき
予備校生銀輪の背に冬銀河 かかし
冬ぬくし浜辺にしばし息ふなり わかば
おでん酒屋台文化の根付く街 凡士
温泉に団子の猿や冬ざるる かかし



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