みのる選:2025年度
俳句 | 作者 |
尺角の大黒柱白障子 | ぽんこ |
大正の舶来シェード春灯 | うつぎ |
石室の手向けとなりぬ落椿 | むべ |
下萌やお役目終えし鬼瓦 | ぽんこ |
昭和なるドールハウスの温かし | わかば |
老夫婦句帳を首に梅愛づる | かかし |
春風に綾なす池の波の綺羅 | えいじ |
暖かやへつつひさんは銅づくし | うつぎ |
壁紙はモリスデザイン春館 | たか子 |
歴代の吊るし雛舞ふ蔵屋敷 | 康子 |
彼女待つ春の時雨の大手門 | 澄子 |
多聞より見下ろす濠の春めきぬ | 澄子 |
山茱萸の花にそぼ降る番所趾 | むべ |
子遍路の松かさ拾ふ奥の院 | なつき |
大松明先陣法螺はしんがりに | なつき |
春時雨石垣のみの天守趾 | 澄子 |
立ち並ぶドールハウスは春灯す | よう子 |
鏡なる水面乱して鳰現るる | むべ |
触れたくも触れてはならじ雛調度 | うつぎ |
海風にほぐるる河津桜かな | 康子 |
館長の饒舌やまぬ雛屋敷 | たか子 |
俳句 | 作者 |
春の雲揚げて遥けき天守閣 | わかば |
なかなかの役者涅槃の絵解き僧 | うつぎ |
雪しまき消へては現るる島嶼かな | むべ |
古町に研ぎ屋くすり屋路地うらら | うつぎ |
梅の宮あどけなき字の祈願絵馬 | なつき |
諸行無情説かれ涅槃の絵解き僧 | うつぎ |
涅槃寺合祀墓に彫る倶会一処 | はく子 |
いつくしき御門潜れば梅万朶 | 澄子 |
腰掛けてみるいけず石温かし | ぽんこ |
鬼瓦寺苑の隅の下萌に | たか子 |
古りたるも金色しるき涅槃像 | はく子 |
ありがたき涅槃の絵解き耳澄ます | 千鶴 |
アトリエの高窓洩れて囀れる | 康子 |
風花す島の小さき船着場 | むべ |
禊ぎてふ香炉跨ぎて涅槃図へ | たか子 |
春風に幟はためく芝居小屋 | よう子 |
染めの街貫く水音春奏づ | 康子 |
俳句 | 作者 |
冬木の芽緩むかと思ふ今朝の雨 | わかば |
松飾り梅結びなるめでたさよ | むべ |
破魔矢受くマスク美人の巫女なりし | なつき |
蒼天へ鬩ぎあふやに冬木の芽 | せいじ |
百稈の竹青々と淑気満つ | むべ |
参拝の列緩みしは宮焚火 | なつき |
さざなみの遡りゆく冬の川 | あひる |
初凪の沖に散らばる鳥の影 | えいじ |
実南天たわわに頭垂れにけり | 澄子 |
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