みのる選:2024年度

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2024年05月11日

俳句作者
切岸の岩を絞りて苔清水ぽんこ
深山道樹間隠れに躑躅燃ゆわかば
岩窪の小祠に生ふ銀竜草ぽんこ
藍染の鯉のぼりたつ工芸館むべ
鬩ぎあふ広葉の母衣や熊谷草澄子
一山家五彩の緑籬とす小袖
熊谷草へと日矢洩るる杉美林あひる
慰霊塔萌ゆる若葉を抽ん出し康子
沢蟹の瀬石に紛れかくれんぼたか子
またもとの瀬石へ戻る糸蜻蛉あひる
恐竜の森てふ秘境熊谷草うつぎ
朽木めく台場くぬぎに若葉萌ゆあひる
渓風に紅ほぐれそむ楓の芽むべ
熊谷草母衣めく広葉翻したか子
摘みし草供ふ子育て大師かななつき
樹下涼しデッキチェアに足あづけかえる
青羊歯の覆ふ岩戸は間歩の跡ぽんこ
蜘蛛の囲の無残うつぎの屑まみれうつぎ
苔潤むところ若葉の影遊ぶかえる
水の色森の色引き糸蜻蛉うつぎ
花菖蒲江戸肥後伊勢と陣分かちせいじ
過疎の里休耕田に雉子鳴くよう子
山颪しばしな吹きそ朴の花むべ
手汗拭きおもかる石を持ち上げぬなつき
沢音の奈落に響く谷若葉康子
輪塔に日の斑のあそぶ夏木立かえる

2024年04月13日

俳句作者
句談義の四阿にいま若葉風あひる
瞬かず鹿は遠目や花吹雪よう子
生垣をクッションにして椿落つ康子
春ともし阿修羅の影す後ろ壁うつぎ
初音いま目つむりて聞く深山道せいじ
円陣を組みたるごとく落椿澄子
銀輪を降りて歩きぬ花の道かえる
隣り合ひお国はどちら花の下よう子
広庭は落花畳や療養所むべ
照れば濃く翳れば淡き桜かな澄子
水揚げのめかぶ切り分く朝市女なつき
眉根寄す阿修羅に春の愁ひありたか子
春陰の菩薩足指反らしたるもとこ
身をよじり十二神将春の塵もとこ
分け入りし小暗き森の著莪真白かえる
苔庭の花かと見れば紋黄蝶うつぎ
射す日矢にきらめく桜吹雪かなあひる
花添はせ見栄切る松の男ぶりうつぎ
阿修羅像憤怒に春の愁ひ見ゆこすもす
草臥れた脚をさすれば山笑ふぽんこ
広芝に刺繍のごとく花すみれかえる
花陰に生ふは地獄の釜の蓋せいじ
天蓋の花を潜りてバス徐行かえる
花吹雪古色の塔へ高舞ひてはく子

2024年03月16日

俳句作者
幕末の慰霊碑のたつ花堤せいじ
弁当屋土堤の桜を知り尽くすよう子
福寿草ほぐれそめたる朝かなむべ
一鳥も潜れぬほどに花万朶うつぎ
哺乳瓶こくこく吸ふて花下に笑むあひる
土手埋む河津桜の帳めくうつぎ
咲き満ちて簪めける花馬酔木むべ
みどり児が花の宴の主役かなあひる
百相の瘤の榎の芽吹きけり澄子
激つ瀬のしぶきて春日弾きけり康子
熊笹の群落に落つ椿かなかえる
句友らと久闊を叙す花の下はく子
ゆくりなく小さき釈迦堂花堤ぽんこ
古刹なる松の根方に福寿草わかば
湧水の揺らぐにまかせ蝌蚪の紐康子
松毬転がるままに芝青む澄子
城山に見下ろす淀の花堤うつぎ
廃線のホームのゆかし初蝶来なつき

2024年02月17日

俳句作者
節分会礫のごとく豆まかれ澄子
お屋敷街そこ此処に猪注意札うつぎ
蒼天に放物線や福の豆むべ
在りし日の母と見しこの濃紅梅たか子
花愛でて香に寄りて梅の園わかば
踏石の梅の影ふむ日和かなぽんこ
葉牡丹のパッチワークは花時計せいじ
病窓を額縁として山笑ふ素秀
湾霞むコンビナートの煙飲みうつぎ
子らの靴散らばる土間に春の泥よう子
梅林の愉し遅速のあるもまたたか子
舞ふ豆に挙ぐる千手や節分会康子
寺小春句碑また句碑とたもとほりかえる
白梅の雫のごとく枝垂れけりあひる

2024年01月13日

俳句作者
居留地のガス灯烟る枯木道わかば
寺田屋の門の一歩に白椿うつぎ
冬晴や湯屋の煙突残る街うつぎ
鞠のごと跳ねて日向へ寒雀かえる
水郷の水の揺らぎや春隣たか子
庇影濃き方丈の白障子ぽんこ
絵馬掛所ガッツポーズに花八つ手なつき
そぞろ歩の疎水の道は四温晴せいじ
人力車花のごとくに春着の娘澄子
吹初の尺八に添ふ朱唇かなむべ
羽子つきの乾きし音や空まさをむべ
寒風や湖の鳥居へ縮れ波隆松
甑布干す酒蔵の庭小春せいじ
伊達門の寒禽騒ぐ高みかなかえる
讃美歌を爪弾く箏や明の春むべ
新地湯は令和の今も路地ぬくしうつぎ
酒蔵を映す運河に風光るあひる
弾痕に触るれば寒し太柱たか子
出格子の伏見古町踏青すよう子
彼彼女並んで結ひし初みくじなつき
坂がかる大路や俥夫の息白し康子
霜の朝棚田は縞のモノクロに素秀