みのる選:2020年度
俳句 | 作者 |
黒豆のお茶をいただき窓小春 | 更紗 |
瀬戸小春沖に白帆の散らばりて | 小袖 |
着古しの仕分けに悩む冬支度 | せいじ |
挨拶の名前浮かばず駅寒し | かかし |
縁側の日差し背にして冬支度 | 豊実 |
赤とんぼ連れて出発島のバス | なおこ |
浜小屋に砂吹きだまる隙間風 | 素秀 |
改易の天守なき濠浮寝鳥 | よう子 |
陽だまりに洋蘭集め冬支度 | 小袖 |
鵙日和ベンチで剥きしゆで卵 | なつき |
俳句 | 作者 |
秋高し大般若会の堂震へ | 小袖 |
洗濯機渦に揉まるる木の実かな | よう子 |
秋灯下更の聖書に線を引く | せいじ |
紅葉濃し大観の絵を想ひけり | なおこ |
煤光りせる古民家の秋灯 | うつぎ |
清けしや筆伸びやかに納経帳 | よう子 |
一つ熟る朱欒の重き苗木かな | なつき |
一叢の露草みんな日にま向く | うつぎ |
更けてなほ研究棟の秋灯 | 豊実 |
窯変のうねりをなぞる秋灯下 | 素秀 |
俳句 | 作者 |
仏なる路傍の石の秋の声 | よう子 |
源流の水音かそけき秋の声 | かかし |
新米に箸のすすみし夕餉かな | 豊実 |
盆の月照らす実家に母ひとり | 更紗 |
かしぎたる案山子深々野球帽 | 素秀 |
砦跡葉擦れにまじる秋の声 | なつき |
広縁に足投げ出せば秋の声 | せいじ |
生家へは海沿ひの道秋の声 | うつぎ |
俳句 | 作者 |
落花また落花や我に句敵に | うつぎ |
落椿ダム湖に秘めし物語 | うつぎ |
塩田の跡に遍路の鈴進む | 素秀 |
ランタンとせる竹筒に花の屑 | せいじ |
飛花落花真つ只中に我が余生 | よし子 |
畦塗つて柏手を打つ老農夫 | かかし |
朝桜樹間にまみゆ観世音 | ぽんこ |
遍路笠二つ舳先に渡し舟 | 素秀 |
里山の裾あかるうす今年竹 | 菜々 |
野良猫の釣り人に媚ぶ春の昼 | わかば |
鼻息で花屑飛ばすレトリバー | なつき |
磯遊びかかるしぶきも何のその | こすもす |
一陣の風に騒然つつじ山 | 宏虎 |
わが町の路地をめぐりて春惜しむ | 菜々 |
花吹雪湖底の村の望郷碑 | よし子 |
野路愉したんぽぽの黄の連なりて | よし子 |
雨に敷く歩道の落花華やぎぬ | はく子 |
自家製てふ蕗味噌試食道の駅 | かかし |
昼暗き裏参道の落椿 | せいじ |
島陰にくぐもる汽笛沖長閑 | もとこ |
花吹雪スローシャッターで見るごとし | よう子 |
園占むる十万本のチューリップ | わかば |
汐風に松の香混じる遍路道 | 素秀 |
おおどかに鳶の輪を描く春の空 | わかば |
声低く懺悔聞こゆる遍路宿 | 素秀 |
尻振りて競歩の夫婦たんぽぽ黄 | うつぎ |
俳句 | 作者 |
蜷の道吾の人生にさも似たり | うつぎ |
水松の気根によきによき春の泥 | うつぎ |
大手門額縁にして城の春 | たか子 |
峡の道右手に左手に芽吹きをり | こすもす |
天守背に風の意のまま雪柳 | ぽんこ |
小雀のまろび遊べる庭うらら | 素秀 |
老農夫夕日に春耕余念なし | はく子 |
つんつんと切つ先立てし菖蒲の芽 | うつぎ |
見はるかす淀の岬鼻風光る | 菜々 |
豆の花貸農園の風に舞ふ | はく子 |
起伏野に点在したる野梅かな | せいじ |
水温む青天井の展けけり | 満天 |
又一人春のベンチに入れ替はり | 小袖 |
なぞり読む蕪村の句碑の暖かし | 菜々 |
車椅子母と見上ぐる初桜 | わかば |
囀れる森のベンチにミニ句会 | ぽんこ |
春日燦苑の真中にマリア像 | 満天 |
土筆野といひたきほどの河原かな | わかば |
百々御所の皇女の愛でし古雛 | よう子 |
萬屋の帳簿机に明治雛 | なつき |
蕪村碑へ淀の長堤青き踏む | 菜々 |
(参加者 14名)