みのる選:2018年度

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2018年7月24日:須磨吟行

俳句作者
沖を航くフェリーに瀬戸の秋惜しむせいじ
須磨涼し赤灯台に磯馴松せいじ
浜風の凪ぎて駆け込む避暑ホテルせいじ
波白く崩れて浜を縁取りぬせいじ
人影のまばらなる江に鰡跳ねるせいじ
地滑りの疵生々し夏の山せいじ
色変えぬ松抽んでし赤灯台こすもす
海の家異国めきたる屋根涼しこすもす
天辺の揺るる椰子の木いと涼しこすもす
波音の届く松浜蝉時雨こすもす
高速艇涼し真白き水脈曳きてこすもす
潮の香の通ふ松浜避暑散歩わかば
庭先に続く松浜避暑ホテルわかば
真青なる空へカラフル砂日傘わかば
イルカショー涼し飛び来る飛沫またわかば
海の幸のせて昼餉や夏館わかば
館涼し水槽魚のパラダイス小袖
夏空へイルカ突上ぐ飼育員小袖
お手植の松は百年浜涼し小袖
大水槽廻る鰯の群れ涼し小袖
鮨詰めに穴子や水族館涼しなおこ
夏空へジャンプイルカのショータイムなおこ
シャンソンの楽の流れる浜涼しなおこ
風涼し白砂青松赤灯台ぽんこ
繋船の舷を打つ波涼しぽんこ
松浜に立つ古歌の碑に風涼しみきえ
砂日傘色とりどりに風を呼ぶみきえ
(須磨水族園・須磨海浜公園 参加者9名)
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2018年5月28日:奈良吟行

俳句作者
薫風や裏参道の築地塀うつぎ
若葉風数奇屋づくりの四阿にうつぎ
一望のまほろば二月堂涼しうつぎ
鋏の音天より降らし松手入うつぎ
霊水として一条の瀧涼しせいじ
出格子の古町をゆく白日傘せいじ
銀輪に初夏の日差しや人力車せいじ
鐘楼の鐘は泰然青嵐せいじ
鹿の仔の見開くまなこ緑映ゆたか子
薄暑光原始の森の谷間へとたか子
夏の森自縄自縛に蔓からむたか子
天井は網代作りや亭涼し菜々
南大門大万緑を抽んでし菜々
滴りて岩場の苔を潤しぬ菜々
松手入梯子見ゆれど足見えずぽんこ
青空の展けそめたり松手入ぽんこ
大鳥居くぐる一歩や万緑理満天
下闇に昼を灯すは荷茶屋満天
薫風や古都一望の高欄にわかば
塔頭の長き築地や古都薄暑わかば
急磴の灼くる手すりに難儀して明日香
ドンタッチ袋角への注意飛ぶこすもす
戦意なき瞳に安堵袋角小袖
鹿とゆく春日大社の杜涼しはく子
四阿にひと息つけば若葉風はるよ
鹿に飽き歩き疲れて氷菓舐む宏虎
杜涼し木立がくれに鹿の角よう子
(奈良二月堂・春日大社 参加者15名)
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2018年2月27日:明石吟行

俳句作者
子午線を西へ東へ春うららさつき
水琴窟春のリズムを奏でをりさつき
淡路へと消ゆる架橋や春霞さつき
沖遥か浮灯台の灯の朧さつき
梅枝垂る古りし鳥居の両袖にせいじ
いかなごの船団綺羅の波隠れせいじ
子午線にたつ十字架や風光るせいじ
身に入むや震禍の瑕の残る磴せいじ
漱ぎたる名水の温々し節子
踏青や子午線の塔一周す節子
水琴窟奏づはいまし早春譜節子
子午線を跨ぎて眺む沖おぼろ節子
こぼれたるいかなご踏まれ春愁ふわかば
襤褸布を引き上ぐるごと若布刈るわかば
水仙郷なせる宮居のなぞへかなわかば
沖を行く巨船の水脈に風光るわかば
指呼されしいかなご漁へ遠眼鏡うつぎ
潮垂らす襤褸布のごと若布干すうつぎ
国生みの島を隠して沖おぼろうつぎ
ジャンケンで決着したる糶うららたか子
黙々と墓彫る石工背ナの春たか子
子午線の伸びたるさきは春の海たか子
春がすみ淡路の島の浮かびけりよう子
子午線の朧の海へ消えにけりよう子
潮騒に瞑想すれば春眠し治代
囀や昼なほくらき深山道ぽんこ
寺の庭春光の海借景にみどり
(明石人丸山・漁港糶 参加者10名)
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