みのる選:2017年度
俳句 | 作者 |
路地小春人の気配す格子窓 | たか子 |
縱橫の路地吹き抜ける空つ風 | たか子 |
昼暗き商家の三和土冬灯 | たか子 |
天窓を射抜くがごとき冬日かな | たか子 |
万葉の碑の文字ゆるき小春かな | たか子 |
ぶらぶらとゆく古町の路地小春 | なおこ |
環濠を埋むばかりの落葉かな | なおこ |
句輩数珠に並びて路地小春 | なおこ |
幹ねじれたる老木に冬日射す | なおこ |
冬天へ仁王立せる大榎 | はく子 |
もみぢリース飾りて里の資料館 | はく子 |
どの路地を選ぶも冬の風抜ける | はく子 |
駒つなぎ錆びし豪邸木の葉散る | はく子 |
万葉の歌碑に降り積む落葉かな | ぽんこ |
声高き案内人の息白し | ぽんこ |
大いなる梁が支へし冬館 | ぽんこ |
右左白壁映ゆる路地小春 | ぽんこ |
土間暗し冬日漏れくる煙出し | せいじ |
いにしへのお白州といふ土間寒し | せいじ |
まらうどで混む古町の路地小春 | せいじ |
庭に置く結界石の寒さかな | 小袖 |
漆喰の白塀つづく路地小春 | 小袖 |
辻に立つガイドの笑みに冬ぬくし | 小袖 |
冬晴や家並のあひに畝傍山 | 菜々 |
太格子つづく古町冬ぬくし | 菜々 |
通し土間小さき天窓冬日洩る | 菜々 |
人麻呂の歌碑にやまざる散紅葉 | 満天 |
冬の晴白漆喰の古町に | わかば |
(今井町 参加者13名)
畑一面ダイヤびかりす露葎 | なおこ |
曼珠沙華道ゆくみなに愛でられて | なおこ |
露草が綺羅と朝日をはじきをり | なおこ |
水霜はまるでお菓子のコーティング | なおこ |
枯蟷螂元気だせよと存問す | なおこ |
野路をゆく一歩が至福草紅葉 | せいじ |
野路そぞろ川面に映る秋日傘 | せいじ |
うち仰ぐ椎の神木天高し | せいじ |
真青なる空うつしたる芋の露 | せいじ |
段畑に銀撒き散らす猫じゃらし | 小袖 |
朝日燦畦の下草露滂沱 | 小袖 |
斯く装ふ花野やここも寺領てふ | 小袖 |
神さぶや産土の森秋灯す | 小袖 |
秋晴やシルバーハイカー足軽し | 満天 |
枯蟷螂虜としたる吟行子 | 満天 |
草紅葉自由奔放築地塀 | 満天 |
妙見山の天辺ほのと粧ひぬ | 満天 |
野辺ゆけば亡き母恋し彼岸花 | みどり |
一末社実りの秋の笙の笛 | みどり |
毬栗のはぜて笑ひし枝の先 | みどり |
境内の樹間を縫ひし秋日影 | みどり |
せせらぎと虫の音が和す能勢山路 | はく子 |
畔川のほとり埋めて蛍草 | はく子 |
鎮守社へ紆余の坂道柿熟るる | はく子 |
供華用といふ寺畑の花野かな | うつぎ |
秋晴や杭に長靴逆さ干し | うつぎ |
豊の秋扇重ねに棚田かな | 菜々 |
能勢旧家戸ごとに小橋水の秋 | 菜々 |
堰落つる水音も里の秋の声 | 有香 |
相寄りておしゃべりしては花野ゆく | 有香 |
秋澄める能勢路や四方の山襖 | わかば |
秋晴の嶺々に一朶の雲見えず | わかば |
振りあげし鎌力なし枯蟷螂 | よう子 |
高稲架に傾く谷戸の夕日かな | ともえ |
(能勢山路 参加者17名)
俳句 | 作者 |
水浸きつつ幹黒々と大夏木 | 小袖 |
対岸へ広ごる池面緑立つ | 小袖 |
園涼しラムズイヤーの葉にも触れ | 小袖 |
漣を片寄せてゆく風涼し | 小袖 |
蛇苺大樹の影に侍るごと | 小袖 |
野の花の園の小径をふちどりぬ | なおこ |
草の絮受けとめて見る掌 | なおこ |
並び立つ羽ペンのごと茅花揺れ | なおこ |
喬木の森抱かんと雲の峰 | 菜々 |
媼らの遊山へ樗花降らす | 菜々 |
紅ほのとほぐれそめたる花菖蒲 | 菜々 |
行厨のBGMは行々子 | はく子 |
公園をまたぐ大橋風涼し | はく子 |
万緑に染まる広池風渡る | はく子 |
たたなはる青葉若葉の池畔かな | ぽんこ |
草茂る川と岸とのけじめなく | ぽんこ |
老鶯の美声に森を逍遥す | ぽんこ |
夏雲を突き上ぐるごと斜張橋 | 満天 |
菖蒲池眺めの贅やお弁当 | 満天 |
夏空を掃くごと揺るるブラシの木 | 満天 |
花菖蒲艶めく名もて咲き競ふ | わかば |
四阿の風心地よき菖蒲池 | わかば |
起伏野の眼下に展け池涼し | わかば |
下闇を抜け下闇へ園広し | せいじ |
バス停の外大前は若き夏 | たか子 |
(山田池公園 参加者10名)
俳句 | 作者 |
三尺寝して昼糶を待つ漢 | せいじ |
岸壁の藤壺洗ふ青葉潮 | せいじ |
高速艇夏潮蹴つて速度上ぐ | せいじ |
買い手らの目は一点に糶涼し | せいじ |
ジェットスキー卯浪にジャンプまたジャンプ | やよい |
白シャツにガンバレ東北糶の衆 | やよい |
薫風や明石大門は船銀座 | やよい |
漁網編む節くれの手や炎天下 | やよい |
しめられて宙睨みをる糶りの鰤 | 明日香 |
じゃんけんで糶落とさるる小鯵かな | 明日香 |
掛け声の呪文のごとし糶涼し | 明日香 |
海と空境界不明黄砂降る | こすもす |
釣り人に寄り添ひてまつ白日傘 | こすもす |
ピカピカの鯵やフライにせんと買ふ | こすもす |
浜日永漁網修理に余念なし | はく子 |
国生みの島泰然と青葉潮 | はく子 |
浜暑し背より高き防波堤 | はく子 |
漁網繕ふ二の腕太き日焼かな | たか子 |
国生みの島も黄砂に覆はるる | たか子 |
締められて真烏賊のきゆうと声洩らす | なつき |
夏燕マストひしめく船溜まり | なつき |
白南風に吃水深く帰漁船 | 菜々 |
豊漁かと問へば首振り汗に笑む | 菜々 |
大穴子一発で糶り落とさるる | せつ子 |
潮の色こぼして鯵の糶られけり | 宏虎 |
桟橋をきゆきゆと鳴かせる卯浪かな | ぽんこ |
日傘してテトラポットに推敲す | 満天 |
トロ箱に吸ひ付く蛸をわしづかみ | みきえ |
トロ箱の蓋押し上ぐる蛸の足 | わかば |
(明石吟行 参加者17名)
俳句 | 作者 |
切り株をベンチとしたる落椿 | せいじ |
禁門をくぐれば苔の青畳 | せいじ |
猪名川の奇岩の河原春奏づ | せいじ |
掌にのせて椿を愛おしむ | せいじ |
朱の橋にぼんぼり吊るす花の宮 | わかば |
御手洗は苔むす巌水温む | わかば |
山茱萸の黄を点したる神の杜 | わかば |
春雨に艶めく宮の石畳 | わかば |
春陰や砦めきたる築地塀 | うつぎ |
神名備の奥処山茱萸明かりして | うつぎ |
石に伏し苔に仰向く落椿 | うつぎ |
苔の上へ捨て身さながら椿落つ | 菜々 |
青葉して源家五公を祀る宮 | 菜々 |
春田打つ源家ゆかりの里に住み | 菜々 |
囀に満つ神苑を逍遥す | 治代 |
洞深く老いし大樹に春寒し | 治代 |
やはらかに椿うけとめ苔の庭 | 治代 |
苔涼し瘤だらけなる御神木 | ぽんこ |
囀に耳そば立てし遥拝所 | ぽんこ |
雨空に山茱萸の黄を散らしけり | ぽんこ |
案内の禰宜饒舌や春うらら | 満天 |
風光る千木に葵の紋しるき | 満天 |
猪名川の碧き水面を風光る | 満天 |
鎮魂のごとく御廟へ春の雨 | 小袖 |
花の宮結界のごと築地塀 | 小袖 |
延べし手の上へ落ちたる椿かな | 有香 |
招霊や源氏ゆかりの地に繁る | 有香 |
潜戸の一歩ためらふ落椿 | よう子 |
菜種梅雨剥落烈し築地塀 | よう子 |
落椿源氏ゆかりの神苑に | たか子 |
人馴れの鵯茎立を啄める | はく子 |
(多田神社 参加者17名)