みのる選:2017年度

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2017年11月24日

俳句作者
路地小春人の気配す格子窓たか子
縱橫の路地吹き抜ける空つ風たか子
昼暗き商家の三和土冬灯たか子
天窓を射抜くがごとき冬日かなたか子
万葉の碑の文字ゆるき小春かなたか子
ぶらぶらとゆく古町の路地小春なおこ
環濠を埋むばかりの落葉かななおこ
句輩数珠に並びて路地小春なおこ
幹ねじれたる老木に冬日射すなおこ
冬天へ仁王立せる大榎はく子
もみぢリース飾りて里の資料館はく子
どの路地を選ぶも冬の風抜けるはく子
駒つなぎ錆びし豪邸木の葉散るはく子
万葉の歌碑に降り積む落葉かなぽんこ
声高き案内人の息白しぽんこ
大いなる梁が支へし冬館ぽんこ
右左白壁映ゆる路地小春ぽんこ
土間暗し冬日漏れくる煙出しせいじ
いにしへのお白州といふ土間寒しせいじ
まらうどで混む古町の路地小春せいじ
庭に置く結界石の寒さかな小袖
漆喰の白塀つづく路地小春小袖
辻に立つガイドの笑みに冬ぬくし小袖
冬晴や家並のあひに畝傍山菜々
太格子つづく古町冬ぬくし菜々
通し土間小さき天窓冬日洩る菜々
人麻呂の歌碑にやまざる散紅葉満天
冬の晴白漆喰の古町にわかば
(今井町 参加者13名)
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2017年9月29日

畑一面ダイヤびかりす露葎なおこ
曼珠沙華道ゆくみなに愛でられてなおこ
露草が綺羅と朝日をはじきをりなおこ
水霜はまるでお菓子のコーティングなおこ
枯蟷螂元気だせよと存問すなおこ
野路をゆく一歩が至福草紅葉せいじ
野路そぞろ川面に映る秋日傘せいじ
うち仰ぐ椎の神木天高しせいじ
真青なる空うつしたる芋の露せいじ
段畑に銀撒き散らす猫じゃらし小袖
朝日燦畦の下草露滂沱小袖
斯く装ふ花野やここも寺領てふ小袖
神さぶや産土の森秋灯す小袖
秋晴やシルバーハイカー足軽し満天
枯蟷螂虜としたる吟行子満天
草紅葉自由奔放築地塀満天
妙見山の天辺ほのと粧ひぬ満天
野辺ゆけば亡き母恋し彼岸花みどり
一末社実りの秋の笙の笛みどり
毬栗のはぜて笑ひし枝の先みどり
境内の樹間を縫ひし秋日影みどり
せせらぎと虫の音が和す能勢山路はく子
畔川のほとり埋めて蛍草はく子
鎮守社へ紆余の坂道柿熟るるはく子
供華用といふ寺畑の花野かなうつぎ
秋晴や杭に長靴逆さ干しうつぎ
豊の秋扇重ねに棚田かな菜々
能勢旧家戸ごとに小橋水の秋菜々
堰落つる水音も里の秋の声有香
相寄りておしゃべりしては花野ゆく有香
秋澄める能勢路や四方の山襖わかば
秋晴の嶺々に一朶の雲見えずわかば
振りあげし鎌力なし枯蟷螂よう子
高稲架に傾く谷戸の夕日かなともえ
(能勢山路 参加者17名)
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2017年5月26日

俳句作者
水浸きつつ幹黒々と大夏木小袖
対岸へ広ごる池面緑立つ小袖
園涼しラムズイヤーの葉にも触れ小袖
漣を片寄せてゆく風涼し小袖
蛇苺大樹の影に侍るごと小袖
野の花の園の小径をふちどりぬなおこ
草の絮受けとめて見る掌なおこ
並び立つ羽ペンのごと茅花揺れなおこ
喬木の森抱かんと雲の峰菜々
媼らの遊山へ樗花降らす菜々
紅ほのとほぐれそめたる花菖蒲菜々
行厨のBGMは行々子はく子
公園をまたぐ大橋風涼しはく子
万緑に染まる広池風渡るはく子
たたなはる青葉若葉の池畔かなぽんこ
草茂る川と岸とのけじめなくぽんこ
老鶯の美声に森を逍遥すぽんこ
夏雲を突き上ぐるごと斜張橋満天
菖蒲池眺めの贅やお弁当満天
夏空を掃くごと揺るるブラシの木満天
花菖蒲艶めく名もて咲き競ふわかば
四阿の風心地よき菖蒲池わかば
起伏野の眼下に展け池涼しわかば
下闇を抜け下闇へ園広しせいじ
バス停の外大前は若き夏たか子
(山田池公園 参加者10名)
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2017年5月20日

俳句作者
三尺寝して昼糶を待つ漢せいじ
岸壁の藤壺洗ふ青葉潮せいじ
高速艇夏潮蹴つて速度上ぐせいじ
買い手らの目は一点に糶涼しせいじ
ジェットスキー卯浪にジャンプまたジャンプやよい
白シャツにガンバレ東北糶の衆やよい
薫風や明石大門は船銀座やよい
漁網編む節くれの手や炎天下やよい
しめられて宙睨みをる糶りの鰤明日香
じゃんけんで糶落とさるる小鯵かな明日香
掛け声の呪文のごとし糶涼し明日香
海と空境界不明黄砂降るこすもす
釣り人に寄り添ひてまつ白日傘こすもす
ピカピカの鯵やフライにせんと買ふこすもす
浜日永漁網修理に余念なしはく子
国生みの島泰然と青葉潮はく子
浜暑し背より高き防波堤はく子
漁網繕ふ二の腕太き日焼かなたか子
国生みの島も黄砂に覆はるるたか子
締められて真烏賊のきゆうと声洩らすなつき
夏燕マストひしめく船溜まりなつき
白南風に吃水深く帰漁船菜々
豊漁かと問へば首振り汗に笑む菜々
大穴子一発で糶り落とさるるせつ子
潮の色こぼして鯵の糶られけり宏虎
桟橋をきゆきゆと鳴かせる卯浪かなぽんこ
日傘してテトラポットに推敲す満天
トロ箱に吸ひ付く蛸をわしづかみみきえ
トロ箱の蓋押し上ぐる蛸の足わかば
(明石吟行 参加者17名)
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2017年3月31日

俳句作者
切り株をベンチとしたる落椿せいじ
禁門をくぐれば苔の青畳せいじ
猪名川の奇岩の河原春奏づせいじ
掌にのせて椿を愛おしむせいじ
朱の橋にぼんぼり吊るす花の宮わかば
御手洗は苔むす巌水温むわかば
山茱萸の黄を点したる神の杜わかば
春雨に艶めく宮の石畳わかば
春陰や砦めきたる築地塀うつぎ
神名備の奥処山茱萸明かりしてうつぎ
石に伏し苔に仰向く落椿うつぎ
苔の上へ捨て身さながら椿落つ菜々
青葉して源家五公を祀る宮菜々
春田打つ源家ゆかりの里に住み菜々
囀に満つ神苑を逍遥す治代
洞深く老いし大樹に春寒し治代
やはらかに椿うけとめ苔の庭治代
苔涼し瘤だらけなる御神木ぽんこ
囀に耳そば立てし遥拝所ぽんこ
雨空に山茱萸の黄を散らしけりぽんこ
案内の禰宜饒舌や春うらら満天
風光る千木に葵の紋しるき満天
猪名川の碧き水面を風光る満天
鎮魂のごとく御廟へ春の雨小袖
花の宮結界のごと築地塀小袖
延べし手の上へ落ちたる椿かな有香
招霊や源氏ゆかりの地に繁る有香
潜戸の一歩ためらふ落椿よう子
菜種梅雨剥落烈し築地塀よう子
落椿源氏ゆかりの神苑にたか子
人馴れの鵯茎立を啄めるはく子
(多田神社 参加者17名)
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