みのる選:2016年度

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2016年12月20日

俳句作者
裸木にひつかかりたるレジ袋うつぎ
急ぎきて五叉路に迷ふ師走かなうつぎ
極月といへどわれらは吟行すかかし
赤文字の旗が氾濫年の市かかし
欄干に押しくらをする寒雀こすもす
仏具屋にセールなささう年の市こすもす
摩天楼ビル抽んでし枯木立ぽんこ
浮島の松要とす冬景色ぽんこ
新藁となりし知恵の輪くぐりけりはく子
蒼天へ千鈴散らし楝の実はく子
水脈重ね不即不離なる番鴨ひかり
色変へぬ松のせり出す鏡池ひかり
花舗占めてポインセチアの鉢並ぶ宏虎
寒禽の鋭声谺す茶臼山宏虎
葉牡丹の大中小と花舗占むる満天
知恵の輪をくぐりこれより納め句座満天
飛び石のひとつは臼や庭枯るる明日香
四阿と枯れたる文字や冬の苑せいじ
着膨れて鐘楼を守る寺男たか子
手に触るる転法輪の冷たさよやよい
色鳥来墓標の義士の寧かれとよう子
商ひの道にはみ出す年の市わかば
(忘年句会 参加者19名)
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2016年11月30日

俳句作者
大銀杏枯れ楼門に直立す菜々
太閤の腰掛石に冬日燦菜々
この寺の歴年重ね蓮枯るる菜々
法の池埋め尽くして散紅葉菜々
道の左右打敷のごと散紅葉菜々
粧へる山裾縫ひてバス楽しはく子
行厨や残るもみぢを愛でもしてはく子
散もみぢ降り積む苔の石灯籠はく子
池涸れて風倒木の横たはる満天
車座に童地蔵や庭うらら満天
金色の九輪冬日をはじきけり満天
仁王門凌ぐ大樹のもみぢかなわかば
清浄な仏塔の庭鵙叫ぶわかば
舌頭に千転しつつ落葉踏むわかば
いざなはるごとく水面へ紅葉散る明日香
愛想のよき柴犬や日向ぼこ明日香
異次元の景さながらに蓮枯るる宏虎
観音の翳す千手に冬日燦宏虎
池一面散紅葉積み歩けさうなおこ
堆く散紅葉積む磴のぼるひかり
小流れの楽に沿ふ径紅葉濃しぽんこ
(久安寺 参加者12名)
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2016年10月4日

俳句作者
 新種なるダリアは名前募集中わかば
 赤のまま一叢風の意のままにわかば
 山裾を拓きし里のダリア園わかば
 里山の畦の道ゆき虫浄土わかば
 里山の小径を綴る秋の草わかば
 百選の里の道ゆき秋深むわかば
 秋蝶を虜としたる花野かなうつぎ
 里山に眠るピザ窯昼の虫うつぎ
 向かひあひ栗選果する嫁姑うつぎ
◎芋茎干す茅葺屋根の深庇うつぎ
◎簾吊る木造校舎外厠うつぎ
 明治てふ古りし分校廊涼しよし子
 秋惜しむ母校の壁の傷跡によし子
 軒下は蜘蛛の巣だらけ廃校舎よし子
 明治てふ木造校舎小鳥来るよし子
 カメラ女子構図に迷ふダリア園ひかり
 ダリア園こんなに種類多しとはひかり
 大花野立ち去りがたし蝶もまたひかり
◎妙見山を隠さんと霧立のぼるせいじ
 をちこちに花野散らばる里山路せいじ
 明治の香残る校舎や里の秋ともえ
 夢比べてふ花ダリア競ひ咲くともえ
◎枯木立幹に銃猟禁止札なおこ
 ねこじゃらしゆらゆら風に遊びけりなおこ
 腰曲げて毬栗拾ふ媼かな宏虎
 炎めくダリアあたりを圧倒す宏虎
 草じらみつけて里山吟行すよう子
◎農小屋を隠すばかりに秋桜よう子
 廃校舎跡裏山の虫すだく小袖
 虚栗ここだ散らばる岨の道ぽんこ
(黒川ダリヤ園 参加者13名)
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2016年9月29日

俳句作者
うち仰ぐ池塘のパンパスグラスかなひかり
句帳手に花野をめぐる吾らかなひかり
雨に伏し小径を塞ぐ藤袴ひかり
潦うづめつくして萩の屑ひかり
秋の人佇む雨の池塘かなひかり
竹林のこみちをつづる秋の草せいじ
降り募る雨にな負けそ運動会せいじ
秋天へしのぎを削る椰子並木せいじ
万葉のみちゆく吾に虫すだくせいじ
雨止んだぞと竹林の虫すだく明日香
虹色の橋のかかりて水澄める明日香
中島の五葉の松の色変へず明日香
園うらら花のアーチに愛の鐘満天
秋蝶の縺れては添ふハーブ園満天
幸せの鐘鳴りわたる花野かなわかば
万葉の径に燃え立つ曼珠沙華ぽんこ
(長居植物園 参加者9名)
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2016年7月26日

俳句作者
万緑のまつたゞ中に心字池菜々
四阿の四囲より通ふ蓮の風菜々
心字池へと影落とす百日紅菜々
広き園めぐる限りの蝉時雨菜々
太陽の塔万緑を抽んでしぽんこ
築山の要をなせる百日紅ぽんこ
小流れの楽の涼しき州浜かなぽんこ
蓮広葉雨水溜めて揺らぎけりぽんこ
梅雨の園長靴履いて吟行すかかし
梅雨雲に届きさうなる観覧車かかし
雨の玉風の意に沿ふ蓮広葉かかし
鳰の子の潜りし母にと見かう見せいじ
あめんぼの水面を駈けて上機嫌せいじ
雨音の遠のきてより蝉時雨満天
水亭の大玻璃を打つ緑雨かな満天
水鏡して開きたる蓮大輪よし子
緑濃き雨の築山戻り梅雨よし子
蓮大輪雨に打たれて散りにけりわかば
堰落つる水辺最も紅葉濃しわかば
右左脳天からも蝉時雨なおこ
水に透き万華鏡めく鯉涼しひかり
(万博公園 参加者13名)
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2016年5月25日

俳句作者
唐破風に菊の御紋の夏館よう子
緑立つ唐門仰ぎつつ潜るよう子
さやかなる離宮の庭の春惜しむよう子
鶴亀の島へかかりし橋涼しよう子
築山の松のしもとにつつじ燃ゆわかば
ゆくりなく濠端ここだ夏薊わかば
風の意のままに揺れゐる茅花かなわかば
緑なす松の影縫ふ小径かなわかば
廊めぐるうぐひす張の音涼し明日香
ハンギングめく石垣の草若葉明日香
石組みの百景涼し城の庭明日香
昼暗き黒書院でて目に青葉小袖
白砂の道結界の芝青む小袖
広々と武者隠してふ夏座敷小袖
風薫る二条離宮の松並木菜々
桃山の金泥涼し障壁画菜々
暦日の松の百態影涼し菜々
万緑の限りを尽くす古城かなぽんこ
濠の面櫓の影と雲の峰ぽんこ
漣のかけて濠の面風ひかるぽんこ
白靴のいで入り盛ん二条城満天
書院の間涼し墨書の壁画また満天
異人みななべてメタボや古都薄暑満天
咲き満ちて苔庭に映ゆさつきかなひかり
遠州の庭の要の滝涼しひかり
探幽の松の涼しき黒書院なおこ
(二条城 参加者10名)
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2016年3月30日

俳句作者
吟行子土手の土筆にうちかがみ直子
落椿ここだうち敷く石畳直子
紋黄蝶飛べ飛べ法の空高く直子
幹よじれたる老木の花万朶直子
落椿結界のごと参道に小袖
大王松見上げる頬へ春の風小袖
山寺の小流れを塞く落椿小袖
山腹の観音様へ花の磴菜々
春ともし趺坐大らかに金の弥陀菜々
灯籠へしだれて千々の紅桜菜々
観音の遠まなざしに春霞よし子
花の寺堂縁借りてお弁当よし子
おほかたは天を向きたる落椿よし子
法の山抜きんでてをる竹の秋ひかり
水神の禊の水面落椿ひかり
花の寺俳人として逍遥す宏虎
木々芽吹く古刹のに鬼瓦宏虎
結界の解かれし寺庭すみれ咲く有香
相聞のごと向きあふて落椿有香
険磴のあはひあはひにすみれ咲く明日香
捨畑に宝石のごといぬふぐりぽんこ
風光る一直線の参磴に満天
踊るごと幹ねじれたる大桜よう子
里のバス降り立てば草芳しきわかば
(満願寺 参加者13名)
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2016年1月27日

俳句作者
木々の間にひかる池面や冬日燦菜々
蒼天へ諸枝を翳す冬芽かな菜々
木洩日の小径辿れば春隣菜々
薄氷に脚滑らしぬ家鴨どち菜々
鳥影の礫うちなる枯木立菜々
石の橋木の橋渡り踏青す菜々
温むかと足踏み入れぬ汀まで小袖
寒晴の中洲は鳥のハレムかな小袖
枝移りする春禽の姦しく小袖
橋桁に水かげろひて四温晴明日香
八つ橋の下にほつほつ物芽出づ明日香
探鳥会毛布を膝に車椅子明日香
冬日燦昆陽の汀を吟行すかかし
欄干に押しくらのごと百合鴎かかし
風波をゆりかごとして浮寝鳥かかし
ジェット機の爆音過ぎる枯木立よう子
温かや母の形見の服なればよう子
遠嶺はや翠黛めきて春近しひかり
水に透く水掻き忙し鴨進むひかり
鴨をかし我もわれもと逆立す宏虎
自ずから芽立ちの遅速池めぐる宏虎
白鳥の首をS字に羽繕ひ満天
(伊丹昆陽池 参加者10名)
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