みのる選:2016年度
俳句 | 作者 |
裸木にひつかかりたるレジ袋 | うつぎ |
急ぎきて五叉路に迷ふ師走かな | うつぎ |
極月といへどわれらは吟行す | かかし |
赤文字の旗が氾濫年の市 | かかし |
欄干に押しくらをする寒雀 | こすもす |
仏具屋にセールなささう年の市 | こすもす |
摩天楼ビル抽んでし枯木立 | ぽんこ |
浮島の松要とす冬景色 | ぽんこ |
新藁となりし知恵の輪くぐりけり | はく子 |
蒼天へ千鈴散らし楝の実 | はく子 |
水脈重ね不即不離なる番鴨 | ひかり |
色変へぬ松のせり出す鏡池 | ひかり |
花舗占めてポインセチアの鉢並ぶ | 宏虎 |
寒禽の鋭声谺す茶臼山 | 宏虎 |
葉牡丹の大中小と花舗占むる | 満天 |
知恵の輪をくぐりこれより納め句座 | 満天 |
飛び石のひとつは臼や庭枯るる | 明日香 |
四阿と枯れたる文字や冬の苑 | せいじ |
着膨れて鐘楼を守る寺男 | たか子 |
手に触るる転法輪の冷たさよ | やよい |
色鳥来墓標の義士の寧かれと | よう子 |
商ひの道にはみ出す年の市 | わかば |
(忘年句会 参加者19名)
俳句 | 作者 |
大銀杏枯れ楼門に直立す | 菜々 |
太閤の腰掛石に冬日燦 | 菜々 |
この寺の歴年重ね蓮枯るる | 菜々 |
法の池埋め尽くして散紅葉 | 菜々 |
道の左右打敷のごと散紅葉 | 菜々 |
粧へる山裾縫ひてバス楽し | はく子 |
行厨や残るもみぢを愛でもして | はく子 |
散もみぢ降り積む苔の石灯籠 | はく子 |
池涸れて風倒木の横たはる | 満天 |
車座に童地蔵や庭うらら | 満天 |
金色の九輪冬日をはじきけり | 満天 |
仁王門凌ぐ大樹のもみぢかな | わかば |
清浄な仏塔の庭鵙叫ぶ | わかば |
舌頭に千転しつつ落葉踏む | わかば |
いざなはるごとく水面へ紅葉散る | 明日香 |
愛想のよき柴犬や日向ぼこ | 明日香 |
異次元の景さながらに蓮枯るる | 宏虎 |
観音の翳す千手に冬日燦 | 宏虎 |
池一面散紅葉積み歩けさう | なおこ |
堆く散紅葉積む磴のぼる | ひかり |
小流れの楽に沿ふ径紅葉濃し | ぽんこ |
(久安寺 参加者12名)
俳句 | 作者 |
新種なるダリアは名前募集中 | わかば |
赤のまま一叢風の意のままに | わかば |
山裾を拓きし里のダリア園 | わかば |
里山の畦の道ゆき虫浄土 | わかば |
里山の小径を綴る秋の草 | わかば |
百選の里の道ゆき秋深む | わかば |
秋蝶を虜としたる花野かな | うつぎ |
里山に眠るピザ窯昼の虫 | うつぎ |
向かひあひ栗選果する嫁姑 | うつぎ |
◎芋茎干す茅葺屋根の深庇 | うつぎ |
◎簾吊る木造校舎外厠 | うつぎ |
明治てふ古りし分校廊涼し | よし子 |
秋惜しむ母校の壁の傷跡に | よし子 |
軒下は蜘蛛の巣だらけ廃校舎 | よし子 |
明治てふ木造校舎小鳥来る | よし子 |
カメラ女子構図に迷ふダリア園 | ひかり |
ダリア園こんなに種類多しとは | ひかり |
大花野立ち去りがたし蝶もまた | ひかり |
◎妙見山を隠さんと霧立のぼる | せいじ |
をちこちに花野散らばる里山路 | せいじ |
明治の香残る校舎や里の秋 | ともえ |
夢比べてふ花ダリア競ひ咲く | ともえ |
◎枯木立幹に銃猟禁止札 | なおこ |
ねこじゃらしゆらゆら風に遊びけり | なおこ |
腰曲げて毬栗拾ふ媼かな | 宏虎 |
炎めくダリアあたりを圧倒す | 宏虎 |
草じらみつけて里山吟行す | よう子 |
◎農小屋を隠すばかりに秋桜 | よう子 |
廃校舎跡裏山の虫すだく | 小袖 |
虚栗ここだ散らばる岨の道 | ぽんこ |
(黒川ダリヤ園 参加者13名)
俳句 | 作者 |
うち仰ぐ池塘のパンパスグラスかな | ひかり |
句帳手に花野をめぐる吾らかな | ひかり |
雨に伏し小径を塞ぐ藤袴 | ひかり |
潦うづめつくして萩の屑 | ひかり |
秋の人佇む雨の池塘かな | ひかり |
竹林のこみちをつづる秋の草 | せいじ |
降り募る雨にな負けそ運動会 | せいじ |
秋天へしのぎを削る椰子並木 | せいじ |
万葉のみちゆく吾に虫すだく | せいじ |
雨止んだぞと竹林の虫すだく | 明日香 |
虹色の橋のかかりて水澄める | 明日香 |
中島の五葉の松の色変へず | 明日香 |
園うらら花のアーチに愛の鐘 | 満天 |
秋蝶の縺れては添ふハーブ園 | 満天 |
幸せの鐘鳴りわたる花野かな | わかば |
万葉の径に燃え立つ曼珠沙華 | ぽんこ |
(長居植物園 参加者9名)
俳句 | 作者 |
万緑のまつたゞ中に心字池 | 菜々 |
四阿の四囲より通ふ蓮の風 | 菜々 |
心字池へと影落とす百日紅 | 菜々 |
広き園めぐる限りの蝉時雨 | 菜々 |
太陽の塔万緑を抽んでし | ぽんこ |
築山の要をなせる百日紅 | ぽんこ |
小流れの楽の涼しき州浜かな | ぽんこ |
蓮広葉雨水溜めて揺らぎけり | ぽんこ |
梅雨の園長靴履いて吟行す | かかし |
梅雨雲に届きさうなる観覧車 | かかし |
雨の玉風の意に沿ふ蓮広葉 | かかし |
鳰の子の潜りし母にと見かう見 | せいじ |
あめんぼの水面を駈けて上機嫌 | せいじ |
雨音の遠のきてより蝉時雨 | 満天 |
水亭の大玻璃を打つ緑雨かな | 満天 |
水鏡して開きたる蓮大輪 | よし子 |
緑濃き雨の築山戻り梅雨 | よし子 |
蓮大輪雨に打たれて散りにけり | わかば |
堰落つる水辺最も紅葉濃し | わかば |
右左脳天からも蝉時雨 | なおこ |
水に透き万華鏡めく鯉涼し | ひかり |
(万博公園 参加者13名)
俳句 | 作者 |
唐破風に菊の御紋の夏館 | よう子 |
緑立つ唐門仰ぎつつ潜る | よう子 |
さやかなる離宮の庭の春惜しむ | よう子 |
鶴亀の島へかかりし橋涼し | よう子 |
築山の松のしもとにつつじ燃ゆ | わかば |
ゆくりなく濠端ここだ夏薊 | わかば |
風の意のままに揺れゐる茅花かな | わかば |
緑なす松の影縫ふ小径かな | わかば |
廊めぐるうぐひす張の音涼し | 明日香 |
ハンギングめく石垣の草若葉 | 明日香 |
石組みの百景涼し城の庭 | 明日香 |
昼暗き黒書院でて目に青葉 | 小袖 |
白砂の道結界の芝青む | 小袖 |
広々と武者隠してふ夏座敷 | 小袖 |
風薫る二条離宮の松並木 | 菜々 |
桃山の金泥涼し障壁画 | 菜々 |
暦日の松の百態影涼し | 菜々 |
万緑の限りを尽くす古城かな | ぽんこ |
濠の面櫓の影と雲の峰 | ぽんこ |
漣のかけて濠の面風ひかる | ぽんこ |
白靴のいで入り盛ん二条城 | 満天 |
書院の間涼し墨書の壁画また | 満天 |
異人みななべてメタボや古都薄暑 | 満天 |
咲き満ちて苔庭に映ゆさつきかな | ひかり |
遠州の庭の要の滝涼し | ひかり |
探幽の松の涼しき黒書院 | なおこ |
(二条城 参加者10名)
俳句 | 作者 |
吟行子土手の土筆にうちかがみ | 直子 |
落椿ここだうち敷く石畳 | 直子 |
紋黄蝶飛べ飛べ法の空高く | 直子 |
幹よじれたる老木の花万朶 | 直子 |
落椿結界のごと参道に | 小袖 |
大王松見上げる頬へ春の風 | 小袖 |
山寺の小流れを塞く落椿 | 小袖 |
山腹の観音様へ花の磴 | 菜々 |
春ともし趺坐大らかに金の弥陀 | 菜々 |
灯籠へしだれて千々の紅桜 | 菜々 |
観音の遠まなざしに春霞 | よし子 |
花の寺堂縁借りてお弁当 | よし子 |
おほかたは天を向きたる落椿 | よし子 |
法の山抜きんでてをる竹の秋 | ひかり |
水神の禊の水面落椿 | ひかり |
花の寺俳人として逍遥す | 宏虎 |
木々芽吹く古刹のに鬼瓦 | 宏虎 |
結界の解かれし寺庭すみれ咲く | 有香 |
相聞のごと向きあふて落椿 | 有香 |
険磴のあはひあはひにすみれ咲く | 明日香 |
捨畑に宝石のごといぬふぐり | ぽんこ |
風光る一直線の参磴に | 満天 |
踊るごと幹ねじれたる大桜 | よう子 |
里のバス降り立てば草芳しき | わかば |
(満願寺 参加者13名)
俳句 | 作者 |
木々の間にひかる池面や冬日燦 | 菜々 |
蒼天へ諸枝を翳す冬芽かな | 菜々 |
木洩日の小径辿れば春隣 | 菜々 |
薄氷に脚滑らしぬ家鴨どち | 菜々 |
鳥影の礫うちなる枯木立 | 菜々 |
石の橋木の橋渡り踏青す | 菜々 |
温むかと足踏み入れぬ汀まで | 小袖 |
寒晴の中洲は鳥のハレムかな | 小袖 |
枝移りする春禽の姦しく | 小袖 |
橋桁に水かげろひて四温晴 | 明日香 |
八つ橋の下にほつほつ物芽出づ | 明日香 |
探鳥会毛布を膝に車椅子 | 明日香 |
冬日燦昆陽の汀を吟行す | かかし |
欄干に押しくらのごと百合鴎 | かかし |
風波をゆりかごとして浮寝鳥 | かかし |
ジェット機の爆音過ぎる枯木立 | よう子 |
温かや母の形見の服なれば | よう子 |
遠嶺はや翠黛めきて春近し | ひかり |
水に透く水掻き忙し鴨進む | ひかり |
鴨をかし我もわれもと逆立す | 宏虎 |
自ずから芽立ちの遅速池めぐる | 宏虎 |
白鳥の首をS字に羽繕ひ | 満天 |
(伊丹昆陽池 参加者10名)