みのる選:2015年度
みのる選:2015年度
参加者9名 京都宇治
俳句 | 作者 |
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侘助の一穢なき白咲きつらね | はく子 |
琴坂に高鳴る水音冬もみぢ | はく子 |
掃き清む宮司にもみぢかつ散れり | はく子 |
宇治川の丹の欄干に片しぐれ | はく子 |
琴坂のせゝらぎを聞く秋意かな | 宏虎 |
川風に伏し止まざりし枯芒 | 宏虎 |
磴一歩一歩に愛でる散紅葉 | 宏虎 |
説法は馬耳東風と紅葉愛づ | 宏虎 |
右左水音高鳴る紅葉坂 | ひかり |
水鳥のコロニーなせる中洲かな | ひかり |
観音の裳裾となりて黄落す | ひかり |
ぺちやくちやとシニア軍団紅葉狩 | ひかり |
見に入むや断碑を見るに拝観料 | 菜々 |
千年の古刹に牡丹返り咲く | 菜々 |
琴坂の水のしらべに秋惜しむ | 菜々 |
塵ひとつなき参道の紅葉影 | 満天 |
侘助の白参道に蘂こぼす | 満天 |
小祠の裏堆く落葉積む | 明日香 |
侘助や建仁寺垣似合ふ家 | 明日香 |
落合の白波高し紅葉川 | ぽんこ |
せせらぎを幾重にも塞く散紅葉 | わかば |
相楽園 参加者13名
茶室へと誘なふ径の石蕗明り | 満天 |
昨夜雨に樹々の艶めく苑小春 | 満天 |
菊あるじ苦労話をひとくさり | 満天 |
春慶の船屋形ある紅葉影 | 満天 |
身にしむや庭に震禍のモニュメント | ぽんこ |
大灯籠とりかこみたる石蕗明り | ぽんこ |
厚物に衰えの見ゆ菊花展 | ぽんこ |
岩走る流れに沿ひて石蕗黄なり | わかば |
木洩れ日のスポットライト石蕗黄なり | わかば |
四阿に通ふ爽籟庭小春 | わかば |
四つ目垣お気に入りらし赤とんぼ | 有香 |
小鳥来る千手を翳す大樟に | 有香 |
丁寧に糸菊ほぐす主かな | 有香 |
船屋形もみぢ明りに金ン燦と | 菜々 |
せせらぎの風にささ揺れ石蕗の花 | 菜々 |
栗赤飯いただくお庭菊薫る | 明日香 |
きらきらと小春日を揉む小川かな | 明日香 |
庭園の飛び石づたひ石蕗小径 | 小袖 |
爽籟や池に散らばる鯉の影 | 小袖 |
背景は高層ビルや菊花展 | よし子 |
裏を見て懸崖菊をうべなひぬ | よし子 |
菊花展小学生らの作品も | こすもす |
雨予報嘘のごとくに菊日和 | こすもす |
地震の跡標す煙突秋日影 | ひかり |
菊手入れ宝のごとく愛ほしみ | よう子 |
京都蘆山寺・梨木神社 参加者7名
俳句 | 作者 |
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嫗らの井戸端会議小鳥来る | 小袖 |
舞殿の四方に燃え立つ紅葉かな | 小袖 |
石庭に濃き老松の秋日影 | 小袖 |
大和歌碑なぞる指先萩白し | 小袖 |
水汲ん場一会の会釈爽やかに | 小袖 |
白砂の銀と輝く小春かな | 小袖 |
友を待つ間の長かりし秋暑かな | ひかり |
短冊のホ句をうべなふ萩の宮 | ひかり |
盛りなる萩に短冊揺れやまず | ひかり |
色変えぬ松の影置く白砂かな | ひかり |
縺れつつ不即不離なる萩の蝶 | ひかり |
秋灯下文箱に凛と菊の紋 | 菜々 |
紅白の萩にささゆれ恋の絵馬 | 菜々 |
妙齢の人のそびらへ一葉落つ | 菜々 |
秋惜しむ式部邸址の縁に座し | 菜々 |
萩葎へと紛れたる黄蝶かな | ぽんこ |
御所づくり高貴ただよふ萩の道 | ぽんこ |
白壁に揺れやまざりしもみぢ影 | ぽんこ |
ひるがへる短冊数多萩の風 | ぽんこ |
白砂なる寺苑に桔梗矍鑠と | わかば |
風さやぐ築地に仄と薄紅葉 | わかば |
萩叢を分け入りて読む一碑かな | わかば |
京都平安神宮 参加者9名
俳句 | 作者 |
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東山望む神苑緑さす | わかば |
蓮池のしがらみに鯉重なりて | わかば |
遣水の流れに沿ひて濃紫陽花 | わかば |
神苑を巡る小流れ河鹿鳴く | わかば |
京なれや清水焼に氷菓盛る | 菜々 |
曲水へこぼれて紅し苑の萩 | 菜々 |
一座二座三座と広げひつじ草 | 菜々 |
しがらみを越ゆる水音の涼しさよ | 菜々 |
木道のあらぬ辺にでし梅雨茸 | 明日香 |
遣り水の右に左に濃紫陽花 | 明日香 |
神苑の箒目の径風涼し | 明日香 |
まず茅の輪くぐり神苑吟行す | 満天 |
万緑に仁王立つごと大鳥居 | 満天 |
一服の涼橋殿に風通ふ | ひかり |
神苑の緑陰拾ひ吟行す | ひかり |
池心なる石は鶴亀新樹光 | つくし |
閉ざされし茶室への径五月闇 | つくし |
緑さす休み処の野点傘 | こすもす |
繋がれし古き小舟や池涼し | こすもす |
木洩れ日の斑に紛らわし半夏生 | せいじ |
池田久安寺 参加者13名
俳句 | 作者 |
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涼風の四阿に句を推敲す | わかば |
満目の緑の中の寺領かな | わかば |
満目の緑に染まる心字池 | わかば |
楼門へ影揺れやまぬ若楓 | わかば |
石畳覆ふ寺苑の緑かな | わかば |
いと小さき大師像立つ泉かな | 小袖 |
鬼瓦忿怒してをる樹下涼し | 小袖 |
心経の合唱満つる堂涼し | 小袖 |
濃淡の緑に染まる古刹かな | 小袖 |
新緑に浮かぶがごとし浮舞台 | 満天 |
緑陰に集ひしわらべ地蔵かな | 満天 |
奥院へ道は四葩の切り通し | 満天 |
赤とんぼ弘法さまの肩の上に | 明日香 |
若楓洩る影唄ふごと揺るる | 明日香 |
万緑に朱の楼門を仰ぎけり | ぽんこ |
薫風裡句を推敲す静心 | ぽんこ |
瀬の楽に沿ひし参道風涼し | こすもす |
悉く寺苑を覆ふ若楓 | こすもす |
あひ弾きあふは恋路のあめんぼう | かかし |
大蟻の踏んまえたちし鬼瓦 | かかし |
囀りの樹下に行厨ひらきけり | 有香 |
一陣の風にひれふす若楓 | 有香 |
金色の九輪の尖る青嶺かな | ひかり |
十薬や大樹の影を埋め尽くし | ひかり |
万緑に染まる池面や鯉躍如 | せいじ |
楼門の四囲悉く若楓 | せいじ |
万緑裡堂塔伽藍鎮もれる | はく子 |
鳥語降る青葉若葉の寺庭に | はく子 |
老鶯の四方に谺す浮御堂 | つくし |
春日大社 参加者16名
俳句 | 作者 |
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万葉の歌碑を綴りし若葉径 | わかば |
参道の天蓋となる懸り藤 | わかば |
神の杜肩にしきりの春落葉 | わかば |
沢水に屑流れ行く藤の園 | わかば |
陽を閉ざす大樹の杜の著莪浄土 | わかば |
十重二十重みかさの山に藤懸る | 菜々 |
澄む池に丹塗の影や浮舞台 | 菜々 |
鴟尾高き老舗料亭桐の花 | 菜々 |
大前に瑠璃ひき流し蜥蜴過ぐ | 菜々 |
遥拝す山藤匂ふ回廊に | ひかり |
行厨によき緑陰を得たりけり | ひかり |
稜線の膨らむ如く山笑ふ | ひかり |
傾ぎたつ春日燈籠苔の花 | ひかり |
飛火野にはじける声は遠足子 | 満天 |
懸り藤池に映りし浮舞台 | 満天 |
砂づりの藤のしずくを掌に | 満天 |
満開の藤の香に酔ひ人に酔ひ | よう子 |
倒木に宿りて芽ぐむ若木かな | よう子 |
池の面の青天井に懸り藤 | よう子 |
藤匂ふ径花虻のホバリング | せいじ |
神杉の杜の中なる藤の園 | せいじ |
藤の香を身に纏ひつつ園巡る | せいじ |
譲りあふ歩板の狭し花菖蒲 | 有香 |
風倒木洞に宿りて著莪白し | 有香 |
飛火野や指呼の彼方に懸り藤 | うつぎ |
鹿子の脚心もとなき木の根道 | うつぎ |
春の蝶万葉園に来て遊ぶ | よし子 |
後殿なる磐座や藤の山 | つくし |
懸り藤春日大社の裏山に | ぽんこ |
王子動物園 参加者14名
俳句 | 作者 |
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春愁や長さの違ふぞうの牙 | 満天 |
フラミンゴ首を S字にして昼寝 | 満天 |
広げたる孔雀の羽根に春日燦 | 満天 |
春天をのぼりつめたる観覧車 | 満天 |
子等駈ける余地なく混める花筵 | 満天 |
花の径抜けて緑の異人館 | ひかり |
春眠をむさぼるばかり檻の獅子 | ひかり |
パンダ舎に行列なせる薄暑かな | ひかり |
薄目してプールの河馬は春眠し | ひかり |
観覧車いま天辺や山笑ふ | ひかり |
花疲れ出口に迷ふ遊園地 | うつぎ |
花に浮き花に沈みて観覧車 | うつぎ |
園うらら猿にキス受く硝子越し | うつぎ |
接吻の真似する猿や園うらら | 明日香 |
煌めけるアスカプールの春日かな | 明日香 |
園薄暑手にいっぱいの服さげて | 明日香 |
春愁か象後ずさりするばかり | 小袖 |
推敲のベンチは花の文学館 | 小袖 |
春日洩る館に爆睡するコアラ | わかば |
花陰に屯す園のフラミンゴ | わかば |
手作りの花見弁当お裾分け | よう子 |
春光に羽広げたる白孔雀 | 宏虎 |