みのる選:2014年度
みのる選:2014年度
京都大原自由吟行句会 参加者17名
俳句 | 作者 |
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賀茂川の堰煌めける水の秋 | 宏虎 |
大原や秋さぶ庭を去りがたく | 〃 |
爽やかや水琴窟に耳至福 | 〃 |
露けしやわらべ地蔵は苔まみれ | 〃 |
秋霖に濡るる参道石畳 | わかば |
渓声に沿ふ参道の散紅葉 | 〃 |
大原の里を訪ねて秋惜しむ | 〃 |
秋時雨苔庭いよよ艶めきぬ | 〃 |
落葉径呂川の楽に歩を合はし | 菜々 |
参道は土産屋銀座もみぢ寺 | 〃 |
大原女の小径を辿り秋惜しむ | 〃 |
瀬の楽に沿ひたる径に秋惜しむ | こすもす |
灯火親し眼鏡たびたびずり落ちて | 〃 |
漣のごとくに揺るる芒原 | 〃 |
秋草の供えられたる石舞台 | 明日香 |
二上の天辺隠し秋時雨 | 〃 |
庭園の一隅石蕗の花明かり | 満天 |
御陵へ仰ぐ嶮磴天高し | 〃 |
渓流へ標立つ道草紅葉 | せいじ |
墳丘のなぞへをおほふ草紅葉 | 〃 |
秋惜しむ苔の寺苑をたもとほり | つくし |
御陵へと仰ぐ乱磴天高し | 〃 |
大原の秋を聞かむとバスの旅 | ひかり |
蹲踞に溢るる山の秋の水 | 〃 |
立ち仰ぐ千年杉の天高し | ぽんこ |
振舞ひの地酒に酔ひぬ村祭 | うつぎ |
婦人部の店繁盛す村祭 | 有香 |
神の杜秋天を突く杉木立 | ともえ |
廃屋の破れ網戸に秋日濃し | よう子 |
大釜に湯立てて禊里祭 | よし子 |
力石凍つ恐竜の卵めき | 小袖 |
弓弦羽神社他 参加者11名
俳句 | 作者 |
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芝庭に点描なせる散もみぢ | 菜々 |
ゆづるはの杜の一歩に風さやか | 〃 |
秋暑し釣り上げられし鮒にほふ | 〃 |
燦々と千木の緑青天高し | 〃 |
ゆくりなく火伏の神へ秋時雨 | 〃 |
鵙高音帝御製の碑に | 〃 |
もとほれば弓弦羽の杜秋気満つ | せいじ |
うそ寒し砲弾並ぶ忠魂碑 | 〃 |
秋天にひびく祈願の太鼓かな | 〃 |
池の面に朱をこぼしゐる芙蓉かな | わかば |
緑青の社に添へる紅葉かな | 〃 |
秋水へ樹々の彩り藍深し | 〃 |
萩の風へと扉を開く美術館 | 小袖 |
老翁の両手に杖や野路の秋 | 〃 |
池畔に逆さ芙蓉の紅滲む | 〃 |
色変へぬ松のしもとにちから石 | ぽんこ |
蔦紅葉攀じる池塘の石垣に | 〃 |
千木高き社へ紅葉明かりかな | つくし |
一枝に触るればほろと萩の屑 | よう子 |
釣人のリリース早し秋うらら | 満天 |
色変へぬ松水面へと傾きぬ | 〃 |
柏手の音の揃ひて秋高し | 〃 |
本殿へ翳す大樹の薄紅葉 | 〃 |
佇みて秋の声聞く石畳 | 〃 |
鉢塚古墳ほか 参加者16名
俳句 | 作者 |
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峰雲を持ち上げてをる飛簷かな | うつぎ |
浮草にかがめば水の匂ひけり | 〃 |
炎天に迷ひし路地は行き止まり | 〃 |
鐘楼に坐し殺生の蚊を打ちぬ | 〃 |
梅雨晴間まってましたとゆくところ | よし子 |
日傘相かたむけ会釈交しけり | 〃 |
五月闇古墳は巨石鎧ひけり | 〃 |
似合はなくてもあればよし夏帽子 | 〃 |
権現の磴の百段炎天へ | 小袖 |
迷ひ道して斑猫と出会ひけり | 〃 |
神木の天蓋なせる五月闇 | 〃 |
立て板を流るるごとし作り滝 | 〃 |
鐘楼を借りて推考風涼し | ぽんこ |
蘭亭を模す四阿や菖蒲園 | 〃 |
とんぼうの仏足石を好みけり | 〃 |
大池を統べて噴水高きかな | ひかり |
日に倦みて疲れの見えし花菖蒲 | 〃 |
風通ふ菖蒲田の亭去り難し | 〃 |
玄室に響くガイドの声涼し | 有香 |
揚羽蝶寺領を案内するごとし | 〃 |
セコイヤの鉾をのみこむ雲の峰 | 〃 |
梅雨晴間仏足石の指に水 | 宏虎 |
紫の唇のゆるみし花菖蒲 | 〃 |
地蔵さま足踏んまへし洞涼し | せいじ |
玄室の天井なせる岩涼し | 〃 |
権現の急磴仰ぐ梅雨の晴 | わかば |
花菖蒲愛づる畦道水匂ふ | 〃 |
万緑に甍重ねて勅願寺 | 菜々 |
羨道の一歩に汗の引きにけり | 〃 |
高揚がる噴水雲に触れむとす | はく子 |
四阿へ菖蒲の花の風通ふ | 〃 |
四阿を要に四囲の花菖蒲 | 満天 |
風涼しみどりの百撰てふ園に | 〃 |
噴水の穂と白雲の出会ひかな | 〃 |
有岡城跡ほか 参加者14名
俳句 | 作者 |
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ほうき目に乱れなき庭いと涼し | ぽんこ |
夏萩や鬼貫の句碑ここにあり | 〃 |
天守なく歌碑のみ残る夏野かな | 〃 |
酒蔵の昔を展示土間涼し | 〃 |
石庭のしるき箒目緑さす | はく子 |
つし涼しままごと道具飾られて | 〃 |
通り土間涼しつつかけ下駄並ぶ | 〃 |
天井の骨組あらはつし涼し | 〃 |
酒蔵をめぐる吟行街薄暑 | わかば |
一茎のつゆ草手向く女郎塚 | 〃 |
鬼貫碑古りて夏草覆ひけり | 〃 |
遊び場は城址の礎石雀の子 | よう子 |
官兵衛の幽閉地ここ蟻の道 | 〃 |
十薬の小さき群落女郎塚 | 〃 |
城址の礎石をつづる蟻の道 | 菜々 |
青萩のなぞへに鬼貫親子墓 | 〃 |
ぬかづけば十薬匂ふ女郎塚 | 〃 |
女郎塚よぎりて進む蟻の道 | 宏虎 |
つまづきててんやわんやの木下闇 | 〃 |
朽ち折れし男柱や蔵寒し | せいじ |
酒蔵の白壁に映ゆ若緑 | 〃 |
土間の上にころぶ大甕蔵涼し | つくし |
太梁をうち仰ぎたる土間涼し | 〃 |
ナレーション落語語りや蔵涼し | 小袖 |
いとはんの衣装を展示蔵涼し | 〃 |
いとはんの贅の着物や夏座敷 | かかし |
土間広し入りし一歩に汗の引く | きづな |
乙訓寺 参加者11名
俳句 | 作者 |
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白牡丹一ひら拾ひ栞とす | わかば |
木の香むす水上橋に春惜しむ | 〃 |
山門の一歩に満つる牡丹の香 | 〃 |
ぼうたんの香に誘はれ庭巡る | 〃 |
雨の珠溜めて煌く日の牡丹 | 宏虎 |
白牡丹無垢を極めて一穢なし | 〃 |
山門を凌ぐ大樹の樟若葉 | 〃 |
雨に克ちなお崩れずに白牡丹 | 小袖 |
青銅の宝珠を囲む寺若葉 | 〃 |
葉隠れに青梅育つしじまかな | 〃 |
山門をくぐるや否や牡丹の香 | きづな |
杢の香の水上橋に風光る | 〃 |
青梅のたわわに実る御神木 | 〃 |
山裾に金色映ゆは竹の秋 | 有香 |
千本の牡丹に佇つ大師像 | 〃 |
乙訓の水が育てし牡丹かな | よし子 |
水亭や少し開かれ春障子 | 〃 |
春光に巡る境内古祠多し | ひかり |
雨憎し崩御寸前白牡丹 | ぽんこ |
つつじ燃ゆ末社へ小さき橋渡る | つくし |
昨夜雨をふふみて牡丹うなだるる | 満天 |
傘高く翳す大輪白牡丹 | 〃 |
水上橋行きつ戻りつ春惜しむ | 〃 |
観世音菩薩に通ふ若葉風 | 〃 |
砦めくつつじ背にしてVサイン | 〃 |
大阪太閤園 参加者15名
俳句 | 作者 |
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東屋を借りて推敲春時雨 | 小袖 |
庭ここだ石仏浄土春時雨 | 〃 |
扉を閉ざすホテルのチャペル春嵐 | 〃 |
抽ん出て庭の要の楠若葉 | 〃 |
きらめける万朶の雫木の芽雨 | わかば |
濡れそぼつ石仏群や木の芽雨 | 〃 |
室町の名残の庭に春惜しむ | 〃 |
枯蓮修羅場となりし隠れ池 | ぽんこ |
築山のなぞへになだれ雪柳 | 〃 |
落椿屋根に嵩なす外厠 | 〃 |
磐石の凹を埋む春落葉 | つくし |
対岸に煉瓦の館水の春 | 〃 |
灯籠の中に座仏や春の雨 | 〃 |
尖塔に銀の十字架木の芽雨 | 有香 |
と見こう見屋根に物見や梅雨鴉 | 〃 |
雨粒を珠とちりばめ若楓 | 〃 |
雨に濡れ風神雷神春寒し | よう子 |
水亭の玻璃戸に透ける春灯 | 〃 |
狂ほしき池の水輪や春の雨 | 〃 |
いと小さき祠や庭の春陰に | 宏虎 |
大川の滔々としてビル霞む | 〃 |
白亜なるホテルのチャペル木の芽雨 | せいじ |
尻ふって仲むつまじき春の鴨 | 〃 |
春落葉めいわくさうや雷神像 | はく子 |
雨雫垂れて木の芽に紅兆す | 〃 |
置石の濡れて艶めく春の雨 | よし子 |
鈍色の空にほのかや初桜 | 菜々 |
行厨のおこぼれ土筆いかなごと | きづな |
雨なれど苑の沈丁よく匂ふ | 満天 |