みのる選:2014年度

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2014年10月28日

京都大原自由吟行句会 参加者17名

俳句作者
賀茂川の堰煌めける水の秋宏虎
大原や秋さぶ庭を去りがたく
爽やかや水琴窟に耳至福
露けしやわらべ地蔵は苔まみれ
秋霖に濡るる参道石畳わかば
渓声に沿ふ参道の散紅葉
大原の里を訪ねて秋惜しむ
秋時雨苔庭いよよ艶めきぬ
落葉径呂川の楽に歩を合はし菜々
参道は土産屋銀座もみぢ寺
大原女の小径を辿り秋惜しむ
瀬の楽に沿ひたる径に秋惜しむこすもす
灯火親し眼鏡たびたびずり落ちて
漣のごとくに揺るる芒原
秋草の供えられたる石舞台明日香
二上の天辺隠し秋時雨
庭園の一隅石蕗の花明かり満天
御陵へ仰ぐ嶮磴天高し
渓流へ標立つ道草紅葉せいじ
墳丘のなぞへをおほふ草紅葉
秋惜しむ苔の寺苑をたもとほりつくし
御陵へと仰ぐ乱磴天高し
大原の秋を聞かむとバスの旅ひかり
蹲踞に溢るる山の秋の水
立ち仰ぐ千年杉の天高しぽんこ
振舞ひの地酒に酔ひぬ村祭うつぎ
婦人部の店繁盛す村祭有香
神の杜秋天を突く杉木立ともえ
廃屋の破れ網戸に秋日濃しよう子
大釜に湯立てて禊里祭よし子
力石凍つ恐竜の卵めき小袖
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2014年9月24日

弓弦羽神社他 参加者11名

俳句作者
芝庭に点描なせる散もみぢ菜々
ゆづるはの杜の一歩に風さやか
秋暑し釣り上げられし鮒にほふ
燦々と千木の緑青天高し
ゆくりなく火伏の神へ秋時雨
鵙高音帝御製の碑に
もとほれば弓弦羽の杜秋気満つせいじ
うそ寒し砲弾並ぶ忠魂碑
秋天にひびく祈願の太鼓かな
池の面に朱をこぼしゐる芙蓉かなわかば
緑青の社に添へる紅葉かな
秋水へ樹々の彩り藍深し
萩の風へと扉を開く美術館小袖
老翁の両手に杖や野路の秋
池畔に逆さ芙蓉の紅滲む
色変へぬ松のしもとにちから石ぽんこ
蔦紅葉攀じる池塘の石垣に
千木高き社へ紅葉明かりかなつくし
一枝に触るればほろと萩の屑よう子
釣人のリリース早し秋うらら満天
色変へぬ松水面へと傾きぬ
柏手の音の揃ひて秋高し
本殿へ翳す大樹の薄紅葉
佇みて秋の声聞く石畳
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2014年6月26日

鉢塚古墳ほか 参加者16名

俳句作者
峰雲を持ち上げてをる飛簷かなうつぎ
浮草にかがめば水の匂ひけり
炎天に迷ひし路地は行き止まり
鐘楼に坐し殺生の蚊を打ちぬ
梅雨晴間まってましたとゆくところよし子
日傘相かたむけ会釈交しけり
五月闇古墳は巨石鎧ひけり
似合はなくてもあればよし夏帽子
権現の磴の百段炎天へ小袖
迷ひ道して斑猫と出会ひけり
神木の天蓋なせる五月闇
立て板を流るるごとし作り滝
鐘楼を借りて推考風涼しぽんこ
蘭亭を模す四阿や菖蒲園
とんぼうの仏足石を好みけり
大池を統べて噴水高きかなひかり
日に倦みて疲れの見えし花菖蒲
風通ふ菖蒲田の亭去り難し
玄室に響くガイドの声涼し有香
揚羽蝶寺領を案内するごとし
セコイヤの鉾をのみこむ雲の峰
梅雨晴間仏足石の指に水宏虎
紫の唇のゆるみし花菖蒲
地蔵さま足踏んまへし洞涼しせいじ
玄室の天井なせる岩涼し
権現の急磴仰ぐ梅雨の晴わかば
花菖蒲愛づる畦道水匂ふ
万緑に甍重ねて勅願寺菜々
羨道の一歩に汗の引きにけり
高揚がる噴水雲に触れむとすはく子
四阿へ菖蒲の花の風通ふ
四阿を要に四囲の花菖蒲満天
風涼しみどりの百撰てふ園に
噴水の穂と白雲の出会ひかな
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2014年5月28日

有岡城跡ほか 参加者14名

俳句作者
ほうき目に乱れなき庭いと涼しぽんこ
夏萩や鬼貫の句碑ここにあり
天守なく歌碑のみ残る夏野かな
酒蔵の昔を展示土間涼し
石庭のしるき箒目緑さすはく子
つし涼しままごと道具飾られて
通り土間涼しつつかけ下駄並ぶ
天井の骨組あらはつし涼し
酒蔵をめぐる吟行街薄暑わかば
一茎のつゆ草手向く女郎塚
鬼貫碑古りて夏草覆ひけり
遊び場は城址の礎石雀の子よう子
官兵衛の幽閉地ここ蟻の道
十薬の小さき群落女郎塚
城址の礎石をつづる蟻の道菜々
青萩のなぞへに鬼貫親子墓
ぬかづけば十薬匂ふ女郎塚
女郎塚よぎりて進む蟻の道宏虎
つまづきててんやわんやの木下闇
朽ち折れし男柱や蔵寒しせいじ
酒蔵の白壁に映ゆ若緑
土間の上にころぶ大甕蔵涼しつくし
太梁をうち仰ぎたる土間涼し
ナレーション落語語りや蔵涼し小袖
いとはんの衣装を展示蔵涼し
いとはんの贅の着物や夏座敷かかし
土間広し入りし一歩に汗の引くきづな
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2014年4月30日

乙訓寺 参加者11名

俳句作者
白牡丹一ひら拾ひ栞とすわかば
木の香むす水上橋に春惜しむ
山門の一歩に満つる牡丹の香
ぼうたんの香に誘はれ庭巡る
雨の珠溜めて煌く日の牡丹宏虎
白牡丹無垢を極めて一穢なし
山門を凌ぐ大樹の樟若葉
雨に克ちなお崩れずに白牡丹小袖
青銅の宝珠を囲む寺若葉
葉隠れに青梅育つしじまかな
山門をくぐるや否や牡丹の香きづな
杢の香の水上橋に風光る
青梅のたわわに実る御神木
山裾に金色映ゆは竹の秋有香
千本の牡丹に佇つ大師像
乙訓の水が育てし牡丹かなよし子
水亭や少し開かれ春障子
春光に巡る境内古祠多しひかり
雨憎し崩御寸前白牡丹ぽんこ
つつじ燃ゆ末社へ小さき橋渡るつくし
昨夜雨をふふみて牡丹うなだるる満天
傘高く翳す大輪白牡丹
水上橋行きつ戻りつ春惜しむ
観世音菩薩に通ふ若葉風
砦めくつつじ背にしてVサイン
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2014年3月26日

大阪太閤園 参加者15名

俳句作者
東屋を借りて推敲春時雨小袖
庭ここだ石仏浄土春時雨
扉を閉ざすホテルのチャペル春嵐
抽ん出て庭の要の楠若葉
きらめける万朶の雫木の芽雨わかば
濡れそぼつ石仏群や木の芽雨
室町の名残の庭に春惜しむ
枯蓮修羅場となりし隠れ池ぽんこ
築山のなぞへになだれ雪柳
落椿屋根に嵩なす外厠
磐石の凹を埋む春落葉つくし
対岸に煉瓦の館水の春
灯籠の中に座仏や春の雨
尖塔に銀の十字架木の芽雨有香
と見こう見屋根に物見や梅雨鴉
雨粒を珠とちりばめ若楓
雨に濡れ風神雷神春寒しよう子
水亭の玻璃戸に透ける春灯
狂ほしき池の水輪や春の雨
いと小さき祠や庭の春陰に宏虎
大川の滔々としてビル霞む
白亜なるホテルのチャペル木の芽雨せいじ
尻ふって仲むつまじき春の鴨
春落葉めいわくさうや雷神像はく子
雨雫垂れて木の芽に紅兆す
置石の濡れて艶めく春の雨よし子
鈍色の空にほのかや初桜菜々
行厨のおこぼれ土筆いかなごときづな
雨なれど苑の沈丁よく匂ふ満天
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