みのる選:2013年度
みのる選:2013年度
箕面公園 参加者13名
俳句 | 作者 |
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木洩れ日に煌めき落つる紅葉あり | わかば |
千本といふ満目の谿紅葉 | 〃 |
倒木の谷へなだるる冬木立 | 〃 |
切り岸に炎のごとき紅葉かな | 〃 |
紅葉宿文豪来しを誇りとす | うつぎ |
石龕の小さき弥勒に紅葉影 | 〃 |
紅葉影瓔珞となす弁財天 | 〃 |
寺小春仏足石に日の温み | 〃 |
幾度も振り返り見る紅葉山 | ひかり |
玉の日の参道に満つ紅葉寺 | 〃 |
小春日の径はハイカー銀座かな | 〃 |
落葉敷くヘヤピンカーブ恐れけり | 小袖 |
寒の水浴びせて祈る不動尊 | 〃 |
母苞へ艶めくもみぢ拾ひけり | 〃 |
もみぢ影さす川の淵魚影濃し | せいじ |
せせらぎは癒しの楽や紅葉峡 | 〃 |
奈落より見上ぐる峡の照り紅葉 | 〃 |
仰ぎ見るバルーンのような紅葉山 | 有香 |
弁天の胸に色射す紅葉影 | 〃 |
峡の日を空に散らして照紅葉 | よし子 |
紅葉影さす沢水を掬ひけり | 〃 |
紅葉枝の八重垣なして谷深し | きづな |
寒禽の鋭声を浴びて深山路 | 〃 |
紅葉谿へと全開す茶屋の窓 | 菜々 |
紅葉冷茶屋にあつあつコーヒー飲む | 〃 |
紅葉山登るシースルーエレベーター | 満天 |
紅葉山パノラマとなるカフェテラス | 〃 |
小春の日瑞雲橋の擬宝珠に | 宏虎 |
照紅葉天蓋なせるカフェテラス | はく子 |
神戸異人館通 参加者13名
俳句 | 作者 |
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秋雨に彩深めゆく里山路 | わかば |
秋霖の石畳踏む北野坂 | 〃 |
一望の港は指呼の霧の中 | 〃 |
カラフルな時雨傘行く北野坂 | 百合 |
秋思否ベンチでひとり推敲す | 〃 |
一陣の風に耀ふ花芒 | 〃 |
秋灯下おもちゃの木馬歩きそう | 菜々 |
秋しぐれ街灯灯る北野坂 | 〃 |
木守柿築一世紀てふ異人館 | 〃 |
身じろがず秋雨そぼつ風見鶏 | 満天 |
蔦覆ふ珈琲館の昼灯 | 〃 |
震災に落ちし煙突身にぞ入む | 〃 |
レトロなる時計の音や秋灯下 | 宏虎 |
宮うらら英語韓語の絵馬混じる | 〃 |
トランペット吹いてる像に秋しぐれ | つくし |
街灯の灯る北野の時雨坂 | 〃 |
小鳥来る庭の要の大楠へ | きづな |
異人館板の間光る秋灯し | 〃 |
秋霖に濡れて無聊や風見鶏 | ひかり |
新蕎麦や看板なせる大水車 | ぽんこ |
石畳濡れて北野の秋しぐれ | よし子 |
秋闌けて喫茶に一打古時計 | 小袖 |
宮うらら叶ひ恋絵馬連綿と | はく子 |
蔦紅葉覆ふ老舗の珈琲館 | 〃 |
秋の雨震禍のままに残る庭 | 〃 |
秋うらら焼き立てパンの匂ふ路地 | 〃 |
秋霖に楽士の像の濡れそぼつ | 〃 |
能勢吉川界隈 参加者11名
俳句 | 作者 |
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秋深し岨みち果つる捨て棚田 | 雅流 |
猪罠の傾ぎしままに冬ざるる | 〃 |
豊の秋神の杜より笛太鼓 | 〃 |
爽やかや湯立ての巫女の白衣裳 | 〃 |
ふるまひの神酒一献新走 | よし子 |
秋高し湯立神事の湯煙に | 〃 |
石仏の土台となりて蔦紅葉 | 〃 |
遊女宿てふ廃屋の柿たわわ | 公子 |
鵙高音養護ホームの裏山に | 〃 |
里山にひびく太鼓や秋祭 | 〃 |
丁目石半分沈む落葉嵩 | 小袖 |
みなし栗けどばしもして山路ゆく | 〃 |
爽やかに鈴振る巫女は幼な顔 | 〃 |
天辺の棚田の跡は芒原 | ひかり |
さはやかや神楽の舞の鈴の音 | 〃 |
秋草の名を教はりつ吟行す | 〃 |
隠沼いづくともなく秋の蝶 | うつぎ |
村まつり主役は稚児の巫女袴 | 〃 |
おごそかや湯立の釜に今年米 | 有香 |
行厨の楽し野菊の咲く丘に | 〃 |
北限の椎の杜とや村祭り | ともえ |
もみを焼く煙の匂ふ里山路 | えつ子 |
立ちのぼる谷戸の煙に秋惜しむ | よう子 |
奈良公園 参加者12名
俳句 | 作者 |
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秋の空めざして登る若草山 | きづな |
そこここに木の実散らばる春日道 | 〃 |
遠望の大和三山豊の秋 | 〃 |
法師蝉かけあひで啼く下向道 | 〃 |
薄原若草山の天辺に | わかば |
秋天へ飛簷重ねて五重塔 | 〃 |
きちきちや若草山を斜滑降 | 〃 |
唐風の御堂の屋根に小鳥来る | つくし |
松が枝に透ける九輪や秋の晴 | 〃 |
秋思あり発掘調査穴数多 | 〃 |
天平の衣裳のガイド古都の秋 | ひかり |
参道の秋日に傾ぐ灯籠かな | 〃 |
澄む水を一擲したる鷺の嘴 | 〃 |
鰯雲若草山を覆いけり | 菜々 |
玉砂利に紛れ散らばる木の実かな | 〃 |
色変へぬ松を裳階に五重塔 | 〃 |
風の萩乱れに乱れ磴隠す | 宏虎 |
ささやきの小径に恋の鹿屯 | こすもす |
神苑に角突き合はす奈良の鹿 | 〃 |
秋雲の白さの映ゆる鏡池 | ぽんこ |
頭突きせる角を切られし鹿二頭 | せいじ |
秋日濃し直哉旧居の蔀戸に | 満天 |
秋天下若草山のまろしかな | はく子 |
鹿老いて神の大樹を拠りどとす | 〃 |
色変へぬ松の傾く大鳥居 | 〃 |
川西郷土館 参加者17名
俳句 | 作者 |
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趣をたがへ庭石梅雨に濡る | 小袖 |
小祠の母屋に向きて坪涼し | 〃 |
蛇の目傘借りて愉しき梅雨の宿 | 〃 |
端居して風にまどろむ旅二日 | なつき |
古時計鳴る梅雨暗き異人館 | 〃 |
旅荷解く気になるまでの端居かな | 〃 |
風通ふこの縁涼し推敲す | きづな |
ぴかぴかの広縁に映ゆ緑かな | 〃 |
鎖されたる土蔵の鉄扉梅雨湿り | せいじ |
樋落つる水の音きく緑雨かな | 〃 |
坪庭を要としたる廊涼し | 菜々 |
土間涼し二つ並びておくどさん | 〃 |
暮れなづむ里山栗の花あかり | はく子 |
中の間のランプの古色葭戸透く | 〃 |
襖絵の吉祥天女衣涼し | つくし |
庭石の古りたるままに苔の花 | ぽんこ |
緑蔭のアトリエ杢の香に満てる | 満天 |
庭石の音なく濡れて時雨けり | よし子 |
出格子の軒にさ揺らぐ釣忍 | うつぎ |
廊涼し鴬張りの音もまた | 〃 |
青しぐれ旧家の甍洗ひけり | 〃 |
能勢温泉 参加者17名
俳句 | 作者 |
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千枚田形さまざま風涼し | こすもす |
川沿ひに数珠なす駐車蛍狩 | 〃 |
をちこちの鳥語聞きつつ避暑散歩 | 〃 |
湧きいづる如竹林に蛍舞ふ | 〃 |
たかむらにいよよ佳境や蛍の火 | 菜々 |
バスの窓右に左に蛍沢 | 〃 |
恋蛍闇深まれば高く舞ひ | 〃 |
小夜更けて葦間に点る蛍かな | 〃 |
明易や鳥語に覚むる旅の宿 | はく子 |
高みまで命燃やさん恋蛍 | 〃 |
つと吾に寄り来るはぐれ蛍かな | 〃 |
葦叢の蛍浄土を愛でにけり | 〃 |
谷戸暮れてをちこちともる蛍かな | せいじ |
漆黒の川筋たどる蛍狩 | 〃 |
先駆けの蛍火一つ草叢に | 〃 |
梅雨湿りかわたれ時の風ことに | ぽんこ |
蛍火の点滅の息揃ひけり | 〃 |
さながらに動く宝石蛍舞ふ | 〃 |
栗の花香る川辺を朝散歩 | 百合 |
葦叢にまたたきやまぬ恋ほたる | 〃 |
能勢の郷みどりの風を満喫す | 〃 |
くっきりと山影暮れて蛍待つ | きづな |
谷戸ここだ蛍の川の水匂ふ | 〃 |
朝風呂の至福や旅の髪洗ふ | ともえ |
鮎や鱧贅を尽くせり宿の膳 | 〃 |
林間に華燭散りばめ蛍群る | なつき |
対岸の闇を浄土と蛍舞ふ | 〃 |
手に当たる喜雨の一滴すぐに消ゆ | 有香 |
堰音の絶えず蛍の闇深し | 〃 |
恋蛍もつれ合ひつつ杉の秀へ | よう子 |
橋の上に影寄り添へる蛍人 | 〃 |
夏木立深呼吸して朝散歩 | わかば |
高舞ひてツリーのごとく蛍群る | 〃 |
夜のとばり下りて蛍の点りごろ | よし子 |
山頂の吟旅の宿の明易し | 小袖 |
幼子のおいでおいでと蛍狩 | つくし |
目交を過る深山の恋蛍 | ひかり |
蛍火に水さすなかれ小糠雨 | 満天 |
幼帝の里寧かれと蛍舞ふ | うつぎ |
縺れつつ風に抗ふ恋蛍 | 〃 |
床下の暗きにもあり蟻地獄 | 〃 |
力石見おろしてをり立葵 | 〃 |
橋一つ渡り蛍の闇深む | 〃 |
長谷棚田 参加者17名
俳句 | 作者 |
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畦涼しS字を畳む棚田かな | わかば |
夕帷まとひて白し栗の花 | 〃 |
夕さりて山影映す植田かな | 〃 |
四方山を屏風に谷戸の青田かな | 〃 |
山の水引きし棚田に青葉風 | せいじ |
走り根に傾ぐ墓石や木下闇 | 〃 |
蟻地獄朽ちし御堂の縁の下 | 〃 |
葦の間に見え隠れする恋蛍 | 雅流 |
蛍火の動き出したる葦間かな | 〃 |
をみならの蛍待つ橋かまびすし | 〃 |
万緑の嶺々砦とすダム湖かな | 菜々 |
高嶺へと青田積み上げ能勢の里 | 〃 |
なぞへなす千枚駆けし青田風 | よし子 |
石仏に日傘さしかけ吟行子 | 〃 |
廃屋となりしかや葺き苔の花 | こすもす |
道のべの仏に夏の日射しかな | 小袖 |
蛍火のまたたきゐたる闇深し | ともえ |
千枚の棚田見おろす畦涼し | なつき |
通ひ来る谷戸の棚田の風涼し | ひかり |
里山路夜目に浮き立つ栗の花 | うつぎ |
茅葺きの片屋根のぞく緑かな | 〃 |
清普寺・野間石仏 参加者17名
俳句 | 作者 |
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雨垂れの跡にはあらず蟻地獄 | せいじ |
万緑の谷戸をつづりてバスの旅 | 〃 |
栗の花谷戸の一村埋めけり | 〃 |
大欅千手をかざす青葉かな | わかば |
農具小屋すっぽり包む凌霄花 | 〃 |
里山の裾といふ裾栗の花 | 〃 |
梅雨兆す旅の鞄は嵩低に | きづな |
坂がかるここより能勢路栗の花 | 〃 |
近づくは人影ばかり蟻地獄 | 小袖 |
千手の枝かざすは神の大夏木 | 〃 |
修行堂のぞけば畳黴匂ふ | つくし |
里路なる六体地蔵蟻のぼる | 〃 |
菖蒲池傘下に抱く大けやき | なつき |
護摩焚きの跡うろうろす瑠璃とかげ | 〃 |
老鶯や局の墓碑に額づけば | 菜々 |
落し文ひろふ帝の陵に | 〃 |
豪族の墓供花もなく灼けにけり | 満天 |
老鶯や天皇稜に谺して | 〃 |
堂縁を借りて一服風涼し | よし子 |
力石試す人なく灼けにけり | 〃 |
旱田の亀甲模様広げけり | 雅流 |
幼帝の杜寧かれとさへずりぬ | こすもす |
里山をおほい尽くして栗の花 | ともえ |
畦道の茅花に谷戸の風渡る | ひかり |
まなかひに陵見ゆる丘涼し | 有香 |
神の木をハレムとしたる青葉木菟 | 百合 |
吟行子つばなながしに足軽し | よう子 |
南禅寺 参加者15名
俳句 | 作者 |
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インクライン鉄路まつすぐ新樹光 | わかば |
古都薄暑インクラインをたもとほり | 〃 |
苔庭に影うち重ね若楓 | 〃 |
日に透けて若葉耀よふ水路閣 | 〃 |
蟻登る国宝門の太柱 | よし子 |
遥拝す京の五山は夏霞 | 〃 |
薫風や大三門の大甍 | 〃 |
水路閣アーチ門より青葉風 | 〃 |
大三門額縁として若葉山 | 満天 |
画布ひろぐインクラインの緑陰に | 〃 |
汗ふきて天井の龍仰ぎけり | 〃 |
東山連峰指呼に欄涼し | 〃 |
水路閣逸る流れや新樹光 | ぽんこ |
草茂るインクラインの鉄路錆び | 〃 |
高欄に滴る嶺々を遥拝す | 〃 |
遅刻して気が急くばかり道薄暑 | 有香 |
下闇を水馳せてゆく水路閣 | 〃 |
遠望の五山うっすら夏霞 | 〃 |
三門へ松亭亭として涼し | 菜々 |
水路閣アーチ抜けくる若葉風 | 〃 |
赤レンガ若葉に映ゆる水路閣 | 〃 |
句ともがら日傘を連ね水路閣 | つくし |
中腹の甍は古刹山若葉 | 〃 |
森林浴涼し疏水の楽もまた | 宏虎 |
水路閣水の奏でる楽涼し | 百合 |
三門の回廊めぐる風涼し | こすもす |
下闇に水の香立つや水路閣 | よう子 |
薫風を総身に纏ひ入山す | きづな |
暦日をきざむ高欄山若葉 | はく子 |
野崎観音 参加者14名
俳句 | 作者 |
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鶯の声の四方より展望台 | せいじ |
門入れば法の御山に藤盛る | 〃 |
新緑に目を見開きし羅漢かな | 〃 |
春灯や御簾の奥なる観世音 | 〃 |
山裾の墓苑に隣る竹の秋 | 〃 |
悲恋塚牡丹は雨にうなだれて | 〃 |
展望台足下を埋む若楓 | 宏虎 |
子宝を願ふ一途や東風の絵馬 | 〃 |
寺の樹々艶増す今日の緑雨かな | 〃 |
法の山眼の洗はるる若葉かな | 〃 |
山門をくぐりて仰ぐ懸り藤 | 有香 |
法若葉慈母観音を要とす | 〃 |
観音のさしのべし手に若葉雨 | 〃 |
急磴や左右のつつじに一休み | ひかり |
春灯江口の君は御簾の中 | 〃 |
唐門に雨やどりせる猫の夫 | 〃 |
若葉雨無縁の塔のやすかれと | わかば |
懸崖に傾ぎ枝を張る若楓 | 〃 |
猫の夫らし御手洗に寄り来る | ぽんこ |
山門を額縁として山の藤 | 〃 |
新緑の雨に全開江口堂 | よし子 |
桜蕊散り敷く磴は二百段 | 〃 |
禅寺の磴また磴や山若葉 | つくし |
春灯江口の君は御簾隠れ | きづな |
法の山おほひつくして懸り藤 | はく子 |
尺取り虫地に着くまでの宙測る | 〃 |
垂水なぎさ街道 参加者15名
俳句 | 作者 |
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各停の電車に揺られ春眠し | ひかり |
のどけしや沖の巨船の遅々として | 〃 |
海へ向く朱の大鳥居春日燦 | 〃 |
浜風にのりていかなご炊く匂ひ | 〃 |
岬に佇ち春光の海パノラマに | 小袖 |
若布屑競り場を流す水に消ゆ | 〃 |
春の水奏でて注ぐビオトープ | 〃 |
潮の香に誘はれゆく春岬 | 〃 |
浜長閑干されしままの漁綱かな | よし子 |
航跡の白一文字春の潮 | 〃 |
つちふるや海と空とのけじめなく | 〃 |
春の波寄せては返す岬鼻 | 菜々 |
春告鳥恋人岬への道に | 〃 |
国生みの島へ八重なす春の潮 | 〃 |
強東風の恋人岬人を見ず | はく子 |
国生みの島を指呼なる春岬 | 〃 |
口開けて並ぶ蛸壺浜日永 | 〃 |
大橋も下航く船もおぼろかな | せいじ |
春風に乗りて高鳴る鳶の笛 | 〃 |
日の斑洩る稚魚の溜りや水温む | わかば |
いかなごの匂ひの洩るる蜑の路地 | 〃 |
風光る船銀座なる須磨明石 | 有香 |
干されたる魚網に絡む桜貝 | 〃 |
恋誓ふ鍵あまた吊る春岬 | よう子 |
春の波テトラポットを洗ひをり | きづな |
ビオトープめぐる一歩に初音かな | 満天 |
昆陽池 参加者15名
俳句 | 作者 |
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歌碑巡る昆陽の池塘や百千鳥 | うつぎ |
木隠れに池の明るさ風光る | 〃 |
瓢の笛ひと吹き鳴らし句座和む | 〃 |
苑うららたちまち鳩に囲まるる | 〃 |
次々と鴨着水の水しぶき | ひかり |
昆陽池の鴨百態を見て飽かず | 〃 |
葦叢の池畔にあまた恋の鴨 | 〃 |
芽木の間に広ごる空のありにけり | 〃 |
靴跡の向きばらばらや春の泥 | よし子 |
鳥帰る彼の地平和であるように | 〃 |
鳥曇ドームの屋根は総ガラス | 〃 |
紅さしてふくらむものの芽のありぬ | 〃 |
春雨に片袖ぬるる西行碑 | 菜々 |
春うらら気根犇めく汀かな | 〃 |
鵜の群れの中州を占むる昆陽の池 | 〃 |
逍遥すふるさと小径春落葉 | 〃 |
すみれ野と呼びたきほどや館の前 | わかば |
小流の水際を埋む名草の芽 | 〃 |
春泥に足をとられつ歌碑の径 | 〃 |
鴨引いて風の細波あるばかり | 小袖 |
大池に一尾の鴨も見あたらず | 〃 |
笹子鳴く径句碑歌碑をつづりけり | 〃 |
園児らの黄色き声や草萌ゆる | 宏虎 |
句碑歌碑を訪ねゆく径初音聴く | 〃 |
白鳥の首の自在に毛繕ひ | 満天 |
春雨のぬれて読めざる恋の歌碑 | 〃 |
そぞろ歩のふるさと小径下萌ゆる | 有香 |
せせらぎに座る盤石名草の芽 | つくし |
レストラン大玻璃ごしに木々芽組む | 英一 |
陸の鴨機嫌の腰を振りにけり | ともえ |
春泥に足なとられそ探鳥す | かかし |
踏青や不即不離なる老夫婦 | きづな |
能勢炭焼き 参加者12名
俳句 | 作者 |
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幣立てて菊炭の窯守りけり | 菜々 |
里山の櫟を守りて炭を焼く | 〃 |
寒詣磴は胸突き七曲り | 〃 |
小屋開いて百の農具は春を待つ | 〃 |
昨夜雨に椎茸榾は春子吹く | 〃 |
窯二つ阿吽に並ぶ炭焼き場 | うつぎ |
あんぐりと台場櫟の洞ぬくし | 〃 |
炭出しを控へて窯の黙しをり | 〃 |
煤まみれ夫唱婦随に炭を焼く | 〃 |
猪の罠風倒木に隣りけり | 有香 |
寒々と廃屋残る行者道 | 〃 |
寒林の中も郵便配達区 | 〃 |
春泥の轍ぐちゃぐちゃ網模様 | 〃 |
菊炭の窯を守りて半世紀 | よし子 |
苔むして石みな仏寒詣 | 〃 |
炭斗に菊花模様の炭並ぶ | 〃 |
春泥に靴底重くなりにけり | 〃 |
厳冬と言へど行場の苔青し | 哲子 |
猪の罠かけある河原背ずり痕 | 〃 |
注連古りて瘤あまた持つ大枯木 | 〃 |
炭を切る嫗の鼻の煤よごれ | 〃 |
能勢四温台場くぬぎの枝伸ばす | 雅流 |
絶やすまじとて炭を焼く老夫婦 | 〃 |
明日出すといふ炭窯の眠るごと | 〃 |
炭焼を誇りとしたる生計かな | よう子 |
斎垣の区切る聖域冴えにけり | 〃 |
猪鍋の看板の立つ深山道 | かかし |
春泥の庭を闊歩すちゃぼをかし | 小袖 |
堆く廃屋包む枯落葉 | 満天 |
窯出しを待つ炭窯のほのぬくし | はく子 |
炭を焼く妙見さんの懐に | 〃 |
間歩あとの穴明神に春の雨 | 〃 |
明日出すといふ炭窯の香の仄と | 〃 |