みのる選:2011年度

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2011年11月23日

南禅寺 参加者16名

俳句作者
花頭窓明るうしたるもみじ翳菜々
苔庭の一隅染めて黄落す
錆著きインクラインに冷えつのる
筋塀へ楓紅葉の散り止まず
楼上に一望千里古都の秋わかば
法堂の香煙紅葉燻らしぬ
手に触れて冷たし苔の水路橋
大伽藍抱きて東山粧ふ
結界の紅葉トンネルくぐりけりあさこ
波のごと枯山水の庭紅葉
三門をくぐれば紅葉明りかな
山寺の句碑輝かす石蕗明り
藁屋根の古民家抱きて山眠るきづな
散紅葉閂しかと勅使門
枇杷の花軒すれすれに市電行く
冬鴉囃す大寺人の波
中空へ重なる万華鏡紅葉明日香
遠目からまた真下から紅葉撮る
寺紅葉衣桁の友禅見るごとし
九十九折る疎水に沿ひて石蕗明りつくし
石に座す推敲の間の紅葉冷
もみじ葉に触れもし辿るインクラインせいじ
樹間よりのぞく塔頭照り紅葉
南禅寺疎水に沿ひて紅葉濃し百合
横の人不機嫌なりし風邪らしき
水亭の金繍紅葉揺れやまず宏虎
捻じくれる太き走り根落葉道
冬木立インクラインの道ますぐよし子
ほとばしる疎水に乗りし木の葉舟ぽんこ
三門の四方に錦す寺紅葉小袖
疎水橋アーチを額に紅葉燃ゆかれん
殉職碑寧かれと降る落葉かなうつぎ
裸木の打ちかぶさりし廃線路
たもとほる疎水の小径紅葉冷
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2011年10月26日

八幡市松花堂庭園 参加者16名

俳句作者
鵙高音古墳の由来聞きをればうつぎ
秋の蝶木っ葉しぐれに紛れけり
築山の古墳はいまし竹の春
そぞろ寒輪塔傾ぐ悲恋塚
草庵の屋根は茅葺秋日濃し
仄暗き障子の奥の玉座かなせいじ
濡れ縁を借りて一息園小春
草庵に落つ竹林の秋日影
手入れ了杖もて支ふ臥竜松菜々
紅芒さやぐ奥処は古墳山
紅葉且つ散りて一水乱れなし
草庵は二畳一と間や秋日濃し小袖
女郎花長けてさゆらぐ女塚
池の面桜もみぢの穢となさず
遣り水の澄むに沿ひたる順路かなはく子
空青し桜紅葉の且つ散りて
蝶木の葉舞ひていづれや金風裡
末枯の園の一隅女塚わかば
茶の花や二畳一と間の佗の庵
秋の日の射して斜めや躙り口かれん
水澄みて鯉は錦を散らしたる
女郎花供花ともなりて女塚有香
池の鯉寄りては離れ冬日浴ぶ
茅葺に嵩なす紅葉かつ燃ゆるきづな
小鳥来る園の要の大樹かな
たもとほる桜紅葉の池塘かな泰三
濡れ縁に膝を抱きて秋惜しむ
走り根になつまづきそ秋惜しむ宏虎
松手入すみて整ふ松花堂ひかり
九十九折過ぎてより水澄めりけりつくし
車座となる行厨や庭小春百合
もみぢ散る誰が袖といふ手水鉢満天
大玻璃に展けし庭の小春かな
開け放つ二畳の茶室秋の晴
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2011年9月28日

大阪城・玉造カトリック教会 参加者15名

俳句作者
宮跡の一投足にばった跳ぶせいじ
秋思とも伏目がちなる右近像
ガラシヤの遺址を訪へば秋の蝶
シスターの深きおじぎや秋気澄む
摩天楼ビルの窓拭く天高し
磔像に移ろふ窓の秋日影うつぎ
彩窓に透くる秋日や堂静か
大聖堂人ゐて無音秋深む
爽やかや和服召されしマリア像
聖堂堅き木椅子に秋思かなきづな
ぶらんこのひとり揺れゐる秋風裡
秋の雲映して句碑の大面
城壁を攻めあがるごと蔦紅葉百合
秋日傘たたみて仰ぐ天守閣
大砲と並び城下の秋を見る
小鳥来る四ヶ国語の注意札宏虎
鰯雲金の鯱泳ぎをり
秋日濃し絵硝子の青際立ちて明日香
やはらかな揮毫の句碑や秋うらら
園うらら観光バスの各地よりひかり
爽やかやクルスを仰ぐ青畝句碑
秋日さす彩窓に見る殉教史ぽんこ
城塁の裾に炎の曼珠沙華
彩窓の天使春日に舞ひにけり有香
たく像に届く春日の触るるごと
石蓋の越中井より秋の声はく子
爽やかや丘の上に立つマリア像
寂び優る残念石の秋日影菜々
秋の声残念石の後よりかれん
ガラシヤと右近の像に天高し満天
秋うららマリアの像の辺はことに
身に入むやガラシヤの碑は喧騒に
秋晴れて添ふ雲もなし天守閣
青畝碑に写る教会秋澄める
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2011年6月22日

室生寺 参加者22名

俳句作者
水分の宮は常濡れ杉落葉菜々
夏木立女人高野の磴こごし
夕映えて線刻涼し磨崖仏
滝壺に吸い込まれさう音激しつくし
大欅跡と碑身にぞ入む
国宝の堂深閑と杉涼し
高舞へる蛍に聳ゆ杉襖うつぎ
万緑の森深閑と思惟仏
磨崖仏涼し早瀬の楽もまた
涼風の通ふ吉野の杉木立わかば
資料館開けし一歩に黴匂ふ
塔朱し女人高野の万緑裡かれん
老鶯の声高まりて句座佳境
サングラスかけてこれより吟行子きづな
鎧坂汗ぬぐひつつ塔仰ぐ
堂縁の下に栄える蟻地獄なつき
竹箒そばに置かれし蟻地獄
み吉野の涼し杉の秀妍競ふ明日香
若楓天蓋なせる磴登る
国宝の仏在します堂涼し三刀
鉾杉の天辺さして恋蛍
室生寺の急磴のぼる薄暑かなよし女
遙拝す磨崖弥勒に川涼し
万緑が荘厳したる磨崖仏ひかり
堂縁に憩へと揺らぐ若楓有香
青嵐塔の九輪の傾ぐかとよし子
ご神木涼しと耳をあててみる百合
三川の落ち合ふところ渦涼しぽんこ
若葉映ゆ天誅義士の辞世碑に満天
塔仰ぐ女人高野の青嶺濃し小袖
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2011年6月22日

天好園早朝句会 参加者22名

俳句作者
めまとひに推敲の絲切られけりよし女
雨なれど朝の老鶯機嫌よし
雨もまたよしと吉野の朝河鹿
青畝碑の傘となりたる山法師
梅雨寒や隅に陣なす池の鯉ひかり
老鶯の声深吉野の遠近に
豆粒のでで虫の角触れてみる
朝涼や吉野の宿に句碑あまた
夏霧の吉野の深山朝散歩すみえ
囀りに眠気とばさる朝散歩
昨夜の雨やみて深吉野みどり濃し菜々
峡の宿目覚めは庭の蛙笛
見晴るかす四方の山々夏霞百合
万緑に囲まれ小さき祠かな
梅雨の川岩に砕けて高鳴れり小袖
五月雨の苔むす石の苑めぐり
夏霧をかづきて朝の吉野山よし子
梅雨の雲切れて主峰の現れにけり
東雲の夏霧に現る杉美林うつぎ
河鹿宿しるき瀬音に目覚めけり
さしのばす手にみ吉野の姫蛍せいじ
吟行子緑雨の庭をたもとほり
流れへと白き空木の花明かり明日香
童心に帰る蛍のひと夜かな
夏霧の流る吉野の杉美林わかば
万緑の中に激つ瀬響きけり
ぼんぼりの一つ破れて梅雨じめりなつき
かたつぶり橋の欄干朝散歩とし子
夏山のてっぺん雨に煙りけりこすもす
めまとひを払ひ払ひて朝散歩きづな
夏霧の稜線幾重墨絵めく満天
大梁に手斧のあとや梅雨の宿かれん
山法師真下の句碑を濡らさざる有香
夏落葉はらりはらりと句碑の上に三刀
夏霧のトンネルを縫ふ早瀬かなつくし
雨粒の朝日に光る蜘蛛の糸ぽんこ
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2011年6月22日

投石の滝 参加者22名

俳句作者
滝しぶく句碑も籬も苔むしてうつぎ
滝壺を出て磊々の瀬となんぬ
この滝にしては小さき不動尊
樹幹縫ふ夏霧迅し杉美林
黎明や一山つつむ夏の霧満天
緑陰に前垂れ赤き地蔵尊
梅雨寒し目鼻欠けたる道祖神
滝風にはらはらと散る谿の木々
避暑の朝杉の美林へ深呼吸きづな
山宿に句会重ねて明易し
大欅切り株包み草茂る
滝壺へ石投げてみんかと思ふ
杉美林抜けて夏日の燦々と百合
万緑の何処に佇ちても沢の音
滴りて岩肌の草瑞々し
若楓川霧に枝重ねけりぽんこ
滝壺の不動常濡れ避けられず
滝風や羊歯群落の揺れやまず
千年杉滝の真上に枝翳すかれん
昨夜雨に太りし滝の勢と見たり
木洩日のライトアップや滝しぶく
白銀の日矢の射し込む夏木立三刀
滝壺に逆巻く風の見えにけり
夏霧の晴れて深山の襞深し
神杉の諸枝に光る滝しぶき菜々
杣道具奉りて小さき黴祠
岩走る丹生の玉水みどりさす
佇めば服湿り来る滝しぶきすみえ
枝広げお日様透かす若楓
吉野杉涼し真っ直ぐに林立す
杣道具吊す山祇青葉風小袖
家苞に吉野箸買ふ避暑の旅
滝飛沫水雲となり万象へわかば
堂の屋根滴々と落つ滝飛沫
滝の水一息入れて瀬に向かふせいじ
石垣の乾く間もなし滝社
梅雨晴間窓全開す句座愉しひかり
杉木立縫ふて滝道九十九折
滝の道辞さむ別れの深呼吸なつき
滝宮の石燈欠けて苔むせり
滝しぶき句帳の文字の滲みけりよし女
木の間隠れに白銀の一瀑布
大杉にかかる蜘蛛の囲破れなし明日香
万緑の山また山や奥吉野よし子
梅雨の滝岩なでまはし落ちにけりとし子
石ベンチ乾く間のなし梅雨の滝こすもす
夏霧の静かに川面なでてゆく有香
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2011年6月21日

丹生川上神社 参加者22名

俳句作者
ついついと人恋ひ蛍荘の灯へ菜々
杉箸の香る吉野の夏料理
翠嵐に現れて白妙神の滝
暮れかぬる空へ雪白山法師
旅の膳鯉の洗ひを花と盛る
足元の心もとなし蛍追ふよし子
小流れに星とちらばる草蛍
尾のはねて吉野育ちの鮎料理
万緑をまたぐ吊橋揺れやまず
爺婆の石苔むして梅雨じめり
滴りの真珠つなぎや苔の先うつぎ
吊り橋の涼し激つ瀬眼下とす
日射すとき虹現るる神の滝
万緑の丹生の真名井に嗽ぐ
沢音に和して蛍の明滅す三刀
深吉野の空へ孤高の蛍かな
笹百合や千年杉を打ち仰ぎ
滝の威に押され誰もが無口なる
三川の落合ふところ滝激つかれん
黄昏になほ白々と山法師
深吉野の丹の吊橋や万緑裡
水神のほこらは深き梅雨の奥小袖
深吉野の瀑布真白にたぎちをり
草蛍きらり水辺の遠近に
蛍見て旅の心の深まりぬつくし
下闇に横たはる枝蛇のごと
四囲の山雲脱ぎそめし梅雨晴れ間せいじ
山の香の満つる川辺や河鹿なく
木下闇抜けて丹生の瀬滔々とわかば
吊橋を渡り再び木下闇
更けてより始まる句座や河鹿鳴くよし女
水神のお告げと拾ふ落し文
宿庭の蛍火われを歓迎す有香
深閑と千年杉の宮涼し
神の滝しぶき洗礼享くるごと満天
万緑を朱の吊橋が繋ぎけり
神の滝ミストとなりてしぶきけりこすもす
歩むたび腐葉土匂ふ山涼しすみえ
岨の道辿ればしぶく神の滝ぽんこ
あっぱっぱに着替へて旅の夕句会きづな
葉隠れに忍者めきたる蛍かな百合
神滝のしぶきにしぶき虹生まる明日香
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2011年6月21日

天誅組終焉地・石鼎庵 参加者22名

俳句作者
万緑にすがりつくごと過疎の村明日香
いくつもの白き渦巻き出水川
ものぐさやただ待つだけの蟻地獄
万緑や触るるばかりに列車行く
蟻地獄小さき御堂を守るごと有香
激つ瀬の同音異語や出水川
万緑の底ひを進むバスの旅
滝音を運びきたりし風涼し
老杉の樹齢千年木下闇よし子
流木の岩に抱きつく出水川
満目の青葉に埋まる義士の墓
深山よりつと現れし梅雨の蝶小袖
梅雨出水岩に砕けて響きけり
廃校の梅雨黴久し長廊下
蛍保護札立つ川の涼しかりひかり
な滑りそ苔むす梅雨の石橋に
終焉の遺詠の歌碑は下闇に
梅雨の傘たたみて墓の義士悼むなつき
赤やかん石に置かれし山清水
身を任せ草を離れぬ梅雨の蝶
衣魚深き行灯和紙や石鼎庵よし女
全開す石鼎庵の句座涼し
石鼎庵三和土に揃ふ梅雨の靴
白き泡盛り上がりをる川涼しとし子
斯く大いなる屏風岩苔涼し
石橋をふみしめゆけば苔涼し
天誅組忍びし歌碑は梅雨しとど菜々
でこぼこの三和土涼しき石鼎庵
静けさや鳥語しきりの里若葉わかば
夏霧の深吉野の山泰然と
杉美林縫ふ深吉野の瀬の涼しこすもす
廃校の校庭の隅梅みのる
夏蝶の訪ひくる女流句碑の前三刀
黄鶲の声の洩れ来る杉木立
目を閉じて聴く激つ瀬の音涼し百合
降りるべき駅間違ひし大暑かな
川とんぼ激ちし宇陀の瀬にあそぶうつぎ
びっしりと十薬咲かせ薬師堂
蟻地獄取り囲みたる吟行子すみえ
風薫る名だたる吉野杉の里
大杉は苔をまとひて滴りぬきづな
三光鳥杉の美林に鳴きわたり
農機具の保存学舎に黴匂ふ満天
大岩にぶつかるごとく梅雨出水ぽんこ
梅雨晴間苔の軒先より雫せいじ
肌理荒き庵の三和土も梅雨じめりかれん
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2011年5月25日

須磨離宮公園 参加者18名

俳句作者
息とめしごと大噴水止まりけりひかり
四阿に通ふ磯の香花菖蒲
万緑の山に白きはマンション群
池統ぶるかに蟇叫びけり
風の向き変はり噴水乱れけり満天
離宮へと薔薇の小道を辿りけり
大噴水飛行機雲へ届きけり
噴水の向かうにライバル句帳持つ
待ちくれし友の笑顔や若葉風明日香
噴水の乱舞に憩ふ車椅子
風に揺れ噴水の秀の自在なり
吸ひ込まれさうな勢ひ大噴水せいじ
遠山のごと島影や夏霞
尖塔のごとき威風や大噴水
滴りの真珠びかりに女神像菜々
白南風や鏡びかりの青畝句碑
白塀は離宮の名残松落葉
ばら愛でる人みな優し顔をしてかれん
ひとときを我も貴婦人ばらの庭
碑面に大噴水の映りをり
涼風に吹かれ存問青畝句碑わかば
葉の揺らぐ蔭に河骨黄を点ず
青楓揺れて日の斑を撒き散らすつくし
一望の明石海峡青葉潮
薔薇園に英国の空想ひけりうつぎ
車椅子同士の会釈薔薇の園
大噴水沖ゆく船は水平に有香
亀甲の石垣涼し離宮道
噴水の風にリズムの変りけり百合
水に立つポセイドン像風薫る
噴水の吹き上ぐるたび天仰ぐよし子
噴水の息とめしとき空映る
小噴水大噴水と息そろふあさ子
噴水の広場飛沫をさけられず
噴水に見とれて句帳濡らしけり宏虎
海見ゆる丘の上なる句座涼しはく子
翠巒を屏風にばらのまっさかり
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2011年4月27日

多田銀山 参加者14名

俳句作者
あたたかや一つ祠に神ほとけ菜々
山神へ磴は胸突き春落葉
水草生ふ廃坑跡の門川に
囀や村人総出宮掃除
鶯や山は萌黄に多田の里
杉美林ぬひつつ間歩へ春惜しむわかば
うす暗き雑木の山に花あえか
古時計刻一つ打ち春山家
葉桜の下旗竿の花浄土
掘痕の荒きをなぞり春惜しむ宏虎
置物に栄華を想ふ春山家
春陰に鎮もる村の古祠
前山のつつじ明りに磨崖仏うつぎ
山蟻のはやせはしげに間歩の口
春陰に吾が声響く間歩の口
雑木山白の斑は残る花百合
初蝶を間歩入口に見失ふ
里山路みどりの風の奔放に
坑道を出て目つぶしの新樹光よし子
若葉色映してをりぬ神の水
鉱毒の川といへども澄めりけり
春山路草の名教へ教へられきづな
間歩の径白山旗竿花盛り
くぐりたる間歩の一歩に汗の引く
奥見えぬ間歩の入口落椿有香
磐石に彫られて涼し観世音
廃坑へたどる岨道落椿ぽん子
蹲に苔の花咲く山祠
土堤埋む白山旗竿風薫るかれん
間歩口に青葉しぐれの宿りかな
山笑ふ坑道あまた懐にはく子
村祠つつじ彩る山間に
すっぽりと抜ける青空初蝶来小袖
廃坑の入口ひそと一人静満天
目まとひを払ひはらひて間歩に入る
天気予報はずれて笑ふ里の山
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2011年3月23日

石峰寺・伏見稲荷 参加者14名

俳句作者
囀れる一息入るる参磴につくし
談合のごとくに羅漢日脚伸ぶ
藪椿ま青な空に朱を散らし
楼門の威風堂々春日和小袖
落葉道賽の河原に行きどまり
春陰の羅漢のひとつ合掌す
阿羅漢の忿怒ゆるびし春陽射しうつぎ
現し世の春愁ふかに羅漢どち
羅漢訪ふ小径三茱萸明りして
木の芽風顔ふくよかに羅漢仏あさこ
一山を羅漢で埋めし春の風
春風や蒼天に反る朱の庇
春光をあまねく受くる十字墓ぽんこ
うそ寒し鳥居のそばの占い師
地蔵守る婆の説法暖かしひかり
石塔に積む石あまたうそ寒し
目鼻なき五百羅漢に春日燦百合
冴え返る賽の河原の地蔵尊
春寒し墓域を外れてクルス墓菜々
羅漢みな肩寄せあひて彼岸寒
春日洩る千本鳥居くぐり抜けきづな
石一つ積みて春愁うべなへり
盤石の寝釈迦に春の落葉かな満天
春愁や重軽石の重きこと
朱の揺れて千本鳥居陽炎へり宏虎
春光や伏目がちなる羅漢たちせいじ
温かや震災復興祈る絵馬はく子
春落葉積みしを褥涅槃仏
唐門へ参磴百段梅香る
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2011年2月15日

中山寺 参加者名

俳句作者
七堂伽藍雪解雫の音奏ずうつぎ
うちの猫こんなところに涅槃絵図
涅槃図の裾より亀の急ぐかに
雪解水垂るる地蔵の福耳に
顔伏せて悲しむ猫や涅槃絵図有香
水子仏並ぶ頭上に雪帽子
公園に独りぼっちや雪だるま
観音の御手指す方に笹子鳴く
梅ひらくみむね豊かに観世音菜々
はだれ雪甍の波にすべりけり
観音へ磴七曲り梅探る
昨夜の雪観音像を荘厳す
赤鬼の歎きもっとも涅槃絵図はく子
石庭の砂紋のままに雪残る
小窓より濁世の光涅槃寺
無垢の雪裳裾としたる観世音
雪解水をちこち池に水輪生るかれん
四囲の木々こぞりて芽ぐむ観音像
春灯五百羅漢の私語聞かな
白象のなげき雄叫ぶ涅槃絵図よし子
山門のわらじ触るればほの温し
夫に似し羅漢に出会ふ春の夢
恋の絵馬達筆なりし梅二月宏虎
涅槃図を拝む顔みな畏まる
雪解水垂るる山門走り抜くわかば
春愁や彩色落ちし羅漢像
極彩の高き塔より雪解水小袖
雪だるま汚れやんちゃの児のごとし
猪来ると注意札立つ梅の苑こすもす
観音像まなざしやさし梅ほころぶ
涅槃図の阿鼻叫喚の中の寂明日香
山門の雪解雫に打たれ入るせいじ
春塵の一穢なき堂経ひびく満天
目覚めよとすべての木々に春の雪
涅槃図に近づけば吾も衆生かな
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