みのる選:2011年度
みのる選:2011年度
南禅寺 参加者16名
俳句 | 作者 |
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花頭窓明るうしたるもみじ翳 | 菜々 |
苔庭の一隅染めて黄落す | 〃 |
錆著きインクラインに冷えつのる | 〃 |
筋塀へ楓紅葉の散り止まず | 〃 |
楼上に一望千里古都の秋 | わかば |
法堂の香煙紅葉燻らしぬ | 〃 |
手に触れて冷たし苔の水路橋 | 〃 |
大伽藍抱きて東山粧ふ | 〃 |
結界の紅葉トンネルくぐりけり | あさこ |
波のごと枯山水の庭紅葉 | 〃 |
三門をくぐれば紅葉明りかな | 〃 |
山寺の句碑輝かす石蕗明り | 〃 |
藁屋根の古民家抱きて山眠る | きづな |
散紅葉閂しかと勅使門 | 〃 |
枇杷の花軒すれすれに市電行く | 〃 |
冬鴉囃す大寺人の波 | 〃 |
中空へ重なる万華鏡紅葉 | 明日香 |
遠目からまた真下から紅葉撮る | 〃 |
寺紅葉衣桁の友禅見るごとし | 〃 |
九十九折る疎水に沿ひて石蕗明り | つくし |
石に座す推敲の間の紅葉冷 | 〃 |
もみじ葉に触れもし辿るインクライン | せいじ |
樹間よりのぞく塔頭照り紅葉 | 〃 |
南禅寺疎水に沿ひて紅葉濃し | 百合 |
横の人不機嫌なりし風邪らしき | 〃 |
水亭の金繍紅葉揺れやまず | 宏虎 |
捻じくれる太き走り根落葉道 | 〃 |
冬木立インクラインの道ますぐ | よし子 |
ほとばしる疎水に乗りし木の葉舟 | ぽんこ |
三門の四方に錦す寺紅葉 | 小袖 |
疎水橋アーチを額に紅葉燃ゆ | かれん |
殉職碑寧かれと降る落葉かな | うつぎ |
裸木の打ちかぶさりし廃線路 | 〃 |
たもとほる疎水の小径紅葉冷 | 〃 |
八幡市松花堂庭園 参加者16名
俳句 | 作者 |
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鵙高音古墳の由来聞きをれば | うつぎ |
秋の蝶木っ葉しぐれに紛れけり | 〃 |
築山の古墳はいまし竹の春 | 〃 |
そぞろ寒輪塔傾ぐ悲恋塚 | 〃 |
草庵の屋根は茅葺秋日濃し | 〃 |
仄暗き障子の奥の玉座かな | せいじ |
濡れ縁を借りて一息園小春 | 〃 |
草庵に落つ竹林の秋日影 | 〃 |
手入れ了杖もて支ふ臥竜松 | 菜々 |
紅芒さやぐ奥処は古墳山 | 〃 |
紅葉且つ散りて一水乱れなし | 〃 |
草庵は二畳一と間や秋日濃し | 小袖 |
女郎花長けてさゆらぐ女塚 | 〃 |
池の面桜もみぢの穢となさず | 〃 |
遣り水の澄むに沿ひたる順路かな | はく子 |
空青し桜紅葉の且つ散りて | 〃 |
蝶木の葉舞ひていづれや金風裡 | 〃 |
末枯の園の一隅女塚 | わかば |
茶の花や二畳一と間の佗の庵 | 〃 |
秋の日の射して斜めや躙り口 | かれん |
水澄みて鯉は錦を散らしたる | 〃 |
女郎花供花ともなりて女塚 | 有香 |
池の鯉寄りては離れ冬日浴ぶ | 〃 |
茅葺に嵩なす紅葉かつ燃ゆる | きづな |
小鳥来る園の要の大樹かな | 〃 |
たもとほる桜紅葉の池塘かな | 泰三 |
濡れ縁に膝を抱きて秋惜しむ | 〃 |
走り根になつまづきそ秋惜しむ | 宏虎 |
松手入すみて整ふ松花堂 | ひかり |
九十九折過ぎてより水澄めりけり | つくし |
車座となる行厨や庭小春 | 百合 |
もみぢ散る誰が袖といふ手水鉢 | 満天 |
大玻璃に展けし庭の小春かな | 〃 |
開け放つ二畳の茶室秋の晴 | 〃 |
大阪城・玉造カトリック教会 参加者15名
俳句 | 作者 |
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宮跡の一投足にばった跳ぶ | せいじ |
秋思とも伏目がちなる右近像 | 〃 |
ガラシヤの遺址を訪へば秋の蝶 | 〃 |
シスターの深きおじぎや秋気澄む | 〃 |
摩天楼ビルの窓拭く天高し | 〃 |
磔像に移ろふ窓の秋日影 | うつぎ |
彩窓に透くる秋日や堂静か | 〃 |
大聖堂人ゐて無音秋深む | 〃 |
爽やかや和服召されしマリア像 | 〃 |
聖堂堅き木椅子に秋思かな | きづな |
ぶらんこのひとり揺れゐる秋風裡 | 〃 |
秋の雲映して句碑の大面 | 〃 |
城壁を攻めあがるごと蔦紅葉 | 百合 |
秋日傘たたみて仰ぐ天守閣 | 〃 |
大砲と並び城下の秋を見る | 〃 |
小鳥来る四ヶ国語の注意札 | 宏虎 |
鰯雲金の鯱泳ぎをり | 〃 |
秋日濃し絵硝子の青際立ちて | 明日香 |
やはらかな揮毫の句碑や秋うらら | 〃 |
園うらら観光バスの各地より | ひかり |
爽やかやクルスを仰ぐ青畝句碑 | 〃 |
秋日さす彩窓に見る殉教史 | ぽんこ |
城塁の裾に炎の曼珠沙華 | 〃 |
彩窓の天使春日に舞ひにけり | 有香 |
たく像に届く春日の触るるごと | 〃 |
石蓋の越中井より秋の声 | はく子 |
爽やかや丘の上に立つマリア像 | 〃 |
寂び優る残念石の秋日影 | 菜々 |
秋の声残念石の後より | かれん |
ガラシヤと右近の像に天高し | 満天 |
秋うららマリアの像の辺はことに | 〃 |
身に入むやガラシヤの碑は喧騒に | 〃 |
秋晴れて添ふ雲もなし天守閣 | 〃 |
青畝碑に写る教会秋澄める | 〃 |
室生寺 参加者22名
俳句 | 作者 |
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水分の宮は常濡れ杉落葉 | 菜々 |
夏木立女人高野の磴こごし | 〃 |
夕映えて線刻涼し磨崖仏 | 〃 |
滝壺に吸い込まれさう音激し | つくし |
大欅跡と碑身にぞ入む | 〃 |
国宝の堂深閑と杉涼し | 〃 |
高舞へる蛍に聳ゆ杉襖 | うつぎ |
万緑の森深閑と思惟仏 | 〃 |
磨崖仏涼し早瀬の楽もまた | 〃 |
涼風の通ふ吉野の杉木立 | わかば |
資料館開けし一歩に黴匂ふ | 〃 |
塔朱し女人高野の万緑裡 | かれん |
老鶯の声高まりて句座佳境 | 〃 |
サングラスかけてこれより吟行子 | きづな |
鎧坂汗ぬぐひつつ塔仰ぐ | 〃 |
堂縁の下に栄える蟻地獄 | なつき |
竹箒そばに置かれし蟻地獄 | 〃 |
み吉野の涼し杉の秀妍競ふ | 明日香 |
若楓天蓋なせる磴登る | 〃 |
国宝の仏在します堂涼し | 三刀 |
鉾杉の天辺さして恋蛍 | 〃 |
室生寺の急磴のぼる薄暑かな | よし女 |
遙拝す磨崖弥勒に川涼し | 〃 |
万緑が荘厳したる磨崖仏 | ひかり |
堂縁に憩へと揺らぐ若楓 | 有香 |
青嵐塔の九輪の傾ぐかと | よし子 |
ご神木涼しと耳をあててみる | 百合 |
三川の落ち合ふところ渦涼し | ぽんこ |
若葉映ゆ天誅義士の辞世碑に | 満天 |
塔仰ぐ女人高野の青嶺濃し | 小袖 |
天好園早朝句会 参加者22名
俳句 | 作者 |
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めまとひに推敲の絲切られけり | よし女 |
雨なれど朝の老鶯機嫌よし | 〃 |
雨もまたよしと吉野の朝河鹿 | 〃 |
青畝碑の傘となりたる山法師 | 〃 |
梅雨寒や隅に陣なす池の鯉 | ひかり |
老鶯の声深吉野の遠近に | 〃 |
豆粒のでで虫の角触れてみる | 〃 |
朝涼や吉野の宿に句碑あまた | 〃 |
夏霧の吉野の深山朝散歩 | すみえ |
囀りに眠気とばさる朝散歩 | 〃 |
昨夜の雨やみて深吉野みどり濃し | 菜々 |
峡の宿目覚めは庭の蛙笛 | 〃 |
見晴るかす四方の山々夏霞 | 百合 |
万緑に囲まれ小さき祠かな | 〃 |
梅雨の川岩に砕けて高鳴れり | 小袖 |
五月雨の苔むす石の苑めぐり | 〃 |
夏霧をかづきて朝の吉野山 | よし子 |
梅雨の雲切れて主峰の現れにけり | 〃 |
東雲の夏霧に現る杉美林 | うつぎ |
河鹿宿しるき瀬音に目覚めけり | 〃 |
さしのばす手にみ吉野の姫蛍 | せいじ |
吟行子緑雨の庭をたもとほり | 〃 |
流れへと白き空木の花明かり | 明日香 |
童心に帰る蛍のひと夜かな | 〃 |
夏霧の流る吉野の杉美林 | わかば |
万緑の中に激つ瀬響きけり | 〃 |
ぼんぼりの一つ破れて梅雨じめり | なつき |
かたつぶり橋の欄干朝散歩 | とし子 |
夏山のてっぺん雨に煙りけり | こすもす |
めまとひを払ひ払ひて朝散歩 | きづな |
夏霧の稜線幾重墨絵めく | 満天 |
大梁に手斧のあとや梅雨の宿 | かれん |
山法師真下の句碑を濡らさざる | 有香 |
夏落葉はらりはらりと句碑の上に | 三刀 |
夏霧のトンネルを縫ふ早瀬かな | つくし |
雨粒の朝日に光る蜘蛛の糸 | ぽんこ |
投石の滝 参加者22名
俳句 | 作者 |
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滝しぶく句碑も籬も苔むして | うつぎ |
滝壺を出て磊々の瀬となんぬ | 〃 |
この滝にしては小さき不動尊 | 〃 |
樹幹縫ふ夏霧迅し杉美林 | 〃 |
黎明や一山つつむ夏の霧 | 満天 |
緑陰に前垂れ赤き地蔵尊 | 〃 |
梅雨寒し目鼻欠けたる道祖神 | 〃 |
滝風にはらはらと散る谿の木々 | 〃 |
避暑の朝杉の美林へ深呼吸 | きづな |
山宿に句会重ねて明易し | 〃 |
大欅切り株包み草茂る | 〃 |
滝壺へ石投げてみんかと思ふ | 〃 |
杉美林抜けて夏日の燦々と | 百合 |
万緑の何処に佇ちても沢の音 | 〃 |
滴りて岩肌の草瑞々し | 〃 |
若楓川霧に枝重ねけり | ぽんこ |
滝壺の不動常濡れ避けられず | 〃 |
滝風や羊歯群落の揺れやまず | 〃 |
千年杉滝の真上に枝翳す | かれん |
昨夜雨に太りし滝の勢と見たり | 〃 |
木洩日のライトアップや滝しぶく | 〃 |
白銀の日矢の射し込む夏木立 | 三刀 |
滝壺に逆巻く風の見えにけり | 〃 |
夏霧の晴れて深山の襞深し | 〃 |
神杉の諸枝に光る滝しぶき | 菜々 |
杣道具奉りて小さき黴祠 | 〃 |
岩走る丹生の玉水みどりさす | 〃 |
佇めば服湿り来る滝しぶき | すみえ |
枝広げお日様透かす若楓 | 〃 |
吉野杉涼し真っ直ぐに林立す | 〃 |
杣道具吊す山祇青葉風 | 小袖 |
家苞に吉野箸買ふ避暑の旅 | 〃 |
滝飛沫水雲となり万象へ | わかば |
堂の屋根滴々と落つ滝飛沫 | 〃 |
滝の水一息入れて瀬に向かふ | せいじ |
石垣の乾く間もなし滝社 | 〃 |
梅雨晴間窓全開す句座愉し | ひかり |
杉木立縫ふて滝道九十九折 | 〃 |
滝の道辞さむ別れの深呼吸 | なつき |
滝宮の石燈欠けて苔むせり | 〃 |
滝しぶき句帳の文字の滲みけり | よし女 |
木の間隠れに白銀の一瀑布 | 〃 |
大杉にかかる蜘蛛の囲破れなし | 明日香 |
万緑の山また山や奥吉野 | よし子 |
梅雨の滝岩なでまはし落ちにけり | とし子 |
石ベンチ乾く間のなし梅雨の滝 | こすもす |
夏霧の静かに川面なでてゆく | 有香 |
丹生川上神社 参加者22名
俳句 | 作者 |
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ついついと人恋ひ蛍荘の灯へ | 菜々 |
杉箸の香る吉野の夏料理 | 〃 |
翠嵐に現れて白妙神の滝 | 〃 |
暮れかぬる空へ雪白山法師 | 〃 |
旅の膳鯉の洗ひを花と盛る | 〃 |
足元の心もとなし蛍追ふ | よし子 |
小流れに星とちらばる草蛍 | 〃 |
尾のはねて吉野育ちの鮎料理 | 〃 |
万緑をまたぐ吊橋揺れやまず | 〃 |
爺婆の石苔むして梅雨じめり | 〃 |
滴りの真珠つなぎや苔の先 | うつぎ |
吊り橋の涼し激つ瀬眼下とす | 〃 |
日射すとき虹現るる神の滝 | 〃 |
万緑の丹生の真名井に嗽ぐ | 〃 |
沢音に和して蛍の明滅す | 三刀 |
深吉野の空へ孤高の蛍かな | 〃 |
笹百合や千年杉を打ち仰ぎ | 〃 |
滝の威に押され誰もが無口なる | 〃 |
三川の落合ふところ滝激つ | かれん |
黄昏になほ白々と山法師 | 〃 |
深吉野の丹の吊橋や万緑裡 | 〃 |
水神のほこらは深き梅雨の奥 | 小袖 |
深吉野の瀑布真白にたぎちをり | 〃 |
草蛍きらり水辺の遠近に | 〃 |
蛍見て旅の心の深まりぬ | つくし |
下闇に横たはる枝蛇のごと | 〃 |
四囲の山雲脱ぎそめし梅雨晴れ間 | せいじ |
山の香の満つる川辺や河鹿なく | 〃 |
木下闇抜けて丹生の瀬滔々と | わかば |
吊橋を渡り再び木下闇 | 〃 |
更けてより始まる句座や河鹿鳴く | よし女 |
水神のお告げと拾ふ落し文 | 〃 |
宿庭の蛍火われを歓迎す | 有香 |
深閑と千年杉の宮涼し | 〃 |
神の滝しぶき洗礼享くるごと | 満天 |
万緑を朱の吊橋が繋ぎけり | 〃 |
神の滝ミストとなりてしぶきけり | こすもす |
歩むたび腐葉土匂ふ山涼し | すみえ |
岨の道辿ればしぶく神の滝 | ぽんこ |
あっぱっぱに着替へて旅の夕句会 | きづな |
葉隠れに忍者めきたる蛍かな | 百合 |
神滝のしぶきにしぶき虹生まる | 明日香 |
天誅組終焉地・石鼎庵 参加者22名
俳句 | 作者 |
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万緑にすがりつくごと過疎の村 | 明日香 |
いくつもの白き渦巻き出水川 | 〃 |
ものぐさやただ待つだけの蟻地獄 | 〃 |
万緑や触るるばかりに列車行く | 〃 |
蟻地獄小さき御堂を守るごと | 有香 |
激つ瀬の同音異語や出水川 | 〃 |
万緑の底ひを進むバスの旅 | 〃 |
滝音を運びきたりし風涼し | 〃 |
老杉の樹齢千年木下闇 | よし子 |
流木の岩に抱きつく出水川 | 〃 |
満目の青葉に埋まる義士の墓 | 〃 |
深山よりつと現れし梅雨の蝶 | 小袖 |
梅雨出水岩に砕けて響きけり | 〃 |
廃校の梅雨黴久し長廊下 | 〃 |
蛍保護札立つ川の涼しかり | ひかり |
な滑りそ苔むす梅雨の石橋に | 〃 |
終焉の遺詠の歌碑は下闇に | 〃 |
梅雨の傘たたみて墓の義士悼む | なつき |
赤やかん石に置かれし山清水 | 〃 |
身を任せ草を離れぬ梅雨の蝶 | 〃 |
衣魚深き行灯和紙や石鼎庵 | よし女 |
全開す石鼎庵の句座涼し | 〃 |
石鼎庵三和土に揃ふ梅雨の靴 | 〃 |
白き泡盛り上がりをる川涼し | とし子 |
斯く大いなる屏風岩苔涼し | 〃 |
石橋をふみしめゆけば苔涼し | 〃 |
天誅組忍びし歌碑は梅雨しとど | 菜々 |
でこぼこの三和土涼しき石鼎庵 | 〃 |
静けさや鳥語しきりの里若葉 | わかば |
夏霧の深吉野の山泰然と | 〃 |
杉美林縫ふ深吉野の瀬の涼し | こすもす |
廃校の校庭の隅梅みのる | 〃 |
夏蝶の訪ひくる女流句碑の前 | 三刀 |
黄鶲の声の洩れ来る杉木立 | 〃 |
目を閉じて聴く激つ瀬の音涼し | 百合 |
降りるべき駅間違ひし大暑かな | 〃 |
川とんぼ激ちし宇陀の瀬にあそぶ | うつぎ |
びっしりと十薬咲かせ薬師堂 | 〃 |
蟻地獄取り囲みたる吟行子 | すみえ |
風薫る名だたる吉野杉の里 | 〃 |
大杉は苔をまとひて滴りぬ | きづな |
三光鳥杉の美林に鳴きわたり | 〃 |
農機具の保存学舎に黴匂ふ | 満天 |
大岩にぶつかるごとく梅雨出水 | ぽんこ |
梅雨晴間苔の軒先より雫 | せいじ |
肌理荒き庵の三和土も梅雨じめり | かれん |
須磨離宮公園 参加者18名
俳句 | 作者 |
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息とめしごと大噴水止まりけり | ひかり |
四阿に通ふ磯の香花菖蒲 | 〃 |
万緑の山に白きはマンション群 | 〃 |
池統ぶるかに蟇叫びけり | 〃 |
風の向き変はり噴水乱れけり | 満天 |
離宮へと薔薇の小道を辿りけり | 〃 |
大噴水飛行機雲へ届きけり | 〃 |
噴水の向かうにライバル句帳持つ | 〃 |
待ちくれし友の笑顔や若葉風 | 明日香 |
噴水の乱舞に憩ふ車椅子 | 〃 |
風に揺れ噴水の秀の自在なり | 〃 |
吸ひ込まれさうな勢ひ大噴水 | せいじ |
遠山のごと島影や夏霞 | 〃 |
尖塔のごとき威風や大噴水 | 〃 |
滴りの真珠びかりに女神像 | 菜々 |
白南風や鏡びかりの青畝句碑 | 〃 |
白塀は離宮の名残松落葉 | 〃 |
ばら愛でる人みな優し顔をして | かれん |
ひとときを我も貴婦人ばらの庭 | 〃 |
碑面に大噴水の映りをり | 〃 |
涼風に吹かれ存問青畝句碑 | わかば |
葉の揺らぐ蔭に河骨黄を点ず | 〃 |
青楓揺れて日の斑を撒き散らす | つくし |
一望の明石海峡青葉潮 | 〃 |
薔薇園に英国の空想ひけり | うつぎ |
車椅子同士の会釈薔薇の園 | 〃 |
大噴水沖ゆく船は水平に | 有香 |
亀甲の石垣涼し離宮道 | 〃 |
噴水の風にリズムの変りけり | 百合 |
水に立つポセイドン像風薫る | 〃 |
噴水の吹き上ぐるたび天仰ぐ | よし子 |
噴水の息とめしとき空映る | 〃 |
小噴水大噴水と息そろふ | あさ子 |
噴水の広場飛沫をさけられず | 〃 |
噴水に見とれて句帳濡らしけり | 宏虎 |
海見ゆる丘の上なる句座涼し | はく子 |
翠巒を屏風にばらのまっさかり | 〃 |
多田銀山 参加者14名
俳句 | 作者 |
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あたたかや一つ祠に神ほとけ | 菜々 |
山神へ磴は胸突き春落葉 | 〃 |
水草生ふ廃坑跡の門川に | 〃 |
囀や村人総出宮掃除 | 〃 |
鶯や山は萌黄に多田の里 | 〃 |
杉美林ぬひつつ間歩へ春惜しむ | わかば |
うす暗き雑木の山に花あえか | 〃 |
古時計刻一つ打ち春山家 | 〃 |
葉桜の下旗竿の花浄土 | 〃 |
掘痕の荒きをなぞり春惜しむ | 宏虎 |
置物に栄華を想ふ春山家 | 〃 |
春陰に鎮もる村の古祠 | 〃 |
前山のつつじ明りに磨崖仏 | うつぎ |
山蟻のはやせはしげに間歩の口 | 〃 |
春陰に吾が声響く間歩の口 | 〃 |
雑木山白の斑は残る花 | 百合 |
初蝶を間歩入口に見失ふ | 〃 |
里山路みどりの風の奔放に | 〃 |
坑道を出て目つぶしの新樹光 | よし子 |
若葉色映してをりぬ神の水 | 〃 |
鉱毒の川といへども澄めりけり | 〃 |
春山路草の名教へ教へられ | きづな |
間歩の径白山旗竿花盛り | 〃 |
くぐりたる間歩の一歩に汗の引く | 〃 |
奥見えぬ間歩の入口落椿 | 有香 |
磐石に彫られて涼し観世音 | 〃 |
廃坑へたどる岨道落椿 | ぽん子 |
蹲に苔の花咲く山祠 | 〃 |
土堤埋む白山旗竿風薫る | かれん |
間歩口に青葉しぐれの宿りかな | 〃 |
山笑ふ坑道あまた懐に | はく子 |
村祠つつじ彩る山間に | 〃 |
すっぽりと抜ける青空初蝶来 | 小袖 |
廃坑の入口ひそと一人静 | 満天 |
目まとひを払ひはらひて間歩に入る | 〃 |
天気予報はずれて笑ふ里の山 | 〃 |
石峰寺・伏見稲荷 参加者14名
俳句 | 作者 |
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囀れる一息入るる参磴に | つくし |
談合のごとくに羅漢日脚伸ぶ | 〃 |
藪椿ま青な空に朱を散らし | 〃 |
楼門の威風堂々春日和 | 小袖 |
落葉道賽の河原に行きどまり | 〃 |
春陰の羅漢のひとつ合掌す | 〃 |
阿羅漢の忿怒ゆるびし春陽射し | うつぎ |
現し世の春愁ふかに羅漢どち | 〃 |
羅漢訪ふ小径三茱萸明りして | 〃 |
木の芽風顔ふくよかに羅漢仏 | あさこ |
一山を羅漢で埋めし春の風 | 〃 |
春風や蒼天に反る朱の庇 | 〃 |
春光をあまねく受くる十字墓 | ぽんこ |
うそ寒し鳥居のそばの占い師 | 〃 |
地蔵守る婆の説法暖かし | ひかり |
石塔に積む石あまたうそ寒し | 〃 |
目鼻なき五百羅漢に春日燦 | 百合 |
冴え返る賽の河原の地蔵尊 | 〃 |
春寒し墓域を外れてクルス墓 | 菜々 |
羅漢みな肩寄せあひて彼岸寒 | 〃 |
春日洩る千本鳥居くぐり抜け | きづな |
石一つ積みて春愁うべなへり | 〃 |
盤石の寝釈迦に春の落葉かな | 満天 |
春愁や重軽石の重きこと | 〃 |
朱の揺れて千本鳥居陽炎へり | 宏虎 |
春光や伏目がちなる羅漢たち | せいじ |
温かや震災復興祈る絵馬 | はく子 |
春落葉積みしを褥涅槃仏 | 〃 |
唐門へ参磴百段梅香る | 〃 |
中山寺 参加者名
俳句 | 作者 |
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七堂伽藍雪解雫の音奏ず | うつぎ |
うちの猫こんなところに涅槃絵図 | 〃 |
涅槃図の裾より亀の急ぐかに | 〃 |
雪解水垂るる地蔵の福耳に | 〃 |
顔伏せて悲しむ猫や涅槃絵図 | 有香 |
水子仏並ぶ頭上に雪帽子 | 〃 |
公園に独りぼっちや雪だるま | 〃 |
観音の御手指す方に笹子鳴く | 〃 |
梅ひらくみむね豊かに観世音 | 菜々 |
はだれ雪甍の波にすべりけり | 〃 |
観音へ磴七曲り梅探る | 〃 |
昨夜の雪観音像を荘厳す | 〃 |
赤鬼の歎きもっとも涅槃絵図 | はく子 |
石庭の砂紋のままに雪残る | 〃 |
小窓より濁世の光涅槃寺 | 〃 |
無垢の雪裳裾としたる観世音 | 〃 |
雪解水をちこち池に水輪生る | かれん |
四囲の木々こぞりて芽ぐむ観音像 | 〃 |
春灯五百羅漢の私語聞かな | 〃 |
白象のなげき雄叫ぶ涅槃絵図 | よし子 |
山門のわらじ触るればほの温し | 〃 |
夫に似し羅漢に出会ふ春の夢 | 〃 |
恋の絵馬達筆なりし梅二月 | 宏虎 |
涅槃図を拝む顔みな畏まる | 〃 |
雪解水垂るる山門走り抜く | わかば |
春愁や彩色落ちし羅漢像 | 〃 |
極彩の高き塔より雪解水 | 小袖 |
雪だるま汚れやんちゃの児のごとし | 〃 |
猪来ると注意札立つ梅の苑 | こすもす |
観音像まなざしやさし梅ほころぶ | 〃 |
涅槃図の阿鼻叫喚の中の寂 | 明日香 |
山門の雪解雫に打たれ入る | せいじ |
春塵の一穢なき堂経ひびく | 満天 |
目覚めよとすべての木々に春の雪 | 〃 |
涅槃図に近づけば吾も衆生かな | 〃 |