みのる選:2010年度

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2010年12月22日

忘年会 参加者15名

俳句作者
赤白の寄せ植ゑ園のクリスマスひかり
伴走は自転車の妻冬うらら
撒き餌に狂喜乱舞や百合鴎
ビルの間の日差一条冬運河
街角はタイムトリップ社会鍋菜々
イルミネーション消えて星空聖夜更く
親鸞像笠を目深に木の葉雨
ウインドーに銀色の靴クリスマスうつぎ
銀杏落葉掃くは商社のニューフェース
枯蓮の地獄に沈む一輪車ぽんこ
大絵馬が裏に鎮座す年用意
信号も聖夜の星のひとつかな小袖
街師走路地あちこちに荷を下ろし
大嚏視線を浴びる車内かな百合
冬帝や芭蕉の句碑の凛として
枯菊を焚きて入院待つばかりきづな
ワゴンセールみな越境す年の市
ごほうびに句帳いただくクリスマスかれん
年暮るる廻せば軽き摩尼車
目鼻消え阿弥陀様とや身にぞ入む明日香
大楠の根方は石蕗の花明かりわかば
辻一つ入れば下町おでん街よし子
教会の小さき電飾クリスマスせいじ
いてふ枯れきって空広ごりぬ御堂筋はく子
数へ日のメモを片手に右往左往満天
いそいそと納め句座へと街師走
山茶花の散り敷く庭の句碑めぐる
裸木のまとふ華燭の星づくし
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2010年11月24日

京都渉成園 参加者17名

俳句作者
水に還る他なし蓮の枯れ伏してうつぎ
もくれんの光をまとふ冬芽かな
着物美人まどろむ京の暖房車
橋渡る間もしきりなる散紅葉
数珠を編む指に見とれる路地小春
どこに立つもカメラの邪魔や紅葉寺
鯉躍如映る紅葉を揺るがせてひかり
旗に付く善男善女報恩講
日の揺らぎ障子に映へて池畔亭
黄落の大路参拝バスしきり
スニーカー嵩の落葉をけ散らせてきづな
池畔亭ひたと閉じたる白障子
茶室へと茶の花垣の続きけり
山門の左右の遅速や黄落す
名園に座して満目冬紅葉わかば
抽ん出て苑を統べをる大枯木
後足宙にもがきて鴨潜る有香
ビロードのごともくれんの太芽かな〃
天皇のお休み跡や色鳥来百合
槍折れし如くに蓮の枯れにけり
矍鑠とせる枯蓮もありにけりせいじ
黄葉して苑睥睨す大銀杏
風吹けばかそけき音や枯蓮はく子
堂に満つ信徒千人報恩講
小春日や一期一会の園めぐるあさ子
天を突く銀杏黄葉の眩しけり宏虎
火のごとく燃ゆる一隅櫨紅葉ぽんこ
枯蓮直立不動武者のごと百姓
散紅葉五彩に敷きし水の底明日香
枯蓮の影のゆらぎや水鏡よし子
御堂千畳門徒にあふれ親鸞忌菜々
折れずして直立したる枯蓮満天
参拝の数多のバスに銀杏散る
小流に色をとどめし散紅葉
山門のうちそとに散る大銀杏
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2010年11月13日

能勢古民家芋煮会 参加者10名

俳句作者
をみならの声遠きより冬田かな雅流
庭隅へ日差し集めて石蕗黄なり
古民家のかまどを借りて芋煮会
大鍋の底舐むる熾芋煮会
仮庵に昼餉の湯気の立ちにけりせいじ
刈り取れば積石畝る棚田かな
白壁の割れ目と見しは枯蟷螂
紅葉散る踏むまじくして見とれけりよしお
蔓引けばパラパラパラとむかご落つ
茅葺の家よりのぞむ里の秋
冬の蝶棚田一枚とびきれずよう子
トンネルの多し能勢路の紅葉山
炉を囲みいにしへ偲ぶ句会かな裕子
柿紅葉里山の道照らしけり
小春日の障子にうつる深庇よし子
百年の囲炉裏囲んで句座楽し
火吹竹肺全開に吹きにけり有香
炉を囲み大家族めく句会かな小袖
俯瞰して棚田の秋を惜しみけりうつぎ
石蕗明り行基の寺の布教板
炉に語る青畝汀女や句座懐し
連衆の顔火照らせて炉辺の句座
囲炉裏辺に祖母の俤火吹竹
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2010年10月27日

山崎山荘 参加者13名

俳句作者
モネの絵に寄りて離りて秋惜しむ菜々
鯉過ぎり池面のもみぢ影乱す
杜鵑草木々の洩れ日に斑を散らす
爽やかや白磁の香炉を眼福に
石蕗蕾む筧の水の滴々に
俯瞰する摂津三川秋日和よし子
紅葉坂辿りて山荘美術館
鉄塔の先に触れさう秋の雲
鵙一声うち仰ぐ空蒼きかな
草紅葉送迎バスの発着場きづな
腰掛に適ふ切株小鳥来る
柴折戸の軋むを開けてそぞろ寒
秋草の彩どる池塘めぐりけりわかば
相輪の覗く紅葉の濃かりけり
ヘリコプター小春の空の雲に入るつくし
身に入むや展示の肖像首は無し
庭園のおちこち秋の水の音かれん
玻璃窓のダイヤカットに冬日燦
秋の陽を背負ひ急磴のぼりけりひろみ
秋陽射す大切株の洞深し
拾ひたる紅葉句帳の栞とすぽんこ
あめんぼう群れて夕日を散らしけり有香
薄もみぢ古戦跡碑の傘なせる小袖
天王山鬨の声かも鵙高音百合
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2010年9月22日

明日吟旅4 参加者17名

俳句作者
山門を額ぶちとして稲田見ゆ小袖
二面石彫のくずれに秋思憑く
糸とんぼ川面を掠め掠め飛ぶ
沢音の強弱もまた秋の声
曼珠沙華藪の奥へと飛び火してうつぎ
秋蝶のあち来こち来す二面石
秋扇ついと閉まりし吟行子
二面石見てより秋思始まれり
道ゆずり合ひてハイカー爽やかにかれん
対岸のなぞへを埋む曼珠沙華
紫苑咲き破れ築地を隠しけりきづな
岡寺と粧ふ山を指されけり
稲田中ニュースを告ぐるスピーカーひろみ
黒土を乗せしまんまの菌あり
明日香川木々を映して水澄める百合
と見る間に草に紛れし秋の蝶
甘樫の丘に秋風通ひくるひかり
ひらひらと万葉姫の蝶ならむ
祖水路をた走しりて水澄めりけりわかば
二面石我が胸に問ふ秋思かな満天
明日香路楽し秋草あまた咲くはく子
鶏頭は孤高の紅を極めけり宏虎
黄金の稲田に浮ぶ古刹かなせいじ
葛のつる飛鳥めぐりのバスに触れなな
古墳から古墳へ秋の遍路かなつくし
川底にさす薄日や水澄めるぽんこ
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2010年9月22日

明日吟旅3 参加者17名

俳句作者
虫すだく森へ一閃朝日さすわかば
色鳥来朝の光の洩る森へ
朝日今谷戸の稲田にとどきたり
真夜覚めて明日香の里の良夜かな
一色にあらず棚田の稲なびくこすもす
秋の蚊のあくびの口に飛び込みぬ
豊年の棚田に朝日さしわたり
展望の大和三山秋晴るる
下界より声谺して山は秋百合
窓開けて虫の声聴く旅の宿
この森の葉擦れの音も秋の声
ストーカーめきし秋の蚊払ひけり
露天湯に肩のしずめば虫浄土満天
虫の音の間遠となりて夢の中
萩葎かきわけて訪ふ石舞台
万葉のゆかりの橋に秋惜しむ
寝惜しむ明日香の宿の虫浄土よし子
高枝より鵙の高音や朝散歩
遠山に雲棚びきて朝涼し
くつきりと棚田耀く月今宵宏虎
月白や万葉人の詠みし丘
芝草の万朶の露に朝日射すひろみ
秋の水瀬石あらひて曲り行く
露の道踏みて里山朝散歩はく子
彼岸花つづる畦道朝散歩
遠望に朝日弾くは鳥威うつぎ
杉の秀の黒く聳ゆる月の影
稔り田に天の香具山横たはる小袖
落合ひの音露けしや玉藻橋かれん
気をつけての声をうしろに虫の闇明日香
案山子とも人ともつかず夜の明くる有香
飛鳥野を隈なく照らす良夜かななな
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2010年9月21日

明日吟旅2 参加者17名

俳句作者
近づきて案山子とわかる棚田かなわかば
峠まで棚田を行けば秋暑し
峠まで案山子路辿る棚田かな
畦に立つわらべ案山子は赤い靴なな
曼珠沙華いよよ夕日に燃えにけり
筆先に似たる蕾や彼岸花
畦道に案山子百態虫はやすはく子
暮れ初めて峡田は虫の浄土かな
秋天へ棚田幾枚数へけり
落栗や農小屋なべてトタン屋根きづな
どの道をとるも水音野路の秋
かなかなや一と句会終ゆ裏山に
明日香路連なり進む秋日傘有香
目まとひを払ひ会釈を交す野路
天高く直立したる飛行雲こすもす
展望台棚田へつるべ落しの日
たち並ぶ案山子ロードや峠道明日香
秋夕焼なぞへに傾ぐ道祖神
夕暮れの棚田棚田の虫の声ひろみ
木々覆ひつくして葛の花匂ふ
宿へとる道は一筋竹の春かれん
落し水音孱孱と棚田道
曼珠沙華棚田の畦を区切りけり満天
案山子にはあらずカメラマン動く
秋灯煤けきったる飛鳥仏うつぎ
身にぞ入む頬傷深き飛鳥仏
耳鳴りにあらずまつはる秋の蚊ぞせいじ
神の木の鼓動に聴かむ秋の声百合
亀石を撫でて明日香の秋惜しむ宏虎
秋の鐘一打首塚寧かれと小袖
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2010年9月21日

明日吟旅1 参加者17名

俳句作者
秋の蝶ついと消えたる草葎宏虎
豊の秋ひろごる中に飛鳥寺
石舞台そびらに歩む秋日傘
乱れ萩展望台の径狭む
神宮の神鼓の音や新松子
秋蝶の黄をこぼしつつ過りけりうつぎ
露けしき万葉の碑は相聞歌
露の野に盤石おきし石舞台
と見る間に棚田を隠し霧流る
飛鳥路の棚田の天辺霧隠れ
甘樫の丘に見おろす豊の秋百合
秋しぐれ木々の葉色の斑なる
石舞台囲む山並空澄める
蜘蛛の囲が揺りかごめける枯葉かなこすもす
見上げれば病葉多き古木かな
近道はマムシ注意の札の立つ
高塀の外へさゆらぐ百日紅わかば
法面の一叢そよぐ花薄
萩葎枝垂れて風の生れけり
石舞台そよ吹く風にあきつ舞ふ満天
百選の棚田も今は豊の秋
秋暑したのむ木々なき石舞台
ホ句の道初めて拾ふ落としぶみひろみ
たわわなる桐の実丘を埋むかに
ハイカーに手を振る明日香野路の秋有香
曼珠沙華供花に挿されし石舞台
石舞台秋つ光を集めをり小袖
水澄みて真砂の見ゆる飛鳥川
道路鏡映す棚田の彼岸花かれん
露草や一過の雨に瑠璃深む
飛鳥路の亀バス待つ間秋しぐれなな
村人のすぐそこ遠し彼岸花
音たててさ走る疎水秋高しきづな
豊の秋大和三山見ゆる丘はく子
山峡に煙ひとすじ里の秋明日香
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2010年5月26日

奈良公園 参加者15名

俳句作者
老鶯の春日社の森こだましてはく子
鹿の耳ぴくぴく動く新樹風
飛火野に集ふ吾らに風薫る
行厨にぬっと顔出す孕み鹿
薫風や絵図をたのみに古都巡るぽんこ
塔の影水面に乱れ青嵐
万緑や池鏡なる浮見堂
一の鳥居しのぐ老松色変へずかれん
飛火野の起伏をかすめ夏つばめ
どの道をとるも水音森涼し
連子窓続く回廊若葉風わかば
えごの花散り敷く所禰宜の径
遠近に田掻く人影斑鳩路よし女
万緑や足輪も太き仁王尊
青苔をむす走り根の力かな三刀
笑み涼し言の葉やさし春日巫女
梅天下甲羅干しなる貸ボートひかり
新緑の四囲にせりだす浮見堂
子らの声弾け飛火野夏兆すきづな
地にふれむばかり藤蔓木下闇
揚げ雲雀大和の山は高からずつくし
掃かずある直哉旧居の春落葉
温かや初めて集ふ句会の座ひろみ
亀の甲乾き始めし梅雨晴間
神杉の太き走り根木下闇明日香
枝分れの気配を早やも袋角菜々
参道に天降る香は楠新樹満天
竹皮をぬぎて天へと直立す
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2010年4月28日

京都植物園 参加者11名

俳句作者
木香薔薇四方へ香りの蔓ひろげ菜々
園ここら喬木の森や著莪の花
野遊びの園児ら声を撒き散らす
園広し百樹百花に春惜しむ
園若葉髪なびかせて乙女像
夏めくやはるか比叡は藍色に
あめんぼう己の影とあそびけり宏虎
一水に黄を散らしけり濃山吹
菜の花黄賀茂の河原を埋めけり
車椅子押して母との春惜しむ百姓
下萌に斑の洩れ日揺らぎをり
春落葉踏みならしつつ苑巡るかれん
写生児の画布をはみ出す青葉かな
加茂川の中州を渡る花菜風有香
温室の狭しと占むる奇樹珍樹
佇めば頬触る風や園うらら明日香
逍遥の半木の道余花にあふきづな
茎立ちの菜花中州に揺れやまず小袖
雨晴れて光をはじく犬ふぐり満天
堰落つる水に遊べる春の蝶はく子
鴨川の水きらめきて花は葉に
ゆずりはは花を要に古葉新葉
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2010年3月24日

住吉大社 参加者14名

俳句作者
神域の奥へ奥へと春落葉きづな
なほ読めぬ句碑春落葉払ひても
古り増さる百の灯籠春陰に
春の雨朱の反橋を渡りかね
高灯籠松の緑のなほ上に
春雨の水輪をつづる心字池ひかり
境内は芽吹きの色に染まりをり
御神田を埋めて草の芳しく
春雨に踏む玉砂利の音高し
亀鳴くや降りは難し太鼓橋かれん
春雨に濡れて古木の洞暗し
瑞兆のごと草萌ゆる御神田
狛犬の鼻こそばゆし黄砂降る宏虎
茎立てる空に引力ある如く
霾や黄色に染まる京の町百姓
落ちてなほ雅と思ふ椿かな
春雨の住吉参りまた楽し百合
御手洗の兎吐き出す春の水
春雨に翡翠一閃過りけりはく子
石橋に春愁の鷺動かざり
拝殿の朱を明るふす春の雨ぽんこ
春しぐれ思はず触れし芭蕉句碑明日香
太鼓橋松の緑を両袖に菜々
花冷の駅頭人のあふれけりよし子
朱の橋をくぐりくぐりて春の鴨満天
春愁や朽木然たる御神木
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