2024年8月17日 | |
茂りたる杜の静けさ今朝の秋 | 澄子 |
雷火いま高層ビルを袈裟懸けに | みのる |
ソフィアローレンがどこかにいそう向日葵田 | こすもす |
夏の果貝殻絵馬の文字うすれ | なつき |
稚魚の群れミストとを浴びる睡蓮池 | ぽんこ |
水かげろふ葉裏に揺るる晩夏光 | むべ |
夏雲の水漬く枝に像崩す | むべ |
葛の原小径とぎれて一面に | むべ |
蹲に木槿浮かせし旧家かな | 澄子 |
息詰まる緊急浮上せしプール | えいじ |
ギプスに手添へて参拝原爆忌 | なつき |
流星や逝きし人々懐かしむ | わかば |
美しきステンドグラス堂涼し | わかば |
水替へて吐息新たや水中花 | みのる |
日差しへと首に二重の汗拭ひ | なつき |
軍艦のごと鯉の寄り来る厄日 | なつき |
流されず一つところに鴨涼し | むべ |
時刻表枕に昼寝無人駅 | みのる |
雨あがる橋を超え来て秋の雲 | 澄子 |
参道を羽化失敗の蟬あるく | なつき |
夏服やゆつくりと着て心地よく | わかば |
白靴をぬぎて渚に遊びけり | みのる |
蓮の実は何処に飛んだか同胞は | ぽんこ |
空青し写真自撮りす向日葵田 | こすもす |
畔行くや蜻蛉の群れに打ちまじり | むべ |
水面に触れんばかりの夏柳 | ぽんこ |
チューリップ畑が変身したるひまわり田 | こすもす |
またひとりねずみ男のゐるプール | えいじ |
鎮魂や核なき世をと敗戦忌 | わかば |
とどのごと潜水をかしプールの吾 | えいじ |
ゆき悩む流灯を手で促しぬ | みのる |
文豪の漫歩の路地に風立たぬ | 澄子 |
木曽川の水満ち溢るプールかな | えいじ |
叫びては見間にジャンププールの子 | えいじ |
杉美林バックにひまわり五十万本 | こすもす |
花火舟果て闇寂し蝦夷の旅 | わかば |
迷路めく背高ひまわり畑かな | こすもす |
逆立ちす突き出た茎の赤とんぼ | ぽんこ |
蝉のこえ途切れがちなる雨催 | 澄子 |
睡蓮にミストの蒸気いきいきと | ぽんこ |
2024年7月13日 | |
全山を纏うみどりや近江冨士 | えいじ |
寺まつり元武家屋敷開け放し | なつき |
落ちてなほこよなく白し沙羅の花 | わかば |
作り滝水の滔々岩の苔 | ぽんこ |
青萩や柵を掴まへ迫り上がり | かえる |
風涼し老舗暖簾の字の合はず | みのる |
さざ波の上を睡蓮の広ごりぬ | せいじ |
渡し板蓮の巻葉の通せんぼ | なつき |
蟻の巣の口の周りはプチ砂丘 | せいじ |
湧水の楽を聞くやに花擬宝珠 | 康子 |
萩叢の隧道抜けて序破の風 | 澄子 |
蹲踞の水満々に陽炎たつ | ぽんこ |
モリアオガエル卵塊の雨を待つ | わかば |
一条の日の輪のをどる泉かな | みのる |
万緑の中往く登山列車かな | わかば |
枝切れば紫陽花の房手にずしり | よう子 |
吟行子まづオーダーの氷水 | かえる |
本堂に五十路のバンド夏祭 | なつき |
水底に尾の影ひきてゆく金魚 | 澄子 |
名も知らぬ夏花咲けり茶臼山 | えいじ |
梅天に響くサイレン天王寺 | えいじ |
パーゴラに斑を散らしたる若葉影 | 康子 |
鬼百合の珠芽太りてつや増しぬ | むべ |
まだ軟き翅を乾かす蝉の黙 | あひる |
膨らんで撒水ホースとぐろ巻く | せいじ |
砥部焼の白磁の皿の藍涼し | みのる |
岩清水ひきて蹲踞奏でしむ | みのる |
梅雨茸整列したる丸太椅子 | あひる |
せつかちな空蝉もあり穴の横 | あひる |
夏の杜深くへ消ゆる蛇の目傘 | かえる |
初蝉や木立に鴉小競り合い | ぽんこ |
早起きの夏鶯の禊受く | よう子 |
汗拭ひ太子絵伝の絵解き僧 | なつき |
緑雨降る兵どもの泪めく | えいじ |
夏木立樹間に浮かぶ通天閣 | えいじ |
一揆寺藪蚊も失せし暑さかな | なつき |
主居ぬ二階の軒へ夏つばめ | よう子 |
四阿をはみだし大き星の笹 | 康子 |
湧水の辿る岩間に新樹光 | 康子 |
掬ぶ手にまろび輝く泉かな | むべ |
はまぼうの花散る樹下や梅雨嵐 | あひる |
抽んでし蓮蕾まるで三姉妹 | せいじ |
おはぐろや睡蓮の葉を放蕩す | あひる |
鍼灸院出てかたばみのバス停へ | よう子 |
見霽かす緑また緑の夏の苑 | かえる |
荒縄の葦をくぐりて夏祓 | ぽんこ |
駅飾る庭園の竹星の竹 | むべ |
青葉して日の斑の遊ぶ苔畳 | 澄子 |
ゆくりなく疏水に現れし羽抜鴨 | せいじ |
四阿は網代天井星の竹 | 澄子 |
清らなり杉苔青し寺の庭 | わかば |
羅に真白な腕の透き通る | かえる |
蓮広葉車軸の雨に寧からず | みのる |
蟻の穴地下帝国を思ひけり | むべ |
背伸びして高きに結ぶ星の竹 | むべ |
石刻の涅槃仏へと沙羅の花 | わかば |
笹飾り幼き文字で平和へと | 康子 |
人を待つ四阿渡る風涼し | 澄子 |
美容師の相槌じょうず櫛涼し | よう子 |
青蔦の覆ふ小径に足取られ | ぽんこ |
2024年6月15日 | |
蓮の葉の玉水に棲む小さき虫 | せいじ |
紫陽花の谷の底より朱の御門 | あひる |
新樹陰弁財天のハート絵馬 | なつき |
目を奪ふ真白を通す七変化 | うつぎ |
池透けて見ゆ萍の細根かな | むべ |
山峡の谷戸に展ごる植田かな | 澄子 |
目に涼し宇治の早瀬よ水音また | みのる |
あぢさゐに埋もれ明王苦笑ひ | もとこ |
頭の欠けし北向き地蔵走り梅雨 | なつき |
宇治川の激流の空夏燕 | こすもす |
山門をくぐればどっと濃紫陽花 | 千鶴 |
吟行の締め宇治金時のかき氷 | はく子 |
万緑を分かちて激つ瀬の白し | あひる |
微塵子籠め蓮の雫の小宇宙 | うつぎ |
青蔦を背に鎮座する薬師如来 | ぽんこ |
大前を埋め尽くしたる蓮の甕 | せいじ |
脚継ぎし陶の狛犬木下闇 | なつき |
水底に影の縺るるあめんぼう | むべ |
かき氷山を崩して五臓六腑 | ぽんこ |
押しくらのごと鬩ぎあふ未草 | みのる |
日照雨きて際立ちませる青山河 | 澄子 |
小粒立つ青蜜柑下瀬戸の海 | 澄子 |
日をはねて水かげろふや作り滝 | むべ |
吾と共に石橋渡る塩蜻蛉 | あひる |
行厨は瀬音涼しき川岸に | はく子 |
彫り深き人面めきて鯉涼し | こすもす |
休耕田ざりがに池のなれの果て | かえる |
息吸つて胞の膨らむ煙の木 | えいじ |
激つ瀬の水上に並む鵜舟かな | せいじ |
宇治川の激つ瀬音の涼しかり | はく子 |
夏柳風に誘はれ地を摩る | かえる |
行厨は宇治橋見つつ夏木立 | たか子 |
片膝をつきても霞む庭石菖 | えいじ |
川風が攫ひし宙の糸とんぼ | みのる |
軒忍水車飛沫に常濡れす | 康子 |
五月雨や大水を裂く木除杭 | せいじ |
宇治川の激つ白波夏河原 | たか子 |
宇治訪ふてやはり読もうか宇治十帖 | 千鶴 |
万緑や千年を守る宇治上社 | はく子 |
極彩のベゴニア繚乱植物園 | えいじ |
虫食ひの茄子一つ熟るほまち畑 | なつき |
清水汲み石佛供ふ欠け茶碗 | もとこ |
寺薄暑ようおまいりと碑の迎ふ | もとこ |
犇めきて亀ら飛び込む夏の川 | えいじ |
ガラス戸に映る古刹の緑の景 | ぽんこ |
緑陰の川辺に拡ぐ弁当かな | 千鶴 |
三世代おなじ面差し水合戦 | かえる |
蓮巻葉大き浮葉を突き上ぐる | うつぎ |
老鶯の美声振りまく古刹かな | ぽんこ |
畳なはる山の緑の色違へ | わかば |
運転手は新人女性古都薄暑 | こすもす |
亭涼し竹籠に活く山野草 | 康子 |
紫陽花寺「ようおまいり」と誘へり | たか子 |
梢洩る日矢に煌めく泉かな | 康子 |
大岩に揺るる日の斑や樹下涼し | 康子 |
沖つ波潤みて瀬戸に梅雨兆す | 澄子 |
青海波なして咲き満つ濃紫陽花 | みのる |
老鶯や遠谺して宇治の山 | たか子 |
神木の大欅の辺岩清水 | わかば |
濃淡に紫紺織りなす菖蒲園 | むべ |
万緑に三重の塔の見へ隠れ | ぽんこ |
ゆっくりと征く雲映し植田かな | 澄子 |
蜘蛛の囲や檜皮葺なる拝殿に | たか子 |
新茶汲む茶舗立ち並ぶ宇治の辻 | 千鶴 |
木下闇神木欅三百齢 | はく子 |
紫陽花の苑をたゆたふ人の群 | あひる |
鬱葱の木立の中や青葉闇 | わかば |
橋半ば水皺となりし夏の風 | えいじ |
鶯や勇気付けられ磴上る | わかば |
霊石の幣をちぎりて蔦茂る | なつき |
水鏡沢紫陽花と青空と | むべ |
天辺より山食んでゆく氷宇治 | あひる |
もてなしの和菓子に添へる四葩かな | みのる |
枝先にまろき梅の実数多生る | かえる |
花手水竜の口吹く泉かな | 康子 |
苔しげる小さき地蔵の祈りの手 | もとこ |
紫陽花や友の労り有り難し | わかば |
解禁の出番待ちたる鵜舟かな | 千鶴 |
異彩放つ紫陽花に歩を緩めけり | こすもす |
あぢさゐと句碑に散らばる字のをかし | もとこ |
広芝のスプリンクラー虹生る | かえる |
宇治川を背なに涼しげ式部像 | うつぎ |
注文は迷はず宇治のかき氷 | うつぎ |
緑陰を占めて一団瞑想中 | こすもす |
天空の山寺に早や鬼やんま | せいじ |
2024年5月11日 | |
濯がれて軒に干されし鯉のぼり | せいじ |
雨含む岩を絞りて苔清水 | ぽんこ |
透明度百パーセント瀞涼し | みのる |
深山道木立の中に山躑躅 | わかば |
磴百段下れば泉そこここに | 康子 |
姫女苑防災倉庫置く空き地 | なつき |
湧き水の奔流となる梅雨初め | よう子 |
田水張る水面の電車喘ぎ来る | よう子 |
クレソンを研ぎゐる清き流れかな | むべ |
開発の迫るなぞへや二輪草 | 澄子 |
小祠に守られている銀竜草 | ぽんこ |
藍染の鯉のぼりたつ工芸館 | むべ |
母衣掲げ熊谷草は堵列せり | 澄子 |
苔清水リズムは刻をきざむよう | 小袖 |
花びらも名前も雅なり花菖蒲 | せいじ |
山家いま迫る五彩の緑かな | 小袖 |
楽しみと待つこと久し新茶の香 | わかば |
密やかに届く木洩れ日熊谷草 | あひる |
ヌートリア声高らかに泳ぎきる | えいじ |
駆けつけし時蛇の尾の消えゆけり | あひる |
連理して大緑陰をなせりけり | みのる |
ものの芽を踏むまじとゆくなぞへかな | 澄子 |
慰霊塔萌ゆる若葉に抽ん出し | 康子 |
地蔵尊燃ゆる躑躅を籬とす | 康子 |
筍の丈の限りに伸びゆけり | 澄子 |
沢蟹の透けて生れたて直ぐ隠る | うつぎ |
沢蟹の小さき石を砦とし | たか子 |
我に来て憩えと翳す緑樹かな | みのる |
旋回し戻る瀬石や糸蜻蛉 | あひる |
恐竜の森とや熊谷草抱だき | うつぎ |
鳥居から神木へ吊る鯉のぼり | なつき |
日と風をとどめて池の杜若 | なつき |
振り下ろす指揮は雨粒蛙鳴く | よう子 |
洞深き台場くぬぎに若葉雨 | あひる |
しがらみのごと名札立つ菖蒲池 | せいじ |
貴種流離山芍薬の佇まひ | 澄子 |
草笛や青空の下吹きたくて | わかば |
不意にきし色の見えたる黒揚羽 | えいじ |
国の保護無しとや不憫熊谷草 | たか子 |
渓風に紅ほぐれそむ楓の芽 | むべ |
新緑の山路を友と枯木杖 | 小袖 |
鉱山は今は昔や山滴る | うつぎ |
炭窯の崩れし洞に花むぐら | あひる |
風孕む熊谷草の淡き母衣 | たか子 |
草摘みて子育て大師供へたり | なつき |
切岸の谷底のぞく射干の花 | ぽんこ |
樹下涼しデッキチェアに足あづけ | かえる |
けりけりと番い騒げる代田かな | えいじ |
岨道の青羊歯覆う間歩の跡 | ぽんこ |
ため息のごとあぶく吐く緋鯉かな | かえる |
蜘蛛の囲のうつぎだらけに粧へる | うつぎ |
苔潤むところ若葉の影遊ぶ | かえる |
熊谷草道聞く人の絶え間なし | よう子 |
ゆらゆらとひとつばたごの花満開 | えいじ |
水の色森の色引き糸蜻蛉 | うつぎ |
日を倦みて欠けし一片朴散華 | むべ |
ゆるゆると手を逃れたる柳絮かな | えいじ |
長続きせぬ沢蟹のかくれんぼ | 小袖 |
花菖蒲江戸肥後伊勢の名を負ひて | せいじ |
石垣の隙間ゆるりとくちなわの尾 | ぽんこ |
雉子鳴く子等見ぬ村の休耕田 | よう子 |
山颪しばしな吹きそ朴の花 | むべ |
黄菖蒲の咲きて池辺満たすなり | わかば |
満水の池面に浮かぶ未草 | せいじ |
大蛇めく蔓みあげれば天つ藤 | みのる |
大いなる緑を訪ね立夏かな | たか子 |
石楠花に添ひし水音や心地よく | わかば |
啓蟄やくちなわを見る深山かな | たか子 |
手汗拭きおもかる石を持ち上ぐる | なつき |
一輌車谷戸の代田に傾きぬ | みのる |
山腹の緑に豊かベニウツギ | 小袖 |
せせらぎの楽を標に谷若葉 | 康子 |
一穢なき空に紋様夏の蝶 | 康子 |
灯籠に日の斑のあそぶ夏木立 | かえる |
堂裏へ禰宜の掃きよす春落葉 | かえる |
2024年4月13日 | |
古庭の高きより落つ藪椿 | あひる |
春秋や並ぶさくらと楠紅葉 | えいいち |
せせらきに触れなんとすや枝桜 | 隆松 |
大池を眼下にくだる花の坂 | せいじ |
花筵へ下ろされ犬の胴震ひ | なつき |
句談義の四阿にいま若葉風 | あひる |
瞬かぬ鹿の遠目や花吹雪 | よう子 |
池鏡蜃気楼めく花の影 | みのる |
しやぼん玉否国宝の水晶玉 | うつぎ |
若桜駈け登りたり三笠山 | ぽんこ |
花菜畑苑の一隅明るうす | 澄子 |
甘茶仏御手の小さきに雨細く | たか子 |
焦点は山門先へ花の道 | 隆松 |
生垣をクッションにして椿落つ | 康子 |
てうてうにどこまでついてゆく子かな | えいじ |
内濠の碧き止水に花の影 | せいじ |
春燈や阿修羅の影す後ろ壁 | うつぎ |
初音いま目つむりて聞く岨の道 | せいじ |
紅の円陣となる落椿 | 澄子 |
早暁の山門の花ひらひらり | かかし |
亀どちや餌待ち顔の春の川 | えいじ |
フェスうららからくり太鼓時を打つ | せいじ |
雨晴れて畑の遠近土竜塚 | 澄子 |
古刹から望む霞に竹生島 | 隆松 |
銀輪を押して歩きぬ花の道 | かえる |
大葉に乗る独りぼっちのかたつむり | ぽんこ |
ぬれ縁の着物姿や春灯 | こすもす |
天蓋に飛天の舞やうららけし | もとこ |
ジョガーゆく堀川端の初音かな | えいじ |
隣り合ひお国はどちら花の下 | よう子 |
広庭は落花畳や療養所 | むべ |
春泥にまみれし鹿の澄まし顔 | たか子 |
照れば濃く翳れば淡き桜かな | 澄子 |
春の燭憂いを含む阿修羅像 | ぽんこ |
水揚げのめかぶ切り分く朝市女 | なつき |
早暁のサッカー少年青き踏む | かかし |
目に涼しオープンガーデン花手水 | みのる |
眉根寄す阿修羅の苦悩春憂う | たか子 |
春陰や菩薩足指反らしける | もとこ |
大寺に意外に小ぶり花御堂 | はく子 |
花李あち見こち見に咲き満ちぬ | かえる |
春塵に十二神将身をよじり | もとこ |
色々な民族衣装春の古都 | こすもす |
犬膝におしゃべり続く花の昼 | なつき |
春愁や眉動きそふ阿修羅像 | よう子 |
分け入りし小暗き森に著莪真白 | かえる |
公園は花見テントの展示会 | えいいち |
苔庭の花と見紛ふ黄蝶かな | うつぎ |
茅葺きの山の茶室の春燈 | あひる |
日矢射して桜吹雪のきらめけり | あひる |
青空に雨だれめきし花しぶき | えいじ |
囀りの輪唱やまぬ森の朝 | 康子 |
花の雲三笠山を指呼の四阿に | はく子 |
青空をキャンバスにして花万朶 | 康子 |
おにぎりをほおばる背なに花吹雪 | こすもす |
若楓瑞々しき日落しけり | みのる |
山門の花から花へ鳥語聴く | かかし |
花添はせ枝張る松の男ぶり | うつぎ |
弔ひを幾度見送り花万朶 | 澄子 |
つぎつぎと落花留まる瓢箪池 | あひる |
花の雲大池三百六十度 | みのる |
春愁か悩み多そう阿修羅像 | こすもす |
草臥れた脚をさするや山笑ふ | ぽんこ |
帯なすは草原に群る韮の花 | 康子 |
天上天下読経の続く仏生会 | はく子 |
花満る小鳥飛び交う雲の下 | えいいち |
チップイン仰ぐ春空鳶の円 | えいじ |
花下に笑む患者とナースはいポーズ | 康子 |
華やぐや落つる椿の開く土 | えいいち |
歩けども歩けどもまだ花の道 | むべ |
人出絶へ木々に耳当て桜守 | かかし |
春時雨阿修羅の深き憂い浸む | たか子 |
たもとほる病舎の庭にリラの花 | むべ |
春陰の蛇を踏みたるマリア像 | むべ |
外つ国の人らに古都の花吹雪 | うつぎ |
赴任せし先生自撮り花の門 | かかし |
満開の花又花の車窓かな | はく子 |
初孫は双子や友の花まつり | よう子 |
紅白帽駆けるグランド花吹雪 | こすもす |
広芝に刺繍のごとく花すみれ | かえる |
花陰に生ふは地獄の釜の蓋 | せいじ |
潮騒に草笛低く吹き継げり | なつき |
大玻璃に一望苑の花の雲 | むべ |
春寒し千手観音そそり立つ | もとこ |
天蓋の花を潜りてバス徐行 | かえる |
桜散る古色の塔へ散華とも | はく子 |
紅白と桜繚乱古刹坂 | 隆松 |
太刀のごと反る石垣や花の城 | みのる |
持ち帰る甘茶や夫の仏生会 | よう子 |
また一歩吾に歩み来る残る鴨 | えいいち |
桜散る堂縁に寝る異国人 | たか子 |
家苞に柿の葉寿司や春憩ふ | ぽんこ |
花筵の犬が抱つこの犬に吠ゆ | なつき |
四阿に馳走は風と囀りと | もとこ |
2024年3月16日 | |
足長の花瓶にすくと鬱金香 | かえる |
見る影無く墓場の守の枯芭蕉 | ぽんこ |
波返堤の砂泥にかほる水仙花 | えいじ |
銃眼を貫く春の光かな | みのる |
針の芽を鞘に隠して枯芭蕉 | せいじ |
花堤どの木も撮る人撮らる人 | うつぎ |
鞄当て餅花一つ飛ばしけり | なつき |
慰霊碑は武揚の書や花万朶 | せいじ |
湧き水の微温はぐくむ蝌蚪の紐 | むべ |
弁当売り土堤の桜を知り尽くす | よう子 |
陽の射せばひときは著き花の影 | あひる |
福寿草わづかに開く晴れ曇り | むべ |
春草に雁字搦めや犬の糞 | えいじ |
幾たびも堰落つる川風光る | 康子 |
花下に立つ白きドレスとカメラマン | あひる |
花の寺鳥羽や戦の石碑守る | よう子 |
河津桜鳥も潜れぬ万朶かな | うつぎ |
梅散るや花のかたちの萼残し | むべ |
目を凝らす朽ち葉のあはひ節分草 | 澄子 |
城跡の読めぬ看板花の下 | よう子 |
水澱む瞳凝らせば蝌蚪の紐 | かえる |
躓きて見渡す限り竹の秋 | ぽんこ |
ママ友がバギー連ねて花堤 | せいじ |
遊歩道行くを遮る花の枝 | ぽんこ |
淀駅や花見の客に飲み込まれ | よう子 |
哺乳瓶こくこく吸ふて花の下 | あひる |
河津桜紅の帳を張るごとく | うつぎ |
春旅や気分は気比の翁像 | 隆松 |
簪のごとく揺るるや花馬酔木 | むべ |
七段の階段箪笥雛飾る | なつき |
みどり児も花の宴のミルクかな | あひる |
あけび芽のまきついてゐるゑくぼ花 | えいじ |
水の上をたたら走りし鴨飛翔 | みのる |
百相の瘤の榎の芽吹きけり | 澄子 |
駅名板残す廃線燕来る | なつき |
激つ瀬の回るあぶくに春日燦 | 康子 |
熊笹にかさりと椿の落つる音 | かえる |
山茱萸の芽吹き初めたる淀堤 | はく子 |
久しぶり句友と花見楽しめり | はく子 |
菰巻を解かれ松肌艶めきぬ | 澄子 |
川べりに花の釈迦堂小さき仏 | ぽんこ |
春風や帽子飛びゆく鳥居下 | 隆松 |
さざ波の春光綺羅の星を揉む | みのる |
古刹には松の根方に福寿草 | わかば |
椿落ちてでんぐり返るなぞへかな | みのる |
春月や砂持つ遊行像の上 | 隆松 |
匂ひして鼻であなぐる花馬酔木 | かえる |
春の泥掻き分けてゐる烏鯉 | かえる |
春泥に敷く藁筵やわきかな | 康子 |
湧水の砂に潜める蝌蚪の紐 | 康子 |
はらからと睦ぶ行厨花の下 | わかば |
河津桜見事に開き香の高く | わかば |
顔白く塗りし地蔵や涅槃寺 | せいじ |
芭蕉句碑巡る敦賀や春日和 | 隆松 |
ソーラーパネル光る町並み山笑ふ | なつき |
啓蟄の道を舗装の作業班 | えいじ |
淀城址河津桜の紅の濃き | はく子 |
黄色の足許明かし福寿草 | ぽんこ |
松毬転がるままに芝青む | 澄子 |
破蓮よどみし濠の淀城址 | はく子 |
淀水路河津桜のまだ散らず | よう子 |
宵待てる紙燭の白や雛調度 | むべ |
竹林の奥の闇より囀れり | せいじ |
花の淀俯瞰せんとて城山へ | うつぎ |
見下ろして翳して淀の花堤 | うつぎ |
廃線のホームのベンチ初蝶来 | なつき |
春日射し水底現るる鯉の影 | 康子 |
雨の日に独り占めなる大春野 | えいじ |
家族連れ犬連れそぞろ花の道 | はく子 |
落椿日翳りてより鬱つのる | みのる |
河津桜訪ひて戊辰の歴史知る | わかば |
ふらここにひと休みする散歩道 | あひる |
咲き満ちて水に枝垂るる桜かな | わかば |
蝌蚪の紐生かす五寸の深さかな | 澄子 |
2024年2月17日 | |
冴返る音なく止まる救急車 | よう子 |
春暁にドクターヘリの影帰る | 素秀 |
春浅しアラビア文字の絵馬あらた | 澄子 |
乱れ飛ぶ礫の如き福の豆 | 澄子 |
御屋敷街「猪がでます」と其処此処に | うつぎ |
法螺貝の響く参道節分会 | 康子 |
梅林の花の雲より時計塔 | あひる |
粛粛と御練り行列節分会 | 澄子 |
蒼天に福豆描く放物線 | むべ |
金泥の贅をつくせし涅槃会図 | みのる |
節分会乙女太鼓に華やぎぬ | 澄子 |
線香の烟に日矢さす寺四温 | 康子 |
薄みどり帯びたる萼に梅白し | むべ |
節分の法螺貝天に響もせり | むべ |
老木を春の啄木鳥起こしけり | むべ |
若僧の蒼き剃り跡春日射す | かえる |
泥濘にワジめく軌跡池涸るる | せいじ |
日の注ぐ句碑を巡りて寺は春 | 康子 |
燃ゆる緋や鹿児島紅梅園を統ぶ | うつぎ |
踏むまいぞ見晴台の春の泥 | うつぎ |
白梅の香る清しさいとほしむ | わかば |
母支え見し頃思ふ濃紅梅 | たか子 |
梅の花香に寄り添ひて巡りけり | わかば |
谷戸晴れや宅地脇でもこごみ採る | 隆松 |
凍返る知恵百度石撫でもせず | うつぎ |
梅の苑思ひの彩と香を放つ | わかば |
紅梅の色いやまさる勢かな | わかば |
連弾のお琴の音色梅見茶屋 | かかし |
僧侶らのお練り美々しく春日向 | かえる |
畑を打つ尻また返す鳥に鳥 | 隆松 |
踏み石に梅の薄影苔むして | ぽんこ |
走り根の隙間に芽吹く生命かな | かえる |
海豹の髭さながらに梅の蕊 | せいじ |
園丁の泥掻き出して蓮を植う | せいじ |
葉牡丹のパッチワークや花時計 | せいじ |
梅の丘振り返る目に茅渟の海 | たか子 |
お手植の樹齢百年梅三分 | かかし |
やせ細る盆梅の幹咲き満つる | なつき |
鐘の音が前口上や年男 | むべ |
看護師の開くカーテン春立ちぬ | 素秀 |
茅渟の海見んと春泥跨ぎけり | よう子 |
薄氷を踏みて登校列乱る | かかし |
病窓を画角に山の笑ひたる | 素秀 |
読経僧寝釈迦醒めよ鐘たたく | みのる |
シルバーの歩数競ふや梅日和 | よう子 |
金色の九輪見下ろす梅の丘 | みのる |
春菜に他県車止まる峠道 | 隆松 |
待ち合はせ梅が香通ふ山門に | 康子 |
畑返す土黒々し谷戸の晴 | 隆松 |
灘霞コンビナートの煙飲む | うつぎ |
安寧の面輪に涅槃したまへり | みのる |
梅苑のピエロの曲技一輪車 | かかし |
女どち犬を小脇に梅の坂 | なつき |
梅ふふむ撫で牛の背に日の温み | なつき |
水仙が広場の顔や物見台 | ぽんこ |
囀りや水車の廻る蕎麦処 | 澄子 |
下校子の道草靴に春の泥 | よう子 |
梅愉し開花に遅速あればこそ | たか子 |
鰐口を叩けば余韻涅槃寺 | たか子 |
舞ふ豆に挙ぐる千手や節分会 | 康子 |
早春の駅中ピアノわらべ歌 | かかし |
四阿の座布団梅見指定席 | よう子 |
小春の日宝探しの句碑巡り | かえる |
白梅やしぶきのごとく枝垂れ落つ | あひる |
梅園の裏山に湧く雲白し | あひる |