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2024年4月13日

古庭の高きより落つ藪椿 あひる
春秋や並ぶさくらと楠紅葉 えいいち
せせらきに触れなんとすや枝桜 隆松
大池を眼下にくだる花の坂 せいじ
花筵へ下ろされ犬の胴震ひ なつき
句談義の四阿にいま若葉風 あひる
瞬かぬ鹿の遠目や花吹雪 よう子
池鏡蜃気楼めく花の影 みのる
しやぼん玉否国宝の水晶玉 うつぎ
若桜駈け登りたり三笠山 ぽんこ
花菜畑苑の一隅明るうす 澄子
甘茶仏御手の小さきに雨細く たか子
焦点は山門先へ花の道 隆松
生垣をクッションにして椿落つ 康子
てうてうにどこまでついてゆく子かな えいじ
内濠の碧き止水に花の影 せいじ
春燈や阿修羅の影す後ろ壁 うつぎ
初音いま目つむりて聞く岨の道 せいじ
紅の円陣となる落椿 澄子
早暁の山門の花ひらひらり かかし
亀どちや餌待ち顔の春の川 えいじ
フェスうららからくり太鼓時を打つ せいじ
雨晴れて畑の遠近土竜塚 澄子
古刹から望む霞に竹生島 隆松
銀輪を押して歩きぬ花の道 かえる
大葉に乗る独りぼっちのかたつむり ぽんこ
ぬれ縁の着物姿や春灯 こすもす
天蓋に飛天の舞やうららけし もとこ
ジョガーゆく堀川端の初音かな えいじ
隣り合ひお国はどちら花の下 よう子
広庭は落花畳や療養所 むべ
春泥にまみれし鹿の澄まし顔 たか子
照れば濃く翳れば淡き桜かな 澄子
春の燭憂いを含む阿修羅像 ぽんこ
水揚げのめかぶ切り分く朝市女 なつき
早暁のサッカー少年青き踏む かかし
目に涼しオープンガーデン花手水 みのる
眉根寄す阿修羅の苦悩春憂う たか子
春陰や菩薩足指反らしける もとこ
大寺に意外に小ぶり花御堂 はく子
花李あち見こち見に咲き満ちぬ かえる
春塵に十二神将身をよじり もとこ
色々な民族衣装春の古都 こすもす
犬膝におしゃべり続く花の昼 なつき
春愁や眉動きそふ阿修羅像 よう子
分け入りし小暗き森に著莪真白 かえる
公園は花見テントの展示会 えいいち
苔庭の花と見紛ふ黄蝶かな うつぎ
茅葺きの山の茶室の春燈 あひる
日矢射して桜吹雪のきらめけり あひる
青空に雨だれめきし花しぶき えいじ
囀りの輪唱やまぬ森の朝 康子
花の雲三笠山を指呼の四阿に はく子
青空をキャンバスにして花万朶 康子
おにぎりをほおばる背なに花吹雪 こすもす
若楓瑞々しき日落しけり みのる
山門の花から花へ鳥語聴く かかし
花添はせ枝張る松の男ぶり うつぎ
弔ひを幾度見送り花万朶 澄子
つぎつぎと落花留まる瓢箪池 あひる
花の雲大池三百六十度 みのる
春愁か悩み多そう阿修羅像 こすもす
草臥れた脚をさするや山笑ふ ぽんこ
帯なすは草原に群る韮の花 康子
天上天下読経の続く仏生会 はく子
花満る小鳥飛び交う雲の下 えいいち
チップイン仰ぐ春空鳶の円 えいじ
花下に笑む患者とナースはいポーズ 康子
華やぐや落つる椿の開く土 えいいち
歩けども歩けどもまだ花の道 むべ
人出絶へ木々に耳当て桜守 かかし
春時雨阿修羅の深き憂い浸む たか子
たもとほる病舎の庭にリラの花 むべ
春陰の蛇を踏みたるマリア像 むべ
外つ国の人らに古都の花吹雪 うつぎ
赴任せし先生自撮り花の門 かかし
満開の花又花の車窓かな はく子
初孫は双子や友の花まつり よう子
紅白帽駆けるグランド花吹雪 こすもす
広芝に刺繍のごとく花すみれ かえる
花陰に生ふは地獄の釜の蓋 せいじ
潮騒に草笛低く吹き継げり なつき
大玻璃に一望苑の花の雲 むべ
春寒し千手観音そそり立つ もとこ
天蓋の花を潜りてバス徐行 かえる
桜散る古色の塔へ散華とも はく子
紅白と桜繚乱古刹坂 隆松
太刀のごと反る石垣や花の城 みのる
持ち帰る甘茶や夫の仏生会 よう子
また一歩吾に歩み来る残る鴨 えいいち
桜散る堂縁に寝る異国人 たか子
家苞に柿の葉寿司や春憩ふ ぽんこ
花筵の犬が抱つこの犬に吠ゆ なつき
四阿に馳走は風と囀りと もとこ

2024年3月16日

足長の花瓶にすくと鬱金香 かえる
見る影無く墓場の守の枯芭蕉 ぽんこ
波返堤の砂泥にかほる水仙花 えいじ
銃眼を貫く春の光かな みのる
針の芽を鞘に隠して枯芭蕉 せいじ
花堤どの木も撮る人撮らる人 うつぎ
鞄当て餅花一つ飛ばしけり なつき
慰霊碑は武揚の書や花万朶 せいじ
湧き水の微温はぐくむ蝌蚪の紐 むべ
弁当売り土堤の桜を知り尽くす よう子
陽の射せばひときは著き花の影 あひる
福寿草わづかに開く晴れ曇り むべ
春草に雁字搦めや犬の糞 えいじ
幾たびも堰落つる川風光る 康子
花下に立つ白きドレスとカメラマン あひる
花の寺鳥羽や戦の石碑守る よう子
河津桜鳥も潜れぬ万朶かな うつぎ
梅散るや花のかたちの萼残し むべ
目を凝らす朽ち葉のあはひ節分草 澄子
城跡の読めぬ看板花の下 よう子
水澱む瞳凝らせば蝌蚪の紐 かえる
躓きて見渡す限り竹の秋 ぽんこ
ママ友がバギー連ねて花堤 せいじ
遊歩道行くを遮る花の枝 ぽんこ
淀駅や花見の客に飲み込まれ よう子
哺乳瓶こくこく吸ふて花の下 あひる
河津桜紅の帳を張るごとく うつぎ
春旅や気分は気比の翁像 隆松
簪のごとく揺るるや花馬酔木 むべ
七段の階段箪笥雛飾る なつき
みどり児も花の宴のミルクかな あひる
あけび芽のまきついてゐるゑくぼ花 えいじ
水の上をたたら走りし鴨飛翔 みのる
百相の瘤の榎の芽吹きけり 澄子
駅名板残す廃線燕来る なつき
激つ瀬の回るあぶくに春日燦 康子
熊笹にかさりと椿の落つる音 かえる
山茱萸の芽吹き初めたる淀堤 はく子
久しぶり句友と花見楽しめり はく子
菰巻を解かれ松肌艶めきぬ 澄子
川べりに花の釈迦堂小さき仏 ぽんこ
春風や帽子飛びゆく鳥居下 隆松
さざ波の春光綺羅の星を揉む みのる
古刹には松の根方に福寿草 わかば
椿落ちてでんぐり返るなぞへかな みのる
春月や砂持つ遊行像の上 隆松
匂ひして鼻であなぐる花馬酔木 かえる
春の泥掻き分けてゐる烏鯉 かえる
春泥に敷く藁筵やわきかな 康子
湧水の砂に潜める蝌蚪の紐 康子
はらからと睦ぶ行厨花の下 わかば
河津桜見事に開き香の高く わかば
顔白く塗りし地蔵や涅槃寺 せいじ
芭蕉句碑巡る敦賀や春日和 隆松
ソーラーパネル光る町並み山笑ふ なつき
啓蟄の道を舗装の作業班 えいじ
淀城址河津桜の紅の濃き はく子
黄色の足許明かし福寿草 ぽんこ
松毬転がるままに芝青む 澄子
破蓮よどみし濠の淀城址 はく子
淀水路河津桜のまだ散らず よう子
宵待てる紙燭の白や雛調度 むべ
竹林の奥の闇より囀れり せいじ
花の淀俯瞰せんとて城山へ うつぎ
見下ろして翳して淀の花堤 うつぎ
廃線のホームのベンチ初蝶来 なつき
春日射し水底現るる鯉の影 康子
雨の日に独り占めなる大春野 えいじ
家族連れ犬連れそぞろ花の道 はく子
落椿日翳りてより鬱つのる みのる
河津桜訪ひて戊辰の歴史知る わかば
ふらここにひと休みする散歩道 あひる
咲き満ちて水に枝垂るる桜かな わかば
蝌蚪の紐生かす五寸の深さかな 澄子

2024年2月17日

冴返る音なく止まる救急車 よう子
春暁にドクターヘリの影帰る 素秀
春浅しアラビア文字の絵馬あらた 澄子
乱れ飛ぶ礫の如き福の豆 澄子
御屋敷街「猪がでます」と其処此処に うつぎ
法螺貝の響く参道節分会 康子
梅林の花の雲より時計塔 あひる
粛粛と御練り行列節分会 澄子
蒼天に福豆描く放物線 むべ
金泥の贅をつくせし涅槃会図 みのる
節分会乙女太鼓に華やぎぬ 澄子
線香の烟に日矢さす寺四温 康子
薄みどり帯びたる萼に梅白し むべ
節分の法螺貝天に響もせり むべ
老木を春の啄木鳥起こしけり むべ
若僧の蒼き剃り跡春日射す かえる
泥濘にワジめく軌跡池涸るる せいじ
日の注ぐ句碑を巡りて寺は春 康子
燃ゆる緋や鹿児島紅梅園を統ぶ うつぎ
踏むまいぞ見晴台の春の泥 うつぎ
白梅の香る清しさいとほしむ わかば
母支え見し頃思ふ濃紅梅 たか子
梅の花香に寄り添ひて巡りけり わかば
谷戸晴れや宅地脇でもこごみ採る 隆松
凍返る知恵百度石撫でもせず うつぎ
梅の苑思ひの彩と香を放つ わかば
紅梅の色いやまさる勢かな わかば
連弾のお琴の音色梅見茶屋 かかし
僧侶らのお練り美々しく春日向 かえる
畑を打つ尻また返す鳥に鳥 隆松
踏み石に梅の薄影苔むして ぽんこ
走り根の隙間に芽吹く生命かな かえる
海豹の髭さながらに梅の蕊 せいじ
園丁の泥掻き出して蓮を植う せいじ
葉牡丹のパッチワークや花時計 せいじ
梅の丘振り返る目に茅渟の海 たか子
お手植の樹齢百年梅三分 かかし
やせ細る盆梅の幹咲き満つる なつき
鐘の音が前口上や年男 むべ
看護師の開くカーテン春立ちぬ 素秀
茅渟の海見んと春泥跨ぎけり よう子
薄氷を踏みて登校列乱る かかし
病窓を画角に山の笑ひたる 素秀
読経僧寝釈迦醒めよ鐘たたく みのる
シルバーの歩数競ふや梅日和 よう子
金色の九輪見下ろす梅の丘 みのる
春菜に他県車止まる峠道 隆松
待ち合はせ梅が香通ふ山門に 康子
畑返す土黒々し谷戸の晴 隆松
灘霞コンビナートの煙飲む うつぎ
安寧の面輪に涅槃したまへり みのる
梅苑のピエロの曲技一輪車 かかし
女どち犬を小脇に梅の坂 なつき
梅ふふむ撫で牛の背に日の温み なつき
水仙が広場の顔や物見台 ぽんこ
囀りや水車の廻る蕎麦処 澄子
下校子の道草靴に春の泥 よう子
梅愉し開花に遅速あればこそ たか子
鰐口を叩けば余韻涅槃寺 たか子
舞ふ豆に挙ぐる千手や節分会 康子
早春の駅中ピアノわらべ歌 かかし
四阿の座布団梅見指定席 よう子
小春の日宝探しの句碑巡り かえる
白梅やしぶきのごとく枝垂れ落つ あひる
梅園の裏山に湧く雲白し あひる
結界に飛び石もどる探梅行 なつき
きざはしの途に早散る梅の丘 ぽんこ
高台の春泥しるき町全貌 ぽんこ
春愁や並び聞こゆる心電音 素秀
たたなわる梅の花背にポーズとる ぽんこ
びんずるのお顔滑らか暖けし かえる
センサーで流るる手水春ひかり あひる
点滴のラインもつれる建国日 素秀
梅日和子と浮かべたる水みくじ なつき
池涸るる鷺よく歩く泥の中 せいじ
ぬかるみを物ともせずに探梅す たか子
つぶつぶに数珠なし蕾む枝垂梅 みのる
四阿の暗きに添へる淡き梅 わかば
梅東風やうち並びたる杓文字絵馬 あひる

2024年1月13日

寺田屋のお登勢祀りて幣小春 たか子
ガス灯の烟る居留地枯木道 わかば
新成人乗せて俥夫往くけふ佳日 かえる
山茶花の白刀痕の池田屋に あひる
石垣に彩を添へたる万両かな ぽんこ
口づけのごとく寒紅酒を利く みのる
福藁へ踏み入り訪ぬ古屋敷 かえる
寺田屋の門の一歩に白椿 うつぎ
古民家の艶めく床に冬日射し 康子
冬晴や湯屋の煙突残る街 うつぎ
鞠のごと跳ねて日向へ寒雀 かえる
寒禽の朝のお喋り樟大樹 ぽんこ
武蔵野の空の広さや凧揚がる むべ
来る年も荒れ放題の芭蕉墓碑 ぽんこ
乗初や明石海峡晴れてをり わかば
水郷の水の揺らぎや小六月 たか子
方丈に庇の影の白障子 ぽんこ
コウコウと声の聞こゆる白鳥沼 隆松
撫でて身に入む寺田屋の刀傷 みのる
冬の海荒れて埠頭を越ゆる波 わかば
増へてゆく水子地蔵や菊の供華 ぽんこ
寒禽のこぼるる声や城の森 わかば
絶対と絵馬に念押す初詣 なつき
俯きて神話のごとく水仙花 素秀
まぼろしの初湯のひかり子宝湯 澄子
石灯籠遠き昭和の冬館 澄子
手袋脱ぐ下戸は利酒なめて酔ふ よう子
青き幌被り春待つ屋形船 せいじ
参観券は土佐の銀札館ぬくし うつぎ
大煙突登りたくなる春の空 あひる
手套とり名有る弾痕ふれてみる あひる
縄のれん紙の門松路地の奥 よう子
花八つ手ガッツポーズの絵馬掛所 なつき
ひこばえに命を託す古木の根 よう子
凧揚げや父と子の声張り上げて 康子
疎水行く歩は緩慢に四温晴 せいじ
悴みし両手に軽し抱き地蔵 なつき
硝子戸の片隅にみゆ万年青の実 澄子
睥睨の鷹鉤爪に良き獲物 素秀
花のごと春着揺られて人力車 澄子
甘口の出来は上々酒を利く せいじ
洋蘭の数多の供花や弁財天 うつぎ
吹初の尺八に置く朱唇かな むべ
羽子つきの乾きし音や空まさを むべ
白鳥や朝日を撥ぬる首の長 隆松
寒風や湖の鳥居へ縮れ波 隆松
水郷に刎ねる日差しや柳の芽 みのる
甑布干す酒造場冬日燦 せいじ
蒼天の点となりゆく凧 康子
伊達門の高みへ寒禽集ひをり かえる
人の絵馬読んで応援する三日 なつき
乗換は次の駅よと冬帽子 よう子
初詣湖の鳥居を背にしたり 隆松
讃美歌を爪弾く箏や明の春 むべ
おはじきのごと日溜まりへ寒雀 みのる
雲一つなき初空へ避雷針 せいじ
庭雀冬日失せればゐずなんぬ みのる
新地湯は令和の今も冬ぬくし うつぎ
酒蔵を映す運河に春浅し あひる
弾痕に触るれば深し寒柱 たか子
太格子酒蔵通り冬温し よう子
恋人の並んで結へり初みくじ なつき
茅が軒縁に冬日の深きかな かえる
風掴み凜々と征く凧 澄子
息白し俥夫の逞し足捌き 康子
新春の琴の音響く路地親し 康子
霜立ちの棚田は縞のモノクローム 素秀
冬耕の棚田を跨ぐ送電線 素秀
初東風や白き俥の字の背ナ過ぐる むべ
喉あつくなりし試飲や寒造り あひる
水鳥の群れて飛来や城の濠 わかば
きき酒の試飲やはらか蔵の冬 たか子
係留の小舟へシート春を待つ たか子
黒ぼこを吐き冬帽のトラクター 素秀

2023年12月16日

雪吊の波打つてをる水鏡 かえる
待ち合わせショール細身にまとふ友 小袖
天鵞絨の苔の池塘へ紅葉散る みのる
紅葉散る御寺の庭の静寂かな うつぎ
急坂の途中に暖簾もみじ宿 あひる
団栗の象嵌めきて石だたみ むべ
オリオンもスイングしたる野外フェス 素秀
散り敷くは紅葉黄葉の石畳 わかば
四阿へ誘ふ階石蕗明かり 澄子
蒼穹や紅葉黄葉へ日の光 わかば
苔貰ひ紅葉を貰ひ石仏 うつぎ
冬日差す和室欄間の彩硝子 うつぎ
お大師の手に触れなんと紅葉散る みのる
橋上の底ひに見ゆる渓紅葉 ぽんこ
星に似て翠のクリスマスローズ 素秀
箒目の法の砂庭や紅葉狩り ぽんこ
赫ばかりあふれ出窓のポインセチア 素秀
人影の疎らな古刹庭紅葉 こすもす
ゆったりと続く句談議枯れ木宿 あひる
新米タクシー上り下るや紅葉坂 よう子
堆く褥めきたる散り紅葉 あひる
苔庭に網目をなせる枯木影 康子
止め石の奥もみづれる御座所庭 小袖
武蔵野の今や盛りと冬紅葉 澄子
前菜の小さなうつわ冬の膳 たか子
寒鴉御寺のしじま深く鳴く 小袖
庭至福もみぢ且つ散る静けさに みのる
遣水の堰となりたる散紅葉 むべ
石庭のさざ波に散る紅葉かな あひる
陽だまりに黄を濃ゆくする石蕗の花 かえる
山を背に紅葉の錦多宝塔 ぽんこ
まず土産千枚漬けを句帳下 よう子
湧水の岩場を綴る石蕗の花 康子
松の樹間赤く染めたる庭紅葉 康子
冬の日に光る御寺の甍かな せいじ
京野菜趣向の献立年忘れ たか子
幾重にも空へと続く照紅葉 康子
薄暗き御座所の庭の照り紅葉 よう子
紅葉宿歪む玻璃戸の奥座敷 よう子
電飾を一身に古コートの子 素秀
紅葉かつ散りて静けき池塘かな みのる
水涸るに湖分かれたり道の出来 隆松
ひとつだけ花を残して萩枯るる かえる
冬もみぢ句帳取り出し皆寡黙 もとこ
冬山を背に皇室の御てらとや たか子
たもとほる京の札所に散紅葉 小袖
日当たりて綺羅なす紅葉美しく わかば
散り紅葉苔庭石庭隔てなく うつぎ
御寺てふ名に負ふ庭の散紅葉 せいじ
湖涸れて漁は出来ぬと長嘆息 隆松
水涸れて御座所庭園侘び深し たか子
持ち帰り遺影にそっと冬紅葉 たか子
霧の古都改札口に友二人 こすもす
絨毯の御座所の廊下足沈む うつぎ
カメラ持つ人ら列なし冬紅葉 澄子
居並びて紅葉に染まる吟行子 あひる
暖炉の火揺れてサルサを踊るやう 素秀
日に透けて濃淡彩なす冬紅葉 澄子
青銅の蹲に錆冬ざるる もとこ
息継ぎをしては又ちる渓紅葉 みのる
愉しさも寂しさもあり忘年会 わかば
散り紅葉玉座見渡す御寺かな もとこ
小春日や玉座に光る菊の御紋 ぽんこ
照葉より崖をのぞけば水湛ふ むべ
雪吊と碧天映す池面かな むべ
四温晴れ賜り嬉嬉と吟行子 澄子
ぼけ封じ要らぬと地蔵日向ぼこ もとこ
ぬくぬくとみてらの縁に冬日満つ もとこ
冬の池動き留むる朱の魚 かえる
スムーズなタクシー乗り場冬の古都 こすもす
横並びのメンバー写真紅葉寺 こすもす
複雑に紅葉重なる奈落かな こすもす
脚長の白鬚鳥居湖涸るる 隆松
会席に句友の揃ふ紅葉宿 ぽんこ
湖涸るや島へ繋がる道をゆく 隆松
一点の朱や山茶花の咲き初むる かえる
朱の欄に色を散らすや散紅葉 よう子
柴垣の囲む茶寮や紅葉燃ゆ わかば
おばしまに途中下車する散紅葉 せいじ
枯葎包みこみたる朝日影 むべ
庭門をくぐり歓声照紅葉 康子
納会はそば茶寮なる枯木宿 せいじ
満目の御座所庭園散紅葉 せいじ
石仏の頬ゆるむかに冬日影 小袖

2023年11月11日

ひめ椿紅のぞかせて蕾むなり わかば
松風に秋日和らぐ稚魚の影 ぽんこ
インテリも惚れる餃子に湯気の立つ かえる
冬晴れやハルカス浪速の摩天楼 たか子
池塘行く簪眩し七五三 うつぎ
短日や隧道めきし屋敷林 澄子
黄の葉かと見紛うばかり鴨の足 かえる
大海に見立てし池を小春風 たか子
枯蓮の池に早くも子葉あり せいじ
櫨紅葉囲む奇岩の無骨かな 素秀
立ち飲みて老も若きも濁り酒 澄子
葉は落ちて木々からのぞく藁の屋根 隆松
冬ざれや烏の叫ぶ杜の上 隆松
遠空のハルカス聳ゆ秋の苑 もとこ
湧水に揺るる紅葉や手水鉢 康子
秋の園飛石めぐる沢渡り ぽんこ
あるなしの風に木の葉の散り急ぐ わかば
澄む風のかわらけ空に留めけり 素秀
色変へぬ松が水面に池鏡 ぽんこ
天地を青白くせり雪蛍 むべ
懸崖の菊は散華の形せり なつき
行く秋や六文銭の戦さ跡 もとこ
すぐそつぽ向かれて園の毒茸 うつぎ
いななきの如く荒ぶる男鴨 かえる
枯山水借景の山粧へり 康子
北の地に惜しみなく散る大銀杏 むべ
天高し夫婦神木寄り添ひて 康子
菊人形胸の小菊の咲き初むる なつき
秋遊び証拠写真に勢揃い あひる
手招かれ椎の実拾ふ吟行子 よう子
鯉の口舞散る落葉受けとめし 小袖
賑わいを遠くにそぞろ枯山水 たか子
そぞろ行く古墳公園冬日和 小袖
舟形の石へ小春の日差し燦 たか子
紅葉を倣ひ錆ゆく鉄アート 素秀
天高し太鼓は空に共鳴す もとこ
冬晴れの陣跡円く開けをり 小袖
借景は通天閣と秋の雲 あひる
刀鍛冶の白足袋煤く鞴祭 なつき
文化の日美術館は改装中 よう子
壁占めて冬朝顔の瑠璃の彩 澄子
落葉積み道祖神座す村の口 隆松
鳰夕日を弾く水輪かな 澄子
煙草吸ふ人を写して池澄める うつぎ
残照や石狩川に鷹渡る むべ
案山子展子らの力作みな笑顔 康子
ひたすらに落ち葉はく音リズム良し もとこ
青鷺の抜き足なれど餌に逃げられ ぽんこ
名ばかりの霜月や未だ夏の花 かえる
相槌の音の弾めり鞴祭 なつき
椎の実を両手に盛りて呉るる人 せいじ
鳥糞にまみるるもなほ茶の花雅 せいじ
日矢さして照る玉垣の蔦紅葉 康子
谷戸晴れて今のうちにと雪囲い 隆松
奉納の菊はハートの支柱立て なつき
庭園の椎の実集む人に寄る わかば
牧柵を止まり木とせむ蝦夷仙入 むべ
庭園に祠と見しは冬の滝 小袖
友の手に縋る飛び石池小春 よう子
飛石は石臼なれや水澄める せいじ
白樺の黄葉明りに日のあそぶ むべ
海を背に臨む紅葉ロープウェイ 素秀
広池にひろごる水草枯れ進む わかば
天高し通天閣の六角形 よう子
四阿の机に櫨の実の小枝 せいじ
山の色消へて霧中の寒霞渓 素秀
涸れ井戸の蓋を彩る柿落葉 かえる
落葉積む舟形石の重さかな よう子
小春なる池に舟石浮かすごと わかば
枯れ園や姿よき松深みどり たか子
石蕗の茎うねり掲ぐる蕾かな あひる
振袖を照れて大股七五三 あひる
行く秋の幸村偲ぶ茶臼山 うつぎ
飛び石を渡る手助け冬ぬくし もとこ
子らの声夕暮れ惜しみ秋惜しむ 澄子
墳丘の木立を離れ冬桜 小袖
太公望否翡翠を待つ男 うつぎ
磊々の岩をぬぐいて秋の水 ぽんこ
四肢のばしお気楽な亀池小春 あひる

2023年10月14日

梧桐の実虫の卵と騒がるる うつぎ
沖に浮く島の形に秋灯 素秀
風に香や蕎麦はまだまだ花なれど 隆松
身に沁むや遺品の数多汀子展 わかば
酒蔵の天窓はるか秋の日矢 たか子
懐かしき師の句に目見ゆ秋の展 たか子
忠魂碑足下に遊ぶ猫じゃらし よう子
色変えぬ松を配してミュージアム たか子
館爽やか汀子手縫いといふドレス 小袖



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