みのる選:2022年度

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2022年12月1日(参加者 21名)

俳句作者
茶の花や利休自刃の供養塔かかし
凩やカリオンの音の遥かより豊実
凩に旅の地酒を酌む夜かなみづき
店先に茶の花咲かせ宇治の茶舗はく子
尼寺の垣根めぐらすお茶の花みづき
茶の花やここにも家があった筈うつぎ
凩や着地の鴉勇み足かかし
凩や夕日呑み込む河口かな素秀
凩や微動だにせぬ関門橋せいじ
山門を潜れば左右にお茶の花こすもす
凩や攫はれさうに稚児一人うつぎ
凩に鞭のやうなる柳の枝あひる
大寺へと続く茶の花垣の道はく子
凩に足場の揺れのただならずみづき
凩と回転ドアを潜りけり満天
茶の花や宇治十帖をめぐりては満天
凩や童話のごとく襟を詰め明日香
凩や路面電車の駅に佇つ豊実
木枯しの谷底を行く一両車うつぎ
木枯に泳ぐボールを打つテニスぽんこ
茶の花の谷戸に残れる昼の月宏虎

2022年11月1日(参加者 19名)

俳句作者
芋の葉を乱れ打ちして通り雨素秀
芋の葉に隠れて並ぶ無縁墓素秀
芋の葉のそよぐほとりに道祖神もとこ
尾ひれつく人の噂のうそ寒きもとこ
御祈祷の順待つまでのうそ寒し豊実
掴みたる箸より逃ぐる子芋かなぽんこ
理科室の人体模型うそ寒し豊実
文字薄れ読めぬ表札うそ寒し明日香
裏方に徹し皮むく芋煮会なつき
うそ寒や耕作放棄増え続け明日香
芋の葉の風をいなして相打たずせいじ
子ら去にて空らの寝室うそ寒しあひる
八つ頭迷ふ刃の入れどころみづき
あひまひにうつ相づちのうそ寒しはく子
うそ寒し間分にのこりし手鑿跡かかし
うそ寒し強権跋扈せる世界せいじ
うそ寒や不審メールの絶ゆるなし満天
落ちさうで落ちぬ雨粒芋広葉満天
子らたかり見て喝采や芋水車よう子
うそ寒や日暮の鐘の間遠よりわかば
うそ寒や動く歩道を駆ける人かかし
うそ寒し老いて身長縮むとは明日香
うそ寒し休耕田にブルドーザーよう子
芋の葉の雨滴ころころ七変化こすもす
うそ寒や真夜をつんざく救急車豊実
消えさうに瞬く星やうそ寒し智恵子
職引きて自産自消の芋煮汁なつき

2022年10月1日(参加者 20名)

俳句作者
澄む水の底石に日のとどきけり満天
水澄むや砂舞ひ上がる外れ銛隆松
神の島鎮めて湖水澄めりけりはく子
奈良町のいづこも柿のたわわなるみづき
目潰しの朝日をはねて水澄める豊実
一と品はお裾分けなる柿膾わかば
水澄むや老船頭の土地自慢たか子
社家町をめぐる神水澄めりけりもとこ
柿熟るる皇子落ち延びし峡深くうつぎ
青空に散りばめしごと山の柿あひる
行く雲を湖面に映し水澄めるわかば
洗ひ場の戸毎の水の澄みにけりはく子
夕映をはじく山家の柿簾かかし
古伊万里の鉢に山盛り柿サラダもとこ
山峡に煙一筋柿たわわうつぎ
生り放題落ち放題や山の柿うつぎ
過疎村に残る大家の木守柿ぽんこ
空の青引き寄せ水の澄みませり明日香
澄む川を遡りゆく流れ雲隆松
茜雲散らして湖の澄めりけり素秀
山麓の里の棚田の水澄める満天
澄む川の水草隠れに稚魚の群ぽんこ
澄む水にゆるり向き変ふ錦鯉豊実
川底の岩泰然と水澄める明日香
兄まねてぼくと言ふ女児柿をもぐよう子
柿たわわなる大和路を巡拝す宏虎
澄む水を一閃したる鳥の影素秀

2022年9月1日(参加者 21名)

俳句作者
波うちて通路掃きゐる風の萩こすもす
参拝の裳裾に触るる風の萩満天
萩こぼる表参道石畳はく子
終戦日不戦の誓ひな忘れそ明日香
グアム知らず祖父も知らずや終戦日あひる
写経いま萩咲く庭に目を休めみづき
心字池点描のごとこぼれ萩わかば
蹲も筧も萩の屑まみれうつぎ
紋幕の寺門潜れば萩の風せいじ
空木箱出しては祖母の終戦日もとこ
道しるべ隠さふ萩の花ざかり豊実
終戦日語る白寿の紙芝居かかし
ウォーキング足を延ばして萩の道隆松
終戦日知らぬといふ子インタビューよう子
結界を超えゆく風のこぼれ萩なつき
萩の枝神籤重しと垂れにけりぽんこ
幸せといふ老い母の終戦日せいじ
すいとんがグルメともなり終戦日もとこ
手に熱き夕刊届く終戦日みづき
昼餉の箸置きて黙祷終戦日こすもす
庭隅に吹き溜まりたる萩の塵うつぎ
足早の法衣の裾に萩縺れよう子
抱き寄せて抱き寄せてまた萩括るうつぎ
こぼれ萩瓶の目高に小突かるるうつぎ
戦争は地獄と洩らす終戦日智恵子
センターライン歩く鴉や終戦日なつき

2022年8月1日(参加者 21名)

俳句作者
古竈棚に大きな渋団扇たか子
盛夏でもダッシュ百段部活生かかし
状差しの上段団扇の定位置に素秀
透きし絵は五重の塔や奈良団扇こすもす
焼鳥の煤汚れせし渋団扇はく子
太陽の塔は真夏の雲背負ふよう子
寿司のシャリ煽ぐ年期の古団扇もとこ
幼な日の寝しなの祖母の団扇風ぽんこ
広島を思ふ真夏の空ま青わかば
鉄骨のビル組み上がる盛夏かな豊実
ジーンズのからりと乾く盛夏かな明日香
裾たくり帯に団扇や辻回しふさこ
入院のベッドに孫の手と団扇うつぎ
団扇の手止まると見れば鼾かなうつぎ
夏旺ん大泣きの子を持て余す満天
源氏名の団扇を壁に京割烹もとこ
夏盛ん掘り起こされし不発弾うつぎ
ネックレス肌に張りつく盛夏かななつき
北斎の怒涛の団扇よりの風あひる

2022年7月1日(参加者 19名)

俳句作者
黒南風に尖る明石の門波かな宏虎
羅漢様蟻登らせて笑まひけりはく子
大物の玉虫曳きて蟻の兵うつぎ
黒南風や昇龍めける磯馴松なつき
黒南風にたじろぎもせぬ鬼瓦はく子
蟻の列水一擲に乱れけり明日香
黒南風や鬱々として沖暗しわかば
蟻のぼる国宝楼門大柱よし子
黒南風や砲台跡のある浜辺わかば
餌の逃げて四分五裂す蟻の列せいじ
正体のわからぬ程に蟻たかる明日香
黒南風に軍艦島のゆるぎなしはく子
迷子めく動きや塀の上の蟻あひる
蟻の列関守石に関はらずはく子
手帚を逃れ蟻這ふ三和土かなよう子
黒南風や淀の川波尖らせてはく子
黒南風や不眠続きに呆けけりもとこ
廃線の鉄路を過ぎる蟻の道智恵子
蟻の列尽きて獲物を遠巻きにぽんこ
黒南風や岬の草の狂ほしく素秀
蟻の列軍靴の音思ひけりうつぎ
黒南風の町を馳せゆく救急車満天
黒南風やスローペースとなる山路せいじ
行き先のうやむやとなり蟻の列あひる
黒南風を吸込む河馬の大あくび素秀

2022年6月1日(参加者 19名)

俳句作者
大原女の茶屋に宿りし緑雨かな智恵子
茅屋根を洩るる緑雨の玉雫なつき
緑雨なるセコイア並木艶増せる隆松
大樹なき尼寺の庭花卯木なつき
家事終へて安らぐ午后の緑雨かなあひる
川床の卓片されてより緑雨来るもとこ
卯の花の峠を越えて薬売素秀
仔牛の眼瞬く牧の緑雨かななつき
修道院緑雨の森に訪ねけりあひる
大水車回す卯の花腐しかな宏虎
顔上げて緑雨を受ける露天風呂素秀
水路閣レンガに染みる緑雨かなよう子
門川に卯の花散らす垣根かなはく子
モデル振り向いて緑雨の渡月橋かかし
本堂の広縁ぬらす緑雨かなせいじ
玻璃窓に灯籠歪む緑雨かなよう子
白々と卯の花浮かぶ夕べかな満天
洛北の緑雨に聳ゆ鷹峯もとこ
眼福と思ふ緑雨の山の宿ぽんこ
そこここに卯の花白き山路かな明日香
緑雨やみ靄に隠るる峡の郷ふさこ
塔頭の鎖樋落つ緑雨かなわかば
地境のうつぎに両家和みけりあひる

2022年5月1日(参加者 24名)

俳句作者
三線の島唄ゆるり春深しもとこ
春深し園に散らばる豆画伯智恵子
しゃぼん玉吹く表情の母似なるよう子
犬小屋の主いぶかしむしゃぼん玉なつき
夫と茶を汲みて二人や春深む更紗
四方の山色濃くなりて春深し満天
壊し屋は疲れ知らずよしゃぼん玉なつき
遺りたるCT画像春深しうつぎ
春深し母の喃語に耳を寄せ更紗
二合飯余し二人の春更ける素秀
しゃぼん玉ぱくつく犬の鼻に爆ぜ智恵子
春深し欠伸噛みしめ法話聴くふさこ
病窓のいびつな空や春深むたか子
しゃぼん玉垣根を越えて隣よりうつぎ
ママの留守の子守役なるしゃぼん玉こすもす
春深むチェロの音朝のラジオよりはく子
幼な手を抜けて空へとシャボン玉みづき

2022年4月1日(参加者 21名)

俳句作者
食初めの子を睨みつけ桜鯛うつぎ
糶台に尾を跳ねやまぬ桜鯛うつぎ
霾やタクラマカンの砂かしらよし子
海越えて黄砂日本の土となるよう子
霾るや音はすれども機影見ず隆松
舟盛りに尾頭ぴくとさくら鯛やよい
つちふりて大和三山なきごとし明日香
風葬の国を越えきし黄砂かな素秀
門出の子祝ふ大きな桜鯛かかし
桜鯛跳ねて糶値をあげにけりわかば
右近像ま向く方より黄砂来るよう子
ワイパーが黄砂の窓をくり抜きぬなつき
模糊として沖の巨船や黄砂降るわかば
そんな目で見ないでをくれ桜鯛隆松
桜鯛触れなば跳ねん魚の棚明日香
石人の顔は哀しげ黄砂降るうつぎ
大渦にもまれて育ちし桜鯛素秀
大阪城黄色に染めて黄砂来るぽんこ
霾れる夕べの街のよそよそしはく子
兜煮の目玉が睨む桜鯛宏虎
紀ノ川の長き鉄橋黄砂降るよう子
つちふるや砂漠の民を思ひけりもとこ
卒業を祝うてつつく桜鯛せいじ
足早に下る尾根道霾晦豊実
掲げるは優勝力士桜鯛満天

2022年3月1日(参加者 17名)

俳句作者
力込め二礼二拍手冴返るうつぎ
円空仏裂けたる木目冴返るかかし
父母眠る故郷の山の花辛夷かかし
玻璃越しに星空見えて冴返るこすもす
長谷寺の登廊ことに冴返る明日香
花辛夷佇むごとし湖畔駅みづき
食い渋る鮒はまだ底冴返る豊実
道連れは己が影だけ冴返るうつぎ
かのネオン一と文字点かず冴返る宏虎
シャッターに謝辞の貼紙冴返るみづき
公園に子らの声満ち花辛夷隆松
冴え返る畳廊下の大書院やよい
靴先の感覚失せて冴え返るぽんこ
なほ続く籠りの日々や冴え返るやよい
学び舎に残る一灯冴返る満天
峡空へ祈る容や花辛夷明日香
花辛夷いまも咲き継ぎ旧校舎なつき
冴返る互ひの思ひすれ違ひもとこ
休みては延ばす杖の歩花こぶしやよい
一穢なく晴れたる空へ花辛夷素秀
冴返る突然に訃の知らせ来てわかば
片頬を夕日に染めし辛夷の芽うつぎ
残雪と見紛ふ比良の花辛夷せいじ
おみくじを結びしごとき幣辛夷せいじ

2022年2月1日(参加者 22名)

俳句作者
戸締まりの触れしもの皆底冷えてみづき
眠られぬ夜行列車や蜜柑食ぶわかば
手触りで甘み見分くる蜜柑かな豊実
箱みかん六人家族だつた頃明日香
底冷えの部屋に遺影の父母悼むなつき
日表の色の宜しきみかんもぐはく子
底冷えの夜明けの道をペダル漕ぐぽんこ
底冷えの鍵穴探るもどかしさたか子
底冷えの日や天国と長風呂に満天
底冷えの京の小路を人力車せいじ
婦人部のバスツアーなる蜜柑狩よう子
痩せし夫底冷えを言ひ起き来たりやよい
みかん山生涯継がず父の逝くやよい
底冷や地団駄踏んでバスを待つうつぎ
底冷えの闇に鴉の遠鳴きす素秀
焼き蜜柑安眠剤といひつべし智恵子
嫁してより此処がふるさと蜜柑剥くひのと
里の灯の疎らとなりて底冷えすこすもす
血まみれの漁港の土間の底冷すひのと
鈴生りの蜜柑畑に空真青かかし
蜜柑三つ入れ鈍行の旅鞄うつぎ
底冷えす廊下の奥の離れの間豊実
花びらの形に蜜柑むきにけり素秀
底冷の待合席に大火鉢わかば
山盛りに蜜柑積まれて無人店明日香
底冷えの堂に髪立つ伐折羅像もとこ
底冷えの禅の廊下や塵を見ず宏虎
団欒の昭和懐かし蜜柑むくもとこ
底冷えの闇にさぐりし鍵の穴こすもす
湯ほてりのほっぺに蜜柑あてにけり小袖

2022年1月1日(参加者 20名)

俳句作者
九条葱たつぷり入れて鍋うどんわかば
コロナ禍の故郷遠し冬銀河満天
就農は五年目と葱くれにけり素秀
山盛りに葱ラーメンや農家カフェかかし
庭師らの弁当に出す根深汁うつぎ
藁屋根の散らばる谷戸の冬銀河隆松
好物の葱焼き供へ夫偲ぶはく子
手作りの葱ぶら下げて友来たるこすもす
根深葱頭でてをるエコバッグなおこ
風邪の吾に葱たつぷりの鍋料理せいじ
書淫の目休ませてをる冬銀河小袖
吾も星となる日のあらむ冬銀河よう子
葱なくて代用品の見つからずうつぎ
薬味とは思へぬほどに葱を乗せ明日香
下宿屋の小さき窓にも冬銀河せいじ
葱きざむ夫の包丁リズム良しもとこ
掘りたての土付き葱のお裾わけ豊実
子には子のそれぞれの夢冬銀河もとこ
冬銀河一つは夫の星ならむみづき
カーテンは閉めずにをかむ冬銀河こすもす
父のこと遠い記憶や冬銀河わかば
点滅の飛機の紛るる冬銀河素秀
水平線へ垂るる離島の冬銀河素秀
愛犬の星はどのへん冬銀河ぽんこ
大原の入り日に染まる葱畑みづき
厄神道日向の葱の青々と宏虎
父母の星あひ寄り添へる冬銀河なつき
冬銀河ジョバンニの旅思ひけりもとこ
冬銀河郷関出でて半世紀小袖
指差して吾妹と仰ぐ冬銀河智恵子
つつかけで夕餉の葱を庭に引くなつき

年度別一覧

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