2018年度のみのる選
俳句 | 作者 |
倒木に塞かるる岨の落葉道 | せいじ |
墳丘へ空真空なる落葉径 | ぽんこ |
足裏に確かな温み落葉踏む | うつぎ |
一穢なく落葉掃かれし石だたみ | あさこ |
朴落葉大いなるもの拾ひけり | たか子 |
交差点落葉も吾も急ぎ足 | なおこ |
大文字山に展けて古都小春 | せいじ |
燦々と木洩れ日の射す落葉道 | 智恵子 |
ゆくりなく師の句碑に会ふ宮小春 | うつぎ |
とりどりの色落葉踏み磴登る | 満天 |
大和路の甍の波へ柿落葉 | もとこ |
孫たちと至福の時や庭小春 | かつみ |
紺碧の瀞へ散りこむ色落葉 | うつぎ |
踏み入りて嵩に驚く落葉道 | こすもす |
銀杏散る六百年を永らへて | あさこ |
嵩高く落葉が覆ふ皇子塚 | 明日香 |
斑鳩の笑ひ仏や野路小春 | はく子 |
降りしきる銀杏落葉に翁句碑 | 菜々 |
神木の洞に落葉の吹きだまる | 小袖 |
猫どちら屋根に集合寺小春 | たか子 |
小春日や紙飛行機の大回旋 | さつき |
眼帯の夫と手つなぐ道小春 | なつき |
湖小春外輪船より周航歌 | 菜々 |
落葉踏む音にリズムの生まれけり | わかば |
馬の背をゆく人影や山小春 | わかば |
銀翼の機影がよぎる空小春 | よし子 |
校長の日課や門の落葉掃く | やよい |
廃屋を覆ひつくせる落葉かな | 宏虎 |
朝掃きて夕べまた掃く落葉かな | 三刀 |
高札場仰ぐ箕面の辻小春 | よう子 |
清流の流れにのりし落葉かな | よう子 |
嫁姑話しの弾む縁小春 | 菜々 |
墓守と野良猫談義苑小春 | たか子 |
神の杜嵩の落葉に鎮もれる | はく子 |
嬰児を抱けば笑へり小六月 | よし女 |
ランナーを追ひ超す風の落葉かな | よし女 |
俳句 | 作者 |
山粧ふ大磐座を冠に | 菜々 |
目の高さ幼と合はせ月眺む | こすもす |
自転車を降りて歩かむ今日の月 | 満天 |
終い湯を落として仰ぐ後の月 | うつぎ |
ロープウエイまさに至福や渓紅葉 | やよい |
月光の太き道ゆく巡視船 | なつき |
ままごとのまだ続きをる月の庭 | 小袖 |
虫食ひもナチュラルアート草紅葉 | なおこ |
夫につき不即不離なる月の道 | もとこ |
紅葉山伽藍の甍見え隠れ | よし子 |
連山の稜線濃ゆく月揚ぐる | かつみ |
紅葉まだ千鳥掛けなる峠道 | あさこ |
艶光る廊へ且つ散る紅葉かな | 更紗 |
美しき起伏を見せて山粧ふ | ぽんこ |
紅葉且つ散る石窟の羨道に | よし女 |
呆け封じ参りついでや紅葉狩 | はく子 |
香煙のお庭に満つる紅葉寺 | 三刀 |
片枝となりしは風禍もみづれる | うつぎ |
寺までの大練塀や蔦紅葉 | たか子 |
嵐峡の瀞を染めんと山紅葉 | せいじ |
名月のあまねく照らす大路かな | 宏虎 |
月光に濡れて艶めく庭のもの | 満天 |
激つ瀬に逸る川舟紅葉渓 | せいじ |
天空の鉄橋仰ぐ渓紅葉 | かつみ |
展けたるダム湖の四囲に山紅葉 | わかば |
江の電の触れもす軒端紅葉かな | 智恵子 |
月今宵夫を迎へにそこらまで | 菜々 |
寺辞して京たもとほる十三夜 | 菜々 |
俳句 | 作者 |
墨を擦る硯の海へ秋の水 | やよい |
秋水の豪雨の濁りかと思ふ | 明日香 |
水澄みて真砂のをどる小川かな | はく子 |
飛石に靴跡かさね水の秋 | なつき |
さざなみの広ごりて湖澄めりけり | こすもす |
秋水を二タ分けにして鯉の鰭 | 満天 |
澄む水に藻草ゆらめく疎水かな | やよい |
幾橋を渡りふる里水の秋 | 菜々 |
木道の足裏にやさし水の秋 | 菜々 |
底砂を吹き上げて水澄めりけり | よし女 |
魚の影一直線に水の秋 | 三刀 |
秋水を神に供へて窯閉づる | よし女 |
浮御堂鏡映しに湖澄める | せいじ |
堰落ちて白き泡揉む秋の川 | なつき |
俳句 | 作者 |
穂芒を左右に靡かせドライブす | あさこ |
血止草城壁覆ひ尽くすごと | 明日香 |
農小屋の声はラジオや葛の花 | うつぎ |
バス停のベンチへ伸びる葛の蔓 | こすもす |
大花野パラグライダー飛びたちぬ | さつき |
ここもまた古戦場なり芒原 | 更紗 |
ドリーネの底ひを埋む芒かな | 三刀 |
羊群に似たる岩間の草紅葉 | せいじ |
八千草の乱れ咲きなる扇状地 | たか子 |
コスモスの花野を分けて一両車 | 智恵子 |
ねこじゃらし思ひ思ひにスウィングす | なおこ |
鉄道草高架の脇の廃線路 | なつき |
暦日の妹背の句碑へ萩の雨 | 菜々 |
桜蓼なんと可愛と屈み見る | はく子 |
極楽や風に吹かれて花野道 | 宏虎 |
摩滅して読めぬ石標草の花 | ぽんこ |
野点席裳裾を揺らす萩の風 | 満天 |
芒原ラジコン飛行機着陸す | やよい |
崖を打つ波の飛沫や葛の花 | よし女 |
捨畑の畝覆ひたる千草かな | よう子 |
湿原の水路に沿ひし花野径 | わかば |
俳句 | 作者 |
一水に沿ひて涼しき神の庭 | 菜々 |
松林縫ひくる浜の風涼し | わかば |
穏やかな一湾突と鰡の飛ぶ | ぽんこ |
吉と出し御籤に暑さ忘れけり | さつき |
海の藍たたへて灼くる白砂浜 | わかば |
空蝉やわらべ地蔵の肩の上に | 智恵子 |
打水の祇園小路に灯のともる | 宏虎 |
一弦琴ロビーに飾る避暑ホテル | なおこ |
梅干しをふふみて励む句会かな | こすもす |
かきまぜて青春の音ソーダ水 | うつぎ |
節電と言うてはをれぬ暑さかな | うつぎ |
酷暑日や思考停止の続きをり | 三刀 |
押し車鰻を食べに脚軽し | あさこ |
門ごとに水の鉢おく路地涼し | たか子 |
海坂に険競ひをる雲の峰 | せいじ |
落蝉のまだ生きたしと宙を掻く | 明日香 |
砂灼けて脚に噛みつく浜辺かな | せいじ |
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