みのる選:2025年5月度

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2025年5月26日

5月17日~5月23日

2025年05月23日
子育てに余念なき親つばめかな千鶴
玉解きてはや風いなす芭蕉かなむべ
麦秋の大和平野に香りたつ明日香
2025年05月22日
ひと筋の清き流れや花菖蒲むべ
独り居に存問と聴く初音かなうつぎ
点描めくメタセコイアの芽吹きかなむべ
2025年05月21日
城垣に日の斑を落とす青葉かな康子
風通ふ日の斑の道に三尺寝澄子
雨意兆す風鈴急を告げにけり澄子
白亜なる母子像薔薇に埋もれりむべ
2025年05月20日
堂涼し神の愛説く牧師またせいじ
樹下涼し一会の人とバスを待つきよえ
あめんぼう木影遊泳するごとく康子
迫りくる梅雨に急かされ畑仕事千鶴
2025年05月19日
斯く風化して苔むせる合戦碑愛正
老鶯の声空谷の深きより澄子
寺町の僧速足に夏衣たか子
風に立ち岩に砕ける卯波かなむべ
金婚の夫に感謝のビール注ぐあひる
初宮の嬰に手向けし白日傘澄子
丁寧に剥いても跳ねる豌豆かな明日香
2025年05月18日
ショーウインドウに姿勢を正す薄暑かなやよい
クローバの野に寝転べば雲涼しあひる
雨晴れたよと告ぐ蛙騒がしきみきえ
岩頭に立ちて滝風受けにけり康子
人垣を揺るがせ神輿練り歩く山椒
2025年05月17日
輿に座す斎王代に風薫るふさこ
万緑に鴟尾抽んでし東大寺わかば
園児らの田植体験泥笑顔かかし
新玉のオニオンサラダ山と盛り千鶴
堆く積んで危うし苺パフェあひる
夏蝶の一頭夫の召天日むべ
花粉マスク外す四阿風五月なつき
濃く淡く堂塔包む若楓わかば

2025年5月18日

5月10日~5月16日

2025年05月16日
出荷終へひと息つけるラムネかな千鶴
汗光る気迫の声や紙芝居康子
なだらかな稜線映し田水張るむべ
曇天に紛れて淡し桐の花わかば
2025年05月15日
堰堤を洗ふしぶきや夏木立千鶴
青蔦の虜となりし農具小屋みきえ
くれないの傘傾ぎゆく賀茂祭あひる
初蝶の影すべりゆく石畳勉聖
目瞑りてせせらぎを聞く薫風裡澄子
2025年05月14日
緋牡丹の衣脱ぐやうに散りにけりむべ
また小さくなりたる母や更衣あひる
乙女等の声麗らかに茶摘み歌山椒
薔薇園の階段に沿ふ水の綺羅もとこ
万緑を砦としたる城櫓かかし
夜の浅蜊放物線に水を吐くえいじ
墨流しめく雲に透け月涼しむべ
五月闇をんなの坑内夫もちらとうつぎ
若葉風展望台に深呼吸やよい
2025年05月13日
坑道に響く樂あり滴れるうつぎ
池鏡して若葉影をどらしむわかば
うち延べし金の絨毯麦の秋もとこ
廃校の机の傷や花は葉にかかし
水満ちし田にひろがりし青天井和繁
2025年05月12日
山襞の深きより霧立ち昇る澄子
大輪の数多かぐはし薔薇の門むべ
尼の墓へと日の班洩る若葉かななつき
スプーン舐め食べ頃を待つシャーベット康子
蔓薔薇の額縁なせる格子窓せいじ
葉桜のトンネルなせる遊歩道むべ
囀りに眼を休めたる読書かな山椒
柏餅できたてはまず仏壇へほたる
沖凪ぎて雲母光りす夏の海澄子
2025年05月11日
万緑をまたぐ吊り橋仰ぎけり康子
老いどちのコーヒーブレイク薔薇の卓きよえ
田起こしの音こだまする峡の里やよい
オルレアの白の屯に風五月むべ
2025年05月10日
若き日の恋文出でし曝書かな博充

2025年5月11日

5月3日~5月9日

2025年05月09日
クリスタルビルは空色夏来る康子
声高に響く木遣りや夏祭山椒
2025年05月08日
路地だれも通らぬ今宵おぼろ月あひる
神鏡に吾の顔映る新樹光なつき
風五月筆の走りの良き日なりうつぎ
細波に溺れさうなる早苗かなみきお
2025年05月07日
読みすすむ聖書日課や窓若葉あひる
日傘閉ぢ風の八橋渡りけりなつき
初節句嬰は上座で眠りをり康子
初孫を祝ふ幸せ子供の日康子
2025年05月06日
風鈴の鳴りはじめたる路地親し澄子
緑摘む女庭師の指やさし康子
指折りて友の名告ぐる一年生なつき
2025年05月05日
谷渡る風に機嫌や鯉のぼり山椒
誰も来ずもてあましたる子供の日やよい
新緑の色に染まりし小川かな康子
神奈備の杜を養ふ噴井かなむべ
児が描く母は丸顔チューリップ藤井
万緑の山に響かせ鐘一打うつぎ
春水の影橋裏にあそびをりもとこ
2025年05月04日
玉ねぎの匂ひ消へぬ手収穫日千鶴
トロ箱の蛸は逃げ出しつつ糶らるよし女
鯉のぼり最上階のベランダにたか子
廃校の木造校舎燕来るうつぎ
古民家の素足吸ひ付く廊下かなみきお
2025年05月03日
囀りのこだます雨後の杉美林せいじ
入賞を逃し泣く子に柏餅なつき
四阿に満ち溢れたる新樹光康子

2025年5月4日

4月26日~5月2日

2025年05月02日
春新樹光浴びて行進鼓笛隊みきお
神の杜青葉若葉に膨らみぬやよい
問安す療養所へと若葉道むべ
美術館記念館へと踏青すわかば
遊ぼうと子らに追はるる蝶々かなえいじ
くつきりと翠黛現るる五月かなうつぎ
新樹光シャワーとなりし並木路澄子
2025年05月01日
瀬の楽に道近づきぬ著莪の花うつぎ
石舞台へと高きより新樹光明日香
連翹の垂れてひかりの疏水かなもとこ
甘き香をまとひ潜るや薔薇の門やよい
緑さす寺の筋塀続く道むべ
2025年04月30日
千年を生きて盛んや藤の花みきえ
発芽率百パーセント草を引くうつぎ
居留地を綴る若葉の並木道わかば
山山に帷のごとく懸かり藤もとこ
咲き満ちて茉莉花邸となりにけりむべ
2025年04月29日
新緑の山むくむくと動きけりみきお
囀や街の真中の屋敷林むべ
蒲公英の絮そよ風に旅立ちぬ澄子
露天風呂雨の風情に春惜しむ愛正
2025年04月28日
車椅子寄せて花菜に包まるるやよい
窓カーテン代へんと見れば鳥雲にたか子
強面となる監督やサングラスせいじ
新緑のシャワーを抜けて出勤す康子
山裾の新緑縫ひて電車行くもとこ
天空の風におしやべり樟若葉ぽんこ
行春の山野草園去り難くうつぎ
2025年04月27日
母直伝伽羅蕗やつと我が味にもとこ
万緑を砦としたる旧家かな康子
到来のぬくもり残る茹で筍よし女
2025年04月26日
春夕焼絆の鐘を打つ二人なつき
山里の道標なる桐の花ほたる