みのる選:2024年12月度
2024年12月27日 | |
空に道ありしごとくに白鳥来 | 澄子 |
冬ざれの川筋をゆく一両車 | むべ |
窓に来て辞儀繰り返す尉鶲 | よし女 |
ナナハンでヘルパー来たる寒風裡 | あひる |
寝仏をくすぐるやうに煤払ふ | 山椒 |
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2024年12月26日 | |
年用意気の急くばかりどじ多し | うつぎ |
笹鳴きに歩み止めたる里の道 | わたる |
テレワーク夫のデスクに蜜柑置く | 康子 |
数へ日の残りしことを指折りぬ | わたる |
大鍋の出番となりておでん煮る | 風民 |
賀状書く肩肘張らず常の字で | みきえ |
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2024年12月25日 | |
コンテストめきし花屋のシクラメン | あひる |
雨やめばどっと人増ゆ街師走 | うつぎ |
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2024年12月24日 | |
天に星手に燭ともる聖夜かな | むべ |
高窓に聖夜の帳下りにけり | むべ |
青空に千手を翳す冬芽かな | ぽんこ |
白息を手向け我が手を励ましぬ | 風民 |
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2024年12月23日 | |
障子無く鴨居も無くて煤払い | たか子 |
のし餅につつきし吾子の指の跡 | 愛正 |
白寿なる我を寿ぐ蟹の鍋 | 董雨 |
独り居の高所は省く大掃除 | たか子 |
とつぷりと暮れて煌めく大聖樹 | せいじ |
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2024年12月22日 | |
冬至柚子一つ賜り奉仕終ふ | むべ |
恙無きこの身沈めて冬至風呂 | 澄子 |
拳突く波打ち際の寒稽古 | みきお |
毛糸編む脳は過ぎし日回想し | 明日香 |
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2024年12月21日 | |
境内の句碑に翳して照紅葉 | はく子 |
大き柚子ひとつ浮かべてベビーバス | 康子 |
冬靄に溶け込む漁船明石の門 | うつぎ |
2024年12月20日 | |
クリスマスソングで締めるお茶の会 | あひる |
冬の波皆老いゐたり島の友 | うつぎ |
寒禽の山城趾に高鳴きす | むべ |
保母さんに渡す木の実のお礼かな | なつき |
臥す母もあひ和すクリスマスソング | あひる |
湯豆腐の面のふつふつゆるびをり | 風民 |
紺碧の湖へ張り出す金鈴子 | うつぎ |
ひと枝に声の集ひし冬桜 | 澄子 |
臥せし日の空白のある日記果つ | 康子 |
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2024年12月19日 | |
ひとすぢの畦焼く煙山日和 | むべ |
手でつまみ見る干し柿の出来具合 | はく子 |
臥す母に障子開ければ日矢届く | せいじ |
語らひの時を惜しみて日短 | うつぎ |
冬日差す図書館棚の薄ぼこり | わたる |
冬日向行きつ戻りつウォーキング | 康子 |
蒼穹に線画を描く大枯木 | むべ |
海光に熟れゆく島の蜜柑山 | 千鶴 |
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2024年12月18日 | |
山々を見上ぐ皇帝ダリアかな | 風民 |
閑けさや鉄瓶滾る冬座敷 | 澄子 |
数え日や明日退院の許し出る | 董雨 |
高舞ひて鳥の群れめく日の木の葉 | むべ |
カラフルな帽子卒寿の冬耕子 | かかし |
炭焼翁煤けし顔の八重歯かな | かかし |
枝絡む冬の日差しや雑木林 | 風民 |
軒掛の夕日に凍てる輪橇 | ほたる |
ふかふかと試歩に優しき落葉道 | 康子 |
市庁舎に見下ろす銀杏黄葉かな | むべ |
幸せやいつものように賀状書く | 明日香 |
クリスマスソングを手向く柩かな | あひる |
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2024年12月16日 | |
フレームのベンチに赤きサンタ像 | えいじ |
顔歪むぎつくり腰に来る嚔 | うつぎ |
生かされしことに感謝や新日記 | 康子 |
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2024年12月15日 | |
ひとり居に広すぎる家寒灯 | うつぎ |
極月や病院食の遅きこと | 董雨 |
モダンなる遺愛の火鉢蘆花旧居 | むべ |
放り込む藷ニ三個や落葉焚き | 千鶴 |
母に手を引かれをさなら聖夜劇 | むべ |
一服の茶も気忙しく年用意 | 千鶴 |
黄落の道まつすぐに華やぎぬ | やよい |
冬ざるる詣で人なき一末社 | もとこ |
新築の家に声ある十二月 | 風民 |
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2024年12月14日 | |
枯れ菊に寄りて屈めば名残の香 | たか子 |
古民家の軋む板廊北塞ぐ | むべ |
晩学の集ひ聖菓に和みけり | あひる |
スピッツが屏風の虎に咆哮す | 澄子 |
人波に急かされ歩く街師走 | もとこ |
枯れ尾花なぞへになだれ伏しにけり | 明日香 |
2024年12月13日 | |
はぐれたる我を呼ぶ声歳の市 | 澄子 |
中庭に渦巻く風の落葉かな | 康子 |
風邪癒えて久々の風呂熱あつに | なつき |
着膨れて路地練り歩く吟行子 | せいじ |
ふたかみへ天使の梯子冬日差し | 明日香 |
無音界窓を開ければ雪二尺 | ほたる |
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2024年12月12日 | |
門ごとの菊よく香る京街道 | あひる |
座布団のよく膨らみて縁小春 | わたる |
山茶花の初花を愛ず箒持ち | よし女 |
映画館出でて遥かに雪の富士 | 風民 |
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2024年12月11日 | |
番鴨同じ角度で着水す | 澄子 |
里芋を再び畑に眠らせり | 風民 |
吟行子樹下に集へば小鳥来る | あひる |
薪割りの音響く里日短 | むべ |
隣り合ふ寺院とチャペル路地小春 | せいじ |
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2024年12月10日 | |
剪定を了へて青空展けけり | 澄子 |
掃かず置く友待つ庭の散紅葉 | 風民 |
叡山の白く尖りし師走かな | もとこ |
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2024年12月09日 | |
茶の花の昏れゆく金の蘂もまた | むべ |
山茶花のほぐれてのぞく朱唇かな | よし女 |
病窓へ青空透かす冬木立 | 康子 |
着膨れにされて乗りたる車椅子 | 康子 |
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2024年12月08日 | |
チェロの音に夜船を漕ぎし暖房裡 | うつぎ |
枝絡む朝日に膨れ寒雀 | むべ |
朴葉味噌つつきて飛騨の旅想ふ | うつぎ |
斯く太き大根貰ひどうしやう | よし女 |
ひとひらの枯葉きりもむ美空かな | あひる |
コート着るチェロの残響包みつつ | 風民 |
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2024年12月07日 | |
と見る間に乱舞の鴨の陣なせり | うつぎ |
よだれかけのみの丸石そぞろ寒 | 明日香 |
産土は園児らの庭木の実雨 | なつき |
2024年12月06日 | |
日の届く水底に鯉日向ぼこ | あひる |
凍て空へクレーン機首を立てにけり | ぽんこ |
明星を点し山の端冬茜 | むべ |
ビル風に上を下へと落葉舞ふ | 康子 |
子ら去りてまたひとしきり木の実雨 | なつき |
踏む落葉足裏に柔き杣の道 | 澄子 |
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2024年12月05日 | |
虫喰い葉高枝にのこる枯木かな | そうけい |
ひざ掛けをそつと渡され車椅子 | 康子 |
髭のごと山裾埋む尾花かな | ほたる |
極月やポストに不在連絡票 | せいじ |
裸稲架解かれずにある冬田かな | やよい |
暖房を効かせて四肢に化粧水 | あひる |
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2024年12月04日 | |
船便で届くカードやクリスマス | むべ |
旅衣ときて柚子湯に寛ぎぬ | 澄子 |
園児らの生誕劇やデイサービス | せいじ |
紅葉散る池に水漬きし小舟かな | 董雨 |
孫どちとひいふう数ふ柚子湯かな | ふさこ |
冬木立樹幹に透けて茅舎見ゆ | むべ |
天守閣持ち上げてをる紅葉山 | やよい |
川べりに帯なす石蕗の花浄土 | 康子 |
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2024年12月03日 | |
一掬の手水にをどる散紅葉 | 康子 |
お喋りのお茶代わりなる蜜柑かな | こすもす |
参磴に仰ぐ大杉天高し | 山椒 |
詣で道落葉時雨に差し掛かる | うつぎ |
闘病の夫と戴く薬喰 | きよえ |
その中に小鳥紛れて銀杏散る | 風民 |
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2024年12月02日 | |
松ぼくりころがり出たる旅鞄 | むべ |
寺紅葉抽んでてをる九輪かな | 山椒 |
どんぐり駅電車ごっこの来て止まる | 風民 |
武蔵野を烟らす落葉煙かな | むべ |
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2024年12月01日 | |
焼き味噌によさげと拾ふ朴落葉 | うつぎ |
逍遥す湖畔の小径帰り花 | うつぎ |
ジャングルジム粧ふ山へVサイン | 風民 |
黄落をライスシャワーのごと浴びる | むべ |
着ぶくれてモスラ這ひせる吾子をかし | もとこ |
凍空を焦がせるコンビナートの灯 | せいじ |
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2024年11月30日 | |
楠大樹を見上ぐるごとく実南天 | ぽんこ |
気動車に聞く国言葉冬ぬくし | せいじ |
2024年11月29日 | |
灯点りて峡の底ひの暮易し | 澄子 |
ポインセチア胸に抱へし家路かな | むべ |
海の日を纏ひ播磨の山眠る | せいじ |
小春日や抱く子につられ大欠伸 | ほたる |
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2024年11月28日 | |
照紅葉乳鋲錆びたる大手門 | やよい |
沐浴に眠る赤子や冬ぬくし | 康子 |
懸大根帯なす軒や里の道 | むべ |
窓磨く胸に冬日の留まりぬ | むべ |
野葡萄は森の宝石とぞ思ふ | うつぎ |
大玻璃の紅葉に染まる京料理 | なつき |
靴下にホッカイロ敷き畑仕事 | 千鶴 |
歯医者から美容院へと我れ師走 | たか子 |
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2024年11月27日 | |
回覧板干し柿一つ添へ置かれ | よし女 |
軽トラを皆で押し上ぐ刈田かな | 山椒 |
濠映ゆる銀杏黄葉の銀河めく | やよい |
みちくさす落葉に車椅子を止め | あひる |
さしのべし手に綿虫の一休み | 明日香 |
みどりごの大き欠伸や日向ぼこ | 康子 |
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2024年11月26日 | |
石組みの粗なる城址やもみぢ散る | はく子 |
星散らし焼くクッキーやクリスマス | あひる |
猿廻し拍手喝采城小春 | やよい |
御所の砂利母娘で踏んで冬ぬくし | 千鶴 |
詮無くも男手が欲し冬支度 | たか子 |
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2024年11月25日 | |
散歩道釣瓶落しの影法師 | 風民 |
無農薬とて虫付きの菜を洗ふ | 明日香 |
足裏よし踏む音もよし落葉道 | 明日香 |
掛け合いのやうに咳する夫と吾 | 康子 |
熟柿もぐ玉子のように手渡しに | よし女 |
老い夫の自立訓練りんご剥く | あひる |
金の鈴空より降らむ楝の実 | 風民 |
夫剥きし林檎彫刻めきにけり | あひる |
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2024年11月24日 | |
落日に染まる軒端の柿すだれ | 風民 |
黄落の道もとほれば日の温み | むべ |
匕首の月上げて冬山黒屏風 | むべ |
境内を隈なく銀杏黄葉敷く | こすもす |
来たよ来た白鳥が来た朝日燦 | 和繁 |
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2024年11月23日 | |
仕舞湯に浸りて柚子と遊びけり | うつぎ |
秋夕焼光背として摩天楼 | 山椒 |
紅葉影乱して鯉の跳ねにけり | 董雨 |
冬麗や花舗の店頭占むビオラ | あひる |