みのる選:2024年9月度

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2024年9月29日

9月21日~9月27日

2024年09月27日
箒目のままに掃かれて萩の屑澄子
鰯雲大海原を覆ひけりきよえ
せめぎ合ふ紅白の萩ひと括りうつぎ
夕づきて蒲の穂己が影払ふむべ
2024年09月26日
父の名を墓石に加へ秋彼岸むべ
左見右見すれば調べの変はる虫康子
雀どち登りて凹む籾の山愛正
心経の和尚に侍り秋彼岸うつぎ
畳み跡くつきり残る昼寝の子みきお
2024年09月25日
畑へとなぞへなす土手草の花風民
残像に上書きをする大花火みきお
広芝へなだるる萩の花アーチ康子
観音に呼び掛けるやに虫すだくぽんこ
新涼の墓に供へし煙草かなほたる
清閑の一と日を得たり萩を観るうつぎ
涼新た運筆飛ぶが如きなりせいじ
2024年09月24日
秋風に譜面押さへし楽士かなむべ
菊枕棺の隅にそつと入れみきお
墓参り一族郎党宴会に明日香
文机に影す梢や涼新たむべ
2024年09月23日
庭に得し花よと手向く墓参かな明日香
不揃ひや農夫が打ちし走り蕎麦うつぎ
嘴のつひに開かず石榴の実風民
掘りたての土の匂ひや芋洗ふむべ
2024年09月22日
朝経と共にお供へ今年米千鶴
コスモスや休耕田の華やぎてふさこ
あつまりてまた散り散りに芋の露ほたる
芋虫を垣根の外へ逃しやり明日香
山峡に白波立ちて蕎麦の花うつぎ
2024年09月21日
日焼けの腕吊輪にならぶ下校バスなつき
道曲がるたび楽かはる虫浄土澄子
頬杖をつくブロンズ像秋を聞く康子
バラックの農家食堂走り蕎麦うつぎ

2024年9月22日

9月14日~9月20日

2024年09月20日
曼珠沙華火花のやうに池鏡康子
訪ふたびに過疎化を思ふ秋彼岸みきお
これ何と口々に問ひ棗の実うつぎ
豊秋の源なりし大河かな澄子
葛の花溢し離るる小灰蝶むべ
2024年09月19日
涼新た桧の匂ふ能楽堂なつき
御仏の指先にある秋思かな澄子
ベビーカーはみ出る手足秋涼しみきお
爽涼や貴船の川床に瀬のたぎち千鶴
山嶺の黒屏風なす秋夕焼むべ
みどり児の泣き声洩るる月の路地あひる
棟上げの柏手ひびくいわし雲風民
秋簾ほつれしままに畳まれる明日香
峠越え見渡す限り紅のそば董雨
2024年09月18日
松手入れと見かう見して空鋏澄子
吾子とゐる亡夫の書斎けふの月むべ
叢雲をうてなに月の出でにけりせいじ
二棹の三味の音揃ふ良夜かな風民
2024年09月17日
ストリートピアノを弾くは日焼の子あひる
月今宵影絵のごとく五葉松風民
青空に呑み込まれゆく秋の雲康子
繕ひし籬次々小鳥来る澄子
中庭に琴の宴や月今宵風民
2024年09月16日
立話切り上げがたく暮れ易し澄子
梁高き古民家に聞く昼の虫むべ
敬老の日の卓に笑む母白寿せいじ
大沢の広き水面に望の月千鶴
2024年09月15日
早逝の夫と祝はむ敬老日こすもす
露葎掻き分け進む犬の鼻みきお
病室の窓いつぱいに揚花火康子
2024年09月14日
苔清水うましうましと漱ぐうつぎ
厨窓イナバウアーに反る守宮明日香
鉄橋の電車包まる秋夕焼もとこ
月の出や古りし舟屋の家並寂び幸子
子規庵の花も実もなき糸瓜棚なつき
敷きつめし丸石涼し洲浜かなむべ

2024年9月15日

9月7日~9月13日

2024年09月13日
読み耽る推理小説長き夜澄子
吊るされて阿鼻叫喚の唐辛子えいじ
家古りし籬に零余子這ふままに澄子
田の神へ深く一礼秋収めみきお
畦散歩見まもり隊は案山子どちあひる
秋声や石庭に聴く波の音うつぎ
2024年09月12日
地の影と縺るるごとく秋の蝶風民
鈴虫も寝たやうだから本を閉ずたか子
相槌の返らずなりて夫昼寝あひる
昼の虫鍬に凭れて立ち休む千鶴
爽やかにふれあふ音や祈願絵馬ぽんこ
吾を囲む試歩の一歩に赤とんぼそうけい
2024年09月11日
豊の秋朝日に綺羅と露浄土やよい
スプリンクラー穂先に虹の立ちにけりよし女
霧襖抜けて高野の奥之院明日香
海風に噴水の秀の揺らぎけりえいじ
小流れに水引草の揺れやまずむべ
せせらぎへ迫り出すカフェや虫浄土澄子
林道の空の高きを鳥渡る幸子
縁揃ひ百畳の堂秋気澄むもとこ
2024年09月10日
秋の日の水かげろふや櫓門むべ
家蜘蛛のもはや家族となりし居間あひる
笠も無くバテて傾く案山子かなふさこ
秋澄みて野点の水の甘露かな風民
弁当は地産地消や野路の秋なつき
2024年09月09日
秋澄むやひだりは愛宕みぎ比叡せいじ
水底に届く日差しや鮎の影みきお
唐門は極彩色や小鳥来るむべ
久闊の握手汗の手はばからずうつぎ
雑草に紛れまじとて蛍草ぽんこ
綱引きの相手は大地草を引く風民
茶会果て闇に夕顔白々と風民
2024年09月08日
涼新た妻は新作料理中せいじ
館涼し京三川を一望すむべ
独り居の二人の夕餉初秋刀魚うつぎ
日焼け子が当てくじの箱かき回すなつき
畔ゆけば先へ先へと飛蝗飛ぶえいじ
人混みに踏鞴を踏みし秋神輿澄子
秋雲に透けて翼下に八ケ岳むべ
2024年09月07日
小鳥来る教室ごとに世界地図澄子
朝風に金色なびく稲穂波むべ

2024年9月8日

8月31日~9月6日

2024年09月06日
里山の課外授業や捕虫網うつぎ
茅葺の屋根より洩るる虫の声康子
投薬の増えて秋愁募りけりたか子
野地蔵や藪のなかより虫の声ぽんこ
虫の闇天秤跳ぬる閻魔堂なつき
部屋の名は松杉檜避暑の宿むべ
夜店の灯尽きて神苑闇深し澄子
2024年09月05日
夕べとは違ふ虫の音朝湯殿むべ
憎くけれどバッタを潰すこと出来ず明日香
ぱらぱらとひかりの礫小鳥来る澄子
秋の蚊に邪魔されてをり立話うつぎ
2024年09月04日
撫で仏膝にあめ玉秋うららなつき
棟上げの二拍一礼秋気澄む幸子
やはらかき女将の訛り秋団扇むべ
2024年09月03日
岩角を咬んで動かぬ糸とんぼよし女
角部屋に旅装を解けば虫しぐれむべ
せせらぎと虫時雨和す加茂堤もとこ
落とし水までの日数の畦めぐる千鶴
朝露に濡れて分け入る草葎康子
獅子唐のにぎやかに爆ぜフライパンあひる
秋麗やヒジャブの赤を纏ふひと幸子
秋簾風になぶられゐたりけりせいじ
2024年09月02日
葛の花山路狭めて右手左手澄子
表札の古りて読めざる露の荘澄子
風鈴に拾つて貰へぬほどの風うつぎ
台風過白寿の腰をのばしけり董雨
独り居の黙して長き夜なりけりやよい
鉄柵にかんじがらみや灸花ぽんこ
2024年09月01日
寄せ書きに言の葉あふれ敬老日あひる
根こそぎに引くは至難よ灸花うつぎ
2024年08月31日
石ひとつ動かし田水落としけりみきお
配られし団扇が忙し野外能なつき
沖はるか稲妻奔り艇庫閉づ澄子
踏んまへて嵐に耐ふる女郎蜘蛛むべ

2024年9月1日

8月24日~8月30日

2024年08月30日
風鈴の早鐘となる秋風裡むべ
独り居となりし父訪ふ台風裡康子
ごみ出しは中止とならず台風裡せいじ
野分の夜ニュースに返す独り言やよい
にわたずみ大地にいわし雲広ぐかえる
栗を焼く丹波の匂ひ転がしてよし女
2024年08月29日
豊漁というに高値や初秋刀魚ぽんこ
海鳴りを間遠に避暑の客となる澄子
嵐来と摘み取る仕舞ひトマトかなうつぎ
金平糖地にこぼすごと百日紅むべ
花舗の軒鈴虫籠の吊られけり山椒
2024年08月28日
蟻一匹頬杖の腕のぼり来しなつき
乱れ萩束ね嵐にそなへけり澄子
2024年08月27日
大壺に聳ゆ芒や茶屋の土間もとこ
秋の陽の綺羅を零せる作り瀧かえる
刈り取りし牧草ロール昼の虫千鶴
一陣の風に秋立つ明日香道明日香
落蝉の乾ききつたる軽さかなうつぎ
2024年08月26日
石垣のお堀を埋む蔦かずらぽんこ
更けてなほ冷めぬ大地よ星月夜かえる
寝つかれぬ一間窓を月渡るむべ
残暑なほ西窓の戸は閉めつきりせいじ
滝道を辿り辿りて奥院へ風民
2024年08月25日
秋簾むしの蛻をつけしままかえる
辻地蔵ろうそく揺るる晩夏かなみきえ
眠られぬ臥所に激し稲光うつぎ
山城へ葛の花咲く九十九折れ澄子
2024年08月24日
神官の高き沓音秋祭りよし女
白糸を吐くやうに咲く烏瓜むべ
くつきりと大三角や星月夜千鶴
海峡を渡る構へや鬼やんまうつぎ
孫楽し迷路あそびす墓参かな康子
窓少し開け枕とす虫の声むべ
片陰を押してカットへ車椅子せいじ
靴はいてとび跳ねあそぶ浴衣の子あひる