みのる選:2024年7月度

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2024年7月28日

7月20日~7月26日

2024年07月26日
手入れせぬ庭に見つけし茗荷の子うつぎ
散りて須臾群るる魚影や渓涼し澄子
摩天楼ビル射抜くやに稲光康子
2024年07月25日
釣人の影法師伸ぶ西日かな澄子
朝蝉に急き立てられて庭仕事うつぎ
陽の温み残りし日傘たたみけり康子
残業の差し入れ土用鰻食ぶむべ
振り向けば出航の街大夕焼たか子
2024年07月24日
日盛りや日時計の針狂ひなし千鶴
診察の間にはや灼くる車椅子せいじ
2024年07月23日
骨切りの音小気味よし鱧料理もとこ
鉾の列王朝絵巻さながらに山椒
研ぎ終へし包丁試すトマトかな愛正
2024年07月22日
神苑の広さを思ふ蝉しぐれせいじ
2024年07月21日
風涼し蕎麦屋の縁の深庇かえる
聞き分けて左右の耳の蝉しぐれうつぎ
トラックの下枝触れ行く夏木立むべ
空蝉を集めし吾子の宝箱ふさこ
2024年07月20日
高々とセンターフライ雲の峰みきお
こうのとり空に飛交ふ大青田こすもす

2024年7月21日

7月13日~7月19日

2024年07月19日
ひめじよをん隠れに傾ぐ売地札風民
朝蝉の調べに和して卵とくあひる
玻璃窓をま白に叩く暴れ梅雨えいじ
人形と見紛ふ稚児や鉾祭山椒
2024年07月18日
不意打ちの水鉄砲を喰らひけりかえる
滝垢離の白衣ありとぞ行者寺うつぎ
御手洗の涼し金魚を泳がせてぽんこ
断捨離の取捨に迷ひし更衣うつぎ
電車いまビルの途切れて西日さすえいじ
一庭の涼し悟りの窓越しに董雨
2024年07月17日
夏草を薙ぎ倒しゆく鬼ごつこかえる
包丁の切れ味悪し梅雨厨よし女
家居夫注文ばかりただ暑しもとこ
フレイルの予防を学ぶ夏期講座千鶴
尺取の尺取り終へて空振りす明日香
2024年07月16日
隣家より風鈴の音もらひけり康子
藍玉の土間いつぱいに匂ひたりむべ
磯料理刺身は萩の瀬付き鯵よし女
2024年07月15日
鯉跳ねてまた静まりぬ池涼し風民
噴水の穂先崩れてニンフ立つよし女
旧道の隧道塞ぐ葛かづらうつぎ
2024年07月14日
筒抜けに海風通ふ夏舘澄子
落蝉と触るれば蘇生して翔ちぬこすもす
片陰を忍者歩きに辿りけり智恵子
旅楽し派手めを選ぶ宿浴衣たか子
老鶯の雨の一声それつきりよし女
2024年07月13日
ソーダ水透かして眺む沖の船智恵子
男らの不景気託ち冷素麺なつき
所化僧の水を足しをる蓮の鉢せいじ

2024年7月14日

7月6日~7月12日

2024年07月12日
マネキンの足大胆に夏衣満天
リヤカーに汗の野良着の干されけり愛正
エプロンを広げ裾分け新キャベツ千鶴
2024年07月11日
魚道とてさ走る水の音涼しむべ
参磴に散らばる藍は蛍草ぽんこ
2024年07月10日
浜風の通ふ広縁釣り忍千鶴
一水の飛沫に揺るる歯朶涼し康子
煽ちてはのけ反る風の青芭蕉むべ
三伏や庭の散水お湯になり明日香
2024年07月09日
天を突くばかりに伸びてカンナ燃ゆ澄子
青すだれ古都の路地裏三味漏るる智恵子
身ほとりにリモコン幾つ梅雨籠うつぎ
2024年07月08日
猛暑日や人影の無き商店街みきお
故郷のイベント目当て娘ら帰省こすもす
2024年07月07日
お喋りに夢中崩壊かき氷康子
御写経の一筆入魂暑を払ふうつぎ
雷一過風の生まるる露地夕べ澄子
崩し方四人四様かき氷澄子
2024年07月06日
熊笹の覆ふ小径を避暑散歩みきえ
不揃いの桃も優しく包まれてあひる
目つぶしの夏日高枝剪定すうつぎ
サービスに西瓜振る舞ふ村のカフェこすもす
喬木の天辺さして蔦若葉董雨

2024年7月8日

6月29日~7月5日

2024年07月05日
床掃除こぼれし玉の汗も拭きあひる
水無月や銀糸のごとく日照雨過ぐむべ
夜濯ぎす三兄弟のユニフォームかえる
万緑に包まれてゆく山路かな澄子
2024年07月04日
禅寺の石に問ひもし縁涼しもとこ
湯ほてりの鎮まるをまつ藍浴衣澄子
伸び代は有ると励ます夏期テストみきえ
青年の指良く撥ねて祭笛よし女
頂上は銀座さながら登山人せいじ
2024年07月03日
苑統べて匂へる丘の花楝澄子
異常気象お化け胡瓜がぶら下がり明日香
辞書繰れば頁はりつく梅雨湿りむべ
噴水のおこぼれ貰ふベンチかな康子
引ききつて鈍色展ぐ梅雨干潟よし女
汗拭ふ版元総出荷積み終へむべ
2024年07月02日
夏帽を押さへ吊り橋渡りけりみきお
畳紙に尺寸のメモ夏衣よし女
一本のバナナ噛りて朝餉とすうつぎ
耳もとに藪蚊の唸り閻魔堂なつき
麦刈を終へたる丘の縞模様風民
2024年07月01日
突と雨止みて夏越の大祓うつぎ
寝息立つ老母へ優し扇風機康子
起き抜けに避難警報梅雨しとど董雨
2024年06月30日
荒梅雨や瀬音のたぎち止む間なし千鶴
追風に身を折りたたむ蓮広葉ぽんこ
常濡れの苔の滝道な滑りそせいじ
鮎釣りの竿が撫でゐる水鏡かえる
手擦れせし父の歳時記晒しけり澄子
樹も家も傾く登山電車かな風民
万緑に吸ひ込まれたる遊歩道康子
2024年06月29日
外仕事ままならぬ梅雨断捨離に明日香
双龍が襖にをどる夏座敷もとこ
学び舎の昼灯す窓梅雨最中満天
空馳せる雲の白さや大夏野澄子
大屋根を太鼓打ちせる男梅雨かえる