みのる選:2024年3月度
2024年03月29日 | |
みつまたの匂ふ裏山黄に染めて | やよい |
一門の諸子うち揃ひ花下に笑む | 康子 |
紙垂のごとやぐらに垂るる蔦青葉 | むべ |
掘り返す土柔らかき穀雨かな | みきお |
前撮りの花嫁さんが芽木越しに | かえる |
啓蟄の雨にやぐらの土匂ふ | かえる |
若草の飛び出してをる四つ目垣 | 康子 |
切先を立てて出でたる物の芽かな | ぽんこ |
雨晴れてきたと囀りはじめけり | せいじ |
春の日を弾く広葉樹林かな | 澄子 |
近寄れば柵に顔出す牛のどか | やよい |
春泥の道に敷かれし歩板かな | 千鶴 |
うち仰ぐ磴はむなつき新樹光 | 康子 |
蒼天の梢のたかきより初音 | 澄子 |
春光にぎよろ目見開く仁王かな | かえる |
胴からも芽吹く大樹の桜かな | かえる |
やぐらからつぎのやぐらへしじみ蝶 | むべ |
虚子やぐらへと通ひくる若葉風 | 康子 |
丹の欄に記念写真や古都うらら | むべ |
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2024年03月27日 | |
小物店ジプシーしつつ路地うらら | 澄子 |
白無垢の渡る堂縁風光る | 康子 |
一門の墓春陰に横列す | 澄子 |
竹林の風に押さるる遍路道 | なつき |
春天を貫くごとく飛行雲 | かえる |
古都うらら和服姿に彼彼女 | 康子 |
花終へし水仙は葉を三つ編みに | かえる |
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2024年03月26日 | |
一穢なき空にあえかや初桜 | 康子 |
丹精の庭に春愁癒やしけり | かえる |
ご朱印に猫の絵もあり遍路寺 | なつき |
山門を額縁として寺若葉 | 康子 |
急磴のなぞへを綴る落椿 | 澄子 |
老いの息整へて跳ぶ春の泥 | もとこ |
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2024年03月25日 | |
竹秋の細道抜けてやぐらへと | 康子 |
水平線曖昧模糊と春霞 | こすもす |
春昼や杖忘れある孔雀小屋 | なつき |
何の樹ぞ怒髪のごとく芽吹きをり | 澄子 |
山門へいざなふごとく若葉影 | かえる |
海坂へ道真直ぐや風光る | 澄子 |
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024年03月24日 | |
ちりちりと古傷痛む余寒かな | もとこ |
野の花も手向けられをる彼岸かな | かえる |
ぜんまいの赤子の拳めきにけり | かえる |
蔦青むやぐらの口を縁どりて | 康子 |
春空の果へ消えたる飛行雲 | 山椒 |
鎌倉の春を巡りて吟行す | 澄子 |
あまたなるやぐらを抱き山笑ふ | 澄子 |
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2024年03月23日 | |
みどり児の小さき欠伸桃の花 | ぽんこ |
山門を潜る一歩に落椿 | 康子 |
山襞を見せては隠し薄霞 | たか子 |
白子干混ぜてお日さま匂ふ飯 | むべ |
岩盤のなぞへを埋む著莪の花 | 澄子 |
2024年03月22日 | |
蒼穹を黄で刷くごとく花ミモザ | むべ |
初蝶の虚子のやぐらを存問す | 康子 |
白無垢に唐傘透ける春日かな | 康子 |
老犬と歩調を合はせ青き踏む | みきお |
朝窓を明るうしたる春の雪 | やよい |
一穢なき蒼天さして緑立つ | むべ |
春うらら手水の水面揺れやまず | 澄子 |
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2024年03月21日 | |
かがみ込み土筆と心通はせる | かえる |
大粒の雨先立てて春雷す | かえる |
春疾風大楠の揺れただならず | 澄子 |
落椿とどまつてをる崖つ淵 | 康子 |
春山の奈落は森林浴めきぬ | せいじ |
妻が指呼せる揚雲雀吾には見えず | せいじ |
風の道知つてをるやに鳥帰る | みきお |
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2024年03月20日 | |
花舗の鉢なぎ倒したる春疾風 | むべ |
猫の目のごと照り翳る春時雨 | ぽんこ |
亡き夫の形見分けもし初彼岸 | たか子 |
定まらぬ写経の字粒彼岸寒 | うつぎ |
土手の道続く限りに花菜畑 | 康子 |
夕餉にと摘む山道の蕗の薹 | やよい |
墓碑まえのすみれの小花抜かでをく | はく子 |
刎ねつるべめきたる風の雪柳 | かえる |
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2024年03月19日 | |
一張羅迷ふ三寒四温かな | 澄子 |
芹を摘むことが目あての野辺歩き | 千鶴 |
眉月を揚げし秀枝の桜かな | むべ |
摘ませじと棘が袖引く山椒の芽 | むべ |
雨晴れてきたと高鳴る春の川 | かえる |
干し物の白に誘はれ初蝶来 | わかば |
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2024年03月18日 | |
金剛杖つく道の辺に蕗の薹 | なつき |
百幹の竹うち鳴らし春疾風 | 澄子 |
枯蓮亀の甲羅のごと水漬く | うつぎ |
幌ひらく俥夫の手際や春時雨 | 康子 |
見るほどに心浮き立つ花ミモザ | わかば |
外堀の水面煌めく城の春 | ぽんこ |
落椿関所めきたる峠道 | なつき |
のどけしや夕告ぐ鐘の間遠より | わかば |
倒木と見たれど芽吹く力あり | 澄子 |
花韮が根方を埋む大切株 | かえる |
学舎より風に乗りくる卒業歌 | 満天 |
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2024年03月17日 | |
売れ残る球根網に芽吹きけり | えいいち |
一枚の休耕田いま花菜畑 | こすもす |
春水を延べし鏡に浮見堂 | たか子 |
水掻きのオレンジ色や鴨進む | もとこ |
杖にどうぞと枝並ぶ登山口 | あひる |
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2024年03月16日 | |
足弱の夫励ましつ青き踏む | ぽんこ |
見晴るかす京の都は春霞 | あひる |
雛の宿地酒古銭も飾りたる | なつき |
吟行の野に得し幸や土筆飯 | わかば |
七色に灯点る架橋春の宵 | わかば |
卒業の子にコサージュを直さるる | むべ |
2024年03月15日 | |
播磨灘沈む夕日の朧なる | きよえ |
杖の妻気遣ふ夫や花の坂 | なつき |
由緒読む春雨傘を傾けて | なつき |
隈笹をこぼれ落ちたる残り雪 | 愛正 |
保護者席からもあひ和す卒業歌 | むべ |
啓蟄や木屑と見しは亀の首 | ぽんこ |
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2024年03月14日 | |
桜餅食む川風の床几かな | あひる |
花下に笑むきものギャルらの一屯 | あひる |
倒木はベンチともなり百千鳥 | 澄子 |
幕末の戦場はここ花堤 | せいじ |
手庇に朝日刎ねつつ青き踏む | かえる |
大の字の火床抱きて山笑ふ | もとこ |
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2024年03月13日 | |
散歩人犬と揃ひの春ベスト | 満天 |
春障子庭木の影の機嫌よし | 千鶴 |
思ひ馳す実りの姿剪定す | わかば |
老ひ母の春愁を受けとめにけり | むべ |
ギャラリーは古りし土蔵雛飾る | なつき |
花椿一枝影置く火灯窓 | 澄子 |
群鳩のくぐもるる声や芽木の森 | 千鶴 |
病む母のベッド移動す薔薇の窓 | みきお |
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2024年03月12日 | |
鈴の緒の美しき岩戸春社 | 明日香 |
思はざる身の災ひに春愁ふ | わかば |
春陰に閉じて久しき古水門 | むべ |
雨晴れてより艶めける春の山 | 康子 |
集落に夕刻知らす鐘朧 | みきお |
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2024年03月11日 | |
ふらここは漕がずに内緒話かな | かえる |
門灯に燃えたつ寒緋桜かな | むべ |
水底に揺らぐ日の斑は水草影 | 澄子 |
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2024年03月10日 | |
寺の鐘間遠に響く朧かな | 澄子 |
ぽこぽこと蕾玉なす利休梅 | 明日香 |
海風の吹き上げ通ふ花菜畑 | 智恵子 |
卒園証書掲げママへと突進す | あひる |
銃眼を覗けば頬に春の風 | 康子 |
春時雨傘もて客を追ひかけぬ | うつぎ |
春とともに来たる富山の薬売り | 千鶴 |
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2024年03月09日 | |
術後の身外湯に癒やし春を待つ | やよい |
陶器雛九谷大皿屏風とす | なつき |
芽柳の揺るるを待ちて自撮りの娘 | 明日香 |
畑帽子掻つ攫ひたる春疾風 | 千鶴 |
2024年03月08日 | |
菜の花を揺らす腕白雀かな | かえる |
星空をよぎり飛機の灯冴返る | みきえ |
斑雪野となりし朝に鵯さわぐ | むべ |
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2024年03月07日 | |
古の彩のゆかしき土雛 | 澄子 |
春日燦糺の森の小流れに | わかば |
春風を讃美して揺るビオラかな | あひる |
百鉢の芽吹きを朝な存問す | うつぎ |
子らの描く絵雛口開け大笑ひ | なつき |
あえかなる初花と見し一二輪 | もとこ |
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2024年03月06日 | |
日時計が待合せ場所春麗ら | せいじ |
堰落ちて逸る瀬波に風光る | 康子 |
春光を撒く激つ瀬の飛沫かな | 康子 |
クレソンに水ゆき渡る川辺かな | 澄子 |
里人に笑ひ初めたる四方の山 | やよい |
うち仰ぐ白亜の天守風光る | せいじ |
春泥の径に敷かれし藁筵 | むべ |
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2024年03月05日 | |
春光や堰落つ水の高鳴りて | やよい |
嫁と手をつなぎ春野の下り坂 | たか子 |
そぼ降れる雨に末黒野匂ひけり | 千鶴 |
春しぐれま青な空を置土産 | 明日香 |
芽柳や蕩々として濠の水 | せいじ |
落椿勤王志士の碑ほとりに | こすもす |
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2024年03月04日 | |
水に映ゆ岸辺の河津桜かな | わかば |
春光やどこまで伸びる飛行雲 | みきえ |
大股の靴跡残る春の泥 | みきお |
忽然と向きかへ野火の迫りくる | うつぎ |
竹林のくいぜに溢る春の雨 | むべ |
子午線の城に日時計風光る | せいじ |
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2024年03月03日 | |
狭間より覗く城下や春うらら | みきえ |
玄関の雛に目細め配達夫 | あひる |
畝に肩出して取入れ待つ大根 | きよえ |
のけ反りてくぐる山門梅真白 | なつき |
存問の絵てがみに笑む夫婦雛 | うつぎ |
踊るものつま弾くものや雛の宴 | あひる |
ジーパンに膝のぞかせてギャルの春 | 満天 |
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2024年03月02日 | |
春禽のついと消えたる洞昏し | むべ |
播磨灘沖行く船の灯の朧 | きよえ |
湧水のゆらぎに任せ蝌蚪の紐 | 澄子 |
梅散らしたる狼藉は目白どち | むべ |
駈けつこに疲れ寝転ぶ犬ふぐり | うつぎ |
球児らの声高らかや芝青む | みきえ |
種の殻帽子に双葉出でにけり | かえる |
水底に砂紋きらめく春の川 | なつき |
日時計の針影薄き春曇 | 千鶴 |
2024年03月01日 | |
踏青子盲導犬と語りつつ | みきお |
手水舎に神の山より春の水 | 千鶴 |
お披露目す商家の縁に享保雛 | 智恵子 |
春愁や硯の海のすぐかわき | 明日香 |
播磨灘見渡す限り春霞 | わかば |
春の鴨あそぶ汽水の夕波に | きよえ |
下萌を促す今朝の雨静か | 満天 |
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2024年02月29日 | |
寝てる間に終はる散髪春うらら | 康子 |
啓蟄や始歩の病棟幾まはり | やよい |
お前もか眠れぬ夜の浮かれ猫 | もとこ |
捨てられぬ文語の聖書春の塵 | むべ |
通勤の電車朝寝の人ばかり | 山椒 |
まなぶたの一重艶めく古雛 | 澄子 |
たらちねの雛も白寿を越えにけり | ぽんこ |
無縁塚へ人幅の道青き踏む | なつき |
囀に議論のなごむ会議かな | むべ |
と見る間に緑変したる若布かな | かえる |
烟るごと蒼天覆ふ花ミモザ | わかば |
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2024年02月28日 | |
テーブルに書類散乱納税期 | せいじ |
春月に濡るるやに見ゆ森の木々 | むべ |
春雨の音に二度寝を許しけり | 素秀 |
背伸びするごとくに鴨の羽ばたきぬ | はく子 |
春泥に立ち往生や三輪車 | 康子 |
春寒し病床六尺読みてより | もとこ |
桜鯛海にほり投げ島びらき | 千鶴 |
春光や目鼻薄れしなでぼとけ | かえる |
花堤ほとりに小さき釈迦御堂 | はく子 |
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2024年02月27日 | |
胎撫ぜて座せる妊婦へ春の風 | かえる |
強東風にしぶきを飛ばす水車かな | 康子 |
鳴き交はす声を残して鳥帰る | あひる |
白き肩並ぶひと畝大根畑 | みきえ |
検温のうつつに覚むる春の夢 | 素秀 |
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2024年02月26日 | |
梅寒し幟並べど人まばら | 千鶴 |
撫で牛の鼻面ぬくし梅日和 | なつき |
リハビリの杖を友とし青き踏む | みきお |
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2024年02月25日 | |
洗濯物とりこみ気づく朧月 | せいじ |
磴半ば寺門の梅の匂ひけり | 康子 |
ホール出て春雨傘の華やぎぬ | むべ |
人力車春の浅草ひと巡り | 山椒 |
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2024年02月24日 | |
春野菜躍り畦ゆく猫車 | 智恵子 |
風花を呑み込むごとく露天の湯 | かえる |
鴨帰り川面を占むる雲の翳 | 明日香 |